JP3830036B2 - 狭帯域化ガスレーザ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、狭帯域化ガスレーザ装置に関し、特に、F2 レーザ装置等のガスレーザ装置からのレーザビームにASE(Amplified Spontaneous Emission)が含まれないようにして、スペクトル線幅0.2pm以下、スペクトル純度0.5pm以下に狭帯域化したガスレーザ装置に関するものである。
【0002】
また、KrFレーザ装置、ArFレーザ装置等のF2 を含むレーザガスを使用するガスレーザ装置からのレーザビームにASEが含まれないようにして、スペクトル線幅、スペクトル純度の更なる狭帯域化を施したガスレーザ装置に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
半導体集積回路の微細化、高集積化につれて、その製造用の露光装置においては解像力の向上が要請されている。このため、露光用光源から放出される露光光の短波長化が進められており、半導体露光用光源として、従来の水銀ランプから波長248nmのKrFレーザ装置や更なる短波長光源として、波長193nmのArFレーザ装置が用いられ始めている。
【0004】
また、70nm以下のライン幅の半導体集積回路を半導体上に実現するための露光技術において、波長160nm以下の露光用光源が要求されている。そして、現在、波長157nm付近の紫外線を放出するF2 (フッ素分子)レーザ装置がその光源とし有力視され、露光装置搭載への研究開発が急ピッチで行われている。本発明は、KrFレーザ装置、ArFレーザ装置の性能改善、及び、半導体露光装置へF2 レーザ装置を搭載すべく、F2 レーザ装置の性能改善に係わるものである。
【0005】
光技術には大きく分けて以下の2種類ある。
【0006】
1)屈折系(dioptric system)
2)反射屈折系(catadioptric system)
屈折系としては、従来の露光装置に一般的に用いられていた投影光学系がある。露光技術では、光学系内での色収差補正方法が1つの大きな問題である。屈折系では、種類の違う屈折率を有するレンズ等の光学素子を組み合わせることによって、色収差補正を実現してきた。ただし、157nm付近の波長域において透過性を有する使用可能な光学材料の種類に制限があり、現状ではCaF2 (蛍石)以外は使用できない状況にある。
【0007】
反射屈折系を露光技術に用いると、反射光学素子には色分散がないため、反射光学素子と屈折光学素子とを組み合わせることにより、色収差の発生が抑えられる。そのために、反射屈折系を用いた露光装置が、現状の157nm付近の波長域では有望視されている。ただし、反射屈折系は、従来の屈折系と比較して、露光機の光軸調整が困難なため、敬遠される傾向にある。
【0008】
従来技術として一般的であった屈折系を、この157nm付近の波長域に対して適応させる有力な手段が現状で1つある。それは、放出されるレーザビームが狭帯域化されたF2 レーザ装置を露光装置の光源として用いることである。
【0009】
放電ガス全圧等の運転条件にもよるが、一般的に狭帯域化されていない(フリーランニング動作の)場合、F2 レーザビームのスペクトルの半値全幅(FWHM)は約1.5〜1.2pm付近にある。屈折系においては、このスペクトルの半値全幅を0.2pm以下に狭帯域化することが要求される。また、KrFレーザ装置、ArFレーザ装置においても、フリーランニング動作時のレーザビームのスペクトルの半値全幅(FWHM)数100nmと広帯域であるので、やはり狭帯域化することが要求される。本発明はその狭帯域化技術に係わるものである。
【0010】
さて、図1に、1個以上の拡大プリズムとグレーテング(回折格子)を用いた狭帯域化F2 レーザ装置の構成例を示す。なお、狭帯域化KrFレーザ装置、ArFレーザ装置も同様な構成となる。
【0011】
レーザチェンバ1内にはF2 レーザ励起媒質ガス(以下、レーザガスと称する。)が充填されている。高電圧パルス発生装置3からレーザチェンバ1内に所定距離だけ離間して対向配置された一対の電極2に高電圧パルスが印加され、電極2間に放電が発生し、この放電部におけるレーザガスが励起される。励起されたレーザガスよりレーザビームとなる種光が発生する。レーザチェンバ1内には、さらにファン4とラジエター(図示されていないが)が設置されている。レーザガスはこのファン4によってレーザチェンバ1内で循環し、放電により高温になったレーザガスはラジエターと熱交換されて冷却される。レーザチェンバ1には、図1のように、ウインドー部5にウィンドー部材がハの字の形でブリュ−スタ角度で、又は、平行ブリュ−スター角度で設置されている。なお、電極2は、紙面垂直方向に所定距離だけ離間してアノード電極とカソード電極とが配置されている。
【0012】
レーザ共振器は、後述する狭帯域化モジュール6に搭載された回折格子8と出力ミラー9とにより構成される。
【0013】
上記したレーザビームとなる種光は、狭帯域化モジュール6中に設置されている回折格子(グレーテング)8及び拡大プリズム7、放電部、及び、出力ミラー9の間を往復し、出力ミラー9からレーザビームとして取り出される。
【0014】
出力ミラー9から出射されてレーザビームの一部はビームスプリッター10により波長モニター11へ導入され、波長モニター11で出力、中心波長等が計測される。
【0015】
狭帯域化は、レーザ共振器内に分光機能を有する光学的狭帯域化モジュール6を配置することによりなされる。例えば、狭帯域化モジュール6は、ケーシングとケーシング内に設置された回折格子(グレーテング)8及び拡大プリズム7から構成され、回折格子8による波長選択によりスペクトルの狭帯域化が実現する。
【0016】
また、回折格子8、拡大プリズム7の何れか1つの回転によって発振中心波長を変化させることが可能である。
【0017】
なお、レーザチェンバ1と回折格子8間の任意の位置に高反射ミラーを設置し、この高反射ミラーを回転させて回折格子8への光の入射角度を変えることによって発振中心波長を変化させることも可能である。
【0018】
波長モニター11からの中心波長信号を元にコントローラ12は狭帯域化モジュール6内の回折格子8、拡大プリズム7、又は、図示されていないが、レーザチェンバ1と回折格子8間の任意の位置に設置されて高反射ミラーの何れか1つの回転させて波長制御を行う。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
このような狭帯域化F2 レーザ装置の狭帯域化手段として、レーザ共振器内に分光機能を有する光学的狭帯域化モジュールを用いても、露光装置の屈折系において要求される前記のスペクトル線幅(FWHM)0.2pm以下の狭帯域化性能を得ることが困難であった。
【0020】
スペクトル線幅をΔλ、回折格子に入射する光線幅をW、回折格子のブレーズ角(=リトロー角)をθとすると、
Δλ∝cosθ/W
なる関係がある。すなわち、スペクトル幅Δλは回折格子のブレーズ角θ、回折格子に入射する光線幅Wが大きくなる程狭くなる。
【0021】
光線幅Wを大きくするには、拡大プリズムの拡大率を大きくしたり、拡大プリズムの個数を増やすことと、回折格子の幅を広くすることが必要である。しかしながら、露光用光源とする場合、露光現場における装置サイズの制約から、狭帯域化モジュールの大きさも制限される。また、拡大プリズムの光透過率は、波長157nmの光に対して100%ではないので、個数を増やせば増す程発振効率が低下する。すなわち、拡大プリズムの個数を増加したり、回折格子の幅を大きくするには限界がある。
【0022】
また、光学部品の製作技術からくる限界もある。例えば、回折格子の製作限界によりブレーズ角は所定値以上に大きくできない。
【0023】
以上のような事情により、光学的狭帯域化には限界がある。
【0024】
ここで、Proc.SPIE Vol.3679.(1999)1030〜1037には、レーザパルス幅が長くなると、それに伴って、レーザ光のスペクトル線幅が狭くなっていくことが記載されており、実際、本発明者等の実験でもこれは証明された。
【0025】
すなわち、上記した光学的狭帯域化の限界を超えて更なる狭帯域化を実現するには、レーザビームのロングパルス化(パルスストレッチ)が必要となる。
【0026】
しかしながら、ロングパルス化を行っても、スペクトル線幅(FWHM)0.2pm以下の狭帯域化性能を得るのは難しい。
【0027】
これは、以下の理由による。F2 (分子)レーザ装置は、エキシマレーザ(KrF,ArF,XeCl等)と同様、利得が大きい。レーザ装置において利得が大きいということは、狭帯域化モジュールを用いて共振することなくレーザ装置の出力ミラーから出射される光(ASE:Amplified Spontaneous Emission;寄生発振光)が多いことを意味する。ASEはレーザ共振器を往復せず出力ミラーより放出される光なので、狭帯域化モジュールを通過しないか、通過しても1回であると考えられ、狭帯域化はほとんど行われない。従来の狭帯域化F2 レーザ装置から放出されるレーザビームはこのASE成分を含むので、レーザビームのスペクトル線幅(FWHM)を0.2pm以下に狭帯域化することは困難であった。以下に、ASE発生について、詳細に述べる。
【0028】
図2は、従来のスペクトル線幅(FWHM)0.2pm以下の狭帯域化性能が得られないF2 レーザ装置の場合の、レーザ発振時サイドライト(以下、サイドライトと言う。)波形、レーザパルス波形、スペクトル線幅の時間的移り変わりを示す図である。なお、この波形取得時の回折格子と出力ミラーとが作るレーザ共振器の長さは1500mmであった。
【0029】
ここで、一対の電極間で発生する放電により励起されたレーザガスにより発生する光を「サイドライト」と称することにする。サイドライトの観測は、レーザ共振器上にない位置(例えば、電極の長手方向と略垂直方向の電極サイド位置)からなされる。
【0030】
サイドライトの波形は、レーザの時間的利得分布を示すものである。すなわち、このサイドライトはレーザ発振時のゲイン分布を示している。
【0031】
レーザパルスは、サイドライトのピーク時に閾値を超えて急激に立ち上がる。すなわち、メインのレーザ発振(ASEではない発振)は、サイドライトの第1のピークを起点に急激に立ち上がる。
【0032】
レーザパルス波形において、放電励起開始(0ns)から20nsを越えた位置に1つのピークが観測される。このピーク位置のA時点でのスペクトル線幅は、フリーランニングのときのスペクトル線幅と略同程度であった(なお、図2におけるスペクトル線幅を示す縦軸はリニアではない。A時点でのスペクトル線幅は0.4pm程度に見えるが、実際はもっと大きい。)。
【0033】
前記したように、F2 レーザ装置は、エキシマレーザ(KrF,ArF,XeCl等)と同様、利得が大きい。利得の大きいレーザ装置においては、利得が立ち上がった後の所定の値を超えると(すなわち、利得の立ち上がりから所定時間遅れて)、光が共振器を往復することなくワンパス通過することによる発振(ASE)が生じる。
【0034】
