JP4191520B2 - 少なくとも凹面反射部が金属にて構成された凹面反射鏡を用いた光源体およびその光源装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくともその凹面反射部が金属製であり、放電灯に装着して用いられる凹面反射鏡を用いた光源体およびその光源装置であって、液晶プロジェクタなどの情報機器あるいはプロジェクションテレビ等の映像機器に適用される。
【0002】
【従来の技術】
図2は高圧放電灯(10)にガラス製凹面反射鏡(2')を装着した液晶プロジェクタ用の光源体(B)の従来例である。高圧放電灯(10)はガラス製凹面反射鏡(2')と光軸をほぼ一致させて配置され、前方に向けて平行な光束あるいは集光した光束を発生させるようになっているが、この凹面反射鏡(2')の材質としては専らガラス製のものが使用されていた。
【0003】
高圧放電灯(10)が装着される凹面反射鏡(2')にガラスが使用され金属を使用することができない理由は、高圧放電灯(10)の始動時に電極(12)(13)間の絶縁破壊のために15kVものパルス高電圧を連続的に印加させなければならないからである。即ち、15kVものパルス高電圧を連続的に印加すると、高圧放電灯(10)の高圧側封止部(18)から露出している外部リード棒(16)は勿論、場合によっては低圧側外部リード棒(17)或いはその補助リード(20)とそれに近接して位置する金属部分(凹面反射鏡として金属製のものを使用した場合はこの凹面反射鏡の首部の部分が前記金属部分に該当することになる)との間で異常放電が発生し、点灯障害を起こすことになるからである。
【0004】
このようなガラス製凹面反射鏡(2')の材質は使用時の凹面反射鏡(2')の最高温度により選定され、比較的低い消費電力(250W以下)の場合は、耐熱温度400℃程度のほう珪酸ガラス、比較的高い消費電力(200W以上)の場合は、耐熱温度500℃程度の結晶化ガラスを使用する。
【0005】
また、凹面反射鏡(2')の凹面反射面(2c')には蒸着膜(2d')として酸化チタン(TiO2)と酸化珪素(SiO2)の多層膜が30層前後施されており、可視光のみを反射し、赤外線を背方に透過させるようになっている。この蒸着膜(2d')は耐熱性に優れているため、点灯時の温度による凹面反射部(2a')のガラス質基体と蒸着膜(2d')との熱膨張差を克服して蒸着膜(2d')の剥離が発生せず、両者の接着性は実用上問題がないとされている。しかしながら、凹面反射鏡(2')にガラスを使用する場合、以下のような問題点がある。
【0006】
(a)凹面反射鏡(2')は比較的複雑な形状をしており、且つ高精度、特に凹面反射面(2c')の精度が要求されるため反射鏡製造コストが割高になる。加えて、高圧放電灯(10)が高ワットになり、点灯温度が高くなると耐熱性に優れた結晶化ガラスを使用しなければならず、この結晶化ガラスは材料自体が高いため材料費が割高になる。
【0007】
(b)ガラス製凹面反射鏡(2')は熱伝導性が悪く、点灯時、全体が高温になるためその凹面反射面(2c')に形成される蒸着膜(2d')(可視光線反射用と赤外線透過用)は前述のような耐熱性に優れるものを使用しなければならない。この蒸着膜(2d')は前述のように積層膜数が多くしかも蒸着釜での蒸着温度が高いので蒸着釜の真空引き時間が長くなり、それだけ加工コストが割高となる。
【0008】
(c)光源体(B)には、高圧放電灯(10)が破裂した場合でもその破片が周囲に飛散しないようにすることが要請されているが、ガラスは基本的に耐衝撃性が小さいため高圧放電灯(10)の破裂によってその破片がガラス製の凹面反射鏡(2')に衝突すると凹面反射鏡(2')は基本的に破壊される。そこで、高圧放電灯(10)の破裂時における凹面反射鏡(2')の機械的破壊防止策として、ガラスの厚みを厚くする方法とか凹面反射鏡(2')の外面にフッ素樹脂コートを行うなど種々の方策が加えられているが、前者にあっては成形上の制約があるという問題があり、後者にあってはフッ素樹脂コートの加工コストが著しく高いなどコスト面での問題がある。
【0009】
