JP4192435B2 - 放射線画像変換パネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は希土類付活バリウム弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体を用いる放射線画像変換パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
X線画像のような放射線画像は病気診断用などに多く用いられている。このX線画像を得るために被写体を通過したX線を蛍光体層(蛍光増感スクリーン)に照射し、これにより可視光を生じさせてこの可視光を通常の写真を撮るときと同じように銀塩を使用したフィルムに照射して現像した、いわゆる放射線写真が利用されている。しかし近年銀塩を塗布したフィルムを使用しないで蛍光体層から直接画像を取り出す方法が工夫されるようになった。
【0003】
この方法としては被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体を例えば光又は熱エネルギーで励起することによりこの蛍光体が上記吸収により蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射し、この蛍光を検出し画像化する方法がある。
【0004】
具体的には、例えば米国特許3,859,527号及び特開昭55−12144号などに記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線画像変換方法が知られている。
【0005】
この方法は輝尽性蛍光体を含有する放射線画像変換プレート或いは放射線画像変換パネルと呼ばれるものを用いて、輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線を当てて被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線エネルギーを蓄積させて、その後に輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱による信号を例えば光電変換し、電気信号を得て、この信号を感光フィルムなどの記録材料やCRTなどの表示装置上に可視像として再生するものである。
【0006】
上記の放射線画像記録再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、輝尽性蛍光体層や放射線画像変換パネル本体には、往々にして膜厚ムラや厚みムラが生じる場合がある。これは、蛍光体等の固体粒子を分散した塗布液で形成したものであるため、塗布時に固体粒子の沈殿・凝集が起こりやすく、これらが塗布膜厚の不均一や塗膜面のざらつきといった塗布故障を引き起こすことが原因となるからである。輝尽性蛍光体層に膜厚ムラが生じている場合、発光輝度にバラツキが生じ、構造モトルとして観察された。
【0008】
又放射線画像変換パネル本体に厚みムラがある場合、輝尽発光の集光体部材への距離にバラツキが生じ、構造モトルとして観察された。
【0009】
放射線画像変換パネルの画質はX線量子モトルや光量子モトル、構造モトルからなる粒状性、鮮鋭性の面から評価することができる。この中で、構造モトルは一般に高線量を照射したとき、或いは人体の縦隔部など線量が他部位に比して多くパネルに到達する場合、観察されるモトル(ノイズ)として知られている。構造モトル発生の主原因は放射線画像変換パネルの構造に起因するムラであり、例えX線源から空間的に均一なX線を照射しても現れるものである。
【0010】
例えば、輝尽性蛍光体層の厚みが均一でない場合、X線の吸収に差が生じ、その結果、輝尽発光信号量として差が生じ、画像上、モトルとなって観察されてしまう。
【0011】
又、放射線画像変換パネル本体に厚みの差が有る場合、集光部材への距離にムラができ、輝尽発光信号値にムラが生じ、画像上ムラとなって観察される。これは、0.5lp/mmの低周波の構造モトルである。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、輝尽性蛍光体層の膜厚ムラがなく、均一な膜厚を有し、構造モトルの発生のない放射線画像変換パネルを提供すること、又放射線画像変換パネル本体に厚みムラがなく、均一な厚みを有し、構造モトルの発生のない放射線画像変換パネルを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は以下の構成により、達成された。
【0014】
1.支持体上に、輝尽性蛍光体を含有する輝尽性蛍光体層と、保護層とをこの順に有する放射線画像変換パネルであって、前記蛍光体層上の任意の2点間の距離を10mmとしたとき、任意の10組の各2点における蛍光体層の厚みの差の平均値T1と、各測定点での蛍光体層の厚みの平均値A1が以下の関係式を満たし、且つ、パネル上の任意の2点間の距離を10mmとしたとき、任意の10組の各2点におけるパネルの厚みの差の平均値T 2 と、各測定点でのパネルの厚みの平均値A 2 が以下の関係式2を満たすことを特徴とする放射線画像変換パネル。
関係式1 0≦T 1 /A 1 ≦0.005
関係式2 0≦T 2 /A 2 ≦0.005
【0016】
.上記輝尽性蛍光体層が上記一般式(1)で表される希土類付活バリウム弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする1記載の放射線画像変換パネル。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の請求項1の放射線画像変換パネルにおける輝尽性蛍光体層(以下、蛍光体層)は、任意の2点間の距離を10mmとしたとき、任意の10組の各2点における蛍光体層の厚み(膜厚)の差の平均値T1と、各測定点での蛍光体層の厚みの平均値A1との関係(T1/A1)が0〜0.005であり、且つパネル上の任意の2点間の距離を10mmとしたとき、任意の10組の各2点におけるパネルの厚みの差の平均値T 2 と、各測定点でのパネルの厚みの平均値A 2 の関係(T 2 /A 2 )が0〜0.005の範囲にあることを特徴とする。即ち、蛍光体層の膜厚が均一であることの指標として、蛍光体層面上の特定の領域間における蛍光体層の厚みの差の平均値T1と、各測定点での蛍光体層の厚みの平均値A1を比較した結果、その関係(T1/A1)が0〜0.005の範囲にあり、且つ上記の関係(T 2 /A 2 )が0〜0.005の範囲にある場合には、塗布膜面が均一化された蛍光体層が形成されているものとする。
【0018】
ここで「任意の2点間」とは、蛍光体層の膜厚を測定する為に任意に選ばれた蛍光体層面上の2点のポイントのことであり、本発明では、この2点間を10mmに設定して各ポイントにおける蛍光体層の膜厚を測定し、その膜厚の差を算出する。又、「任意の10組の各2点」とは、上記のようにして測定を行った2点間での蛍光体層の膜厚の差を10組分繰り返して測定したもののことであり、その各2点での膜厚の差を平均して得られたのが平均値T1である。又、「各測定点」とは、上記の如く蛍光体層の膜厚を測定した2点のポイントの10組分のうちの個々のことであり、全20点の蛍光体層の厚みの平均を算出して得られたものが平均値A1である。
【0019】
本発明において、任意の2点間の距離を10mmとした理由は、0.01から0.5line/mmの低周波における構造モトルとの相関はこの距離の2点間の膜厚を測定することが望ましいからである。
【0020】
