JP4192304B2 - 粘着テープ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、フォーム基材の片面もしくは両面に粘着層が形成された粘着テープに関する。より詳しくは、静荷重に対しても良好な接着信頼性を示す粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の代表的な粘着テープとしては、以下の(1)〜(5)に挙げられるものがある。
【0003】
(1)剥離紙上に溶剤型粘着剤を塗工し、溶剤を乾燥除去してシート化することにより、また紫外線硬化型の粘着剤を剥離紙上に塗工した後に光硬化させてシート化することにより得られるノンサポート型あるいは転写型粘着テープ;
(2)不織布基材やポリエステルフィルム基材上に、前述のノンサポート型あるいは転写型粘着テープ自体を粘着層として設けた粘着テープ;
(3)不織布基材やポリエステルフィルム基材に代えてフォーム基材を使用した粘着テープ(このような粘着テープは、ウレタンフォーム、クロロプレンフォーム、エチレン/酢酸ビニル共重合体フォーム、アクリルフォーム、ポリエチレンフォーム等の熱可塑性樹脂フォーム基材の片面あるいは両面に粘着剤を直接塗工し、又は別途に製造した粘着テープをフォーム基材にラミネートして粘着層を形成することにより製造されている);
(4)また、熱可塑性樹脂フォーム基材を使用した粘着テープに類した粘着テープとして、発泡剤を混合した粘着剤を剥離紙上に塗布した後に加熱発泡処理することにより製造した粘着テープ(特開昭56−159269号公報等);
(5)紫外線硬化型アクリルモノマーを主成分としたアクリル系粘着剤の中に中空熱可塑性の球体を混入させて硬化させることにより製造した粘着テープ(特開昭63−72532号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(1)や(2)の粘着テープの場合、静荷重が負荷されるハンガーフック等に利用すると、ハンガーフックが剥がれて落下し易いという問題がある。また、曲面を有する被着体に対しては、曲面に対する追従性が十分でないために接着しなかったり、接着しても粘着テープの端部からの浮きが発生するという問題がある。特に、高温下での接着信頼性が極端に低下するという問題もある。これらの問題は、粘着テープが粘着剤を主構成材としているので、粘着テープの柔軟性が不十分となり、被着体の面に対して追従しにくく、また、剥がれようとする力を吸収できないためである。
【0005】
上記(3)のフォーム基材を使用した粘着テープの場合、フォーム基材と粘着層との接着性が不十分であり、そのため静荷重が負荷された際に層間剥離が起こるという問題がある。また、フォーム基材表面に直接粘着剤を塗工した場合には、溶剤でフォームが溶けたり、変形したりするという問題も発生する。
【0006】
上記(4)の発泡剤を混入した粘着テープの場合、粘着テープの保存時にロール巻にしておくと、巻圧により泡が移動して大きな泡になったり、逆に泡が消滅したり、結果的に意図した特性を確保できないという問題がある。
【0007】
上記(5)の紫外線硬化型のアクリル系粘着剤中に中空熱可塑性の球体を混入させた粘着テープの場合、テープマトリックスを構成するアクリル重合体の圧縮縮み率や圧縮縮み復元率が不十分であるので、特に高温下において粘着テープ端部の浮きが生じやすく、静荷重が負荷されるハンガーフック等に利用するとハンガーフックが剥がれて落下し易いという問題がある。
【0008】
本発明は、以上の従来の技術の問題を解決しようとするものであり、静荷重に対しても良好な接着性を示し、被着体の被着曲面に対し良好な追従性を示し、高温下でも接着性を保持する粘着テープを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、フォーム基材と少なくともその片面に粘着層を形成した粘着テープの圧縮縮み率と圧縮縮み復元率とを特定の数値範囲に設定することにより上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、フォーム基材と、少なくともその片面に設けられた粘着層とからなり、圧縮縮み率が7%以上であり且つ圧縮縮み復元率が75%以上である粘着テープにおいて、
フォーム基材が、熱可塑性ゴム、粘着付与剤、アクリルオリゴマー、光重合開始剤及び中空微粒子を含有するフォーム基材用組成物を硬化させたものであり、
