JP3856676B2 - アクティブ除振方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば半導体製造装置や精密計測装置等を床振動から略絶縁した状態とするためのアクティブ除振方法に関し、特に、床の振動状態に基づいて被支持体への伝達振動を推定し、この伝達振動を打ち消すような制御振動をアクチュエータにより付加するフィードフォワード制御の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のアクティブ除振方法として、例えば特許第2814241号公報に開示されるようなフィードフォワード制御を用いたものが知られている。このものでは、図13に模式的に示すように、被支持体1を弾性体2により基礎3に支持し、この基礎3に振動センサ4を配設するとともに、被支持体1に対して振動を付加するアクチュエータ5を配設する。そして、前記センサ4からの検出信号をコントローラ6に入力し、この信号に基づいて逆振動波形発生回路、即ち、デジタルフィルタ6aにより生成した制御出力を前記アクチュエータ5に入力して、該アクチュエータ5により被支持体1に対し基礎3からの振動を打ち消すような逆位相の制御振動を付加するようにしている。
【0003】
より詳しくは、図14のブロック図に示すように、基礎3から弾性体2を介して被支持体1に伝達する振動の伝達関数を実伝達関数H(s)とし、また、アクチュエータ5から被支持体1への補償系の伝達関数をK(s)としたとき、デジタルフィルタ6aの伝達関数は、−H(s)K(s)−1 とすればよいから、前記従来例のものでは、実伝達関数H(s)と補償系の伝達関数K(s)とをそれぞれ計測により求めて、これに基づいて −H(s)K(s)−1 の伝達関数に対応するデジタルフィルタのフィルタ係数を所定の演算手法により決定するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来例のように基礎から被支持体までの実伝達関数H(s)と補償系の伝達関数K(s)とをそれぞれ実測して求めるためには、除振装置やその上に搭載される機器等を実際に設置し、その状態で基礎に振動を付加して、搭載機器の振動状態を計測するといった作業を繰り返し行わなくてはならず、非常に手間がかかる。しかも、計測の際の誤差がそのままデジタルフィルタの特性に反映されてしまうので、アクチュエータへの制御出力に誤差が直接的に影響することになり、制御の精度が低下し易いという不具合もある。
【0005】
さらに、アクティブ除振方法としては前記従来例のようなフィードフォワード制御の外に、被支持体に振動センサを配設し、その信号に基づいてアクチュエータにより制御振動を付加するフィードバック制御を行うこともあるが、このフィードバック制御と前記従来例の如きフィードフォワード制御とを併せて行う場合には、フィードバック制御ゲインの変更に伴い前記伝達関数H(s)、K(s)が見かけ上、変化することになり、その度に伝達関数H(s)、K(s)を計測し直さなくてはならないことから、前記のような不具合が甚だしい。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基礎の振動状態を検出し、そこから被支持体に伝達する振動を打ち消すようにアクチュエータを作動させるフィードフォワード方式のアクティブ除振方法において、該アクチュエータへの制御出力の決定方法に工夫を凝らし、アクティブ除振の適用に係る作業を容易化することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明では、アクチュエータのフィードフォワード制御量Uffを求めるための伝達関数「H(s)K(s)−1」を予め代数的に解いて、基礎の振動状態の検出値Xと制御量Uffとの間の簡単な関係式を導き、この関係式に基づいてアクチュエータへの制御出力を求めるようにした。
【0008】
具体的に、請求項1の発明は、被支持体を基礎に対して気体ばねにより弾性的に支持するとともに、該気体ばねの圧力状態を調整するサーボ弁を備えており、前記基礎の振動状態を検出し、この検出値に基づき前記サーボ弁を制御して前記気体ばねの圧力状態を変更することにより、前記被支持体に対し基礎から伝達する振動と逆位相の制御振動を付加するアクティブ除振方法を前提とする。
【0009】
そして、前記基礎から被支持体までの振動伝達系路のばね定数Kと減衰係数Cとをそれぞれ求めるとともに前記サーボ弁のゲインK 及び時定数T と、気体ばねの受圧面積A とによって、比例定数α = (1+T s)/K を設定し、その上で、前記ばね定数K及び減衰係数Cと、前記比例定数αと、ラプラス演算子sとを用いて、前記基礎の振動状態の検出値Xに対応するサーボ弁への制御量Uffを表す以下の関係式を求める。
【0010】
ff = α×{(Cs+K)/s}×X ・・・(式1)
そして、前記(式1)の関係式に基づいて前記サーボ弁への制御出力を演算するようにする。
【0011】
前記の方法により、本発明に係るアクティブ除振方法では、まず、従来例(特許第2814241号公報)のものと同様に基礎の振動状態の検出値に応じてアクチュエータ(サーボ弁及び気体ばね)が適切に作動され、被支持体に対し基礎から伝達する振動と逆位相の制御振動が付加されて、該被支持体への伝達振動が打ち消される。すなわち、基礎から被支持体に至る弾性支持構造を簡単な1自由度の振動系により模擬すると、この振動系における振動の実伝達関数H(s)は、一般的に、質量をM、ばね定数をK、減衰係数をCとして、
H(s) = (Cs+K)/(Ms+Cs+K) ・・・(式2)
と表される。一方、アクチュエータの発生する力とこれにより被支持体に付加される振動との関係式、即ち補償系の伝達関数K(s)は、
K(s) = s/(Ms+Cs+K) ・・・(式3)
と表される。従って、前記(式2)(式3)に基づいて、
H(s)K(s)−1 = (Cs+K)/s ・・・(式4)
となり、アクチュエータの特性等により定まる比例定数をαとすれば、基礎の振動状態の検出値とこれに対応する制御量との間の関係を、前記(式1)のように表すことができるのである。
【0012】
そして、アクチュエータへの制御出力が前記(式1)に示す簡単な関係式に基づいて決定できるようになれば、従来例のように実伝達関数H(s)と補償系の伝達関数K(s)とをそれぞれ計測する必要はなくなる。すなわち、アクティブ除振方法の実行に係る作業が従来までと比べて格段に容易なものとなり、しかも、伝達関数H(s)、K(s)等の計測に伴う誤差がなくなるので、その分、アクチュエータの制御の精度を向上し得る。