又蛍光体層の厚みの測定は、パネルの厚み、即ち支持体と共に蛍光体層の膜厚を膜厚測定計、例えばミューメイト(ソニーマグネスケール社製)で測定を行って得られた厚みの値から、予め測定して得られた支持体の厚みを除く方法が用いられる。これによって任意の各点における蛍光体層の膜厚が測定される。
【0021】
放射線画像変換パネルの蛍光体層の膜厚に対し、実用が可能な範囲で適性な条件を模索した結果、得られた膜厚の分布が、上記の0≦T1/A1≦0.005の関係式を満たす場合には、蛍光体層の膜厚の厚みムラが最小限に抑えられるため、塗布膜厚が均一で、平滑な塗布液面の状態とすることが出来、構造モトルの発生が抑えられる。
【0022】
上記の関係式を満たし、蛍光体層の膜厚の厚みムラを抑えるためにはいくつかの手段が挙げられる。最も有効な手段としては、蛍光体層塗布液の液物性を調整する手段と、塗布・乾燥の条件を調整する手段があり、本発明者らはこれらに着目した。
【0023】
流動性が大きい塗布液は、塗布直後から乾燥して固定化されるまでに塗布液の移動が生じないようにすることが必要である。その具体的方法としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0024】
1)塗布液の粘度を上げること
2)塗布装置における支持体(ウェブ)を水平に搬送する
3)塗布液の乾燥を早くし、液自体が流動する前に塗布膜の固定化を早める
以下、順を追って説明する。
【0025】
1)塗布液の粘度を上げること
塗布直後の塗膜の流動による塗膜厚みの不均一の問題は、塗膜が厚いことのみならず、塗布液が分散物を含有している場合には分散物の平均粒径が小さかったり、塗膜の結合剤(バインダー)のガラス転移点Tgが低かったりすると顕著に現れる。又、支持体のガラス転移点Tgが低い樹脂フィルム支持体の場合には、高温での乾燥工程で支持体が凸凹を発生し易く、更に顕著に膜厚不均一の問題が起きやすい。従って、塗布液の粘度を上げて支持体上での流動を抑えることが提案される。
【0026】
そこで塗布液としては、蛍光体の平均粒径が1〜10μmであって、結合剤として、ガラス転移点Tg90℃以下、好ましくはTg50℃以下の柔らかい樹脂、例えばポリエステル樹脂を含むものであれば、好ましい。
【0027】
具体的には、例えば剪断速度範囲0.1〜50(1/s)のときの粘度差(最大値−最小値)が20Pa・S以上である非ニュートン性塗布液を、200μm以上の比較的高膜厚に塗布する場合に効果があり、塗布膜厚が均一で、平滑な塗布液面状を得ることが出来る。蛍光体としては、その平均粒径は1〜10μmであることが好ましい。ここで平均粒径は、任意の蛍光体100個について、それぞれの体積を球換算したときの直径の平均値のことである。
【0028】
又、塗膜の膜厚分布が6%以下であることが好ましい。膜厚分布は上述の乾燥膜厚で測定を行う。塗膜表面の任意の1直線上で膜厚を測定し、その高低差が平均膜厚に対して3%以下であるものを指す。
【0029】
又、支持体と塗膜の間には、乾燥膜厚5〜50μmの下引き層を形成することが塗膜の流動を抑制する上で好ましい。塗膜の溶媒を吸収し、早く流動停止点(塗膜の流動が停止するまでの状態)に達することが可能となるからである。下引き層の素材としては、ポリエステル樹脂又はポリウレタン樹脂を含有することが好ましい。
【0030】
2)塗布装置における支持体(ウェブ)を水平に搬送する
支持体上の塗膜の乾燥膜厚が20μm以上ある場合には、塗布直後にウェットな状態の塗膜が流動しやすい問題がある。例えば、塗布直後の搬送経路が急な傾斜を有していたりすると、塗布液が自重で垂れてきて、塗膜の膜厚を不均一にするといった問題である。そのため膜厚の厚い場合にあっては、少なくとも塗布直後から乾燥工程に入って塗膜の流動が停止するまでの間(=恒率乾燥が終了するまでの間)、水平に搬送することが好ましい。
【0031】
従って、蛍光体層塗布液は、連続搬送する支持体上に塗布された後、乾燥工程に至るまでは、塗布された塗布膜が流動しないように水平に搬送を行うことで塗膜の流動が抑えられる。水平に搬送するためには、支持体を摩擦係数の小さい板上を搬送させたり、支持体をほぼ同速走行しているエンドレスベルト上に乗せた状態で搬送する等で行われる。後者のエンドレスベルトで搬送する場合、エンドレスベルトを支持体の搬送速度より少し速くして搬送することも行われる。
【0032】
3)塗布液の乾燥を早くし、液自体が流動する前に塗布膜の固定化を早める
塗布工程を経て、ウェットな状態の塗膜が乗った支持体は、支持搬送手段の上を移送され、乾燥工程に入る。乾燥工程は、加熱風源から送り込まれる加熱風を吹き出して塗膜に吹き付けて乾燥を行う。
【0033】
ウェットな状態の塗膜は上述のように流動しやすく、塗膜表面が荒れやすいため、流動停止の状態となるまでは、塗膜に搬送ローラ等を接触させない。よって、塗布工程直後の乾燥方法としては、塗膜の乾燥を早くし、塗布液自体が流動する前に塗膜の固定化を早める方法を採用するのがよく、例えば塗膜に加熱風を吹き付ける乾燥であって、乾燥の途中で流動停止となるよう設定することが好ましい。ここで流動停止とは、塗膜の恒率乾燥が終了した時点のことである。流動停止点は、乾燥中であればどこでも問題ないが、全搬送長の2/3までに存在すると好ましく、更に好ましくは1/3までである。
【0034】
加熱風の温度としては、塗布液の組成や塗膜の厚み等と関連するが、乾燥膜厚が20μm以上と厚く、塗布液に有機溶媒を含有する場合には、40〜100℃であることが膜厚の均一性やムラ等の欠陥の点で好ましく、更に好ましくは60〜100℃程度である。又、加熱風の風速としては、同様に塗布液の組成や塗膜の厚み等と関連するが、乾燥膜厚が20μm以上と厚く、塗布液に有機溶媒を含有する場合には、1m/秒以下であると膜厚の均一性や傷等の欠陥の点で好ましく、更に好ましくは0.5m/秒以下である。
【0036】
ここで前記関係(T 2 /A 2 )における「任意の2点間」とは、パネルの厚みを測定する為に任意に選ばれた蛍光体層面上の2点のポイントのことであり、本発明では、この2点間を10mmに設定して各ポイントにおけるパネルの厚みを測定し、その厚みの差を算出する。又、「任意の10組の各2点」とは、上記のようにして測定を行った2点間でのパネルの厚みの差を10組分繰り返して測定したもののことであり、その各2点での厚みの差を平均して得られたのが平均値T2である。又、「各測定点」とは、上記の如くパネルの厚みを測定した2点のポイントの10組分のうちの個々のことであり、全20点のパネルの厚みの平均を算出して得られたものが平均値A2である。
【0037】
又パネルの厚みを測定するには、パネルの厚みを上記の膜厚測定計ミューメイト(ソニーマグネスケール社製)を用いて測定を行うことによって各任意の点におけるパネルの厚みが測定される。
【0038】
放射線画像変換パネルの厚みに対し、実用が可能な範囲で適性な条件を模索した結果、得られた膜厚の分布が、上記の0≦T2/A2≦0.005の関係式を満たす場合には、集光部材との距離にムラがなく最小限に抑えられ、輝尽発光信号値のムラによる画像上のムラが最小限に抑えられるため、構造モトルの発生が抑えられる。
【0039】
上記の関係式を満たし、放射線画像変換パネルの厚みムラを抑えるためにはいくつかの手段が挙げられる。その具体的方法としては、例えば以下のものが挙げられる
1)保護層の膜厚を均一化する
2)蛍光体層の膜厚を均一化する
3)支持体の膜厚を均一化する
4)下引きや接着層の膜厚を均一化する