粘着層がアクリル酸C4〜14アルキルエステル、該アクリル酸C4〜14アルキルエステルに共重合可能な化合物、分子量300以上の多官能オリゴアクリレート及び光重合開始剤からなる紫外線硬化型の無溶剤アクリル粘着剤組成物を硬化させたものであり、
フォーム基材と粘着層との間で内部交錯が生じていることを特徴とする粘着テープを提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の粘着テープは、フォーム基材と、その片面又は両面に設けられた粘着層とからなる粘着テープである。
【0012】
本発明の粘着テープにおいては、1.0kg/cm2、30秒後、23℃における圧縮縮み率を7%以上、好ましくは10%以上に設定する。圧縮縮み率が7%未満であると、粘着テープの曲面に対する追従性が不十分となり、また、静荷重を負荷した場合に、応力が界面に集中し、はがれ易くなり好ましくない。
【0013】
また、本発明の粘着テープにおいては、1.0kg/cm2、30秒後、23℃における圧縮縮み復元率を75%以上、好ましくは80%以上に設定する。圧縮縮み復元率が75%未満であると、応力の緩和が不十分となるので好ましくない。
【0014】
本発明の粘着テープにおいて使用するフォーム基材は、熱可塑性ゴム、粘着付与剤、アクリルオリゴマー、光重合開始剤及び中空微粒子を含有するフォーム基材用組成物を硬化させたものである。フォーム状の基材を使用すると、粘着テープが機械的な圧縮を受けた場合に、圧縮に伴う変形が復元し易くなる。また、フォーム基材と粘着剤との界面における静荷重に対する接着信頼性を向上させることが可能になる。
【0015】
フォーム基材で使用する熱可塑性ゴムは、常温ではゴム弾性体としての挙動をとるが、温度の上昇とともに塑性変形する材料である。従って、熱可塑性ゴムを使用することによりフォーム基材の押出成形が可能となる。
【0016】
熱可塑性ゴムとしては、ポリスチレン系ゴム、ポリオレフィン系ゴム、PVC系ゴム、ポリエステル系ゴム、ポリウレタン系ゴム、ポリアミド系ゴム等が挙げられる。これらの中でも、ソフトセグメントとしてポリブタジエン、ポリイソプレンあるいは水素添加ポリブタジエンを含むポリスチレン系ゴムを好ましく使用できる。このようなポリスチレン系ゴムとしては、ABA型のトリブロック熱可塑性ゴムの一種である、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)ゴム、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)ゴム等が挙げられる。
【0017】
SBSゴムの具体例としては、商品名 カリフレックスTR(シェル社製)、商品名 タフプレン(旭化成社製)、商品名 ベクター(トーネックス社製)等で特定されるものが好ましく挙げられる。
【0018】
SISゴムの具体例としては、商品名 JSR SIS(日本合成ゴム社製)、商品名 クインタック(日本ゼオン社製で)等で特定されるものが好ましく挙げられる。
【0019】
フォーム基材で使用する粘着付与剤は、フォーム基材を押出成形する際の温度を降下させ、配合操作時における中空微粒子の破壊を防ぐ機能を有する。このため、粘着付与剤としては、熱可塑性ゴムが塑性変形をする温度よりも軟化温度の低い粘着付与性樹脂を使用することが好ましい。
【0020】
このような粘着付与剤としては、ロジンエステル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン樹脂、石油系樹脂、低分子量のブチルゴムやポリブテン等が挙げられ、中でも、アクリルオリゴマーの光硬化反応を阻害しないこれらの水素添加樹脂であって、熱可塑性ゴムに対する相溶性の良好なものを使用することが好ましい。具体的には、商品名 クリアロンK−100(水添テルペンフェノール、ヤスハラケミカル社製)、商品名 クリアロンK−409(水添テルペンフェノール、ヤスハラケミカル社製)、商品名 アルコンP−100(脂環族飽和炭化水素樹脂、荒川化学社製)、商品名 エステルガムH(水素添加ロジンエステル、荒川化学社製)、商品名 ブチルゴム065(日本合成ゴム社製)等で特定されるものが好ましく挙げられる。
【0021】
フォーム基材用組成物における粘着付与剤の含有量は、少なすぎると成形温度が高くなり過ぎて中空微粒子が破壊するおそれがあり、多すぎるとフォーム基材の耐熱性が低下するおそれがあるので、好ましくは熱可塑性ゴム100重量部に対し60〜120重量部、より好ましくは90〜110重量部である。
