JP4192621B2 - 軸流ファンの駆動装置および軸流ファン - Google Patents

軸流ファンの駆動装置および軸流ファン Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸流ファンの駆動装置および軸流ファンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特許文献1には、軸流ファンにおける羽根車が開示されている。この特許文献1に記載の羽根車は、電動モータにて回転駆動する回転部(ハブ)と、この回転部の軸回りに取り付けられる複数枚の羽根体(翼)との基本的な構成を有する。そして、これらの羽根体の基端部は、流体入口側と流体出口側とを結ぶ基準線を回転部の軸線に対して角度(以下、これを取付角度という)を持たせて取り付けている。
【0003】
しかしながら、前記特許文献1の羽根車では、各羽根体の基端部における取付角度が20〜30°の範囲で回転部に固定されて取り付けられている。その結果、羽根車の回転速度(回転数)が一定の下においては、流体の送出速度(流体送出量)を調整することはできない。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−89289号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡単な構造で、小型化に有利であり、大きな駆動トルクを得ることができるとともに、例えば駆動中においても羽根体の姿勢や位置の調整(変更)を容易かつ確実に行うことができる軸流ファンの駆動装置および軸流ファンを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の軸流ファンの駆動装置は、軸流ファンの羽根体に連結される複数の被駆動体と、前記複数の被駆動体をそれぞれ駆動する複数のアクチュエータとを備え、
前記各アクチュエータは、電気/機械変換素子を備え、前記電気/機械変換素子に交流電圧を印加することにより振動して、対応する前記被駆動体に駆動力を付与する振動体で構成されており、
前記各アクチュエータを互いに協調させて対応する前記被駆動体を駆動するよう構成され、
前記協調には、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つを同期させて前記被駆動体を駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つに位相差を持たせて前記被駆動体を駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つを差動させて前記被駆動体を駆動する場合とのうちの少なくとも1つが含まれることを特徴とする。
【0007】
これにより、装置全体の小型化および軽量化を図ることができ、また、大きな駆動トルクが得られ、負荷(必要とされる駆動力)の増大に応じて駆動トルクの選択、調整を容易かつ確実に行うことができ、特に、例えば駆動中(回転中)においても羽根体の姿勢や位置の調整(変更)を容易かつ確実に行うことができる。
すなわち、羽根体の角度の調整が容易に行え、駆動中(回転中)において流体送出量の調整が行えるとともに、流体流出入の切換が可能になる。さらに、弁として流路における流体の閉止や開放も可能になる。
前記同期させて前記被駆動体を駆動する場合は、駆動トルクをアクチュエータの個数に応じて増大(倍増)させることができる。
また、前記位相差を持たせて前記被駆動体を駆動する場合は、羽根体の姿勢や位置の調整を容易かつ確実に行うことができる。
また、前記差動させて前記被駆動体を駆動する場合は、駆動中(回転中)においても羽根体の姿勢や位置の調整を容易かつ確実に行うことができる。
【0008】
本発明の軸流ファンの駆動装置は、軸流ファンの羽根体に連結される複数の被駆動体と、前記複数の被駆動体とそれぞれ連動する複数の移動体と、前記複数の移動体をそれぞれ駆動する複数のアクチュエータとを備え、
前記各アクチュエータは、電気/機械変換素子を備え、前記電気/機械変換素子に交流電圧を印加することにより振動して、対応する前記移動体に駆動力を付与する振動体で構成されており、
前記各アクチュエータを互いに協調させて、対応する前記移動体を介して対応する前記被駆動体を駆動することを特徴とする。
【0009】
これにより、装置全体の小型化および軽量化を図ることができ、また、大きな駆動トルクが得られ、負荷(必要とされる駆動力)の増大に応じて駆動トルクの選択、調整を容易かつ確実に行うことができ、特に、例えば駆動中(回転中)においても羽根体の姿勢や位置の調整(変更)を容易かつ確実に行うことができる。
すなわち、羽根体の角度の調整が容易に行え、駆動中(回転中)において流体送出量の調整が行えるとともに、流体流出入の切換が可能になる。さらに、弁として流路における流体の閉止や開放も可能になる。
【0010】
本発明の軸流ファンの駆動装置では、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つについては、前記振動体は、前記移動体に当接して設けられ、前記振動により、前記移動体に力を繰り返し加えて前記移動体を駆動するのが好ましい。
これにより、部品点数を削減することができ、構造を簡素化することができる。
【0011】
本発明の軸流ファンの駆動装置では、前記移動体は、回転自在に設けられロータであるのが好ましい。
これにより、軸流ファンをより円滑に作動させることができる。
本発明の軸流ファンの駆動装置では、前記協調には、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つを同期させて前記被駆動体を駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つに位相差を持たせて前記被駆動体を駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つを差動させて前記被駆動体を駆動する場合とのうちの少なくとも1つが含まれるのが好ましい。
