JP4191539B2 - 固体レーザ発振器の出力安定方法 - Google Patents

固体レーザ発振器の出力安定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体レーザ発振器の出力安定方法に関し、例えばパルスYAGレーザ等の固体レーザ発振器の出力安定に好適な固体レーザ発振器の出力安定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パルスYAGレーザはショット出力開始初期にYAGレーザが吸収する励起光源からのエネルギにより発熱して歪む、いわゆる熱レンズ効果によって出力が変動する。またYAGレーザの前後に共振ミラーを配置して構成する固体レーザ発振器では周囲温度の変動による共振ミラーの平行度ずれにても出力が変動する。このため、熱レンズ効果の削減や、ベース温度調節によるミラー平行度ずれの削減がパワーフィードバック制御(例えば、特許文献1参照。)やフィードフォーワード制御(例えば、特許文献2参照。)によって図られている。
【0003】
特許文献1に記載のパワーフィードバック制御は、図8に示すように固体レーザ発振器aからの出力レーザビームlbの一部をハーフミラーbによって取り出し、これをパワーモニタcに入力して光電流・電圧変換回路dにて光電変換する。光電変換した電気出力はA/D変換器eや光強度測定部fを経てレーザ電源回路gにリアルタイムでフィードバックしている。レーザ電源回路gはフィードバックされる光強度に応じてその時々の出力が目標光強度になるように励起電流を増減する。このようなフィードバック制御により固体レーザ発振器aから繰り返しショット出力されるレーザビームlbをワークhに導き所定の加工を行う。
【0004】
特許文献2に記載のフィードフォーワード制御は、図示しない固体レーザ発振器を出力が安定する定常状態でアライメントしておき、加工時において熱レンズ効果がまだ発生しないか、効果がまだ小さく出力が不足するのを補償するために、初期出力時の出力が定常時よりも不足する範囲でその不足する割合に応じて、励起電流を図9(a)で示すように定常時よりも大きく設定している。これにより、図9(b)に示すように固体レーザ発振器からの各回のショット出力は、初期出力時から定常状態になる。
【特許文献1】
特開平05−169284号公報
【特許文献2】
特開平11−284284号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のようなリアルタイムフィードバック制御では、次のような問題がある。
【0006】
▲1▼アルミニウムのような高反射物かつ低融点かつ高熱伝導金属は、シーム溶接する際、YAGレーザの基本波長164nmに対して93%もの反射がある。このため、図7に示すような高速立上がりを含む3段波形制御を行い、最初に100μ秒以下の時間T1で4KWを超える高いピークパワーP1で切り込んでキーホールを形成するようにしている。一度キーホールができると急激にパワーをP2、P3などと落として出力波形を低くなだらかにすることにより表面状態がよく安定した溶接ができるようにしている。ところが、YAGレーザで100μm以下で4KWの出力を得ようとすると、数KA/msもの高速大電流スイッチング素子が必要である。特に、リアルタイムパワーフィードバックを実行しようとすると、その数倍の立ち上がり速度が必要となってこれを可能にするスイッチング素子は今のところなく実現性に乏しい。
【0007】
▲2▼高速立上がりとの妥協を図り、溶接品質を落として立ち上がり可能な速度範囲でリアルタイムパワーフィードバックを行うと、アルミニウムのような高反射率材料はレーザトーチを傾けて正面反射戻り光が到達しないようにしても、動作中の戻り光による時間遅れなパワーフィードバックでハンチングを起こし、溶接が不安定になるのを回避できない。
【0008】
▲3▼パワーフィードバック制御をしないと励起ランプのパワーが次第に低下していくが、固体レーザ発振器には発振閾値があるために閾値電流量ないしは閾値電圧値を超えないとレーザー発振を行うことができない。言い換えると、低電流量域で励起電流Iに対する固体レーザ発振器の出力Pの関係に図6に示すような不感帯Aがあるため、パワーPが20%ダウンしたからといって励起電流Iを20%アップしても定常時のパワーPは得られない。また、定常時のパワーPを得るために励起電流Iを双方の関係式から外れて手動で設定しても単に電流拡大、縮小係数を変えるだけでは目標波形が一定せず変化するので、溶接状態が変化する。よって、現実にはこのような事態になるとランプ寿命とみなさざるを得ず、24時間生産の場合毎週ランプ交換するなど短期のランプ交換が必要となり極めて多くのランニングコストと手間が掛かっている。
【0009】
一方、パワーフィードフォーワード制御では、フィードバック制御ではないので、周囲環境や使用条件などの事後変化により、目論見通りの補正が困難である場合が多くなる。また事前に登録する補正値の設定にも考え方に法則性がなく思考錯誤してかなり手間が掛かっている。なによりも致命的なのは動作間隔が変化すると熱レンズ効果の比率が変化するが、これに対応できず逆の補正をしてしまうような問題がある。
【0010】