上記保護層、蛍光体層、下引きや接着層の膜厚を均一にして塗布する方法としては、上述したように、液粘度を上げたり、連続搬送される支持体(ウェブ)を水平に搬送しながら蛍光体層塗布液の塗布を行う方法、塗布液の乾燥を早くし、液自体が流動する前に塗布膜の固定化を早める方法に準じて行うことができる。
【0040】
又、乾燥工程中における塗膜の流動による膜厚変化や、乾燥ムラの発生等を有効に防止した乾燥を行ない、均一な膜厚の塗布膜を形成する方法として、例えば特開2000−237677には、ベルト上で連続搬送される支持体上に塗布された塗布液を乾燥する方法であって、該支持体を搬送するベルトの素材として、織り糸がベルトの走行方向に対して傾斜状態とした布地を採用することが記載され、特開2001−70866には、塗膜面にざらつきがなく、塗布膜厚が均一な塗布方法として、連続走行する支持体とドクターナイフと塗布液ダムとにより形成される塗布液溜め内の塗布液を、支持体の幅方向に均一に撹拌して塗布することが記載され、又特開2001−84459には、高粘度分散液を塗布液として塗布する場合でもダイコーター内の塗布液の流動性を均一にし、良好な塗布が行えるよう、ダイコーターのスロット出口近傍に液をためるポケットを設けて塗布することが記載されており、これらを適宜採用して各層の膜厚の均一化を図ることができる。
【0041】
又、支持体の膜厚の均一化は、例えば、高分子フィルムベースの成形時の作製条件を最適化することにより達成できる。例えばPETベースの場合、延伸によりベースを形成するが、そのときの温度、延伸速度、延伸方向、冷却温度などが主要因子である。
【0042】
次に、蛍光体層を説明する。本発明に係る蛍光体層は、少なくとも輝尽性蛍光体(単に、蛍光体ともいう)と樹脂とを含有する。最適な蛍光体層の乾燥膜厚としては50〜500μmが好ましいが、150〜300μmが更に好ましい。
【0043】
蛍光体層に用いることのできる樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。中でもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース等を挙げることができ、ポリエステル、ポリウレタンが好ましい。
【0044】
本発明の放射線画像変換パネルに用いられる蛍光体としては下記のものが一例として挙げられる。
【0045】
(1)特開昭55−12145号に記載されている(Ba1−X,M(II)+X)FX:yA、(式中、M(II)はMg、Ca、Sr、ZnおよびCdのうちの少なくとも一つ、XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、およびErのうちの少なくとも一つ、そしては、0≦x≦0.6、yは、0≦y≦0.2である)の組成式で表される希土類元素付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体;又、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0046】
(a)特開昭56−74175号に記載されている、X′、BeX″、M(III)X′′′3、式中、X′、X″、およびX′′′はそれぞれCl、BrおよびIの少なくとも一種であり、M(III)は三価金属である;
(b)特開昭55−160078号に記載されているBeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al23、Y23、La23、In23、SiO2、TiO2、ZrO2、GeO2、SnO2、Nb25、Ta25およびThO2などの金属酸化物;
(c)特開昭56−116777号に記載されているZr、Sc;
(d)特開昭57−23673号に記載されているB;
(e)特開昭57−23675号に記載されているAs、Si;
(f)特開昭58−206678号に記載されているM・L、式中、MはLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属である;
(g)特開昭59−27980号に記載されているテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物;特開昭59−27289号に記載されているヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニウム酸の一価もしくは二価金属の塩の焼成物;
特開昭59−56479号に記載されているNaX′、式中、X′はCl、BrおよびIのうちの少なくとも一種である;
(h)特開昭59−56480号に記載されているV、Cr、Mn、Fe、CoおよびNiなどの遷移金属;特開昭59−75200号に記載されているM(I)X′、M′(II)X″2、M(III)X′′′3、A、式中、M(I)はLi、Na、K、Rb、およびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、M′(II)はBeおよびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属を表し、M(III)はAl、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、Aは金属酸化物であり、X′、X″、およびX′′′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;
(i)特開昭60−101173号に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;
(j)特開昭61−23679号に記載されているM(II)′X′2・M(II)′X″2、式中、M(II)′はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X′およびX″はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX′≠X″である;更に、特開昭61−264084号明細書に記載されているLnX″3、式中、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである。
【0047】
(2)特開昭60−84381号に記載されているM(II)X2・aM(II)X′2:xEu2+、(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XおよびX′はCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1≦a≦10.0、xは0<x≦0.2である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体;又、この蛍光体には以下のような添加物が含まれていてもよい;
(a)特開昭60−166379号に記載されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;
(b)特開昭60−221483号に記載されているKX″、MgX′′′2、M(III)X″″3、式中、M(III)はSc、Y、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;X″、X′′′およびX″″は何れもF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;