【0022】
フォーム基材で使用するアクリルオリゴマーとしては、フォーム基材の耐熱性の向上に寄与する、2以上のアクリル酸とポリオールとのエステルである多官能オリゴアクリレートを使用することが好ましい。具体的には、商品名 GX−8430(イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、第一工業製薬社製)、商品名 M−215(イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、東亜合成社製)、商品名 R−1206(2官能ウレタンオリゴマー、第一工業製薬社製)、商品名M−210(ビスフェノールAEO変性ジアクリレート、東亜合成社製)、商品名 TMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート、東亜合成社製)等が好ましく挙げられる。
【0023】
フォーム基材用組成物におけるアクリルオリゴマーの含有量は、少なすぎるとフォーム基材の耐熱性が不十分となり、多すぎるとフォーム基材のモジュラスが増大するので、熱可塑性ゴム100重量部に対し好ましくは5〜15重量部、より好ましくは8〜12重量部である。
【0024】
フォーム基材で使用する光重合開始剤としては、公知の光開始剤を使用することができ、例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤を好ましく使用することができる。具体的には、4−フェノキシジシクロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルジメチルケタール等やこれらの混合物を好ましく使用することができる。具体的には、チバガイギー社製の商品名 イルガキュア651(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、商品名 イルガキュア184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、商品名 イルガキュア907(2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕モルフォリノプロパン−1)等を好ましく挙げることができる。
【0025】
フォーム基材用組成物における光重合開始剤の含有量は、通常、アクリルオリゴマー100重量部に対し、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは3〜7重量部である。
【0026】
フォーム基材に使用する中空微粒子は、中空で弾性を有するゴムや樹脂からなるマイクロバルーン(USP3,615,972、USP4,075,138、USP4,287,308等参照)を好ましく使用することができる。また、塩化ビニリデン−アクリロニトリルの共重合樹脂やメタアクリロニトリル−アクリロニトリルの共重合樹脂等を壁膜材とし、低沸点の炭化水素を内包したマイクロカプセル等も使用することができる。具体的には、良好な耐熱性を示す壁膜の中空微粒子である、メタアクリロニトリル−アクリロニトリルの共重合樹脂からなる商品名 Expancel 091DE(Nobel Industries社製(平均粒径60〜80μm、真密度0.025g/cm3))等を好ましく使用することができる。
【0027】
中空微粒子の平均粒径としては、フォーム基材の圧縮縮み性や復元性の点から、好ましくは10〜100μm、より好ましくは60〜80μmである。
【0028】
フォーム基材用組成物における中空微粒子の含有量は、少なすぎるとフォーム基材を十分に圧縮させることができず、多すぎるとフォーム基材の機械的強度(特に伸び率)が低下するので、好ましくは10〜60容量%、より好ましくは30〜50容量%である。
【0029】
フォーム基材の厚みは、粘着テープの使用目的等により異なるが、通常100〜3000μmである。
【0030】
本発明の粘着テープにおいて、フォーム基材の片面、好ましくは両面に設ける粘着層としては、アクリル酸C4〜14アルキルエステルと、このアクリル酸C4〜14アルキルエステルに共重合可能な化合物と、分子量300以上の多官能オリゴアクリレートと、光重合開始剤とからなる紫外線硬化型の無溶剤アクリル粘着剤組成物を硬化させたものを好ましく使用することができる。この場合、本発明の粘着テープにおいては、粘着層とフォーム基材との間で内部交錯を生じさせることが好ましい。内部交錯を生じさせることにより、フォーム基材と粘着層との間の密着性を向上させることができる。