【0013】
特に前記の方法では、被支持体を気体ばねにより支持しており、上下方向のばね特性を十分に柔らかなものとすることができるので、制御振動を付加しない状態での基本的な除振性能が向上する。また、その気体ばねをアクチュエータとして利用することで、別にアクチュエータを設ける必要がなくなり、しかも、気体ばねの特性として比較的大きな力が容易に得られる。
【0014】
さらに、そうしてアクチュエータとして利用する気体ばねの受圧面積A と、その圧力状態を調整するサーボ弁のゲインK 及び時定数T とによって、前記比例定数αを、
α = (1+T s)/K ・・・(式5)
として設定しているので、比例定数αがサーボ弁及び気体ばねの特性を反映して適切に設定され、前記した発明の作用効果が十分に得られるようになる。
【0015】
請求項2の発明では、請求項1のアクティブ除振方法において、さらに、被支持体の振動状態を検出して、この振動が小さくなるようにサーボ弁をフィードバック制御するようにする。こうすることで、被支持体の実際の振動状態に応じて、この振動を抑えるようにアクチュエータ(サーボ弁及び気体ばね)を作動させることができる。
【0016】
一方で、そのようなフィードバック制御において、被支持体の加速度のフィードバックゲインをGとし、速度のフィードバックゲインをGとし、変位のフィードバックゲインをGとすると、フィードバックループを含むシステムの実伝達関数H(s)は、一般的に、
【0017】
【数1】
Figure 0003856676
【0018】
と表されるから、それらのゲインG,G,Gの変更に伴い、実伝達関数H(s)が見かけ上、変化することになる。また、補償系の伝達関数K(s)についても同様に変化する。このため、前記従来例(特許第2814241号公報)のように伝達関数H(s)、K(s)を実測するようにした場合、フィードバックゲインの変更の度に伝達関数H(s)、K(s)を計測し直さなくてはならず、作業が著しく繁雑なものとなってしまう。
【0019】
これに対し、本願発明のように、予め伝達関数「H(s)K(s)−1」を代数的に解いて、前記(式1)の関係式に基づいて制御出力を求めるようにすれば、フィードバックゲインG、G、Gの値には無関係に制御出力を求めることができるから、アクティブ除振方法に係る作業の容易化という請求項1の発明の作用効果が一層、有効なものとなる。
【0020】
尚、実際のフィードバック制御では、制御系の無駄時間や非線形性の影響が伝達関数H(s)、K(s)の計測結果に現れることになるので、従来までのようにその計測結果に基づいてアクティブ除振制御の出力を演算するようにすると、さらに複雑さが増大するという不具合もあり、このような不具合が生じないという意味でも、本願発明の作用効果は有効なものである
【0021】
請求項の発明では、前記請求項1と同様に、気体ばねにより被支持体を支持してなるアクティブ除振方法において、その被支持体の荷重を少なくとも3つの気体ばねにより支持するとともに、該各気体ばね毎にアクチュエータを配設し、基礎の振動状態に基づいて前記各アクチュエータをそれぞれ独立に制御することにより、被支持体に対し基礎から伝達する振動と逆位相の制御振動を付加するようにする。
【0022】
このことで、被支持体の荷重を少なくとも3つの気体ばねにより安定して支持しながら、各気体ばねにおける伝達振動を該各気体ばね毎のアクチュエータの作動により打ち消すことができる。その際、各気体ばね毎のアクチュエータの制御をそれぞれ独立に行うことで、制御の容易化が図られる。
【0023】
また、前記各気体ばね、それぞれ、被支持体の荷重を支持するピストン部材をケース部材上面の開口部に内挿して、該ピストン部材の下端面をケース部材の内部の気体室に臨ませるとともに、該ピストン部材の外周から前記開口部の周縁まで環状の可撓性部材により閉塞したダイヤフラム形のものとし、
そして、前記ピストン部材を筒状に形成し、その上端部から上方に離間して被支持体の荷重を受ける荷重受部材を配設するとともに、該荷重受部材の下部から前記ピストン部材の中心孔を貫通するように略鉛直下方に向かって延びる支持柱を設け、一方、前記ピストン部材には、その下端部における内周側から前記支持柱を囲むように略鉛直下方に向かって延びる有底筒状の下方延出部を設けて、この下方延出部の底部において前記支持柱の下端部が枢支されるようにし、さらに、前記可撓性部材は、前記ピストン部材をケース部材に対して揺動可能に弾性的に保持する構成とする。
【0024】
その上で、前記基礎から被支持体までの振動伝達系路のばね定数Kと減衰係数Cとを、それぞれ求め、そのばね定数K及び減衰係数Cと、予め設定した比例定数αと、ラプラス演算子sとを用いて、前記(式1)の関係式に基づいて、アクチュエータへの制御出力を演算するようにする。
【0025】
この請求項3の発明では気体ばねをアクチュエータとして利用する点を除いて、前記請求項1の発明と同様の構成により同様の作用が得られる上に、前記気体ばねは、ダイヤフラム形気体ばねの本来の性質として、上下方向のばね特性が非常に柔らかく、広い周波数域に亘る優れた除振性能を有するとともに、水平方向の振動に対しては、ピストン部材の揺動に伴い荷重受部材が水平方向に変位することで、非常に柔らかいばね特性となるから、水平方向についても上下方向と同様の優れた除振性能を有するものとなる。
【0026】
そして、そのように、被支持体の荷重を支持する複数の気体ばねがそれぞれ上下方向だけでなく水平方向についても基本的に高い除振性能を有するものであるから、個々の気体ばねのアクチュエータを、それぞれ、他の気体ばねによる被支持体への振動伝達の影響を考慮することなく独立に制御して、独立にアクティブ除振制御を行うようにしても、全体として極めて高い除振性能を得ることができる。
【0027】
尚、前記の如く、被支持体の荷重を支える上下方向の気体ばねが軸方向(上下方向)及び軸に直交する方向(水平方向)の両方について非常に柔らかいばね特性を有するものであるから、前記被支持体の水平方向の振動を抑えるアクチュエータとして同様の気体ばねを横向きにして用いるようにした場合、この水平方向の気体ばねの制御性を前記上下方向の気体ばねが損なうことがないという長所があり、しかも、水平方向の気体ばねが上下方向の気体ばねの制御性を損なうこともない。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0029】
(除振台の構成)