(c)特開昭60−228592号に記載されているB、特開昭60−228593号に記載されているSiO2、P25等の酸化物、特開昭61−120882号に記載されているLiX″、NaX″、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;
(d)特開昭61−120883号に記載されているSiO;特開昭61−120885号に記載されているSnX″2、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;
(e)特開昭61−235486号に記載されているCsX″、SnX′′′2、式中、X″およびX′′′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである;更に、特開昭61−235487号に記載されているCsX″、Ln3+、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;LnはSc、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素である;
(3)特開昭55−12144号に記載されているLnOX:xA、(式中、LnはLa、Y、Gd、およびLuのうち少なくとも一つ;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つ;AはCeおよびTbのうち少なくとも一つ;xは、0<x<0.1である)の組成式で表される希土類元素付活希土類オキシハライド蛍光体;
(4)特開昭58−69281号に記載されているM(II)OX:xCe、(式中、M(II)はPr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、およびIのうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1である)の組成式で表されるセリウム付活三価金属オキシハライド蛍光体;
(5)特開昭62−25189号明細書に記載されているM(I)X:xBi、(式中、M(I)はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光体;
(6)特開昭60−141783号に記載されているM(II)5(PO43X:xEu2+、(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体;
(7)特開昭60−157099号に記載されているM(II)2BO3X:xEu2+、(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロホウ酸塩蛍光体;
(8)特開昭60−157100号に記載されているM(II)2(PO43X:xEu2+、(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体;
(9)特開昭60−217354号に記載されているM(II)HX:xEu2+、(式中、M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属水素化ハロゲン化物蛍光体;
(10)特開昭61−21173号に記載されているLnX3・aLn′X′3:xCe3+、(式中、LnおよびLn′はそれぞれY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XおよびX′はそれぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類複合ハロゲン化物蛍光体;
(11)特開昭61−21182号に記載されているLnX3・aM(I)X′3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;M(I)はLi、Na、K、CsおよびRbからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体;
(12)特開昭61−40390号に記載されているLnPO4・aLnX3:xCe3+、(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;XはF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希土類ハロ燐酸塩蛍光体;
(13)特開昭61−236888号明細書に記載されているCsX:aRbX′:xEu2+、(式中、XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活ハロゲン化セシウム・ルビジウム蛍光体;
(14)特開昭61−236890号に記載されているM(II)X2・aM(I)X′:xEu2+、(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;M(I)はLi、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活複合ハロゲン化物蛍光体。
【0048】
上記の蛍光体のうちで、蛍光体粒子がヨウ素を含有していることが好ましく、例えば、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する希土類元素付活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体、およびヨウ素を含有するビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は、高輝度の輝尽発光を示すため好ましく、特に、本発明では、蛍光体が前記一般式(1)で表されるEu付加BaFBrI化合物であることが好ましい。
【0049】
以下に、本発明に係る蛍光体について、その蛍光体の製造方法を、例を挙げて以下に詳しく説明する。
【0050】
製造方法としては、粒子形状の制御が難しい固相法ではなく、粒径の制御が容易である液相合成法により行うことが好ましい。特に、下記の2つの液相合成法により蛍光体を得ることが好ましい。
【0051】
液相合成法による蛍光体の前駆体製造については、公知の前駆体製造方法及び装置が好ましく利用できる。ここで蛍光体前駆体とは、蛍光体が600℃以上の高温を経ていない状態を示し、蛍光体前駆体は、輝尽発光性や瞬時発光性を殆ど示さない。
【0052】
以下、蛍光体前駆体の製造方法について説明する。
本発明では、以下の液相合成法により前駆体を得ることが好ましい。
【0053】
(製造方法)
1)BaI2とLnのハロゲン化物を含む化合物の合成においては、xが0でない場合には更にM2のハロゲン化物を、aが0でない場合はM1のハロゲン化物を含み、それらが溶解した後、BaI2濃度が2.0mol/L以上、好ましくは2.7mol/L以上の溶液を調製する工程;
2)上記溶液を50℃以上、好ましくは80℃以上の温度に維持しながら、これに濃度5mol/L以上、好ましくは8mol/L以上の無機弗化物(弗化アンモニウム又はアルカリ金属の弗化物)の溶液を添加して、希土類付活アルカリ土類金属弗化沃化物系輝尽性蛍光体前駆体結晶の沈澱物を得る工程;
3)上記無機弗化物を添加しつつ、又は添加終了後、反応液から溶媒を除去する工程;
4)上記前駆体結晶沈澱物を反応液から分離する工程;
5)分離した前駆体結晶沈澱物を焼結を避けながら焼成する工程;
とを含む製造方法である。
【0054】
上記焼成工程は、蛍光体前駆体の結晶を、石英ボート、アルミナ坩堝、石英坩堝などの耐熱性容器に充填し、電気炉の炉心に入れて焼結を避けながら焼成を行う。焼成温度は400〜1,300℃の範囲が適当であり、500〜1,000℃の範囲が好ましい。焼成時間は、蛍光体原料混合物の充填量、焼成温度及び炉からの取出し温度などによっても異なるが、一般には0.5〜12時間が適当である。