(d)その他、前述のように絶縁破壊電圧として15kVもの高パルス電圧が必要であるため、高圧放電灯(10)の高圧側封止部(18)からの高圧側外部リード棒(16)の露出部分と周囲の金属部分(7)[凹面反射鏡(2')としてガラス基材を使用した場合には高圧放電灯(10)をガラス製凹面反射鏡(2')に装着した光源体(1)を収納するためのランプハウスの金属部分(7)]間で絶縁距離(S2)として少なくとも15mm程度開ける必要があり、プロジェクタの小型化、高密度化を進めるうえで大きな障害となる。なお、低圧側封止部(19)から導出された低圧側外部リード棒(17)と高圧側外部リード棒(16)との絶縁距離(S1)も必要であるため、低圧側外部リード棒(17)は補助リード(20)を介して凹面反射部(2a')に装着されている金属端子(22)に接続せざるを得なかった。
【0010】
(e)加えて凹面反射鏡(2')の凹面反射面(2c')の曲面精度は明るさに大きく影響するが、ガラス製の場合はどうしてもばらつきが発生し、曲面精度的に対応が困難となり、その要求を満たすにはガラス製凹面反射鏡(2')は成形時の制御が容易ではない。換言すれば、ガラス製凹面反射鏡(2')を使用する限り、明るさのばらつき発生を避けることができないという材質そのものの問題もあった。
【0011】
(f)また、従来の点灯回路(b)は図2のような構成であるので、点灯始動時には前述のように15kVの高パルス電圧を連続的に印加することになる。それ故、凹面反射鏡(2')の材質にはガラスを使用せざるを得なかったのである。なお、従来の点灯回路(b)を簡単に説明する。
【0012】
放電灯(10)の始動時(消灯後の再点灯時も同様)に、安定器(6)の出力電圧(約300〜350V)にイグナイタ(4')で生成された細いひげ状でパルス間隔が数10Hzの高圧パルス電圧(12KV〜25KV、パルス幅が0.1マイクロ秒程度)が重畳した始動電圧が放電灯(10)の電極(12)(13)間に印加される。
【0013】
前記高圧パルス電圧が何回か電極(12)(13)間に加えられると、電極(12)(13)間の絶縁破壊が起こり、陰極(13)から陽極(12)に電子が発射され細い放電路が形成され放電が開始する。続いて適正な電圧が印加され電流が供給されると放電過渡状態のグロー放電を経てアーク放電に移行する。アーク放電の移行初期は発光管部(11a)中の水銀が蒸発していない状態であるため、電極(12)(13)間の電圧は例えば15V程度にまで低下し、その後、温度上昇に伴う水銀の蒸発に連れて電圧が上昇し80V程度に達し、定常点灯状態となる。
【0014】
なお、付随的な問題であるが、放電灯(10)が破裂し、放電灯(10)内部の水銀が周囲に飛散して周囲の環境を汚染するという問題も指摘されていた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題の第1は、放電灯用として少なくとも凹面反射部が金属製である凹面反射鏡を使用することができるようにすることであり、第2に、これにより凹面反射面の曲面精度の向上を図り、以って明るさのばらつきを小さくすること、第3に、このような凹面反射鏡を使用することで光源装置全体の小型化と高密度化を達成することにある。付随的には放電灯が破裂した場合、内部の水銀の周囲への飛散を出来るだけ小さくすることが出来るようにすることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
「請求項1」の光源体(1)は「金属製凹面反射部(2a)と、前記金属製凹面反射部(2a)の中央にて背面側に突出され、絶縁部材(3)を介して或いは絶縁材料で構成され、始動時に1000V〜4000Vの直流電圧が連続的に印加される高圧放電灯(10)の封止部(18)が装着される封止部装着用の首部(2b)とで構成されており、首部(2b)或いは首部(2b)内に装着された絶縁部材(3)に封止部装着用の装着孔(6a)が穿設されている凹面反射鏡(2)と、その封止部(18)が前記装着孔(6a)に装着された高圧放電灯(10)とで構成され、前記首部(2b)あるいは首部(2b)内に装着された絶縁部材(3)の装着孔(6a)に沿って穿設された絶縁通孔(6b)又は絶縁溝或いは該絶縁通孔(6b)又は絶縁溝に挿通された絶縁管(9)に高圧放電灯(10)の他の封止部(19)から導出された外部リード棒(17)或いはこれに接続された補助リード(20)が挿通されている」ことを特徴とする。