本発明の目的は、フィードバック制御の利点を生かして出力を精度よく安定させられる固体レーザ発振器の出力安定方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の電流型固体レーザ発振器の出力安定方法は、加工時の繰り返しショット出力における所定回数目ごとのショット出力波形を計測してエネルギ変換し、変換されたエネルギが所定のエネルギになる拡大、縮小係数を基に、次の所定回数目までのショット出力時の励起電流を制御するが、特に、固体レーザの1ショット目の出力エネルギと定常時の出力エネルギとの熱レンズ効果による比を予め計測しておき、この比を基にした定常時の出力エネルギとなる拡大、縮小係数に基づき、以降の所定回数目までのショット出力時の励起電流を制御することを特徴としている。
【0018】
このような構成では、励起電流に対する固体レーザ発振器の出力の関係を、加工時に繰り返えされるショット出力単位のエネルギによって計測して、これが目標エネルギになる拡大、縮小係数に基づき次のショット出力に対する励起電流を制御するので、設定した波形を特に変化させることなくエネルギに過不足がないように出力を安定させられる。また、この制御は前のショット出力について行った計測を次のショット出力の電流制御に生かすショット出力単位のリアルタイムフィードバック制御となるので、もし加工時の生産タクトが変化することにより固定レーザ発振器の熱レンズ効果やミラー平行度に変動が生じてもこれの影響に対しリアルタイムに対応して出力を精度よく安定させられる。しかも、このリアルタイムフィードバック制御はショット出力が行われる加工時の生産タクト周期分だけの余裕を持って行えるので、従来のショット出力中の刻々と変化する出力をリアルタイムにフィードバック制御する場合のような制御遅れによるハンチングが生じることはなく、出力を高精度に安定させられる。また、加工に必要なショット出力の目標エネルギの設定があれば、初回のショット出力が目標エネルギを満足するような関係になくても、言い換えるとそのような関係を予め計測して設定しておくような手間を省略しても、初回のショット出力にて計測した関係から次のショット出力が目標エネルギになる励起電流と出力との適正な関係を得て設定通りの出力にて加工ができるようにするので、加工が不良となる確立の高い初回のショット出力だけをダミーとする簡単な対応にて短時間に立ち上げることができる。なお、ショット出力が一旦適正となった後これが崩れる変動周期がショット出力の出力周期よりも長い場合は、変動周期内の最大出力回数に対応するショット出力毎の計測に基づき、その間の各ショット出力のフィードバック制御を行うようにしても同様な出力の安定が得られる。特に、1ショット目の出力エネルギは熱レンズ効果がまだ発生していない分だけ定常時の出力エネルギに対してほぼ一定の関係で低くなるが、このような熱レンズ効果による比を予め計測しておいて、この比を基にした拡大、縮小係数にて加工時の1ショット目の出力時の励起電流を制御することにより、1ショット目の出力から適正なものとしてダミー扱いしなくてもよくなる。
【0024】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは可能な限りにおいて、種々な組合せで複合して採用することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る固体レーザ発振器の出力安定方法と装置につき、主として図1〜図5を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載を限定するものではない。
【0026】
図1に本発明の実施の形態に係る出力安定方法と装置を採用した固体レーザ発振器の1つの例を示している。まず、この固体レーザ発振器について説明すると、図1に示すように固体レーザ1を励起ランプ2によって励起して固体レーザ1からレーザ光3を出射させる。固体レーザ1は例えばパルスYAGレーザであってその出射したレーザ光3を前後の出力ミラー4およびリアミラー5の間で繰り返し反射させて共振、増幅させ、出力ミラー4から外部に出力させる。このレーザ光3の出力パワーの制御は励起ランプ2を駆動する励起電流を電源のコントローラ12により制御して行なう。このような電流制御のためにパワーモニタ13の計測データは必要な出力状態を得る出力算出手段としての高速AD変換ユニット16を介して電源コントローラ12に入力し、電源系には電圧、電流変換器6を用い、例えばAC200Vの電源9がノンヒューズブレーカーNFBと絶縁トランス10とを介して接続している。
【0027】
電圧、電流変換器6はレーザースタート信号を受ける都度インターロック信号およびイネーブル信号による管理のもとにトリガユニット7を介して励起ランプ2を起動するのに併せ、コントローラ12によって設定された電流、電圧を励起ランプ2に供給し、供給した励起電流に従ったレーザ光3を出力させる。
【0028】
このときの励起電流I(A)と固体レーザ発振器の出力P(W)とは既述した図6に模式的に示す直線近似した二次曲線的な関係式Fが成り立つ相関性を有している。図6では励起電流Iの変化に対し出力Pが全く、またはほとんど変化しない不感帯域Aと、直線比例関係が成立する相関域B、Cが認められる。相関域B、Cでは相関比率が異なっている。このような相関の境界点はその両側域での直線近似した相関線についての交点Dとして求めることができる。
【0029】
ここで、相関域B、Cの電流Iの範囲ではそれぞれでの直線的な相関比率に基づき励起電流Iを制御すれば、目標とする出力Pが得られることになる。言い換えると、加工対象や加工の種類に応じて理想的に設定した目標出力P0、例えば目標エネルギや目標波形を設定すれば、これに見合う出力P0が得られるように前記相関域BやCでの相関比率に従って算出した励起電流I0にて励起ランプ2を駆動すればよい。
