JP2004254353A - 駆動装置および稼動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の駆動装置1は、複数の被駆動体と、前記複数の被駆動体をそれぞれ駆動する複数のアクチュエータ312A、312B、312Cとを備え、前記各アクチュエータ312A、312B、312Cは、電気/機械変換素子を備え、前記電気/機械変換素子に交流電圧を印加することにより振動して、対応する前記被駆動体に駆動力を付与する振動体50で構成されており、前記各アクチュエータ312A、312B、312Cを互いに協調させて対応する前記被駆動体を駆動する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動装置および稼動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特許文献1には、単葉の羽ばたき駆動装置が開示されている。特許文献2には、複葉の羽ばたき駆動装置が開示されている。特許文献3には、鳥や蝶などに似せた羽ばたき駆動装置が開示されている。
しかしながら、前記特許文献1および2に記載の羽ばたき駆動装置では、胴体上に左右対称的に組み付けた左右一対の羽根体の羽ばたき運動が、ゴム動力にて駆動する動力クランクの回転駆動により行われている。このため、羽根体の羽ばたき運動が、ゴム動力がなくなるまで連続的に行われ、滑空機能を持たせることができない。また、ゴム動力の減衰が、そのまま羽根体の羽ばたき運動、延いては、飛行速度の減衰となる。その結果、長時間に亘る持続性が維持されず、遠距離飛行ができないばかりでなく、羽根体の羽ばたき運動や飛行速度を任意に制御することができない。しかも、羽根体の打下し時および打上げ時のピッチ角(羽根体の羽ばたき運動時における水平面に対する羽根体の前縁部と後縁部とを結ぶ翼面の角度をいう)は、飛行前に一旦設定すると、飛行中に調整することができない。
【0003】
さらに、前記特許文献3に記載の羽ばたき駆動装置では、胴体に左右対称的に組み付けられる複数枚の羽根体の羽ばたき運動が1つの動力変換装置に連動させて行われている。しかしながら、この動力変換装置は、単に、回転運動を直線運動または揺動運動に変換して、羽根体に羽ばたき運動を伝達するだけの構造である。このため、上述した特許文献1、2と同様に、飛行中における羽根体のピッチ角の調整が行えないばかりでなく、動力変換装置自体も大型化し、重量も増大する。
要するに、前記特許文献1〜3の羽ばたき駆動装置では、玩具として実用性を有するものの、探査用小型飛行体としては実用性に乏しい。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−85860号公報
【特許文献2】
特開2000−317148号公報
【特許文献3】
特開2002−274506号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡単な構造で、小型化に有利であり、大きな駆動トルクを得ることができるとともに、例えば駆動中においても被制御体の姿勢や位置の調整(変更)を容易かつ確実に行うことができる駆動装置および稼動装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の駆動装置は、複数の被駆動体と、前記複数の被駆動体をそれぞれ駆動する複数のアクチュエータとを備え、
前記各アクチュエータは、電気/機械変換素子を備え、前記電気/機械変換素子に電力を与えることにより変位し、対応する前記被駆動体に駆動力を付与する変形素子で構成されており、
前記各アクチュエータを互いに協調させて対応する前記被駆動体を駆動することを特徴とする。
これにより、装置全体の小型化および軽量化を図ることができ、また、大きな駆動トルクが得られ、負荷(必要とされる駆動力)の増大に応じて駆動トルクの選択、調整を容易かつ確実に行うことができ、特に、例えば駆動中においても被制御体の姿勢や位置の調整(変更)を容易かつ確実に行うことができる。
【0007】
本発明の駆動装置では、前記協調には、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つを同期させて前記被駆動体を駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つに位相差を持たせて前記被駆動体を駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つを差動させて前記被駆動体を駆動する場合とのうちの少なくとも1つが含まれるのが好ましい。
【0008】
前記同期させて前記被駆動体を駆動する場合は、駆動トルクをアクチュエータの個数に応じて増大(倍増)させることができる。
また、前記位相差を持たせて前記被駆動体を駆動する場合は、被制御体の姿勢や位置の調整を容易かつ確実に行うことができる。
また、前記差動させて前記被駆動体を駆動する場合は、駆動中においても被制御体の姿勢や位置の調整を容易かつ確実に行うことができる。
【0009】
本発明の駆動装置では、前記差動には、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つをそれらの駆動速度に差を持たせて同一方向に駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つを逆方向に駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つを停止状態とする場合とのうちの少なくとも1つが含まれるのが好ましい。
これにより、駆動中においても被制御体の姿勢や位置の調整を容易かつ確実に行うことができる。
【0010】
本発明の駆動装置は、被制御体に連結される複数の被駆動体と、前記複数の被駆動体をそれぞれ駆動する複数のアクチュエータとを備え、
前記各アクチュエータは、電気/機械変換素子を備え、前記電気/機械変換素子に電力を与えることにより変位し、対応する前記被駆動体に駆動力を付与する変形素子で構成されており、
前記各アクチュエータを互いに協調させて対応する前記被駆動体を駆動することを特徴とする。
これにより、装置全体の小型化および軽量化を図ることができ、また、大きな駆動トルクが得られ、負荷(必要とされる駆動力)の増大に応じて駆動トルクの選択、調整を容易かつ確実に行うことができ、特に、例えば駆動中においても被制御体の姿勢や位置の調整(変更)を容易かつ確実に行うことができる。
【0011】
本発明の駆動装置は、被制御体に連結される複数の被駆動体と、前記複数の被駆動体とそれぞれ連動する複数の移動体と、前記複数の移動体をそれぞれ駆動する複数のアクチュエータとを備える駆動装置であって、
前記各アクチュエータは、電気/機械変換素子を備え、前記電気/機械変換素子に電力を与えることにより変位し、対応する前記移動体に駆動力を付与する変形素子で構成されており、
前記各アクチュエータを互いに協調させて、対応する前記移動体を介して対応する前記被駆動体を駆動することを特徴とする。
これにより、装置全体の小型化および軽量化を図ることができ、また、大きな駆動トルクが得られ、負荷(必要とされる駆動力)の増大に応じて駆動トルクの選択、調整を容易かつ確実に行うことができ、特に、例えば駆動中においても被制御体の姿勢や位置の調整(変更)を容易かつ確実に行うことができる。
【0012】
本発明の駆動装置では、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つについては、前記変形素子は、振動体であり、前記移動体に当接して設けられ、振動により、前記移動体に力を繰り返し加えて前記移動体を駆動するのが好ましい。
これにより、部品点数を削減することができ、構造を簡素化することができる。
本発明の駆動装置では、前記移動体は、回転自在に設けられたロータであるのが好ましい。
これにより、駆動装置をより円滑に作動させることができる。
【0013】
本発明の駆動装置では、前記被制御体は、羽ばたき駆動装置の羽根体であるのが好ましい。
これにより、大きな駆動トルクが得られ、負荷(必要とされる駆動力)の増大に応じて駆動トルクの選択、調整を容易かつ確実に行うことができ、特に、飛行中においても羽根体の姿勢や位置の調整(変更)を容易かつ確実に行える羽ばたき駆動装置が実現する。
すなわち、飛行中における羽ばたき駆動装置の羽ばたき運動や旋回・昇降姿勢等の調整が容易に行えるとともに、飛行の持続性、滑空性能および上昇性能が向上し、飛行速度の調整も容易に行える。しかも、小型軽量で少ないエネルギーで遠距離飛行が可能になるため、探査用小型飛行体として実用性に優れる。
【0014】
本発明の駆動装置では、前記被制御体は、羽ばたき駆動装置のフレームに対し、左右対称的に設けられる少なくとも1対の羽根体であり、