前記同期させて前記被駆動体を駆動する場合は、駆動トルクをアクチュエータの個数に応じて増大(倍増)させることができる。
また、前記位相差を持たせて前記被駆動体を駆動する場合は、羽根体の姿勢や位置の調整を容易かつ確実に行うことができる。
また、前記差動させて前記被駆動体を駆動する場合は、駆動中(回転中)においても羽根体の姿勢や位置の調整を容易かつ確実に行うことができる。
【0012】
本発明の軸流ファンの駆動装置では、前記差動には、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つをそれらの駆動速度に差を持たせて同一方向に駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つを逆方向に駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つを停止状態とする場合とのうちの少なくとも1つが含まれるのが好ましい。
これにより、駆動中(回転中)においても羽根体の姿勢や位置の調整を容易かつ確実に行うことができる。
【0013】
本発明の軸流ファンの駆動装置では、前記電気/機械変換素子は、圧電素子であるのが好ましい。
本発明の軸流ファンは、本発明の軸流ファンの駆動装置と、
前記駆動装置により駆動制御される少なくとも1枚の羽根体とを有することを特徴とする。
これにより、装置全体の小型化および軽量化を図ることができ、また、大きな駆動トルクが得られ、負荷(必要とされる駆動力)の増大に応じて駆動トルクの選択、調整を容易かつ確実に行うことができ、特に、例えば駆動中(回転中)においても羽根体の姿勢や位置の調整(変更)を容易かつ確実に行うことができる。
すなわち、羽根体の角度の調整が容易に行え、駆動中(回転中)において流体送出量の調整が行えるとともに、流体流出入の切換が可能になる。さらに、弁として流路における流体の閉止や開放も可能になる。
【0014】
本発明の軸流ファンは、回転自在に設けられた羽根車を有し、
前記羽根車は、少なくとも1枚の羽根体と、
前記羽根体の基端部を支持する第1のステーおよび第2のステーと、
同軸上に回転自在に設けられた第1のロータおよび第2のロータとを有し、
前記第1のロータには、前記第1のステーが設けられ、前記第2のロータには、前記第2のステーが前記第2のロータの軸方向に沿って移動可能に設けられており、
電気/機械変換素子を備え、前記電気/機械変換素子に交流電圧を印加することにより振動して、前記第1のロータに駆動力を付与する振動体を有する第1のアクチュエータと、
電気/機械変換素子を備え、前記電気/機械変換素子に交流電圧を印加することにより振動して、前記第2のロータに駆動力を付与する振動体を有する第2のアクチュエータとを有し、
前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとを互いに協調させて、前記第1のロータと前記第2のロータとを介して前記第1のステーと前記第2のステーとを駆動することを特徴とする。
【0015】
これにより、装置全体の小型化および軽量化を図ることができ、また、大きな駆動トルクが得られ、負荷(必要とされる駆動力)の増大に応じて駆動トルクの選択、調整を容易かつ確実に行うことができ、特に、例えば駆動中(回転中)においても羽根体の姿勢や位置の調整(変更)を容易かつ確実に行うことができる。
すなわち、羽根体の角度の調整が容易に行え、駆動中(回転中)において流体送出量の調整が行えるとともに、流体流出入の切換が可能になる。さらに、弁として流路における流体の閉止や開放も可能になる。
【0016】
本発明の軸流ファンでは、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとの少なくとも一方については、前記振動体は、対応する前記ロータに当接して設けられ、前記振動により、対応する前記ロータに力を繰り返し加えてそのロータを駆動するのが好ましい。
これにより、部品点数を削減することができ、構造を簡素化することができる。
【0017】
本発明の軸流ファンでは、前記協調には、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとを同期させて前記第1のステーと前記第2のステーとを駆動する場合と、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとに位相差を持たせて前記第1のステーと前記第2のステーとを駆動する場合と、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとを差動させて前記第1のステーと前記第2のステーとを駆動する場合とのうちの少なくとも1つが含まれるのが好ましい。
【0018】
前記同期させて前記第1のステーと前記第2のステーとを駆動する場合は、駆動トルクを増大(倍増)させることができる。
また、前記位相差を持たせて前記第1のステーと前記第2のステーとを駆動する場合は、羽根体の姿勢や位置の調整を容易かつ確実に行うことができる。
また、前記差動させて前記第1のステーと前記第2のステーとを駆動する場合は、駆動中(回転中)においても羽根体の姿勢や位置の調整を容易かつ確実に行うことができる。
【0019】
本発明の軸流ファンでは、前記差動には、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとをそれらの駆動速度に差を持たせて同一方向に駆動する場合と、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとの一方を逆方向に駆動する場合と、前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとの一方を停止状態とする場合とのうちの少なくとも1つが含まれるのが好ましい。これにより、駆動中(回転中)においても羽根体の姿勢や位置の調整を容易かつ確実に行うことができる。