図1は、本発明に係るアクティブ除振方法を適用する精密除振台Aの一例を示し、この精密除振台Aは、例えば、図示しない半導体検査装置や電子顕微鏡、光学式計測装置等の精密機器を搭載して、それらの機器を床からの振動と殆ど絶縁した状態で設置するためのものである。すなわち、前記精密除振台Aの概略構成は、図示の如く、床面に設置される下側構造部1と、その下側構造部1の上面の4隅にそれぞれ配設された空気ばね式のアイソレータ2,2,…と、該4つのアイソレータ2,2,…の上部に搭載された搭載盤3とからなる。
【0030】
前記下側構造部1は、鋼製角パイプの構造部材を概ね直方体形状となるように櫓組みしたものであり、それぞれ上下方向に延びる4本の脚部4,4,…と、その隣接する2本の脚部4,4同士を下端側で連結するように水平方向に延びる下梁部5,5,…と、それら4本の脚部4,4,…の上端側外周を囲んで平面視で略矩形の枠状となるように配置された上梁部6,6,…とからなる。この各上梁部6,6,…の内側面は脚部4,4,…の外側面に接合されるとともに、各上梁部6,6,…の上面は脚部4,4,…の上端面と同一平面上に位置付けられている。そして、前記各脚部4の上端面からその外側を囲む上梁部6,6の上面に亘って、水平板7,7,…が配設されていて、この各水平板7上にそれぞれアイソレータ2が配設されている。また、下側構造部1の長手方向に延びる2つの下梁部5,5の下面には、移動用のキャスター8,8,…が2つずつ配設されるとともに、各脚部4の下端面にはそれぞれ高さ調整用のレベラー9,9,…が配設されている。
【0031】
(アイソレータの構成)
前記アイソレータ2は、図2に詳細を示すように、ダイヤフラム形空気ばねのピストンにジンバル機構を組み込んで、水平方向のばね特性を上下方向と同様に非常に柔らかくしたものである(以下、このピストンをジンバルピストンともいう)。詳しくは、アイソレータ2は、ベースプレート10(基礎)の上面に固定されるインナケーシング11と、このインナケーシング11に対して空気ばねSv(気体ばね)を介して取り付けられたアウタケーシング20とからなる。前記インナケーシング11(ケース部材)は、全体として四角形の筒状とされ、鋼製の周壁部11aの下端が同じく鋼製の前記ベースプレート10の上面に接合される一方、該周壁部11aの上端に接合された鋼製の天板11bの略中央部には、鉛直方向の軸線Zと略直交するように円形の開口部12が形成されている。
【0032】
また、前記インナケーシング11上面の開口部12には、ドーナツ状のピストン本体13が内挿されている。このピストン本体13は鋼製又はアルミニウム合金製のものであり、断面円形の中心孔13aが軸線Zに沿って上下方向に貫通する一方、外周の下側約半分には下端側に向かって僅かに縮径するテーパ面13bが形成されている。そして、該ピストン本体13の下端面13cから外周側のテーパ面13bを覆ってさらに外周側に延び、そこから開口部12の周縁までを閉塞するように、環状のダイヤフラム14が配設されている。すなわち、前記ダイヤフラム14及びピストン本体13によりインナケーシング11の上端開口部12が閉塞されて、空気室15が区画されており、該ピストン本体13の下端面13cが該空気室15に臨んでその空気圧を受けることで、主に上下方向の荷重を支持する空気ばねSvが構成されている。
【0033】
前記ダイヤフラム14は、ポリエステル繊維の織物を補強材として埋設したゴム弾性膜からなり、図3に仮想線で示すように一旦、中心部分に丸穴が空いた鍔付帽子形状に形成した後に、帽子の周壁に相当する部分を途中で湾曲させて下方に折り返すようにして、同図に実線で示す深皿形状としたものである。すなわち、ダイヤフラム14は、帽子の鍔の部分に相当する外周フランジ部14aの内周端縁に連続して、上方に凸に湾曲する環状ロール部14bが形成され、このロール部14bの内周端縁部が前記外周フランジ部14aよりも下方まで延びていて、そこからさらに内周側に向かって、前記の丸穴を囲むように内周フランジ部14cが形成されている。
【0034】
そして、同図に示すように、前記ダイヤフラム14の内周フランジ部14cがピストン本体13の下端面13cに接着されて、その下方からワッシャ16によりピストン本体13に対して強固に圧着されている。一方、ダイヤフラム14の外周フランジ部14aは、インナケーシング11の天板11cの上面に接着されて、その上部に配設された締付けリング17が図示しないボルトにより該天板11cに締結されることにより、該締付けリング17の下面と天板11cの上面との間に強固に挟持されている。
【0035】
そうして、そのように配設されたダイヤフラム14は、環状ロール部14bがピストン本体13と締付けリング17との間で上下にうねるようにかつ全周に亘って略均等に大きく撓むことで、ピストン本体13の上下方向の変位に対して大きな可撓性を有し、また、該ダイヤフラム14がピストン本体13を挟む左右両側のロール部14bにおいて反対向きに撓むことによって、ピストン本体13が水平方向の任意の軸の周りに容易に揺動することになる(図6参照)。一方、ダイヤフラム14はピストン本体13の水平方向の変位に対しては可撓性が極めて小さく、このため、該ピストン13は水平方向には殆ど変位しない。
【0036】
前記ピストン本体13の下端面13cには、その内周側から略鉛直下方に向かって延びるように、円筒状のピストンウエル18(下方延出部)が取付けられている。このピストンウエル18は、ピストン本体13と同じく鋼製又はアルミ合金製のものであり、その上端部がやや縮径されて、ピストン本体13の中心孔13aに螺入される縮径部18aとされている。そして、この縮径部18aの外周に螺設された雄ネジが中心孔13bの内周に螺設された雌ねじと螺合することにより、ピストンウエル18の上端側がワッシャ16と共にピストン本体13に対して強固に締結されている。また、前記ピストンウエル18の中空部18bの上端はピストン本体13の中心孔13aに連通し、一方、該中空部18bの下端は円盤状の鋼製キャップ19により閉止されており、このキャップ19の上面には、後述の如くサポートロッド24の下端部を支持するために、表面硬度を高める熱処理加工が施されたウエルスラグ19aが形成されている。
【0037】
一方、前記ピストン本体13の上方には、被支持体である搭載盤3及び搭載機器の荷重を上方から受けるように、略矩形板状のトッププレート21(荷重受部材)がピストン本体13から離間して配置されている。このトッププレート21は、アイソレータ2のアウタケーシング20の天井部に相当し、その外周縁にはそれぞれ下方に垂下するように4枚のサイドプレート22,22,…が結合されている。この各サイドプレート22の下端縁はそれぞれベースプレート10の上面付近まで延びていて、アウタケーシング20全体としては、下方に開口する箱状とされている。