【0055】
焼成雰囲気としては、窒素ガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等の中性雰囲気、又は少量の水素ガスを含有する窒素ガス雰囲気、一酸化炭素を含有する二酸化炭素雰囲気などの弱還元性雰囲気、或いは微量酸素導入雰囲気が利用される。焼成方法については、特開2000−8034に記載の方法が好ましく用いられる。上記の焼成によって目的の蛍光体が得られる。
【0056】
本発明に係る粒子(結晶)は、平均粒径が1〜10μmで、かつ単分散性のものが好ましく、平均粒径が1〜7μm、平均粒径の分布(%)が20%以下のものがより好ましい。
【0057】
本発明における平均粒径とは、粒子(結晶)の電子顕微鏡写真より無作為に粒子200個を選び、球換算の体積粒子径で平均を求めたものである。
【0058】
次いで、本発明の放射線画像変換パネルにおいて、上記説明した以外の構成要素について説明する。
【0059】
本発明の放射線画像変換パネルに用いられる支持体としては、各種高分子材料、ガラス、金属等が用いられる。特に、情報記録材料としての取り扱い上、可撓性のあるシートあるいはウェブに加工できるものが好適であり、この点からいえば、例えば、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウム、鉄、銅、クロム等の金属シートあるいは該親水性微粒子の被覆層を有する金属シートを挙げることができ、特に好ましくは、輝尽発光を反射させる白色の発泡ポリエチレンテレフタレートフィルムである。
【0060】
又、これら支持体の膜厚は、用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には3〜1000μmであり、取り扱い易さの観点からは、50〜250μmであることが好ましい。
【0061】
これらの支持体の表面は、滑面であってもよいし、蛍光体層との接着性を向上させる目的で、マット面としてもよい。
【0062】
更に、これら支持体は、蛍光体層との接着性を向上させる目的で、蛍光体層が設けられる面に下引層を設けてもよい。
【0063】
本発明において、下引層あるいは蛍光体層で用いることのできる結合剤としては、特に制限はないが、例えば、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、又はアラビアゴムのような天然高分子物質、あるいは、ポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。これらのなかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースを使用することが好ましい。又、これらの結合剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの結合剤は、架橋剤により架橋されたものであっても良く、架橋剤としてはイソシアネート及びその誘導体が好ましい。
【0064】
本発明に係る蛍光体の塗布液の調製及び形成は、以下の様にして行うことができる。
【0065】
蛍光体層塗布液には、沃素含有蛍光体、結合剤及び適当な溶剤の他、塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、又、形成後の蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤としては、例えば、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。又、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。又、蛍光体層塗布液中に、蛍光体粒子の分散性を向上させる目的で、例えば、ステアリン酸、フタル酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などの分散剤を混合してもよい。
【0066】
蛍光体層用塗布液の調製は、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、あるいは超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。
【0067】
上記のようにして調製された塗布液を、支持体上、あるいは支持体が下引層を有している場合には、下引層表面上に均一に塗布することにより塗膜を形成する。用いることのできる塗布方法としては、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーターなどを用いることができる。
【0068】
上記方法により形成された塗膜を加熱、乾燥して、下塗層上への蛍光体層の形成を完了する。蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は20〜1000μmであり、より好ましくは50〜500μmであり、特に好ましくは150〜300μmである。その際、蛍光体層上の任意の2点間の距離を10mmとしたとき、任意の10組の各2点における蛍光体層の厚みの差の平均値T1と、各測定点での蛍光体層の厚みの平均値A1が0≦T1/A1≦0.005となるように塗布、乾燥が行われるのとよい。
【0069】
支持体上に蛍光体層が塗設された蛍光体シートは、所定の大きさに断裁される。断裁に当たっては、一般のどのような方法でも可能であるが、作業性、精度の面から化粧断裁機、打ち抜き機等が望ましい。
【0070】
本発明の放射線画像変換パネルには、蛍光体層の表面を物理的、化学的に保護するための保護膜(保護フィルムともいう)を設けることが好ましく、それらの構成は目的、用途などに応じて適宜選択することができる。
【0071】
本発明の放射線画像変換パネルに設ける保護層としては、ASTMD−1003に記載の方法により測定したヘイズ率が、5%以上60%未満の励起光吸収層を備えたポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム等が使用できるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムが、透明性、強さの面で保護層として好ましく、更には、これらのポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム上に金属酸化物、窒化珪素などの薄膜を蒸着した蒸着フィルムが防湿性の面からより好ましい。
【0072】
本発明において、保護層で用いるフィルムは、必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数枚積層することで最適な防湿性とすることができ、蛍光体の吸湿劣化防止を考慮して、透湿度は少なくとも50g/m2・day以下であることが好ましい。樹脂フィルムの積層方法としては、特に制限はなく、公知の何れの方法を用いても良い。
【0073】
又、積層された樹脂フィルム間に励起光吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な衝撃や化学的な変質から保護され安定したプレート性能が長期間維持でき好ましい。又、励起光吸収層は複数箇所設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色剤を含有して、励起光吸収層としても良い。