【0030】
しかし、固体レーザ発振器自体の特性によってこの相関性が一定しないし、同じ固体レーザ発振器にても熱レンズ効果に変化のある過渡期では相関性は変化し続け、その後は熱レンズ効果が定常的になって相関性は安定する。また、この定常状態にても加工時の生産タクト周期が変更されたり変動するようなことがあると、熱レンズ効果が不安定になって相関性も不安定になる。さらに、励起ランプ2は経時的に劣化するので相関比率が徐々に低下し、図6に従って相関関係が変化する上、不感帯域Aまで劣化したときは励起ランプ2を交換しないと励起電流Iをいくら上げても出力Pは上がらない。また、周囲温度の変化によるミラー平行度の変化、光学系の経時的な汚れなども励起電流Iに対する出力Pの経時的な相関比率の低下を招く。
【0031】
これら励起電流Iと出力Pとの相関性、相関比率の変動や、低下は目標出力P0に見合った励起電流制御によるときの出力Pの変動につながり、出力Pが安定せず、加工が不安定になる。ところで、このような出力の変動は図6に示すように目標出力P0に対する実出力P1、P2の差の有無、大小によって評価することができる。この差は平均出力、エネルギ、波形などの大小比K0として算定でき、特に波形の差は相似形に表れるので双方の違いを相似比K0′として簡単に捉えることができる。このような目標出力P0に対するその時々の実出力P1、P2の差が前記比K0、KO′などとして評価できれば、図6の関係式Fから目標出力P0に対し設定している通常の励起電流I0を、前記比K0、KO′などに基づき実出力P1、P2などが目標出力P0になる拡大、縮小係数Kにて補正すれば適性出力が得られる。
【0032】
そこで、本実施の形態の固体レーザ発振器の出力安定方法は、励起電流Iを出力Pとの関係式Fに基づき制御して固体レーザ1からの出力Pを制御しながら加工を行なうのに、加工時の繰り返しショット出力Pにつき、所定の出力回数分ずつの平均出力波形を求めることを繰り返し、1回の平均波形を求めた都度、求めた平均波形が目標波形となる拡大、縮小係数Kの基に、次の平均波形を求めるまでの間の繰り返しショット出力時の励起電流Iを制御する。
【0033】
このように、励起電流Iを出力Pとの関係式に基づき制御して固体レーザ1からの出力Pを制御しながら加工を行うのに、加工時の繰り返しショット出力Pにつき所定の出力回数分ずつの平均出力波形を求める。これはその所定出力回数分に応じた時間単位での励起電流Iに対する出力Pの波形の平均的な実績評価となり、次の実績評価時点までの間に繰り返す各ショット出力Pについて、前記評価した平均波形が目標波形となる拡大、縮小係数Kに基づき励起電流Iを制御するので、出力を精度よく安定させられる。特に、周囲温度の変化によるミラー平行度の変化、励起ランプ2の劣化など経時的に徐々に進行するような変化に対応するのに好適である。しかも、この制御はフィードバック制御となるが前記所定出力回数分の時間単位の余裕を持って行なえるので制御遅れによるハンチングはもとより、目標出力P0からほぼ外れることはなく前記出力の安定は損なわれない。
【0034】
なお、次の実績評価時点までの間に繰り返す各ショット出力Pについて、前記評価した平均波形が目標波形となる拡大、縮小係数Kに基づき励起電流Iを制御するのに、拡大、縮小係数Kを徐々に変化させて目標出力P0の波形に徐々に近づけるようにすると、実出力Pの平均波形と目標出力P0の波形とが大きく違っているような場合に、出力Pの補正が極端になって制御や機器に悪影響を与えるような場合にそれを回避できる。
【0035】
このような方法を達成する固体レーザの出力安定装置としては、予め計測し、あるいは教示されて設定手段11などにより登録し、あるいは外部入力した固体レーザ1の励起電流波形と出力波形との関係式Fに基づき、励起電流Iをコントローラ12によって制御して固体レーザ1からの所定の出力Pにて加工を繰り返す図1に示すような固体レーザ発振器の出力安定装置において、さらに、加工時の固体レーザ1からの繰り返しショット出力Pを計測する計測手段としてのパワーモニタ13および高速AD変換ユニット16と、この計測手段によって所定回数のショット出力Snが計測される都度その平均波形を求める出力算出手段14と、この出力算出手段14によって平均波形Smが求められる都度、次の平均波形Smが算出されるまでの間の繰り返しショット出力Pの各出力時に、前記求められた平均波形が目標出力P0の波形となる拡大、縮小係数Kを設定、または変更して励起電流Iを制御する制御手段15とを備え、出力算出手段14および制御手段15は共にコントローラ12の内部機能としてある。しかし、これに限られることはなく必要に応じて外部機器としたり共用機器としたりすることができ、どのようにも構成できる。これにより、上記のような方法を予め登録した励起電流Iと固体レーザ1の出力Pとの関係式Fに基づき自動的に高速度で正確に達成することができるし、関係式Fが変化するようなときは登録した関係式を補正、変更したり、所定のショット出力回数を実際の出力の変動幅や変動時間に応じて変化させたり、経過時間に応じて所定のショット出力回数を変化させたりすると、出力の変化に対してよりきめ細かに対応できるようになる。
【0036】
ここで、前記登録は、加工時の生産タクト周期での所定回数のショット出力Pについての平均値から求めた関係式Fにつき行なうようにする。これにより、 予め計測して登録する励起電流Iと固体レーザ1の出力Pとの関係式Fが、実際の加工時の生産タクト周期でショット出力Pを繰り返すときの熱レンズ効果などにより加工時に生じる実際の出力変化に対応したものとなるので、出力Pの安定化の精度をより高められる。