本発明の軸流ファンでは、前記電気/機械変換素子は、圧電素子であるのが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の軸流ファンの駆動装置および軸流ファンを添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の軸流ファン(軸流ファンの駆動装置)の実施形態を示す正面図、図2は、図1に示す軸流ファンの断面図(側面図)、図3は、図1に示す軸流ファンの羽根車の斜視図である。
【0021】
図1および図2に示すように、軸流ファン(送風機)1は、矩形の枠体2と、この枠体2の両側面に取り付けたカバー3、3と、これらカバー3、3間の中心軸O−O上に回転自在に軸支された羽根車4と、この羽根車4を回転駆動(駆動制御)する駆動装置5とを有している。この駆動装置5は、第1のアクチュエータ5Aと第2のアクチュエータ5Bとを有する。
【0022】
第1および第2のアクチュエータ5A、5Bは、カバー3、3の裏面側にネジおよびブラケット等の取付部材6を介してそれぞれ組み付けられている。これら第1および第2のアクチュエータ5A、5Bは、互いに協調して、羽根車4を所定の回転方向(例えば時計回り方向)Aに回転駆動(回転制御)する。すなわち、第1および第2のアクチュエータ5A、5Bは、互いに協調して、後述する移動体としての第1および第2のロータ42、43を介して後述する被駆動体としての第1および第2のステー46、47を駆動する。
【0023】
羽根車4は、カバー3、3間に両端部が軸受部7、7を介して軸支される回転軸41と、この回転軸41に互いに同軸上に隣接させて個々に回転自在に組み付けられる移動体としての第1および第2のロータ42、43とを有する。図3に示すように、第1のロータ42の外周面には、摺動面42aと取付面42bとが段付き形成されている。同様に、第2のロータ43の外周面には、摺動面43aと取付面43bとが段付き形成されている。この取付面43bの周面には、後述する被制御体としての羽根体45の取付部位となる複数(図示の実施形態では16本)の係合溝(長孔)44がそれぞれ軸方向に沿って形成されている。これらのロータ42、43は、回転軸41上に互いに背中合わせで組付け配置することにより、羽根車4の回転部を形成する。
【0024】
また、羽根車4の回転部の軸周りには、被制御体としての同一形状を有する複数枚(図示の実施形態では8枚)の羽根体(フィン)45が円周方向に互いにオーバーラップさせて取り付けられている。各羽根体45の一端側、すなわち、第1のロータ42および第2のロータ43への取付部となる基端部には、被駆動体としての第1のステー46と第2のステー47とが互いに並行状態で突出するように連結されている。
【0025】
第1のステー46は、羽根体45の基端部45aを支持する。第2のステー47は、羽根体45の基端部45bを支持する。そして、第1のステー46は、第1のロータ42の内側取付面42bに放射状に植設させて取り付けられる。一方、第2のステー47は、第2のロータ43の内側取付面43bに形成した係合溝44に係合させて軸方向に移動可能(摺動可能)に取り付けられる。すなわち、各羽根体45は、第1および第2のステー46、47を介して第1および第2のロータ42、43に取り付けられている。
【0026】
第1のロータ42に対し第2のロータ43を相対的に回転させることにより、各羽根体45は、第1のステー46を軸中心として、図3に示す時計周り方向C1または反時計周り方向C2に旋回(回転)する。これによって、各羽根体45の取付角度(θ)等を調整することができる。
第1のロータ42側には、第1のアクチュエータ5Aが設けられ、第2のロータ43側には、第2のアクチュエータ5Bが設けられる。
【0027】
第1、第2のアクチュエータ5A、5Bは、それぞれ、例えば矩形の板状をなす振動体50で構成され、この振動体50には、後述する振動伝達体としての凸部51が突出している。第1のアクチュエータ5Aを構成する振動体50の凸部51は、第1のロータ42の摺動面(当接部)42aに押圧状態で摩擦摺動可能に接触(当接)している。同様に、第2のアクチュエータ5Bを構成する振動体50の凸部51は、第2のロータ43の摺動面(当接部)43aに押圧状態で摩擦摺動可能に接触(当接)している。
【0028】
各凸部51は、第1、第2のロータ42、43の摺動面42a、43aに対し、滑ることができる。従って、凸部51と、摺動面42a、43aとで、滑り機構が構成される。この滑り機構の構成により、過大な負荷が加わったとしても、破損を防止することができる。
これら第1および第2のアクチュエータ5A、5Bの駆動により、第1および第2のロータ42、43が個々に回転駆動される。
【0029】
本実施形態における駆動装置5の主要部は、前記第1および第2のアクチュエータ5A、5B、第1および第2のロータ42、43、第1および第2のステー46、47等で構成される。
なお、第1および第2のロータ42、43には、それぞれ、第1および第2のロータ42、43の回転量(移動量)を検出する回転量検出手段(移動量検出手段)としてのロータリエンコーダ8が設置されている。このロータリエンコーダ8の機能は、図6に示す後述する駆動制御回路で説明する。
【0030】
ここで、前記「協調」とは、第1、第2のアクチュエータ5A、5B同士が、相互に関連し合う(所定の関係を持つ)ことであり、例えば、第1、第2のアクチュエータ5A、5Bを同期させて第1、第2のステー(被駆動体)46、47を駆動する場合(第1、第2のステー46、47を等速度で駆動する場合)、第1、第2のアクチュエータ5A、5Bに位相差を持たせて第1、第2のステー46、47を駆動する場合(第1、第2のステー46、47に角度差をもたせて第1、第2のステー46、47を駆動する場合)、第1、第2のアクチュエータ5A、5Bを差動させて第1、第2のステー46、47を駆動する場合等が挙げられる。
【0031】
また、前記「差動」としては、例えば、第1、第2のアクチュエータ5A、5Bをそれらの駆動速度に差を持たせて同一方向に駆動する場合、第1、第2のアクチュエータ5A、5Bのうちの一方を逆方向に駆動する場合、第1、第2のアクチュエータ5A、5Bの一方を停止状態とする場合等が挙げられる。
