JP4192376B2 - 車両用コクピットモジュール組付体 - Google Patents

車両用コクピットモジュール組付体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両計器盤の内側部に空調装置等の機器を1つの組付体として組み付ける車両用コクピットモジュール組付体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、車両計器盤とその周辺機器とを予めコクピットモジュール組付体として一体化しておき、その後に、このコクピットモジュール組付体の全体をまとめて一度に車両側に搭載することにより、車両組み付け工程の簡素化を図る、いわゆるモジュール化への要請が強まっている。
【0003】
そこで、上記モジュール化に対応するために、計器盤内側において、車両左右方向に延びる棒状強度部材(リーンフォースバー)の存在に着目し、この棒状強度部材に空調装置の送風機ユニット部および空調ユニット部を固定することにより、計器盤内側に送風機ユニット部および空調ユニット部を棒状強度部材を介して一体化(モジュール化)することが知られている。
【0004】
しかし、上記棒状強度部材には車両のステアリング装置が支持されているので、送風機ユニット部を棒状強度部材に直接固定すると、送風機ユニットの作動時に発生する振動が棒状強度部材を介してステアリング装置に伝達され、乗員にとって不快である。
【0005】
この不具合を解消するために、送風機回転部分の組み付け精度を特別に高めて、送風機の振動原因となる重量アンバランスを低減するとか、上記棒状強度部材の剛性を特別に高める等の対策が考えられるが、これらの対策はいずれも大幅なコストアップを招き、実用的でない。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、車両用コクピットモジュール組付体において、送風機ユニットの作動に起因する、ステアリング装置への振動伝達を遮断することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ステアリング装置を支持する支持部(42)を有する強度部材(40)と、空調装置(30)とを少なくとも計器盤(20)の内側に配置する車両において、
空調装置(30)に、送風機ユニット(31)と、熱交換器(50、51)を内蔵する空調ユニット(32)と、送風機ユニット(31)および空調ユニット(32)と別体で構成され、空調ユニット(32)からの吹出空気が流れるダクト部材(33)とを備え、
強度部材(40)は計器盤(20)内側にて車両左右方向に延びるように配置され、
強度部材(40)の車両左右方向の両端部に車体側面部近傍に固定される固定部(45、46)が設けられており、
ダクト部材(33)は計器盤(20)内側にて車両左右方向に延びるように配置され、
ダクト部材(33)の車両左右方向の両端部に強度部材(40)の固定部(45、46)に固定される固定部(33a)が設けられており、
送風機ユニット(31)および空調ユニット(32)を強度部材(40)から分離した状態でダクト部材(33)に組み付けるとともに、
ダクト部材(33)と強度部材(40)は、ダクト部材(33)の固定部(33a)と強度部材(40)の固定部(45、46)でのみ固定されていることを特徴とする。
【0008】
これにより、空調装置(30)の車両計器盤(20)へのモジュール化を実現でき、車両組み付け工程を簡素化できる。しかも、送風機ユニット(31)および空調ユニット(32)を強度部材(40)から分離した状態でダクト部材(33)に組み付けているので、送風機ユニット(31)で振動が発生しても、この振動が強度部材(40)を経てステアリング支持部(42)に伝達されることを効果的に遮断できる。
【0009】
従って、ステアリング支持部(42)への振動伝達低減のために、強度部材(40)の剛性アップとか、送風機回転部分の重量バランス改善のための組み付け精度向上等の特別の対策を施す必要がなく、コクピットモジュール組付体を低コストで実施できる。
【0012】
また、請求項1に記載の発明では、ダクト部材(33)の車両左右方向の両端部に強度部材(40)の固定部(45、46)に固定される固定部(33a)を設け、ダクト部材(33)と強度部材(40)は、ダクト部材(33)の固定部(33a)と強度部材(40)の固定部(45、46)でのみ固定されているから、車両搭載時に強度部材(40)の固定部(45、46)を利用して、ダクト部材(33)を位置決めして車体側面部近傍に容易に固定できる。
【0013】