前記被駆動体は、前記羽根体の前縁側基端部を支持し、前記フレームに対し、支軸を支点として回動自在に設けられた第1のステーと、前記羽根体の後縁側基端部を支持し、前記フレームに対し、支軸を支点として回動自在に設けられた第2のステーとを有し、
前記移動体は、前記第1のステーと連動し、回転自在な第1のロータと、前記第2のステーと連動し、回転自在な第2のロータとを有し、
前記第1のロータは、回転運動を往復運動に変換する第1の回転/往復運動変換機構を介し、前記第1のステーを前記支軸を支点として往復運動させ、該第1のステーの往復運動により、前記羽根体の前縁部の羽ばたき動作を行い、
前記第2のロータは、回転運動を往復運動に変換する第2の回転/往復運動変換機構を介し、前記第2のステーを前記支軸を支点として往復運動させ、該第2のステーの往復運動により、前記羽根体の後縁部の羽ばたき動作を行うのが好ましい。
【0015】
これにより、大きな駆動トルクが得られ、負荷(必要とされる駆動力)の増大に応じて駆動トルクの選択、調整を容易かつ確実に行うことができ、特に、飛行中においても羽根体の姿勢や位置の調整(変更)を容易かつ確実に行える羽ばたき駆動装置が実現する。
すなわち、飛行中における羽ばたき駆動装置の羽ばたき運動や旋回・昇降姿勢等の調整が容易に行えるとともに、飛行の持続性、滑空性能および上昇性能が向上し、飛行速度の調整も容易に行える。しかも、小型軽量で少ないエネルギーで遠距離飛行が可能になるため、探査用小型飛行体として実用性に優れる。
【0016】
本発明の駆動装置では、前記被制御体は、羽ばたき駆動装置のフレームに対し、左右対称的に設けられる1対の羽根体であり、
前記被駆動体は、前記羽根体の前縁側基端部を支持し、前記フレームに対し、支軸を支点として回動自在に設けられた第1のステーと、前記羽根体の後縁側基端部を支持し、前記フレームに対し、支軸を支点として回動自在に設けられた第2のステーとを有し、
前記移動体は、前記第1のステーと連動し、回転自在な第1のロータと、前記第2のステーと連動し、回転自在な第2のロータとを有し、
前記第1のロータは、回転運動を往復運動に変換する第1の回転/往復運動変換機構を介し、前記第1のステーを前記支軸を支点として往復運動させ、該第1のステーの往復運動により、前記羽根体の前縁部の羽ばたき動作を行い、
前記第2のロータは、回転運動を往復運動に変換する第2の回転/往復運動変換機構を介し、前記第2のステーを前記支軸を支点として往復運動させ、該第2のステーの往復運動により、前記羽根体の後縁部の羽ばたき動作を行うのが好ましい。
【0017】
これにより、大きな駆動トルクが得られ、負荷(必要とされる駆動力)の増大に応じて駆動トルクの選択、調整を容易かつ確実に行うことができ、特に、飛行中においても羽根体の姿勢や位置の調整(変更)を容易かつ確実に行える羽ばたき駆動装置が実現する。
すなわち、飛行中における羽ばたき駆動装置の羽ばたき運動や旋回・昇降姿勢等の調整が容易に行えるとともに、飛行の持続性、滑空性能および上昇性能が向上し、飛行速度の調整も容易に行える。しかも、小型軽量で少ないエネルギーで遠距離飛行が可能になるため、探査用小型飛行体として実用性に優れる。
【0018】
本発明の駆動装置では、前記第2のステーは、前記羽根体の後縁側基端部を該羽根体の翼幅方向に移動し得るように支持するのが好ましい。
本発明の駆動装置では、前記左右対称的に設けられる1対の羽根体の前記第1のステーのそれぞれは、互いに連動して同一方向に駆動され、前記第2のステーのそれぞれは、互いに独立して駆動されるのが好ましい。
これにより、一方の羽根体の羽ばたき運動を他方の羽根体に伝達することが可能になり、他方の羽根体を羽ばたき運動させるアクチュエータが不要になる。その結果、小型化および軽量化を図ることができ、また、コストを低減することができる。
【0019】
本発明の駆動装置では、前記第2のステーを前記支軸を支点として、前記第1のステーに対し、相対的に回動させることにより、前記羽根体のピッチ角を調整するのが好ましい。
これにより、羽根体のピッチ角を容易かつ確実に調整することができ、このピッチ角の調整により、理想的な飛行を行うことができる。
【0020】
本発明の駆動装置では、前記羽根体の打上げ時は、該羽根体のピッチ角が比較的大きくなり、前記羽根体の打下げ時は、該羽根体のピッチ角が比較的小さくなるように調整するよう構成されているのが好ましい。
これにより、羽根体の打下ろし時に翼裏面側に受ける空気抵抗が大きくなり、大きな揚力が得られ、羽ばたき駆動装置の上昇力が高まる。また、羽根体の打上げ時に翼表面側に受ける空気抵抗が小さくなり、羽根体の打上げ時における羽ばたき駆動装置の下降量が最小限に抑えられる。
【0021】
本発明の駆動装置では、前記羽ばたき駆動装置が、前記羽根体の羽ばたき角を一定に保持した滑空状態と、前記羽根体が連続的に羽ばたき動作を行う羽ばたき状態とをとり得るよう構成されているのが好ましい。
これにより、理想的な飛行を行うことができる。
本発明の駆動装置では、前記電気/機械変換素子は、圧電素子であるのが好ましい。
【0022】
本発明の稼動装置は、本発明の駆動装置と、
前記駆動装置により駆動制御される被制御体とを有することを特徴とする。
これにより、装置全体の小型化および軽量化を図ることができ、また、大きな駆動トルクが得られ、負荷(必要とされる駆動力)の増大に応じて駆動トルクの選択、調整を容易かつ確実に行うことができ、特に、例えば駆動中においても被制御体の姿勢や位置の調整(変更)を容易かつ確実に行うことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の駆動装置および稼動装置を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の駆動装置を羽ばたき駆動装置の駆動装置に適用した場合、すなわち、本発明の稼動装置を羽ばたき駆動装置に適用した場合の実施形態を示す平面図である。
【0024】
図1に示すように、羽ばたき駆動装置(稼動装置)20は、互いに平行に設けられた左右1対の胴体を形成するフレーム21、22と、これらフレーム21、22にそれぞれ左右対称的に組み付けられ、翼形の断面形状をなす1対の羽根体(被制御体)23、23と、この1対の羽根体23、23を駆動(駆動制御)する駆動装置1とを有している。この駆動装置1は、第1のアクチュエータ312Aを備えた第1の駆動機構30Aと、第2のアクチュエータ312Bを備えた第2の駆動機構30Bと、第3のアクチュエータ312Cを備えた第3の駆動機構30Cとを有する。
【0025】
各羽根体23は、その前縁部231側の基端部(前縁側基端部)232を支持する第1のステー(被駆動体)24と、その後縁部233側の基端部(後縁側基端部)234を支持する第2のステー(被駆動体)25とを有する。
一方の羽根体23は、第1のステー24と第2のステー25とをフレーム21に支軸26A、26Bを介してそれぞれ軸支され、これら支軸26A、26Bを支点として上下方向(図1中、紙面に垂直な方向)に回動自在に取り付けられる。同様に、他方の羽根体23は、第1のステー24と第2のステー25とをフレーム22に支軸27A、27Bを介してそれぞれ軸支され、これら支軸27A、27Bを支点として上下方向(図1中、紙面に垂直な方向)に回動自在に取り付けられる。
【0026】
また、各羽根体23の第1のステー24同士は、連動機構28を介して連結されている。これにより、これら第1のステー24、24は、連動機構28によって互いに連動(同期)して同一方向に駆動する。
この場合、各羽根体23は、第1のステー24の軸周りに旋回(回動)可能になっている。また、第2のステー25は、羽根体23の後縁側基端部234に形成されたスライド片部235の長孔236に係合し(挿入され)、翼幅方向(図1中、上下方向)に移動可能(摺動可能)に羽根体23の後縁側基端部234を支持する。これにより、羽根体23の第1のステー24の軸周りの旋回(回動)が許容される。
【0027】
そして、各羽根体23の第1のステー24同士は、第1のアクチュエータ312Aを有する第1の駆動機構30Aにより、互いに連動して同一方向に駆動される。各羽根体23の第2のステー25は、互いに独立して、それぞれ、第2のアクチュエータ312Bを有する第2の駆動機構30Bおよび第3のアクチュエータ312Cを有する第3の駆動機構30Cにより、駆動される。第1の駆動機構30Aと第2の駆動機構30Bとは、回転軸29Aを共有して同軸上に独立して配置される。一方、第3の駆動機構30Cは、第2の駆動機構30Bと独立して回転軸29Bを介して配置される。
【0028】
これら第1、第2および第3の駆動機構30A、30Bおよび30C(第1、第2および第3のアクチュエータ312A、312B、312C)は、互いに協調して、1対の羽根体23、23を駆動する。すなわち、第1、第2および第3のアクチュエータ312A、312B、312Cは、互いに協調して、各羽根体23の第1のステー24、第2のステー25を駆動する。
【0029】
図2は、図1中のII−II線での断面図であり、上記した羽根体23の第1のステー24を駆動する第1の駆動機構30Aを示す。
