JP3879889B2 - インジェクションロック型狭帯域化パルスレーザ装置 - Google Patents

インジェクションロック型狭帯域化パルスレーザ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インジェクションロック型狭帯域化パルスレーザ装置に関し、特に、オシレータ段と増幅段との発光タイミングを出力調整、環境変化等にかかわらず、適正に同期制御することができるインジェクションロック型狭帯域化パルスレーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、狭帯域化KrFエキシマレーザでは、248nmの紫外レーザ光をパルス発振する際、出力レーザ光の一部を取り出し、レーザ出力とレーザ波長とを検出し、波長制御及び出力制御を行っていた。
【0003】
例えば、図19は、従来の狭帯域化エキシマレーザの概要構成を示し、この狭帯域化エキシマレーザは、放電電極102のパルス放電によってレーザチャンバ101内に充填されたレーザガスが励起され、フロントミラー105とリアミラー104とで構成される共振器によってレーザ発振し、フロントミラー105からレーザ出力光LAが出力される。レーザ出力光LAの一部はビームスプリッタ106によって取り出され、波長モニタ107に入力される。波長モニタ107では、ビームスプリッタ107e、エタロン107b、レンズ107cを介して入力されたレーザ出力光LAの干渉縞がラインセンサ107dに撮像され、その結果が波長コントローラ108に入力される。また、波長モニタ107内には、レーザ出力光LAの波長に近い基準光107aを発する光源を有し、基準光107aは、ビームスプリッタ107e、エタロン107b、レンズ107cを介して出力され、基準光107aの干渉縞がラインセンサ107dに撮像されて波長コントローラ108に入力される。波長コントローラ108は、入力されたレーザ出力光の干渉縞と基準光の干渉縞とからレーザ出力光の波長を算出するとともに、目標波長との波長ずれを算出し、この算出結果をもとに、ドライバ109を介して、狭帯域化モジュール103内の波長選択素子110を駆動して所望の発振波長となるように制御する。このようなフィードバック制御によってレーザ出力光LAの波長は目標波長に制御される。
【0004】
一方、狭帯域化されたレーザ光を発生するオシレータ段とこのレーザ光を増幅する増幅段とを連結して、増幅段から出力の大きな狭帯域化されたレーザ光を出力する同期注入(インジェクションロック)型パルスレーザが知られており、このインジェクションロック型パルスレーザを用いることによっても狭帯域化されたレーザ光を得ることができる(特開昭63−54786号参照)。
【0005】
また、露光装置では、極微細加工をさらに精密に行うことができる要求から、さらに波長が短く、安定し、微細加工が可能な出力をもった紫外レーザ光を発振できるレーザ装置の出現が望まれている。
【0006】
このため、例えば図20に示すように、固体レーザを用いたインジェクションロック型パルスレーザの研究が行われている。このインジェクションロック型パルスレーザでは、193nmの波長のレーザ光を出力することができる。すなわち、Nd:YAGレーザ121が発振したレーザ光の第2高調波(532nm)をポンピング光として、狭帯域化チタンサファイヤレーザ122を発振させ、発振した773.6nmのレーザ光を波長変換部123で4倍の高調波(193nm)のレーザ光LB1として出力する。そして、このレーザ光LB1は、全反射ミラー131,132を介して増幅段124に入力され、増幅されたレーザ光LB2として出力される。この増幅段124における増幅は、オシレータ段120のレーザ発振に同期して放電電極126が放電し、レーザ励起ガスが充填されたチャンバ125内に入力されたレーザ光LB1が凸面ミラー127、凹面ミラー128を介して通過出力されるまでの間に誘導放出により光増幅することによって行われる。これによって、狭帯域化された193nmのレーザ光を得ることができる。
【0007】
この図20に示すインジェクションロック型パルスレーザでは、長波長光を波長選択し、かつ波長モニタすれば、狭帯域化されたパルスレーザ光を露光装置等の処理加工装置に出力することができ、図19に示す従来のシングル型のエキシマレーザにおいて生じる問題点、すなわち、(1)ArFのエキシマによる発振波長(193nm)のように波長が短くなると、耐久性のある適切な母材およびコーティング材がない。
例えば、蛍石(CaF2)のようなフッ化物結晶材料であっても耐久性に問題があり、反射防止膜等のARあるいはHRコートも耐久性に問題がある。
【0008】
(2)ArFのエキシマによる発振波長(193nm)のように波長が短くなると、波長および線幅を高精度に検出することが困難である。
具体的には、193nmの波長に適合した基準光源が存在しない。また、193nmの波長に適合した吸収線がない。さらに193nm用の高精度のエタロンを製造できない。さらには、波長モニタ自体の耐久性もない。
といった問題点を解消することができる。
【0009】
ところで、インジェクションロック型パルスレーザは、半導体露光装置用の光源として用いられるが、この光源のスペクトル純度は非常に高いことが要求される。これは、線幅がどんなに細くても、バックグランド光が高ければ半導体露光装置におけるレンズの解像力を悪化させることになるからである。
【0010】
ここで、図21は、スペクトル純度を説明するための図であり、スペクトル純度は、
スペクトル純度(%)=(波長±δλの範囲内の面積)/(全面積)*100で表すことができる。
【0011】
一方、ロッキング効率も約95%以上に高くかつ安定に維持する必要がある。ここで、図22は、ロッキング効率を説明するための図であり、ロッキング効率は、
ロッキング効率(%)=N/(A+N)*100
で表すことができる。但し、Nは、狭帯域化光成分であり、Aは、自然放出成分である。
【0012】
インジェクションロック型パルスレーザの場合、狭帯域化光Nのスペクトルの拡がりを非常に小さいと仮定すると、スペクトル純度とロッキング効率とはほぼ同じ値になる。
【0013】
しかし、従来のインジェクションロック型パルスレーザでは、上述したスペクトル純度およびロッキング効率を満足することができず、半導体露光装置用の光源としては用いることができなかった。これは、
1)オシレータ段の発振するタイミングと増幅段の発振するタイミングとが変動する
2)ミスショットが発生する。すなわち、オシレータ段の光が増幅段に注入されずに増幅段が発光した場合は自然発光成分Aのみの出力となる
3)オシレータ段120と増幅段124の発光パルス幅が変動する
4)オシレータ段120と増幅段124の光強度及び発光パルス幅の最適化がされていない
5)オシレータ段120のレーザ出力が安定していない
等の原因による。
【0014】
一般的に、オシレータ段120がArFエキシマレーザである場合、オシレータ段120を発光させるためのオシレータ段トリガから増幅段124が発光するまでのタイミングチャートは図23に示すようになる。すなわち、オシレータ段120のトリガが時点T1で印加されると、その時点T1からオシレータ段120は放電し、この放電励起によってオシレータ段120は時点T2から期間TOの間、発光して増幅段124に注入される。このオシレータ段120の発光の間に、所定の遅延時間をもった時点T3において増幅段124にトリガが印加され、増幅段124は放電する。この放電によって放電励起されて増幅段124は時点T4から期間Taの間、発光する。ここで、オシレータ段120のトリガ印加から増幅段124のトリガ印加までのトリガ遅延時間は(T3−T1)となり、発光の遅延時間は(T4−T2)となる。なお、オシレータ段120の発光期間TOは、増幅段124の発光期間Taよりも小さい。