図2に示すレーザパルス波形の時点Aでのピークは、レーザ共振器の光軸をずらしてミスアライメント状態にしても観測された。したがって、レーザパルス波形の最初のピーク部分の光はASEと考えられる。前記したように、ASEはレーザ共振器を往復せずに出力ミラーより放出される光なので、狭帯域化モジュールを通過しないか、通過しても1回であると考えられるので、狭帯域化はほとんど行われない。
【0035】
ASEとして取り出されなかった光は、レーザ共振器を往復し、狭帯域化され、やがてレーザビームとして取り出される。
【0036】
1つのレーザパルスのスペクトル線幅は、図3(a)に模式的に示すように、レーザパルス内各時点での各スペクトル線幅の時間的積分値となるので、レーザパルス初期にASEが放出されると、結果的にスペクトル線幅は0.2pm以下とするのは困難であった。すなわち、図3(b)に模式的に示すように、0.6pm以上のスペクトル線幅を有するASEがレーザパルスのスペクトル特性にかぶさってしまい、レーザパルス全体の積分スペクトルとしては、メインのレーザ発振スペクトル線幅が0.2pm以下でも、全体としては0.2pm以上のスペクトル線幅になってしまう。
【0037】
一方、上記したASEのあるレーザパルス波形では、スペクトル純度の点で、露光用光源としての仕様を満足することが困難になる。
【0038】
ここで、「スペクトル純度」とは、スペクトルエネルギーの集中度に関する1つの指標であり、図4に示す通り、スペクトル波形の「ある面積比率」を含む線幅をいう。例えば、一般によく使われる「95%純度」とは、そのスペクトル波形の全面積の中、中心側から95%の面積を含む線幅のことで指す。通常、屈折系露光用光源として要求されるスペクトル純度は、0.5pmである。
【0039】
先に述べたように、ASEはほとんど狭帯域化されていない光である。すなわち、いかにロングパルス化(パルスストレッチ)が行われようとも、ASE成分が存在する限り、図3に示すスペクトルの積分波形の裾のあたりの波形は変わらない。したがって、露光装置側の要求によっては、スペクトル純度についての仕様を満足することができない。波長により要求されるスペクトル線幅、スペクトル純度の要求値は変わるが、上記のような問題はKrFレーザ装置、ArFレーザ装置に対しても当てはまる。
【0040】
本発明は従来技術のこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、KrFレーザ装置、ArFレーザ装置、F2 レーザ装置等のF2 を含むレーザガスを用いるガスレーザ装置において狭帯域化性能の向上を実現し、特にF2 レーザ装置において、スペクトル線幅0.2pm以下、スペクトル純度0.5pm以下を実現するためにASEの放出を抑えた狭帯域化ガスレーザ装置を提供することである。
【0041】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の第1の狭帯域化ガスレーザ装置は、F2 を含むレーザガスが封入されたレーザチェンバ内に放電電極を有し、レーザ共振器内に設置した波長選択素子を含む狭帯域化モジュールにより狭帯域化されたレーザビームを放出する狭帯域化ガスレーザ装置において、
レーザ共振器から放出されるレーザビームに実質的にASEが含まれないように、放電により発光する時点からレーザビームが発生するまでの時間が設定されていることを特徴とするものである。
【0043】
本発明の第2の狭帯域化ガスレーザ装置は、F2 を含むレーザガスが封入されたレーザチェンバ内に放電電極を有し、レーザ共振器内に設置した波長選択素子を含む狭帯域化モジュールにより狭帯域化されたレーザビームを放出する狭帯域化ガスレーザ装置において、
レーザ共振器から放出されるレーザビームに実質的にASEが含まれず、かつ、レーザ共振器から放出されるレーザビームの発生時点においてレーザビームが所定のスペクトル線幅(FWHM)及び/又はスペクトル純度を有するように、放電により発光する時点からレーザビームが発生するまでの時間が設定されていることを特徴とするものである。
【0044】
本発明の第3の狭帯域化ガスレーザ装置は、F2 を含むレーザガスが封入されたレーザチェンバ内に放電電極を有し、レーザ共振器内に設置した波長選択素子を含む狭帯域化モジュールにより狭帯域化されたレーザビームを放出する狭帯域化ガスレーザ装置において、
放電による発光の時間的パルス波形を計測する放電発光計測器(サイドライトディテクター)と、レーザビームの時間的パルス波形を計測するレーザパルス計測器(レーザパルスディテクター)と、放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御可能なコントローラとを有し、
前記コントローラは、前記放電発光計測器からのデータより、放電発光波形の起点を原点としたときの放電発光波形の第1ピークが発生する時刻TSL1 を求め、前記レーザパルス計測器からのデータより、放電発光波形の起点を原点としたときのレーザパルス波形の第1ピークが発生する時刻TLP1 を求め、TSL1 >TLP1 とならないように放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御して、レーザ共振器から放出されるレーザビームに実質的にASEが含まれないようにすることを特徴とするものである。
【0045】
本発明の第4の狭帯域化ガスレーザ装置は、F2 を含むレーザガスが封入されたレーザチェンバ内に放電電極を有し、レーザ共振器内に設置した波長選択素子を含む狭帯域化モジュールにより狭帯域化されたレーザビームを放出する狭帯域化ガスレーザ装置において、
放電による発光の時間的パルス波形を計測する放電発光計測器(サイドライトディテクター)と、レーザビームの時間的パルス波形を計測するレーザパルス計測器(レーザパルスディテクター)と、放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御可能なコントローラとを有し、
前記コントローラは、前記放電発光計測器からのデータより、放電発光波形の起点を原点としたときの放電発光波形の第1ピークが発生する時刻TSL1 を求め、前記レーザパルス計測器からのデータより、放電発光波形の起点を原点としたときのレーザパルス波形が発生する時刻TLPS を求め、TSL1 >TLPS とならないように放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御して、レーザ共振器から放出されるレーザビームに実質的にASEが含まれないようにすることを特徴とするものである。
【0046】
本発明の第5の狭帯域化ガスレーザ装置は、F2 を含むレーザガスが封入されたレーザチェンバ内に放電電極を有し、レーザ共振器内に設置した波長選択素子を含む狭帯域化モジュールにより狭帯域化されたレーザビームを放出する狭帯域化ガスレーザ装置において、
放電による発光の時間的パルス波形を計測する放電発光計測器(サイドライトディテクター)と、放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御可能なコントローラとを有し、
前記コントローラは、ASEが発生しないときの放電発光波形の第1ピークの立上りの最大勾配の最大値ΔT1 を予め記憶しておき、前記放電発光計測器からのデータより、放電発光波形の第1ピークの立上りの最大勾配ΔTS を求め、ΔTS >ΔT1 とならないように放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御して、レーザ共振器から放出されるレーザビームに実質的にASEが含まれないようにすることを特徴とするものである。
【0047】
本発明の第6の狭帯域化ガスレーザ装置は、F2 を含むレーザガスが封入されたレーザチェンバ内に放電電極を有し、レーザ共振器内に設置した波長選択素子を含む狭帯域化モジュールにより狭帯域化されたレーザビームを放出する狭帯域化ガスレーザ装置において、
放電による発光の時間的パルス波形を計測する放電発光計測器(サイドライトディテクター)と、放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御可能なコントローラとを有し、 前記コントローラは、レーザ共振器内を往復する光のスペクトル線幅及び/又はスペクトル純度の時間的推移データと、このデータから求められる放電発光波形の起点を原点としたときの所定のスペクトル線幅及び/又はスペクトル純度の値が得られる時刻Tbwを記憶しておき、前記放電発光計測器からのデータより、放電発光波形の起点を原点としたときの放電発光波形の第1ピークが発生する時刻TSL1 を求め、TSL1 <Tbwとならないように放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御して、レーザ共振器から放出されるレーザビームの発生時点においてレーザビームが所定のスペクトル線幅(FWHM)及び/又はスペクトル純度を有するようにすることを特徴とするものである。
【0048】
本発明の第7の狭帯域化ガスレーザ装置は、F2 を含むレーザガスが封入されたレーザチェンバ内に放電電極を有し、レーザ共振器内に設置した波長選択素子を含む狭帯域化モジュールにより狭帯域化されたレーザビームを放出する狭帯域化ガスレーザ装置において、
放電による発光の時間的パルス波形を計測する放電発光計測器(サイドライトディテクター)と、レーザビームの時間的パルス波形を計測するレーザパルス計測器(レーザパルスディテクター)と、放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御可能なコントローラとを有し、
前記コントローラは、レーザ共振器内を往復する光のスペクトル線幅及び/又はスペクトル純度の時間的推移データと、このデータから求められる放電発光波形の起点を原点としたときの所定のスペクトル線幅及び/又はスペクトル純度の値が得られる時刻Tbwを記憶しておき、前記レーザパルス計測器からのデータより、放電発光波形の起点を原点としたときのレーザパルス波形が発生する時刻TLPS を求め、TLPS <Tbwとならないように放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御して、レーザ共振器から放出されるレーザビームの発生時点においてレーザビームが所定のスペクトル線幅(FWHM)及び/又はスペクトル純度を有するようにすることを特徴とするものである。
【0049】
また、本発明は、F2 を含むレーザガスが封入されたレーザチェンバ内に放電電極を有し、レーザ共振器内に設置した波長選択素子を含む狭帯域化モジュールにより狭帯域化されたレーザビームを放出する狭帯域化ガスレーザ装置において、
放電による発光の時間的パルス波形を計測する放電発光計測器(サイドライトディテクター)と、レーザビームの時間的パルス波形を計測するレーザパルス計測器(レーザパルスディテクター)と、放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御可能なコントローラとを有し、
前記コントローラは、上記第3、第4、第5の何れかの狭帯域化レーザ装置のコントローラのASE制御機能と、上記第6又は第7の狭帯域化レーザ装置のコントローラのスペクトル線幅(FWHM)及び/又はスペクトル純度機能とを併せ持ち、レーザ共振器から放出されるレーザビームに実質的にASEが含まれず、かつ、レーザ共振器から放出されるレーザビームの発生時点においてレーザビームが所定のスペクトル線幅(FWHM)及び/又はスペクトル純度を有するようにする狭帯域化ガスレーザ装置を含むものである。