【0038】
また、前記トッププレート21の下面略中央部には、上下方向に延びるサポートロッド24(支持柱)の上端部が締結され、このサポートロッド24がピストン本体13の中心孔13a及びピストンウエル18の中空部18bを貫通して略鉛直下方に延びていて、その下端部に配設された鋼球25が前記ウエルスラグ19aに転動自在に当接するとともに、該サポートロッド24の下端側には、芯体26aの埋設されたゴム弾性リング26が外挿されて、サポートロッド24の下端部を常に軸線Z上に位置付けるようになっている。つまり、前記トッププレート21は、サポートロッド24を介してピストンウエル19の底部に枢支され、ピストン本体13に対し水平方向の任意の軸の周りに回動自在になっている。
【0039】
そして、前記図2に示すように空気室15に適正な空気圧が供給されている状態では、前記トッププレート21の下面がその下方の締付けリング17の上面から離間して上下方向に対向した状態になる一方、例えば空気室15の空気が抜けて、空気圧が大幅に低下したときには、トッププレート21の下面が締付けリング17の上面に当接して、該締付けリング17を介してインナケーシング11により支持される状態となる。
【0040】
尚、図示の符号Sh,Shは、空気圧の制御によってトッププレート21の水平方向の振動を抑制するために、それぞれアウタケーシング20のサイドプレート22,22とインナケーシング11の周壁部11aとの間に配設された水平方向の空気ばねであり、ここでは具体的な構成は図示しないが、上下方向の空気ばねSvと同様のジンバルピストンを備えたものとするのが好ましい。また、図示しないが、前記インナケーシング11の周壁部11aには、上下方向の空気ばねSvの空気室15と左右の空気ばねSh,Shの空気室とに個別に連通するように、空気通路が設けられている。
【0041】
上述の構成により、前記アイソレータ2は、トッププレート21やピストン本体13等からなるジンバルピストンが空気ばねSvにより支持されて、搭載盤3上の機器に対する床からの上下方向振動を略絶縁するとともに、ジンバルピストンの働きによって床からの水平方向振動も同様に略絶縁することができるようになっている。このアイソレータ2における上下方向の振動伝達率は、図4に一例を示すようになり、空気ばねの特性として固有振動数が略0.7〜1.5Hzと極めて低い周波数域に現れている。同図のグラフから、広い周波数域に亘り優れた除振性能の得られることが分かる。
【0042】
一方、水平方向の振動に対しては、図6に示すように、アウタケーシング20及びサポートロッド24が水平方向に変位すると、ピストン本体13がダイヤフラム14により保持されつつ、水平方向の任意の軸の周りに揺動し、これにより振動が吸収されることになる。そして、そのピストン本体13のダイヤフラム14による保持位置に対して、ウエルスラグ19aに枢支されるサポートロッド24の下端部の位置が所定以上、低い位置であることから、水平方向のばね特性も上下方向と同様に非常に柔らかなものとなり、このことで、アイソレータ2による水平方向の除振性能が非常に優れたものになる(図5参照)。
【0043】
尚、この実施形態のように水平方向の空気ばねSh,Shを配設する場合に、この空気ばねを例えば通常のベローズ等とすると、その軸直交方向のばね特性が硬いことの影響を受けて、アイソレータ2の上下方向のばね特性も硬くなり、除振性能が低下する虞れがある。これに対し、水平方向の空気ばねSh,Shとして、上下方向のものと同様のジンバルピストンを備えるものを用いるようにすれば、上下方向の空気ばねSvによる前記図4、図5に示すような優れた除振性能が損なわれることがない。
【0044】
(空気圧制御の概要)
この実施形態に係る精密除振台Aは、上述した4つのアイソレータ2,2,…の構成により、基本的に、床からの振動を上下及び水平方向の両方について殆ど吸収できる優れた除振性能を有するものであるが、これに加えて、それら各アイソレータ2,2,…における空気ばねSv,Sh,Shの空気圧を制御して、搭載盤3に対し上下方向及び水平方向の制御振動を積極的に付加することにより、極く僅かな床からの伝達振動をも打ち消し、かつ、搭載盤3上の機器から発生する振動も略相殺できるようにしたものである。
【0045】
以下、説明の便宜のために上下方向の振動のみについて、その振動抑制のための具体的な制御手法を図7〜10に基づいて詳細に説明する。尚、水平方向についても上下方向と同様の構成を備え、同様の制御を行うようにすればよい。
【0046】
まず、図7に模式的に示すように、前記各アイソレータ2には、トッププレート21の上下方向の加速度x″とベースプレート10に対する変位x−x0とをそれぞれ検出する加速度センサ31及び変位センサ32が設けられるとともに、ベースプレート10の上下方向の加速度x0″(基礎の振動状態の検出値X)を検出する加速度センサ33が設けられていて、該各センサ31〜33からの出力信号がそれぞれコントローラ30に入力されるようになっている。
【0047】
一方、各アイソレータ2毎に、空気ばねSvの空気室15へ連通する空気通路には、ホース等を介して個別にサーボ弁34(1つのみ図示する)が接続されており、該各サーボ弁34が前記コントローラ30からの制御信号を受けて開閉作動することにより、各アイソレータ2毎の空気ばねSvに対する空気の給排流量が調整されて、当該空気ばねSvの空気圧が速やかに変更されるようになっている。尚、前記サーボ弁34は、圧搾空気を貯留するリザーバタンク35に接続され、このリザーバタンク35には図示しない電動ポンプが接続されていて、この電動ポンプの作動によりリザーバタンク35内の空気圧が所定値に維持されるようになっている。
【0048】
前記コントローラ30によるサーボ弁34の制御の内容は、各アイソレータ2毎に概ね図8のブロック図に示すようになり、大別すると、搭載盤3やその上の機器等の被支持体に対する床からの伝達振動を打ち消すための除振制御と、該搭載機器等の発生する振動を打ち消すための制振制御とからなる。すなわち、サーボ弁34への制御入力に対して、図の右側に示すように、加速度センサ31からの信号に基づいて第1フィードバック補正部30aによりフィードバック補正が行われるとともに、加速度センサ33からの信号に基づいて第1フィードフォワード補正部30bによりフィードフォワード補正が行われる。
【0049】
