JP4033333B2 - ガスレーザ装置及びガスレーザ装置のフッ素濃度制御方法 - Google Patents

ガスレーザ装置及びガスレーザ装置のフッ素濃度制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素ガスが含まれる混合ガスをチャンバに注入するガスレーザ装置に関し、特にレーザ光のビームダイバージェンスを検出するものに関する。またレーザ光のビームダイバージェンスを用いてフッ素濃度を制御するガスレーザ装置及びフッ素濃度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体露光装置の露光用光源となるKrFエキシマレーザやArFエキシマレーザ並びに次世代の露光用光源として期待されているFレーザなどにおいて、ウェハの露光を斑なく均等に行うためには、その露光量が一定となるようにレーザ装置を制御する必要がある。パルス発振するレーザ光を安定して出力させるためには、チャンバ内のガス圧力やガス組成、また充電電圧や光学素子の位置などが制御される。その制御パラメータの中にフッ素ガス濃度(又は分圧)がある。
【0003】
KrF又はArFエキシマレーザでは、0.数%のフッ素(F)ガス及び数十%のアルゴン(Ar)ガス又はクリプトン(Kr)ガスからなるレーザ媒質と、ネオン(Ne)ガス又はヘリウム(He)ガスからなる希釈ガスとを混合した混合ガスがチャンバ内に注入されている。Fレーザでは1%以下のフッ素ガスとネオンガス又はヘリウムガスとの混合ガスがチャンバ内に注入されている。チャンバ内の主電極間に放電が発生しレーザ発振が行われると、次第にチャンバ内のフッ素濃度が減少する。これはフッ素の反応性が非常に高いため、混合ガス中のフッ素が放電により生成された電極材料等の原子・分子などと反応してフッ化物に変化することに起因する。
【0004】
フッ素濃度の減少に伴い出力エネルギーは減少し、さらにレーザパルス波形やスペクトル線幅やビーム幅なども変化する。以上から、レーザ発振が線り返されるとウェハの露光量が変化するという現象が生じる。フッ素濃度の減少に伴う露光量の変化を防止するためには、減少した分量のフッ素ガスを注入する必要がある。
【0005】
したがってチャンバ内のフッ素濃度測定装置がレーザ装置に設けられていればよいが、フッ素濃度測定装置は大がかりであり、レーザ装置に設けることは好ましくない。したがって現状では、例えばレーザ発振前のフッ素濃度の初期値と1000パルス発振後のフッ素濃度とが予め測定され、これらの値から1000パルス発振する際のフッ素消費量が算出される。そして1000パルス発振する毎にこの算出値相当のフッ素ガスが注入されている。しかし電極の消耗や全ガス圧力の変化や充電電圧の変化などによって放電状態は変化し、放電状態の変化に伴いフッ素消費量は変化する。したがって所定量のフッ素ガスが注入されたとしても実際のフッ素濃度は目標とする初期値と異なる場合が多く、このときレーザ性能を正常にコントロールすることが困難になる。
【0006】
そのため出力されるレーザ光によってチャンバ内のフッ素濃度を測定する方法・装置が研究・開発されており、例えば、特開2000-286495号公報(以下「文献1」という)、特開平6-164026号公報(以下「文献2」という)、特開平7-335961号公報(以下「文献3」という)に関連する技術が記載されている。
【0007】
文献1の技術は、レーザパルス波形がフッ素濃度により変化することを利用するものである。一般にエキシマレーザにはフッ素濃度が増加すると、レーザパルス波形の放電開始からの時間的立ち上がりが早くなる特性がある。その一例を図11(a)に示す。これはフッ素が増加することによってレーザ発振の利得が増加するため、放電開始後の発振波長のエネルギーを持った光子の増加がレーザ発振の閾値を超える時間が早くなるためである。文献1の技術はこの特性を利用するものである。レーザ装置のモニタモジュール内にはレーザパルス波形を受光するバイプラナ光電管と、そのレーザパルス信号を検出し放電開始時間からの立ち上がり時間間隔を計測する高速オシロスコープとが設けられている。
【0008】
文献2の技術は、レーザ光のスペクトル線幅がフッ素濃度により変化することを利用するものである。前述したように、フッ素濃度が増加することによって、レーザパルスの立ち上がりが早くなる。故に放電開始からレーザが発振開始するまでの時間間隔が短くなる。光子の誘導放出が始まる時間を起点にしても、発振に至るまでの所要時間は短くなる。レーザ装置においては、レーザ媒質を封入するチャンバの両端に置かれた共振器の間をレーザ光が往復することによってレーザ光が増幅され出射される。その誘導放出が始まる初期に放出された光子をレーザ光の種とすれば、その種光子が生成されてからレーザ光が出射されるまでの時間が長ければ長いほど、光子は共振器の間を往復している時間が長くなり、その往復距離も長くなる。そのため、レーザパルスの立ち上がりが早くなると、そのレーザ光が共振器間を往復していた時間及び距離が短いということになる。つまりフッ素濃度が増加することによって、レーザ光が共振器間を往復する回数が少なくなる。レーザ光が共振器間を往復する回数をラウンドトリップ数という。
【0009】