【0050】
さらに、発振段レーザと増幅段レーザとからなる2ステージ方式の狭帯域化ガスレーザ装置であって、発振段レーザが上記第1から第8の何れかの狭帯域化ガスレーザ装置である狭帯域化ガスレーザ装置を含むものである。
【0051】
この2ステージ方式の狭帯域化ガスレーザ装置において、前記増幅段レーザが、放電による発光の時間的パルス波形を計測する放電発光計測器(サイドライトディデクター)と、前記増幅段レーザの放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御可能なコントローラとを有し、前記コントローラは、前記発振段レーザのコントローラから発振段レーザのレーザパルスが立ち上がるタイミングデータTLPS を受信し、このデータを基に前記発振段レーザのレーザパルスが立ち上がった後に増幅段レーザの放電を開始するようにすることが望ましい。
【0052】
本発明においては、サイドライトの立ち上がりを緩やかにして、サイドライトの第1ピークの時点以降にレーザパルスの起点が存在するようにすることにより、ASEの放出が抑制可能となり、F2 レーザ装置において、スペクトル線幅0.2pm以下、スペクトル純度0.5pm以下の超狭帯域化ガスレーザ装置を実現することが可能となる。また、KrFレーザ装置、ArFレーザ装置においても、狭帯域化性能を向上させることが可能となる。
【0053】
また、高出力・超狭帯域化フッ素レーザ装置を提供するのに、インジェクション・ロック方式やMOPA方式を採用し、狭帯域化手段を有する発振段レーザにおいて、このようにサイドライトの立ち上がりを緩やかにして、サイドライトの第1ピークの時点以降にレーザパルスの起点が存在するようにすることにより、スペクトル線幅が0.2pm以下で、かつ、パルスエネルギーが5mJ以上のレーザビームを得ることができるようになる。
【0054】
同様に、高出力・超狭帯域化KrFレーザ装置、ArFレーザ装置を提供するのに、インジェクション・ロック方式やMOPA方式を採用し、狭帯域化手段を有する発振段レーザにおいて、このようにサイドライトの立ち上がりを緩やかにして、サイドライトの第1ピークの時点以降にレーザパルスの起点が存在するようにすることにより、スペクトル線幅が露光装置からの要求線幅以下で、かつ、パルスエネルギーが5mJ以上のレーザビームを得ることができるようになる。
【0055】
【発明の実施の形態】
前記の発明が解決しようとする課題の説明から、スペクトル線幅0.2pm以下、スペクトル純度0.5pm以下を実現するためには、狭帯域化F2 レーザ装置から放出される光からASE成分を抑制・除去することが必要であることが理解される。また、狭帯域化性能を向上させるためには、狭帯域化KrFレーザ装置、ArFレーザ装置から放出される光からASE成分を抑制・除去することが必要であることが理解される。
【0056】
本発明者等は鋭意研究の結果、図1に示すような狭帯域化F2 レーザ装置から放出される光からASE成分を抑制・除去するには、レーザ利得の立ち上がりを緩やかにし、レーザパルスの立ち上がり開始時点を遅らせることが有効であることを発見した。これは、狭帯域化KrFレーザ装置、ArFレーザ装置についても同様であった。以下、狭帯域化F2 レーザ装置を例にとって説明する。
【0057】
図5に、本発明(詳細は後述)におけるレーザパルス波形、サイドライト波形、スペクトル線幅の時間的推移(a)と従来の同様の時間的推移(b)を比較して示す。図5(b)は図2と同じである。なお、図5(a)の場合も、波形取得時の回折格子と出力ミラーとが作るレーザ共振器の長さは、図2のときと同様、1500mmであった。また、狭帯域化モジュールの構成も同じである。
【0058】
両者の比較から明らかなように、本発明(図5(a))のサイドライトの立ち上がり(すなわち、レーザ利得の立ち上がり)は従来例(図5(b))と比較して遅く、ASE成分もレーザパルス波形に存在していない。また、サイドライトが立ち上がる時点(0ns)を起点としたとき、レーザパルス波形の立ち上がり開始時点は、本発明(図5(a))の方が従来例(図5(b))と比較して遅い。
【0059】
サイドライトの立ちあがり(レーザ利得の立ちあがり)が遅いと、このようにASE成分が抑制されるのは、以下の理由によるものと考えられる。上記したように、従来例(図2)の場合、サイドライトの立ちあがり(レーザ利得の立ちあがり)が速く、放電により発生した光は急速に増幅され、レーザビームとして所定のしきい値を超えてレーザ共振器から取り出される前に、レーザ共振器を往復しないまま増幅された光がASEとして取り出される。
【0060】
一方、本発明(図5(a))の場合、サイドライトの立ちあがり(レーザ利得の立ちあがり)が遅いので、放電により発生した光は緩やかに増幅される。そして、ASEとしてレーザ共振器から取り出される程急激に光が増幅されずにレーザ共振器内を往復して、やがてしきい値を超えてレーザ共振器よりレーザビームとして取り出される。すなわち、レーザ装置から放出される光にASEは存在しない。
【0061】
従来から、狭帯域化を実現する手法として、レーザパルス波形のロングパルス化(パルスストレッチ)があげられていたが、この手法では、条件によっては、図2に示すようにレーザパルス波形にASE成分が含まれ、スペクトル線幅0.2pm以下、スペクトル純度0.5pm以下を実現するのが困難な場合があった。
【0062】
一方、発明者等は、従来は考慮されていなかったサイドライトの立ちあがり(レーザ利得の立ちあがり)を制御することにより、上記のように、ASEの発生を抑制することが可能となった。そのため、狭帯域化モジュールの性能、レーザ共振器長の適宜設定や、レーザパルス幅のロングパルス化等を行うことにより、屈折系の露光装置用光源に要求されるスペクトル線幅、スペクトル純度を満足した狭帯域化F2 レーザ装置が実現可能となった。
【0063】
ところで、図5(a)と(b)のスペクトル線幅の時間的推移とレーザパルス波形をまとめると、図6のようになる。
【0064】
上記したように、本発明(図5(a))の場合、サイドライトの立ちあがり(レーザ利得の立ちあがり)が遅いので、放電により発生した光の増幅スピードが遅い。よって、サイドライトが立ち上がる時点を起点としたとき、図6で明らかなように、レーザパルス波形の立ち上がり開始時点は、本発明(図5(a))の方が従来例(図5(b))と比較して遅い。
【0065】
ここで、従来例(図2:図5(b))と本発明(図5(a))のスペクトル線幅の時間的推移は、略同一曲線上に乗っており、本発明のレーザパルス波形が立ち上がった時点で、スペクトル線は、同時点の従来例でのスペクトル線幅と略同じである。
【0066】
すなわち、放電開始後(サイドライト発光開始後)に発生した光がレーザビームとしてレーザ共振器から取り出されるまで(レーザパルスが立ち上がるまで)にレーザ共振器内を往復する光は、狭帯域化モジュールを何回か通過するので、ある程度狭帯域化されていると考えられる。
【0067】
したがって、サイドライトの立ちあがり(レーザ利得の立ちあがり)を制御して、レーザ共振器内の光が所定のスペクトル線幅まで狭帯域化された後にレーザパルスが立ち上がるようにすることにより、スペクトル線幅(積分値)を所定値までに狭くし、スペクトル純度も向上させることが可能となる。
【0068】
以上をまとめると、発明者等は、従来は考慮されていなかったサイドライトの立ちあがり(レーザ利得の立ちあがり)を制御することにより、ASEの発生を抑制すると共に、レーザパルス発生時点からある程度狭帯域化されたレーザビーム発生させることが可能となったので、屈折系の露光装置用光源に要求されるスペクトル線幅、スペクトル純度を満足した狭帯域化F2 レーザ装置が提供可能となった。
【0069】
図7に、サイドライト発光開始からサイドライト第1ピークが発生するまでの時間(黒丸)及びASEを含むレーザパルス波形の起点(四角)と、レーザパルスのスペクトル線幅(FWHM)との関係を示す。ここで、図7におけるスペクトル線幅(FWHM)は、前記したように、図3に示すようなレーザパルス内各時点での各スペクトル線幅の時間的積分値である。なお、回折格子と出力ミラーとが作るレーザ共振器の長さは1500mmであった。
【0070】
また、サイドライト波形、レーザパルス波形の起点は、波形からは正確に定め難いので、ここでは各波形の第1ピーク発生以前であって、かつ、第1ピークの強度の5%となる時点をサイドライト波形、レーザパルス波形の起点とした。しかしながら、強度が5%未満である時点、例えば強度が1%である時点と強度が5%である時点との差は非常に小さいので、各波形の第1ピーク発生以前であって、かつ、第1ピークの強度の5%未満である任意の時点をサイドライト波形、レーザパルス波形の起点としてもよい。
【0071】
図7に示す各測定で、レーザパルス波形を観測したところ、サイドライトの第1パルスが上記で定義したサイドライトの起点から約35ns以前に発生するとき、レーザパルス波形にASE成分が含まれた。このとき、図2に示すように、サイドライトの第1ピークの時点以前に、レーザパルス波形の起点が発生した。
【0072】
一方、サイドライトの第1パルスがサイドライトの起点から約35ns以降に発生するとき、レーザパルス波形にASE成分が含まれなかった。このとき、図5(a)に示すように、サイドライトの第1ピークの時点近傍若しくは以後に、レーザパルス波形の起点が発生した。
【0073】
また、図7から明らかなように、サイドライトの第1ピークがサイドライトの起点から40ns以降に発生するとき、スペクトル線幅は0.2pm未満となった。また、図7では示していないが、スペクトル純度も0.5pm以下となった。
【0074】
上記をまとめると、サイドライトの立ち上がりを緩やかにして、サイドライトの第1ピークの時点以降にレーザパルスの起点が存在するとき、レーザパルス波形にASE成分が含まれないことが分った。
【0075】
次に、本発明によるサイドライトの立ち上がりの制御(ASE抑制制御)について説明する。
【0076】
上記したように、本発明は、サイドライトの立ち上がりを制御して、ASEの発生を抑制すること、及び、レーザ共振器を往復する光が所定値以下に狭帯域化されるまでレーザパルスの立ち上がりを遅らせることに特徴がある。
【0077】
サイドライトの立ち上がりを制御(すなわち、レーザパルスの立ち上がりの起点を制御)する制御パラメータは、主に以下に示すものがあることが分った。
【0078】
▲1▼印加電圧
図8は、同一狭帯域化モジュール、同一ガス条件(レーザチェンバ内のガス混合比、ガス圧力)下で、高電圧パルス発生装置から電極に印加される印加電圧を変化させたときのスペクトル線幅及びサイドライトの立ち上がりの起点からレーザパルスの立ち上がりの起点までの遅延時間Tdを示す図である。
【0079】
高電圧パルス発生装置から電極に印加される印加電圧を低くすると、遅延時間Tdは図8のように遅くなる。すなわち、印加電圧の減少によりレーザの利得が減少しレーザパルスの立ち上がりの起点が遅くなる。
【0080】
図8において、電圧値が大きい印加電圧Cのときには、利得が高いためにASEが発生し、上記遅延時間はT3と短く、スペクトル線幅も0.2pmを上回っている。
