JP5332241B2 - 回転機械支持装置 - Google Patents
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Description
回転バランス検査は、例えば図9に示す装置により行われる。図9に示すように、全構成部品の組み立てが完成した過給機21からコンプレッサハウジング(図示せず)を取り外す。次いで、この過給機21のタービンハウジング23をボルト25などで支持体27に取り付ける。その後、エンジンの排ガスと同じ程度の圧力を有する圧縮ガスをタービン翼29に供給することで、タービン翼29、コンプレッサ翼31および回転軸33からなる回転体を回転駆動する。回転体が所定の回転速度に達したら、加速度ピックアップ35で回転体の加速度(即ち、振動)を検出しつつ、回転角検出器37により回転体の回転角を検出する。これにより、例えば、演算器38が、所定の回転速度において、どの回転角でどの程度の加速度(振動)が生じているかを検出する。この検出データに基づいてアンバランス量を求める。このアンバランス量を無くすように回転体の一部(例えば、ナット39の一部)を除去加工することでバランス修正を行う。このような過給機21の回転バランス検査および回転バランス修正は、例えば下記の特許文献1に記載されている。
前記回転機械は、タービン翼と、前記タービン翼が固定される回転軸と、を有するものであり、
前記回転機械支持装置は、前記タービン翼を内部に収容するタービンハウジングを備え、該タービンハウジングは、流路部分と支持部分とからなっており、前記流路部分には、前記タービン翼を回転駆動する流体を流す流路が形成され、
前記回転機械支持装置は、さらに押付部材と支持体を備え、
前記押付部材は、前記回転機械の被押付部に押付力を作用させ、
前記支持部分と前記押付部材との間に前記被押付部を挟むとともに、前記支持部分には前記押付力により前記被支持部が押し付けられ、
前記支持体に前記支持部分が固定されることで、前記支持体が前記支持部分を介して前記回転機械を支持する、ことを特徴とする回転機械支持装が提供される。
即ち、タービンハウジングをタービン翼を駆動させる流体を流す流路を形成する部分(タービン翼を駆動させる機能を持つ部分)である流路部分と、前記流路が形成されず回転機械を支持する機能を持つ部分である支持部分とに分けた(例えば、分割した)ので、剛性・固有振動数が低い流路部分を介さずに回転機械を支持することが可能になる。
よって、回転機械の回転バランス検査において、タービンハウジングの流路が回転機械の回転系の振動特性に与える影響を低減できる。
前記回転機械支持装置の前記タービンハウジングは、前記完成品用タービンハウジングの代わりに設けられ、
前記タービンハウジングと前記完成品用タービンハウジングとは、形状および寸法の少なくともいずれかが異なる。
前記支持部分は、
前記回転軸の半径方向の位置が前記被押付部と同じとなり前記押付力を受ける内側部と、
該内側部から前記半径方向の外方に、前記半径方向に関して前記流路部分の外側まで延び、該外側にて前記支持体に結合される延長部と、を有する。
過給機1は、図1(A)に示すように、エンジンの排ガスにより回転駆動されるタービン翼3と、タービン翼3と一体的に回転することで圧縮空気をエンジンに供給するコンプレッサ翼5と、一端部にタービン翼3が結合され他端部にコンプレッサ翼5が結合される回転軸7とを有する。また、過給機1は、タービン翼3を内部に収容するタービンハウジング9と、コンプレッサ翼5を内部に収容するコンプレッサハウジング(本願の図面では取り外されている)と、回転軸7を支持する軸受け8a,8bが内部に組み込まれる軸受けハウジング8と、を備える。タービンハウジング9には、タービン翼3を回転駆動する流体(エンジンからの排ガス)を流す流路(スクロール)9aが形成されている。
符号2は、軸受けハウジング8とタービンハウジング9とを結合するカップリング部材を示す。図1(B)は、回転軸7の軸方向から見たカップリング部材2を示す。図1(B)において、カップリング部材2は、互いに分割されている1対の半円弧状部材2aと、1対の半円弧状部材2aを結合するボルト2bおよびナット2cとからなる。なお、カップリング部材2を用いずに、軸受けハウジング8とタービンハウジング9とをボルトなどにより結合してもよい。