【0031】
粘着剤組成物に使用するアクリル酸C4〜14アルキルエステルは、アクリル酸と炭素数4〜14個のアルキルアルコールとのエステルであり、その例としてはブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、デシルアクリレート等が挙げられる。炭素数がこの範囲以外のアルキルアルコールのアクリル酸エステルを使用した場合には、粘着剤のTg(ガラス転移点)が高いという欠点がある。
【0032】
このアクリル酸C4〜14アルキルエステルと共重合可能な化合物としては、アクリル酸、環状アルキルアルコール又は炭素数が3以下のアルキルアルコールのアクリル酸エステル、その他アクリル酸誘導体が挙げられ、例えば、エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート等を好ましく使用できる。また、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート等のオリゴエステルアクリレートも使用できる。
【0033】
分子量300以上の多官能オリゴアクリレートは、2以上のアクリル酸とポリオールとのエステルであり、粘着層の高温時の凝集力を高める働きを有する。ここで、分子量を300以上とした理由は、300未満であると架橋分子間の距離が短くなるので、多官能オリゴアクリレートの使用量の僅かな変化が粘着層の凝集力に大きな影響を与え、凝集力の制御が難しくなるためである。
【0034】
粘着層に使用する多官能オリゴアクリレートとしては、2つのエステル基のビニル基間の炭素数が10個以上のものを好ましく使用することができる。具体的には、商品名 NKエステルA−400(エンネアエチレングリコールジアクリレートのようなポリアルキレングリコールジアクリレート、新中村化学社製)、商品名 BP−4EA(エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、共栄社油脂社製)、商品名 KAYARAD MANDA(ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、日本化薬社製)、商品名 UN−6060MP(ウレタンアクリレート、根上工業社製)等を挙げることができる。
【0035】
無溶剤アクリル粘着剤組成物における多官能オリゴアクリレートの使用量は、少な過ぎると粘着層の耐熱保持力が低下し、多過ぎると粘着層のタック性が減少するので、前述のアクリル酸エステル及びそれと共重合可能な化合物の合計100重量部に対し、好ましくは0.0001〜0.002モル、より好ましくは0.0005〜0.0015モルである。
【0036】
粘着層に使用する光重合開始剤としては、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤及びチオキサントン系光重合開始剤等が挙げられる。中でも、酸素の存在下でも光重合しやすいチオキサントン系光重合開始剤と他の光重合開始剤とを併用することが好ましい。
【0037】
アセトフェノン系光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等が好ましく挙げられる。また、ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が好ましく挙げられる。チオキサントン系光重合開始剤としては、水素引抜きタイプである2,4−ジエチルチオキサントン等が好ましく挙げられる。この場合、N−メチルジエタノールアミンやP−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等を光重合開始助剤として併用することが好ましい。
【0038】