【0037】
また、励起ランプ2の交換時に、再度計測して予め得た関係式Fを登録して用いるようにする。このようにすると、励起ランプ2の劣化による条件の変更や、交換した励起ランプ2のランプ特性が必ずしも一定していないことに対応して、より正確な出力Pの安定化が図れる。
【0038】
本実施の形態の電流型固体レーザ発振器の出力安定方法は、別に、励起電流Iを出力Pとの関係式Fに基づき制御して固体レーザ1からの出力Pを制御しながら加工を行なうのに、加工時の図2(a)(b)に示すような繰り返しショット出力Pにおける所定回数目ごとのショット出力波形S1、S2、・・を計測して例えばJエネルギに変換し、変換されたJエネルギが所定の目標エネルギJ0になる拡大、縮小係数Kを基に、次の所定回数目までのショット出力時の励起電流Iを制御する。
【0039】
これにより、励起電流Iに対する固体レーザ発振器の出力Pの関係式Fを、加工時に繰り返えされるショット出力P単位のエネルギJによって計測して、これが目標エネルギJ0になる拡大、縮小係数Kに基づき次のショット出力Pに対する励起電流Iを制御するので、設定した波形を特に変化させることなくエネルギJに過不足ないよう出力Pを安定させられる。また、この制御は前のショット出力Pについて行った計測を次のショット出力Pの電流制御に生かすショット出力P単位のリアルタイムフィードバック制御となるので、もし加工時の生産タクトが変化することにより固定レーザ発振器の熱レンズ効果に変動が生じてもこれの影響に対しリアルタイムに対応して出力を精度よく安定させられる。しかも、このリアルタイムフィードバック制御はショット出力が行われる加工時の生産タクト周期分だけの余裕を持って行えるので、従来のショット出力中の刻々と変化する出力Pをリアルタイムにフィードバック制御する場合のような制御遅れによるハンチングが生じることはなく、出力Pを高精度に安定させられる。また、加工に必要なショット出力の目標エネルギJ0の設定があれば、初回のショット出力Pが目標エネルギJ0を満足するような関係になくても、言い換えるとそのような関係を予め計測して設定しておくような手間を省略しても、初回のショット出力Pにて計測した関係Fから次のショット出力Pが目標エネルギJ0になる励起電流Iと出力Pとの適正な関係FやKを得て設定通りの出力P0にて加工ができるようにするので、加工が不良となる確立の高い初回のショット出力だけをダミーとする簡単な対応にて短時間に立ち上げることができる。なお、ショット出力Pが一旦適正となった後これが崩れる変動周期がショット出力の出力周期よりも長い場合は、変動周期内の最大出力回数に対応するショット出力P毎の計測に基づき、その間の各ショット出力のフィードバック制御を行うようにしても同様な出力の安定が得られる。
【0040】
さらに、予め固体レーザ1の熱レンズ効果による1ショット目の出力エネルギJと定常時の出力エネルギJとの比を計測しておき、この比を基に定常時の出力エネルギJとなる拡大、縮小係数Kにて次の1ショット目の出力を行うようにする。このようにすると、1ショット目の出力エネルギJは熱レンズ効果がまだ発生していない分だけ定常時の出力エネルギJに対してほぼ一定の関係で低くなるが、このような熱レンズ効果による比を予め計測しておいて、この比を基にした拡大、縮小係数Kにて加工時の1ショット目の出力時の励起電流Iを制御することにより、1ショット目の出力Pから適正なものとしてダミー扱いしなくてもよくなる。
【0041】
このような方法を達成する装置としては、図1を共用して加工時の固体レーザ1からの繰り返しショット出力Pにおける所定回数目ごとの出力波形を計測する計測手段であるパワーモニタ13、高速AD変換ユニット16と、この計測手段によって計測された出力Pの波形から出力エネルギJを算出する出力算出手段14と、算出された出力エネルギJに基づき次の所定回目までのショット出力時に所定のエネルギJ0になる拡大、縮小係数Kにて励起電流Iを制御する制御手段15とを備えたものでよい。これにより、励起電流Iと固体レーザ1の出力Pとの関係式Fに基づき自動的に高速度で正確に達成することができる。
【0042】
また、計測手段であるパワーモニタ13は図1に示すようにリアミラー5を介した出力を計測するようにしている。これにより、加工対象からの反射光の影響を防止することができる。言い換えると、反射YAG+プルームの影響を小さくすることができる。また、レーザ出力Pを集光レンズ21を用いて光ファイバ22に入射させるのに、既に知られた戻り光防止ファイバを用いている。これにより、加工対象が高反射率材料であって高い%の戻り光があってもこれがYAGレーザに入力するのを阻止することができる。
【0043】
ここで、上記実施の形態1、2に係る実施例について説明する。図1に示す装置において、高速A/D変換ユニット16は以下の仕様のものを採用した。
【0044】
測定分解能 14ビット
J演算処理速度 1mS
サンプリング速度 400KHz
通信時間 1mS(ボーレート230、4kbps)
ローパスフィルタ 5MHz
入力範囲 0〜4V
測定精度 ±1%
出力Pを励起電流Iによって制御するためのモードとして、出力Pを図2(a)に示すようなパルスとして取り扱うPLSモードと、図2(b)に示すような加工対象の材料や加工の種類によって設定した波形として取り扱うWORKモードとを設定してある。PLSモードでは図2(a)に示すように設定電流値(A)、設定パルス幅(PW)、加工時の生産タクト周期である周波数(F)にてショット出力Pを繰り返し加工を行なう。WORKモードでは設定電流波形、設定ステップ数S1、S2、・・Sn、加工時の生産タクト周期である周波数(F)にてショット出力Pを繰り返し加工を行なう。