【0015】
このようなタイミングで動作するインジェクションロック型パルスレーザのロッキング効率を調べてみると、図24に示すような関係が得られる。ここで、発光期間TOは10nsであり、発光期間Taは20nsである。図24では、増幅段124に注入されるオシレータ段120のエネルギーをパラメータとして示しており、この関係から、増幅段124に注入されるオシレータ段120のエネルギーが所定値以上、ここでは57μJ以上でないと、ロッキング効率を高く維持することができないということがわかる。また、遅延時間(T4−T2)を20ns〜60nsの範囲で動作しないとロッキング効率を高く維持することができないことがわかる。
【0016】
さらに、図25は、オシレータ段120の注入エネルギーをパラメータとして、遅延時間(T4−T2)に対する増幅段124の相対出力の関係を示し、この関係から、遅延時間(T4−T2)の値は22ns近傍でエネルギー効率がよく、この遅延時間(T4−T2)の範囲でなければ、増幅段124からのレーザ出力の安定性を維持することができないことになる。
【0017】
ところで、放電励起型のエキシマレーザをオシレータ段として用いる場合、実際にオシレータ段に放電のためのトリガを印加してもジッタ、すなわち電気的にトリガが印加されてからオシレータ段が発光するまでの時間のばらつき、が非常に大きいので、この放電励起型のエキシマレーザをオシレータ段として用いることは困難である。
【0018】
また、放電励起型のエキシマレーザの場合、オシレータ段の発光パルス幅を10ns以上にすることが困難である。すなわち、発光パルス幅を長くするためには、放電時間を長くする必要があり、放電時間を長くすると、放電が乱れてレーザ発振しなくなるからである。
【0019】
従って、図20に示すようにオシレータ段120としてチタンサファイヤレーザ122と波長変換部123とを用いたインジェクションロック型パルスレーザが提案されているが、このインジェクションロック型パルスレーザでも、ロッキング効率が90%程度でスペクトル純度も低く、半導体露光装置用の光源としては用いることができない。これは、ポンピングレーザとしてのNd:YAGレーザ121の発光パルス幅が短く(10ns以下)、このため、チタンサファイヤレーザ122および波長変換部123から出力される注入光LB1のパルス幅も非常に短くなるからである。この結果、遅延時間(T4−T2)が許容範囲内に維持することができず、スペクトル純度およびパルスエネルギーの安定性を高く維持することができなかった。
【0020】
このため、オシレータ段120で発光パルス幅を調整できるオシレータ段レーザが各種提案されている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、オシレータ段として発光パルス幅を所望の値に適切に調整できるインジェクションロック型パルスレーザであっても、増幅段として放電励起型のエキシマレーザを用いている限り、高いスペクトル純度およびパルスエネルギーの安定性を維持することができないという問題点があった。
【0022】
すなわち、近年の放電励起型のエキシマレーザでは、サイラトロンによるトリガスイッチの寿命が短いため、GTO等の固体スイッチと複数の磁気スイッチとを組み合わせたレーザ源源が用いられるのが主流となり、この固体スイッチによるトリガ入力から磁気スイッチを介して実際に放電されるまでのタイミングが、充電される電圧および温度等によって大きく変化し、この増幅段の放電タイミングの変化がロッキング効率を著しく悪化させ、たとえ、適切な遅延時間(T4−T2)を設定しても連続運転すると高いスペクトル純度およびパルスエネルギーの安定性を維持することができなかった。
【0023】
特に、半導体露光装置の光源として用いて連続パルス発振(バーストモード発振)を行う場合、その連続パルス発振の初期段階のレーザパルス出力が大きくなるというスパイキング現象が生じ、このスパイキング現象を解消するために充電電圧等を低く設定制御して安定した連続レーザパルス発振を常に行わせるが、この充電電圧等を低く抑える設定制御によって、放電タイミングが遅延することなる。また、一般にバーストモード発振中においては毎パルス毎にもパルスエネルギー制御を行っているため、この調整制御によっても放電タイミングが変化し、高いロッキング効率と安定したパルスエネルギーを出力することができない。
【0024】
また、半導体露光装置側では連続パルス発振であることから、エネルギーを一定に制御する必要から、連続パルス発振のパルス幅時間間隔が同じになるように指定する場合があり、このパルス幅時間間隔の制御にも対応しなければならない場合もある。
【0025】
ここで、上述したパルス圧縮を行うレーザ電源において、充電電圧等の変化に伴う放電タイミングすなわち発光タイミングのずれが生じる現象について詳細に説明しておく。
【0026】
図26は、一般的な容量移行型の磁気パルス圧縮放電装置の等価回路を示す。また。図27は、図26の回路各部における電圧および電流の波形例を示す。
【0027】
この図26の放電回路は、可飽和リアクトルからなる3個の磁気スイッチAL0〜AL2の飽和現象を利用した2段の磁気パルス圧縮回路である。
【0028】
まず、1発目のレーザ発振トリガ信号が受信されると、図示しない露光装置側からエネルギー指令値Eまたはレーザ電源の電源電圧値V0が入力され、図示しないレーザコントローラはこのエネルギーを出すのに必要な電源電圧値V0を計算し、この計算値に基づき高電圧電源HVの電圧を調整する。そして、この時点でコンデンサC0に、磁気スイッチAL0、コイルL1を介して高電圧電源HVからの電荷をプリチャージしておく。
【0029】
その後、露光装置側からの1発目にパルス発振同期信号(トリガ信号)TRが受信されると、この受信時点で主スイッチSWがオンにされる(図27、時刻t0)。主スイッチSWがオンになると、主スイッチSWの電位VSWが0に急激に下がり、この後、磁気スイッチAL0の両端電圧であるコンデンサC0と主スイッチSWの電位差VCO−VSWの時間積(電圧VCOの時間積分値)S0が磁気スイッチAL0の設定特性で決まる限界値に達すると、この時点t1において磁気スイッチAL0は飽和し、コンデンサC0、磁気スイッチAL0、主スイッチSW、コンデンサC1のループに電流パルスi0が流れる。
【0030】
そして、この電流パルスi0が流れはじめてから0になる(時刻t2)までの時間δ0、すなわちコンデンサC0からコンデンサC1に電荷が完全に移行されるまでの電荷転送時間δ0は、主スイッチSWなどによる損失を無視すれば、コンデンサC0、磁気スイッチAL0、コンデンサC1の各容量、インダクタンスによって決定される。
【0031】
一方、コンデンサC1の電圧VC1の時間積S1が磁気スイッチAL1の設定特性で決まる限界値に達すると、この時点t3において磁気スイッチAL1は飽和し、低インピーダンスとなる。これにより、コンデンサC1、コンデンサC2、磁気スイッチAL1のループに電流パルスi1が流れる。この電流パルスi1は、コンデンサC1,C2および磁気スイッチAL1の容量、インダクタンスによって決定される所定の転送時間δ1を経由した後、時刻t4で0になる。
【0032】
また、コンデンサC2の電圧VC2の時間積S2が磁気スイッチAL2の設定特性で決まる限界値に達すると、この時点t5において磁気スイッチAL2は飽和し、これにより、コンデンサC2、ピーキングコンデンサCP、磁気スイッチAL2のループに電流パルスi2が流れる。
【0033】