一般的に縮小露光する光がぼけないようにするために、露光用光源のスペクトル線幅やスペクトル純度を小さくする必要がある。このことをスペクトルの狭帯域化という。レーザ装置では、スペクトルの狭帯域化のために角度分散素子であるプリズムや回折格子からなる狭帯域化モジュールがレーザ共振器内に搭載されている。レーザ光のラウンドトリップ数が減少すると、狭帯域化素子を通過する回数が減少し、スペクトル線幅の細い成分が少なくなる。つまりスペクトル線幅が太くなる。その一例を図11(b)に示す。文献2の技術はこの特性を利用するものである。この装置ではスペクトル線幅が太くなるとフッ素濃度を減少させる制御が行われる。
【0010】
文献3の技術は、レーザ光のビーム幅がフッ素濃度により変化することを利用するものである。前述したように、フッ素濃度が増加することによって、レーザの利得が大きくなる。このため、空間的利得領域が広がって、ビーム幅が太くなる特性がある。その一例を図11(c)に示す。文献3の技術はこの特性を利用するものである。レーザ装置のモニタモジュール内にビーム幅を測定するためのレンズとCCDが搭載されており、ビーム幅が仕様範囲内に入るようにフッ素濃度を増減する制御が行われている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
文献1の技術は高速オシロスコープを必要とする。高速オシロスコープは高額であるため、これをレーザ装置に搭載するとなるとレーザ装置自体が非常に高額になるという問題が生じる。こうした問題から文献1の技術は実用的ではない。
【0012】
文献2の技術において、レーザ発振によって狭帯域化モジュールに設けられたプリズムや回折格子等は、レーザ照射やチャンバからの熱伝導等の熱負荷を受ける。するとプリズムの屈折率が変化し、回折格子へのレーザ光の入射角度が変化する。狭帯域化モジュールではレーザ光を角度分散させて狭帯域化しているにもかかわらず、熱負荷の影響によってレーザ光の入射角度が変化することになる。そのためスペクトル線幅も変化する。つまりレーザ光のスペクトル線幅はフッ素濃度以外の影響を受けるため、原理的にスペクトル線幅からフッ素濃度を算出することが困難であるという問題が生じる。また図11(b)に示すように、チャンバの寿命が近づくと、主電極が消耗しスペクトル線幅が太くなる。このため長期運転におけるフッ素濃度値の安定性が悪いという問題もある。
【0013】
文献3の技術も文献2の技術と同様に、熱負荷の影響によって回折格子へのレーザ光の入射角度が変化するため、チャンバ内を進行するレーザ光の光路が変化し、その結果としてビーム幅も変化する。つまりレーザ光のビーム幅はフッ素濃度以外の影響を受けるため、原理的にビーム幅からフッ素濃度を算出することが困難であるという問題が生じる。また図11(c)に示すように、チャンバの寿命が近づくと、主電極が消耗しビーム幅が太くなる。このため長期運転におけるフッ素濃度値の安定性が悪いという問題もある。
【0014】
本発明はこうした実状に鑑みてなされたものであり、製造コストの上昇を抑制するとともに、チャンバ内のフッ素濃度を正確に求め、混合ガスの排気及び各種ガスの注入を的確に行うことを解決課題とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段、作用および効果】
第1発明は、
フッ素が含まれる混合ガスをチャンバに注入してレーザ発振するガスレーザ装置において、
チャンバから出射されるレーザ光のビームダイバージェンスをモニタするビームダイバージェンスモニタと、
モニタしたビームダイバージェンスを用いてチャンバ内のフッ素濃度を求め、その結果に基づきチャンバ内のフッ素濃度を制御するコントローラと、を備え、
前記ダイバージェンスモニタは、チャンバに配設された主電極間の放電方向と同一方向のレーザ光のビームダイバージェンスを検出すること
を特徴とする。
【0020】
第2発明は、第1発明において、
前記コントローラは、ビームダイバージェンスとチャンバ内のフッ素濃度との対応関係を予め記憶し、この対応関係を用いてモニタしたビームダイバージェンスに対応するフッ素濃度を求め、その結果に基づきチャンバ内のフッ素濃度が所定範囲内の値となるようにチャンバからの混合ガスの排気とチャンバへの各種ガスの注入とを制御すること
を特徴とする。
【0022】
第1、第2発明を図1、図4、図6を用いて説明する。
【0023】
ビームダイバージェンス検出器34では、放電方向のビームダイバージェンスθyが求められる。レーザコントローラ41では、図6で示すようなビームダイバージェンスθyとフッ素濃度Fとの相関と求めたビームダイバージェンスθyとからチャンバ10内のフッ素濃度Fが求められる。さらに求めたフッ素濃度Fから混合ガスの排気量とハロゲンガスや希ガスや希釈ガスの注入量が演算される。そしてガスコントローラ44では、混合ガスの排気動作及び各種ガスの注入動作が制御される。
【0024】
ビームダイバージェンスθのうち、特に放電方向のビームダイバージェンスθyは狭帯域化モジュールの熱負荷の影響及び主電極の消耗の影響を受けない。このためレーザ発振が継続されてもフッ素濃度F2とビームダイバージェンスθyとの対応関係は一定である。よって第1、第2発明によれば、常にチャンバ内のフッ素濃度を正確に求めることができるため、混合ガスの排気及び各種ガスの注入を的確に行うことできる。
【0025】
第3発明は、第1発明において、
前記ダイバージェンスモニタは、ラインセンサとラインセンサにレーザ光を集光する集光レンズとを含むこと
を特徴とする。
【0026】
第4発明は、第1発明において、