また、前記のフィードバック補正及びフィードフォワード補正制御を含めたシステムP全体(図に仮想線で囲んで示す)への制御入力に対して、図の左側に示すように、変位センサ32からの出力に基づいて第2フィードバック補正部30cによりフィードバック補正が行われるとともに、図示しない搭載機器の作動信号に基づいて第2フィードフォワード補正部30dによりフィードフォワード補正が行われる。尚、この実施形態の除振台Aでは、搭載盤3は常に静止していることが理想とされるから、システムPへの制御入力の目標値は、零である。
【0050】
そして、そのような種々の補正の結果として、コントローラ30からサーボ弁34への制御出力がなされ、この出力信号を受けたサーボ弁34の作動によって空気ばねSvの空気圧が調整されることにより、該空気ばねSvがアクチュエータとして作動して、トッププレート21を介して被支持体に制御振動を付加することになる。
【0051】
以下、前記の各補正制御について詳細に説明する。
【0052】
(フィードバック除振制御)
まず、前記第1フィードバック補正部30aによる制御について説明すると、これは、加速度センサ31により検出される被支持体の振動状態、即ちトッププレート21の上下方向加速度x″に基づいて、その振動を軽減するような制御振動を空気ばねSvにより発生させるものである。すなわち、検出された加速度x″に対応するフィードバックゲインをGとし、また、速度x′に対応するフィードバックゲインをGとし、さらに、変位xに対応するフィードバックゲインをGとして、加速度の検出値x″に基づいて各フィードバック補正値Gx″,Gx′,Gxをそれぞれ演算し、これらの和として求められる第1フィードバック補正量Ufbを制御量Uから減算する。
【0053】
このようにして、制御入力に対してフィードバック補正を行うことで、被支持体の実際の振動状態に応じて、この振動を抑えるような制御振動を発生させることができる。一方、フィードバック制御を行った場合、従来から知られているように、フィードバックゲインG,G,Gの変更に伴い見かけ上、床から被支持体までの振動の実伝達関数H(s)が変化する。すなわち、ベースプレート10からトッププレート21に至る空気ばねSvの支持構造は簡単な1自由度の振動系により模擬することができ、トッププレート21に搭載盤3やその上の機器の分担荷重を含めた振動系の質量をMとし、空気ばねSvのばね定数及び減衰係数をそれぞれK、Cとすると、ラプラス演算子sを用いて、実伝達関数H(s)は、
【0054】
【数2】
Figure 0003856676
【0055】
と表される。この(式7)によれば、フィードバック制御が行われることによって見かけ上、振動系の質量、減衰係数及びばね定数が増加し、振動伝達率が低下すること、つまり、フィードバック制御によって除振性能が向上することが分かる。
【0056】
(フィードフォワード除振制御)
次に、前記第1フィードフォワード補正部30bによる制御について説明すると、これは、加速度センサ33により床の振動状態、即ちベースプレート10の上下方向加速度x0″を検出し、この振動が被支持体に伝達するのに対応して、その伝達振動を打ち消すような逆位相の制御振動を空気ばねSvにより発生させるものである。すなわち、加速度センサ33の検出値x0″に基づいて、例えばデジタルフィルタ(アナログフィルタでもよい)により第1フィードフォワード補正量Uffを演算し、この第1フィードフォワード補正量Uffを制御量Uから減算する。
【0057】
ここで、第1フィードフォワード補正量Uffは、加速度センサ33により検出されるベースプレート10の加速度x0″をデジタルフィルタに入力し、そこからの出力信号として生成されるものであるが、本願発明の特徴部分として、この実施形態では、前記第1フィードフォワード補正量Uffは、ベースプレート10の加速度x0″に対して以下の簡単な関係式を満たすものとされている。
【0058】
ff = α×{(Cs+K)/s}×x0″ ・・・(式8)
ここで、前記(式8)における定数αは、サーボ弁34の特性を反映するものであり、サーボ弁34のゲインK、時定数Tと空気ばねSvの受圧面積Aとを用いて、
α = (1+Ts)/K ・・・(式9)
と表される。
【0059】
言い換えると、第1フィードフォワード補正部30bのデジタルフィルタは、前記(式8)(式9)と等価なものとなるようにフィルタ係数が設定されており、このようなフィルタ係数は、例えば、前記(式8)に従来周知のZ変換の手法を適用することで、容易に設定することができる。尚、第1フィードフォワード補正部30bをアナログ回路にて構成する場合でも、回路を構成する素子の容量等の変更により、同様の設定を容易に行える。
【0060】
ここで、前記(式8)(式9)について説明すると、まず、各アイソレータ2において、ベースプレート10からトッププレート21までの実伝達関数H(s)は、前記(式7)の如く表されるから、ベースプレート10の加速度x0″と、ベースプレート10からトッププレート21へ伝達する振動による該トッププレート21の加速度x″との間の関係式は、以下の(式10)のように表される。
【0061】
【数3】
Figure 0003856676
【0062】
一方、空気ばねSvにより発生する力Fとこれによりトッププレート21に加えられる加速度x″との間の関係式、即ち補償系の伝達関数K(s)は、以下の(式11)のように表される。
【0063】
【数4】
Figure 0003856676
【0064】
ここで、空気ばねSvの発生する力Fは、
F = {K/(1+Ts)}×A×Uff ・・・(式12)
と表されるから、以上の(式10)〜(式12)においてx″とFとを消去して整理すると、前記(式8)(式9)が導かれるのである。
【0065】
従って、前記(式8)(式9)に従ってベースプレート10の加速度x0″に対応する第1フィードフォワード補正量Uffを演算し、これに基づいてサーボ弁34への制御出力を決定することで、アイソレータ2のトッププレート21に対してベースプレート10から伝達する振動と逆位相の制御振動を付加して、その伝達振動を打ち消すことができる。
【0066】
その際、従来までのように実伝達関数H(s)や補償系の伝達関数K(s)をそれぞれ求める必要がないので、例えば、精密除振台Aを実際に使用する場所に据え付けた上で、搭載盤3上に機器を搭載し、この状態で床に故意に振動を加えて実験的に伝達関数H(s),K(s)をそれぞれ計測するという大変に手間のかかる作業が不要になる。これにより、精密除振台Aの設置に係る作業が格段に容易なものとなり、また、伝達関数H(s),K(s)の計測に伴う誤差がなくなるから、制御精度の向上も期待できる。