【0074】
保護フィルムは、蛍光体層に接着層を介して密着していても良いが、蛍光体面を被覆するように設けられた構造(以下、封止又は封止構造ともいう)であることがより好ましい。蛍光体プレートを封止するに当たっては、公知の何れの方法でもよいが、防湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層樹脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとすることは、防湿性保護フィルムが融着可能となり蛍光体シートの封止作業が効率化される点で、好ましい形態の1つである。更には、蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側にある領域で、上下の防湿性保護フィルムをインパルスシーラー等で加熱、融着して封止構造とすることで、蛍光体シートの外周部からの水分進入も阻止でき好ましい。又、更には、支持体面側の防湿性保護フィルムが1層以上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層防湿フィルムとすることで、より確実に水分の進入を低減でき、又この封止方法は作業的にも容易であり好ましい。上記インパルスシーラーで加熱融着する方法においては、減圧環境下で加熱融着することが、蛍光体シートの防湿性保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排除する意味でより好ましい。
【0075】
防湿性保護フィルムの蛍光体面が接する側の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面は、接着していないことが好ましい。ここでいう接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性保護フィルムとが点接触していても、光学的、力学的には殆ど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として扱える状態のことである。又、上記の熱融着性を有する樹脂フィルムとは、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルムのことで、例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等を挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0076】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
【0077】
実施例1(比較例)
(BaFBr0.80.2:Eu蛍光体粒子の作製)
Ba0.993 Ca0.007 FBr0.850.15:0.004Eu,0.0006K,0.00002Cs,0.01Al23の製造
a)BaBr2水溶液(2.5モル/L)1200mlを4000mlの容積の反応器を入れ、これにEuBr3水溶液(0.2モル/L)37.5ml、KBr30.9g、CaBr2・2H2O 3.54g、及び水1762.5mlを添加した。この反応器中の反応母液(BaBr2濃度:1.00モル/L)を60℃に保温し、直径60mmのスクリュー型撹拌羽根を500rpmで回転させて、反応母液を撹拌した。NH4F水溶液(5モル/L)300mlを撹拌下に保温している上記の反応母液中にローラーポンプを用いて5.0ml/分の送液速度で注入し、沈殿物を生成させた。注入の完了後も保温と撹拌を2時間続けて沈殿物の熟成を行った。次に沈殿物を濾別し、メタノール2Lで洗浄した。次いで、洗浄した沈殿物を取り出し、120℃で4時間真空乾燥して、ユーロピウム付活弗化臭化バリウム蛍光体前駆体結晶(BaFBr結晶)を約350g得た。得られた結晶を走査型電子顕微鏡で観察したところ、その大部分が14面体型の結晶であった。次に、この結晶を光回折型粒子サイズ分布測定器(堀場製作所株式会社製:LA−500)で測定したところ、平均結晶サイズは5.0μmであることが確認された。
b)BaI2水溶液(4.0モル/L)2850mlを4000mlの容積の反応器に入れ、これにEuI3水溶液(0.2モル/L)90ml及び水60mlを添加した。この反応器中の反応母液(BaI2濃度:3.80モル/L)を60℃に保温し、直径60mmのスクリュー型撹拌羽根を500rpmで回転させて、反応母液を撹拌した。HF水溶液(5モル/L)720mlを、撹拌下に保温している上記の反応母液中にローラーポンプを用いて12ml/分の送液速度で注入し、沈殿物を生成させた。注入の完了後も保温と撹拌とを2時間続けて沈殿物の熟成を行った。次に沈殿物を濾別し、イソプロパノール2Lで洗浄した。次いで、洗浄した沈殿物を取り出し、120℃で4時間真空乾燥して、ユーロピウム付活沃化バリウム蛍光体前駆体結晶(BaFI結晶)を約1000g得た。得られた結晶を走査型電子顕微鏡で観察したところ、その大部分が14面体型の結晶であった。次に、この結晶を光回折型粒子サイズ分布測定器で測定したところ、平均結晶サイズは6.5μmであることが確認された。
c)上記のBFBr結晶を165g及びBFI結晶を35g取り、これにCsBr0.10g、そして焼成時の焼結を防止するためにアルミナ(Al23)の超微粒子粉体1.0g(0.5質量%)を添加し、ダブルコーンミキサーで充分に撹拌混合して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。
d)上記の混合物を石英ボートに充填し、チューブ炉を用い、窒素ガス雰囲気中、820℃で3時間焼成した。焼成の途中で酸素ガスを0.6%導入して微量の酸素ガスを含有する窒素ガス雰囲気とした。次に、炉内の温度を1時間半かけて700℃まで降温した後、真空排気し微量の酸素ガスを含有する窒素ガス雰囲気に置換した。次いで、炉内を大気に触れないようにして350℃以下まで冷却した後、焼成物を大気中に取り出した。
e)上記の焼成物1000gをメタノール1.5L中に分散させた後、ロールミル(回転速度:50rpm)を用いて15時間ほぐし処理を行った。次に、この焼成物のスラリーを振動篩(ナイロンメッシュ;#508)にかけて湿式分級を行った。次いで、このスラリーを10時間静置した後上澄み液を取り除いて、過剰なアルミナが除去されたスラリーを得た。
f)上記の焼成物スラリーを減圧濾過して固液分離を行った後、メタノールで洗浄し、150℃で10時間真空乾燥した。次に、この焼成物を再度振動篩(ナイロンメッシュ;#460)にかけて乾式分級を行った。このようにして、標記の組成式で表されるユーロピウム付活弗化臭化沃化バリウム蛍光体粒子を得た。得られた蛍光体粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、その大部分が原料結晶と同じく14面体の形状にあった。又、この結晶を光回折型粒子サイズ分布測定器で測定したところ、平均結晶サイズは6.0μmであった。
(放射線画像変換パネルの製造)
蛍光体層形成材料として、得られた14面体のユーロピウム付活弗化臭化沃化バリウム蛍光体粒子(BaFBr0.80.2:Eu)356g、ポリウレタン樹脂(住友バイエルウレタン(株)製、デスモラック4125)15.8g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0gをMEK:トルエン(1:1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度25〜30Pa・sの塗布液を調製した。この塗布液をドクターブレードを用いて下塗り付ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した後、80℃・30分間乾燥させて、平均厚み270μmの蛍光体層を形成した。