図2に示すように、この第1の駆動機構30Aは、回転軸29Aに回転自在に設けた第1のロータ(移動体)311Aと、この第1のロータ311Aを回転駆動する第1のアクチュエータ312Aとを有する。以下、第1のロータを単に「ロータ」、第1のアクチュエータを単に「アクチュエータ」とも言う。ロータ311Aには、クランクピン313Aが設けられ、このクランクピン313Aには、クランクアーム314の一端が軸支されている。そして、このクランクアーム314の他端は、第1のステー24に設けたピン315に軸支し、これらクランクピン313A、クランクアーム314およびピン315により、第1のクランク機構(第1の回転/往復運動変換機構)32を構成する。
【0030】
図3は、連動機構を示す説明図である。
図3に示すように、各羽根体23の第1のステー24同士は、扇形歯車281、282を介して連結されている。すなわち、一方の第1のステー24の端部には、扇形歯車281が設けられ、他方の第1のステー24の端部には、前記扇形歯車281と噛合する扇形歯車282が設けられており、これら扇形歯車281、282により連動機構28が構成される。
【0031】
この連動機構28により、各羽根体23の第1のステー24同士は、互いに連動(同期)して同一方向に駆動する。
これにより、アクチュエータ(駆動機構)を1つ削減することができ、その結果、小型化および軽量化を図ることができ、また、コストを低減することができる。
【0032】
図4は、図1中のIII−III線での断面図であり、上記した一方の羽根体23の第2のステー25を駆動する第2の駆動機構30Bを示す。
図4に示すように、第2の駆動機構30Bは、回転軸29Aに回転自在に設けた第2のロータ(移動体)311Bと、この第2のロータ311Bを回転駆動する第2のアクチュエータ312Bとを有する。以下、第2のロータを単に「ロータ」、第2のアクチュエータを単に「アクチュエータ」とも言う。ロータ311Bには、クランクピン313Bが設けられている。このクランクピン313Bは、第2のステー25に形成したスライド溝(長孔)316に係合し、これらクランクピン313Bおよびスライド溝316により、スライダクランクからなる第2のクランク機構(第2の回転/往復運動変換機構)33を構成する。
【0033】
図1に示すように、上記した他方の羽根体23の第2のステー25を駆動する第3の駆動機構30Cは、第3のロータ(移動体)311Cと、この第3のロータ311Cを回転駆動する第3のアクチュエータ312Cとを有する。以下、第3のロータを単に「ロータ」、第3のアクチュエータを単に「アクチュエータ」とも言う。この第3の駆動機構30Cは、上記した第2の駆動機構30Bと同様の構成を有する(例えば、第2のクランク機構33と同様の図示しない第3のクランク機構等を有する)ため、その説明は省略する。
なお、第1のステー24を駆動する第1の駆動機構30Aにおけるクランク機構(図2参照)と、第2のステー25を駆動する第2の駆動機構30Bにおけるクランク機構(図4参照)とを互いに同一構造のクランク機構(回転/往復運動変換機構)にすることも可能である。
【0034】
本実施形態における駆動装置1の主要部は、前記第1の駆動機構30A、第2の駆動機構30Bおよび第3の駆動機構30C、すなわち、前記第1、第2および第3のアクチュエータ312A、312B、312C、第1、第2および第3のロータ311A、311B、311C、1対の第1のステー24、24、1対の第2のステー25、25、第1のクランク機構32、第2のクランク機構33、連動機構28、図示しない第3のクランク機構等で構成される。
【0035】
第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cは、それぞれ、例えば矩形の板状をなす振動体(変形素子)50で構成され、この振動体50には、後述する振動伝達体としての凸部51が突出している。第1のアクチュエータ312Aを構成する振動体50の凸部51は、第1のロータ311Aの摺動面(当接部)311aに押圧状態で摩擦摺動可能に接触(当接)している。同様に、第2のアクチュエータ312Bを構成する振動体50の凸部51は、第2のロータ311Bの摺動面(当接部)311bに押圧状態で摩擦摺動可能に接触(当接)している。同様に、第3のアクチュエータ312Cを構成する振動体50の凸部51は、第3のロータ311Cの摺動面(当接部)311cに押圧状態で摩擦摺動可能に接触(当接)している。
【0036】
各凸部51は、第1、第2、第3のロータ311A、311B、311Cの摺動面311a、311b、311cに対し、滑ることができる。従って、凸部51と、311a、311b、311cとで、滑り機構が構成される。この滑り機構の構成により、過大な負荷が加わったとしても、破損を防止することができる。
これら第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cの駆動により、第1、第2、第3のロータ311A、311B、311Cが個々に回転駆動される。
【0037】
なお、第1、第2、第3のロータ311A、311B、311Cには、それぞれ、第1、第2、第3のロータ311A、311B、311Cの回転量(移動量)を検出する回転量検出手段(移動量検出手段)としてのロータリエンコーダ8が設置されている。このロータリエンコーダ8の機能は、図7に示す後述する駆動制御回路で説明する。
【0038】
ここで、前記「協調」とは、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cが、相互に関連し合う(所定の関係を持つ)ことであり、例えば、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cのうちの2つまたはすべてを同期させて第1、第2のステー(被駆動体)24、25を駆動する場合、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cのうちの2つまたはすべてに位相差を持たせて第1、第2のステー24、25を駆動する場合、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cのうちの2つまたはすべてを差動させて第1、第2のステー24、25を駆動する場合等が挙げられる。
【0039】
また、前記「差動」としては、例えば、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cのうちの2つまたはすべてをそれらの駆動速度に差を持たせて同一方向に駆動する場合、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cのうちの1つまたは2つを逆方向に駆動する場合、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cのうちの1つまたは2つを停止状態とする場合等が挙げられる。
【0040】
図5は、アクチュエータを構成する振動体の斜視図、図6は、図5中のI−I線での断面図である。
なお、第1アクチュエータ312Aと、第2アクチュエータ312Bと、第3のアクチュエータ312Cとは、同一構造の振動体50で構成されているので、ここでは代表的に第1のアクチュエータ312Aを説明する。
【0041】
図5および図6に示すように、振動体(変形素子)50は、4つの第1の電極52a、52b、52cおよび52dと、電気/機械変換素子(第1の電気/機械変換素子)としての第1の圧電素子53と、補強板54と、電気/機械変換素子(第2の電気/機械変換素子)としての第2の圧電素子55と、4つの第2の電極56a、56b、56cおよび56dとを順に積層して構成されている。この場合、第1の電極52a〜52d、第2の電極56a〜56dは、第1の電極52a〜52dと、第2の電極56a〜56dとが、それぞれ、対応するように配置されている。
【0042】
第1の電極52a、52cおよび第2の電極56a、56cは、互いに電気的に直列に接続され、これらにより、第1のグループ電極57を構成している。同様にして、第1の電極52b、52dおよび第2の電極56b、56dもまた、互いに電気的に直列に接続され、これらにより、第2のグループ電極58を構成している。第1および第2のグループ電極57、58は、後述する駆動制御回路に接続されている。
第1および第2の圧電素子53、55は、補強板54の両面にそれぞれ設置(固着)されており、これらに交流電圧が印加されると、第1および第2の圧電素子53、55は、長方形状をなす第1および第2の圧電素子53、55の長手方向Bに伸長・収縮(変位)する。
【0043】
これらの圧電素子53、55の構成材料としては、特に限定されないが、例えばチタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT)、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の各種のものが好適に用いられる。