その後、ピーキングコンデンサCpの電圧VCpは充電の進展とともに上昇し、この電圧VCpが所定の主放電開始電圧に達すると、この時点t6において主電極206間のレーザガスが絶縁破壊されて主放電が開始される。この主放電によってレーザ媒質が励起され、数nsec後にレーザ光が発生される。
【0034】
この後、主放電によってピーキングコンデンサCpの電圧は急速に低下し、所定時間経過後に充電開始前の状態に戻る。
【0035】
このような放電動作がトリガ信号TRに同期した主スイッチSWのスイッチング動作によって繰り返し行われることにより、所定の繰り返し周波数(パルス発振周波数)でのパルスレーザ発振が行われる。
【0036】
図26の磁気圧縮回路によれば、磁気スイッチおよびコンデンサで構成される各段の電荷転送回路のインダクタンスが後段にいくにつれて小さくなるように設定されているので、電流パルスi0〜i2のピーク値が順次高くなりかつその通電幅が順次狭くなるようなパルス圧縮動作が行われ、この結果主放電電極206間に短時間での強い放電が得られることになる。また、各磁気スイッチAL0〜AL2は各パルス毎に可飽和リアクトルのリセット回路で初期状態にリセットされるようになっているので、各磁気スイッチAL0〜AL2の飽和点(動作点)は、電圧さえ同じであれば、各パルス毎にわたって一定となる。
【0037】
しかしながら、上記磁気圧縮回路においては、初期充電電圧V0が変化すると、これに伴い電圧時間積によって決定される各磁気スイッチAL0〜AL2の飽和時間σ0、(σ0+σ1)、(σ1+σ2)が変化することになり、これに応じてトリガ信号TRが入力されて主スイッチSWが点呼される時点t0から実際にレーザ光が発生する時点t6までの時間tdも変化することになる。
【0038】
この時間tdの変化によって増幅段の放電(発光)タイミングが変化し、ロッキング効率が悪化する。
【0039】
そこで、本発明は、かかる問題点を除去し、光学素子の寿命を長くすることができ、ロッキング効率およびスペクトル純度が高く、かつ安定したレーザ出力を得ることができるインジェクションロック型パルスレーザを提供することを目的とする。
【0040】
【課題を解決するための手段および効果】
請求項1に係る発明は、狭帯域化した第1のパルスレーザ光を第1のタイミングで発振するオシレータ段と、磁気パルス圧縮回路を用いて第2のタイミングで放電励起し、前記第1のパルスレーザ光を注入光として誘導放出して増幅された第2のパルスレーザ光を出力する増幅段と、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとを適正に同期調整する同期制御手段とを有したインジェクションロック型狭帯域化パルスレーザ装置において、前記同期制御手段は、前記第2のパルスレーザ光を用いて所定の加工処理を行う加工処理装置から送出される発振指示から前記第2のタイミングまでの間の固定遅延時間を前記第1のタイミングに対応して設定する遅延時間設定手段と、レーザ出力に関連するパラメータに基づいて前記磁気パルス圧縮回路のエネルギー転送開始から前記第2のタイミングまでの実遅延時間を予測演算し、前記固定遅延時間から前記実遅延時間を減算した遅延時間を算出する遅延時間演算手段と、前記発振指示から前記遅延時間演算手段が算出した遅延時間経過後に前記磁気パルス圧縮回路のエネルギー転送を開始させるエネルギー転送開始手段とを具備したことを特徴とする。
【0041】
請求項1に係る発明では、遅延時間設定手段が、オシレータ段の第1のタイミングに対応し、露光装置等の処理加工装置からの発振指示から第2のパルスレーザ光が出力されるまでの間が常に一定となる固定遅延時間を設定し、この固定遅延時間経過後に増幅段の放電が行われるようにエネルギー転送の開始が制御されるので、温度等の環境変化や、増幅段からの出力を規定するエネルギー値の変化によって変化する磁気パルス圧縮回路のエネルギー転送時間が変化しても、常に第1のタイミングと第2のタイミングとの同期が適正に制御され、ロッキング効率およびスペクトル純度が高く、安定したパルスエネルギーを維持することができるという作用効果を奏する。
【0042】
また、発振指示から常に固定遅延時間後に第2のパルスレーザ光が得られるので、処理加工装置側における第2のパルスレーザ光の使用が容易になる。さらに、インジェクションロック型狭帯域化パルスレーザ装置であるので、狭帯域のための光学素子にかかる負荷を軽減することができ、光学素子等の寿命を飛躍的に延ばすことができる。
【0043】
請求項2に係る発明は、狭帯域化した第1のパルスレーザ光を第1のタイミングで発振するオシレータ段と、磁気パルス圧縮回路を用いて第2のタイミングで放電励起し、前記第1のパルスレーザ光を注入光として誘導放出して増幅された第2のパルスレーザ光を出力する増幅段と、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとを適正に同期調整する同期制御手段とを有したインジェクションロック型狭帯域パルスレーザ装置において、前記同期制御手段は、前記磁気パルス圧縮回路上で用いられる磁気スイッチのオン時を検出する磁気スイッチ動作センサと、レーザ出力に関連するパラメータに基づいて前記磁気パルス圧縮回路のエネルギー転送開始から前記第2のタイミングまでの実遅延時間を予測演算し、該予測演算による第2のタイミングに対応する第1のタイミングを生成すべく前記オシレータ段の発振を遅延させる遅延時間を算出する遅延時間演算手段と、前記遅延時間演算手段が算出した遅延時間を加えた時間後に前記オシレータ段の発振を行わせるオシレータ段発振遅延手段とを具備したことを特徴とする。
【0044】
請求項2に係る発明では、遅延時間演算手段が磁気パルス圧縮回路における実遅延時間を演算し、この演算結果をもとにオシレータ段における第1のタイミングを適正に制御しているので、温度等の環境変化や、増幅段からの出力を規定するエネルギー値の変化によって変化する磁気パルス圧縮回路のエネルギー転送時間が変化しても、常に第1のタイミングと第2のタイミングとの同期が適正に制御され、ロッキング効率およびスペクトル純度が高く、安定したパルスエネルギーを維持することができるという作用効果を奏する。
【0045】
特に、磁気スイッチ動作センサによって放電電極側に近い磁気スイッチの実オン時から第1のタイミングを制御しているので、時間誤差を小さくすることがき、より精度の高い同期タイミング制御を行うことができる。
【0046】
さらに、インジェクションロック型狭帯域化パルスレーザ装置であるので、狭帯域のための光学素子にかかる負荷を軽減することができ、光学素子等の寿命を飛躍的に延ばすことができる。
【0047】
請求項3に係る発明は、狭帯域化した第1のパルスレーザ光を第1のタイミングで発振するオシレータ段と、磁気パルス圧縮回路を用いて第2のタイミングで放電励起し、前記第1のパルスレーザ光を注入光として誘導放出して増幅された第2のパルスレーザ光を出力する増幅段と、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとを適正に同期調整する同期制御手段とを有したインジェクションロック型狭帯域パルスレーザ装置において、前記同期制御手段は、前記第2のパルスレーザ光を用いて所定の加工処理を行う加工処理装置から送出される発振指示から前記第2のタイミングまでの間の固定遅延時間を前記第1のタイミングに対応して設定する遅延時間設定手段と、前記磁気パルス圧縮回路上で用いられる磁気スイッチのオン時を検出する磁気スイッチ動作センサと、レーザ出力に関連するパラメータに基づいて前記磁気パルス圧縮回路のエネルギー転送開始から前記第2のタイミングまでの実遅延時間を予測演算し、前記固定遅延時間から前記実遅延時間を減算した第1の遅延時間を算出する第1の遅延時間演算手段と、前記発振指示から前記第1の遅延時間演算手段が算出した第1の遅延時間経過後に前記磁気パルス圧縮回路のエネルギー転送を開始させるエネルギー転送開始手段と、レーザ出力に関連するパラメータに基づいて前記磁気パルス圧縮回路のエネルギー転送開始から前記第2のタイミングまでの実遅延時間を予測演算し、該予測演算による第2のタイミングに対応する第1のタイミングを生成すべく前記オシレータ段の発振を遅延させる第2の遅延時間を算出する第2の遅延時間演算手段と、前記第2の遅延時間演算手段が算出した第2の遅延時間を加えた時間後に前記オシレータ段の発振を行わせるオシレータ段発振遅延手段とを具備したことを特徴とする。