前記ダイバージェンスモニタは、CCDカメラとCCDカメラにレーザ光を集光する集光レンズとを含むこと
を特徴とする。
【0027】
第3、第4発明はビームダイバージェンスモニタの具体的な実施形態である。第3発明では、図4(a)で示すように、集光レンズ35の焦点距離fの位置にラインセンサ36が配設される。第4発明では、図4(b)で示すように、集光レンズ35の焦点距離fの位置にCCDカメラ37が配設される。ラインセンサ36で検出されるビームの幅Wyは2f・tanθyとなる。したがって縦方向のビームダイバージェンスθyは、θy=arctan(Wy/2f)によって求められる。集光レンズ35、ラインセンサ36、CCDカメラ37は比較的安価であるため、製造コストを低減させることができる。
【0028】
第5発明は、
チャンバから出射されるレーザ光のビームダイバージェンスのうちチャンバに配設された主電極間の放電方向と同一方向のビームダイバージェンスをモニタするビームダイバージェンスモニタ工程と、
レーザ光のビームダイバージェンスを用いてチャンバ内のフッ素濃度を求め、チャンバ内のフッ素濃度を所定範囲内の値とするために必要な混合ガスの排気量と各種ガスの注入量とを演算する演算工程と、
演算結果に基づき混合ガスの排気と各種ガスの注入を制御するガス制御工程と、を含むこと
を特徴とする。
【0029】
ビームダイバージェンス検出器34では、放電方向のビームダイバージェンスθyが求められる。レーザコントローラ41では、図6で示すようなビームダイバージェンスθyとフッ素濃度Fとの相関と求めたビームダイバージェンスθyとからチャンバ10内のフッ素濃度Fが求められる。さらに求めたフッ素濃度Fから混合ガスの排気量とハロゲンガスや希ガスや希釈ガスの注入量が演算される。そしてガスコントローラ44では、混合ガスの排気動作及び各種ガスの注入動作が制御される。
【0030】
ビームダイバージェンスθのうち、特に放電方向のビームダイバージェンスθyは狭帯域化モジュールの熱負荷の影響及び主電極の消耗の影響を受けない。このためレーザ発振が継続されてもフッ素濃度F2とビームダイバージェンスθyとの対応関係は一定である。よって第5発明によれば、常にチャンバ内のフッ素濃度を正確に求めることができるため、混合ガスの排気及び各種ガスの注入を的確に行うことできる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0032】
レーザ光は直進するに伴い光路と直交する方向に広がる、いわるゆビームダイバージェンスを有する。本発明はこの性質を利用するものであり、ビームダイバージェンスとして、アウトプットカプラ(フロントミラー)の出射側におけるビームダイバージェンスθを求めるものである。またその値に基づいてチャンバ内のフッ素濃度Fを求めるものである。また求めたフッ素濃度Fからチャンバ内のフッ素濃度Fが所定の濃度範囲内の値になるようにガスを制御するものである。なお以下の説明で用いる縦方向とは、主電極の放電方向のことをいい、横方向とは、縦方向及びレーザ光の光路と直交する方向のことをいう。
【0033】
図1は本発明に係わるレーザ装置の構成を示すブロック図である。また図2(a)はレーザ装置における各光学装置の上面図であり、図2(b)はレーザ装置における各光学装置の側面図である。
【0034】
図1で示すように、レーザ装置は、チャンバ10と、スリット15、16と、アウトプットカプラ(フロントミラー)17と、狭帯域化モジュール20と、モニタモジュール30と、レーザコントローラ41と、圧力センサ42と、放電電源(パルスパワーモジュール)43と、ガスコントローラ44と、ハロゲンガスボンベ45と、希ガスボンベ46と、希釈ガスボンベ47とを有する。
【0035】
チャンバ10の内部には主電極11のカソード及び主電極12のアノードが設けられており、レーザ光が出射される後方の部位にはブリュースタウィンドウ13が設けられ、前方の部位にはブリュースタウィンドウ14が設けられている。またチャンバ10の内部には混合ガスが所定のガス圧力Ptで注入される。KrFレーザならば混合ガスはF、Kr、Neからなり、ArFレーザならば混合ガスはF、Ar、Xe、Neからなり、Fレーザならば混合ガスはF、He又はNeからなる。
【0036】
ブリュースタウィンドウ13側の光路にはスリット15及び狭帯域化モジュール20が設けられており、ブリュースタウィンドウ14側の光路にはスリット16及びアウトプットカプラ17、モニタモジュール30が設けられている。チャンバ10で発生したレーザ光は狭帯域化モジュール20とアウトプットカプラ17との間を共振することで増幅された後、アウトプットカプラ17側を通過しモニタモジュール30側へ出射される。
【0037】
図3(a)、(b)はスリット15(及び16)の構造を説明するための図である。以下スリット15を代表して説明する。
【0038】
スリット15は縦スリット15a及び横スリット15bの機能を有する。図3(a)で示すように、縦スリット15aは主電極11、12の放電部、すなわちビームを縦方向(放電方向に平行な方向)に対して垂直に切り出す形状であり、図3(b)で示すように、横スリット15bは主電極11、12の放電部、すなわちビームを横方向(放電方向に垂直な方向)に対して垂直に切り出す形状である。なお縦方向のビームダイバージェンスθyは縦スリット15aによって決まる。
【0039】