請求項に記載の発明では、空調ユニット(32)は車両左右方向の略中央部に配置され、空調ユニット(32)の底部側に、車体床面部の中央トンネル部(53)近傍に固定される固定部(32h)を備えることを特徴とする。
【0014】
これにより、車両搭載時に空調ユニット(32)の底部側を車体床面部の中央トンネル部(53)近傍に固定できる。特に、中央トンネル部(53)近傍はその凹凸断面形状により強度の高い床構造部を構成するから、空調ユニット(32)の底部側を車体床面部に強固に固定できる。
【0015】
請求項に記載の発明では、空調ユニット(32)に、エンジンルーム(54)と車室(55)との間の隔壁(56)に固定される固定部(32j、63)を備えることを特徴とする。
【0016】
これにより、車両搭載時に空調ユニット(32)を、エンジンルーム(54)と車室(55)との間の隔壁(56)に固定することができ、空調ユニット(32)部分の重量支持を隔壁(56)にて行うことができる。
【0017】
請求項に記載の発明では、送風機ユニット(31)に、エンジンルーム(54)と車室(55)との間の隔壁(56)に固定される固定部(311b、63)を備えることを特徴とする。
【0018】
これにより、車両搭載時に送風機ユニット(31)を、エンジンルーム(54)と車室(55)との間の隔壁(56)に固定することができ、送風機ユニット(31)部分の重量支持を隔壁(56)にて行うことができる。その結果、送風機ユニット(31)をダクト部材(33)だけでなく、車体側にも支持固定することができ、そのため、送風機ユニット(31)の重量バランスが良好となり、送風機ユニット(31)の振動発生を低減できる。
【0019】
請求項に記載の発明では、空調ユニット(32)および送風機ユニット(31における、隔壁(55)との固定部(63)の少なくとも1つを、エンジンルーム(54)側から締め付け可能に構成したことを特徴とする。
【0020】
これにより、組付作業スペースの確保しやすいエンジンルーム(54)側からの締め付け作業で、隔壁(55)へのユニット固定作業を容易に行うことができる。
【0021】
請求項に記載の発明では、請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用コクピットモジュール組付体を車両に搭載する方法であって、コクピットモジュール組付体(10)の組付時に送風機ユニット(31)と空調ユニット(32)を治具(70)上に載せて、送風機ユニット(31)と空調ユニット(32)の重量を治具(70)により支持し、
この治具(70)による重量支持状態を維持しながらコクピットモジュール組付体(10)を車両に移送し、送風機ユニット(31)と空調ユニット(32)を車体側に固定することを特徴とする。
【0022】
これにより、送風機ユニット(31)と空調ユニット(32)をダクト部材(33)に対して位置決めする程度の固定を行うだけでよく、ダクト部材(33)が両ユニット(31、32)の重量支持の役割を分担する必要がない。従って、ダクト部材(33)として、両ユニット(31、32)の重量支持のための強度を持たない、通常のダクト程度の強度のものを使用することができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1〜図6は第1実施形態であり、図1はコクピットモジュール組付体10の主要部の組み付け状態を示し、図4はコクピットモジュール組付体10の分解状態を示す。図2は計器盤20の内側に収納される車両用空調装置30の送風機ユニット31部分の断面図で、図3は空調ユニット32部分の断面図を示す。図1〜図4の矢印は車両搭載状態での前後上下左右方向を示す。
【0024】
コクピットモジュール組付体10は車両計器盤20(図2〜図4参照)の内側に車両用空調装置30等の種々な機器を一体に組み付けたものである。本明細書における「コクピットモジュール組付体」という用語は、車両計器盤20の内側に複数の機器を機械的に一体構造として結合した状態のものだけでなく、車両計器盤20の内側に複数の機器を組み付け、その組付状態を適宜の治具にて保持して車両への搭載を行うものも包含する意味で用いている。
【0025】
本実施形態では右ハンドル車の場合を例示しているので、車両用空調装置30の送風機ユニット31は車両左側の助手席側に配置され、空調ユニット32は車両左右方向の略中央部に配置される。ここで、送風機ユニット31および空調ユニット32は周知の構成であるので、その概要を簡単に説明すると、送風機ユニット31の上部に図示しない内外気切替ドアにより内気と外気を切替導入する内外気切替箱310を配置し、この内外気切替箱310から吸入した空気を送風する遠心式送風機311を送風機ユニット31の下部に配置した構成になっている。
