JP6587487B2 - アクティブ除振装置及びそのセンサの設置方法 - Google Patents

アクティブ除振装置及びそのセンサの設置方法 Download PDF

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Description

本発明は、アクティブ除振装置及びそのセンサの設置方法に関するものである。
従来、基礎(床)に被支持体が弾性体によって支持された構造において、基礎の振動を1つの振動センサにより検出し、この振動センサが検出した振動状態に基づいて基礎から伝達される振動と逆位相の制御振動が被支持体に対して付加されるようにアクチュエータを制御するアクティブ除振装置が知られており、例えば特許文献1にその詳細が開示されている。
ところで、近年、アクティブ除振装置の大型化が進んでおり、1つの振動センサでは除振性能が有効に発揮できない場合がある。そこで、特許文献2に開示されているような複数のセンサを用いた除振装置の技術が提案されている。
特開2015−75909号公報 特許3282302号公報
しかし、従来の複数のセンサを用いた除振装置においては、センサの位置が予め決められた位置に固定されているため、基礎からの振動状態が異なる環境においては複数のセンサを配置しているにも拘わらず、その利点を享受できていない場合がある。
また、除振装置の配置場所を変更する場合に基礎の振動状態が異なることとなっても、除振装置の性能を担保する必要がある。
また、除振装置は常に安定した基礎上に設置されるとは限らず、極めて不安定な場所に設置せざるを得ない場合がある。例えば、4隅のうちの3隅を安定して設置できても、残りの1隅を基礎の上に設置できないという事例が考えられる。このような場合においても除振装置の性能を担保する必要がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、除振装置において基礎からの振動状態に拘わらず高い除振性能を発揮できるようにすることにある。
上記の目的を達成するために、本発明では、基礎の任意の位置における振動状態を測定した上で、互いに異なる振動状態を持つ前記基礎の位置に複数の振動センサを設置することで、除振装置が基礎の振動状態によらずに高い除振性能を発揮できるようにした。
具体的には第1の発明は、基礎に対して被支持体を弾性的に支持する弾性体と、前記基礎の振動状態を検出する複数の振動センサと、前記被支持体に対し振動を加えるアクチュエータと、前記振動センサが検出した基礎の振動状態に基づいて、上記被支持体に対して上記基礎から伝達される振動と逆位相の制御振動が付加されるようにアクチュエータを制御するフィードフォワード制御手段と、を備えたアクティブ除振装置であって、前記振動センサは、前記基礎の複数の任意の位置の中で振動状態の差が最大となる位置にそれぞれ設置されていることを特徴とする。
第2の発明は、振動センサが検出した基礎の振動状態に基づき、基礎に弾性体によって弾性的に支持された被支持体に対して基礎から伝達される振動と逆位相の制御振動が付加されるようにアクチュエータを制御するアクティブ除振装置における前記振動センサを複数設置する設置方法であって、前記基礎の複数の任意の位置における振動状態を測定し、前記測定した振動状態を比較して互いに異なる振動状態を持つ前記基礎の位置を判別し、前記判別した互いに異なる振動状態を持つ位置にそれぞれ前記振動センサを設置することを特徴とする。
これらの発明の上記構成とすることで、被支持体に伝達される基礎からの振動をより正確に測定でき、より高性能の除振を実現できる除振装置を得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、基礎から被支持体への振動をより正確に測定することが可能となり、より除振の精度を向上させることができる。
本発明の実施形態に係る除振装置の全体構成を表した模式図である。 実施形態に係る除振装置の斜視図である。 実施形態に係る制御のブロック図である。 実施形態に係る振動センサの配置を示す平面模式図である。 実験例1における振動伝達率の測定結果のグラフである。 実験例2における振動伝達率の測定結果のグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態の説明は本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1、2は、本発明の実施形態に係るアクティブ除振装置を具現化したアクティブ除振装置Aの全体的な構成を示す。このアクティブ除振装置Aは、例えば半導体関連の製造装置や電子顕微鏡等のように振動の影響を受けやすい精密機器Dを載置台1上に搭載し、それらを床振動からできるだけ絶縁した状態とするために、複数のアイソレータ2,2,…によって弾性的に支持したものである。つまり、このアクティブ除振装置Aにおいては載置台1及び機器Dが被支持体Hを構成している。