図4は、第1および第2のアクチュエータを構成する振動体の斜視図、図5は、図4中のI−I線での断面図である。
【0032】
なお、第1および第2のアクチュエータ5A、5Bは、同一構造の振動体50で構成されている。このため、図4および図5においては、第1および第2のアクチュエータ5A、5Bを「アクチュエータ5A(5B)」と略して説明する。図4および図5に示すように、振動体50は、4つの第1の電極52a、52b、52cおよび52dと、電気/機械変換素子(第1の電気/機械変換素子)としての第1の圧電素子53と、補強板54と、電気/機械変換素子(第2の電気/機械変換素子)としての第2の圧電素子55と、4つの第2の電極56a、56b、56cおよび56dとを順に積層して構成されている。この場合、第1の電極52a〜52d、第2の電極56a〜56dは、第1の電極52a〜52dと、第2の電極56a〜56dとが、それぞれ、対応するように配置されている。
【0033】
第1の電極52a、52cおよび第2の電極56a、56cは、互いに電気的に直列に接続され、これらにより、第1のグループ電極57を構成している。同様にして、第1の電極52b、52dおよび第2の電極56b、56dもまた、互いに電気的に直列に接続され、これらにより、第2のグループ電極58を構成している。第1および第2のグループ電極57、58は、後述する駆動制御回路に接続されている。
第1および第2の圧電素子53、55は、補強板54の両面にそれぞれ設置(固着)されており、これらに交流電圧が印加されると、第1および第2の圧電素子53、55は、長方形状をなす第1および第2の圧電素子53、55の長手方向Bに伸長・収縮する。
【0034】
これらの圧電素子53、55の構成材料としては、特に限定されないが、例えばチタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT)、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の各種のものが好適に用いられる。
振動体50の第1および第2の圧電素子53、55に印加する交流電圧の周波数は、特に限定されないが、振動体50の振動(縦振動)の共振周波数とほぼ同程度であることが好ましい。これにより、振動体50の振幅が大きくなり、高い効率で第1および第2のロータ42、43を駆動することができる。
【0035】
前記振動体50をより詳細に説明すると、振動体50においては、第1の圧電素子53を4つの長方形の領域にほぼ等しく分割(区分)し、分割された各領域に、第1の電極52a〜52dがそれぞれ設置されている。同様にして、第2の圧電素子55もまた4つの領域に分割(区分)し、分割された各領域に、第2の電極56a〜56dが第1の圧電素子53の第1の電極52a〜52dに対して図4および図5中上下対称的にそれぞれ設置されている。
【0036】
また、第1および第2の圧電素子53、55間に介在された補強板54は、振動体50全体を補強する機能を有し、振動体50が過振幅、外力等によって損傷するのを防止する。補強板54の構成材料としては、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、銅または銅系合金等の弾性を有する各種金属材料であるのが好ましい。
【0037】
また、補強板54は、第1および第2の圧電素子53、55に対する共通の電極としての機能も有している。なお、補強板54は、アース(接地)されている。
この補強板54には、凸部51が一体的に形成されている。
補強板54の厚さは、第1および第2の圧電素子53、55の厚さよりも薄くするのが好ましい。これにより、振動体50、すなわち凸部51を高い効率で振動させることができる。
【0038】
ここで、第1のグループ電極57または第2のグループ電極58からの交流電圧が補強板54を介して第1の圧電素子53と第2の圧電素子55とに印加されると、第1および第2の圧電素子53、55は、所定方向に屈曲振動する。これら第1および第2の圧電素子53、55の屈曲振動に伴い、補強板54も屈曲振動し、これにより、凸部51は、長手方向Bに対して傾斜した斜めの方向に往復振動(往復運動)または楕円振動(楕円運動)する。この振動が第1および第2のロータ42、43の摺動面42a、43aに伝達され、第1および第2のロータ42、43が、正方向(時計回り方向)A1または逆方向A2(反時計回り方向)に回転駆動される。
【0039】
このとき、非駆動状態(駆動停止状態)、すなわち通電停止状態にある第1のグループ電極57または第2のグループ電極58は、後述するように、振動検出手段として利用される。
ここで、前記振動体50の「電気/機械変換素子」とは、電気エネルギーが供給されることにより、変形する部材(部分)を有する素子を言う。
なお、本実施形態では、電気/機械変換素子として、圧電素子を用いているが、本発明では、これに限定されない。他の電気/機械変換素子としては、例えば、形状記憶素子、磁歪素子、人工筋肉等が挙げられる。
【0040】
図6は、アクチュエータの駆動制御回路の構成例を示すブロック図である。
なお、第1のアクチュエータ5Aの駆動制御回路と、第2のアクチュエータ5Bの駆動制御回路とは、その構成が同様であるので、図6においては、第1および第2のアクチュエータ5A、5Bを「アクチュエータ5A(5B)」と略し、これらの各アクチュエータ5A、5Bにより回転制御(駆動制御)される第1および第2のロータ42、43を「ロータ42(43)」と略して以下に説明する。
【0041】
駆動制御回路は、振動体50が接続されるスイッチング回路9と駆動回路10とで構成されている。スイッチング回路9は、互いに連動する第1の切換スイッチ部90Aと第2の切換スイッチ部90Bとを有する。
第1の切換スイッチ部90Aは、振動体50の第1のグループ電極57が接続される端子91および一対の切換端子92、93を有する。同様に、第2の切換スイッチ部90Bは、振動体50の第2のグループ電極58が接続される端子94および一対の切換端子95、96を有する。