図2(a)、(b)で示すように、狭帯域化モジュール20は、プリズム21、22と回折格子23を有する。プリズム21、22はレーザ光を横方向に拡大するように配設され、回折格子23は拡大されたレーザ光を角度分散し、所定波長のレーザ光のみをプリズム22に戻すように配設される。狭帯域化モジュール20によれば、レーザ光のスペクトルが狭帯域化される。
【0040】
図1で示すように、モニタモジュール30には、ビームスプリッタ31a〜31dと、出力検出器32と、スペクトル線幅・中心波長検出器33と、ビームダイバージェンス検出器34が設けられている。アウトプットカプラ17を通過したレーザ光は、ビームスプリッタ31aによってビームスプリッタ31b側へ反射されるレーザ光と図示しない半導体露光機側へ出射されるレーザ光とに分けられる。ビームスプリッタ31aに反射されたレーザ光は、ビームスプリッタ31bによってビームスプリッタ31c側へ出射されるレーザ光と出力検出器32側へ反射されるレーザ光とに分けられる。ビームスプリッタ31bから出射されたレーザ光は、ビームスプリッタ31cによってビームスプリッタ31d側へ出射されるレーザ光とスペクトル線幅・中心波長検出器33側へ反射されるレーザ光とに分けられる。ビームスプリッタ31cから出射されたレーザ光は、ビームスプリッタ31dによってビームダイバージェンス検出器34側へ反射される。出力検出器32ではレーザ光の出力エネルギーEが検出される。スペクトル線幅・中心波長検出器33ではレーザ光のスペクトル線幅Δλ及び中心波長λ0が検出される。ビームダイバージェンス検出器34ではビームダイバージェンスθが検出される。ビームダイバージェンス検出器34の構成については後述する。
【0041】
レーザコントローラ41には、モニタモジュール30で検出された出力エネルギーEと、スペクトル線幅Δλと、中心波長λ0と、ビームダイバージェンスθとが入力され、圧力センサ42で検出されたチャンバ10内のガス圧力Ptが入力される。また図6で示すようなビームダイバージェンスθとフッ素濃度Fの対応関係が記憶されており、入力されたビームダイバージェンスθに対応するフッ素濃度Fが特定される。さらにフッ素濃度Fが所定範囲内の値となるように、混合ガスの排気量及び各種ガスの注入量が演算される。その演算結果はガス制御指令Iとしてガスコントローラ44に出力される。また必要な充電電圧Vが演算される。その演算結果は指令充電電圧Viとして放電電源43に出力される。
【0042】
放電電源43は、チャンバ10内の主電極11、12に電気的に接続されている。放電電源43によって主電極11、12間にはパルスの高電圧が印加され放電が発生する。主電極11、12間の放電によってチャンバ10内のガスが励起され、レーザ光が発生する。
【0043】
ガスコントローラ44はガス制御指令Iに基づき、チャンバ10からの混合ガスの排気動作及びハロゲンガスボンベ45、希ガスボンベ46、希釈ガスボンベ47からチャンバ10への各種ガスの注入動作を制御する。ハロゲンガスボンベ45にはフッ素ガスが封入され、希ガスボンベ46にはクリプトンガス又はアルゴンガス及びキセノンガスが封入され、希釈ガスボンベ47にはネオンガス又はヘリウムガスが封入されている。ガスコントローラ44による混合ガスの排気及び各種ガスの注入はレーザ発振中であっても可能である。
【0044】
本実施形態では、モニタモジュール30内にビームダイバージェンス検出器34を搭載し、縦方向のビームダイバージェンスθyを求めるようにしている。狭帯域化モジュール20内の光学素子の熱負荷の影響は、横方向のビーム角度に影響を与えるが、縦方向の角度分散には影響しない。したがって狭帯域化モジュール20の熱負荷の影響によって横方向のビームダイバージェンスθxが変化するのに対し、縦方向のビームダイバージェンスθyは変化しない。よって縦方向のビームダイバージェンスθyはほぼフッ素濃度Fの変化のみによって変化するものと考えられる。図4〜図6を用いてダイバージェンス検出器34の構成及びビームダイバージェンスθyとフッ素濃度Fとの関係について説明する。
【0045】
図4(a)、(b)はビームダイバージェンス検出器34の一例を示す図である。
【0046】
図4(a)に示すように、ビームダイバージェンス検出器34には集光レンズ35とラインセンサ36とが設けられている。ラインセンサ36は集光レンズ35の焦点距離fの位置に縦方向(放電方向に平行な方向)と平行となるように配設されている。ビームダイバージェンス検出器34に入射されたレーザ光は、集光レンズ35によってラインセンサ36に集光される。ビームダイバージェンスがない場合、すなわちレーザ光の広がりがない場合は、ラインセンサ36上で点状のビームが検出される。ビームダイバージェンスがある場合、すなわちレーザ光の広がりがある場合は、ラインセンサ36上でビームが検出される。このビームの幅Wyは2f・tanθyとなる。したがって縦方向のビームダイバージェンスθyは、θy=arctan(Wy/2f)によって求められる。なおビームの幅Wyの基準として、例えば半値全幅または1/e2幅を用いてもよい。
【0047】
また図4(b)に示すように、ラインセンサ36に代わりCCDカメラ37を配設してもよい。ラインセンサ36では一次元のビームの幅Wyが計測されるのに対し、CCDカメラ37では二次元のビームの幅Wx、Wyが計測される。したがってCCDカメラ37によれば、縦方向のビームダイバージェンスθy及び横方向(放電方向に垂直な方向)のビームダイバージェンスθxを求めることができる。