一例として図2に示すように、この実施形態では4つのアイソレータ2,2,…を各々載置台1の4隅に配置しているが、これは3個以上であれば幾つでもよい。個々のアイソレータ2は、図1に模式的に示すように、床F(基礎)上に配置されたインナケース20の上部に、上下方向の荷重を支持する空気ばね20aを備えている。これは、インナケース20の上端の開口にダイヤフラム等を介してピストンを気密状に内挿し、該インナケース20内に空気室を画成してなる。
また、図の例ではインナケース20の上半部を上方から覆うようにして、下方に開口するアウタケース21が配設されており、その天板は空気ばね20aのピストン上に載置されている。一方、アウタケース21の側板とインナケース20の側板との間には、所定の隙間がある。この隙間には、上記空気ばね20aと概ね同様の構成の一対の空気ばね20b,20bがインナケース20を間に挟んで互いに対向するように配設されている。これら空気ばね20b,20bは、水平方向の力を発生するようになっている。
つまり、アイソレータ2は、上下方向の空気ばね20aによって被支持体Hの分担荷重を支持するとともに、この上下方向の空気ばね20aや水平方向の空気ばね20b,20bの内圧を増減するように制御することで、被支持体Hに対しその振動を減殺するような制御力を付加することができる。このことで、アイソレータ2は、床F(基礎)に対して被支持体Hを支持する弾性体と、空気ばね20a,20bの内圧の制御により被支持体*に対し振動を加えるアクチュエータとを構成している。
より詳しくは、被支持体Hである載置台1及びその上の機器Dを一体の剛体とみなし、図2に示すように、この剛体の重心Gを通る直交3軸x、y、zを設定すると、この直交座標系における運動の自由度は、x軸、y軸及びz軸の並進3方向とそれら各軸周りの回転3方向φ、θ、ψとなる。従って、これら合計6自由度の各方向に各々制御力を付加するように、4つのアイソレータ2,2,…の上下及び水平の空気ばね20a,20b,…を配設している。
同図に示す例では、右手前及び左奥(図示せず)の2つのアイソレータ2,2が各々、水平の一対の空気ばね20b,20bの内圧を互いに逆相に増減させることにより、x方向(以下、単に左右方向ともいう)の制御力Fxを発生するように、また、左手前及び右奥の2つのアイソレータ2,2は各々y方向(以下、単に前後方向ともいう)の制御力Fyを発生するように配置されている。それらの4つのアイソレータ2,2,…でz軸周り即ちψ方向の制御力を被支持体Hに付加することができる。
また、上下方向であるz方向の制御力Fzについては、4つのアイソレータ2,2,…の各々の上下の空気ばね20aが分担して発生するものであり、その各々が発生する力Fzの配分を重心Gからの距離に応じて適当に設定すれば、被支持体Hに対して上下方向の制御力のみを付加することができる。一方、4つのアイソレータ2,2,…の各々の上下の空気ばね20aが発生する力Fzの配分によって、被支持体Hに対してx軸及びy軸の周りの回転方向即ちφ、θ方向の制御力を付加することができる。このように、4基のアイソレータ2,2,…がそれぞれ備える空気ばね20a,20bは、被支持体Hに対して6自由度の各自由度方向に制御力を付加可能に設けられている。
そうして所要の制御力を発生させるために、この実施形態では、図1に模式的に示すように、各アイソレータ2の上下及び水平の空気ばね20a,20b,20bには、それぞれ図外の空気圧源から圧縮空気を供給するための配管が接続されている。そして、これら配管に介設されたサーボ弁22a,22bによって空気ばね20a,20b,20bへの空気の給排気量が調整されるようになる(なお、同図には右側のアイソレータ2についてのみ、その空気圧の制御系統を示す)。この実施形態では、これら空気ばね20a,20bが被支持体Hに対して力を作用させて振動を加えるアクチュエータを構成している。
また、各アイソレータ2には、その支持位置の近傍における被支持体Hの上下及び水平(即ち水平の空気ばね20bが設けられている)方向の加速度を検出する加速度センサ23a,23b(被支持体側振動センサ)が配設されている。これら加速度センサ23a,23bからの信号は、コントローラ3(制御手段)に入力される。そして、加速度センサ23a,23bで検出された被支持体Hの加速度は、コントローラ3によって被支持体Hの重心Gの6自由度の振動x",y",z",φ″,θ″,ψ″に変換される。