【0048】
請求項3に係る発明では、遅延時間設定手段が、オシレータ段の第1のタイミングに対応し、露光装置等の処理加工装置からの発振指示から第2のパルスレーザ光が出力されるまでの間が常に一定となる固定遅延時間を設定し、この固定遅延時間経過後に増幅段の放電が行われるようにエネルギー転送の開始を制御するとともに、オシレータ段側でも磁気パルス圧縮回路における実遅延時間を演算し、この演算結果をもとにオシレータ段における第1のタイミングを適正に制御しているので、温度等の環境変化や、増幅段からの出力を規定するエネルギー値の変化によって変化する磁気パルス圧縮回路のエネルギー転送時間が変化しても、常に第1のタイミングと第2のタイミングとの同期が適正に制御され、ロッキング効率およびスペクトル純度が高く、安定したパルスエネルギーを維持することができるという作用効果を奏する。
【0049】
特に、磁気スイッチ動作センサによって放電電極側に近い磁気スイッチの実オン時から第1のタイミングを制御しているので、時間誤差を小さくすることができ、より精度の高い同期タイミング制御を行うことができる。
【0050】
また、発振指示から常に固定遅延時間後に第2のパルスレーザ光が得られるので、処理加工装置側における第2のパルスレーザ光の使用が容易になる。さらに、インジェクションロック型狭帯域化パルスレーザ装置であるので、狭帯域のための光学素子にかかる負荷を軽減することができ、光学素子等の寿命を飛躍的に延ばすことができる。
【0051】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3に係る発明において、前記磁気パルス圧縮回路の温度を検出する温度センサをさらに具備し、前記温度センサが検出した温度を前記レーザ出力に関連するパラメータとして用いることを特徴とする。
【0052】
請求項4に係る発明では、レーザ出力に関連するパラメータとして磁気パルス圧縮回路の温度を検出するようにしているので、連続発振等による磁気パルス圧縮回路の温度変化に伴うエネルギー転送時間を正確に予測演算することができ、第1のタイミングと第2のタイミングとの同期を適正に制御することができる。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態であるインジェクションロック型パルスレーザの全体構成を示す図であり、図2は、図1に示すインジェクションロック型パルスレーザにおける各部信号のタイミングチャートを示す。
【0054】
図1において、インジェクションロック型パルスレーザは、主としてオシレータ段10および増幅段20とから構成される。
【0055】
オシレータ段10は、狭帯域化基本波レーザ1と波長変換部6とを有し、狭帯域化基本波レーザ1は、オシレータ段電源44によって励起される増幅媒体4を有し、この増幅媒体4によって発光された光は、波長選択素子3によって所定の帯域の光にフィルタリングし、波長選択素子3とフロントミラー5との間で形成される光共振器内でレーザ発振し、フロントミラー5からレーザ光としての基本波光Lを波長変換部6に出力する。
【0056】
波長変換部6は、入力された基本波光Lを最終的に出力される出力光LBの波長と同じ波長に変換し、高調波光LAとして出力する。例えば、基本波光Lが、773.6nmである場合、波長変換部6は、この基本波光Lを和周波混合によって4倍の高調波である193.4nmのレーザ光に変換する。この波長変換部6は、非線形光学効果をもつ波長変換素子によって実現される。例えば、非線形光学素子を3つ用い、最初の非線形光学素子によって、入力された波長ωと2ωのレーザ光を生成し、次の非線形光学素子によって波長ωと波長3ω(ω+2ω)のレーザ光を生成し、さらに次の非線形光学素子によって波長ωと4ω(ω+3ω)のレーザ光を生成し、この波長4ωのレーザ光を透過させるダイクロイックミラーまたはプリズム等の分光素子を用いて出力させるようにする。この高調波光LAは、全反射ミラー7,8を介して増幅段20に入力される。
【0057】
増幅段20のチャンバ21内には、例えば193nmのレーザ光を発生することができるArFガスが充填され、このArFガスをエキシマ状態に励起する放電電極24を有する。この放電電極24での放電は、増幅段電源45によって行われる。入力された高調波光LAは、凹面ミラー22のカップリングホール22’を介してチャンバ21内に入力され、凸面ミラー23を介して反射し、さらに凹面ミラー22に反射し、出力光LBとして出力する。高調波光LAがチャンバ21内を往復する間に、誘導放出による光増幅を行うことにより、高調波光LAが増幅された出力光LBとして出力される。そして、この出力光LBは、露光装置30の照明光学系33に入力されるとともに、エネルギーモニタ40によって出力光LBの一部光LB1を取り出して出力光LBのエネルギーEaをモニタする。
【0058】
露光装置30の露光装置コントローラ31は、インジェクションロック型パルスレーザ側に発振パルス同期信号TRと、エネルギー指令Eまたはレーザ電源の電源電圧値VOとをレーザコントローラ41に入力して、インジェクションロック型パルスレーザからの出力光LBのパルスレーザ発振時期およびその出力を指示するとともに、露光装置30を制御する。
【0059】
レーザコントローラ41は、露光装置コントローラ31から入力された発振パルス同期信号TRをオシレータ段遅延処理部43および増幅段遅延処理部42の増幅段遅延部51に出力するとともに、エネルギーモニタ40のエネルギー値Eaと露光装置コントローラ31が要求するエネルギー指令Eをもとに増幅段電源45の電圧指令値V0をオシレータ段遅延処理部43および増幅段遅延処理部42の遅延時間演算部53に出力する。
【0060】
オシレータ段遅延処理部43は、発振パルス同期信号TRの入力後、所定の遅延時間Tdo遅延させたオシレータ段トリガ信号TOをオシレータ段電源44に出力し、オシレータ段10の狭帯域化基本波レーザ1から基本波光Lを発振させ、波長変換部6を介して高調波光LAを増幅段20に注入する。この基本波光Lは、オシレータ段トリガ信号TOのトリガが増幅媒体4に加えられた後であって、発振パルス同期信号TRからオシレータ段遅延時間Tos経過後に発光し、期間Tb間発光する。トリガ信号TO入力から、オシレータ段10が実際に発光するまでの遅延時間は、オシレータ段10として使われる固体レーザの特性で決まる固有の値である。
【0061】
増幅段電源45に入力された電圧指令値V0をもとに、増幅段電源45は、この電圧指令値V0に対応する電圧となるように充電を行う。なお、増幅段電源45は、例えば図26に示すような磁気パルス圧縮回路で構成され、この電圧指令値V0に対応する電圧は、コンデンサC0に蓄積充電されることになる。
【0062】
増幅段遅延処理部42は、増幅段遅延部51、基準遅延時間設定部52、および遅延時間演算部53を有する。
【0063】
基準遅延時間設定部52は、増幅段基準遅延時間Tdsを設定する。この増幅段基準遅延時間Tdsは、発振パルス同期信号TRから増幅段電源45が放電するまでの時間であり、オシレータ段遅延時間Tos後の所定時間後に期間Ta放電するように設定される。出力光LBはこの増幅段基準遅延時間Tds後に発光出力することになる。なお、オシレータ段発光の期間Tbは、増幅段の放電期間Taを包含する期間となり、これにより、ロッキング効率およびレーザ出力が安定して出力することになる。