【0026】
この送風機311は図2に示すように遠心式送風ファン312とファン駆動用モータ313から構成されている。314は送風機311の吹出ダクト部である。送風機311の吸入口上流には空気清浄用フィルタ315が配置されている。
【0027】
空調ユニット32は送風機ユニット31からの送風空気を温度調整して車室内へ吹き出すもので、上記吹出ダクト部314に接続される樹脂製ケース32aを有している。この樹脂製ケース32a内に、送風空気を冷却する冷房用熱交換器としての蒸発器50(図3)、送風空気を加熱する暖房用熱交換器としての温水式ヒータコア51(図3)、温度制御手段としてのエアミックスドア(図示せず)、吹出モード切替機構を構成する吹出モードドア(図示せず)等を内蔵している。
【0028】
蒸発器50の下方部に送風機ユニット31の吹出ダクト部314からの送風空気が流入するようになっている。樹脂製ケース32aの底部には蒸発器50で発生する凝縮水の排水口52が開口している。
【0029】
図4に示すように、空調ユニット32のケース32aの上面前方部にはデフロスタ開口部32bが、また、ケース32aの上面後方部の中央部にはセンタフェイス開口部32cが、また、その左右両側にはサイドフェイス開口部32d、32dがそれぞれ開口している。ケース32aの左右両側の側面部には、前席用フット吹出ダクト32eが一体に成形されている。更に、ケース32aの車両後方側の面において、左右両側の部位には後席用フット吹出ダクト32fが一体に成形されている。
【0030】
ここで、後席用フット吹出ダクト32fの先端開口部32gには図示しない後席フット用接続ダクトが接続され、この後席フット用接続ダクトの先端に設けた後席フット用吹出口から後席乗員の足元部に空気(温風)を吹き出すようになっている。また、左右両側の後席用フット吹出ダクト32fの底面部にそれぞれ取付片32hが一体に成形されている。この取付片32hは空調ユニット32の底面部を車体床面部のうち、左右方向の中央部に位置する中央トンネル部53(図3)に固定するための固定部を構成する。
【0031】
強度部材40は、計器盤20の内側部にて送風機ユニット31と空調ユニット32の上方部を車両左右方向に延びるように配置される。ここで、強度部材40の本体部41は図4に示すように棒状部材(リーンフォースバー)であり、この棒状とは中空部を持つパイプ形状を包含する意味の用語である。また、パイプ形状も断面円形状に限らず、断面矩形状等でもよい。棒状本体部41は金属(鉄系金属等)により形成されている。
【0032】
この強度部材40は車両のステアリング装置を支持固定することを主目的とする部材であり、本例は右ハンドル車であるので、棒状本体部41の中央部より右寄り部位、すなわち、棒状本体部41の右端部に近接した部位において車両後方側に、ステアリング装置の支持ステー(支持部)42が溶接等の手段で固定されている。このステー42は金属(鉄系金属等)により形成され、ステアリング装置の軸部のハウジング部(図示せず)を支持固定するようになっている。また、棒状本体部41のうち、支持ステー42部分の車両前方側には金属製の補強用支持ステー43が溶接等の手段で固定されている。
【0033】
なお、図2、図3に示すように、エンジンルーム54とその後方の車室55との間は、車体側の隔壁(ファイヤウォール)56により仕切られており、この隔壁56の上部には、車室55内側へ屈曲したカウル部56aが形成されている。上記補強用支持ステー43の先端はこのカウル部56aに固定されるようになっている。
【0034】
また、強度部材40の棒状本体部41のうち、ステアリング装置の支持ステー42より所定量左側の部位にも、金属製の補強用支持ステー44が空調ユニット32の運転席側の面(右側面)に沿って配置される。この補強用支持ステー44の一端は棒状本体部41に溶接等の手段で固定され、他端は車体床面部に固定される。この両補強用支持ステー43、44により強度部材40のステアリング装置用支持ステー42部分を補強する。
【0035】
強度部材40の棒状本体部41の車両左右方向の両端部には、それぞれ別体のサイドブラケット45、46が溶接等の手段で固定されている。このサイドブラケット45、46は金属(鉄系金属等)により板形状に形成され、サイドブラケット45、46の板面は強度部材40の軸方向と垂直方向に向くように配置されている。
【0036】
サイドブラケット45、46の上端部には車両前方側へ突出する取付片45a、46aが一体に設けてある。この取付片45a、46aの部位にはそれぞれ1つの取付穴45b、46bが設けてある。また、サイドブラケット45、46の長方形の本体部にそれぞれ2つの取付穴45c、45d、46c、46dが上下に分けて設けてある。