さらに、上記の加速度センサ23a,23bと同様に、各アイソレータ2にその支持位置の近傍における被支持体Hの上下及び水平方向の変位をそれぞれ検出する変位センサ24a,24bが配設されている。また、インナケース20の下部における加速度、即ち床振動を検出するための加速度センサ25a,25b(基礎側振動センサ)も配設されている。この加速度センサ25は、4基のアイソレータ2,2,…のうちの3つに配設されていて、そのうち2つである25aは水平方向(即ち、x方向及びy方向)の床振動を検出し、残りの1つである25bは上下方向の床振動を検出する。これら変位センサ24a,24b及び加速度センサ25a,25bからの信号も、コントローラ3に入力される。そして、変位センサ24a,24bで検出された被支持体Hの変位は、コントローラ3によって被支持体Hの重心Gの6自由度の変位x−x ,y−y ,z−z ,φ−φ ,θ−θ ,ψ−ψ に変換される。ここで、x ,y ,z ,φ ,θ ,ψ は、各自由度方向における床Fの変位である。
コントローラ3によるサーボ弁22a,22bの制御の内容は、概ね図3のブロック図に示すようになり、大別すると、被支持体Hに対する床Fからの伝達振動を打ち消すための除振制御と、機器D等の発生する振動を打ち消すための制振制御とからなる。即ち、サーボ弁22a,22bへの制御入力に対して、図の右側に示すように、加速度センサ23a,23bからの信号に基づいてフィードバック振動制御部3aによりフィードバック制御が行われるとともに、床振動を検出する加速度センサ25からの信号に基づいてフィードフォワード振動制御部3bによりフィードフォワード制御が行われる。
また、上記のフィードバック制御及びフィードフォワード制御に加え、図の左下側に示すように、変位センサ24a,24bからの出力に基づいてフィードバック変位制御部3cによりフィードバック制御が行われる。なお、この実施形態のアクティブ除振装置Aでは、被支持体Hは常に静止していることが理想とされ、目標値が変更されることなく一定なので、ここでは零(0)としている。このようなフィードバック振動制御及びフィードフォワード振動制御は、コントローラ3のCPUによって所定のプログラムが実行されることにより実現するもので、ソフトウェアの態様で備わっている。
そして、そのような種々の補正の結果として、6自由度の各方向の操作量が決定され、各空気ばね20a,20bの位置に従って操作量がサーボ弁22a,22bに分配されてコントローラ3からサーボ弁22a,22bへの制御出力がなされ、この出力信号を受けたサーボ弁22a,22bの作動によって空気ばね20a,20bの空気圧が調整されることにより、該空気ばね20a,20bがアクチュエータとして作動して、被支持体Hに制御振動を付加することになる。
以下において、基礎側振動センサ25の設置について詳述する。なお、以下の説明においては鉛直方向用の振動センサ25bを例として説明するが、水平方向用振動センサ25aについても同様である。
図4に示すように、被支持体の載置台1を支持している4つのアイソレータ2,2,…のうち2つのアイソレータ2,2下方の床F(基礎)上にそれぞれ鉛直方向振動センサ25b,25bが設置されている。本実施形態では、2つ(複数)の鉛直方向振動センサ25b,25bは、平面視で矩形状の床Fの互いに対角に位置するアイソレータ2,2下方に設置されており、それぞれの設置箇所における床F(基礎)の振動状態は互いに異なるものとなっている。そして、制御においては、2つのセンサ25b,25bからの信号を平均した信号によってフィードフォワード制御を行うようにしている。これにより、2つのセンサ25b,25bの平均信号によってフィードフォワード制御を行うため、互いに共通する動きの振動を検知した場合には増幅した信号をもって、また互いに異なる動きをする振動を検知した場合には相殺した信号をもってフィードフォワード制御を行うこととなり、鉛直方向振動センサ25bが1つの場合と比べて除振性能を高めることができる。
以下において、基礎側振動センサ25の設置方法について説明する。披支持体H周辺の床F(基礎)について、複数の任意の位置における振動状態を測定する。その際、できるだけアイソレータ2に振動を及ぼす可能性の高い位置を予測して測定するのが望ましい。つまり、例えばアイソレータ2の設置箇所周辺について測定するのが望ましい。次に、測定した複数の位置の振動状態を比較して互いに異なる振動状態を持つ2つ(複数)の位置を判別する。その後、判別した位置にそれぞれ振動センサ25,25を設置すればよい。このとき、任意の複数の位置の中で振動状態の差が最大となる位置に振動センサ25,25を設置するのが最も望ましい。これにより異なる振動状態の基礎に設置した複数の振動センサ25,25からの信号を合成して、より正確なフィードフォワード制御を行うことができるようになる。なお、設置においては、両面テープによる貼り付けやケースにいれてマウントにネジ締結するなど、簡易に取り外し可能な態様で取り付けることができる。