すなわち、スイッチング回路9は、通電による交流電圧の印加により第1および第2の圧電素子53、55を屈曲振動させるグループ電極と、非駆動状態を維持させることにより振動検出手段として利用するグループ電極とに切り換える。
【0042】
一方、駆動回路10は、発振回路101、増幅回路102および移動量制御回路103を備えている。発振回路101の入力側は、第1の切換スイッチ部90Aの切換端子93および第2の切換スイッチ部90Bの切換端子95にそれぞれ接続される。また、増幅回路102の出力側は、第1の切換スイッチ部90Aの切換端子92および第2の切換スイッチ部90Bの切換端子96にそれぞれ接続される。
【0043】
スイッチング回路9には、ロータ42(43)の回転方向(移動方向)として、正方向A1または逆方向A2が指示される。このスイッチング回路9は、ロータ42(43)の回転方向の指示情報に基づいて、振動体50の第1のグループ電極57または第2のグループ電極58を選択的に切換え、通電させる。これにより、第1および第2の圧電素子53、55に交流電圧が、発振回路101および増幅回路102を介して印加され、第1および第2の圧電素子53、55および補強板54は所定方向に屈曲振動し、凸部51が長手方向Bに対して傾斜した斜めの方向に往復振動または楕円振動する。
【0044】
この凸部51の振動により、ロータ42(43)に力が繰り返し加えられ、そのロータ42(43)が回転駆動される。このロータ42(43)の回転方向は、第1の切換スイッチ部90Aおよび第2の切換スイッチ部90Bによる第1のグループ電極57または第2のグループ電極58の切り換えにて正方向A1または逆方向A2に切り換えられる。
【0045】
移動量制御回路103には、ロータ42(43)の外周部に設置された移動量検出手段としてのロータリエンコーダ8が接続される。ロータリエンコーダ8は、複数のスリットが一定間隔で形成されたスリット回転板81と、発光部および受光部を有するセンサ82とで構成される。スリット回転板81は、ロータ42(43)と一体的に回転する。
【0046】
この場合、センサ82としては、例えばフォトリフレクタやフォトインタラプタ等が好適に用いられる。フォトリフレクタは、スリット回転板81の外周部に向けて光を照射する発光素子と、スリット回転板81にて反射した光(反射光)を受光する受光素子(光電変換素子)とで構成される。一方、フォトインタラプタは、スリット回転板81の外周部へ向けて光を照射する発光素子と、スリット回転板81を透過した光(透過光)を受光する受光素子(光電変換素子)とで構成される。
【0047】
移動量制御回路103には、ロータ42(43)の回転数(回転速度)や回転量が指示される。ロータ42(43)が回転すると、ロータリエンコーダ8のスリット回転板81がロータ42(43)と一体的に回転する。このスリット回転板81の回転数(回転速度)や回転量は、ロータ42(43)の回転数や回転量に対応する。ロータ42(43)の回転に伴って、センサ82からは、スリット回転板81の回転量に応じたパルス信号が出力され、このパルス信号は、移動量制御回路103に入力される。
【0048】
このとき、移動量制御回路103は、センサ82からのパルス信号を計数し、この計数値に基づいて、ロータ42(43)の回転量を求める。また、ロータ42(43)の回転速度は、センサ82からのパルスの周期または所定時間内のパルス数に基づいて求めることができる。
なお、移動量検出手段としては、上記したロータリエンコーダ8のような光学的な検出手段に限らず、磁気的な検出手段であってもよい。
【0049】
次に、前記軸流ファン1の作用を説明する。
電源スイッチ(図示せず)がオンの状態において、スイッチング回路9では、ロータ42(43)の回転方向の指示があると、それに基づいて、第1および第2の切換スイッチ部90A、90Bが連動して作動する。また、駆動回路10の移動量制御回路103では、ロータ42(43)の回転数(回転速度)や回転量の指示があると、それに基づいて、増幅回路102等を制御する。
【0050】
ロータ42(43)の回転方向が正方向A1に指示された場合には、第1の切換スイッチ部90Aの端子91と切換端子93が接続し、第2の切換スイッチ部90Bの端子94と切換端子96が接続する。このスイッチング回路9の切り換えにより、駆動回路10の増幅回路102の出力側と、振動体50の第2のグループ電極58とが導通し、第1のグループ電極57と、駆動回路10の発振回路101の入力側とが導通する。これにより、発振回路101から出力される交流電圧が、移動量制御回路103の指示に基づいて増幅回路102にて増幅制御される。
【0051】
このように、増幅回路102により増幅された交流電圧は、第2のグループ電極58を構成する電極52b、52d、56bおよび56dと、補強板54との間に印加される。これにより、第1および第2の圧電素子53、55の電極52b、52d、56bおよび56dに対応する部分がそれぞれ繰り返し伸縮し、その第1および第2の圧電素子53、55および補強板54は、屈曲振動する。このような第1および第2の圧電素子53、55および補強板54の屈曲振動により、凸部51は、長手方向Bに対して傾斜した斜めの方向に往復振動または楕円振動する。この凸部51の振動により、ロータ42(43)に摩擦力(押圧力)が繰り返し加えられ、ロータ42(43)が直接回転駆動される。すなわち、ロータ42(43)は、凸部51の振動により、その凸部51に対し摩擦摺動し、正方向A1に回転する。このロータ42(43)の回転により、羽根車4(各羽根体45)は、指示された回転数で正方向A1に回転する。また、第1のロータ42と第2のロータ43との回転数に差がある場合には、各羽根体45は、時計周り方向C1または反時計回り方向C2に旋回する。
【0052】