【0048】
集光レンズ35やラインセンサ36やCCDカメラ37としては一般的に使用されている安価なものを用いることができる。但し耐久性を考慮し、各光学素子の母材には合成石英が使用され、特にFレーザの場合はフッ化カルシウムが使用される必要がある。
【0049】
ところで図5(a)、(b)に示すように、ビームダイバージェンス検出器34は従来のビームプロファイル検出器34′と構成要素が同一である。しかし両者は各構成要素の配置に差異がある。そこでビームダイバージェンス検出器34とビームプロファイル検出器34′の差異について説明する。
【0050】
図5(a)はビームプロファイル検出器34′の配置を示す図であり、図5(b)はビームダイバージェンス検出器34の配置を示す図である。
【0051】
図5(a)に示すビームプロファイル検出器34′は、例えばアウトプットカプラ17′上のビームプロファイルを集光レンズ35′を使ってラインセンサ36′上に転写するものである。ビームプロファイルの像がぼけることなくラインセンサ36′上に転写されるには、(fl/X1)+(f2/X2)=1という関係が成立するようにアウトプットカプラ17′と集光レンズ35′とラインセンサ36′とを配設しなければならない。ここでf1、f2は集光レンズ35′の焦点距離を示し、X1、X2は集光レンズ35′からアウトプットカプラ17′及びラインセンサ36′までの距離を示す。このようにビームプロファイル検出器34′は像を転写するだけのものであるため、ビームダイバージェンスθを求めることはできない。
【0052】
図5(b)に示すビームダイバージエンス検出器34は、前述したように、集光レンズ35とラインセンサ36との間隔が集光レンズ35の焦点距離fになるように配設されている。ビームダイバージエンス検出器34は、ビーム幅を求めることはできないものの、ビームダイバージェンスθを求めることはできる。
【0053】
図6は縦方向のビームダイバージェンスθyとフッ素濃度Fとの対応関係を示す図である。
【0054】
ビームダイバージェンスθyは共振器長が長いほど小さくなる。そのためビームダイバージェンスθyは次の2つの要因によって決定されるといえる。第1の要因は、レーザ共振器の両端に設けられた2枚のスリット間隔である。スリット間隔が長いほど共振器長が長くなるためである。第2の要因は、2枚のスリット間におけるレーザ光の往復回数、すなわちラウンドトリップ数である。ラウンドトリップ数が多くなることによって光学的な共振器長が長くなるためである。レーザ光のラウンドトリップ数が多いほどビームダイバージェンスθyは小さくなる。
【0055】
また前述の通りフッ素濃度Fが増加するとラウンドトリップ数は減少する。したがってフッ素濃度Fが増加するとビームダイバージェンスθyが大きくなるという特性が得られる。その一例を図6に示す。図6に示すように、ビームダイバージェンスθyとフッ素濃度Fとは比例関係にあるため、ビームダイバージェンスθyを検出することによってフッ素濃度Fを求めることができる。
【0056】
さらに図6に示すように、チャンバ寿命に近づいても、ビームダイバージェンスθyとフッ素濃度Fの依存性は変化しなことが分かった。これは縦方向のビームダイバージェンスθyはビーム幅といったビーム形状の影響を受けないためである。したがってレーザ装置を長期運転して主電極11、12が消耗したとしても、フッ素濃度Fを正確に求めることができる。
【0057】
ただし縦方向のビームダイバージェンスθyは、フッ素濃度F以外に、ガス圧力Ptや充電電圧Vによっても、僅かながら影響を受ける。これはガス圧力Ptや充電電圧Vの増減によって放電の利得が変化し、レーザの立ち上がりが変化するためである。このためガス圧力Pt、充電電圧V、フッ素濃度Fの様々な組み合わせに対して縦方向のビームダイバージェンスθyの値を予め求めておき、これらの値をマトリックスとして記憶し、実際の演算時にガス圧力Pt、充電電圧V、ビームダイバージェンスθyをパラメータとして、マトリックスからフッ素濃度Fを求めることがより望ましい。この演算されたフッ素濃度Fによって初期状態からのフッ素の変位量を演算し、その変位分を補償するように混合ガスの排気と各種ガスの注入とを行う。
【0058】
ラインセンサ36やCCDカメラ37は実際のレーザ装置でも使用されている。これらの光学素子は比較的安価で実用的であり、耐久性もよい。また図6に示すように、狭帯域化モジュール内の光学素子の熱負荷の影響は横方向のビーム角度に影響を与えるが、縦方向への角度分散には影響しない。そのため、問題であった光学素子の熱負荷の影響も少なく、スペクトルに対しても独立で検出できるため、耐久性良く安定して動作させることが可能となる。
【0059】
つぎに図7〜10を用いてレーザ装置の制御工程について説明する。
【0060】
半導体露光装置にレーザ装置を接続してウェハの露光を行う場合は、レーザ装置は出力エネルギーEを一定に保ついわゆるパワーロックモードで動作される。このような状態で数Mpls以上のレーザ発振が行われると、チャンバ10内の物質や放電生成物とハロゲンガス(フッ素や塩素)とが反応し、ハロゲンガス自体が減少する。またチャンバ10内には不純物が発生する。このため何らガス制御及び電圧制御が行われない場合は、チャンバ10内のガス組成が初期状態と比べて変化し、出力エネルギーEが低下する。
【0061】