【0045】
これらの加工を行なうのに図3に示すようなメイン画面31が電源コントローラ12のモニタに表示され、図4に示すようなメインパラメータを入力するようになっている。このメインパラメータには図4に示すように、波形設定モード(WAVEFORM MODE)、WORKモード番号(WORK NO)、波形番号(WABE NO)、電流値(CURR)、タイムスケール(PULSE)、WORKモードでのステップ数(STEP)、ショット出力の周波数(FREQ)、ショット出力に関する(COUNT)、および設定時間(TIMER)がある。これらのメインパラメータの設定範囲および設定分解能は図4にそれらと同じ行に示している通りである。設定範囲は設定分解能に従い、実際に必要な範囲をカバーして実用でない範囲を外したものである。従って、最小値、最大値に臨界的な意味はない。
【0046】
波形設定モード(WAVEFORM MODE)では、PLSモードかWORKモードかを設定する。WORKモード番号(WORK NO)はWORKモードを設定する加工対象の種類を示す番号を設定し、波形番号(WABE NO)は加工対象の種類毎に設定した個別の波形番号を設定する。波形番号の設定があるとメモリに予め格納された対応する波形データ、繰り返し周波数、カウント値、タイムスケール値を読み出す。例えばコントローラ12の外部または内部スタートにて、設定されたWORK番号のWAVE NO.1〜21を自動で切り替えながら出力する。そして、NO.21に達したらNO.1に戻り繰り返し出力する。電流値(CURR)は制御モードがPLSモードの場合、設定された電流値にて出力を行う。WORKモードの場合は設定されたステップ電流値にて出力を行う。タイムスケール(PULSE)は設定されたパルス幅PWにて出力を行うが、WORKモード時には0.1mS×ステップ数×タイムスケール値にて決定する。WORKモードでのステップ数(STEP)は、制御モードがWORKモードでのステップ数で、ステップ数だけステップ毎の電流値にて連続に出力するもので、各WAVE NOの波形毎に出力を行う。ショット出力Pの周波数(FREQ)は設定された繰り返し周波数にて出力を繰り返す。ショット出力に関する(COUNT)はPLSモードで動作モードがCOUNTの場合、設定されたカウント値を出力して停止する。WORKモードで動作モードがCOUNTの場合、設定されたカウント値を出力する。スタートしてからの総カウント数がWORK COUNT設定値に達したら途中で停止する。設定時間(TIMER)は動作モードがTIMERの場合、設定されたタイマー値だけ出力して停止する。
【0047】
なお、タイムスケール(TIME SCALE)は、制御モードがWORKの場合、設定波形の最小ステップ時間にタイムスケール値をかけたステップ時間を出力する。各々の波形に対して設定する。WORKモード時の全カウント値(WORK COUNT)は、WORKモードで動作モードがCOUNTの場合、設定されたカウント値を出力して停止する。設定カウントが少ないと途中の波形で停止する。
【0048】
このようなメインパラメータを設定するのに、メイン画面31では、設定パラメータの表示画面31aと動作パラメータの表示画面31bとが上部左右にあり*印の位置に入力に従い設定数値が表示される。メイン画面31の下辺部に沿って各種の設定操作キーが並んでいる。設定操作キーには図3に示すように、PARAキー32、MODEキー33、FUNキー34、EXTキー35、SIMRキー36、TRIGキー37、SHUTキー38、STRTキー39、およびSTOPキー40が設けられている。
【0049】
PARAキー32は電源コントロール用のパラメータの設定を行う。ただし、SHOT SELECT(FUNC画面)の設定がRATE IN/OUTの場合、RATE IN/OUTパラメータの設定を行う。MODEキー33は動作モードの変更を行う。FUNキー34はショットカウンタのクリア、パワー変動異常値、POWER FB(フィードバック)の設定、SHOT SELECTの設定、UP/DUNキーの設定、補正値TKの設定を行う。EXTキー35は操作モード、外部シャッタモードの変更を行う。SIMRキー36はシマー制御を行う。TRIGキー37はトリガ出力を行う。SHUTキー38は固体レーザ発振器の動作を停止させるシャッターの制御を行う。STRTキー39は操作モードがINTモードのとき、出力の開始を行う。STOPキー40は操作モードがINTモードのとき、出力の停止を行う。
【0050】
次に、メイン画面31での今1つのFUNCキー41を操作すると、図3のメイン画面31が図示しないFUNC画面になり、図5に示すようなパワー上限に関する「OVER ENERGY」、パワー下限に関する「UNDER ENERGY」、パワーフィードバック制御モードを設定する「POWER FB」、キャリブレーションモードを設定する「CAL SW」、パワーフィードバック制御時の補正係数「FB K」、パワーフィードバック制御時の補正係数の変化率「FB RATE」、パワーフィードバック制御時の励起ランプ2の特性に関する「WARNING1、2」、キャリブレーション時のWORK TACT時間周期「WORK1〜4 TACT」、キャリブレーション時の1サイクル平均生データをパワー換算するための定数「WK1〜4」、設定電流出力時の補正係数「TK」などのパワーフィードバックパラメータが表示され、各パラメータ項目の横に表示される図示しない「PUSH」キーを操作することによりそれらパラメータの変更を可能にする。