【0081】
印加電圧Bのときには、印加電圧Cのときと比較して電圧値が小さく、ASEが発生していない。そのときの遅延時間はT2であり、T3よりも長いが、光がレーザ共振器を往復する回数が十分ではないので、スペクトル線幅は0.2pmを上回っている。
【0082】
一方、印可電圧Aのときには、印加電圧Bのときと比較してさらに電圧値が小さく、ASEが発生していない。そのときの遅延時間はT1であり、T2よりも長く、光がレーザ共振器を往復する回数が十分であり、スペクトル線幅は0.2pmを下回っている。
【0083】
このように、同一狭帯域化モジュール、同一ガス条件下では、高電圧パルス発生装置から電極に印加される印加電圧を制御することにより、サイドライトの立ち上がり時期を制御して、ASEの発生を抑制することができると共に、十分狭帯域化されてからレーザパルスが立ち上がるように、サイドライトの立ち上がりの起点からレーザパルスの立ち上がりの起点までの遅延時間Tdを制御することも可能となる。
【0084】
▲2▼F2 濃度
図9は、同一狭帯域化モジュール、同一印加電圧、同一ガス圧力下で、レーザガスに含まれるF2 濃度を変化させたときのスペクトル線幅及びサイドライトの立ち上がりの起点からレーザパルスの立ち上がりの起点までの遅延時間Tdを示す図である。
【0085】
レーザガス中のF2 濃度を薄くすると、遅延時間Tdは図9のように遅くなる。すなわち、F2 濃度の減少によりレーザの利得が減少し、レーザパルスの立ち上がりの起点が遅くなる。
【0086】
図9において、F2 濃度が大きい濃度Fのときには、利得が高いためにASEが発生し、上記遅延時間はT3と短く、スペクトル線幅も0.2pmを上回っている。
【0087】
濃度Eのときには、濃度Fのときと比較してF2 濃度が小さく、ASEが発生していない。そのときの遅延時間はT2であり、T3よりも長いが、光がレーザ共振器を往復する回数が十分ではないので、スペクトル線幅は0.2pmを上回っている。
【0088】
一方、濃度Dのときには、濃度Bのときと比較してさらにF2 濃度が小さく、ASEが発生していない。そのときの遅延時間はT1であり、T2よりも長く、光がレーザ共振器を往復する回数が十分であり、スペクトル線幅は0.2pmを下回っている。
【0089】
このように、同一狭帯域化モジュール、同一印加電圧、同一ガス圧力下では、レーザガスに含まれるF2 濃度を制御することにより、サイドライトの立ち上がりを制御して、ASEの発生を抑制することができると共に、十分狭帯域化されてからレーザパルスが立ち上がるように、サイドライトの立ち上がりの起点からレーザパルスの立ち上がりの起点までの遅延時間Tdを制御することも可能となる。
【0090】
▲3▼レーザガス圧力
図10は、同一狭帯域化モジュール、同一印加電圧、同一F2 濃度下で、レーザチェンバ内のレーザガス圧力(以下、全圧と称する。)を変化させたときのスペクトル線幅及びサイドライトの立ち上がりの起点からレーザパルスの立ち上がりの起点までの遅延時間Tdを示す図である。
【0091】
全圧を低くすると、遅延時間Tdは図10のように遅くなる。すなわち、全圧の減少によりレーザの利得が減少し、レーザパルスの立ち上がりの起点が遅くなる。
【0092】
図10において、圧力値が大きい全圧Iのときには、利得が高いためにASEが発生し、上記遅延時間はT3と短く、スペクトル線幅も0.2pmを上回っている。
【0093】
全圧Hのときには、全圧Iのときと比較して、全圧が低くASEが発生していない。そのときの遅延時間はT2であり、T3よりも長いが、光がレーザ共振器を往復する回数が十分ではないので、スペクトル線幅は0.2pmを上回っている。
【0094】
一方、全圧Gのときには、全圧Hのときと比較してさらに全圧が低く、ASEが発生していない。そのときの遅延時間はT1であり、T2よりも長く、光がレーザ共振器を往復する回数が十分であり、スペクトル線幅は0.2pmを下回っている。
【0095】
このように、同一狭帯域化モジュール、同一印加電圧、同一F2 濃度下では、全圧を制御することにより、サイドライトの立ち上がりを制御して、ASEの発生を抑制することができると共に、十分狭帯域化されてからレーザパルスが立ち上がるように、サイドライトの立ち上がりの起点からレーザパルスの立ち上がりの起点までの遅延時間Tdを制御することも可能となる。
【0096】
次に、このようなサイドライトの立ち上がりを制御する具体例を説明する。
【0097】
図11に、本発明の狭帯域化F2 レーザ装置の構成例を示す。ここで、図1と共通する部分は、同等の機能を有するため説明を省略する。
【0098】
レーザチェンバ1には、レーザチェンバ1内にF2 ガスや希ガス等のバッファーガスを供給するためのガス供給ライン26とレーザチェンバ内のガスを排気するための排気ライン27とが接続されている。
【0099】
ガス供給ライン26は、F2 ガスを供給するためのラインと、希ガス等のバッファーガスを供給するためのラインとからなる。希ガス等のバッファーガスを供給するためのラインはバルブV1を介して不図示のバッファーガス供給源と接続され、F2 ガスを供給するためのラインはバルブV2を介して不図示のF2 ガス供給源と接続されている。なお、F2 ガスは反応性が極めて高いので、通常F2 ガ供給源からF2 ガスを希ガス等で希釈した希釈F2 ガスが供給される。
【0100】
バルブV1、バルブV2の下流側で上記2ラインは統合されてレーザチェンバ1と接続される。
【0101】
また、排気ライン27はバルブV3を介して不図示の排気手段に接続されている。
【0102】
コントローラ22はバルブV1,V2、V3の開閉を制御して、レーザチェンバ1内へのガスの供給・排気を行う。
【0103】
レーザチェンバ1の側面(電極2の長手方向と略垂直方向の電極サイド位置)には、サイドライトを観測するための観測窓部23が設けられている。サイドライトの時間的なパルス波形はサイドライトディデクター24により測定され、測定データはコントローラ22へ送出される。
【0104】
一方、出力ミラー9から出射されるレーザビームの一部はビームスプリッター10によりレーザパルスディデクター21により測定され、測定データはコントローラ22へ送出される。
【0105】
また、コントローラ22は、高電圧パルス発生装置3を制御して、電極2へ印加する印加電圧の値を制御する。
【0106】
レーザチェンバ1には、レーザチェンバ1内のレーザガスの圧力を測定する圧力計25が備えられ、圧力データはコントローラ22に送出される。
【0107】
ところで、前記したように、本発明者等は、詳細に実験結果等を解析することにより、次のような知見を得ている。すなわち、図12、図13のように、サイドライトの第1ピーク時間TSL1 とレーザパルスの第1ピーク時間TLP1 を比較したとき、TSL1 >TLP1 ならASEが発生し(図12)、TSL1 ≦TLP1 ならASEが発生しない(図13)。なお、図12、図13において、TLPS はレーザパルスの起点である。このような知見に基づき、以下のように制御してASEの発生を抑制する。
(1)電圧制御
電圧制御によってASEの発生を抑制するフローチャートを図14に示す。
【0108】
まず、コントローラ22は、高電圧パルス発生装置(以下、電源と称する。)3に指令を出力してレーザ放電を発生させ、レーザ発振を開始する(ステップS101)。
【0109】
次いで、サイドライトディデクター24、レーザパルスディデクター21により、サイドライトの時間的パルス波形、レーザパルスの時間的パルス波形を検出し(ステップS102)、その検出データをコントローラ22に送出する(ステップS103)。
【0110】
次に、コントローラ22は、受信した波形データから、サイドライトの起点を原点として、サイドライトの第1ピーク時間TSL1 とレーザパルスの第1ピーク時間TLP1 を算出し(ステップS104)、TSL1 とTLP1 との大小を比較する(ステップS105)。
【0111】
SL1 ≦TLP1 であるときは、ASEが発生していないと判断する。一方、TSL1 >TLP1 であるとき、図8に示すようにASEは電極2への印加電圧が所定値以下のとき発生しなくなるので、コントローラ22は電源3に指令を出力して電極2への印加電圧を所定値だけ下げる(ステップS106)。
【0112】
以下、ASEが発生しなくなるまで、ステップS101〜ステップS106を繰り返す。
(2)F2 濃度、全圧制御
上記(1)の電圧制御では、電極2への印加電圧を制御して、ASEの発生を抑制したが、上記した図9、図10から明らかなように、レーザガス中のF2 濃度やレーザガスの圧力を制御してASEの発生を抑制してもよい。
【0113】
2 濃度を制御する場合、電圧制御のときと同様に、図15のステップS101〜S105(図14のステップS101〜S105と同じ)を行い、ステップS105において一方のTSL1 >TLP1 であるとき、コントローラ22は圧力計25からの圧力データを観測しながらバルブV3を開けてレーザチェンバ1内のレーザガスを排気し、レーザガス圧力が所定圧力になったら、バルブV3を閉じる(ステップS107)。
【0114】
その後、コントローラ22は圧力計25からの圧力データを観測しながらバルブV1を開け(このとき、バルブV2は閉状態)、バッファーガスをレーザチェンバ1内に充填し、レーザガス圧力が所定圧力になったら、バルブV1を閉じる(ステップS108)。
【0115】
すなわち、レーザガスを所定量排気し、同量のバッファーガスを充填することにより、レーザガス中のF2 濃度を減少させる。
【0116】
以下、ASEが発生しなくなるまで、ステップS101〜ステップS108を繰り返す。
【0117】
なお、レーザガスの圧力を制御してASEの発生を抑制する場合は、ステップ108を省略すればよい。
【0118】
なお、図7を用いて先に説明したように、サイドライトの立ち上がりを緩やかにして、サイドライトの第1ピークの時点以降にレーザパルスの起点が存在するとき、レーザパルス波形にASE成分が含まれないことが判明している。したがって、ASE発生の判定をサイドライトの第1ピーク時間TSL1 とレーザパルスの起点TLPS (図12、図13)とを比較することにより行ってもよい。具体的な制御は、上記制御において、レーザパルスの第1ピーク時間TLP1 をの代わりにレーザパルスの起点TLPS を用いることにより達成される。
【0119】
ここで、レーザパルス波形の起点TLPS は、上記したように、レーザパルス波形の第1ピーク発生以前であって、かつ、第1ピークの強度の5%であるとなる時点としたが、レーザパルス波形の第1ピーク発生以前であって、かつ、第1ピークの強度の5%未満である任意の時点をレーザパルス波形の起点TLPS としてもよい。
【0120】
ところで、ASE発生の判定は、上記のようにサイドライトの第1ピーク時間TSL1 とレーザパルスの第1ピーク時間TLP1 との比較結果により可能なことは分ったが、以下のような別の判別法によってもASE発生の判定を行うことができることが、本発明者等の試験により明らかになった。
【0121】
すなわち、サイドライト立ち上がりの最大勾配ΔTs が所定値ΔT1 を超えるとASEの発生が起こることが、発明者等の試験にて明らかになった。図16にサイドライト波形とレーザパルス波形を示すように、サイドライト1の場合に得られるレーザパルス1にはASEが含まれている。このときのサイドライト立ち上がり時の最大勾配ΔTs はΔTs1であり、所定値ΔT1 とΔTs1の関係は、ΔT1 <ΔTs1であった。