振動体50の第1および第2の圧電素子53、55に印加する交流電圧の周波数は、特に限定されないが、振動体50の振動(縦振動)の共振周波数とほぼ同程度であることが好ましい。これにより、振動体50の振幅が大きくなり、高い効率で第1のロータ311Aを駆動することができる。
【0044】
前記振動体50をより詳細に説明すると、振動体50においては、第1の圧電素子53を4つの長方形の領域にほぼ等しく分割(区分)し、分割された各領域に、第1の電極52a〜52dがそれぞれ設置されている。同様にして、第2の圧電素子55もまた4つの領域に分割(区分)し、分割された各領域に、第2の電極56a〜56dが第1の圧電素子53の第1の電極52a〜52dに対して図5および図6中上下対称的にそれぞれ設置されている。
【0045】
また、第1および第2の圧電素子53、55間に介在された補強板54は、振動体50全体を補強する機能を有し、振動体50が過振幅、外力等によって損傷するのを防止する。補強板54の構成材料としては、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、銅または銅系合金等の弾性を有する各種金属材料であるのが好ましい。
また、補強板54は、第1および第2の圧電素子53、55に対する共通の電極としての機能も有している。なお、補強板54は、アース(接地)されている。
この補強板54には、凸部51が一体的に形成されている。
【0046】
補強板54の厚さは、第1および第2の圧電素子53、55の厚さよりも薄くするのが好ましい。これにより、振動体50、すなわち凸部51を高い効率で振動させることができる。
ここで、第1のグループ電極57または第2のグループ電極58からの交流電圧が補強板54を介して第1の圧電素子53と第2の圧電素子55とに印加されると、第1および第2の圧電素子53、55は、所定方向に屈曲振動する。これら第1および第2の圧電素子53、55の屈曲振動に伴い、補強板54も屈曲振動し、これにより、凸部51は、長手方向Bに対して傾斜した斜めの方向に往復振動(往復運動)または楕円振動(楕円運動)する(変位する)。この振動が第1のロータ311Aの摺動面311aに伝達され、第1のロータ311Aが、正方向(時計回り方向)A1または逆方向A2(反時計回り方向)に回転駆動される。
【0047】
このとき、非駆動状態(駆動停止状態)、すなわち通電停止状態にある第1のグループ電極57または第2のグループ電極58は、後述するように、振動検出手段として利用される。
ここで、前記振動体50の「電気/機械変換素子」とは、電気エネルギーが供給されることにより、変形する部材(部分)を有する素子を言う。
なお、本実施形態では、電気/機械変換素子として、圧電素子を用いているが、本発明では、これに限定されない。他の電気/機械変換素子としては、例えば、形状記憶素子、磁歪素子、人工筋肉等が挙げられる。
【0048】
図7は、アクチュエータの駆動制御回路の構成例を示すブロック図である。
なお、第1のアクチュエータ312Aの駆動制御回路と、第2のアクチュエータ312Bの駆動制御回路と、第3のアクチュエータ312Cの駆動制御回路とは、その構成が同様であるので、ここでは代表的に第1のアクチュエータ312Aの駆動制御回路を説明する。
【0049】
駆動制御回路は、振動体50が接続されるスイッチング回路9と駆動回路10とで構成されている。スイッチング回路9は、互いに連動する第1の切換スイッチ部90Aと第2の切換スイッチ部90Bとを有する。
第1の切換スイッチ部90Aは、振動体50の第1のグループ電極57が接続される端子91および一対の切換端子92、93を有する。同様に、第2の切換スイッチ部90Bは、振動体50の第2のグループ電極58が接続される端子94および一対の切換端子95、96を有する。
【0050】
すなわち、スイッチング回路9は、通電による交流電圧の印加により第1および第2の圧電素子53、55を屈曲振動させるグループ電極と、非駆動状態を維持させることにより振動検出手段として利用するグループ電極とに切り換える。
一方、駆動回路10は、発振回路101、増幅回路102および移動量制御回路103を備えている。発振回路101の入力側は、第1の切換スイッチ部90Aの切換端子93および第2の切換スイッチ部90Bの切換端子95にそれぞれ接続される。また、増幅回路102の出力側は、第1の切換スイッチ部90Aの切換端子92および第2の切換スイッチ部90Bの切換端子96にそれぞれ接続される。
【0051】
スイッチング回路9には、第1のロータ311Aの回転方向(移動方向)として、正方向A1または逆方向A2が指示される。このスイッチング回路9は、第1のロータ311Aの回転方向の指示情報に基づいて、振動体50の第1のグループ電極57または第2のグループ電極58を選択的に切換え、通電させる。これにより、第1および第2の圧電素子53、55に交流電圧が、発振回路101および増幅回路102を介して印加され、第1および第2の圧電素子53、55および補強板54は所定方向に屈曲振動し、凸部51が長手方向Bに対して傾斜した斜めの方向に往復振動または楕円振動する。
【0052】
この凸部51の振動により、第1のロータ311Aに力が繰り返し加えられ、その第1のロータ311Aが回転駆動される。この第1のロータ311Aの回転方向は、第1の切換スイッチ部90Aおよび第2の切換スイッチ部90Bによる第1のグループ電極57または第2のグループ電極58の切り換えにて正方向A1または逆方向A2に切り換えられる。
【0053】
移動量制御回路103には、第1のロータ311Aの外周部に設置された移動量検出手段としてのロータリエンコーダ8が接続される。ロータリエンコーダ8は、複数のスリットが一定間隔で形成されたスリット回転板81と、発光部および受光部を有するセンサ82とで構成される。スリット回転板81は、第1のロータ311Aと一体的に回転する。
【0054】
この場合、センサ82としては、例えばフォトリフレクタやフォトインタラプタ等が好適に用いられる。フォトリフレクタは、スリット回転板81の外周部に向けて光を照射する発光素子と、スリット回転板81にて反射した光(反射光)を受光する受光素子(光電変換素子)とで構成される。一方、フォトインタラプタは、スリット回転板81の外周部へ向けて光を照射する発光素子と、スリット回転板81を透過した光(透過光)を受光する受光素子(光電変換素子)とで構成される。
【0055】
移動量制御回路103には、第1のロータ311Aの回転数(回転速度)や回転量が指示される。第1のロータ311Aが回転すると、ロータリエンコーダ8のスリット回転板81が第1のロータ311Aと一体的に回転する。このスリット回転板81の回転数(回転速度)や回転量は、第1のロータ311Aの回転数や回転量に対応する。第1のロータ311Aの回転に伴って、センサ82からは、スリット回転板81の回転量に応じたパルス信号が出力され、このパルス信号は、移動量制御回路103に入力される。
【0056】
このとき、移動量制御回路103は、センサ82からのパルス信号を計数し、この計数値に基づいて、第1のロータ311Aの回転量を求める。また、第1のロータ311Aの回転速度は、センサ82からのパルスの周期または所定時間内のパルス数に基づいて求めることができる。
なお、移動量検出手段としては、上記したロータリエンコーダ8のような光学的な検出手段に限らず、磁気的な検出手段であってもよい。
【0057】
次に、前記駆動制御回路の作用を説明する。
電源スイッチ(図示せず)がオンの状態において、スイッチング回路9では、第1のロータ311Aの回転方向の指示があると、それに基づいて、第1および第2の切換スイッチ部90A、90Bが連動して作動する。また、駆動回路10の移動量制御回路103では、第1のロータ311Aの回転数(回転速度)や回転量の指示があると、それに基づいて、増幅回路102等を制御する。
【0058】
第1のロータ311Aの回転方向が正方向A1に指示された場合には、第1の切換スイッチ部90Aの端子91と切換端子93が接続し、第2の切換スイッチ部90Bの端子94と切換端子96が接続する。このスイッチング回路9の切り換えにより、駆動回路10の増幅回路102の出力側と、振動体50の第2のグループ電極58とが導通し、第1のグループ電極57と、駆動回路10の発振回路101の入力側とが導通する。これにより、発振回路101から出力される交流電圧が、移動量制御回路103の指示に基づいて増幅回路102にて増幅制御される。
【0059】