無溶剤アクリル粘着剤組成物に使用する光重合開始剤の具体例としては、商品名 イルガキュア651(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、チバガイギー社製)、商品名 イルガキュア184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバガイギー社製)等、 商品名 DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン、日本化薬社製)、商品名 ニッソキュアMTX(2−メチルチオキサントン、日本曹達社製)、商品名 CTX(2,4−ジクロロチオキサントン、日本化薬社製)等が挙げられる。光重合開始助剤の具体例としては、商品名 EPA(P−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、日本化薬社製)、商品名 DMBI(P−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、日本化薬社製)等が挙げられる。
【0039】
無溶剤アクリル粘着剤組成物における光重合開始剤の使用量は、組成物100重量部中に通常0.05〜1.0重量部である。併用するチオキサントン系光重合開始剤の使用量は、組成物100重量部中に通常0.03〜0.5重量部である。
【0040】
粘着層の厚みは、粘着テープの使用目的等により異なるが、通常100〜3000μmである。
【0041】
以上説明したフォーム基材と粘着層とからなる粘着テープの厚さは、その使用目的等に応じて通常40〜100μmである。
【0042】
次に、本発明の粘着テープの製造方法について説明する。
【0043】
本発明の粘着テープの製造方法は、以下の工程(a)、(b1)又は(b2)及び(c)を有する。
【0044】
工程(a)
まず、前述した熱可塑性ゴム、粘着付与剤、アクリルオリゴマー、光重合開始剤及び中空微粒子を含有するフォーム基材用組成物を、アクリルオリゴマーが熱重合しない温度の溶融押し出し法によりシート化してフォーム基材を作製する。この場合、中空微粒子が破壊されない温度でシート化することも必要となる。
【0045】
工程(b1)
次に、工程(a)で得られたフォーム基材の少なくとも片面に、アクリル酸C4〜14アルキルエステル、このアクリル酸C4〜14アルキルエステルに共重合可能な化合物、分子量300以上の多官能オリゴアクリレート及び光重合開始剤からなる紫外線硬化型の無溶剤アクリル粘着剤組成物を常法により塗布して粘着層を形成する。
【0046】
又は
工程(b2)
工程(b1)に代えて、前述した無溶剤アクリル粘着剤組成物を剥離紙に塗布し、ケミカルランプ等から紫外線を照射してBステージ化してBステージシート状粘着剤を作製し、そのBステージシート状粘着剤を工程(a)で得られたフォーム基材の少なくとも片面にドライラミネートして粘着層を形成する。
【0047】
Bステージ化の程度としては、無溶剤アクリル粘着剤組成物を重合率40〜80%、好ましくは60〜70%となる程度である。重合率が低いと、ラミネート時に粘着剤がはみ出してしまい、粘着剤の特性を十分に発揮できない。重合率が高過ぎると、フォーム基材と粘着層との間の内部交錯が不十分となり、両面粘着テープにした場合に層間剥離が生じ易くなり、接着信頼性が低下する。
【0048】
工程(c)
工程(b1)又は工程(b2)で得られたフォーム基材と粘着層とからなる積層体に、フォーム基材と粘着層との間に内部交錯が生ずるように高圧水銀ランプ等から紫外線を照射して硬化させる。これにより、本発明の粘着テープが得られる。この場合、内部交錯は、主にフォーム基材に含有されているアクリルオリゴマーと粘着層に含有されているアクリル酸エステルとの間の重合反応により生ずる。
【0049】
以上説明した本発明の粘着テープは、静荷重に対しても良好な接着信頼性を示し、種々の分野で利用することができる。
【0050】
【実施例】
実施例1
(フォーム基材の作製)
ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンからなるトリブロック型熱可塑性ゴム(ベクター4114、トーネックス社製)100重量部、水添テルペン樹脂(クリアロンK409、ヤスハラケミカル社製)100重量部及びブチルゴム(065、日本合成ゴム社製)10重量部を、140℃に加熱したニーダーで均一に混練した。その後、多官能オリゴアクリレートであるイソシアヌル酸EO変性トリアクリレート(GX−8430、第一工業製薬社製)15重量部、光重合開始剤(2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパンノン−1(イルガキュア907、日本チバガイギー社製))0.3重量部を添加して更に混練した。