このとき、第1グループ電極57は、非駆動状態(駆動停止状態)にある。これら第1グループ電極57を構成する電極52a、52c、56aおよび56cは、それぞれ検出電極(振動検出手段)となり、各電極52a、52c、56aおよび56cと、補強板54との間に電圧(誘起電圧)が誘起される。この誘起電圧は、発振回路101に検出電圧として入力される。そして、発振回路101では、入力された検出電圧に基づいて、振動体50の振幅が最大、すなわち、検出電圧が最大になるような周波数(共振周波数)の交流電圧を出力する。これにより、ロータ42(43)を効率良く回転させることが可能になる。
【0053】
移動量制御回路103は、ロータリエンコーダ(移動量検出手段)8による検出値と、予め指示されたロータ42(43)の回転数(目標値)や回転量(目標値)とに基づいて各グループ電極57、58への通電を制御する。
すなわち、ロータリエンコーダ8から移動量制御回路103にパルス信号が入力されると、上述したように、移動量制御回路103は、入力されたパルスを計数し、その計数値(パルス数)に基づいてロータ42(43)の回転数や回転量を求め、この実測値と、予め指示されたロータ42(43)の目標値とを比較する。そして、ロータ42(43)の実測値が、予め指示された目標値と一致するまで、アクチュエータ5A(5B)が駆動される。これにより、ロータ42(43)の正方向A1への回転駆動が制御される。
【0054】
この場合、例えば、第1のロータ42と第2のロータ43との一方を所定量回転させることにより、各羽根体45は、第1のステー46を軸中心として、図3に示す時計周り方向C1または反時計周り方向C2に旋回(回転)する。これにより、各羽根体45の取付角度(θ)を調整することができ、また、その取付角度(θ)の変更により、流体の送出方向(送風方向)を反転することができる。また、第1のロータ42と第2のロータ43とを互いに異なる回転数で回転させることにより、各羽根体45は、第1のステー46を軸中心として、図3に示す時計周り方向C1または反時計周り方向C2に旋回(回転)する。これにより、駆動中において、各羽根体45の取付角度(θ)を調整することができ、また、その取付角度(θ)の変更により流体の送出方向を反転することができる。
【0055】
一方、スイッチング回路9にロータ42(43)の回転方向が逆方向A2に指示された場合には、第1の切換スイッチ部90Aの端子91と切換端子92が接続し、第2の切換スイッチ部90Bの端子94と切換端子95が接続する。このスイッチング回路9の切り換えにより、駆動回路10の増幅回路102の出力側と、振動体50の第1のグループ電極57とが導通し、第2のグループ電極58と、駆動回路10の発振回路101の入力側とが導通する。以降の動作は、上述したロータ42(43)の回転方向が正方向A1に指示された場合と同様であるため、その説明は省略する。
【0056】
図7は、羽根車における各羽根体の取付角度(θ)の調整状態を展開して示す説明図である。
図7(a)は、流体の送出方向W1における各羽根体45の取付角度(θ)の調整状態を示す。
図7(a)に示すように、第1のロータ42の停止状態で第2のロータ43を正方向A1に回転させると、第2のステー47は、係合溝44により回転軸O−Oの軸方向に沿って案内摺動されながら第2のロータ43に追従して、正方向A1に移動する。これにより、羽根体45は、第1のステー46を中心軸として時計回り方向C1に旋回し、取付角度(+θ)の正転調整が行われる。この状態で、第1および第2のロータ42、43同士を正方向A1に同期回転、すなわち、羽根車4の回転部を正方向A1に回転駆動すると、各羽根体45の取付角度(+θ)に応じた送出量で流体が送出方向W1に送出される。
【0057】
図7(b)は、流体の送出方向W2における各羽根体45の取付角度の調整状態を示す。
図7(b)に示すように、第1のロータ42の停止状態で第2のロータ43を逆方向A2に回転させると、第2のステー47は、係合溝44により回転軸O−Oの軸方向に沿って案内摺動されながら第2のロータ43に追従して、逆方向A2に移動する。これにより、羽根体45は、第1のステー46を中心軸として反時計回り方向C2に旋回し、取付角度(−θ)の反転調整が行われる。この状態で、第1および第2のロータ42、43同士を正方向A1に同期回転、すなわち、羽根車4の回転部を正方向A1に回転駆動すると、流体の流れが切り換えられ、各羽根体45の取付角度(−θ)に応じた送出量で流体が送出方向W2に送出される。
【0058】
この場合、図7(c)に示すように、第1のステー46と第2のステー47とが回転軸O−Oと平行に位置するように各羽根体45の取付角度(θ=0)を調整することが可能である。また、図7(d)に示すように、各羽根体45が互いにオーバーラップして重なり合い、密着するように各羽根体45の取付角度(θ)を調整することも可能である。これにより、軸流ファン1の流体通路が全開状態あるいは全閉状態に維持されるため、軸流ファン1をシャッタとしても利用することができる。
【0059】
なお、上記の説明では、各羽根体45の取付角度(θ)を調整する場合、第1のロータ42を停止状態にし、第2のロータ43を正方向A1または逆方向A2に回転駆動しているが、これに限らず、例えば、第2のロータ43を停止状態にし、第1のロータ42を正方向A1または逆方向A2に回転駆動してもよい。
また、第1のロータ42と第2のロータ43との一方を正方向A1に回転駆動し、他方を逆方向2に回転駆動してもよい。これによれば、各羽根体45の取付角度(θ)を瞬時に調整することができる。
【0060】
また、羽根車4の回転駆動中において、第1のロータ42と第2のロータ43とを互いに異なる回転数で回転させることにより、各羽根体45の取付角度(θ)を調整してもよい。
ここで、本実施形態の軸流ファン1(駆動装置5)は、第1、第2のアクチュエータ5A、5Bを同期させて第1、第2のロータ(移動体)42、43を回転駆動(駆動)する第1の協調モードと、第1、第2のアクチュエータ5A、5Bに位相差を持たせて第1、第2のロータ42、43を回転駆動する第2の協調モードと、第1、第2のアクチュエータ5A、5Bを差動させて第1、第2のロータ42、43を回転駆動する第3の協調モードとを有している。