【0064】
従って、オシレータ段遅延時間Tosが固定時間である場合、増幅段基準遅延時間Tdsがオシレータ段遅延時間Tosより大きくなり、期間Tbが期間Taより大きくなるように、増幅段基準遅延時間Tdsを常に一定とする必要がある。そのために、上述した増幅段遅延設定部52は、この増幅段基準遅延時間Tdsを設定することになる。従って、増幅段基準遅延時間Tdsは、オシレータ段遅延時間Tosの長短に応じて変化する設定時間である。
【0065】
ところで、増幅段電源45は磁気パルス圧縮回路を用いているため、電圧指令値V0の変化あるいは増幅段電源の環境、例えば温度によってエネルギー転送時間が変化し、増幅段トリガTRLの印加時点を調整し、増幅段電源45の放電時期を常に、発振パルス同期信号TRから増幅段基準遅延時間Tds後に放電できるようにする必要がある。
【0066】
このため、遅延時間演算部53は、磁気パルス圧縮回路の温度を検出するセンサ47からの温度データおよびレーザコントローラ41からの電圧指令値V0が入力され、この温度データおよび電圧指令値V0をもとに増幅段トリガTRLが印加された後に実際に放電が行われるまでの実遅延時間Treを演算し、増幅段基準遅延時間Tdsからこの実遅延時間Treを減算した時間τを算出し、この時間τを増幅段遅延部51に出力する。
【0067】
増幅段遅延部51は、発振パルス同期信号TRから、遅延時間演算部53から入力された時間τ経過後に、増幅段トリガTRLを増幅段電源45のスイッチ46に印加し、エネルギー転送を開始させ、遅延時間演算部53が演算した実遅延時間Tre後に放電させる。なお、このスイッチ46は、例えば図27の磁気パルス圧縮回路におけるスイッチSWに相当する。
【0068】
これにより、オシレータ段発光は発振パルス同期信号TR後、オシレータ段遅延時間Tos後に期間Tb間、発光し、増幅段放電は発振パルス同期信号TR後、増幅段基準遅延時間Tds後に常に期間Ta間、放電することになり、オシレータ段10の発光と増幅段20の放電(発光)とのタイミングが高精度に同期することになる。そして、この結果、ロッキング効率およびスペクトル純度が高く、安定したレーザ出力を得ることができる。
【0069】
次に、図3および図4を参照して、本発明の第2の実施の形態であるインジェクションロック型パルスレーザについて説明する。図3は、本発明の第2の実施の形態であるインジェクションロック型パルスレーザの全体構成を示す図であり、図4は、図3に示すインジェクションロック型パルスレーザにおける各部信号のタイミングチャートである。
【0070】
第1の実施の形態では、オシレータ段遅延時間Tosを一定として、増幅段電源のエネルギー転送時間の変化に対応させて増幅段トリガTRLの印加時期を制御するようにして、オシレータ段10の発光と増幅段20の発光のタイミングを制御したが、第2の実施の形態では、増幅段遅延時間Tdsに相当する増幅段遅延時間Tdを、実遅延時間Treと同じ時間に設定した可変時間のままとし、この可変時間内にオシレータ段遅延時間Toを調整して、オシレータ段10の発光時期を増幅段放電時期に同期させるべき、オシレータ段トリガTOの印加時期を制御しようとするものである。
【0071】
まず、レーザコントローラ41は、エネルギーモニタ40のエネルギー値Eaと露光装置コントローラ31が要求するエネルギー指令Eをもとに増幅段電源45の電圧指令値V0を出力し、または露光装置30側からレーザ電源電圧指令VOを受け取り、増幅段電源45は、この電圧指令値V0に対応する電圧となるように充電を行う。一方、この電圧指令値V0は、オシレータ段遅延処理部43の遅延時間演算部61に入力される。
【0072】
また、レーザコントローラ41は、露光装置コントローラ31から入力された発振パルス同期信号TRを増幅段電源45に出力し、増幅段トリガTRLとして、発信パルス同期信号TR入力直後に磁気パルス圧縮回路のエネルギー転送を開始させ、充電されたエネルギーを放電電極24まで転送させる。この転送時間は、増幅段遅延時間Tdであり、実遅延時間Treでもある。
【0073】
増幅段電源45は、磁気スイッチ動作センサ48を有する。この磁気スイッチ動作センサ48は、磁気パルス圧縮回路で用いられる可飽和リアクトル、例えば図27の可飽和リアクトルAL1,AL2のうちのいずれかの飽和を検出するセンサであり、この構成については後述する。
【0074】
例えば、磁気スイッチ動作センサ48が可飽和リアクトルAL1の飽和を検出するものとすると、この磁気スイッチ動作センサ48は、この検出時点をオシレータ段遅延処理部43のオシレータ段遅延部62に出力する。この検出時点は、発振パルス同期信号TRからの時間Tmとなる。この時間Tmは、電圧指令値V0の変化および温度によって変化する。
【0075】
遅延時間演算部61は、レーザコントローラ41から入力される電圧指令値V0と、磁気パルス圧縮回路の温度を検出するセンサ47からの温度データとをもとに、磁気スイッチ動作センサ48が検出した時点から適切なオシレータ段発振までの時間Tdmを演算し、この時間Tdmからオシレータ段電源44固有のオシレータ段遅延時間Tdoを減算した時間τ2を算出し、この時間τ2をオシレータ段遅延部62に出力する。すなわち、発振同期を図るためのオシレータ段遅延時間Tdoに対してさらに増幅段遅延時間Tdsの変動を吸収する時間τ2を加え合わせて発振同期精度の向上を図っている。
【0076】
オシレータ段遅延部62は、磁気スイッチ動作センサ48が検出した時点から、オシレータ段遅延時間Tdoに時間τ2を加算した時間Tdm後にオシレータ段トリガ信号TOをオシレータ段電源44に出力する。
【0077】
すなわち、第2の実施の形態では、磁気パルス圧縮回路における磁気スイッチ動作時点を確実に検出して出力光LBの発光時点を一層確実に求め、オシレータ段10の発光を増幅段20の発光に精度よく同期させようとするものである。すなわち、第2の実施の形態では、放電電極24側に近い磁気スイッチ動作時点を起点として制御することにより、磁気パルス圧縮回路内で生じる時間誤差量を小さくしている。
【0078】
これにより、オシレータ段発光は増幅段発光に同期することになり、この結果、ロッキング効率およびスペクトル純度が高く、安定したレーザ出力を得ることができる。
【0079】
次に、図5および図6を参照して、本発明の第3の実施の形態であるインジェクションロック型パルスレーザについて説明する。図5は、本発明の第3の実施の形態であるインジェクションロック型パルスレーザの全体構成を示す図であり、図6は、図5に示すインジェクションロック型パルスレーザにおける各部信号のタイミングチャートである。
【0080】
この第3の実施の形態では、第2の実施の形態におけるオシレータ段10と増幅段20との発光同期に加え、発振パルス同期信号TRから最終的な増幅段20の発光までの時間を第1の実施の形態と同様に、増幅段遅延時間Tdsという一定時間にしようとするものである。
【0081】
まず、レーザコントローラ41は、エネルギーモニタ40のエネルギー値Eaと露光装置コントローラ31が要求するエネルギー指令Eをもとに算出した電圧指令値V0、または露光装置コントローラ31から直接送出される電圧指令値V0を増幅段電源45、増幅段遅延処理部42の遅延時間演算部53、およびオシレータ段遅延処理部43の遅延時間演算部61に出力するとともに、発振パルス同期信号TRを増幅段遅延処理部42の増幅段遅延部51に出力する。
【0082】