以上に述べたように、本実施形態では、異なる振動状態の床F(基礎)に設置した複数の振動センサ25,25からの信号を平均してフィードフォワード制御を行うことができるようになるため、アクティブ除振装置Aの性能を高めることができる。また、除振装置Aの設置場所を変更する際などにおいても、変更後の設置場所の床F(基礎)の振動状態を測定して比較することにより、複数の振動センサ25,25の設置場所を決定することができ、除振装置Aの性能を維持することができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、基礎側振動センサ25を2つとしているが、3つ以上についても同様の効果を得ることができる。この場合、3つ以上のセンサ25,25,…についてそれぞれが互いに異なる振動状態となる床F(基礎)上の位置に設置することが望ましい。
また、上記実施形態では矩形状の被支持体について複数のセンサ25,25,…を設置しているが、矩形以外の形状(例えば楕円状)の被支持体についても複数のセンサ25,25,…を設置してもよく、本発明は同様の効果を得ることができる。
さらに、上記実施形態では、アイソレータ2によって弾性体とアクチュエータとを兼ねているが、本発明は、基礎に対して被支持体を弾性的に支持する弾性体と、被支持体に対し振動を加えるアクチュエータとが異なっているアクティブ除振装置に対しても適用できるのは勿論である。
以下において、具体的な本発明の実施例について説明する。
(実験例1)
アクティブ除振装置Aを用いて、その載置台1に5トンの錘を載せて静座状態で振動伝達率を測定した。まず、センサ25を1つのみ設置した場合について測定し、その後2つ目のセンサ25を本発明の設置方法を用いて追加して測定した。その結果を図5に示す。ここで縦軸は振動伝達率を表し、単位はdB=20×log10(a/a)であり、aは載置台1の加速度、aは床の加速度を表す。
図5に示すように、載置台静座時に周波数が10Hz〜20Hzの低周波域(図5の破線で囲む領域)において、センサ25を2つ設置した場合における振動伝達率がセンサ25を1つ設置した場合に比べて低くなる結果となった。
(実験例2)
載置台を加振して、実験例1と同様の測定を行った。その結果を図6に示す。
図6に示すように、載置台加振時においても周波数が1Hz〜10Hzの低周波域(図6の破線で囲む領域)において、センサ25を2つ設置した場合の振動伝達率がセンサ25を1つ設置した場合に比べて低くなる結果となった。
これらのことより、本発明を用いてセンサを追加することで、より高性能な除振を実現できる。
以上説明したように、本発明は、アクティブ除振装置に極めて有用である。
1 載置台
2 アイソレータ(弾性体、アクチュエータ)
3 コントローラ(制御手段)
20a、20b 空気ばね
23a、23b 加速度センサ(被支持体側振動センサ)
24a、24b 変位センサ
25a、25b 加速度センサ(基礎側振動センサ)
A アクティブ除振装置
D 機器
F 床(基礎)
H 被支持体

Claims (2)

  1. 基礎に対して被支持体を弾性的に支持する弾性体と、
    前記基礎の振動状態を検出する複数の振動センサと、
    前記被支持体に対し振動を加えるアクチュエータと、
    前記振動センサが検出した基礎の振動状態に基づいて、上記被支持体に対して上記基礎から伝達される振動と逆位相の制御振動が付加されるようにアクチュエータを制御するフィードフォワード制御手段と、を備えたアクティブ除振装置であって、
    記振動センサは、前記基礎の複数の任意の位置の中で振動状態の差が最大となる位置にそれぞれ設置されていることを特徴とするアクティブ除振装置。
  2. 振動センサが検出した基礎の振動状態に基づき、基礎に弾性体によって弾性的に支持された被支持体に対して基礎から伝達される振動と逆位相の制御振動が付加されるようにアクチュエータを制御するアクティブ除振装置における前記振動センサを複数設置する設置方法であって、
    前記基礎の複数の任意の位置における振動状態を測定し、
    前記測定した振動状態を比較して互いに異なる振動状態を持つ前記基礎の位置を判別し、
    前記判別した互いに異なる振動状態を持つ位置にそれぞれ前記振動センサを設置することを特徴とする複数の振動センサの設置方法。
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