【0078】
次に、保護膜形成材料として、フッ素系樹脂:フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体(旭硝子(株)製ルミフロン LF100)70g、架橋剤:イソシアネート(住友バイエルウレタン(株)製デスモジュールZ4370)25g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂5g、及びシリコーン樹脂微粉末(KMP−590、信越化学工業(株)製、粒子径1〜2μm)10gをトルエン−イソプロピルアルコール(1:1)混合溶媒に添加し、塗布液を作った。この塗布液を上記のようにして予め形成しておいた蛍光体層上にドクターブレードを用いて塗布し、次に120℃・30分間熱処理して熱硬化させるとともに乾燥し、厚み10μmの保護膜を設けた。
【0079】
得られたパネルの蛍光体層の厚みと、パネル自体の厚みを以下の方法により測定を行った。結果を以下に示す。
【0080】
測定器;ミューメイト(ソニーマグネスケール社製)
測定条件;測定端子をアルコールなどで良く洗浄し、ゴミ異物を除去する。ゼロリセットを行った後、サンプルを挟み膜厚を測定する。
【0081】
得られたパネルの蛍光体層の厚みの差の平均値(T1);2.3μm
得られたパネルの蛍光体層の厚みの平均値(A1);270μm
1/A1;0.008
得られたパネルの厚みの差の平均値(T1);4.0μm
得られたパネルの厚みの平均値(A1);570μm
2/A2;0.007
実施例2(比較例)
蛍光体層の塗膜の乾燥方法を60℃・60分間とした他は実施例1と同様にして放射線画像変換パネルを製造し、同様にしてパネルの蛍光体層の厚みと、パネル自体の厚みを測定した。
【0082】
得られたパネルの蛍光体層の厚みの差の平均値(T1);3.2μm
得られたパネルの蛍光体層の厚みの平均値(A1);270μm
1/A1;0.012
得られたパネルの厚みの差の平均値(T1);3.1μm
得られたパネルの厚みの平均値(A1);570μm
2/A2;0.005
実施例3(比較例)
(BaFI:Eu蛍光体粒子の作製)
ユーロピウム付活弗化沃化バリウム輝尽性蛍光体の前駆体を合成するために、3.5モル/LのBaI2水溶液2500mlと0.2モル/LのEuI3水溶液125mlを反応器に入れ、この反応母液を撹拌しながら90℃で保温した。次いで10モル/L弗化アンモニウム水溶液250mlを反応母液中にローラーポンプを用いて注入し、沈殿を生成させ、更に2時間保温と撹拌を行い沈殿を熟成させた。
【0083】
沈殿を濾別してメタノールで洗浄した後、真空乾燥させてユーロピウム付活弗化沃化バリウムの結晶を得た。これに、焼成時の焼結による粒子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を1質量%添加し、ミキサーで充分に撹拌して、結晶表面にアルミナの微粒子を均一に付着させた。これを石英ボートに充填してチューブ炉を用いて窒素ガス雰囲気中、900℃で3時間焼成してユーロピウム付活弗化沃化バリウム蛍光体粒子を得た。平均結晶サイズは3.1μmであった。
(放射線画像変換パネルの製造)
得られた蛍光体粒子を分級して平均結晶サイズ3.0μmとし、該蛍光体342g及びポリエステル樹脂〔東洋紡(株)製、バイロン200〕18gをMEKとトルエン(1:1)の混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度25Pa・sの塗布液を調製した。この塗布液をドクターブレードを用いて厚み200μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した後、90℃・30分間乾燥させて平均厚み270μmの蛍光体層を形成した。
【0084】
一方、フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体樹脂〔旭硝子(株)製、ルミフロンLF100〕70g、架橋剤としてイソシアネート〔日本ポリウレタン(株)製、c−3041〕25gをトルエン−イソプロピルアルコール(1:1)混合溶媒に添加し、保護膜形成用塗布液を調製し、前記蛍光体層上にドクターブレードを用いて塗布し、120℃・30分間熱処理をして乾燥、熱硬化させて厚み10μmの保護膜を設け、放射線画像変換パネルを得た。
【0085】
パネルの蛍光体層の厚みと、パネル自体の厚みを実施例1と同様にして測定した。
【0086】
得られたパネルの蛍光体層の厚みの差の平均値(T1);2.8μm
得られたパネルの蛍光体層の厚みの平均値(A1);270μm
1/A1;0.010
得られたパネルの厚みの差の平均値(T1);3.5μm
得られたパネルの厚みの平均値(A1);570μm
2/A2;0.006
実施例4(本発明)
蛍光体層の塗膜の乾燥方法を90℃・30分間とした他は実施例1と同様にして放射線画像変換パネルを製造し、同様にしてパネルの蛍光体層の厚みと、パネル自体の厚みを測定した。
【0087】
得られたパネルの蛍光体層の厚みの差の平均値(T1);0.9μm
得られたパネルの蛍光体層の厚みの平均値(A1);270μm
1/A1;0.003
得られたパネルの厚みの差の平均値(T1);2.4μm
得られたパネルの厚みの平均値(A1);570μm
2/A2;0.004
実施例5(本発明)
(BaFBr0.20.8:Eu蛍光体粒子の作製)
Ba0.993 Ca0.007 FBr0.20.8:0.004Eu,0.0006K,0.00002Cs,0.01Al23の製造
a)BaBr2水溶液(2.5モル/L)1200mlを4000mlの容積の反応器を入れ、これにEuBr3水溶液(0.2モル/L)37.5ml、KBr30.9g、CaBr2・2H2O 3.54g、及び水1762.5mlを添加した。この反応器中の反応母液(BaBr2濃度:1.00モル/L)を60℃に保温し、直径60mmのスクリュー型撹拌羽根を500rpmで回転させて、反応母液を撹拌した。NH4F水溶液(5モル/L)300mlを撹拌下に保温している上記の反応母液中にローラーポンプを用いて5.0ml/分の送液速度で注入し、沈殿物を生成させた。注入の完了後も保温と撹拌を2時間続けて沈殿物の熟成を行った。次に沈殿物を濾別し、メタノール2Lで洗浄した。次いで、洗浄した沈殿物を取り出し、120℃で4時間真空乾燥して、ユーロピウム付活弗化臭化バリウム蛍光体前駆体結晶(BaFBr結晶)を約350g得た。得られた結晶を走査型電子顕微鏡で観察したところ、その大部分が14面体型の結晶であった。次に、この結晶を光回折型粒子サイズ分布測定器(堀場製作所株式会社製:LA−500)で測定したところ、平均結晶サイズは5.0μmであることが確認された。
b)BaI2水溶液(4.0モル/L)2850mlを4000mlの容積の反応器に入れ、これにEuI3水溶液(0.2モル/L)90ml及び水60mlを添加した。この反応器中の反応母液(BaI2濃度:3.80モル/L)を60℃に保温し、直径60mmのスクリュー型撹拌羽根を500rpmで回転させて、反応母液を撹拌した。HF水溶液(5モル/L)720mlを、撹拌下に保温している上記の反応母液中にローラーポンプを用いて12ml/分の送液速度で注入し、沈殿物を生成させた。注入の完了後も保温と撹拌とを2時間続けて沈殿物の熟成を行った。次に沈殿物を濾別し、イソプロパノール2Lで洗浄した。次いで、洗浄した沈殿物を取り出し、120℃で4時間真空乾燥して、ユーロピウム付活沃化バリウム蛍光体前駆体結晶(BaFI結晶)を約1000g得た。得られた結晶を走査型電子顕微鏡で観察したところ、その大部分が14面体型の結晶であった。次に、この結晶を光回折型粒子サイズ分布測定器で測定したところ、平均結晶サイズは6.5μmであることが確認された。