【0017】
外部リード棒(17)或いはこれに接続された補助リード(20)を首部(2b)に挿通した場合、金属部分である首部(2b)或いは金属部分である凹面反射部(2a)に近接あるいは接触することになる。一般的に、補助リード(20)が低圧側であったとしても安全規格で金属部分に接触あるいは近接することは好ましくないとされている。絶縁管(9)を用いることで、外部リード棒(17)或いはこれに接続された補助リード(20)を凹面反射鏡(2)の金属部分から確実に絶縁することができる。
また、凹面反射鏡(2)の全体或いは少なくとも凹面反射部(2a)を金属製としたので、成形後の凹面反射面(2c)の研磨等の機械加工により面精度を飛躍的に向上させることができ、以て明るさのばらつきがない高精度な凹面反射鏡(2)とすることができた。加えて、金属製であるため放熱性に優れているので、凹面反射面(2c)に施される蒸着膜(2d)を耐熱性に劣るものを使用することができ、凹面反射鏡(2)の製造コストを大幅に引き下げることができる。
【0018】
また、本発明は凹面反射鏡(2)の全体あるいは少なくとも凹面反射部(2a)の材質を従来のガラス製から金属製にするものであるが、ランプ始動時の絶縁破壊用に従来の15kV程度の高圧パルスから1kV〜4kVのほぼ直流電圧による始動方法を採用することで電気的に外部リード棒(16)又は(17)の露出部分と、これに近接する金属部分[ランプハウスの金属部分(7)や凹面反射鏡(2)の金属製首部(2b)或いは図1に示すように首部(2b)を通過させた低圧側補助リード(20)]との絶縁距離(S3)〜(S5)を短くすることができる。
【0019】
具体的には、図1において、首部(2b)に装着された封止部(18)から導出された外部リード棒(16)の露出部分とランプハウスの金属部分(7)の絶縁距離(S3)、前記外部リード棒(16)の露出部分と補助リード(20)の絶縁距離(S4)、首部(2b)に挿通された補助リード(20)と首部(2b)の絶縁距離(S5)或いは凹面反射部(2a)の中央に位置する封止部(19)から導出された外部リード棒(17)やその補助リード(20)の露出部分と金属製の凹面反射部(2a)の内外面との絶縁距離(S13)(S14)[図3参照]などが始動時の直流電圧1kV〜4kVに応じて約2mm〜6mmと従来に比べてはるかに小さくすることが出来る。その結果、ランプハウスの容積を小さくすることができ、光源装置(A)全体をコンパクト且つ高密度化することができる。
【0020】
なお、首部(2b)に装着される封止部(18)から導出される外部リード棒(16)は点灯始動時高電圧がかかる高圧側となること多いが、場合によっては凹面反射部(2a)の中央に位置する封止部(19)から導出された外部リード棒(17)側が高圧側となる場合もある。本発明では封止部(18)側を高圧側として説明するが勿論、これに限られるものではない。
【0021】
「請求項2」は前記光源体(1)の他の例で「金属製凹面反射部(2a)と、前記金属製凹面反射部(2a)の中央にて背面側に突出され、絶縁部材(3)を介して或いは絶縁材料で構成され、高圧放電灯(10)の封止部(18)が装着される封止部装着用の首部(2b)とで構成されており、首部(2b)或いは首部(2b)内に装着された絶縁部材(3)に封止部装着用の装着孔(6a)が穿設されている凹面反射鏡(2)と、その封止部(18)が前記装着孔(6a)に装着された高圧放電灯(10)とで構成され、前記首部(2b)あるいは首部(2b)内に装着された絶縁部材(3)の装着孔(6a)に沿って穿設された絶縁通孔(6b)又は絶縁溝或いは該絶縁通孔(6b)又は絶縁溝に挿通された絶縁管(9)に高圧放電灯(10)の他の封止部(19)から導出された外部リード棒(17)或いはこれに接続された補助リード(20)が挿通されており、金属製凹面反射部(2a)の凹面反射面(2c)の開口部分(2f)に水銀とのアマルガム生成物質が配置されている」ことを特徴とする。