【0037】
本例では、サイドブラケット45、46の長方形本体部の上下の取付穴45c、45d、46c、46dにねじ手段を通してサイドブラケット45、46を車体側面部に締め付け固定するようになっている。
【0038】
ダクト部材33は空調装置30の空調ユニット32からの吹出空気(温度調整後の空気)が流れるもので、計器盤20の内側部にて送風機ユニット31と空調ユニット32の上方部で、かつ、強度部材40の前方側を車両左右方向に延びるように配置されている。
【0039】
本例のダクト部材33は、左右のサイドフェイスダクト部34と中央部に位置するデフロスタダクト接続部35とを一体成形した構成となっている。そして、左右のサイドフェイスダクト部34、34の間にセンタフェイスダクト接続部36を形成している。
【0040】
このセンタフェイスダクト接続部36には図3に示すセンタフェイスダクト37の一端部が接続され、このセンタフェイスダクト37は前述したケース32aのセンタフェイス開口部32cに連通する。このセンタフェイスダクト37の先端には乗員の上半身側へ冷風を吹き出すセンタフェイス吹出口38が設けられる。
【0041】
そして、中央部のセンタフェイスダクト接続部37の左右両側の部位にて左右のサイドフェイスダクト部34、34が前述したケース32aの左右のサイドフェイス開口部32d、32dに連通する。サイドフェイスダクト部34、34はこの連通部から左右へ延びて、左右両側の先端部にそれぞれサイドフェイス吹出口39、39を開口している。
【0042】
このサイドフェイス吹出口39、39は計器盤20の左右両端部に位置し、冷房時には乗員の上半身側へ冷風を吹き出し、暖房時には温風を車両側面窓ガラス側へ吹き出すものである。
【0043】
デフロスタダクト接続部35は前述したケース32aのデフロスタ開口部32bに連通するもので、その上端部にはデフロスタダクト35aが接続される。このデフロスタダクト35aの先端部のデフロスタ吹出口35bから車両前面窓ガラス側へ空気を吹き出すようになっている。
【0044】
ダクト部材33の具体的構成として、例えば、空気通路の下半部を構成する所定形状の樹脂製ダクト基板と、空気通路の上半部を構成する所定形状の樹脂製ダクトカバーとに分割して、このダクト基板とダクトカバーとを接着、溶着等の固着手段にて気密に一体化することによりダクト部材33を構成してもよい。
【0045】
また、ダクト部材33は下記するようにコクピットモジュール組付体10の車両搭載前の状態では空調装置30の送風機ユニット31および空調ユニット32を吊り下げて保持する役割を兼務するので、この両ユニット部の吊り下げ保持に耐えられる強度(剛性)を持つように設計してある。具体的には、ダクト部材33の板厚、樹脂材質、断面形状等を必要強度が得られるように設計してある。
【0046】
ダクト部材33の左右両端部にはねじ等の締結手段の取付穴を有する取付片33a(図4、5)が一体に成形されている。この左右両端の取付片33aは強度部材40のサイドブラケット45、46の上端部の取付片45a、46a部分にねじ等の締結手段により締め付け固定するようになっている。
【0047】
送風機ユニット31の上面部にはねじ等の締結手段の取付穴を有する取付片31dを設け、この取付片31dに対応する取付片33b(図2、図5)をダクト部材33の左端部の底面側に設けている。従って、送風機ユニット31の上面部をダクト部材33の左端部の底面側にねじ等の締結手段60(図2)により固定することができる。
【0048】
一方、空調ユニット32のケース32aの上面部のうち、前方側の左右2箇所に取付片32iが一体に成形してあり、この左右2箇所の取付片32iに対応する取付片33c(図3、図5)がダクト部材33の中央寄りの部位、具体的にはデフロスタダクト接続部35の左右両側部に設けている。従って、空調ユニット32のケース32aの上面部の左右2箇所をねじ等の締結手段61(図3)により固定することができる。
【0049】
更に、送風機ユニット31および空調ユニット32にはエンジンルーム54と車室55内との間の隔壁(ファイヤウォール)56への固定部も設けられている。まず、送風機ユニット31においては、図2、図6に示すように送風機311の樹脂製ケース311aの車両前方側の下方部に取付片311bが下方へ突き出すように一体に成形してある。
【0050】
この取付片311bには切り欠き溝311cが設けてある。一方、隔壁56において切り欠き溝311cに対応する所定部位に車室側へ突き出すピン56bが設けてある。このため、ピン56bに取付片311bの切り欠き溝311cを嵌合することにより、送風機ユニット31の車両前方側の下方部を隔壁56により支持することができる。なお、図6において、56cは隔壁56の車室側の面に設けられた吸音材(サイレンサー)である。