【0051】
「OVER ENERGY」、「UNDER ENERGY」はパワーの変動に対する異常判定の上限値と下限値を設定する。「POWER FB」はパワーフィードバック制御モードを設定するもので、これがONのときパワーフィードバック制御を行う。「CAL SW」はキャリブレーションを設定するもので、これがONのときにキャリブレーションモードになる。キャリブレーションモードになると、強制的にINTモード、WORKモード、COUNTモードに設定され、パワーフィードバック制御時の補正係数は「FB K」の設定値にリセットされる。これらのモードを変更すると強制的にCAL SWはOFFとなり、キャリブレーションモードが終了する。
【0052】
パワーフィードバック制御中において、励起電流Iと出力Pとの相関性が変化するとき、この変化割合に応じて前記補正係数「FB K」を所定比率変化させて設定し直すための変化率「FB RATE」を設定する。「WARNING1、2」はパワーフィードバック時の励起ランプ2の劣化判定のために設定するもので、WARNING1は劣化注意出力値、WARNING2は劣化異常出力値である。「WORK1〜4 TACT」はキャリブレーションモード時に設定されたWORK TACT時間周期で1サイクル動作(COUNTモード出力動作)を10回行う。これは加工対象毎に行う。「WK1〜4」はキャリブレーションモード時に、1サイクルの平均生データをパワー換算するための定数であるので、加工対象の種類毎に設定する。キャリブレーションモード中は、メイン画面31に換算した1サイクル中の平均パワーMPと3〜20サイクルの平均パワーSMPを表示する。なお、この時のパワー表示値はWK×20.4×入力電圧(V)である。
【0053】
パワー変動異常はパワーモニタの値がFUNC画面で設定されたOVER ENERGY設定値より大きい、またはUNDER ENERGY設定値よりも小さい場合は、設定範囲外として異常と判断し、出力をONする。出力停止中の場合は、出力をOFFし、出力ON時にメイン画面に「POWRE ERR」を表示する。
【0054】
パワーメータの取り込みタイミングについては出力パルスの0.25mS後より表示を行う。表示更新タイミングについては500mSなので、約120Hzの周波数で出力すれば64データの平均が取れる。周波数が低い場合、500mS間で計測された回数で平均する。500mSの間にパルスが無い場合、前回の情報を保持し、3秒間パルスが無い場合に0にする。周波数が早い場合、最新の64データを使用して表示する。0.25mS+(0.25mS×7回)の間に次のパルスが入った場合、そのパルスは間引く。
【0055】
次に、パワーモニタ13で計測されたパワーに比例する電圧からエネルギを求める計算について説明する。パルスYAGレーザのような固体レーザ1は、図6の閾値電流Idを超えて発振するが、閾値Id付近では二次関数的に増加する。よって閾値1d以上での相関域B、Cに対応した2つの直線近似式の交点Dを境にパワー計算を分離して行う。交点Dの入力電圧値をVOLTQとすると、パルスのパワー(ENERGY)は、0(V)<VOLT1≦VOLTQのときENERGY1=(VOLT1−OFFSET1)×K1×PB(mS)×20、VOLTQ≦VOLT2<1.999(V)のとき、ENERGY2=(VOLT1,2)=入力電圧(0.000V〜1.999V)、K1,2=キャリブレーション値(0.001〜99.999)である。平均パワー(POWER)は0(V)<VOLT1≦VOLTQのとき、POWER=ENERGY=ENERGY1×周波数、VOLTQ≦VOLT2<1.999(V)のとき、POWER=ENERGY2×周波数となる。キャリブレーション設定値、およびOFFSET設定値は実際のパワーモニタを用いてキャリブレーションを行う。なお、交点Dの入力電圧値が0.000V以下、1.999V以上になる場合、および交点Dがない場合はパワーモニタ表示を0W、0Jとする。また、OFSET1=OFFSET2、K1=K2とした場合、1つの直線近似式として計算する。
【0056】
ここで、前記フィードバック制御に先立って行うキャリブレーションについて説明する。従来とは異なり、最初に生産動作条件でパワーキャリブレーションを行い、生産中も安定した固定パワーを求める。まず、キャリブレーションを行う機種(WORK NO.)を設定し、FUNC画面のCAL SWをONにする。これによりキャリブレーションモードとなり、強制的にINTモード、WORKモード、COUNTモードに設定される。なお、これらのモードを変更すると強制的にCAL SWはOFFとなり、キャリブレーションモードが終了する。
【0057】
次に、FUNC画面のFB Kを設定する。FB Kはパワーフィードバック時の補正係数基準値で、キャリブレーション時はこの基準値で出力する。パワーフィードバック時はこの補正基準値を変化させる。続いてFUNC画面のFB LATEを設定する。パワーフィードバック時10サイクル出力毎に補正係数KをFB RATEの割合で変化させる。
【0058】