【0022】
凹面反射面(2c)の開口部分(2f)、たとえば開口端から5から10mmの範囲は高圧放電灯(10)から出射された光を反射する上でほとんど利用されない部分である。従って、この非利用範囲である開口部分(2f)にアマルガム生成物質を配置(たとえば鍍金)することで、高圧放電灯(10)が破裂した場合、高温水銀蒸気の一部分が前記アマルガム生成物質と反応して水銀アマルガムを形成し開口部分(2f)に付着残留する。その結果、水銀の外部飛散量を減少させることができる。
【0023】
「請求項3」は「請求項2」の他の実施例で「金属製凹面反射部(2a)の開口部分(2f)に形成された切欠部(2g)にアマルガム生成物質にて形成されたメッシュプレート(6)或はアマルガム生成物質を付着したメッシュプレート(6)が張設されている」ことを特徴とする。なお、これらアマルガム生成物質としては亜鉛や錫、銀などがあげられる。なお、「請求項2」の場合も同様であるが、金属製凹面反射部(2a)の全面開口に透明板(5)が配設されている場合もあれば、透明板(5)が配設されず開放状態の場合もある。
【0024】
「請求項4」は前記凹面反射鏡(2)の金属部分の熱伝導率を規定したもので、「金属部分が熱伝導率50W/m・K以上である」ことを特徴とするものである。凹面反射鏡として用いられる従来のガラス材料の熱伝導率はおよそ1.0W/m・Kと低いため前述のように放熱効果は期待できず、高圧放電灯点灯時の凹面反射鏡(2')の温度は非常に高い。高圧放電灯(10)の消費電力が定格200Wの場合、凹面反射部(2a')は例えば500℃程度にも達する。従って耐熱温度500℃程度の高価な結晶化ガラスを使用する必要がある。
【0025】
これに対して熱伝導率50W/m・K以上の金属を凹面反射鏡(2)の金属部分に使用することにより、放熱が大きく凹面反射部(2a)の温度は大幅に下がる。200Wの場合、全体或いは少なくとも凹面反射部(2a)にアルミニウムを使用した場合、300℃程度に下げることができる。なお、各金属の熱伝導率(単位W/m・K)はアルミニウムが233、鉄が56、銅が381である。
【0026】
「請求項5」は金属製凹面反射鏡(2)の蒸着膜(2d)を規定したもので、「凹面反射部(2a)の凹面反射面(2c)にはフッ化マグネシウムと硫化亜鉛の多層膜(2d)の蒸着が施されている」事を特徴とする。凹面反射鏡の材質として、従来のようなガラス材料の場合、前述のように凹面反射鏡(2')の凹面反射面(2c')には蒸着膜(2d')として耐熱性の良好な酸化チタン(TiO2)と酸化珪素(SiO2)の多層膜が30層前後積層されている。
【0027】
これに対して少なくとも凹面反射部(2a)が金属製の場合、その放熱効果によって温度が低くなるので、フッ化マグネシウム(MgF2)と硫化亜鉛(ZnS)の蒸着多層膜(2d)を使用することができる。この蒸着多層膜(2d)は耐熱性で前述の酸化チタン(TiO2)と酸化珪素(SiO2)の多層蒸着膜(2d')に比べて劣るが、積層される多層膜(2d)は約22層と少なくて済み、しかも蒸着釜の温度は前述の酸化チタン(TiO2)と酸化珪素(SiO2)の多層膜に比べて低めで可能なので、真空引きが短くでき大幅なコスト削減を可能とする。
【0028】
「請求項6」は凹面反射鏡(2)の蒸着膜(2d)の他の実施例に関し、「凹曲反射部(2a)の金属基面(2a1)上に熱線吸収膜(2d1)が形成され、前記熱線吸収膜(2d1)の上に可視光反射膜である蒸着膜(2d)が形成されている」ことを特徴とする。このように凹面反射部(2a)の凹面反射基面(2a1)と可視光反射膜である蒸着膜(2d)との間に熱線吸収膜(2d1)を施すことにより、高圧放電灯(10)から出、凹面反射面(2c)に向かう可視光は蒸着膜(2d)によって反射されて前方に出射されるが、赤外線は前記蒸着膜(2d)では反射されず蒸着膜(2d)を通過してその背方の凹面反射部(2a)の基面(2a1)側に向かう。
【0029】