【0051】
全体が均一になってから、中空微粒子(Expancel 091DE、Nobel Industries社製)4重量部(約43容量%に相当)を添加し、更に混練した。
【0052】
次いで、混練した配合物をダイコーターを使用して両面剥離紙の上に、多官能オリゴアクリレートが熱重合しない温度且つ中空微粒子が破壊されない温度(具体的には140℃)で連続塗布し、シート状のフォーム基材を製造した。フォーム基材の厚さは0.50mmであった。
【0053】
(両面粘着テープの製造)
2−エチルヘキシルアクリレート90重量部、アクリル酸10重量部からなる混合モノマー溶液100重量部にアクリルゴム3重量部(トアクロンPS220、東亜ペイント社製)を攪拌機を備えた反応容器中で48時間攪拌し溶解した。この溶液の粘度は750cpsであった。
【0054】
この溶液に多官能オリゴアクリレートであるヒドロキシピバリン酸ネオペンチルジアクリレート(KAYARAD MANDA、日本化薬社製)0.156重量部、光重合開始剤(2,4−ジエチルチオキサントン(DETX−S、日本化薬社製))0.055重量部及び光重合開始助剤(P−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル(EPA、日本化薬社製))0.055重量部を添加し、液状の紫外線硬化型の粘着層形成用組成物を調製した。
【0055】
次いで、有彩色マンセル色相環で5GBを示す青緑色の剥離ベースの両面をシリコーンで剥離処理することにより得られた剥離紙上に、粘着層形成用組成物を塗布し、その上に片面をシリコーン処理した、厚さ50μmの透明なPETフィルムを被せ、粘着層形成用組成物の厚さが50μmになるように2本のロール間で圧縮した。
【0056】
得られた積層体のPET側から捕虫用のケミカルランプ(主波長352nm、0.44mW/cm2)の光を1m/分のラインスピードで照射し、テープ状の粘着剤を製造した。その重合率は55.4%であった。
【0057】
なお、テープ状の粘着剤の重合率は、粘着剤を約0.5g精秤し、温度120℃、圧力5mmHgの環境下で2時間放置した際の重量を精秤して重量減少量(揮発分(未反応モノマー重量))を求め、得られたその値を以下の数式に代入して算出した値である。
【0058】
【数1】
重合率(%)=〔1−(重量減少量)/放置前の粘着剤の重量)〕×100
【0059】
得られたテープ状の粘着剤を、青緑色の剥離紙を剥がしながらフォーム基材の両面に連続的に貼り合わせた。その後、両側から捕虫用のケミカルランプで紫外線を照射し、さらに高圧水銀ランプ(主波長365nm、35.5mW/cm2)を使用して紫外線を照射し、粘着剤のアクリルモノマー及びフォーム基材中のオリゴエステルアクリレートを完全に重合させることにより、フォーム基材の両面に粘着層が形成された両面粘着テープを製造した。この両面粘着テープの厚さ(フォーム基材及び両面の粘着層の合計厚)は、全体で0.84mmであった。
【0060】
実施例2〜5及び比較例1〜3
表1に示す材料を使用して実施例1と同様の操作により両面粘着テープを製造した。但し、比較例2は市販のフォームテープ(T4170(0.9mm)、ソニーケミカル社製)を使用し、比較例3は市販の両面粘着テープ(UT5170(0.7mm)、ソニーケミカル社製)を使用した。
【0061】
【表1】
【0062】
(評価)
得られた両面粘着テープについて、以下に示すように機械的特性(圧縮縮み率(%)、圧縮縮み復元率(%))及び接着信頼性(曲面接着性、耐モーメント性、静荷重剥離距離、せん断保持力)について試験評価した。得られた結果を表2に示す。
【0063】
機械的特性
(圧縮縮み率(%)、縮み復元率(%))
両面粘着テープを10mm×10mmの大きさに切断し、1kg/cm2の荷重をかけ30秒後の沈んだ厚さを測定した。直ちに荷重を取り去り、30秒後の沈んだ厚さの復元した厚さを測定した。元の厚さに対する沈んだ厚さ割合を圧縮縮み率(%)、沈んだ厚さに対する復元した厚さの割合を縮み復元率(%)とした。
【0064】
接着信頼性
(曲面接着性)
両面粘着テープを厚さ0.5mmのアルミニウム板に貼り付け、幅20mm、長さ150mmに切断した。さらに厚さ2mmのABS板に貼り合わせ試験体とした。試験体を曲率半径200mmになるように曲げて固定した。固定したまま80℃のオーブンの中に入れ、24時間後における粘着テープ端部の浮きの有無(浮きがない場合:「○」/浮きがある場合には浮き高さ(mm)を測定した)を観察した。