【0067】
図9は、前記したようなフィードバック除振制御やフィードフォワード除振制御による除振性能の向上についての実験結果を、それらの除振制御を行わないパッシブタイプのものと対比して示すものであり、この実施形態のアクティブ除振制御によって、前記図4のグラフに示すような低い周波数域での空気ばねSvの共振を解消できることが分かる。すなわち、前記図9に一点鎖線で示すグラフ(P)は、パッシブタイプのものの振動伝達特性を対数目盛で表示したもので、低い周波数域に共振点Rが現れていて、そこでの振動伝達率が20dB以上になっている。
【0068】
一方、フィードバック除振制御を行った場合には、図に破線で示すグラフ(fb)のように低い周波数域の共振点Rがなくなって、その周波数域でも振動伝達率がマイナス10dB以下になり、さらに、フィードフォワード制御を加えると、図に実線で示すグラフ(ff)のように振動伝達率がマイナス20dB以下になり、除振性能がより一層、向上することが分かる。尚、同図によれば、1Hz以下の周波数域では元々、床の振動が極めて弱いので、十分なデータが得られていないが、振動伝達率は約0dBである。
【0069】
(制振制御)
次に、前記図8に示す第2フィードバック補正部30c及び第2フィードフォワード補正部30dによるアクティブ制振制御の概要を説明する。まず、第2フィードバック補正部30cは、変位センサ32により検出されるトッププレート21の振動状態に基づいて外乱、即ち例えば搭載機器の発生する振動を推定し、これを打ち消すような制御振動を空気ばねSvにより発生させるものである。
【0070】
すなわち、第2フィードバック補正部30cには、予め、前記第1フィードバック補正部30a及び第1フィードフォワード補正部30bを含めたシステムPに対して、このシステムPの出力に基づいて入力を推定するノミナルモデルPn−1が設定されており、このノミナルモデルPn−1に変位センサ32からの信号を入力して、該センサ32により検出された変位を生じさせるような入力値を推定する。そして、この推定入力値から元々の制御入力の分を減算して外乱のみを抽出し、さらにローパスフィルタTを通過させて観測ノイズを除去した上で、フィードバックする。
【0071】
言い換えると、前記第2フィードバック補正部30cは、システムPからの出力(変位x−x0)に基づいて当該システムPへの外乱入力を推定する外乱オブザーバとしての機能を有し、この第2フィードバック補正部30cにより演算されるフィードバック補正量は、推定外乱をちょうど打ち消すようなものとなる。従って、このようなフィードバック制御により、搭載盤3に対して搭載機器から発生する振動(外乱)を打ち消すよう適切な制御振動を付加することができる。
【0072】
ここで、前記のように推定した外乱の原因が例えば搭載盤3上の機器のステージの移動のように、同じ動作を規則的に繰り返すものであって、かつその予告信号が得られる場合には、その予告信号に基づいて制御振動を発生させるフィードフォワード制御によって、トッププレート21の振動を効果的に抑制できると考えられる。
【0073】
そこで、前記第2フィードフォワード補正部30dでは、詳しい説明は省略するが、例えば搭載機器のコントローラ(図示せず)からステージに入力される駆動信号(予告信号)と、前記第2フィードバック補正部30cによるフィードバック信号とを採取し、ステージの駆動信号に対応付けて該ステージの作動に起因する外乱の推定値を学習する。そして、この学習結果に基づいて、ステージの駆動信号の入力に対応するフィードフォワード信号を生成する。このことで、ステージの駆動によって発生する振動によりトッププレート21に変位が生じる前に、該駆動信号と同期して制御振動を付加することができ、これにより、トッププレート21の変位そのものを略解消することができる。
【0074】
図10のグラフは、前記した制振制御の効果を示す実験結果であり、同図(a)は、搭載機器のステージに発生する加速度を示すもので、また、同図(b)は、そのステージの作動に起因するトッププレート21の変位を、パッシブタイプのアイソレータを用いた場合について示すものである。
【0075】
また、同図(c)は、この実施形態のようなアクティブ除振制御を行うとともに、制振制御として変位センサ32からの信号に基づくPID制御を行うようにした場合について(図11参照)、同様にトッププレート21の変位を示すものである。さらに、同図(d)は、前記のフィードバック制振制御を行うようにした場合について、また、同図(e)はさらにフィードフォワード制振制御を行うようにした場合について、それぞれ、トッププレート21の変位を示すものである。
【0076】
同図(b)に示すように、パッシブタイプのものでは最大変位が大きく、振動の収束にもやや時間がかかるが、制振制御を行うようにすれば、図(c)のPID制御のものでも最大変位がかなり減少し、かつ収束性も向上することが分かる。さらに、この実施形態のような制振制御を行えば、フィードバック制振制御だけでも、図(d)に示すように最大変位が非常に小さくなり、フィードフォワード制振制御も加えれば、図(e)の如くトッププレートの振動が略解消されることが分かる。
【0077】
したがって、この実施形態1に係る精密除振台Aによれば、まず、各アイソレータ2の上下方向空気ばねSvのピストンにジンバル機構を組み込んで、上下及び水平の両方向について非常に柔らかなばね特性を得られるようにしたことで、この各アイソレータ2において除振制御を付加しない状態でも広い周波数域に亘って基本的に優れた除振性能が得られる。そして、そのようなアイソレータ2,2,…を4つ用いて搭載盤3の4隅を支持することで、該搭載盤3及びその上の搭載機器を安定的に支持しながら、床から搭載機器への伝達振動を上下及び水平の両方向について大幅に低減できる。
【0078】
その上で、前記各アイソレータ2の空気ばねSvの空気圧をコントローラ30により制御して、トッププレート21の振動を打ち消すような制御振動を発生させることにより、極低周波域での共振現象をも解消して除振性能をさらに向上できるとともに、搭載盤3上に搭載した機器自体から発生する振動をも略解消することができる。
【0079】
その際、前記の如く、各アイソレータ2がそれぞれ制御を付加しない状態でも上下及び水平の両方向について基本的に優れた除振性能を有するものであるから、各アイソレータ2毎の空気ばねSvの圧力制御は、他の3つのアイソレータ2,2,…による搭載盤3への振動伝達の影響を考慮することなく、独立に行うことができ、この独立の制御によって個々のアイソレータ2による振動伝達を打ち消すことによって、精密除振台Aの全体として極めて優れた除振性能を得ることができる。