蒸着膜(2d)と凹面反射部(2a)の金属基面(2a1)との間に熱線吸収膜(2d1)が設けられていない場合、蒸着膜(2d)を通過した赤外線はガラス製凹面反射鏡(2')と異なり、凹面反射部(2a)の金属製基面(2a1)によって直接反射され、前方の照射面を加熱することになる。しかしながら、蒸着膜(2d)の背後に熱線吸収膜(2d1)を設けておれば、この熱線吸収膜(2d1)により蒸着膜(2d)を通過した赤外線のかなりの部分は熱線吸収膜(2d1)により吸収され、反射成分が最小化されることになる。その結果、少なくとも凹面反射部(2a)が金属製である凹面反射鏡(2)を使用したとしても、照射面の昇温を避けることができる。なお、熱線吸収膜(2d1)にて吸収された熱は金属製凹面反射部(2a)により周囲に放熱されることになる。
【0032】
「請求項7」に記載の光源体(1)は「請求項1〜6」の逆の場合で「点灯始動時に高圧点灯電圧が印加されない方の低圧側封止部(19)から導出された外部リード棒(17)或いはこれに接続された補助リード(20)が金属製の凹面反射部(2a)に電気的に接合されている」ことを特徴とする。これは図5に示すように、低圧側外部リード棒(17)或いはこれに接続された補助リード(20)をあえて金属凹面反射鏡(2)と絶縁せずに電気的に接続したもので、放電灯(11)を周囲から覆う金属製凹面反射鏡(2)がシールドの役目を果たし、始動時に発生するノイズの低減が図れる。
【0033】
「請求項8」は凹面反射鏡(2)の外面に関し「金属部分の外面が絶縁層(2e)で被覆されている」ことを特徴とする。「請求項7」のように外部リード棒(17)或いはこれに接続された補助リード(20)を凹面反射鏡(2)の金属部分に接続することによって当該金属部分が外部リード棒(17)と同電位となり凹面反射鏡(2)に接触した場合に作業者が感電するというような可能性が発生するという安全上問題を生ずる。金属部分の外面を絶縁層(2e)で被覆することにより、前述のような問題が解消される。
【0034】
「請求項9」は光源体(1)の更に他の実施例で「金属製凹面反射部(2a)の全面開口に透明板(5)が配設されている」ことを特徴とするもので、透明板(5)による前面開口の閉塞により放電灯(10)の破裂時の破片飛散と水銀蒸気の周囲への拡散を防止できる。特に、前述の水銀アマルガム生成物質との協働により飛散水銀の固定が出来、周囲環境汚染防止に貢献できる。
【0037】
「請求項10」は本発明に係る光源装置(A)で「請求項1〜9のいずれかに記載の光源体(1)および放電灯の始動時に1000V〜4000Vの直流電圧を発生させる始動回路部(4)と、定常点灯時に点灯電力を高圧放電灯(11)に供給する安定器(6)と、その入力側が安定器(6)の出力ライン(L)に接続され、その出力側が放電灯(11)の一方の電極(12)に接続された高耐圧ダイオード(8)とで構成され、始動回路部(4)の直流高電圧側端部(47)が高耐圧ダイオード(8)の出力側に逆方向の極性となるように接続されている放電灯点灯回路により構成された」ことを特徴とする。
この光源装置(1)に用いられる放電灯点灯回路によれば、点灯始動時における放電灯(10)の電極(12)(13)間の絶縁破壊が始動回路部(4)にて生成された1000〜4000Vの直流始動電圧にて引き起こされ、グロー放電が発生する。このとき、始動回路部(4)の直流高電圧側端部(47)が高耐圧ダイオード(8)の出力側に接続されているので、高耐圧ダイオード(8)によって安定器(6)側に始動回路部の出力電圧が回り込むのを阻止され、前述のような1000〜4000Vの直流始動電圧が電極(12)(13)間に印加されることになる。そして、従来例で説明したように電極(12)(13)間の絶縁破壊によって陰極(13)から陽極(12)に電子が発射され細い放電路が形成され放電が開始し、続いて適正な電圧が印加されて電流が供給されると放電過渡状態のグロー放電を経てアーク放電に移行する。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を好適な実施例を用いて説明する。図1は少なくとも凹面反射部(2a)が金属製の凹面反射鏡(2)にダブルエンド型の高圧放電灯(10)を装着した光源体(1)とその点灯回路(C)を示すものである。前述したように本実施例では凹面反射鏡(2)に装着された高圧放電灯(10)の封止部(18)は始動時に高電圧が印加される高圧側である場合をその代表例として説明する。また、高圧放電灯(10)はダブルエンド型のものをその代表例として説明するが勿論、シングルエンド型のものでも適用することができる。