従来のレーザ装置では、低下する出力エネルギーEを補償してパワーロックするために、ハロゲンガスを注入したり、モニタモジュール30でモニタした出力エネルギーEに基づいて、チャンバ10内のガス圧力Ptの制御(主に増加)や、充電電圧Vの制御が行われている。またチャンバ10内の混合ガスを一部だけ交換して、混合ガスの一部をフレッシュな状態に戻すガス制御が行われている。本発明のレーザ装置はこのガス制御の中で、ビームダイバージェンス検出器34を利用して、最新のフッ素濃度Fを求め、混合ガスの排気及び各種ガスの注入を行うようにするものである。
【0062】
図7、8を用いてレーザ装置の制御例について説明する。
【0063】
図7はガス制御の一例を示すフローチャートである。
【0064】
ガス交換直後のレーザ発振初期において、チャンバ10内のフッ素濃度Fがビームダイバージェンス検出器34で求められ、この値が基準値F(0)として設定されるとともに、この基準値F(0)に対してガス制御が必要となるフッ素の変位量Fが設定される(ステップ701〜703)。レーザ発振中に規定ショット数(例えば時刻tlにおけるショット数)に到達した時点で、モニタモジュール30にてレーザ光の縦方向のビームダイバージェンスθyと、チャンバ10内のガス圧力Ptと、充電電圧Vとが検出される(ステップ704の判断YES、705)。
【0065】
検出されたビームダイバージェンスθyと、ガス圧力Ptと、充電電圧Vとを用いて、記憶されているマトリックスより対応するフッ素濃度Fが求められる(ステップ706)。さらにフッ素濃度Fと基準値F(0)との変位量ΔFが求められる(ステップ707)。変位量ΔFが所定範囲外(|ΔF|>F)である場合は、後述する混合ガスの排気及び各種ガスの注入が必要である(ステップ708の判断YES)。変位量ΔFが所定範囲内(|ΔF|≦F)である場合は、次の規定ショット数(例えば時刻t2におけるショット数)に到達するまでレーザ発振が継続される(ステップ708の判断NO)。
【0066】
混合ガスの排気及び各種ガスの注入を行う際には、フッ素濃度Fの増減が判断される(ステップ709)。変位量ΔFがプラスの場合、すなわちフッ素濃度Fが減少している場合は、ガス圧力Ptを変えずにフッ素濃度Fを基準値F(0)まで増加すべく、チャンバ10からの混合ガスの排気量Poutと、ハロゲンガスボンベ45からのフッ素ガスの注入量Pfinが演算される(ステップ710)。変位量ΔFがマイナスの場合、すなわちフッ素濃度Fが増加している場合は、ガス圧力Ptを変えずにフッ素濃度Fを基準値F(0)まで減少すべく、チャンバ10からの混合ガスの排気量Poutと希釈ガスボンベ47からの希釈ガスの注入量Pbinが演算される(ステップ711)。
【0067】
演算された混合ガスの排気量Pout及びフッ素ガスの注入量Pfin又は希釈ガスの注入量Pbinに基づき、ガスコントローラ44によってチャンバ10からのガスの排気動作及び各ガスボンベ45〜47からのガスの注入動作が制御され、再度フッ素濃度Fを求めるステップ705以降の処理が行われる(ステップ712)。
【0068】
本発明のレーザ装置では、図7に示すようなガス制御の他に、ガス圧力制御と充電電圧制御とが行われている。これら各制御のタイミングについて図8を用いて説明する。
【0069】
図8(a)は出力エネルギーEのタイミングチャートであり、図8(b)は充電電圧Vのタイミングチャートであり、図8(c)はチャンバ10内のガス圧力Ptのタイミングチャートであり、図8(d)はチャンバ10内のフッ素濃度Fのタイミングチャートである。
【0070】
図8(b)に示すように、出力エネルギーEが一定値Ecになるように、レーザコントローラ41から出力される指令充電電圧Viに基づき放電電源43によって充電電圧Vがパルス毎に制御されている。ここでは充電電圧Vは予め設定された目標電圧Vtargetとなるように制御されている。
【0071】
時刻t1において、規定ショット数に達したものとし、図7のステップ704以降に示すガス制御が行われる。
【0072】
時刻t2において、チャンバ10内のガス等の劣化により、パルス毎の充電電圧制御及びガス制御のみでは出力エネルギーEを一定値Ecに保つことができなくなる。そこで出力エネルギーを一定に保つために、ガス圧力Ptが増加される。これはガス圧力Ptを増加させることによって出力エネルギーEが増加するためである。
【0073】
時刻t3において、ガス圧力Ptが上限値Pmaxに到達すると、もはやガス圧力Ptの増加によって出力エネルギーEの減少を補償することができなくなる。そこで出力エネルギーを一定に保つために、充電電圧Vが目標電圧Vtarget以上となるように制御される。
【0074】
時刻t4において、充電電圧Vが上限値Vmaxに到達すると、もはや出力エネルギーEの減少を補償することができなくなる。この時点がレーザガスの寿命とみなされ、チャンバ10内の全ガス交換が行われる。
【0075】
つぎに図9、10を用いてレーザ装置の他の制御例について説明する。
【0076】