【0080】
そして、そのように、各アイソレータ2毎の空気ばねSvの圧力制御をそれぞれ独立に行うことで、この制御を比較的、容易なものとすることができる。特に第1フィードフォワード補正部30bによるフィードフォワード除振制御ついては、(式8)等に示す簡単な関係式に基づいて補正量Uffを演算することができるので、従来までのように実伝達関数H(s)を計測するようにしたものと比べて、除振台Aの設置に要する手間が大幅に少なくなり、作業が格段に容易なものとなる。
【0081】
加えて、この実施形態のアイソレータ2,2,…では、空気ばねSvをアクチュエータとして利用するようにしているので、別途、アクチュエータを設ける必要がなく、コストの低減が図られるとともに、空気ばねの特性として比較的大きな力が容易に得られるものである。
【0082】
また、被支持体の水平方向の振動を抑えるアクチュエータとして前記上下方向の空気ばねSvと同様のジンバルピストンを備えた空気ばねSh,Shを設けるようにすれば、この水平方向の空気ばねSh,Shが上下方向の空気ばねSvの制御性を損なうことがなく、かつ、該上下方向の空気ばねSvが水平方向の空気ばねSh,Shの制御性を損なうこともない。
【0083】
(他の実施形態)
尚、本願発明の構成は、前記実施形態のものに限定されず、その他の種々の構成を包含するものである。すなわち、前記実施形態では、各アイソレータ2毎にアクティブな除振及び制振制御を行うようにしているが、これに限らず、例えば制振制御は行わないようにしてもよいし、さらに、除振制御のうちのフィードバック制御を行わないようにしてもよい。
【0084】
また、第1フィードフォワード補正部30bによるフィードフォワード補正量Uffの演算の際に、床の振動状態の検出値Xとして加速度の検出値x0″を用いるのではなく、速度の検出値x0′や変位の検出値x0を用いるようにしてもよい。さらに、フィードバック制振制御として、前記実施形態のような推定外乱に基づく状態フィードバック制御の代わりに、例えば図11に示すように、変位センサ32からの信号に基づくPID制御を行うようにしてもよい。
【0085】
また、前記実施形態に係るアイソレータ2,2,…では、被支持体である機器や搭載盤3を基礎であるベースプレート10に対して弾性的に支持するために、ダイヤフラム形空気ばねSvを用いているが、これに代えて、例えばベローズ形空気ばねを用いることもできるし、或いは、空気ばねではなく、例えば窒素ガス等を充填した気体ばねを用いてもよい。
【0086】
また、前記実施形態に係るアイソレータ2,2,…では、空気ばねSv自体を上下方向のアクチュエータとして利用するようにしているが、これに限らず、アクチュエータとしては別途、リニアモータや圧電素子、或いは磁歪素子等を用いるようにしてもよい。すなわち、一般的に空気ばねの場合はその応答性が限界となって、あまり高い周波数の振動には追従できないので、前記実施形態のアクティブ除振及び制振制御は約数十Hz以下の周波数の振動に対応して行われることになるが、応答性に優れるリニアモータ等を用いれば、より広い周波数域の振動に対して制御を適用することができる
【0087】
図12は、前記実施形態と同様に、上下方向にジンバルピストンを有する空気ばねSvを備えたアイソレータ40の概略構成を示し、同図において符号41は、アイソレータ40のトッププレート42に上下方向の制御振動を付加するためのリニアモータである。このアイソレータ40には、空気ばねSvの空気圧を制御するためのサーボ弁は備えられておらず、その代わりに、トッププレート42の高さを維持するための機械式空気弁43が配設されている。この機械式空気弁43は、接続部43aに接続されるホースを介して図外のリザーバタンクに接続される一方、U字状に湾曲するチューブ44を介して空気ばねSvの空気室に接続されていて、トッププレート42の高さが基準位置よりも高くなってセンサアーム43bが上方に回動すると、前記リザーバタンクから空気ばねSvの空気室に圧搾空気を供給し、一方、トッププレート42の高さが基準位置よりも低くなってセンサアーム43bが下方に回動すると、前記空気室の空気を大気中に漏出させるようになっている。尚、アイソレータ40には、水平方向のアクチュエータは備えられていないが、リニアモータを水平方向のアクチュエータとして設けることも可能である。
【0088】
前記のようなリニアモータを備えたアイソレータ40を用いる場合でも、前記実施形態の中で説明したのと同様のアクティブ除振制御を行うことができ、この場合、第1フィードフォワード補正量Uffを求めるための関係式(式8)において、比例定数αは、リニアモータのゲインと略反比例する値となる
【0089】
また、前記実施形態では、水平方向のアクチュエータとしてもジンバルピストンを備えた空気ばねSh,Shを用いることが望ましいが、通常のダイヤフラム形空気ばね、ベローズ形空気ばね、リニアモータ、圧電素子、磁歪素子等を用いることもでき、或いは水平方向のアクチュエータは設けないことも可能である。
【0090】
さらに、前記実施形態においては、本願発明のアクティブ除振方法を精密除振台Aのアイソレータ2,2,…に適用しているが、これに限らず、例えば、半導体製造装置等の防振支持のために、それらの装置に合わせて専用に設計した搭載盤を3〜4本のアイソレータにより支持する構成としたり、或いは、クリーンルームのグレーチング床へ埋め込む可動床を同様にアイソレータにより支持する構成として、このアイソレータに本願発明のアクティブ除振方法を適用することも可能である。
【0091】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1の発明に係るアクティブ除振方法によると、被支持体を基礎に対して弾性的に支持するとともに、該基礎の振動状態の検出値に基づいて、アクチュエータにより前記被支持体に対し基礎から伝達する振動と逆位相の制御振動を付加して、該被支持体への伝達振動を打ち消すようにする場合に、前記基礎から被支持体までの振動伝達系路のばね定数と減衰係数とをそれぞれ求め、基礎の振動状態の検出値とアクチュエータの制御量との間の簡単な関係式を導いて、この関係式に基づいてアクチュエータへの制御出力を求めるようにしたので、従来までのように伝達関数を実測する必要がなくなって、アクティブ除振の実行に係る作業を格段に容易なものとすることができる。