【0051】
また、空調ユニット32においても、図3に示すようにケース32aの車両前方側の下方部に取付片32jが下方へ突き出すように一体に成形してある。この取付片32jにも上記切り欠き溝311cと同様の切り欠き溝を形成し、この切り欠き溝を隔壁56から突き出すピン56bに嵌合するようにしてある。これにより、空調ユニット32の車両前方側の下方部を隔壁56により支持することができる。
【0052】
なお、送風機ユニット31の取付片311bおよび空調ユニット32の取付片32jをそれぞれ車両左右方向に複数箇所づつ設け、これらに対応して隔壁56側のピン56bも複数箇所づつ設けことにより、送風機ユニット31および空調ユニット32の下方部を隔壁56により一層安定的に支持することができる。
【0053】
次に、コクピットモジュール組付体10の車両への搭載手順について説明すると、まず最初に、コクピットモジュール組付体10の組付を行う。すなわち、送風機ユニット31の上面部の取付片31dをダクト部材33の取付片33bに、空調ユニット32の上面部の取付片32iをダクト部材33の取付片33cにそれぞれねじ等の締結手段により締め付け固定する。これにより、送風機ユニット31および空調ユニット32の両者をダクト部材33により吊り下げた状態で支持できる。
【0054】
次に、ダクト部材33の左右両端部の取付片33aを強度部材40のサイドブラケット45、46の上端部の取付片45a、46a部分にねじ等の締結手段により締め付け固定する。図1はこのように空調装置30の両ユニット31、32、ダクト部材33および強度部材40を一体に組み付けた組付状態を示す。
【0055】
次に、上記の両ユニット31、32、ダクト部材33、強度部材40、およびその他の機器を計器盤20の内側に収納し、これら機器を計器盤20と一体に組み付け、コクピットモジュール組付体10としてまとめる(モジュール化する)。
【0056】
なお、強度部材40と計器盤20との一体化は種々の手段で可能であるが、例えば、サイドブラケット45、46の部分に計器盤20への取付部を設けておき、この取付部を用いて強度部材40を計器盤20に組み付けることができる。
【0057】
また、図1、4には図示していないが、強度部材40のステアリング装置用支持ステー42に車両ステアリング装置の軸部のハウジング部(図示せず)を支持固定することにより、車両ステアリング装置もコクピットモジュール組付体10の一部として一体化できる。
【0058】
次に、コクピットモジュール組付体10を車両に搭載するための作業を行う。。まず、コクピットモジュール組付体10のうち、送風機ユニット31の下方部の取付片311bの切り欠き溝311cと、空調ユニット32の下方部の取付片32jの切り欠き溝を、隔壁56側のピン56bに嵌合させる。
【0059】
この嵌合状態を維持しながら、次に、左右両側の車体側面部に設けた取付穴(図示せず)にサイドブラケット45、46の取付穴45c、45d、46c、46dが合致するように強度部材40を位置決めする。
【0060】
そして、左右両側の車体側面部の取付穴とサイドブラケット45、46の取付穴45c、45d、46c、46dに、それぞれ、強度部材固定用ボルト(締結手段)を通して、このボルトを締め付けることにより、サイドブラケット45、46を左右両側の車体側面部に締め付け固定する。
【0061】
また、空調ユニット32の後席用フット吹出ダクト32fの底面部に設けた取付片32hを、車体床面部の中央トンネル部53(図3)にねじ等の締結手段62により締め付け固定する。なお、計器盤20についても、その必要箇所を車体側にねじ等により固定する。
【0062】
以上によると、計器盤20およびその周辺機器(送風機ユニット31、空調ユニット32等)をコクピットモジュール組付体10として予め一体化しているので、計器盤20およびその周辺機器の車両搭載作業を一度に容易に行うことができる。
【0063】
しかも、送風機ユニット31および空調ユニット32を強度部材40から分離した状態でダクト部材33に組み付けているから、送風機ユニット31の作動に伴う振動がステアリング装置に伝達することを効果的に遮断できる。
【0064】
すなわち、送風機ユニット31の作動に伴って発生した振動は、ダクト部材33→サイドブラケット45→棒状本体部41→ステー42からなる振動伝達経路を経てステアリング装置に伝達されようとする。しかし、サイドブラケット45の部位が車体側に強固に固定されるため、この車体側固定部位にて振動伝達が遮断される。そのため、ステアリング装置への振動伝達を効果的に抑制できる。