c)上記のBFBr結晶を35g及びBFI結晶を165g取り、これにCsBr0.10g、そして焼成時の焼結を防止するためにアルミナ(Al23)の超微粒子粉体1.0g(0.5質量%)を添加し、ダブルコーンミキサーで充分に撹拌混合して、結晶表面にアルミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。
d)上記の混合物を石英ボートに充填し、チューブ炉を用い、窒素ガス雰囲気中、820℃で3時間焼成した。焼成の途中で酸素ガスを0.6%導入して微量の酸素ガスを含有する窒素ガス雰囲気とした。次に、炉内の温度を1時間半かけて700℃まで降温した後、真空排気し微量の酸素ガスを含有する窒素ガス雰囲気に置換した。次いで、炉内を大気に触れないようにして350℃以下まで冷却した後、焼成物を大気中に取り出した。
e)上記の焼成物1000gをメタノール1.5L中に分散させた後、ロールミル(回転速度:50rpm)を用いて15時間ほぐし処理を行った。次に、この焼成物のスラリーを振動篩(ナイロンメッシュ;#508)にかけて湿式分級を行った。次いで、このスラリーを10時間静置した後上澄み液を取り除いて、過剰なアルミナが除去されたスラリーを得た。
f)上記の焼成物スラリーを減圧濾過して固液分離を行った後、メタノールで洗浄し、150℃で10時間真空乾燥した。次に、この焼成物を再度振動篩(ナイロンメッシュ;#460)にかけて乾式分級を行った。このようにして、標記の組成式で表されるユーロピウム付活弗化臭化沃化バリウム蛍光体粒子を得た。得られた蛍光体粒子を走査型電子顕微鏡で観察したところ、その大部分が原料結晶と同じく14面体の形状にあった。又、この結晶を光回折型粒子サイズ分布測定器で測定したところ、平均結晶サイズは6.0μmであった。
(放射線画像変換パネルの製造)
蛍光体層形成材料として、得られた14面体のユーロピウム付活弗化臭化沃化バリウム蛍光体粒子(BaFBr0.20.8:Eu)356g、ポリウレタン樹脂(住友バイエルウレタン(株)製、デスモラック4125)15.8g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0gをMEK:トルエン(1:1)混合溶媒に添加し、プロペラミキサーによって分散し、粘度25〜30Pa・sの塗布液を調製した。この塗布液をドクターブレードを用いて下塗り付ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布した後、90℃・30分間乾燥させて、平均厚み270μmの蛍光体層を形成した。
【0088】
次に、保護膜形成材料として、フッ素系樹脂:フルオロオレフィン−ビニルエーテル共重合体(旭硝子(株)製ルミフロン LF100)70g、架橋剤:イソシアネート(住友バイエルウレタン(株)製デスモジュールZ4370)25g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂5g、及びシリコーン樹脂微粉末(KMP−590、信越化学工業(株)製、粒子径1〜2μm)10gをトルエン−イソプロピルアルコール(1:1)混合溶媒に添加し、塗布液を作った。この塗布液を上記のようにして予め形成しておいた蛍光体層上にドクターブレードを用いて塗布し、次に120℃・30分間熱処理して熱硬化させるとともに乾燥し、厚み10μmの保護膜を設けた。
【0089】
パネルの蛍光体層の厚みと、パネル自体の厚みを実施例1と同様にして測定した。
【0090】
得られたパネルの蛍光体層の厚みの差の平均値(T1);1.3μm
得られたパネルの蛍光体層の厚みの平均値(A1);270μm
1/A1;0.005
得られたパネルの厚みの差の平均値(T1);2.8μm
得られたパネルの厚みの平均値(A1);570μm
2/A2;0.005
実施例6(本発明)
蛍光体層の塗膜の乾燥方法を100℃・30分間とした他は実施例3と同様にして放射線画像変換パネルを製造し、同様にしてパネルの蛍光体層の厚みと、パネル自体の厚みを測定した。
【0091】
得られたパネルの蛍光体層の厚みの差の平均値(T1);0μm
得られたパネルの蛍光体層の厚みの平均値(A1);270μm
1/A1;0
得られたパネルの厚みの差の平均値(T1);1.1μm
得られたパネルの厚みの平均値(A1);570μm
2/A2;0.002
《放射線画像変換パネルの評価》
得られた各パネルについて下記の方法で構造モトルを評価した。
(構造モトル)
得られた各パネルに対し、80kV・200masの撮影条件にてX線を曝写する。レジウス150(コニカ社製)にて信号を読み取り、信号値のデータを得る。このデータより、空間周波数ごとのウィナースペクトルデータを得る。0.2line/mmの値を読み取り、構造モトル値を得る。
【0092】
得られた結果を以下の表1に示す。
【0093】
【表1】
Figure 0004192435
【0094】
【発明の効果】
本発明によれば、蛍光体層の厚みムラがなく、均一な膜厚を有し、構造モトルの発生の抑えられるという顕著に優れた効果が得られる。又放射線画像変換パネル本体にも厚みムラがなく、均一な厚みを有していて、構造モトルの発生も抑えられている。

Claims (2)

  1. 支持体上に、輝尽性蛍光体を含有する輝尽性蛍光体層と、保護層とをこの順に有する放射線画像変換パネルであって、前記蛍光体層上の任意の2点間の距離を10mmとしたとき、任意の10組の各2点における蛍光体層の厚みの差の平均値T1と、各測定点での蛍光体層の厚みの平均値A1が以下の関係式を満たし、且つ、パネル上の任意の2点間の距離を10mmとしたとき、任意の10組の各2点におけるパネルの厚みの差の平均値T 2 と、各測定点でのパネルの厚みの平均値A 2 が以下の関係式2を満たすことを特徴とする放射線画像変換パネル。
    関係式1 0≦T1/A1≦0.005
    関係式2 0≦T 2 /A 2 ≦0.005
  2. 上記輝尽性蛍光体層が下記一般式(1)で表される希土類付活バリウム弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする請求項1記載の放射線画像変換パネル。
    一般式(1)
    Ba (1-x) 2 (x) FBr (y) (1-y) :aM 1 ,bLn,cO
    (式中、M 1 はLi,Na,K,Rb及びCsから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属、M 2 はBe,Mg,Sr及びCaから選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属、LnはCe,Pr,Sm,Eu,Gd,Tb,Tm,Dy,Ho,Nd,Er及びYbから選ばれる少なくとも1種の希土類元素を表し、x,y,a,b及びcは、それぞれ0≦x≦0.3,0≦y≦0.7,0≦a≦0.05,0<b≦0.2,0≦c≦0.1である。)
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