増幅段電源45は、レーザコントローラ41から入力された電圧指令値V0をもとに充電する。
【0083】
基準遅延時間設定部52は、発振パルス同期信号TRから増幅段放電が行われるまでの増幅段遅延時間Tdsを設定し、遅延時間演算部53に出力する。この増幅段遅延時間Tdsは一定であり、これにより、発振パルス同期信号TRの入力から一定時間後に増幅段20から出力光LBが出力されることになる。なお、後述する発振パルス同期信号TRの入力からオシレータ段10が発光するまでの時間であるオシレータ段遅延時間Toも一定である。
【0084】
遅延時間演算部53は、レーザコントローラ41から入力された電圧指令値V0と増幅段電源45のセンサ47からの温度データとをもとに、増幅段トリガTRLが印加されてから増幅段20が放電するまでの実遅延時間Treを演算し、一定時間である増幅段遅延時間Tdsからこの実遅延時間Treを減算した時間τ1を算出し、この時間τ1を増幅段遅延部51に出力する。
【0085】
増幅段遅延部51は、レーザコントローラ41から入力された発振パルス同期信号TRを時間τ1だけ、遅延した増幅段トリガTRLを増幅段電源45のスイッチ46に印加してエネルギー転送を開始させる。
【0086】
一方、第2の実施の形態と同様に、増幅段電源45は、磁気スイッチ動作センサ48を有し、所定の可飽和リアクトルの飽和時点を検出し、この時点をオシレータ段遅延処理部43のオシレータ段遅延部62に出力する。
【0087】
オシレータ段遅延処理部43の遅延時間演算部61は、レーザコントローラ41から入力された電圧指令値V0と増幅段電源45のセンサ47から入力される温度データとをもとに、磁気スイッチ動作センサ48が検出した時点からオシレータ段発振までの適切な時間Tdmを演算し、この時間Tdmからオシレータ段電源44固有のオシレータ段遅延時間Tdoを減算した時間τ2を算出し、この時間τ2をオシレータ段遅延部62に出力する。ここで、オシレータ段遅延時間Tdoと時間τ2の技術的意義は、第2の実施の形態と同じである。
【0088】
オシレータ段遅延部62は、磁気スイッチ動作センサ48が検出した時点から、オシレータ段遅延時間Tdoに時間τ2を加算した時間Tdm後にオシレータ段トリガ信号TOをオシレータ段電源44に出力する。
【0089】
これにより、オシレータ段発光は増幅段発光に同期して、ロッキング効率およびスペクトル純度が高く、安定したレーザ出力を得ることができるとともに、発振パルス同期信号TRの印加から出力光LBが出力されるまでの時間を一定にすることができる。本実施の形態において、レーザ電源電圧値および磁気パルス圧縮回路の温度によって実遅延時間Treを計算し、その値に基づいてオシレータ段トリガ信号TOを出力することも可能である。しかしながら、そのような計算で求めた実遅延時間Treは誤差を含み、オシレータ段10と増幅段20との厳密な発振同期という点においては、第3の実施の形態において説明したように磁気スイッチセンサを用いて時間Tdmを求める制御の方が望ましい。
【0090】
ここで、第2および第3の実施の形態における磁気スイッチ動作センサ48の具体的な構成について説明する。
【0091】
図7は、磁気パルス圧縮回路上における磁気スイッチ動作センサ48の配置構成を示す図であり、図7では、磁気スイッチ動作センサ48は可飽和リアクトルAL1の飽和時点を検出し、検出信号Saをオシレータ段遅延部62に出力する。
【0092】
この磁気スイッチ動作センサ48によって、レーザ出力に関連するパラメータとして磁気パルス圧縮回路の温度を検出するようにしているので、連続発振等による磁気パルス圧縮回路の温度変化に伴うエネルギー転送時間を正確に予測演算することができ、オシレータ段10と増幅段20との発光タイミングの同期を適正に制御することができる。
【0093】
図8〜図12は、磁気スイッチ動作センサ48の具体例を示す図である。
図8では、可飽和リアクトル(磁気スイッチ)AL1に直列にインダクタンス手段としての磁芯(またはコイル)72を接続するようにしている。図8(a)に示すように、電流パルスi1の電流変化による自己誘導により磁芯72には誘導電圧vsが発生するので、この誘導電圧vsを検出することで、電流パルスi1の立ち上がり時点t3(図27の時点t3に相当)を検出することができる。
【0094】
図9では、磁気スイッチAL1の2次巻線73に誘導される誘導起電圧vs(図9(b)参照)を検出し、この電圧検出に基づいて電流パルスi1の立ち上がり時点t3を検出するようにしている。
【0095】
図10では、磁気スイッチAL1に直列に1次コイル74を接続し、この1次コイル74を流れる電流パルスi0の電流変化によって発生する2次コイル75の誘導電圧vsを検出し、この電圧検出に基づいて電流パルスi1の立ち上がり時点t3を検出するようにしている。
【0096】
図11では、磁気スイッチAL1のリセット回路76(磁気スイッチのB−H特性を所定の初期状態にする回路)中の空心コイル77を接続し、この空心コイル77の誘導電圧vsを検出し、この電圧検出に基づいて電流パルスi1の立ち上がり時点t3を検出するようにしている。
【0097】
図12では、コンデンサC1を並列に抵抗r1,r2を接続し、その分圧vsを検出することに基づいて電流パルスi1の立ち上がり時点t3を検出するようにしている。
【0098】
ところで、上述した第1〜第3の実施の形態におけるセンサ47は温度センサであり、熱電対等によって磁気スイッチの絶縁油の温度を検知するようにしているが、この温度センサでなくても、磁気スイッチ動作センサを組み合わせることによっても、この温度センサの機能を実現することができる。
【0099】
図13は、センサ47および磁気スイッチ動作センサ48の機能を2つの磁気スイッチ動作センサ48a,48bによって実現する構成を示す図である。
【0100】
すなわち、磁気スイッチ動作センサ48aは、磁気スイッチ動作センサ48と同様に、磁気スイッチAL1の飽和動作を検出し、磁気スイッチ動作センサ48bは、磁気スイッチAL1の前段の磁気スイッチAL0の飽和動作を検出し、磁気スイッチ動作センサ48aの検出信号Saおよび磁気スイッチ動作センサ48bの検出信号Sbは、遅延時間演算部62に送出される。遅延時間演算部62は、この検出信号Sa,Sbの時間差から、温度データに対応する値を演算し、電圧指令値V0の値とを加味して、時間τ2を演算し、オシレータ段遅延部62に出力する。従って、この2つの磁気スイッチ動作センサ48a,48bによって温度データに対応する値を取得することができる。
【0101】
一方、磁気スイッチ動作センサ48aは磁気スイッチ動作センサ48と同様の機能をも有し、磁気スイッチ動作センサ48aの検出信号Saは、オシレータ段遅延部62に送出され、この検出信号Saの時点を基準に遅延処理が施されることになる。
【0102】
このようにして温度センサとしてのセンサ47を設けないで実際に温度を検出しなくても、磁気スイッチ動作センサを組み合わせることによって温度データに対応する値を取得することもできる。
【0103】
なお、上述した遅延時間演算部53,61は、温度データを用いるようにしているが、この温度データを用いなくても、ある程度の同期が取れるので、許容値が大きい場合は温度データを用いなくてもよく、この温度データを取得するための構成を削除することができる。
【0104】
また、上述した遅延時間演算部53,61は、テーブルを用いて時間τ,τ1,τ2を算出するようにしてもよい。すなわち、電圧指令値V0、温度データに対応して予め算定されたτ,τ1,τ2を直ちに変換出力するようにしてもよい。この場合には、高速出力が可能となり、特に第2および第3の実施の形態では、さらに放電電極24側に近い磁気スイッチの動作を検出することが可能となり、一層精度の高い同期をとることが可能となる。