【0065】
実用的には、浮きが観察されないか、もしくは浮きが有った場合でも浮き高さが1.0mm以下であることが求められる。
【0066】
(耐モーメント性)
25mm(縦)×25mm(横)×8mm(高さ)の大きさのステンレスブロックの中心部に、両面粘着テープで長さ100mm、直径8mmのステンレス棒の接着し、その接着面から100mmの位置に1kgの重さの分銅をつり下げ(モーメント力10kg.cm)、80℃雰囲気中で10日放置したときに、ステンレス棒が剥がれ落ちるか否かを目視にて観察した(落下しない場合:「○」/落下した場合:「×」)。
【0067】
実用的には、この実験条件下で落下しないことが求められる。
【0068】
(静荷重剥離)
厚さ40μmのアルミニウム箔に両面粘着テープを貼り付け、幅20mm、長さ150mmに切断した。これを厚さ1mmのステンレス板に貼り付け試験体とした。ステンレス板を水平に保ち、端部に200gの荷重をかけて剥離した距離(mm)を測定した。
【0069】
実用的には、剥離距離が1.0mm以下であることが求められる。
【0070】
(耐熱せん断保持力)
JIS Z0237の保持力の測定法に準じ、150℃におけるズレ距離(mm)を測定した。
【0071】
実用的には、ズレ距離が1.0mm以下であることが求められる。
【0072】
【表2】
【0073】
表2にから明らかなように、圧縮縮み率が7%以上であり且つ圧縮縮み復元率が75%以上である実施例1〜5の粘着テープは、接着信頼性が実用上問題のないレベルを実現しているが、圧縮縮み率が7%未満又は圧縮縮み復元率が75%未満の比較例1〜3の粘着テープは、接着信頼性が不十分であった。
【0074】
【発明の効果】
本発明の粘着テープは、静荷重に対しても良好な接着性を示し、被着体の被着曲面に対し良好な追従性を示し、高温下でも接着性を保持することができる。
Claims (4)
- フォーム基材と、少なくともその片面に設けられた粘着層とからなり、圧縮縮み率が7%以上であり且つ圧縮縮み復元率が75%以上である粘着テープにおいて、
フォーム基材が、熱可塑性ゴム、粘着付与剤、アクリルオリゴマー、光重合開始剤及び中空微粒子を含有するフォーム基材用組成物を硬化させたものであり、
粘着層がアクリル酸C4〜14アルキルエステル、該アクリル酸C4〜14アルキルエステルに共重合可能な化合物、分子量300以上の多官能オリゴアクリレート及び光重合開始剤からなる紫外線硬化型の無溶剤アクリル粘着剤組成物を硬化させたものであり、
フォーム基材と粘着層との間で内部交錯が生じていることを特徴とする粘着テープ。 - フォーム基材用組成物において、粘着付与剤の含有量が熱可塑性ゴム100重量部に対し60〜120重量部であり、アクリルオリゴマーの含有量が熱可塑性ゴム100重量部に対し5〜15重量部であり、光重合開始剤の含有量がアクリルオリゴマー100重量部に対し1〜10重量部であり、中空微粒子の含有量がフォーム基材用組成物の10〜60容量%である請求項1記載の粘着テープ。
- フォーム基材の両面に粘着層が形成されている請求項1又は2記載の粘着テープ。
- 以下の工程(a)、(b1)又は(b2)及び(c):
(a)熱可塑性ゴム、粘着付与剤、アクリルオリゴマー、光重合開始剤及び中空微粒子を含有するフォーム基材用組成物を、該アクリルオリゴマーが熱重合しない温度の溶融押し出し法によりシート化してフォーム基材を作製する工程;
(b1)工程(a)で得られたフォーム基材の少なくとも片面に、アクリル酸C4〜14アルキルエステル、該アクリル酸C4〜14アルキルエステルに共重合可能な化合物、分子量300以上の多官能オリゴアクリレート及び光重合開始剤からなる紫外線硬化型の無溶剤アクリル粘着剤組成物を塗布して粘着層を形成する工程、又は(b2)該無溶剤アクリル粘着剤組成物を剥離紙に塗布し、紫外線を照射してBステージ化してBステージシート状粘着剤を作製し、そのBステージシート状粘着剤を工程(a)で得られたフォーム基材の少なくとも片面にラミネートして粘着層を形成する工程; 及び
(c)フォーム基材と粘着層との間に内部交錯が生ずるように紫外線を照射して硬化させる工程
を含んでなることを特徴とする請求項1記載の粘着テープの製造方法。
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