【0122】
一方、サイドライト2の場合に得られるレーザパルス2にはASEが含まれていない。このときのサイドライト立ち上がり時の最大勾配ΔTs はΔTs2であり、所定値ΔT1 とΔTs2の関係は、ΔT1 ≧ΔTs1であった。
【0123】
以上のように、サイドライト立ち上がりの最大勾配ΔTs を計測し、所定値ΔT1 に対する最大勾配ΔTs の緩急によってASEのの発生の有無が判定できる。
【0124】
サイドライト立ち上がりの最大勾配ΔTs もサイドライト立ち上がり時間と同様にレーザ励起媒質の利得によって変化する。利得が低いとΔTs は緩やかになり、利得が高いと急峻になる。サイドライト立ち上がりの最大勾配ΔTs の制御パラメータは、前述の印加電圧、F2 濃度、全圧である。
【0125】
この場合には、上記知見に基づき、以下のように制御してASEの発生を抑制する。
(1)電圧制御
この場合の電圧制御によってASEの発生を抑制するフローチャートを図17に示す。
【0126】
上記所定値ΔT1 は、狭帯域化モジュール6の性能(例えば、拡大プリズム7の拡大率、回折格子8のブレーズ角)や、レーザ共振器長に依存する。コントローラ22は、レーザ装置の上記依存条件に基づいて得られた所定値ΔT1 を予め記憶しておく。
【0127】
そして、コントローラ22は、電源3に指令を出力してレーザ放電を発生させ、レーザ発振を開始する(ステップS201)。
【0128】
次いで、サイドライトディデクター24により、サイドライトの時間的パルス波形を検出し(ステップS202)、検出データをコントローラ22に送出する(ステップS203)。
【0129】
次に、コントローラ22は、受信した波形データから、サイドライトの起点から第1ピークまでの範囲からサイドライト立ち上がりの最大勾配ΔTs を算出し(ステップS204)、ΔTs とΔT1 との大小を比較する(ステップS205)。
【0130】
ΔTs ≦ΔT1 であるときは、ASEが発生していないと判断する。一方、ΔTs >ΔT1 であるとき、図8に示すようにASEは電極2への印加電圧が所定値以下のとき発生しなくなるので、コントローラ22は電源3に指令を出力して電極2への印加電圧を所定値だけ下げる(ステップS206)。
【0131】
以下、ASEが発生しなくなるまで、ステップS201〜ステップS206を繰り返す。
(2)F2 濃度、全圧制御
上記(1)の電圧制御では、電極2への印加電圧を制御してASEの発生を抑制したが、上記したように、レーザガス中のF2 濃度やレーザガスの圧力を制御してASEの発生を抑制してもよい。
【0132】
2 濃度を制御する場合、電圧制御のときと同様に、図18のステップS201〜S205(図17のステップS201〜S205と同じ)を行い、ステップS205において一方のΔTs >ΔT1 であるとき、コントローラ22は圧力計25からの圧力データを観測しながらバルブV3を開けてレーザチェンバ1内のレーザガスを排気し、レーザガス圧力が所定圧力になったら、バルブV3を閉じる(ステップS207)。
【0133】
その後、コントローラ22は圧力計25からの圧力データを観測しながらバルブV1を開け(このときバルブV2は閉状態)、バッファーガスをレーザチェンバ1内に充填し、レーザガス圧力が所定圧力になったら、バルブV1を閉じる(ステップS208)。
【0134】
すなわち、レーザガスを所定量排気し、同量のバッファーガスを充填することにより、レーザガス中のF2 濃度を減少させる。
【0135】
以下、ASEが発生しなくなるまで、ステップS201〜ステップS208を繰り返す。
【0136】
なお、レーザガスの圧力を制御してASEの発生を抑制する場合は、ステップ208を省略すればよい。
【0137】
なお、ASEの制御において、上記した例では、制御パラメータとして電極2への印加電圧、レーザチェンバ1内のレーザガス中のF2 ガス濃度、レーザチェンバ1内のレーザガス圧力の何れか1つを用いたが、これに限るものではなく、上記パラメータを複数組み合わせて制御を行うことも可能である。
【0138】
さて、上記したようなASEの抑制制御により、レーザパルス中にASE成分がなくなり、狭帯域化モジュール6の性能、レーザ共振器長の適宜設定やレーザパルス幅のロングパルス化等を行うことにより、屈折系の露光装置用光源に要求されるスペクトル線幅、スペクトル純度を満足することが可能となった。
【0139】
ところで、例えば狭帯域化モジュール6の性能によっては、ASEの発生を抑制しても、所定のスペクトル線幅(例えば、0.2pm以下)にならない場合がある。例えば、図8における印加電圧Bのとき、図9におけるF2 濃度Eのとき、図10におけるレーザガス全圧Hのときには、ASEが発生していないが、何れもスペクトル線幅は0.2pmを上回っている。
【0140】
これは、図8、図9、図10の特性を観測したときの狭帯域化モジュール6の性能では、上記条件(印加電圧B、濃度E、全圧H)における遅延時間Td(サイドライトの立ち上がりの起点からレーザパルスの立ち上がりの起点までの遅延時間)では、光がレーザ共振器を往復する回数が十分ではなく、光が十分狭帯域化される前にレーザパルスが立ち上がっているためであると考えられる。
【0141】
以下に、スペクトル線幅、スペクトル純度を所定の値以下に制御する制御方法を示す。
【0142】
先に述べたように、図6の結果から、放電開始後(サイドライト発光開始後)に発生した光がレーザビームとしてレーザ共振器から取り出されるまで(レーザパルスが立ち上がるまで)にレーザ共振器内を往復する光は、狭帯域化モジュール6を何回か通過するので、ある程度狭帯域化されていると考えられる。
【0143】
そこで、電極2への印加電圧、レーザガス中のF2 濃度、レーザガス圧力の少なくとも1つを制御して、サイドライトの立ち上がりの起点からレーザパルスの立ち上がりの起点までの遅延時間を変化させ、遅延時間の異なる複数のレーザパルスを得る。そして、そのときのスペクトル線幅の時間的推移を測定する。
【0144】
図6から明らかなように、同一の狭帯域化モジュール性能、同一のレーザ共振器長条件においては、上記複数のレーザパルスのスペクトル線幅の時間的推移(サイドライトの立ち上がりの起点を原点とする)は、同一曲線上にある。
【0145】
すなわち、図19のようなサイドライトの立ち上がりの起点を原点とするスペクトル線幅の時間的推移特性が得られ、レーザパルスが立ち上がる前にレーザ共振器内を往復する光のスペクトル線幅の時間的推移特性が推定される。このようにして得られたサイドライトの立ち上がりの起点を原点とするスペクトル線幅の時間的推移特性が、そのとき使用したレーザ装置の狭帯域化モジュールの性能、レーザ共振器長、ロングパルス化されたレーザパルス幅等から決定される特性と考えられる。
【0146】
図19に示すようなサイドライトの立ち上がりの起点を原点とするスペクトル線幅の時間的推移特性と、サイドライト波形、レーザパルス波形から、スペクトル線幅の値が所定値以下かどうかを判断する。
【0147】
図19のような予め求めておいたサイドライトの立ち上がりの起点を原点とするスペクトル線幅の時間的推移特性において、スペクトル線幅が0.2pmとなる時点Tbwを求めておく(図20)。一般に、ASEが発生しない場合、サイドライトの第1ピークの時点近傍でレーザパルス波形の起点が発生する。よって、時点Tbwとサイドライトの第1ピークの発生時間TSL1 とを比較することにより、レーザパルス発生前にレーザ共振器を往復する光が所定値(例えば0.2pm以下)に狭帯域化されているかどうかを判断する。
【0148】
すなわち、スペクトル線幅が0.2pmとなる時点Tbwとサイドライトの第1ピーク時間TSL1 を比較したとき、TSL1 <Tbwならレーザパルス発生前にレーザ共振器を往復する光が0.2pm以下に狭帯域化されておらず、TSL1 ≧Tbwのときはレーザパルス発生前にレーザ共振器を往復する光が0.2pm以下に狭帯域化されている。
【0149】
例えば図20において、TSL1 <Tbwとなるサイドライト1のときは、レーザパルス発生前にレーザ共振器を往復する光が0.2pm以下に狭帯域化されておらず、TSL1'≧Tbwとなるサイドライト2のときは、レーザパルス発生前にレーザ共振器を往復する光が0.2pm以下に狭帯域化されている。
【0150】
なお、本発明者等の実験に用いた0.2pm以下の狭帯域化を達成するように設計・設定した狭帯域化モジュール、レーザ共振器長、レーザパルス幅を有するレーザ装置によれば、サイドライトの起点から時点Tbwまでの時間以降にレーザパルスが発生する場合、ASEは発生しなかった。
【0151】
上記知見に基づき、以下のように制御してレーザパルス発生前にレーザ共振器を往復する光が0.2pm以下に狭帯域化され、その結果0.2pm以下のスペクトル線幅を持つレーザビームを得た。
(1)電圧制御
この場合の電圧制御によって0.2pm以下のスペクトル線幅に制御するフローチャートを図21に示す。
【0152】
まず、予め上記したような手順で、サイドライトの起点を原点とするスペクトル線幅の時間的推移を求め、スペクトル線幅が所定値(例えば0.2pm)となる時点Tbwを求める。コントローラ22は、上記時点Tbwを予め記憶しておく。
【0153】
次に、コントローラ22は電源3に指令を出力してレーザ放電を発生させ、レーザ発振を開始する(ステップS301)。
【0154】
次いで、サイドライトディデクター24により、サイドライトの時間的パルス波形を検出し(ステップS302)、検出データをコントローラ22に送出する(ステップS303)。
【0155】
コントローラ22は、受信した波形データから、サイドライトの起点を原点として、サイドライトの第1ピーク時間TSL1 を算出し(ステップS304)、TSL1 とTbwとの大小を比較する(ステップS305)。
【0156】
SL1 ≧Tbwであるときは、レーザパルス発生前にレーザ共振器を往復する光が0.2pm以下に狭帯域化されていると判断する。一方、TSL1 <Tbwであるとき、コントローラ22は電源3に指令を出力して電極2への印加電圧を所定値だけ下げる(ステップS306)。
【0157】
以下、TSL1 ≧Tbwとなるまで、ステップS301〜ステップS306を繰り返す。
(2)F2 濃度、全圧制御
上記(1)の電圧制御では、電極2への印加電圧を制御して、レーザパルスが立ち上がる前にレーザ共振器を往復する光が所定値(0.2pm以下)となるようにしたが、レーザガス中のF2 濃度やレーザガスの圧力を制御してもよい。
【0158】
2 濃度を制御する場合、電圧制御のときと同様に、図22のステップS301〜S305(図21のステップS301〜S305と同じ)を行い、ステップS305においてTSL1 <Tbwであるとき、コントローラ22は圧力計25からの圧力データを観測しながらバルブV3を開けてレーザチェンバ1内のレーザガスを排気し、レーザガス圧力が所定圧力になったら、バルブV3を閉じる(ステップS307)。
【0159】
その後、コントローラ22は圧力計25からの圧力データを観測しながらバルブV1を開け(このときバルブV2は閉状態)、バッファーガスをレーザチェンバ1内に充填し、レーザガス圧力が所定圧力になったら、バルブV1を閉じる(ステップS308)。