回転機械支持装置10は、タービンハウジング9の代わりに設けられるバランス検査用のタービンハウジング6を備える。即ち、完成品の過給機1からタービンハウジング9(と図示しない前記コンプレッサハウジング)を取り外し、このタービンハウジング9の代わりとなるタービンハウジング6を設ける。タービンハウジング6と完成品用タービンハウジング9とは、形状および寸法の少なくともいずれかが異なる。タービンハウジング6は、流路部分14と支持部分13とからなっている。流路部分14には、回転バランス検査のためにタービン翼を回転駆動する流体を流す流路14aが形成されている。支持部分13には、流路14aは形成されていない。本実施形態では、流路部分14と支持部分13とは、互いに分割されている別個の部材同士である。
また、押付部材11を被押付部1aに押し付ける押圧力発生装置を設ける。図2〜図4の例では、油圧を用いた押圧力発生装置12を設けている。即ち、図2〜図4の例では、押付部材11は、油圧クランプのクランプロッドである。この場合、押付部材11は、油圧により旋回しながら回転軸7の軸方向に移動させられる公知のスイング式クランプロッドであってもよい。この油圧が供給される油圧室は油圧クランプ本体(押圧力発生装置)12の内部に形成され、油圧クランプ本体12は支持体15に固定される。図2の例では、このようなクランプロッド11と油圧クランプ本体12からなる油圧クランプを、回転軸7の周方向に間隔をおいて4つ設けている。
支持部分13は、図2に示すように、内側部13aと延長部13bを有する。内側部13aは、回転軸7の半径方向の位置が被押付部1aと同じとなり前記押付力を受ける。延長部13bは、該内側部13aから前記半径方向の外方に、前記半径方向に関して流路部分14の外側まで延び、該外側にて支持体15に前記ボルトにより結合され支持体15に前記押付力を作用させる。これにより、前記押圧力をタービンハウジングに9に作用させずに、または、ほとんど作用させずに、前記押圧力を支持体15に作用させることができる。なお、支持部分13は、図3の破線で囲まれた範囲Rにおいて、前記押付力を支持体15に伝達、作用させている。
図2〜図4に示す例では、支持部分13は、回転機械支持装置10の他の構成部材から独立した部材である。また、支持部分13は、剛性の高い材料(例えば、鉄)で形成される。
図5は、図3において支持部分13以外の部材を省略した図であり、支持部分13を示している。図5に示すように、支持部分13には、軸受けハウジング8が挿入される開口13c(図5を参照)が形成されている。即ち、支持部分13は、その開口13cに軸受けハウジング8を挿入することで、軸受けハウジング8に取り付けられる。なお、開口13cは、回転軸7の軸方向から見て円形となっている。一方、軸受けハウジング8の外周面も、開口13cの形状と整合するように前記軸方向から見て円形になっている。この構成で、軸受けハウジング8の外周面を支持部分13の開口13cに挿入かつ嵌合させる。
即ち、タービンハウジング6を、流路を形成する部分(タービン翼を駆動させる機能を持つ部分)である流路部分14と、回転機械を支持する機能を持つ部分である支持部分13とに分けた(例えば、分割した)ので、剛性・固有振動数が低い流路部分14を介さずに過給機1を支持することが可能になる。
よって、過給機1の回転バランス検査において、タービンハウジング9の流路9a(流路部分14の流路14a)が回転機械の回転系の振動特性に与える影響を低減できる。
図6は、図2〜図5の構成による回転機械支持装置10に各機種の過給機1を支持させて得られた過給機1の振動特性を示す。図7は、従来において、生じていた振動特性を示す比較図であり、図7(A)は図6(A)に対応し、図7(B)は図6(B)に対応する。図6、図7において、過給機1の機種毎に折れ線グラフが描かれている。即ち、図6、図7において、複数の折れ線グラフは、それぞれ過給機1の互いに異なる機種の場合を示している。
図6(A)、図7(A)において、横軸はタービンの回転数[Krpm]を示し、縦軸は影響係数α[m/s2・g]を示す。影響係数αは、α=G/Uで求められる値である。ここで、Gはタービンが回転駆動されている時に、過給機1の軸受け8bが回転軸7から受ける加速度振幅[m/s2]であり、Uはタービン翼3、回転軸7およびコンプレッサ翼5からなる回転体のアンバランス量[g]である。このような影響係数αは、回転時の回転体にける振動に影響を及ぼす度合いを示す。
図6(B)、図7(B)において、横軸はタービンの回転数[Krpm]を示し、縦軸は影響係数αの位相(即ち、回転体の回転角)[deg]を示す。