【0105】
なお、上述したインジェクションロック型パルスレーザは、オシレータ段10に狭帯域化基本波レーザ1としてチタンサファイヤレーザ(773.6nm)を用いる場合として説明したが、図14に示すように、このチタンサファイヤレーザは、実際、ポンピングパルスレーザPLによって光励起される。このポンピングパルスレーザPLとしては、具体的にはYAGレーザの第2高調波(532nm)やYLFレーザの第2高調波(527nm)が用いられ、これらのポンピングパルスレーザPLに対してオシレータ段遅延処理部43からオシレータ段トリガ信号TOが送出されることになる。
【0106】
さらに、第1〜第3の実施の形態が適用される具体的なインジェクションロック型パルスレーザの具体的な構成について図15を参照して説明する。
【0107】
図15では、狭帯域化CWチタンサファイヤレーザまたは狭帯域化CW半導体レーザの出力光をさらにパルスのチタンサファイヤレーザ増幅段80で増幅して、波長変換部6に入力し、この波長変換部6からの高調波光を増幅段20に入力する構成としてインジェクションロック型パルスレーザである。
【0108】
すなわち、オシレータ段10では、まずCW(連続発振)レーザ光を発振させておく。これには、CWチタンサファイヤレーザまたはCW半導体レーザが用いられ、CWチタンサファイヤレーザの場合にはそのポンピングCWレーザとして、アルゴンイオンレーザ(488nm,515nm等のマルチライン)PL1が用いられる。CW半導体レーザの場合にはポンピングCWレーザPL1は不用である。このCWレーザ81からのCWレーザ光は、チタンサファイヤレーザ増幅段80に入力され、ポンピングパルスレーザPL2によってパルス光とされる。このチタンサファイヤレーザ増幅段80は具体的にはリング共振器等によって実現される。そして、このチタンサファイヤレーザ増幅段80から出力されるパルスの基本波光L(773.6nm)が波長変換部6に入力され、4倍の高調波としての高調波光LA(193.4nm)が増幅段20に入力される。
【0109】
このCWレーザ81を用いる利点は、CWレーザであるが故に、非常にスペクトル幅の狭いシングルモードのレーザ光を得ることができるからである。ただし、このCWレーザからのレーザ光の光強度は非常に小さいため、チタンサファイヤレーザ増幅段80によって非常に強いパルスのレーザ光に増幅することになる。なお、上述したように、ポンピングパルスレーザPL2としては、実際には、YAGレーザまたはYLFレーザの第2高調波を用いることができる。
【0110】
このような構成により狭帯域化されたパルスレーザ光を高出力で得ることができる。
【0111】
ここで、オシレータ段10から注入されるレーザ光の発光パルス幅を変化させた場合について説明する。
【0112】
図16は、本発明によるインジェクションロック型パルスレーザによるレーザ発光の計測関係図を示す。レーザコントローラ41からオシレータ段遅延処理部43を介してオシレータ段電源44にオシレータ段トリガ信号TOが入力されると、オシレータ段電源44は、ポンピングパルスレーザPLとしてのYLF(またはYAG)レーザの図示しないロッドを励起し、ポンピングパルスレーザPLは、1054(1064)nmのレーザ光を所定の発光パルス幅で出力する。このレーザ光は、波長変換部90によって第2高調波光(536nm)のレーザ光に変換される。なお、レーザ光の発光パルス幅を調整する方法としては、YLF(YAG)レーザの利得、共振器長、Q値、またはQスイッチドライバのパルス波形を変化させることにより実現される。
【0113】
この第2高調波光は、狭帯域化基本波レーザ1としての狭帯域化チタンサファイヤレーザ1aの増幅媒体4であるチタンサファイヤロッドを励起し、所定の発光パルス幅で発光し、波長773.6nmの狭帯域化レーザ光が基本波光Lとして出力される。この基本波光Lは、波長変換部6によって第4高調波光LA(193.4nm)に変換され、所定の発光パルス幅を有する高調波光として出力される。
【0114】
この高調波光LAの一部はビームスプリッタ91によって取り出され、光センサ93によって検出される。一方、ビームスプリッタ91を透過した高調波光LAは、増幅段20に入力される。ここで、上述した第1〜第3の実施の形態によって実現される同期制御によって増幅段20が放電を行い増幅出力する。ビームスプリッタ92によって出力光LBの一部が取り出され、光センサ94によって検出される。
【0115】
この光センサ93によって、注入された高調波光LAの発光タイミングと発光パルス幅とパルスエネルギーを計測し、光センサ94によって、出力光LBの発光タイミングと発光パルス幅とパルスエネルギーを計測し、そのスペクトル純度を測定することができる。なお、ポンピングパルスレーザPLであるYLFレーザの共振器やQ値を変化させることにより、狭帯域化チタンサファイヤレーザ1aの発光パルス幅を制御することができる。さらに、レーザ光を波長変換部90,6によって変換することによって、任意のタイミングで注入光のパルス幅を制御することができる。また、オシレータ段遅延処理部43および増幅段遅延処理部42の遅延調整によって、任意のタイミングで注入光の入力と増幅段20の励起タイミングを制御することができる。
【0116】
ここで、注入光(高調波光LA)のパルス幅とスペクトル純度との関係を測定すると、図17に示すようになる。
【0117】
図17から、注入光のパルス幅を長くすることによって、スペクトル純度を高く維持することができる注入タイミングの遅延時間許容範囲を、注入光のパルス幅の長さがのびた時間と同程度に長くすることができることがわかる。
【0118】
これは、遅延時間許容範囲がのびることによって、注入光と増幅段の励起のタイミングがジッタによって多少変化してもスペクトル純度が悪化しないことを意味する。
【0119】
また、図18は、注入光のパルス幅とパルスエネルギーとの関係を示す。図18から、注入光のパルス幅が長くなると、増幅されたパルスエネルギーが安定な許容範囲は、注入光のパルス幅の長さがのびた時間と同程度に長くすることができることがわかる。
【0120】
これは、遅延時間許容範囲がのびることによって、注入光と増幅段の励起タイミングがジッタによって変化しても、増幅段のパルスエネルギーが安定に維持できることを意味する。
【0121】
なお、上述した実施の形態では、オシレータ段のレーザとして固体レーザを用いて説明したが、これは、固体レーザの方が安定して注入光を発光することができるからであり、その他の気体レーザ、液体レーザを用いても安定出力することができるならば、オシレータ段として用いることができる。例えば、電源電圧および温度等を一定に保って安定したレーザ出力を行うことができるエキシマレーザを用いることも可能であり、固体レーザに限定されないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるインジェクションロック型パルスレーザの全体構成を示す図である。
【図2】図1に示すインジェクションロック型パルスレーザの各部信号のタイミングチャートである。
【図3】本発明の第2の実施の形態であるインジェクションロック型パルスレーザの全体構成を示す図である。
【図4】図3に示すインジェクションロック型パルスレーザの各部信号のタイミングチャートである。
【図5】本発明の第3の実施の形態であるインジェクションロック型パルスレーザの全体構成を示す図である。
【図6】図5に示すインジェクションロック型パルスレーザの各部信号のタイミングチャートである。
【図7】磁気パルス圧縮回路上における磁気スイッチ動作センサの配置構成を示す図である。
【図8】磁気スイッチ動作センサの具体例を示す図である。