このように、増幅回路102により増幅された交流電圧は、第2のグループ電極58を構成する電極52b、52d、56bおよび56dと、補強板54との間に印加される。これにより、第1および第2の圧電素子53、55の電極52b、52d、56bおよび56dに対応する部分がそれぞれ繰り返し伸縮し、その第1および第2の圧電素子53、55および補強板54は、屈曲振動する。このような第1および第2の圧電素子53、55および補強板54の屈曲振動により、凸部51は、長手方向Bに対して傾斜した斜めの方向に往復振動または楕円振動する。この凸部51の振動により、第1のロータ311Aに摩擦力(押圧力)が繰り返し加えられ、第1のロータ311Aが直接回転駆動される。すなわち、第1のロータ311Aは、凸部51の振動により、その凸部51に対し摩擦摺動し、正方向A1に回転する。この第1のロータ311Aの回転により、後述するように、第1のステー24は、第1のクランク機構32を介して、支軸26Aを支点として往復運動(回動)する。
【0060】
このとき、第1グループ電極57は、非駆動状態(駆動停止状態)にある。これら第1グループ電極57を構成する電極52a、52c、56aおよび56cは、それぞれ検出電極(振動検出手段)となり、各電極52a、52c、56aおよび56cと、補強板54との間に電圧(誘起電圧)が誘起される。この誘起電圧は、発振回路101に検出電圧として入力される。そして、発振回路101では、入力された検出電圧に基づいて、振動体50の振幅が最大、すなわち、検出電圧が最大になるような周波数(共振周波数)の交流電圧を出力する。これにより、第1のロータ311Aを効率良く回転させることが可能になる。
【0061】
移動量制御回路103は、ロータリエンコーダ(移動量検出手段)8による検出値と、予め指示された第1のロータ311Aの回転数(目標値)や回転量(目標値)とに基づいて各グループ電極57、58への通電を制御する。
すなわち、ロータリエンコーダ8から移動量制御回路103にパルス信号が入力されると、上述したように、移動量制御回路103は、入力されたパルスを計数し、その計数値(パルス数)に基づいて第1のロータ311Aの回転数や回転量を求め、この実測値と、予め指示された第1のロータ311Aの目標値とを比較する。そして、第1のロータ311Aの実測値が、予め指示された目標値と一致するまで、第1のアクチュエータ312Aが駆動される。これにより、第1のロータ311Aの正方向A1への回転駆動が制御される。
【0062】
一方、スイッチング回路9に第1のロータ311Aの回転方向が逆方向A2に指示された場合には、第1の切換スイッチ部90Aの端子91と切換端子92が接続し、第2の切換スイッチ部90Bの端子94と切換端子95が接続する。このスイッチング回路9の切り換えにより、駆動回路10の増幅回路102の出力側と、振動体50の第1のグループ電極57とが導通し、第2のグループ電極58と、駆動回路10の発振回路101の入力側とが導通する。以降の動作は、上述した第1のロータ311Aの回転方向が正方向A1に指示された場合と同様であるため、その説明は省略する。
【0063】
次に、第1のステー24および第2のステー25の駆動による各羽根体23の作動(作動状態)を説明する。この場合、左右両羽根体23は、実質的に同一の作動を行うので、代表的に、一方の羽根体23の作動のみを説明する。
図8は、羽根体の前縁部の羽ばたき運動(羽ばたき状態)を示す説明図である。
【0064】
図8(a)に示すように、羽根体23の第1のステー24は、初期待機状態において、支軸26Aの支点を通る翼長方向(図8中、左右方向)における水平軸線X−Xと平行となっている。図2に示す第1の駆動機構30Aは、ロータ311Aを一方向、例えば正方向(時計回りの方向)A1にのみ連続して回転駆動するように、第1のアクチュエータ312Aを駆動制御する。
【0065】
この状態で、第1のアクチュエータ312Aによりロータ311Aを正方向A1に回転駆動すると、図8(b)に示すように、第1のクランク機構32のクランクピン313Aは、ロータ311Aの回転駆動と共に正方向A1に回転する。このクランクピン313Aの回転により、第1のステー24は、クランクアーム314およびピン315を介して支軸26Aを支点として上方(時計回りの方向)に回動し、上昇する。これにより、羽根体23の前縁部231が打上げ方向F1に跳ね上げられる。
【0066】
この羽根体23の前縁部231における打上げ動作は、クランクピン313Aがロータ311Aの上死点に至るまで続行される。クランクピン313Aがロータ311Aの上死点に達したとき、水平軸線X−Xと第1のステー24の中心軸線P−Pとのなす角、すなわち、羽根体23の前縁部231の打上げ角α1が最大(最大打上げ角α1MAX)となる。
【0067】
そして、クランクピン313Aがロータ311Aの上死点を超えると、図8(c)に示すように、第1のステー24は、支軸26Aを支点として下方(反時計回りの方向)に回動し、下降する。これにより、羽根体23の前縁部231が打下し方向F2に打付けられる。
この羽根体23の前縁部231における打下し動作は、クランクピン313Aがロータ311Aの下死点に至るまで続行される。クランクピン313Aがロータ311Aの下死点に達したとき、水平軸線X−Xと第1のステー24の中心軸線P−Pとのなす角、すなわち、羽根体23の前縁部231の打下し角α2が最大(最大打下し角α2MAX)となる。
【0068】
このように、第1のアクチュエータ312Aによるロータ311Aの正方向A1の連続的な回転駆動が、第1のクランク機構32により、支軸26Aを支点とする第1のステー24の往復運動(回動)に変換される。この第1のステー24の往復運動により、羽根体23の前縁部231には、最大打上げ角α1MAXおよび最大打下し角α2MAXに応じた羽ばたき角(α1MAX+α2MAX)の範囲で連続的な羽ばたき運動が付与される。
【0069】
同様に、羽根体23の後縁部233の羽ばたき運動は、図4に示すように、第2のアクチュエータ312Bによりロータ311Bを正方向A1に連続して回転駆動することにより行われる。ロータ311Bが回転駆動すると、第2のクランク機構33のクランクピン313Bは、ロータ311Bの回転駆動と共に正方向A1に回転する。このロータ311Bの回転で、クランクピン313Bは、第2のステー25の軸方向に形成されたスライド溝316に沿って摺動し、第2のステー25は、支軸26Bを支点として上方(時計回りの方向)に回動し、上昇する。これにより、羽根体23の後縁部233が打上げ方向F1に跳ね上げられる(図8(b)参照)。
【0070】
この羽根体23の後縁部233における打上げ動作は、クランクピン313Bがロータ311Bの上死点に至るまで続行される。クランクピン313Bがロータ311Bの上死点に達したとき、水平軸線X−Xと第2のステー25の中心軸線P−Pとのなす角、すなわち、羽根体23の後縁部233の打上げ角α1が最大(最大打上げ角α1MAX)となる(図8(b)参照)。
【0071】
そして、クランクピン313Bがロータ311Bの上死点を超えると、第2のステー25は、支軸26Bを支点として下方(反時計回りの方向)に回動し、下降する。これにより、羽根体23の後縁部233が打下し方向F2に打付けられる(図8(c)参照)。
この羽根体23の後縁部233における打下し動作は、クランクピン313Bがロータ311Bの下死点に至るまで続行される。クランクピン313Bがロータ311Bの下死点に達したとき、水平軸線X−Xと第2のステー25の中心軸線P−Pとのなす角、すなわち、羽根体23の後縁部233の打下し角α2が最大(最大打下し角α2MAX)となる(図8(c)参照)。
【0072】
このように、第2のアクチュエータ312Bによるロータ311Bの正方向A1の連続的な回転駆動が、第2のクランク機構33により、支軸26Bを支点とする第2のステー25の往復運動(回動)に変換される。この第2のステー25の往復運動により、羽根体23の後縁部233には、最大打上げ角α1MAXおよび最大打下し角α2MAXに応じた羽ばたき角(α1MAX+α2MAX)の範囲で連続的な羽ばたき運動が付与される。
【0073】
このようにして、羽根体23の前縁部231および後縁部233がそれぞれ連続的な羽ばたき動作をし、これにより、羽根体23全体が連続的に羽ばたき動作を行う(羽ばたき状態となる)。
この場合、前述したように、第1、第2および第3のアクチュエータ312A、312B、312Cは、互いに協調して、第1、第2および第3のロータ311A、311B、311Cと、第1のクランク機構32と、第2のクランク機構33と、連動機構28とを介して、1対の第1のステー24および1対の第2のステー25を駆動する。
【0074】
図9は、図1中のIV−IV線での断面図であり、羽根体のピッチ角の調整状態を示す。
この場合、例えば、図4に示す第2の駆動機構30Bにおいて、ロータ311Bを正方向(時計回りの方向)A1または逆方向(反時計周りの方向)A2に所望の回転量で回転駆動するように、第2のアクチュエータ312Bが駆動制御される。
【0075】
図9(a)に示すように、羽根体23の後縁側基端部234を支持する第2のステー25は、図8(a)および図9(a)に示す初期待機状態において、第1のステー24の支持点を通る翼幅方向における水平軸線Y−Y上に位置する。