図7、8で示す制御例は、フッ素濃度の基準値F(0)が一定とされ、フッ素濃度Fが一定の基準値F(0)となるように混合ガスの排気及び各種ガスの注入が行われるのに対し、図9、10で示す制御例は、出力エネルギーEの低下を抑制するためにフッ素濃度の基準値F(N)が可変とされ、フッ素濃度Fが最新の基準値F(N)となるように混合ガスの排気及び各種ガスの注入が制御される。但し半導体露光装置側から要求される各光学性能がスペックアウトにならないようにフッ素濃度Fが取りうる範囲が設定される。その設定範囲の上限値をFmaxとし、フッ素濃度Fが上限値Fmaxを超えないようにガス制御が行われる。フッ素濃度Fを増加させた場合は出力エネルギーEが増加する。フッ素濃度の基準値F(N)を増加させることによって、フッ素濃度Fが増加するようにガス制御が行われるため、出力エネルギーEの減少を補償することができる。したがって、図7、8で示す制御例よりもさらにガス全体の寿命を延ばすことができる。
【0077】
ここでは、ガス圧力Ptの増加を抑えるために、ガス圧力の判断値をPt(1)、Pt(2)、Pt(3)、…と予め設定しておき、ガス圧力Ptが各判断値に到達したら、フッ素濃度の基準値をF(N)+k(N)まで増加させる。この増加係数k(N)はそのレーザ装置の特性に最適な値とする。
【0078】
図9は他のガス制御の一例を示すフローチャートである。
【0079】
図9で示すステップ901〜909は図7で示すステップ701〜709とほぼ同じであるためその説明を省略し、異なる部分を説明する。但しステップ902では、チャンバ10内のフッ素濃度Fがビームダイバージェンス検出器34で求められ、この値が基準値F(0)として設定される。また基準値F(0)に対してガス制御が必要となるフッ素の変位量Fと、Nの初期値0が設定される。
【0080】
ステップ907で演算されたフッ素の変位量ΔFがプラスであり、かつガス圧力Pt≦Pt(N+1)の場合(ステップ909の判断YES、ステップ910の判断NO)は、フッ素濃度Fを基準値F(N)まで増加すべく、チャンバ10からの混合ガスの排気量Poutとハロゲンガスボンベ45からのフッ素ガスの注入量Pfinが演算される(ステップ921)。
【0081】
ステップ907で演算されたフッ素の変位量ΔFがプラスであり、かつガス圧力Pt>Pt(N+1)の場合(ステップ909の判断YES、ステップ910の判断YES)は、ガス圧力Ptの増加を抑えるために、フッ素濃度の基準値をF(N+1)=F(N)+k(N)とし(ステップ912)、フッ素濃度Fを基準値F(N+1)まで増加すべく、チャンバ10からの混合ガスの排気量Poutとハロゲンガスボンベ45からのフッ素ガスの注入量Pfinが演算される(ステップ913)。またN+1がNとされ、新たな基準値F(N)が設定される(ステップ914)。
【0082】
ステップ907で演算されたフッ素の変位量ΔFがマイナスであり、かつガス圧力Pt≦Pt(N+1)の場合(ステップ909の判断NO、ステップ920の判断NO)は、フッ素濃度Fを基準値F(N)まで減少すべく、チャンバ10からの混合ガスの排気量Poutと希釈ガスボンベ47からの希釈ガスの注入量Pbinが演算される(ステップ911)。
【0083】
ステップ907で演算されたフッ素の変位量ΔFがマイナスであり、かつガス圧力Pt>Pt(N+1)の場合(ステップ909の判断NO、ステップ920の判断YES)は、ガス圧力Ptの増加を抑えるために、フッ素濃度の基準値F(N+1)=F(N)+k(N)とし(ステップ922)、フッ素濃度Fを基準値F(N+1)まで減少すべく、チャンバ10からの混合ガスの排気量Poutと希釈ガスボンベ47からの希釈ガスの注入量Pbinが演算される(ステップ923)。またN+1がNとされ、新たな基準値F(N)が設定される(ステップ924)。
【0084】
演算された混合ガスの排気量Pout及びフッ素ガスの注入量Pfin又は希釈ガスの注入量Pbinに基づき、ガスコントローラ44によってチャンバ10からのガスの排気動作及び各ガスボンベ45〜47からのガスの注入動作が制御される(ステップ930)。そしてフッ素濃度Fが上限値Fmax以下ならば、再度フッ素濃度Fを求めるステップ905以降の処理が行われる(ステップ931の判断NO)。一方フッ素濃度Fが上限値Fmaxより大きければ、基準値F(N)としてFmaxが設定され(ステップ932)、図7に示すステップ705以降の処理に移行するようにする(ステップ933)。
【0085】
本発明のレーザ装置では、図9に示すようなガス制御の他に、ガス圧力制御と充電電圧制御とが行われている。これら各制御のタイミングについて図10を用いて説明する。
【0086】
図10(a)は出力エネルギーEのタイミングチャートであり、図10(b)は充電電圧Vのタイミングチャートであり、図10(c)はチャンバ10内のガス圧力Ptのタイミングチャートであり、図10(d)はチャンバ10内のフッ素濃度Fのタイミングチャートである。
【0087】
図10(a)に示すように、出力エネルギーEが一定値Ecになるように、レーザコントローラ41から出力される指令充電電圧Viに基づき放電電源43によって充電電圧Vがパルス毎に制御されている。ここでは充電電圧Vは予め設定された目標電圧Vtargetとなるように制御されている。
【0088】
時刻t1、t2において、図9のステップ904以降に示すガス制御が行われる。
【0089】
時刻t3において、ガス圧力Ptが判断値Pt(1)に達する。するとガス圧力Ptの増加を抑えるために、フッ素濃度Fの基準値がF(0)からF(1)に変更され、フッ素濃度FがF(1)となるように混合ガスの排気動作及び各種ガスの注入動作がガスコントローラ44によって制御される。
【0090】
時刻t4において、ガス圧力Ptが判断値Pt(2)に達する。するとガス圧力Ptの増加を抑えるために、フッ素濃度Fの基準値がF(1)からF(2)に変更され、フッ素濃度FがF(2)となるように混合ガスの排気動作及び各種ガスの注入動作がガスコントローラ44によって制御される。