【0065】
なお、第1実施形態では、車両ステアリング装置もコクピットモジュール組付体10の一部として車両搭載前の状態で一体化する例について説明したが、コクピットモジュール組付体10の車両搭載後に支持ステー42に車両ステアリング装置の軸部のハウジング部(図示せず)を支持固定するようにしてもよい。
【0066】
(第2実施形態)
第1実施形態では、送風機ユニット31と空調ユニット32の下方部を隔壁56側に支持させる手段として、取付片311b、32jの切り欠き溝を隔壁56側のピン56bに嵌合させる構成としているが、第2実施形態では図7、図8に示すように、送風機ユニット31と空調ユニット32の下方部の前方側に、隔壁56側(車両前方側)に突き出すボルト63を設けるとともに、このボルト63を隔壁56に開けた貫通穴56cを通してエンジンルーム54内へ突出させる。
【0067】
これにより、組付作業のスペースを確保しやすいエンジンルーム54側からナット64をボルト63に容易に締め付けることができる。そのため、送風機ユニット31と空調ユニット32の下方部を隔壁56にねじ手段の締め付けで確実に、かつ、容易に固定できる。なお、第2実施形態の他の点は第1実施形態と同じでよい。
【0068】
(第3実施形態)
第1実施形態では、送風機ユニット31と空調ユニット32をコクピットモジュール組付体10として組み付け、車両に搭載するまでの状態では、送風機ユニット31と空調ユニット32をダクト部材33により吊り下げ、両ユニット31、32の重量をダクト部材33により支持するようにしている。このため、ダクト部材33を両ユニット31、32の重量を支持できる強度を持つように設計する必要があるが、第3実施形態ではダクト部材33を両ユニット31、32の重量を支持できる強度を持たない、通常のダクト強度あるいはそれ以下の強度で済むようにしたものである。
【0069】
図9は第3実施形態による組付治具70であり、組付治具70の底板71上に送風機ユニット31と空調ユニット32の底面部の形状に対応した補助凸部72を設けて、送風機ユニット31と空調ユニット32を組付治具70の底板71上に載置して送風機ユニット31と空調ユニット32の重量を組付治具70の底板71で支持する。
【0070】
また、ダクト部材33および強度部材40の左右両端部は、組付治具70に備えた左右の側板73、74により支持する。これにより、組付治具70上でコクピットモジュール組付体10としての組み付けを完了する。そして、車両搭載時には、組付治具70上にコクピットモジュール組付体10を支持した状態のまま、コクピットモジュール組付体10の全体を車室内へ移送し、コクピットモジュール組付体10をロボットハンドで隔壁56側へ押し付けて、組付体10の車体側への組付作業を行う。
【0071】
第3実施形態によると、送風機ユニット31と空調ユニット32をダクト部材33に対して位置決めする程度の固定を行うだけでよく、ダクト部材33が両ユニット31、32の重量支持の役割を分担する必要がない。従って、ダクト部材33として、両ユニット31、32の重量支持のための強度を持たない、通常のダクト程度の強度、あるいはそれ以下の強度のものを使用することができる。
【0072】
(他の実施形態)
なお、第3実施形態では、送風機ユニット31と空調ユニット32の重量を組付治具70で支持することにより、送風機ユニット31と空調ユニット32をダクト部材33に対して位置決めする程度の固定で済むようにしているが、送風機ユニット31と空調ユニット32をダクト部材33と位置決め固定することも廃止して、送風機ユニット31と空調ユニット32の位置決めを組付治具70により行うようにしてもよい。この場合は、送風機ユニット31と空調ユニット32を車両搭載時に直接、車体側(隔壁56、車体床面部、車体側面部)に固定すればよい。
【0073】
なお、各実施形態では、空調装置30の送風機ユニット31および空調ユニット32を強度部材40から分離した状態でダクト部材33に組み付けることにより、送風機ユニット31の振動がステアリング装置に伝達するのを遮断しているが、上記の「強度部材40から分離した状態」とは、強度部材40による重量支持を行わない、実質上分離した状態を意味するものであって、送風機ユニット31および空調ユニット32を強度部材40に対して部分的に接触させて位置決めする程度の接触状態は本発明による「強度部材40から分離した状態」に包含される。同様に、ダクト部材33の中間部位を強度部材40に対して部分的に接触させて位置決めしてもよい。
【0074】