そして、例えば、第1のアクチュエータ312Aの停止状態、すなわち、羽根体23の前縁部231を支持する第1のステー24の停止状態において、第2のアクチュエータ312Bによりロータ311Bが正方向A1に回転駆動すると、第2のステー25は、上述したように、支軸26Bを支点として上方に回動し、上昇する。
【0076】
これにより、図9(b)に示すように、羽根体23の前縁部231が第1のステー24の軸周りに時計回りの方向に回転する。すなわち、羽根体23が第1のステー24の支持点を支点として上方に旋回(回転)する。このとき、第2のステー25は、ロータ311Bの回転駆動と共に羽根体23の後縁側基端部234に形成されたスライド片部235の長孔236に沿って翼幅方向に移動(摺動)する。
【0077】
前記羽根体23の上方への旋回動作により、羽根体23の上方(+方向)へのピッチ角(+β1)の調整がなわれる。この場合、羽根体23のピッチ角とは、第1のステー24の支持点を通る翼幅方向における水平軸線Y−Yと、第1のステー24による羽根体23の前縁側基端部232の支持点と第2のステー25による羽根体23の後縁側基端部234の支持点とを結ぶ直線Q−Qとのなす角(角度)を言う。
一方、図8(a)および図9(a)に示す羽根体23の初期待機状態において、第2のアクチュエータ312Bによりロータ311Bを逆方向A2に回転駆動すると、第2のステー25は、上述したように、支軸26Bを支点として下方に回動し、下降する。
【0078】
これにより、図9(c)に示すように、羽根体23の前縁部231が第1のステー24の軸周りに反時計回りの方向に回転する。すなわち、羽根体23が第1のステー24の支持点を支点として下方に旋回(回転)する。このとき、第2のステー25は、ロータ311Bの回転駆動と共に羽根体23の後縁側基端部234に形成されたスライド片部235の長孔236に沿って翼幅方向に移動(摺動)する。
前記羽根体23の下方への旋回動作により、羽根体23の下方(−方向)へのピッチ角(−β2)の調整がなされる。
【0079】
なお、上記した羽根体23のピッチ角の調整は、第1のステー24の駆動停止状態、すなわち、羽根体23の前縁部231における羽ばたき運動の停止状態の下で行ったが、これに限らず、第1のステー24および第2のステー25をそれぞれ駆動させて行うことも可能である。また、第2のステー25の駆動停止状態、すなわち、羽根体23の後縁部233における羽ばたき運動の停止状態の下で、第1のステー24を駆動させて行うことも可能である。
【0080】
上記した羽ばたき駆動装置20では、第1の駆動機構30Aは、図2に示すように、第1のステー24を介して羽根体23の前縁部231に羽ばたき運動を付与する。一方、第2の駆動機構30Bは、図4に示すように、第2のステー25を介して羽根体23の後縁部233に羽ばたき運動を付与する。第1および第2の駆動機構30A、30Bの第1および第2のアクチュエータ312A、312Bを互いに同期させて同時に駆動を開始すると、ロータ311A、311Bは同一回転速度で正方向A1に回転駆動する。これにより、羽根体23の前縁部231および後縁部233は、図9(a)に示すようなピッチ角(β1=β2=0)の状態を維持して、図8に示す羽ばたき運動を開始する。
飛行中において、羽根体23のピッチ角を調整する場合には、例えば、下記のようにする。
【0081】
第1には、第1の駆動機構30Aおよび第2の駆動機構30Bを駆動しているとき、第1の駆動機構30Aと第2の駆動機構30Bとの一方を停止する。第1の駆動機構30Aを停止すると、羽根体23の後縁部233は、第2のステー25の駆動で羽ばたき運動するが、羽根体23の前縁部231は、そのままの状態を維持する。そして、第1の駆動機構30Aを所定時間経過後に第2の駆動機構30Bと同期させて駆動させると、その時間的な位相ずれにより、羽根体23のピッチ角が可変される。同様に、第2の駆動機構30Bを停止すると、羽根体23の前縁部231は、第1のステー24の駆動で羽ばたき運動するが、羽根体23の後縁部233は、そのままの状態を維持する。そして、第2の駆動機構30Bを所定時間経過後に第1の駆動機構30Aと同期させて駆動させると、その時間的な位相ずれにより、羽根体23のピッチ角が変更される。
【0082】
第2には、第1の駆動機構30Aおよび第2の駆動機構30Bの駆動を停止しているとき、第1の駆動機構30Aのロータ311Aと第2の駆動機構30Bのロータ311Bとの一方を正方向A1または逆方向A2に所定時間回転駆動する。
第3には、第1の駆動機構30Aおよび第2の駆動機構30Bの駆動を停止しているとき、第1の駆動機構30Aのロータ311Aおよび第2の駆動機構30Bのロータ311Bを互いに逆方向に所定時間回転駆動する。
【0083】
第4には、第1の駆動機構30Aおよび第2の駆動機構30Bを駆動しつつ、第1の駆動機構30Aのロータ311Aの回転速度と、第2の駆動機構30Bのロータ311Bの回転速度とを一時的に異ならせる。このようなロータ311A、311B間の回転速度の差により、羽根体23のピッチ角が変更される。
次に、羽ばたき駆動装置20の飛行動作を具体的に説明する。
【0084】
飛行中における羽根体23の羽ばたき運動時(羽ばたき状態)において、羽根体23の前縁部231は、第1の駆動機構30Aおよび連動機構28により一様な羽ばたき運動をする。同様に、羽根体23の後縁部233もまた、第2および第3の駆動機構30B、30Cを同期させることにより一様な羽ばたき運動をする。
【0085】
そして、羽根体23の打下ろし時には、第1の駆動機構30Aと、第2および第3の駆動機構30B、30Cとを同期させる。また、図9(b)に示すように、羽根体23の後縁部233が第2および第3の駆動機構30B、30Cにより旋回調整され、羽根体23のプラス方向のピッチ角(+β1)が小さくなるように、または、羽根体23のピッチ角が0になるように調整される。これにより、羽根体23の打下ろし時に翼裏面側に受ける空気抵抗が大きくなり、大きな揚力が得られる。その結果、羽ばたき駆動装置20の上昇力が高まる。
【0086】
一方、羽根体23の打上げ時には、図9(c)に示すように、羽根体23の後縁部233が第2および第3の駆動機構30B、30Cにより下方の最大限まで旋回調整され、羽根体23のマイナス方向のピッチ角(−β2)が最大値に調整される。これにより、羽根体23の打上げ時に翼表面側に受ける空気抵抗が小さくなる。その結果、羽根体23の打上げ時における羽ばたき駆動装置20の下降量が最小限に抑えられる。
【0087】
また、羽ばたき駆動装置20は、羽根体23の羽ばたき角を一定に保持することにより、滑空する(滑空状態となる)。
すなわち、羽ばたき駆動装置20の滑空時においては、第1、第2および第3の駆動機構30A、30B、30Cによる羽根体23の羽ばたき運動が停止される。このとき、第2および第3の駆動機構30B、30Cが、気流(例えば、上昇気流等)に応じて、羽根体23の後縁部233を旋回調整することにより、ピッチ角の微小調整が行われる。これにより、羽根体23による羽ばたき駆動装置20の浮力の低下が防止され、滑空時における安定した水平飛行の姿勢が得られる。
【0088】
また、羽ばたき駆動装置20の下降時においては、図9(b)に示すように、羽根体23の後縁部233が第2および第3の駆動機構30B、30Cにより上方に旋回調整される。これにより、羽根体23は、プラス方向にピッチ角(+β1)が調整される。その結果、羽ばたき駆動装置20は、速やかに下降する。
逆に、羽ばたき駆動装置20の上昇時においては、図9(c)に示すように、羽根体23の後縁部233が第2および第3の駆動機構30B、30Cにより下方に旋回調整される。これにより、羽根体23は、マイナス方向にピッチ角(−β2)が調整される。その結果、気流の状態にもよるが、羽ばたき駆動装置20は、速やかに上昇する。
【0089】
また、羽ばたき駆動装置20の旋回時においては、第2および第3の駆動機構30B、30Cの駆動により、左右両羽根体23のピッチ角が相対的に調整される。これにより、羽ばたき駆動装置20の右旋回または左旋回が行われる。
ここで、本実施形態の羽ばたき駆動装置20(駆動装置1)は、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cのうちの2つまたはすべてを同期させて第1、第2、第3のロータ(移動体)311A、311B、311Cを回転駆動(駆動)する第1の協調モードと、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cのうちの2つまたはすべて位相差を持たせて第1、第2、第3のロータ311A、311B、311Cを回転駆動する第2の協調モードと、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cのうちの2つまたはすべてを差動させて第1、第2、第3のロータ311A、311B、311Cを回転駆動する第3の協調モードとを有している。