【0039】
本発明に使用される高圧放電灯(10)の封体容器(11)は熱膨張収縮がほとんど起こらない石英ガラスで構成されており、中空球体状の発光管部(11a)の両端からストレートに伸びた封止部(18)(19)とで構成されている。前記封止部(18)(19)にはシュリンクシールにて内部にモリブデン金属箔(14)(15)がそれぞれ気密状に埋設されており、その一端に電極(12)(13)の基端部分が溶接されており、その他端には外部リード棒(16)(17)の埋設端がそれぞれ溶接され、外部リード棒(16)(17)の他端が外部に導出されている。前記電極(12)(13)の先端部分は所定の間隔(0.8〜1.5mm)を明けて対向している。
【0040】
高圧側外部リード棒(16)は端子(16a)を介して点灯回路(C)の始動回路部(4)のプラス側出力ライン(L)に接続されており、低圧側外部リード棒(17)に接続された補助リード(20)[これは低圧側引出し外部リード棒(17)の延長リードとしての働きをするもので、低圧側引出し外部リード棒(17)と同等のものである]は、高圧放電灯(1)に沿って配設され、図1、4及び6の実施例の場合(ここでは、図1、4を詳細に図解した図6に従って説明する)、凹面反射鏡(2)の首部(2b)の内側に配設され、高圧放電灯(1)の高圧側封止部(18)を固定する絶縁部材(3)に設けられた絶縁通孔(6b)[孔でなく溝でもよいし、単に高圧側封止部装着孔(6a)を通すだけでもよい]を通って凹面反射鏡(2)の背面側に導出されている。そして、その導出端には端子(16a)が設けられており、前記始動回路部(4)の低圧側ライン(m)に接続されている。
【0041】
凹面反射鏡(2)は少なくとも凹面反射部(2a)に金属(熱伝導率が高いほど好ましく、50W/m・K以上の金属材料、たとえば本実施例ではアルミニウムのダイカスト品)が使用される。凹面反射鏡(2)の凹面反射部(2a)は回転楕円面或いは放物面、半球面など必要とする光の性質に合わせて適宜の形状に形成されており、その凹面反射面(2c)に蒸着膜(2d)が形成されている。この場合、凹面反射部(2a)の可視光線反射膜として、例えばフッ化マグネシウム(MgF2)と硫化亜鉛(ZnS)の蒸着膜(2d)を使用することができる。また、必要に応じて蒸着膜(2d)と凹面反射部(2a)の基材(2a1)との間に赤外線吸収層(2d1)を設けるようにしてもよい。赤外線吸収層(2d1)としては耐熱性の黒色塗料が使用される。
【0042】
凹面反射鏡(2)は全体を金属で形成してもよいが、凹面反射部(2a)を金属で形成し、絶縁材料で構成した首部(2b)に装着して使用してもよいし、図6のように金属製の首部(2b)に絶縁部材(3)を嵌め込むための凹溝(2b1)を形成し、ここに絶縁部材(3)の無機接着剤にて絶縁部材(3)を凹溝(2b1)に固着するようにしてもよい。本実施例では図6に示す場合をその代表例として説明する。なお、凹面反射鏡(2)用の金属は熱伝導性に優れたものであることが好ましく、重量、コスト、加工性、機械的強度などの諸点を考慮してアルミダイカストが最も好ましい。
【0043】
絶縁部材(3)は前述のように凹面反射鏡(2)の首部(2b)内に嵌め込まれて使用されるもので、セラミックで形成されており、中央に高圧放電灯(1)の高圧側封止部(18)が装着される装着孔(6a)が形成されており、図1の実施例の場合にはこの装着孔(6a)の内周面に絶縁溝(6b)が凹設されている。勿論、図示していないが装着孔(6a)に平行に絶縁孔を穿設してもよい。
【0044】