また、第1、第2実施形態では、送風機ユニット31の車体側への固定部として、隔壁56への固定部(取付片311b、ボルト63)を設けているが、送風機ユニット31の車体側への固定部として、隔壁56でなく車体側面部への固定部を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるコクピットモジュール組付体の要部の斜視図である。
【図2】図1のコクピットモジュール組付体の車両搭載状態における送風機ユニット部の断面図である。
【図3】図1のコクピットモジュール組付体の車両搭載状態における空調ユニット部の断面図である。
【図4】図1の分解斜視図である。
【図5】図4のダクト部材を反対方向から見た斜視図である。
【図6】図2の送風機ユニット部の隔壁(ファイヤウォール)への固定部を示す分解斜視図である。
【図7】第2実施形態による空調装置の斜視図である。
【図8】図7の空調ユニット部の断面図である。
【図9】第3実施形態による組付治具の斜視図である。
【符号の説明】
20…計器盤、30…空調装置、31…送風機ユニット、
32…空調ユニット、33…ダクト部材、40…強度部材、
42…ステアリング支持ステー、45、46…サイドブラケット、
50、51…熱交換器。

Claims (6)

  1. ステアリング装置を支持する支持部(42)を有する強度部材(40)と、空調装置(30)とを少なくとも計器盤(20)の内側に配置する車両において、
    前記空調装置(30)に、送風機ユニット(31)と、この送風機ユニット(31)の送風空気と熱交換する熱交換器(50、51)を内蔵する空調ユニット(32)と、前記送風機ユニット(31)および前記空調ユニット(32)と別体で構成され、前記空調ユニット(32)からの吹出空気が流れるダクト部材(33)とを備え、
    前記強度部材(40)は前記計器盤(20)内側にて車両左右方向に延びるように配置され、
    前記強度部材(40)の車両左右方向の両端部に車体側面部近傍に固定される固定部(45、46)が設けられており、
    前記ダクト部材(33)は前記計器盤(20)内側にて車両左右方向に延びるように配置され、
    前記ダクト部材(33)の車両左右方向の両端部に前記強度部材(40)の前記固定部(45、46)に固定される固定部(33a)が設けられており、
    前記送風機ユニット(31)および前記空調ユニット(32)を前記強度部材(40)から分離した状態で前記ダクト部材(33)に組み付けるとともに、
    前記ダクト部材(33)と前記強度部材(40)は、前記ダクト部材(33)の前記固定部(33a)と前記強度部材(40)の前記固定部(45、46)でのみ固定されていることを特徴とする車両用コクピットモジュール組付体。
  2. 前記空調ユニット(32)は車両左右方向の略中央部に配置され、
    前記空調ユニット(32)の底部側に、車体床面部の中央トンネル部(53)近傍に固定される固定部(32h)を備えることを特徴とする請求項に記載の車両用コクピットモジュール組付体。
  3. 前記空調ユニット(32)に、エンジンルーム(54)と車室(55)との間の隔壁(56)に固定される固定部(32j、63)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用コクピットモジュール組付体。
  4. 前記送風機ユニット(31)に、エンジンルーム(54)と車室(55)との間の隔壁(56)に固定される固定部(311b、63)を備えることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用コクピットモジュール組付体。
  5. 前記空調ユニット(32)および前記送風機ユニット(31)における、前記隔壁(55)との固定部(63)の少なくとも1つは、前記エンジンルーム(54)側から締め付け可能に構成されていることを特徴とする請求項またはに記載の車両用コクピットモジュール組付体。
  6. 請求項1ないしのいずれか1つに記載の車両用コクピットモジュール組付体を車両に搭載する方法であって、
    コクピットモジュール組付体(10)の組付時に前記送風機ユニット(31)と前記空調ユニット(32)を治具(70)上に載せて、前記送風機ユニット(31)と前記空調ユニット(32)の重量を前記治具(70)により支持し、
    前記治具(70)による重量支持状態を維持しながら前記コクピットモジュール組付体(10)を車両に移送し、前記送風機ユニット(31)と前記空調ユニット(32)を車体側に固定することを特徴とする車両用コクピットモジュール組付体の車両搭載方法。
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