次いで、WORK TACTを設定し、キャリブレーション時機種(WORKNO)ごとに設定されたWORK TACT時間周期で1サイクル動作(COUNTモード出力動作)を10回行う。これは1サイクル時間より長めに設定して行う。続いて、FUNC画面のWKを設定する。WKは1サイクルの平均データをパワー換算するための定数で、機種(WORK NO)毎に設定する。キャリブレーション中はメイン画面に換算した1サイクルの平均パワー(MP)と3〜10サイクルの平均パワー(SMP)を表示する。ここでのパワー表示値はWK×20.4×入力電圧(V)である。
【0059】
以上は手操作にてキャリブレーションを行ったが、以下に自動でキャリブレーションを行う場合について説明する。CAL SWをONにすると外部シャッタは強制的に閉となり、メイン画面31のSHUTキー38が無効となる。この状態でメイン画面31のSTRTキー39をONすると設定された機種(WORKNO)でのシーケンシャル波形制御を順次に自動的に行う。1サイクル動作(COUNTモード出力動作)終了後、設定されたWORK TACT周期に達すると出力Wを停止し、再スタートする。その際、1、2サイクルのデータは無視され、3〜20サイクルの積算生データの1サイクル平均値をパワーフィードバックの基準値としてメモリに保存する。機種(WORK NO)毎にキャリブレーション動作をすると、機種(WORK NO)毎のパワーフィードバック基準値がメモリに保存される。
【0060】
キャリブレーション動作が終了すると(1サイクルの動作を20回出力すると)CAL SWはOFFになり、通常のメイン画面31を表示する。キャリブレーション中に停止した場合、CAL SWはONのままとなるので、再度、キャリブレーション動作を行う。サンプリングは、出力パルスの0.25mS後から0.25mS毎に7回計測し、1サイクル全てのデータを積算する(最大積算約15S)。なお、パワーメータのサンプリングデータを使用する。
【0061】
以上のキャリブレーション動作による計測、データ作成に基づく加工動作においてパワーフィードバック制御を行う場合の実施例について説明する。FUNC画面でのCAL SWをOFF、POWER FBをONにする。これによりパワーフィドバック機能が有効になる。ただし、WORKモード、COUNTモード時有効とし、他のモードではパワーフィードモードは無効とする。パワーフィードバックモード時の電流値は、メイン画面31に表示されているパワー補正係数Kと設定電流値(POWER FF等の補正値を考慮した値)をかけた値となる。なお、電流値は750Aでクリップされる。FUNC画面内のT.COUNTERをリセットした場合、およびFB K設定値を変更した場合、CAL SWをONにした場合は、パワー補正係数KはFB K設定値にリセットされる。
【0062】
1サイクル動作(COUTモード出力動作)を10回行う毎に、10サイクルの積算平均値が、POWER FB基準値±FB RATE設定値以内ならパワー補正係数Kは変化しない。設定値以上の場合はパワー補正係数KをFB RATE設定値分変化させる。つまり、10サイクルの積算平均値<POWER FB基準値×(100%+FB RATE設定値)の場合K=K−(FB RATE設定値/100)となり、10サイクルの積算平均値<POWER FB基準値×(100%−FB RATE設定値)の場合、K=K+(FB RATE設定値/100)となる。
【0063】
続いて、出力Pの波形をジュール換算して出力が目標ジュールとなるようにするジュールフィードバック(J−FB)機能について説明する。ジュールフィードバック制御時、電源コントローラ12は1ショット出力する毎に高速AD変換ユニット16へトリガ信号を出力する。高速AD変換ユニット16はトリガ信号を受信するとパワーモニタ13からの信号を計測開始し、パルス幅PW+500μS間のエネルギ積算を行う。計測終了後、積算データをコントローラ12へ送信する。電源コントローラ12は積算データを受信するとそれをジュール換算し、換算値と波形毎に設定された基準値を比較して、次のショット出力の電流値を補正する。なお、ジュールフィードバック制御を使用する場合の仕様制限は下記の通りとなる。
【0064】
動作モードはPARAキー32によるCOUNTモード、MODEキー33によるWORKモード、CAL SW、POWER FBは共にOFF、JOULE FBはON、また、(パルス幅PB+5μS)<(1/繰り返し周波数)である。なお、ジュールフィードバック制御はCOUNTモード、WORKモードで使用するものとし、SINGLE、REPEAT、TIMER、またはPLSモードに設定されている場合は、JOULE FBの設定がONでもジュールフィードバック制御は無効となる。このとき、JOULE FBの設定をONにすると、CAL SW、POWER FBの設定は強制的にOFFとなる。逆に、CAL SW、POWER FBの設定をONにすると、JOULE FBの設定は強制的にOFFとなる。
【0065】
ここで、ジュールフィードバック制御時の補正係数Kについて説明する。波形毎に設定したジュール基準値Jに対して計測値との差ΔJで次のショット出力時の補正係数Kを以下のように設定する。
【0066】
1ショット目 K1=TK×JK
2ショット目 K2=K1×(1−ΔJ1/J1)
3ショット目 K3=K2×(1−ΔJ2/J2)