また、凹面反射面(2c)を構成する可視光線反射膜としてフッ化マグネシウム(MgF2)と硫化亜鉛(ZnS)の蒸着膜(2d)の蒸着が凹面反射面(2c)に施されている。更に、多層膜(2d)と凹面反射部(2a)の基面(2a1)との間に赤外線吸収膜(2d1)が必要に応じて形成されている。
【0045】
また、凹面反射面(2c)の前面開口を開放状態とし[換言すれば、前面開口に透明板(5)を設けないこと]から5〜10mm程度の開口部分(2f)にたとえば、亜鉛、錫或いは銀のような水銀とアマルガムを形成する水銀アマルガム形成物質を鍍金しておいてもよいし、凹面反射部(2a)の前面開口に透明板(5)を張設し、前面開口を閉塞状態として凹面反射部(2a)の前面開口に切欠部(2g)を形成し、この切欠部(2g)に亜鉛、錫或いは銀のような水銀とアマルガムを形成する水銀アマルガム形成物質を鍍金したメッシュプレート(6)[多孔質板、パンチングメタル、網などを含む]或いは前記水銀アマルガム生成物質で形成したメッシュプレート(6)を張設しておいてもよい。勿論、この場合でもメッシュプレート(6)を使用すると同時に開口部分(2f)に水銀アマルガム生成物質を鍍金しておいてもよい。
【0046】
図6の場合、高圧放電灯(10)は、その高圧側封止部(18)が前記装着孔(6a)に挿入され、無機接着剤にて固着されている。一方、低圧側封止部(18)から導出された外部リード棒(17)は補助リード(20)にて装着孔(6a)の内周面に形成された絶縁溝(6b)の絶縁管(9)を通って凹面反射鏡(2)の背部に導出される。前記絶縁管(9)により金属部分である凹面反射部(2a)との接触が防止される。
【0047】
点灯回路(C)は、安定器(6)と始動回路部(4)及び高耐圧ダイオード(8)とで構成されており、安定器(6)はこの場合直流用で、高耐圧ダイオード(8)を介して高圧放電灯(10)に接続されている。交流の場合は、2点鎖線で示すように高耐圧ダイオード(8)に並列接続されたリレー(35)が用いられる。
【0048】
安定器(6)は電池記号で示された直流電源(51)「通常は商用電流を整流器で整流して直流とする」、放電灯(10)の点灯電流を検出してパルス幅を制御するパルス幅制御回路(56)、安定器(6)のプラス側出力ライン(L)に設置され、パルス幅制御回路(56)からのパルス幅制御信号に応じてスイッチング動作をするスイッチング素子(57)、スイッチング素子(57)に直列接続されたチョークコイル(59)、プラス側出力ライン(L)と低圧側ライン(m)との間に設けられ、スイッチング素子(57)によるパルス幅制御された電流を前記チョークコイル(59)と協働して平滑にするための平滑コンデンサ(60)、低圧側ライン(m)に設けられ、ランプ電流を検出するためのセンス抵抗(53)を備えており、定常点灯時に点灯に必要な電力を放電灯(10)に供給するようになっている。
【0049】
高耐圧ダイオード(8)は安定器(6)の本実施例ではプラス側出力に接続されており、定常点灯時、安定器(6)の出力が高耐圧ダイオード(8)を通って高圧放電灯(10)に流れ、これにより高圧放電灯(10)を定常点灯駆動する。
【0050】
1000〜4000V程度の直流高電圧(電流容量は0.1〜1mA程度の小容量で)を出力するような始動回路部(4)は一般的に知られており、ここではその一例を示す。安定器(6)のプラス側出力ライン(L)から分岐した分岐線(30)に抵抗(31)と始動パルス生成用コンデンサ(32)が直列接続されており、始動パルス生成用コンデンサ(32)の他端は低圧側ライン(m)に接続されている。そして、この抵抗(31)と始動パルス生成用コンデンサ(32)との接続点にトリガ素子(33)の一端が接続され、その他端が昇圧トランス(41)の1次側に接続されている。昇圧トランス(41)の1次側の他方は始動パルス生成用コンデンサ(32)を跨ぐようにして安定器(6)の低圧側ライン(m)に接続されている。
【0051】