【0061】
前記第3の協調モードには、第1、第2のアクチュエータ5A、5Bをそれらの駆動速度に差を持たせて同一方向に駆動するモード(第1の差動モード)と、第1、第2のアクチュエータ5A、5Bのうちの一方を逆方向に駆動するモード(第2の差動モード)と、第1、第2のアクチュエータ5A、5Bの一方を停止状態とするモード(第3の差動モード)とが含まれている。
軸流ファン1の運転(作動)の際は、これらの各モードのうちから、所定の1または2以上のモードを選択し、それを実行する。これにより、軸流ファン1の駆動を最適に行うことができる。
【0062】
前記第1の協調モードでは、第1、第2のアクチュエータ5A、5Bを同期させることにより、1つのアクチュエータを駆動する場合に比べ、駆動トルクを増大(倍増)させることができる。すなわち、負荷に対する駆動トルクを分散させることができ、少ないエネルギーで羽根車4を回転駆動することができる。しかも、羽根車4の回転数(回転速度)の可変範囲が広くなり、流体送出量の調整を容易かつ確実に行うことができる。
前記第2の協調モードでは、第1、第2のアクチュエータ5A、5Bに位相差を持たせることにより、羽根車4の初期回転駆動時における各羽根体45の取付角度(θ)の調整を容易かつ確実に行うことができる。これにより、流体送出量を任意に調整することができる。
【0063】
前記第3の協調モード(特に、第1の差動モード)では、第1、第2のアクチュエータ5A、5Bを差動させることにより、羽根車4の回転駆動中における各羽根体45の取付角度(θ)の調整を容易かつ確実に行うことができる。これにより、羽根車4の回転駆動中において、流体送出量を任意に調整することができ、特に、羽根車4の回転数(回転速度)を変更することなく、流体送出量を任意に調整することができる。
【0064】
なお、この軸流ファン1では、第1のアクチュエータ5Aと第2のアクチュエータ5Bの出力特性は、同一でもよく、また、異なっていてもよい。
以上述べたように、軸流ファン1によれば、独立した第1、第2のアクチュエータ5A、5Bを協調させて羽根車4を回転駆動するので、1つのアクチュエータによる駆動と比較して、大きな駆動トルクが得られ、また、羽根車4の回転数(回転速度)の可変範囲が広くなり、流体送出量の調整を容易かつ確実に行うことができる。
【0065】
また、羽根車4の回転駆動中における各羽根体45の取付角度(θ)の調整を容易かつ確実に行うことができる。これにより、羽根車4の回転駆動中において、流体送出量を任意に調整することができ、特に、羽根車4の回転数(回転速度)を変更することなく、流体送出量を任意に調整することができる。
また、各羽根体45の取付角度(θ)の変更により、羽根車4の回転方向を変更することなく、流体の送出方向を反転することができる。
【0066】
また、第1、第2のアクチュエータ5A、5Bが前述した振動体50で構成されているので、大きなトルクおよび大きなディテントトルクが得られるとともに、装置全体の小型化および軽量化を図ることができる。
また、第1、第2のロータ42、43が第1、第2のアクチュエータ5A、5Bの振動体50にて直接駆動(回転)されるため、装置全体の軽量化、小型化に特に有利であるとともに、部品点数を削減することができ、構造を極めて簡素化することができ、また、コストを低減することができる。
【0067】
また、振動体50の面内振動を第1、第2のロータ42、43の回転運動(駆動)に変換するため、機械的変換に伴なうエネルギーロスが少なく、第1、第2のロータ42、43を高い効率で駆動することができる。
また、通常の電動モータのような磁力で駆動する場合と異なり、振動体50からの振動伝播による摩擦摺動により第1、第2のロータ42、43が回転駆動されることから、第1、第2のロータ42、43に対する駆動力が高い。したがって、変速機構(減速機構)を介さなくても、十分な駆動力で、第1、第2のロータ42、43を回転駆動させることができる。
【0068】
以上、本発明の軸流ファンの駆動装置および軸流ファンを、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
なお、前記実施形態では、各アクチュエータとして、それぞれ、正逆両方向に駆動し得るものを用いているが、本発明では、これに限らず、各アクチュエータとして、それぞれ、一方向のみに駆動し得るものを用いてもよい。
【0069】
また、前記実施形態では、複数のアクチュエータがそれぞれ被駆動体を間接的に駆動するように構成されているが、例えば、複数のアクチュエータがそれぞれ被駆動体を直接駆動するように構成されていてもよく、また、複数のアクチュエータのうちの一部が被駆動体を直接駆動し、残部が被駆動体を間接的に駆動するように構成されていてもよい。
【0070】
また、前記実施形態では、アクチュエータの個数は、2個であったが、本発明では、アクチュエータの個数は、3個以上であってもよい。
また、前記実施形態では、羽根体は、8枚設けられているが、本発明では、羽根体の数はこれに限定されない。すなわち、本発明では、羽根体は、1枚以上設けられていればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態(軸流ファン)を示す正面図。
【図2】 図1に示す軸流ファンの断面図(側面図)
【図3】 図1に示す軸流ファンの羽根車の斜視図。
【図4】 アクチュエータを構成する振動体の斜視図。
【図5】 図4中のI−I線での断面図。
【図6】 アクチュエータの駆動制御回路の構成例を示すブロック図。
【図7】 羽根体の取付角度の調整状態を展開して示す説明図。
【符号の説明】