【0160】
すなわち、レーザガスを所定量排気し、同量のバッファーガスを充填することにより、レーザガス中のF2 濃度を減少させる。
【0161】
以下、TSL1 ≧Tbwとなるまで、ステップS301〜ステップS308を繰り返す。
【0162】
なお、レーザガスの圧力を制御して、レーザパルスが立ち上がる前にレーザ共振器を往復する光が所定値(0.2pm以下)となるようにする場合は、ステップ308を省略すればよい。
【0163】
レーザパルスが立ち上がる前にレーザ共振器を往復する光が所定値(0.2pm以下)以下になったかどうかの判定は、上記のようにサイドライトの第1ピーク時間TSLと、予め求めておいたサイドライトの立ち上がりの起点を原点とするスペクトル線幅の時間的推移特性において、スペクトル線幅が0.2pmとなる時点Tbwとの比較結果により可能であることが分ったが、図23に示すように、レーザパルスの立ち上がりの起点TLPS と時点Tbwとの比較結果により判定してもよい。
【0164】
すなわち、スペクトル線幅が0.2pmとなる時点Tbwとレーザパルスの立ち上がりの起点TLPS とを比較したとき、TLPS ≦Tbwならレーザパルス発生前にレーザ共振器を往復する光が0.2pm以下に狭帯域化されておらず、TLPS >Tbwのときはレーザパルス発生前にレーザ共振器を往復する光が0.2pm以下に狭帯域化されている。
【0165】
図23において、TLPS1<Tbwとなるレーザパルス1のときは、レーザパルス発生前にレーザ共振器を往復する光が0.2pm以下に狭帯域化されておらず、TLPS2>Tbwとなるレーザパルス2のときには、レーザパルス発生前にレーザ共振器を往復する光が0.2pm以下に狭帯域化されている。
【0166】
ここで、レーザパルス波形の起点TLPS は、上記したように、レーザパルス波形の第1ピーク発生以前であって、かつ、第1ピークの強度の5%であるとなる時点としたが、レーザパルス波形の第1ピーク発生以前であって、かつ、第1ピークの強度の5%未満である任意の時点をレーザパルス波形の起点TLPS としてもよい。
【0167】
なお、本発明者らの実験に用いた0.2pm以下の狭帯域化を達成するように設計・設定した狭帯域化モジュール、レーザ共振器長、レーザパルス幅を有するレーザ装置によれば、サイドライトの起点から時点Tbwまでの時間以降にレーザパルスが発生する場合、ASEは発生しなかった。
【0168】
上記知見に基づき、以下のように制御してレーザパルス発生前にレーザ共振器を往復する光が0.2pm以下に狭帯域化し、その結果0.2pm以下のスペクトル線幅を持つレーザビームを得た。
(1)電圧制御
この場合の電圧制御によって0.2pm以下のスペクトル線幅に制御するフローチャートを図24に示す。
【0169】
まず、予め上記したような手順で、サイドライトの起点を原点とするスペクトル線幅の時間的推移を求め、スペクトル線幅が所定値(例えば0.2pm)となる時点Tbwを求める。コントローラ22は、上記時点Tbwを予め記憶しておく。
【0170】
次に、コントローラ22は電源3に指令を出力してレーザ放電を発生させ、レーザ発振を開始する(ステップS401)。
【0171】
次いで、レーザパルスディテクター21により、レーザパルスの時間的パルス波形を検出し(ステップS402)、検出データをコントローラ22に送出する(ステップS403)。
【0172】
コントローラ22は、受信した波形データから、レーザパルスの起点を原点として、レーザパルスの立ち上がりの起点TLPS を算出し(ステップS404)、TLPS とTbwとの大小を比較する(ステップS405)。
【0173】
LPS ≧Tbwであるときは、レーザパルス発生前にレーザ共振器を往復する光が0.2pm以下に狭帯域化されていると判断する。一方、TLPS <Tbwであるとき、コントローラ22は電源3に指令を出力して電極2への印加電圧を所定値だけ下げる(ステップS406)。
【0174】
以下、TLPS ≧Tbwとなるまで、ステップS401〜ステップS406を繰り返す。
(2)F2 濃度、全圧制御
上記(1)の電圧制御では、電極2への印加電圧を制御して、レーザパルスが立ち上がる前にレーザ共振器を往復する光が所定値(0.2pm以下)となるようにしたが、レーザガス中のF2 濃度やレーザガスの圧力を制御してもよい。
【0175】
2 濃度を制御する場合、電圧制御のときと同様に、図25のステップS401〜S405(図24のステップS401〜S405と同じ)を行い、ステップS405において、TLPS <Tbwであるとき、コントローラ22は圧力計25からの圧力データを観測しながらバルブV3を開けてレーザチェンバ1内のレーザガスを排気し、レーザガス圧力が所定圧力になったら、バルブV3を閉じる(ステップS407)。
【0176】
その後、コントローラ22は圧力計25からの圧力データを観測しながらバルブV1を開け(このときバルブV2は閉状態)、バッファーガスをレーザチェンバ1内に充填し、レーザガス圧力が所定圧力になったら、バルブV1を閉じる(ステップS408)。
【0177】
すなわち、レーザガスを所定量排気し、同量のバッファーガスを充填することにより、レーザガス中のF2 濃度を減少させる。
【0178】
以下、TLPS ≧Tbwとなるまで、ステップS401〜ステップS408を繰り返す。
【0179】
なお、レーザガスの圧力を制御して、レーザパルスが立ち上がる前にレーザ共振器を往復する光が所定値(0.2pm以下)となるようにする場合は、ステップ408を省略すればよい。
【0180】
以上のように、使用するレーザ装置において、予め狭帯域化モジュール、レーザ共振器長等に依存するサイドライトの起点を原点とするスペクトル線幅の時間的推移を求め、レーザ共振器内を往復する光が所定のスペクトル線幅となる時点Tbwを求め、検出したサイドライト第1ピーク時間TSL若しくはレーザパルス立ち上がり時間TLPS と比較較した結果に基づき、レーザパルスが立ち上がる前にレーザ共振器内を往復する光が所定のスペクトル線幅となるようにすることが可能となる。
【0181】
上記した例では、制御パラメータとして電極2への印加電圧、レーザチェンバ1内のレーザガス中のF2 ガス濃度、レーザチェンバ1内のレーザガス圧力の何れか1つを用いたが、これに限るものではなく、上記パラメータを複数組み合わせて制御を行うことも可能である。
【0182】
なお、上記した例では、予めサイドライトの起点を原点とするスペクトル線幅の時間的推移を求めて、それを用いてレーザパルスが立ち上がる前にレーザ共振器内を往復する光が所定のスペクトル線幅となるように制御したが、予めサイドライトの起点を原点とするスペクトル純度の時間的推移を求めて、それを用いて上記と同様の手順でレーザパルスが立ち上がる前にレーザ共振器内を往復する光が所定のスペクトル純度となるように制御することも可能である。
【0183】
さらには、予めサイドライトの起点を原点とするスペクトル線幅、スペクトル純度の時間的推移を求めて、上記と同様の手順でレーザパルスが立ち上がる前にレーザ共振器内を往復する光が所定のスペクトル線幅、スペクトル純度となるように制御することも可能である。
【0184】
上記したスペクトル線幅、スペクトル純度制御においては、本発明者等の設計したスペクトル線幅0.2pm以下の超狭帯域化実現のための狭帯域化モジュールや現状の狭帯域化モジュールを用いた場合、上記時点以降にレーザパルスが発生する場合、ASEは発生しなかった。
【0185】
ここで、確実にASE発生の抑制、スペクトル線幅、スペクトル純度の制御を行うのであれば、先に示したASE制御(図14、図15、図17、図18)、スペクトル線幅、スペクトル純度制御(図21、図22、図24、図25)を組み合わせるとよい。
【0186】
以下に、組み合わせた例を示す。例として、サイドライト立ち上がりの最大勾配ΔTs を求めてASEを抑制し(図17)、レーザパルスの立ち上がりの起点TLPS を求めてスペクトル線幅を制御する(図24)例を示す。図26はその制御を行うフローチャートである。
【0187】
上記したように、サイドライト立ち上がりの最大勾配ΔTs 所定値ΔT1 を超えると、ASEの発生が起こることが判明した。上記所定値ΔT1 は、狭帯域化モジュール6の性能(例えば、拡大プリズム7の拡大率、回折格子8のブレーズ角)や、レーザ共振器長に依存する。コントローラ22は、レーザ装置の上記依存条件に基づいて得られた所定値ΔT1 を予め記憶しておく。
【0188】
また、予め前記したような手順で、サイドライトの起点を原点とするスペクトル線幅の時間的推移を求め、スペクトル線幅が所定値(例えば0.2pm)となる時点Tbwを求める。コントローラ22は、上記時点Tbwを予め記憶しておく。
【0189】
そして、コントローラ22は、電源3に指令を出力してレーザ放電を発生させ、レーザ発振を開始する(ステップS501)。
【0190】
次いで、サイドライトディデクター24により、サイドライトの時間的パルス波形を検出し(ステップS502)、検出データをコントローラ22に送出する(ステップS503)。
【0191】
次に、コントローラ22は、受信した波形データから、サイドライトの起点から第1ピークまでの範囲からサイドライト立ち上がりの最大勾配ΔTs を算出し(ステップS504)、ΔTs とΔT1 との大小を比較する(ステップS505)。
【0192】
ΔTs ≦ΔT1 であるときは、ASEが発生していないと判断する。一方、ΔTs >ΔT1 であるとき、図8に示すようにASEは電極2への印加電圧が所定値以下のとき発生しなくなるので、コントローラ22は電源3に指令を出力して電極2への印加電圧を所定値だけ下げる(ステップS506)。
【0193】
以下、ASEが発生しなくなるまで、ステップS501〜ステップS506を繰り返す。
【0194】
ASEが発生していないと確認されたら、次いで、レーザパルスディテクタ21により、レーザパルスの時間的パルス波形を検出し(ステップS507)、検出データをコントローラ22に送出する(ステップS508)。
【0195】
コントローラ22は、受信した波形データから、レーザパルスの起点を原点として、レーザパルスの立ち上がりの起点TLPS を算出し(ステップS509)、TLPS とTbwとの大小を比較する(ステップS510)。
【0196】
LPS ≧Tbwであるときは、レーザパルス発生前にレーザ共振器を往復する光が0.2pm以下に狭帯域化されていると判断する。一方、TLPS <Tbwであるとき、コントローラ22は電源3に指令を出力して電極2への印加電圧を所定値だけ下げる(ステップS511)。
【0197】
以下、TLPS ≧Tbwとなるまで、ステップS508〜ステップS511を繰り返す。
【0198】
上記した例では、先にASEの抑制制御を行った後に、スペクトル線幅の制御を行っているが、これに限るものではなく、先にスペクトル線幅の制御を行った後に、ASEの抑制制御を行うようにしてもよい。
【0199】
また、ASE制御部分において、ASEの判定をサイドライトの立上りの最大勾配を用いて行ったが、これに限るものではなく、上記したように、サイドライトの第1ピーク時間TSL1 とレーザパルスの第1ピーク時間TLP1 (図14、図15)若しくはレーザパルスの起点TLPS を用いてASEの判定を行ってもよい。