図6と図7に基づいて本実施形態と従来の場合を対比する。従来のように剛性・固有振動数が低いタービンハウジング9を介して過給機1を支持した状態で回転体を回転駆動させた場合には、タービンハウジング9の流路9aが回転体の振動に影響を及ぼす。しかも、タービンハウジング9の流路9aは,過給機1の機種毎に形状が異なるので、タービンハウジング9の振動特性は、過給機1の機種毎に異なる。従って、このような場合には、図7のように、過給機の各機種の振動特性をそれぞれ示す複数の折れ線グラフが重ならない。言い換えると、従来では、図7の複数の折れ線グラフが示すように、影響係数αが過給機1の機種間で大きくばらついている。これに対し、本実施形態では、図6(A)、図6(B)のように、複数の折れ線グラフが重なる。言い換えると、本実施形態では、過給機1の各機種の影響係数がほとんど一致している。このことは、本実施形態の場合には、流路部分14の流路14aが過給機1の回転系の振動特性に与える影響を無くしていることを示している。
なお、本発明では、押付部材11として、被押付部1aに押付力を作用させるが、この押付力を支持部分13を介して支持体15に作用させないものであってもよい。例えば、押付部材11は、図8のように被押付部1aを支持部分13に押圧して結合させるボルトであってもよい。図8において、ボルト11の頭11aが被押付部1aを支持部分13に押圧して結合させている。ボルト11の先端部(ネジ部)は、支持部分13に設けられているネジ孔に螺合されている。また、ボルト11を回転軸の周方向に複数設けてよい。図8において、ボルト11以外の構成は、図2〜図5の構成と同様であってよい。図8の場合でも、上述のようにタービンハウジング9(流路部分14)の振動特性が過給機1の回転系の振動特性に与える影響を低減できる。
Claims (5)
- 流体により回転駆動される回転機械の回転バランス検査を行うために該回転機械を支持する回転機械支持装置であって、
前記回転機械は、タービン翼と、前記タービン翼が固定される回転軸と、を有するものであり、
前記回転機械支持装置は、前記タービン翼を内部に収容するタービンハウジングを備え、該タービンハウジングは、流路部分と支持部分とからなっており、前記流路部分には、前記タービン翼を回転駆動する流体を流す流路が形成され、前記支持部分には、前記流路が形成されておらず、
前記回転機械支持装置は、さらに押付部材と支持体を備え、
前記押付部材は、前記流路部分とは異なる、前記回転機械の被押付部に押付力を作用させ、
前記支持部分と前記押付部材との間に前記被押付部を挟むとともに、前記支持部分には前記押付力により前記被支持部が押し付けられ、
前記支持体には、前記支持部分が前記流路部分を介さずに固定されることで、前記支持体が前記支持部分を介して前記回転機械を支持する、ことを特徴とする回転機械支持装置。 - 完成品の前記回転機械には、完成品用タービンハウジングが設けられ、該完成品用タービンハウジングには、前記タービン翼を回転駆動する流体を流す流路が形成され、
前記回転機械支持装置の前記タービンハウジングは、前記完成品用タービンハウジングの代わりに設けられ、
前記タービンハウジングと前記完成品用タービンハウジングとは、形状および寸法の少なくともいずれかが異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の回転機械支持装置。 - 前記押付部材は、前記押付力を前記支持部分を介して前記支持体に作用させる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の回転機械支持装置。
- 前記支持体には前記流路部分が取り付けられ、
前記支持部分は、
前記回転軸の半径方向の位置が前記被押付部と同じとなり前記押付力を受ける内側部と、
該内側部から前記半径方向の外方に、前記半径方向に関して前記流路部分の外側まで延び、該外側にて前記支持体に結合される延長部と、を有する、ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の回転機械支持装置。 - 前記延長部は、前記半径方向に関して前記流路部分の前記外側にて前記支持体に前記押付力を作用させる、ことを特徴とする請求項4に記載の回転機械支持装置。
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