また、ジュールフィードバック時のパラメータは次の通りである。JOULE(PARAキー32)はJOULE FBの設定がONのときに有効。ジュールフィードバック制御時のジュール基準値で、各波形毎に設定する。設定範囲は0.00〜99.99J(分解能0.1J)である。JKはスタート時の変動制御値であり、ジュールフィードバックによる補正係数の変動比率が設定値よりも大きい場合は、設定値で変動する。0%設定時は変動しない。設定範囲は0〜100%(分解能1%)である。JOULE CALBRATION(FUNCキー34)は、ジュール換算係数。高速AD変換ユニット16から送信されたエネルギー積算データをジュール値に換算する。制御に使用する値は、この値にオフセット設定値を考慮した値となる。実際にはパルス幅PWが1mS、パワーモニタ13の入力1V、換算係数1.000で約2Jとしている。設定範囲は0.001〜99.999(分解能0.001)。POWER AVE CTはパワー値の変動平均回数設定値。パワー値はジュール測定値に周波数をかけた値となる。設定範囲は1〜10CT(分解能1C)とした。なお、外部IOに対してはジュールフィードバック制御時はパワーフィドバック制御時と同様に、ランプ劣化注意、ランプ劣化異常、パワー変動異常の信号を出力する。メイン画面ではジュールフィードバック制御時はパワーフィドバック制御時と同様に、ランプ劣化注意は「WARNING」、パワー変動異常時は「POWER」を表示する。また、計測したジュール値と波形毎に設定されたジュール基準値の比をグラフ表示する。4ショット出力の平均値を1ドット表示する。各波形毎の設定ジュールの変動比率(現在の波形の設定値と次の波形の設定値との比)をr=****として表示する。
【0067】
なお、上記において各種動作パラメータの数値を使用しているが、他の数値でも同様なパワーフィードバック制御やジュールフィードバック制御ができるのは勿論である。
【0069】
【発明の効果】
本発明の電流型固体レーザ発振器の出力安定方法と装置によれば、励起電流に対する固体レーザ発振器の出力の関係を、加工時に繰り返えされるショット出力単位のエネルギによって計測して、これが目標エネルギになる拡大、縮小係数に基づき次のショット出力に対する励起電流を制御するので、設定した波形を特に変化させることなくエネルギに過不足がないように出力を安定させられる。また、この制御は前のショット出力について行った計測を次のショット出力の電流制御に生かすショット出力単位のリアルタイムフィードバック制御となるので、もし加工時の生産タクトが変化することにより固定レーザ発振器の熱レンズ効果やミラー平行度に変動が生じてもこれの影響に対しリアルタイムに対応して出力を精度よく安定させられる。しかも、このリアルタイムフィードバック制御はショット出力が行われる加工時の生産タクト周期分だけの余裕を持って行えるので、従来のショット出力中の刻々と変化する出力をリアルタイムにフィードバック制御する場合のような制御遅れによるハンチングが生じることはなく、出力を高精度に安定させられる。また、加工に必要なショット出力の目標エネルギの設定があれば、初回のショット出力が目標エネルギを満足するような関係になくても、言い換えるとそのような関係を予め計測して設定しておくような手間を省略しても、初回のショット出力にて計測した関係から次のショット出力が目標エネルギになる励起電流と出力との適正な関係を得て設定通りの出力にて加工ができるようにするので、加工が不良となる確立の高い初回のショット出力だけをダミーとする簡単な対応にて短時間に立ち上げることができる。なお、ショット出力が一旦適正となった後これが崩れる変動周期がショット出力の出力周期よりも長い場合は、変動周期内の最大出力回数に対応するショット出力毎の計測に基づき、その間の各ショット出力のフィードバック制御を行うようにしても同様な出力の安定が得られる。特に、1ショット目の出力エネルギは熱レンズ効果がまだ発生していない分だけ定常時の出力エネルギに対してほぼ一定の関係で低くなるが、このような熱レンズ効果による比を予め計測しておいて、この比を基にした拡大、縮小係数にて加工時の1ショット目の出力時の励起電流を制御することにより、1ショット目の出力から適正なものとしてダミー扱いしなくてもよくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る固体レーザの出力安定装置の1つの例を示すブロック構成図。
【図2】図1の装置の動作波形図。
【図3】図1の装置の動作画面表示を行うメイン画面図。
【図4】図3のメイン画面での設定パラメータ表。
【図5】パワーフィードバック制御に関連するパラメータ表。
【図6】励起電流と出力との相関性を模式的に示すグラフ。
【図7】アルミニウム溶接時の出力波形。
【図8】従来のパワーフィードバック制御装置を示すブロック構成図。
【図9】従来のパワーフィードフォーワード制御装置の制御例を示す励起電流と出力とのグラフ。
【符号の説明】
1 固体レーザ
2 励起ランプ
3 レーザ光
4 出力ミラー
5 リアミラー
6 パワーユニット
12 コントローラ
13 パワーモニタ
14 出力算出手段
15 制御手段
16 高速AD変換ユニット

Claims (1)

  1. 加工時の繰り返しショット出力における所定回数目ごとのショット出力波形を計測してエネルギ変換し、変換されたエネルギが所定のエネルギになる拡大、縮小係数を基に、次の所定回数目までのショット出力時の励起電流を制御するのに、固体レーザの1ショット目の出力エネルギと定常時の出力エネルギとの熱レンズ効果による比を予め計測しておき、この比を基にした定常時の出力エネルギとなる拡大、縮小係数に基づき、以降の所定回目までのショット出力時の励起電流を制御することを特徴とする固体レーザ発振器の出力安定方法。
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