【0200】
さらに、上記した例では、スペクトル線幅の制御をレーザパルスの立上り時間の起点TLPS を検出して行ったが、上記したように、サイドライトの第1ピーク時間TSL1 (図21、図22)を検出して行ってもよい。
【0201】
また、上記した例では、ASEの制御とスペクトル線幅の制御を行ったが、スペクトル線幅の制御の代わりにスペクトル純度の制御を行ってもよく、スペクトル線幅とスペクトル純度の制御を両方を行うようにしてもよい。
【0202】
以上、上記した本発明を適用したF2 レーザ装置を例にとって説明してきたが、本発明はKrFレーザ装置、ArFレーザ装置にも適用可能である。例えば、スペクトル線幅の制御は、露光装置からKrFレーザ装置、ArFレーザ装置に要求されるスペクトル線幅以下となるように行えばよい。
【0203】
なお、図11(図1)のレーザ装置の構成において、狭帯域化モジュール6はグレーテング(回折格子)8及び拡大プリズム7で構成されてスペクトルの狭帯域化が実現されている。狭帯域化モジュール6として、このようなグレーテング−プリズム方式以外に、エタロンを使用した構成を用いることができる。エタロンを用いた場合は、エタロンの回転又はエタロンギャップ間のガス圧力変化(気体の屈折率変化)によって発振中心波長を変化させることが可能となる。
【0204】
ところで、半導体露光用光源として、F2 レーザ装置に要求される平均出力は、例えば20Wである。すなわち、F2 レーザ装置の繰返し周波数が2kHzのとき、1パルス当たりのパルスエネルギーは10mJであり、繰り返し周波数が4kHzのとき1パルス当たりのパルスエネルギーは5mJとなる。
【0205】
電極間の放電によってレーザガス中に注入するエネルギーを大きくすると、レーザパルスの立ち上がりが速くなってしまい、また、ASEも出現してしまうために、パルスエネルギー5〜10mJで狭帯域化を行うことは困難である。
【0206】
以上のような状況により、スペクトル線幅が0.2pm以下で、かつ、パルスエネルギーが5mJ以上のレーザビームを得るには、例えば、発振段レーザと増幅段レーザとからなる2ステージレーザシステムの採用すればよい。すなわち、発振段レーザで低出力ではあるがスペクトル線幅が0.2pm以下であるレーザビームを発生させ、このレーザビームを増幅段レーザで増幅して、スペクトル線幅が0.2pm以下で、かつ、パルスエネルギーが5mJ以上のレーザビームを得ることができる。
【0207】
2ステージレーザシステムの構成例には、インジェクション・ロッキング(Injection Locking )及びMOPA(Master Oscillator Power Amplifier )がある。前者は、増幅段レーザにレーザ共振器を備える構成であり、後者は増幅段レーザにレーザ共振器を持たない構成である。
【0208】
ここでは、2ステージレーザシステムとして、図27を用いて、インジェクション・ロッキングを説明する。先に述べたように、インジェクション・ロッキングシステムでは、発振段レーザ30と増幅段レーザ40を使用する。発振段(オシレ−タ)レーザ30は、レーザシステムのシードレーザ(種レーザ光)としての機能を有する。増幅段(アンプ)レーザ40は、そのシードレーザを増幅する機能を有する。
【0209】
すなわち、発振段レーザ30のスペクトル特性によりレーザシステムの全体のスペクトル特性が決定される。そして、増幅段レーザ40によってレーザシステムからのレーザ出力(エネルギー又はパワー)が決定される。
【0210】
したがって、発振段レーザ30には、例えば図27に示すように、グレーテング(回折格子)8及び拡大プリズム7で構成された狭帯域化モジュール6が搭載されており、スペクトルが狭帯域化レーザが発振段レーザ30より出力される。なお、図27の場合、発振段レーザ30のレーザチェンバ1の両側の共振器内には、発振段レーザ30のレーザビームを制限するアパーチャ31が設けられている。
【0211】
発振段レーザ30からのレーザビーム(シードレーザビーム)は、反射ミラー32等を含むビーム伝播系により増幅段レーザ40へ導かれ、注入される。インジェクション・ロック方式では、小入力でも増幅できるように、増幅段レーザ40には、凹面ミラー42と凸面ミラー43からなり、例えば倍率が3倍以上の不安定型共振器が採用される。
【0212】
増幅段レーザ40の不安定共振器の凹面ミラー42には穴が開いており、この穴を通して導入されたシードレーザビームは凸面ミラー43で矢印のように反射して拡大され、レーザチェンバ41の放電部を有効に通過しレーザビームのパワーが増大する。そして、凸面ミラー43からレーザが出射される。凹面ミラー42の中心部には空間的穴が施してあり、周囲には高反射率ミラーコートが施されている。凸面ミラー43の中心部には高反射率ミラーコートが施され、周囲のレーザ出射部には反射防止コートが施されている。凹面ミラー42の穴は空間的に開いているのではなく、穴部のみ反射防止コートが施されたミラー基板を用いてもよい。また、ミラーに透過部を持たせない不安定共振器を用いてもよい。
【0213】
なお、図27の増幅段レーザ40に凹面ミラー42、凸面ミラー43を用いない場合、本システムはMOPAとなる。すなわち、増幅段レーザ40には共振用ミラー(凹面ミラー42、凸面ミラー43)がないため、増幅段レーザ40は発振段レーザ30の一パス増幅器として機能する。
【0214】
インジェクション・ロッキングシステム、MOPA等の2ステージレーザシステムにおいて、増幅段レーザから放出されるレーザビームの特性は、増幅段レーザ光の立ち上がり時に注入された発振段レーザ光の影響を受ける。すなわち、増幅段レーザのレーザガス中に注入される発振段レーザからのレーザパルスにおいて、増幅段レーザ光の立ち上がり時点での発振段レーザパルス瞬時のスペクトルが2ステージレーザのスペクトル線幅特性に直接影響を及ぼす。
【0215】
上記の本発明に基づき、狭帯域化されたF2 レーザ装置は、例えば、以下のようにしてこの図27の2ステージレーザ装置に適用される。すなわち、図27の発振段レーザ30を本発明のレーザ装置とし、発振段レーザ30のレーザパルスの立ち上がりの起点TLPS を検出する。この立ち上がりの起点以降に増幅段レーザ40のサイドライトが立ち上がるように(すなわち、放電が開始するように)する。このようにすることにより、増幅段レーザ光立ち上がり時点での発振段レーザパルス瞬時のスペクトルが0.2pm以下となるので、2ステージレーザのスペクトル線幅特性もそれに影響を及ぼされ、結果的に高出力、超狭帯域化レーザ装置が実現される。
【0216】
なお、上記した本発明を適用した2ステージレーザシステムは、KrFレーザ装置、ArFレーザ装置にも適用可能であり、スペクトル線幅が露光装置からの要求線幅以下で、かつ、パルスエネルギーが5mJ以上のレーザビームを得ることができるようになる。
【0217】
以上、本発明の狭帯域化ガスレーザ装置をその原理と実施例の説明に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【0218】
【発明の効果】
以上の本発明により、フッ素レーザ装置等の狭帯域化ガスレーザ装置において、サイドライトの立ち上がりを緩やかにして、サイドライトの第1ピークの時点以降にレーザパルスの起点が存在するようにすることにより、ASEの放出が抑制可能となり、スペクトル線幅0.2pm以下、スペクトル純度0.5pm以下の超狭帯域化ガスレーザ装置を実現することが可能となった。また、KrFレーザ装置、ArFレーザ装置においても狭帯域化性能が向上した狭帯域化ガスレーザ装置を実現することが可能となった。さらに、高出力・超狭帯域化フッ素レーザ装置を提供するのに、インジェクション・ロック方式やMOPA方式を採用し、狭帯域化手段を有する発振段レーザにおいて、このようにサイドライトの立ち上がりを緩やかにして、サイドライトの第1ピークの時点以降にレーザパルスの起点が存在するようにすることにより、スペクトル線幅が0.2pm以下で、かつ、パルスエネルギーが5mJ以上のレーザビームを得ることができるようになった。
【0219】
同様に、高出力・超狭帯域化KrFレーザ装置、ArFレーザ装置を提供するのに、インジェクション・ロック方式やMOPA方式を採用し、狭帯域化手段を有する発振段レーザにおいて、このようにサイドライトの立ち上がりを緩やかにして、サイドライトの第1ピークの時点以降にレーザパルスの起点が存在するようにすることにより、スペクトル線幅が露光装置からの要求線幅以下で、かつ、パルスエネルギーが5mJ以上のレーザビームを得ることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】狭帯域化フッ素レーザ装置の構成例を示す図である。
【図2】従来の狭帯域化フッ素レーザ装置のサイドライトとレーザパルスの波形とスペクトル線幅の時間的推移を示す図である。
【図3】1つのレーザパルス内でのスペクトル線幅の時間的変化と成分を示す図である。
【図4】95%純度を説明するための図である。
【図5】本発明におけるレーザパルス波形、サイドライト波形、スペクトル線幅の時間的推移(a)と従来の同様の時間的推移(b)を比較して示す図である。
【図6】図5(a)と(b)のスペクトル線幅の時間的推移とレーザパルス波形をまとめた図である。
【図7】サイドライト発光開始からサイドライト第1ピークが発生するまでの時間及びASEを含むレーザパルス波形の起点とレーザパルスのスペクトル線幅との関係を示す図である。
【図8】印加電圧を変化させたときのスペクトル線幅及びサイドライトの立ち上がりの起点からレーザパルスの立ち上がりの起点までの遅延時間を示す図である。
【図9】F2 濃度を変化させたときのスペクトル線幅及びサイドライトの立ち上がりの起点からレーザパルスの立ち上がりの起点までの遅延時間を示す図である。
【図10】レーザガス圧力を変化させたときのスペクトル線幅及びサイドライトの立ち上がりの起点からレーザパルスの立ち上がりの起点までの遅延時間を示す図である。
【図11】本発明の狭帯域化F2 レーザ装置の構成例を示す図である。
【図12】サイドライトの第1ピーク時間TSL1 とレーザパルスの第1ピーク時間TLP1 がTSL1 >TLP1 でASEが発生する場合のレーザパルス波形、サイドライト波形を示す図である。
【図13】サイドライトの第1ピーク時間TSL1 とレーザパルスの第1ピーク時間TLP1 がTSL1 ≦TLP1 でASEが発生しない場合のレーザパルス波形、サイドライト波形を示す図である。
【図14】電圧制御によってASEの発生を抑制する1実施例のフローチャートである。
【図15】F2 濃度、全圧制御によってASEの発生を抑制する1実施例のフローチャートである。
【図16】サイドライト立ち上がりの最大勾配ΔTs とレーザパルス波形を示す図である。
【図17】電圧制御によってASEの発生を抑制する別の実施例のフローチャートである。
【図18】F2 濃度、全圧制御によってASEの発生を抑制する別の実施例のフローチャートである。
【図19】サイドライトの立ち上がりの起点を原点とするスペクトル線幅の時間的推移特性を示す図である。
【図20】サイドライトの立ち上がりの起点を原点とするスペクトル線幅の時間的推移特性においてスペクトル線幅が0.2pmとなる時点を示す図である。