【0092】
さらに、被支持体を気体ばねにより支持したことで、上下方向のばね特性を非常に柔らかなものとして、制御振動を付加しない状態での基本的な除振性能を向上できる。また、その気体ばねをアクチュエータとして利用することで、別にアクチュエータを設ける必要がなくなり、しかも、気体ばねの特性として比較的大きな力が容易に得られる。
【0093】
請求項2の発明によると、請求項1のアクティブ除振方法において、さらに、被支持体の振動状態に基づくフィードバック制御を行うことで、該被支持体の振動をさらに軽減することができる。また、この場合において伝達関数の見かけ上の変化に影響を受けずに制御出力を求めることができるという請求項1の発明の効果が一層、有効なものとなる。
【0094】
請求項3の発明によると、気体ばねをアクチュエータとして利用する点を除いて、前記請求項1の発明と同様の構成により、同様の効果が得られるとともに、被支持体の荷重を少なくとも3つの気体ばねにより確実に支持することができ、それらの気体ばねの圧力状態の制御を比較的、容易に行える。
【0095】
また、被支持体の荷重を支持する複数の気体ばねのピストンにそれぞれジンバル機構を組み込むことで、上下方向だけでなく水平方向についても基本的に優れた除振性能を得ることができ、このことで、個々の気体ばねについて独立に制御を行いながら、除振性能を十分に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る精密除振台Aの全体構成を示す斜視図である。
【図2】 アイソレータの縦断面図である。
【図3】 ピストン本体及びダイヤフラムのケーシングに対する取付け構造を示す分解斜視図である。
【図4】 アイソレータによる上下方向の除振性能の一例を示すグラフ図である。
【図5】 アイソレータによる水平方向の除振性能の一例を示すグラフ図である。
【図6】 アウタケーシングが水平方向に変位した状態の図2相当である。
【図7】 アイソレータにおける上下方向のアクティブ除振及び制振制御システムの概略構成図である。
【図8】 アクティブ除振及び制振制御の基本構成を示すブロック図である。
【図9】 アクティブ除振制御を付加することによる除振性能の向上を示すグラフ図である。
【図10】 アクティブ制振制御を付加することによる制振性能の向上を示すグラフ図である。
【図11】 アクティブ制振制御にPID制御則を適用した他の実施例に係る図8相当図である。
【図12】 アクチュエータとしてリニアモータを用いたアイソレータの概略構成を示す説明図である。
【図13】 従来例のアクティブ除振方法を適用する振動制御装置の概略構成図である。
【図14】 従来例のアクティブ除振制御のブロック図である。
【符号の説明】
A 精密除振台
Sv 空気ばね(気体ばね)
2、40 アイソレータ
3 搭載盤(被支持体)
10 ベースプレート(ケース部材)
11 インナケーシング(ケース部材)
12 開口部
13 ピストン本体(ピストン部材)
14 ダイヤフラム(可撓性部材)
15 空気室
18 ピストンウエル(下方延出部)
18b 中空部
21、42 トッププレート(荷重受部材)
24 サポートロッド(支持柱)
30 コントローラ
31,33 加速度センサ
32 変位センサ
34 サーボ弁
41 リニアモータ

Claims (3)

  1. 被支持体を基礎に対して気体ばねにより弾性的に支持するとともに、該気体ばねの圧力状態を調整するサーボ弁を備えており、前記基礎の振動状態を検出し、この検出値に基づき前記サーボ弁を制御して前記気体ばねの圧力状態を変更することにより、前記被支持体に対し基礎から伝達する振動と逆位相の制御振動を付加するアクティブ除振方法において、
    前記基礎から被支持体までの振動伝達系路のばね定数Kと減衰係数Cとをそれぞれ求めるとともに
    前記サーボ弁のゲインK 及び時定数T と、気体ばねの受圧面積A とによって、比例定数α = (1+T s)/K を設定し、
    前記ばね定数K及び減衰係数Cと、前記比例定数αと、ラプラス演算子sとを用いて、前記基礎の振動状態の検出値Xに対応するサーボ弁への制御量Uffを表す関係式:
    ff = α×{(Cs+K)/s}×X
    を求め、
    前記関係式に基づいて前記サーボ弁への制御出力を演算することを特徴とするアクティブ除振方法。
  2. 請求項1のアクティブ除振方法において、
    被支持体の振動状態を検出して、この振動が小さくなるようにサーボ弁をフィードバック制御することを特徴とするアクティブ除振方法。
  3. 被支持体を基礎に対して少なくとも3つの気体ばねにより弾性的に支持するとともに、該各気体ばね毎にアクチュエータを配設し、前記基礎の振動状態を検出して、この検出値に基づき前記各アクチュエータをそれぞれ独立に制御することにより、前記被支持体に対し基礎から伝達する振動と逆位相の制御振動を付加するアクティブ除振方法において、
    前記各気体ばねが、それぞれ、
    被支持体の荷重を支持するためのピストン部材をケース部材上面の開口部に内挿して、該ピストン部材の下端面をケース部材の内部の気体室に臨ませるとともに、該ピストン部材の外周から前記開口部の周縁まで環状の可撓性部材により閉塞したダイヤフラム形のものであり、
    且つ、前記ピストン部材は筒状に形成され、その上端部から上方に離間して被支持体の荷重を受ける荷重受部材が配設されるとともに、該荷重受部材の下部から前記ピストン部材の中心孔を貫通するように略鉛直下方に向かって延びる支持柱が設けられている一方、
    前記ピストン部材には、その下端部における内周側から前記支持柱を囲むように略鉛直下方に向かって延びる有底筒状の下方延出部が設けられていて、この下方延出部の底部において前記支持柱の下端部が枢支されており、そして、
    前記可撓性部材が、前記ピストン部材をケース部材に対して揺動可能に弾性的に保持してなるものである場合に、
    前記基礎から被支持体までの振動伝達系路のばね定数Kと減衰係数Cとをそれぞれ求め、
    前記ばね定数K及び減衰係数Cと、予め設定した比例定数αと、ラプラス演算子sとを用いて、前記基礎の振動状態の検出値Xに対応するアクチュエータへの制御量U ff を表す関係式:
    ff = α×{(Cs+K)/s }×X
    を求め、
    前記関係式に基づいてアクチュエータへの制御出力を演算することを特徴とするアクティブ除振方法
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