1…軸流ファン、2…枠体、3…カバー、4…羽根車、41…回転軸、42…第1のロータ、42a…摺動面、42b…取付面、43…第2のロータ、43a…摺動面、43b…取付面、44…係合溝、45…羽根体、45a…基端部、45b…基端部、46…第1のステー、47…第2のステー、5…駆動装置、5A…第1のアクチュエータ、5B…第2のアクチュエータ、50…振動体、51…凸部、52a〜52d…第1の電極、53…第1の圧電素子、54…補強板、55…第2の圧電素子、56a〜56d…第2の電極、57…第1のグループ電極、58…第2のグループ電極、6…取付部材、7…軸受部、8…ロータリエンコーダ、81…スリット回転板、82…センサ、9…スイッチング回路、90A…第1の切換スイッチ部、90B…第2の切換スイッチ部、91…端子、92、93…切換端子、94…端子、95、96…切換端子、10…駆動回路、101…発振回路、102…増幅回路、103…移動量制御回路

Claims (11)

  1. 軸流ファンの羽根体に連結される複数の被駆動体と、前記複数の被駆動体をそれぞれ駆動する複数のアクチュエータとを備える軸流ファンの駆動装置であって、
    前記各アクチュエータは、電気/機械変換素子を備え、前記電気/機械変換素子に交流電圧を印加することにより振動して、対応する前記被駆動体に駆動力を付与する振動体で構成されており、
    前記各アクチュエータを互いに協調させて対応する前記被駆動体を駆動するよう構成され、
    前記協調には、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つを同期させて前記被駆動体を駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つに位相差を持たせて前記被駆動体を駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つを差動させて前記被駆動体を駆動する場合とのうちの少なくとも1つが含まれることを特徴とする軸流ファンの駆動装置。
  2. 軸流ファンの羽根体に連結される複数の被駆動体と、前記複数の被駆動体とそれぞれ連動する複数の移動体と、前記複数の移動体をそれぞれ駆動する複数のアクチュエータとを備える軸流ファンの駆動装置であって、
    前記各アクチュエータは、電気/機械変換素子を備え、前記電気/機械変換素子に交流電圧を印加することにより振動して、対応する前記移動体に駆動力を付与する振動体で構成されており、
    前記各アクチュエータを互いに協調させて、対応する前記移動体を介して対応する前記被駆動体を駆動することを特徴とする軸流ファンの駆動装置。
  3. 前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つについては、前記振動体は、前記移動体に当接して設けられ、前記振動により、前記移動体に力を繰り返し加えて前記移動体を駆動する請求項2に記載の軸流ファンの駆動装置。
  4. 前記移動体は、回転自在に設けられロータである請求項2または3に記載の軸流ファンの駆動装置。
  5. 前記協調には、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つを同期させて前記被駆動体を駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つに位相差を持たせて前記被駆動体を駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つを差動させて前記被駆動体を駆動する場合とのうちの少なくとも1つが含まれる請求項ないし4のいずれかに記載の軸流ファンの駆動装置。
  6. 前記差動には、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つをそれらの駆動速度に差を持たせて同一方向に駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つを逆方向に駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つを停止状態とする場合とのうちの少なくとも1つが含まれる請求項1または5に記載の軸流ファンの駆動装置。
  7. 前記電気/機械変換素子は、圧電素子である請求項1ないし6のいずれかに記載の軸流ファンの駆動装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の軸流ファンの駆動装置と、
    前記駆動装置により駆動制御される少なくとも1枚の羽根体とを有することを特徴とする軸流ファン。
  9. 回転自在に設けられた羽根車を有する軸流ファンであって、
    前記羽根車は、少なくとも1枚の羽根体と、
    前記羽根体の基端部を支持する第1のステーおよび第2のステーと、
    同軸上に回転自在に設けられた第1のロータおよび第2のロータとを有し、
    前記第1のロータには、前記第1のステーが設けられ、前記第2のロータには、前記第2のステーが前記第2のロータの軸方向に沿って移動可能に設けられており、
    電気/機械変換素子を備え、前記電気/機械変換素子に交流電圧を印加することにより振動して、前記第1のロータに駆動力を付与する振動体を有する第1のアクチュエータと、
    電気/機械変換素子を備え、前記電気/機械変換素子に交流電圧を印加することにより振動して、前記第2のロータに駆動力を付与する振動体を有する第2のアクチュエータとを有し、
    前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとを互いに協調させて、前記第1のロータと前記第2のロータとを介して前記第1のステーと前記第2のステーとを駆動することを特徴とする軸流ファン。
  10. 前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとの少なくとも一方については、前記振動体は、対応する前記ロータに当接して設けられ、前記振動により、対応する前記ロータに力を繰り返し加えてそのロータを駆動する請求項9に記載の軸流ファン。
  11. 前記電気/機械変換素子は、圧電素子である請求項9または10に記載の軸流ファン。
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