【0090】
前記第3の協調モードには、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cのうちの2つまたはすべてをそれらの駆動速度に差を持たせて同一方向に駆動するモード(第1の差動モード)と、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cのうちの1つまたは2つを逆方向に駆動するモード(第2の差動モード)と、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cのうちの1つまたは2つを停止状態とするモード(第3の差動モード)とが含まれている。
羽ばたき駆動装置20の飛行(作動)の際は、これらの各モードのうちから、所定の1または2以上のモードを選択し、それを実行する。これにより、羽ばたき駆動装置20の駆動を最適に行うことができる。
【0091】
前記第1の協調モードでは、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cのうちの2つまたはすべてを同期させることにより、1つのアクチュエータを駆動する場合に比べ、駆動トルクを増大(倍増)させることができる。すなわち、負荷に対する駆動トルクを分散させることができ、少ないエネルギーで1対の羽根体23、23を羽ばたき運動させることができる。しかも、羽根体23の羽ばたき速度(駆動速度)の可変範囲が広くなり、羽ばたき駆動装置20の速度(飛行速度や上昇・下降速度)の調整を容易かつ確実に行うことができる。
【0092】
前記第2の協調モードでは、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cのうちの2つまたはすべてに位相差を持たせることにより、飛行中における羽ばたき駆動装置20の各羽根体23のピッチ角の調整等を容易、円滑かつ確実に行うことができる。これにより、種々の状況やその状況変化に対応でき、理想的な飛行を行うことができる。
【0093】
前記第3の協調モードでは、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cのうちの2つまたはすべてを差動させることにより、飛行中における羽ばたき駆動装置20の各羽根体23のピッチ角の調整等を容易、円滑かつ確実に行うことができる。これにより、種々の状況やその状況変化に対応でき、理想的な飛行を行うことができる。
なお、この羽ばたき駆動装置20では、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cの出力特性は、同一でもよく、また、異なっていてもよい。
【0094】
以上説明述べたように、この羽ばたき駆動装置20によれば、独立した第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cを協調させて1対の羽根体23、23を駆動するので、飛行中においても各羽根体23の姿勢や位置の調整(変更)を容易かつ確実に行うことができる。
すなわち、飛行中における羽ばたき駆動装置20の羽ばたき運動や旋回・昇降姿勢等の調整が容易かつ確実に行えるとともに、飛行の持続性、滑空性能および上昇性能が向上し、飛行速度の調整も容易かつ確実に行える。しかも、小型軽量で少ないエネルギーで遠距離飛行が可能になるため、探査用小型飛行体として実用性に優れる。
【0095】
また、第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cが前述した振動体50で構成されているので、大きなトルクおよび大きなディテントトルクが得られるとともに、装置全体の小型化および軽量化を図ることができる。
また、第1、第2、第3のロータ311A、311B、311Cが第1、第2、第3のアクチュエータ312A、312B、312Cの振動体50にて直接駆動(回転)されるため、装置全体の小型化、軽量化に特に有利であるとともに、部品点数を削減することができ、構造を極めて簡素化することができ、また、コストを低減することができる。
【0096】
また、振動体50の面内振動を第1、第2、第3のロータ311A、311B、311Cの回転運動(駆動)に変換するため、機械的変換に伴なうエネルギーロスが少なく、第1、第2、第3のロータ311A、311B、311Cを高い効率で駆動することができる。
また、通常の電動モータのような磁力で駆動する場合と異なり、振動体50からの振動伝播による摩擦摺動により第1、第2、第3のロータ311A、311B、311Cが回転駆動されることから、第1、第2、第3のロータ311A、311B、311Cに対する駆動力が高い。したがって、変速機構(減速機構)を介さなくても、十分な駆動力で、第1、第2、第3のロータ311A、311B、311Cを回転駆動させることができる。
【0097】
なお、本実施形態では、羽根体23は、1対設けられているが、本発明では、羽根体23の数はこれに限らず、羽根体23が、例えば、2対設けられていてもよく、また、3対以上設けられていてもよい。
また、図10に示すように、羽根体23の前縁側基端部232を支持する第1のステー24と、後縁側基端部234を支持する第2のステー25との間の距離(離間間隔)を、本実施形態より小さくしてもよい。
これにより、羽根体23のピッチ角を、本実施形態より大きく変更することができる。すなわち、羽根体23のピッチ角を調整し得る範囲が広くなるとともに、瞬時に調整できるようになる。
【0098】
以上、本発明の駆動装置および稼動装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
なお、前記実施形態では、各アクチュエータとして、それぞれ、正逆両方向に駆動し得るものを用いているが、本発明では、これに限らず、各アクチュエータとして、それぞれ、一方向のみに駆動し得るものを用いてもよい。
【0099】
また、前記実施形態では、複数のアクチュエータがそれぞれ被駆動体を間接的に駆動するように構成されているが、例えば、複数のアクチュエータがそれぞれ被駆動体を直接駆動するように構成されていてもよく、また、複数のアクチュエータのうちの一部が被駆動体を直接駆動し、残部が被駆動体を間接的に駆動するように構成されていてもよい。
【0100】
また、前記実施形態では、アクチュエータの個数は、3個であったが、本発明では、アクチュエータの個数は、2個または4個以上であってもよい。
また、前記実施形態では、駆動装置を羽ばたき駆動装置の駆動装置に適用した場合、すなわち、稼動装置を羽ばたき駆動装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明では、駆動装置の用途、すなわち、稼動装置は、羽ばたき駆動装置には限定されない。換言すれば、本発明の稼動装置は、本発明の駆動装置と、この駆動装置により駆動制御される被制御体とを有するものであれば、いかなるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態(羽ばたき駆動装置)を示す平面図。
【図2】図1中のII−II線での断面図。
【図3】連動機構の説明図。
【図4】図1中のIII−III線での断面図。
【図5】アクチュエータを構成する振動体の斜視図。
【図6】図5中のI−I線での断面図。
【図7】アクチュエータの駆動制御回路の構成例を示すブロック図。
【図8】羽根体の羽ばたき運動(羽ばたき状態)を示す説明図。
【図9】図1中のIV−IV線での断面図。
【図10】羽ばたき駆動装置の他の構成例を示す平面図。
【符号の説明】
1…駆動装置、50…振動体、51…凸部、52a〜52d…第1の電極、53…第1の圧電素子、54…補強板、55…第2の圧電素子、56a〜56d…第2の電極、57…第1のグループ電極、58…第2のグループ電極、6…取付部材、7…軸受部、8…ロータリエンコーダ、81…スリット回転板、82…センサ、9…スイッチング回路、90A…第1の切換スイッチ部、90B…第2の切換スイッチ部、91…端子、92、93…切換端子、94…端子、95、96…切換端子、10…駆動回路、101…発振回路、102…増幅回路、103…移動量制御回路、20…羽ばたき駆動装置、21、22…フレーム、23…羽根体、231…前縁部、232…前縁側基端部、233…後縁部、234…後縁側基端部、235…スライド片部、236…長孔、24…第1のステー、25…第2のステー、26A、26B…支軸、27A、27B…支軸、28…連動機構、281…扇形歯車、282…扇形歯車、29A、29B…回転軸、30A…第1の駆動機構、311A…第1のロータ、311a…摺動面、312A…第1のアクチュエータ、313A…クランクピン、314…クランクアーム、315…ピン、30B…第2の駆動機構、311B…第2のロータ、311b…摺動面、312B…第2のアクチュエータ、313B…クランクピン、316…スライド溝、30C…第3の駆動機構、311C…第3のロータ、311c…摺動面、312C…第3のアクチュエータ、32…第1のクランク機構、33…第2のクランク機構