【図9】磁気スイッチ動作センサの具体例を示す図である。
【図10】磁気スイッチ動作センサの具体例を示す図である。
【図11】磁気スイッチ動作センサの具体例を示す図である。
【図12】磁気スイッチ動作センサの具体例を示す図である。
【図13】2つの磁気スイッチ動作センサによってセンサ47および磁気スイッチ動作センサ48の機能を実現する構成を示す図である。
【図14】第1〜第3の実施の形態におけるインジェクションロック型パルスレーザの具体的構成を示す図である。
【図15】第1〜第3の実施の形態におけるインジェクションロック型パルスレーザの具体的構成を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態であるインジェクションロック型パルスレーザによる性能を測定するブロック図である。
【図17】注入光のパルス幅と出力光のスペクトル純度との関係を示す図である。
【図18】注入光のパルス幅とパルスエネルギーとの関係を示す図である。
【図19】従来の狭帯域化エキシマレーザの概要構成を示す図である。
【図20】インジェクションロック型パルスレーザの一例を示す図である。
【図21】スペクトル純度を説明する図である。
【図22】ロッキング効率を説明する図である。
【図23】従来のインジェクションロック型パルスレーザにおける各部信号のタイミングチャートである。
【図24】注入エネルギーとロッキング効率との関係を示す図である。
【図25】注入エネルギーと相対レーザ出力との関係を示す図である。
【図26】一般的な容量移行型の磁気パルス圧縮放電装置の等価回路を示す図である。
【図27】図26の回路各部における電圧および電流の波形例を示す図である。
【符号の説明】
1…狭帯域化基本波レーザ 2…リアーミラー 3…波長選択素子
4…増幅媒体 5…フロントミラー 6…波長変換部
7,8…全反射ミラー 10…オシレータ段 20…増幅段
21…チャンバ 22…凹面ミラー 23…凸面ミラー 24…放電電極
30…露光装置 31…露光装置コントローラ 32…ウェハテーブル
40…エネルギーモニタ 41…レーザコントローラ
42…増幅段遅延処理部 43…オシレータ段遅延処理部
44…オシレータ段電源 45…増幅段電源 46…スイッチ
47…センサ 48,48a,48b…磁気スイッチ動作センサ
51…増幅段遅延部 52…基準遅延時間設定部
53,61…遅延時間演算部 62…オシレータ段遅延部
TR…発振パルス同期信号 V0…電圧指令値
TO…オシレータ段トリガ信号 TRL…増幅段トリガ
τ,τ1,τ2…遅延時間 Tds…増幅段基準遅延時間
Tos…オシレータ段遅延時間 Tre…実遅延時間

Claims (4)

  1. 狭帯域化した第1のパルスレーザ光を第1のタイミングで発振するオシレータ段と、
    磁気パルス圧縮回路を用いて第2のタイミングで放電励起し、前記第1のパルスレーザ光を注入光として誘導放出して増幅された第2のパルスレーザ光を出力する増幅段と、
    前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとを適正に同期調整する同期制御手段と
    を有したインジェクションロック型狭帯域化パルスレーザ装置において、
    前記同期制御手段は、
    前記第2のパルスレーザ光を用いて所定の加工処理を行う加工処理装置から送出される発振指示から前記第2のタイミングまでの間の固定遅延時間を前記第1のタイミングに対応して設定する遅延時間設定手段と、
    レーザ出力に関連するパラメータに基づいて前記磁気パルス圧縮回路のエネルギー転送開始から前記第2のタイミングまでの実遅延時間を予測演算し、前記固定遅延時間から前記実遅延時間を減算した遅延時間を算出する遅延時間演算手段と、
    前記発振指示から前記遅延時間演算手段が算出した遅延時間経過後に前記磁気パルス圧縮回路のエネルギー転送を開始させるエネルギー転送開始手段と
    を具備したことを特徴とするインジェクションロック型狭帯域化パルスレーザ装置。
  2. 狭帯域化した第1のパルスレーザ光を第1のタイミングで発振するオシレータ段と、
    磁気パルス圧縮回路を用いて第2のタイミングで放電励起し、前記第1のパルスレーザ光を注入光として誘導放出して増幅された第2のパルスレーザ光を出力する増幅段と、
    前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとを適正に同期調整する同期制御手段と
    を有したインジェクションロック型狭帯域パルスレーザ装置において、
    前記同期制御手段は、
    前記磁気パルス圧縮回路上で用いられる磁気スイッチのオン時を検出する磁気スイッチ動作センサと、
    レーザ出力に関連するパラメータに基づいて前記磁気パルス圧縮回路のエネルギー転送開始から前記第2のタイミングまでの実遅延時間を予測演算し、該予測演算による第2のタイミングに対応する第1のタイミングを生成すべく前記オシレータ段の発振を遅延させる遅延時間を算出する遅延時間演算手段と、
    前記遅延時間演算手段が算出した遅延時間を加えた時間後に前記オシレータ段の発振を行わせるオシレータ段発振遅延手段と
    を具備したことを特徴とするインジェクションロック型狭帯域化パルスレーザ装置。
  3. 狭帯域化した第1のパルスレーザ光を第1のタイミングで発振するオシレータ段と、
    磁気パルス圧縮回路を用いて第2のタイミングで放電励起し、前記第1のパルスレーザ光を注入光として誘導放出して増幅された第2のパルスレーザ光を出力する増幅段と、
    前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとを適正に同期調整する同期制御手段と
    を有したインジェクションロック型狭帯域パルスレーザ装置において、
    前記同期制御手段は、
    前記第2のパルスレーザ光を用いて所定の加工処理を行う加工処理装置から送出される発振指示から前記第2のタイミングまでの間の固定遅延時間を前記第1のタイミングに対応して設定する遅延時間設定手段と、
    前記磁気パルス圧縮回路上で用いられる磁気スイッチのオン時を検出する磁気スイッチ動作センサと、
    レーザ出力に関連するパラメータに基づいて前記磁気パルス圧縮回路のエネルギー転送開始から前記第2のタイミングまでの実遅延時間を予測演算し、前記固定遅延時間から前記実遅延時間を減算した第1の遅延時間を算出する第1の遅延時間演算手段と、
    前記発振指示から前記第1の遅延時間演算手段が算出した第1の遅延時間経過後に前記磁気パルス圧縮回路のエネルギー転送を開始させるエネルギー転送開始手段と、
    レーザ出力に関連するパラメータに基づいて前記磁気パルス圧縮回路のエネルギー転送開始から前記第2のタイミングまでの実遅延時間を予測演算し、該予測演算による第2のタイミングに対応する第1のタイミングを生成すべく前記オシレータ段の発振を遅延させる第2の遅延時間を算出する第2の遅延時間演算手段と、
    前記第2の遅延時間演算手段が算出した第2の遅延時間を加えた時間後に前記オシレータ段の発振を行わせるオシレータ段発振遅延手段と
    を具備したことを特徴とするインジェクションロック型狭帯域化パルスレーザ装置。
  4. 前記磁気パルス圧縮回路の温度を検出する温度センサをさらに具備し、
    前記温度センサが検出した温度を前記レーザ出力に関連するパラメータとして用いることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載のインジェクションロック型狭帯域化パルスレーザ装置。
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