【0091】
時刻t5において、ガス圧力Ptが判断値Pt(3)に達する。するとガス圧力Ptの増加を抑えるために、フッ素濃度Fの基準値がF(2)からF(3)に変更され、フッ素濃度FがF(3)となるように混合ガスの排気動作及び各種ガスの注入動作がガスコントローラ44によって制御される。
【0092】
時刻t6において、ガス圧力Ptが上限値Pmaxに到達すると、もはやガス圧力Ptの増加及びフッ素濃度の基準値F(3)の増加によって出力エネルギーEの減少を補償することができなくなる。そこで出力エネルギーの減少を補償するために、充電電圧Vが目標電圧Vtarget以上となるように制御される。
【0093】
時刻t7において、充電電圧Vが上限値Vmaxに到達すると、もはや出力エネルギーEの減少を補償することができなくなる。この時点がレーザガスの寿命とみなされ、チャンバ10内の全ガス交換が行われる。
【0094】
なお本実施例では、狭帯域化モジュールを備えたレーザ装置に関して述べたが、本発明は数個のプリズムなどの角度分散素子からなるラインセレクトモジュールを備えたラインセレクトFレーザや、狭帯域化しないフリーランニングレーザにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係わるレーザ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2(a)はレーザ装置における各光学装置の上面図であり、図2(b)はレーザ装置における各光学装置の側面図である。
【図3】図3(a)、(b)はスリット15(及び16)の構造を説明するための図である。
【図4】図4(a)、(b)はビームダイバージェンス検出器34の一例を示す図である。
【図5】図5(a)はビームプロファイル検出器34′の配置を示す図であり、図5(b)はビームダイバージェンス検出器34の配置を示す図である。
【図6】図6は縦方向のビームダイバージェンスθyとフッ素濃度Fとの対応関係を示す図である。
【図7】図7はガス制御の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8(a)は出力エネルギーEのタイミングチャートであり、図8(b)は充電電圧Vのタイミングチャートであり、図8(c)はチャンバ10内のガス圧力Ptのタイミングチャートであり、図8(d)はチャンバ10内のフッ素濃度Fのタイミングチャートである。
【図9】図9は他のガス制御の一例を示すフローチャートである。
【図10】図10(a)は出力エネルギーEのタイミングチャートであり、図10(b)は充電電圧Vのタイミングチャートであり、図10(c)はチャンバ10内のガス圧力Ptのタイミングチャートであり、図10(d)はチャンバ10内のフッ素濃度Fのタイミングチャートである。
【図11】図11(a)〜(c)は従来技術を説明するための図である。
【符号の説明】
10 チャンバ 30 モニタモジュール
34 ビームダイバージェンス検出器 41 レーザコントローラ
44 ガスコントローラ 45 ハロゲンガスボンベ
46 希ガスボンベ 47 希釈ガスボンベ

Claims (5)

  1. フッ素が含まれる混合ガスをチャンバに注入してレーザ発振するガスレーザ装置において、
    チャンバから出射されるレーザ光のビームダイバージェンスをモニタするビームダイバージェンスモニタと、
    モニタしたビームダイバージェンスを用いてチャンバ内のフッ素濃度を求め、その結果に基づきチャンバ内のフッ素濃度を制御するコントローラと、を備え、
    前記ダイバージェンスモニタは、チャンバに配設された主電極間の放電方向と同一方向のレーザ光のビームダイバージェンスを検出すること
    を特徴とするガスレーザ装置。
  2. 前記コントローラは、ビームダイバージェンスとチャンバ内のフッ素濃度との対応関係を予め記憶し、この対応関係を用いてモニタしたビームダイバージェンスに対応するフッ素濃度を求め、その結果に基づきチャンバ内のフッ素濃度が所定範囲内の値となるようにチャンバからの混合ガスの排気とチャンバへの各種ガスの注入とを制御すること
    を特徴とする請求項1記載のガスレーザ装置。
  3. 前記ダイバージェンスモニタは、ラインセンサとラインセンサにレーザ光を集光する集光レンズとを含むこと
    を特徴とする請求項1記載のガスレーザ装置。
  4. 前記ダイバージェンスモニタは、CCDカメラとCCDカメラにレーザ光を集光する集光レンズとを含むこと
    を特徴とする請求項1記載のガスレーザ装置。
  5. チャンバから出射されるレーザ光のビームダイバージェンスのうちチャンバに配設された主電極間の放電方向と同一方向のビームダイバージェンスをモニタするビームダイバージェンスモニタ工程と、
    レーザ光のビームダイバージェンスを用いてチャンバ内のフッ素濃度を求め、チャンバ内のフッ素濃度を所定範囲内の値とするために必要な混合ガスの排気量と各種ガスの注入量とを演算する演算工程と、
    演算結果に基づき混合ガスの排気と各種ガスの注入を制御するガス制御工程と、を含むこと
    を特徴とするガスレーザ装置のフッ素濃度制御方法。
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