Claims (19)
- 複数の被駆動体と、前記複数の被駆動体をそれぞれ駆動する複数のアクチュエータとを備える駆動装置であって、
前記各アクチュエータは、電気/機械変換素子を備え、前記電気/機械変換素子に電力を与えることにより変位し、対応する前記被駆動体に駆動力を付与する変形素子で構成されており、
前記各アクチュエータを互いに協調させて対応する前記被駆動体を駆動することを特徴とする駆動装置。 - 前記協調には、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つを同期させて前記被駆動体を駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つに位相差を持たせて前記被駆動体を駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つを差動させて前記被駆動体を駆動する場合とのうちの少なくとも1つが含まれる請求項1に記載の駆動装置。
- 前記差動には、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つをそれらの駆動速度に差を持たせて同一方向に駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つを逆方向に駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つを停止状態とする場合とのうちの少なくとも1つが含まれる請求項2に記載の駆動装置。
- 被制御体に連結される複数の被駆動体と、前記複数の被駆動体をそれぞれ駆動する複数のアクチュエータとを備える駆動装置であって、
前記各アクチュエータは、電気/機械変換素子を備え、前記電気/機械変換素子に電力を与えることにより変位し、対応する前記被駆動体に駆動力を付与する変形素子で構成されており、
前記各アクチュエータを互いに協調させて対応する前記被駆動体を駆動することを特徴とする駆動装置。 - 被制御体に連結される複数の被駆動体と、前記複数の被駆動体とそれぞれ連動する複数の移動体と、前記複数の移動体をそれぞれ駆動する複数のアクチュエータとを備える駆動装置であって、
前記各アクチュエータは、電気/機械変換素子を備え、前記電気/機械変換素子に電力を与えることにより変位し、対応する前記移動体に駆動力を付与する変形素子で構成されており、
前記各アクチュエータを互いに協調させて、対応する前記移動体を介して対応する前記被駆動体を駆動することを特徴とする駆動装置。 - 前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つについては、前記変形素子は、振動体であり、前記移動体に当接して設けられ、振動により、前記移動体に力を繰り返し加えて前記移動体を駆動する請求項5に記載の駆動装置。
- 前記移動体は、回転自在に設けられたロータである請求項5または6に記載の駆動装置。
- 前記被制御体は、羽ばたき駆動装置の羽根体である請求項4ないし7のいずれかに記載の駆動装置。
- 前記被制御体は、羽ばたき駆動装置のフレームに対し、左右対称的に設けられる少なくとも1対の羽根体であり、
前記被駆動体は、前記羽根体の前縁側基端部を支持し、前記フレームに対し、支軸を支点として回動自在に設けられた第1のステーと、前記羽根体の後縁側基端部を支持し、前記フレームに対し、支軸を支点として回動自在に設けられた第2のステーとを有し、
前記移動体は、前記第1のステーと連動し、回転自在な第1のロータと、前記第2のステーと連動し、回転自在な第2のロータとを有し、
前記第1のロータは、回転運動を往復運動に変換する第1の回転/往復運動変換機構を介し、前記第1のステーを前記支軸を支点として往復運動させ、該第1のステーの往復運動により、前記羽根体の前縁部の羽ばたき動作を行い、
前記第2のロータは、回転運動を往復運動に変換する第2の回転/往復運動変換機構を介し、前記第2のステーを前記支軸を支点として往復運動させ、該第2のステーの往復運動により、前記羽根体の後縁部の羽ばたき動作を行う請求項5ないし7のいずれかに記載の駆動装置。 - 前記被制御体は、羽ばたき駆動装置のフレームに対し、左右対称的に設けられる1対の羽根体であり、
前記被駆動体は、前記羽根体の前縁側基端部を支持し、前記フレームに対し、支軸を支点として回動自在に設けられた第1のステーと、前記羽根体の後縁側基端部を支持し、前記フレームに対し、支軸を支点として回動自在に設けられた第2のステーとを有し、
前記移動体は、前記第1のステーと連動し、回転自在な第1のロータと、前記第2のステーと連動し、回転自在な第2のロータとを有し、
前記第1のロータは、回転運動を往復運動に変換する第1の回転/往復運動変換機構を介し、前記第1のステーを前記支軸を支点として往復運動させ、該第1のステーの往復運動により、前記羽根体の前縁部の羽ばたき動作を行い、
前記第2のロータは、回転運動を往復運動に変換する第2の回転/往復運動変換機構を介し、前記第2のステーを前記支軸を支点として往復運動させ、該第2のステーの往復運動により、前記羽根体の後縁部の羽ばたき動作を行う請求項5ないし7のいずれかに記載の駆動装置。 - 前記第2のステーは、前記羽根体の後縁側基端部を該羽根体の翼幅方向に移動し得るように支持する請求項9または10に記載の駆動装置。
- 前記左右対称的に設けられる1対の羽根体の前記第1のステーのそれぞれは、互いに連動して同一方向に駆動され、前記第2のステーのそれぞれは、互いに独立して駆動される請求項9ないし11のいずれかに記載の駆動装置。
- 前記第2のステーを前記支軸を支点として、前記第1のステーに対し、相対的に回動させることにより、前記羽根体のピッチ角を調整するよう構成されている請求項9ないし12のいずれかに記載の駆動装置。
- 前記羽根体の打上げ時は、該羽根体のピッチ角が比較的大きくなり、前記羽根体の打下げ時は、該羽根体のピッチ角が比較的小さくなるように調整する請求項8ないし13のいずれかに記載の駆動装置。
- 前記羽ばたき駆動装置が、前記羽根体の羽ばたき角を一定に保持した滑空状態と、前記羽根体が連続的に羽ばたき動作を行う羽ばたき状態とをとり得るよう構成されている請求項8ないし14のいずれかに記載の駆動装置。
- 前記協調には、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つを同期させて前記被駆動体を駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つに位相差を持たせて前記被駆動体を駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つを差動させて前記被駆動体を駆動する場合とのうちの少なくとも1つが含まれる請求項4ないし15のいずれかに記載の駆動装置。
- 前記差動には、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも2つをそれらの駆動速度に差を持たせて同一方向に駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つを逆方向に駆動する場合と、前記複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つを停止状態とする場合とのうちの少なくとも1つが含まれる請求項16に記載の駆動装置。
- 前記電気/機械変換素子は、圧電素子である請求項1ないし17のいずれかに記載の駆動装置。
- 請求項1ないし18のいずれかに記載の駆動装置と、
前記駆動装置により駆動制御される被制御体とを有することを特徴とする稼動装置。
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Cited By (1)
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US10097111B2 (en) | 2015-03-04 | 2018-10-09 | Seiko Epson Corporation | Piezoelectric drive device and robot |
-
2003
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Cited By (1)
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US10097111B2 (en) | 2015-03-04 | 2018-10-09 | Seiko Epson Corporation | Piezoelectric drive device and robot |
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