【図21】電圧制御によって0.2pm以下のスペクトル線幅に制御する1実施例のフローチャートを示す図である。
【図22】F2 濃度、全圧制御によって0.2pm以下のスペクトル線幅に制御する1実施例のフローチャートを示す図である。
【図23】レーザパルスの立ち上がりの起点TLPS とスペクトル線幅が0.2pmとなる時点Tbwとレーザパルス波形の関連を示す図である。
【図24】電圧制御によって0.2pm以下のスペクトル線幅に制御する別の実施例のフローチャートを示す図である。
【図25】F2 濃度、全圧制御によって0.2pm以下のスペクトル線幅に制御する別の実施例のフローチャートを示す図である。
【図26】サイドライト立ち上がりの最大勾配ΔTs を求めてASEを抑制し、レーザパルスの立ち上がりの起点TLPS を求めてスペクトル線幅を制御する実施例のフローチャートを示す図である。
【図27】本発明に基づく制御方法を適用するインジェクション・ロック方式の狭帯域化F2 レーザ装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1…レーザチェンバ
2…電極
3…高電圧パルス発生装置(電源)
4…ファン
5…ウインドー部
6…狭帯域化モジュール
7…拡大プリズム
8…回折格子(グレーテング)
9…出力ミラー
10…ビームスプリッター
11…波長モニター
12…コントローラ
21…レーザパルスディデクター
22…コントローラ
23…観測窓部
24…サイドライトディデクター
25…圧力計
26…ガス供給ライン
27…排気ライン
30…発振段レーザ
31…アパーチャ
32…反射ミラー
40…増幅段レーザ
41…レーザチェンバ
42…凹面ミラー
43…凸面ミラー
V1,V2,V3…バルブ

Claims (10)

  1. 2 を含むレーザガスが封入されたレーザチェンバ内に放電電極を有し、レーザ共振器内に設置した波長選択素子を含む狭帯域化モジュールにより狭帯域化されたレーザビームを放出する狭帯域化ガスレーザ装置において、
    レーザ共振器から放出されるレーザビームに実質的にASEが含まれないように、放電により発光する時点からレーザビームが発生するまでの時間が設定されていることを特徴とする狭帯域化ガスレーザ装置。
  2. 2 を含むレーザガスが封入されたレーザチェンバ内に放電電極を有し、レーザ共振器内に設置した波長選択素子を含む狭帯域化モジュールにより狭帯域化されたレーザビームを放出する狭帯域化ガスレーザ装置において、
    レーザ共振器から放出されるレーザビームに実質的にASEが含まれず、かつ、レーザ共振器から放出されるレーザビームの発生時点においてレーザビームが所定のスペクトル線幅(FWHM)及び/又はスペクトル純度を有するように、放電により発光する時点からレーザビームが発生するまでの時間が設定されていることを特徴とする狭帯域化ガスレーザ装置。
  3. 2 を含むレーザガスが封入されたレーザチェンバ内に放電電極を有し、レーザ共振器内に設置した波長選択素子を含む狭帯域化モジュールにより狭帯域化されたレーザビームを放出する狭帯域化ガスレーザ装置において、
    放電による発光の時間的パルス波形を計測する放電発光計測器(サイドライトディテクター)と、レーザビームの時間的パルス波形を計測するレーザパルス計測器(レーザパルスディテクター)と、放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御可能なコントローラとを有し、
    前記コントローラは、前記放電発光計測器からのデータより、放電発光波形の起点を原点としたときの放電発光波形の第1ピークが発生する時刻TSL1 を求め、前記レーザパルス計測器からのデータより、放電発光波形の起点を原点としたときのレーザパルス波形の第1ピークが発生する時刻TLP1 を求め、TSL1 >TLP1 とならないように放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御して、レーザ共振器から放出されるレーザビームに実質的にASEが含まれないようにすることを特徴とする狭帯域化ガスレーザ装置。
  4. 2 を含むレーザガスが封入されたレーザチェンバ内に放電電極を有し、レーザ共振器内に設置した波長選択素子を含む狭帯域化モジュールにより狭帯域化されたレーザビームを放出する狭帯域化ガスレーザ装置において、
    放電による発光の時間的パルス波形を計測する放電発光計測器(サイドライトディテクター)と、レーザビームの時間的パルス波形を計測するレーザパルス計測器(レーザパルスディテクター)と、放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御可能なコントローラとを有し、
    前記コントローラは、前記放電発光計測器からのデータより、放電発光波形の起点を原点としたときの放電発光波形の第1ピークが発生する時刻TSL1 を求め、前記レーザパルス計測器からのデータより、放電発光波形の起点を原点としたときのレーザパルス波形が発生する時刻TLPS を求め、TSL1 >TLPS とならないように放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御して、レーザ共振器から放出されるレーザビームに実質的にASEが含まれないようにすることを特徴とする狭帯域化ガスレーザ装置。
  5. 2 を含むレーザガスが封入されたレーザチェンバ内に放電電極を有し、レーザ共振器内に設置した波長選択素子を含む狭帯域化モジュールにより狭帯域化されたレーザビームを放出する狭帯域化ガスレーザ装置において、
    放電による発光の時間的パルス波形を計測する放電発光計測器(サイドライトディテクター)と、放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御可能なコントローラとを有し、 前記コントローラは、ASEが発生しないときの放電発光波形の第1ピークの立上りの最大勾配の最大値ΔT1 を予め記憶しておき、前記放電発光計測器からのデータより、放電発光波形の第1ピークの立上りの最大勾配ΔTS を求め、ΔTS >ΔT1 とならないように放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御して、レーザ共振器から放出されるレーザビームに実質的にASEが含まれないようにすることを特徴とする狭帯域化ガスレーザ装置。
  6. 2 を含むレーザガスが封入されたレーザチェンバ内に放電電極を有し、レーザ共振器内に設置した波長選択素子を含む狭帯域化モジュールにより狭帯域化されたレーザビームを放出する狭帯域化ガスレーザ装置において、
    放電による発光の時間的パルス波形を計測する放電発光計測器(サイドライトディテクター)と、放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御可能なコントローラとを有し、 前記コントローラは、レーザ共振器内を往復する光のスペクトル線幅及び/又はスペクトル純度の時間的推移データと、このデータから求められる放電発光波形の起点を原点としたときの所定のスペクトル線幅及び/又はスペクトル純度の値が得られる時刻Tbwを記憶しておき、前記放電発光計測器からのデータより、放電発光波形の起点を原点としたときの放電発光波形の第1ピークが発生する時刻TSL1 を求め、TSL1 <Tbwとならないように放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御して、 レーザ共振器から放出されるレーザビームの発生時点においてレーザビームが所定のスペクトル線幅(FWHM)及び/又はスペクトル純度を有するようにすることを特徴とする狭帯域化ガスレーザ装置。
  7. 2 を含むレーザガスが封入されたレーザチェンバ内に放電電極を有し、レーザ共振器内に設置した波長選択素子を含む狭帯域化モジュールにより狭帯域化されたレーザビームを放出する狭帯域化ガスレーザ装置において、
    放電による発光の時間的パルス波形を計測する放電発光計測器(サイドライトディテクター)と、レーザビームの時間的パルス波形を計測するレーザパルス計測器(レーザパルスディテクター)と、放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御可能なコントローラとを有し、
    前記コントローラは、レーザ共振器内を往復する光のスペクトル線幅及び/又はスペクトル純度の時間的推移データと、このデータから求められる放電発光波形の起点を原点としたときの所定のスペクトル線幅及び/又はスペクトル純度の値が得られる時刻Tbwを記憶しておき、前記レーザパルス計測器からのデータより、放電発光波形の起点を原点としたときのレーザパルス波形が発生する時刻TLPS を求め、TLPS <Tbwとならないように放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御して、レーザ共振器から放出されるレーザビームの発生時点においてレーザビームが所定のスペクトル線幅(FWHM)及び/又はスペクトル純度を有するようにすることを特徴とする狭帯域化ガスレーザ装置。
  8. 2 を含むレーザガスが封入されたレーザチェンバ内に放電電極を有し、レーザ共振器内に設置した波長選択素子を含む狭帯域化モジュールにより狭帯域化されたレーザビームを放出する狭帯域化ガスレーザ装置において、
    放電による発光の時間的パルス波形を計測する放電発光計測器(サイドライトディテクター)と、レーザビームの時間的パルス波形を計測するレーザパルス計測器(レーザパルスディテクター)と、放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御可能なコントローラとを有し、
    前記コントローラは、請求項3、4、5の何れか1項記載の狭帯域化レーザ装置のコントローラのASE制御機能と、請求項6又は7記載の狭帯域化レーザ装置のコントローラのスペクトル線幅(FWHM)及び/又はスペクトル純度機能とを併せ持ち、レーザ共振器から放出されるレーザビームに実質的にASEが含まれず、かつ、レーザ共振器から放出されるレーザビームの発生時点においてレーザビームが所定のスペクトル線幅(FWHM)及び/又はスペクトル純度を有するようにすることを特徴とする狭帯域化ガスレーザ装置。
  9. 発振段レーザと増幅段レーザとからなる2ステージ方式の狭帯域化ガスレーザ装置であって、発振段レーザが請求項1からの何れか1項記載の狭帯域化ガスレーザ装置であることを特徴とする狭帯域化ガスレーザ装置。
  10. 前記増幅段レーザが、放電による発光の時間的パルス波形を計測する放電発光計測器(サイドライトディデクター)と、前記増幅段レーザの放電電極への印加電圧、レーザガスのF2 濃度、レーザチェンバ内のレーザガス圧力の少なくとも1つを制御可能なコントローラとを有し、前記コントローラは、前記発振段レーザのコントローラから発振段レーザのレーザパルスが立ち上がるタイミングデータTLPS を受信し、このデータを基に前記発振段レーザのレーザパルスが立ち上がった後に増幅段レーザの放電を開始することを特徴とする請求項に記載の狭帯域化ガスレーザ装置。
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