昇圧トランス(41)の2次側の一端は、直列接続された一対の昇圧出力コンデンサ(44)(45)の接続点に接続されており、2次側の他端はダイオード(42)を介して一方の昇圧出力コンデンサ(45)に接続されている。そして、プラス側出力ライン(L)と前記昇圧出力コンデンサ(44)との接続点とダイオード(42)と2次側の接続点との間にダイオード(42)と対になるもう1つのダイオード(43)が配設されている。そして、前記昇圧出力コンデンサ(45)とダイオード(42)との接続点とプラス側出力ライン(L)の高耐圧ダイオード(8)の出力側との間に保護抵抗(46)が接続されている。
【0052】
次に図1の点灯回路(C)の作用について説明する。光学機器のスイッチ(図示せず)をオンにすると、光学機器が作動しランプ始動が行われる。始動は以下のように行われる。直流安定器(6)から出力された直流出力は、放電灯(1)が点灯していないためこの時点ではプラス側出力ライン(L)から分岐線(30)に流れて始動回路部(4)を起動する。始動回路部(4)の作用は次の通りである。分岐側では抵抗(31)を通じて電流がパルス生成用コンデンサ(32)に流れてこれを充電し、コンデンサ(32)の両端に電圧が発生する。この電圧がトリガ素子(33)の所定のトリガ電圧(例えば200V程度)に達した処でパルス生成用コンデンサ(32)に並列接続されたトリガ素子(33)が作動してトリガ電流が流れ昇圧トランス(41)の1次側にひげ状のプラス・マイナスに振れたパルス電圧が発生する。これを受けて2次側に増幅されたひげ状のプラス・マイナスに振れた昇圧パルス電圧が発生し、2次側では前記プラス・マイナスに振れた昇圧パルス電圧により2次側の矢印方向の電流がダイオード(43)からコンデンサ(44)を通ってコンデンサ(44)を充填し、矢印の反対方向に流れる電流はダイオード(42)を通ってコンデンサ(45)を充電することになる。前記充電はトリガ素子(33)が作動してひげ電圧が発生した期間に瞬時に行われる。このようにして始動回路部(4)の出力電圧Vsは直列接続されているコンデンサ(44)(45)の両端に発生する。し、
【0053】
そして、直列接続されているコンデンサ(44)(45)の両端に発生する電圧は抵抗(46)を介して高耐圧ダイオード(8)の両端に電圧(Vs)[ただし、点灯用ダイオード(8)の出力側が高電圧である]として印加されることになる。なお、抵抗(46)は後述するようにダイオード(42)(43)の保護抵抗であって、この時点で電圧はほとんど発生せず無視することができるので、コンデンサ(44)(45)の両端に発生する電圧は点灯用ダイオード(8)の両端に電圧(Vs)にほぼ等しい。高耐圧ダイオード(8)により、始動回路部(4)の出力は高圧放電灯(10)に供給され、安定器(6)に回り込むのを防止する。
【0054】
一方、ランプ始動時(高圧放電灯(10)はまだ点灯していない状態)は、安定器(6)のプラス出力側ライン(L)と低圧側ライン(m)との間には電圧(Vo)が発生しており、昇圧コンデンサ(44)(45)の充電と共に放電灯(10)の電極(12)(13)に印加する点灯始動電圧(VA)=(Vo)+(Vs)が上昇し、その後、点灯始動電圧(VA)が連続的に印加されることになる。図9はこの関係を示すグラフである(縦軸;電圧、横軸;時間)。ここで典型的な例としてVo=350V Vs=1700V VA=約2000Vの一例を示す。
【0055】
高圧放電灯(10)の絶縁破壊は電圧と時間の積で表されるエネルギに従い(ただし、電圧レベルが低くなると絶縁破壊エネルギは指数関数的に大きくなる)、従来に比べて低い電圧であったとしてもこれを連続的に印加することである時間後には必要な絶縁破壊エネルギに到達し電極(12)(13)間でアーク放電が発生する。ちなみに、点灯始動電圧(VA)が約2000Vの場合0.4ms程度で絶縁破壊エネルギに達する。
【0056】
以上のようにしてランプ始動の後、グロー放電を経てアーク放電への移行がスムーズに行われ、定常点灯に移行する。ランプ電圧は、グロー放電からアーク放電への移行した初期の段階で一旦急落した後、次第に電圧が上昇し所定の電圧(例えば、80V)に達する。その後該電圧を保ち定常点灯することになる。定常点灯では前記安定器(6)の出力電圧(ランプ電圧)は前述の通りトリガ素子(33)のトリガ電圧より低い電圧が維持されるため、パルス生成用コンデンサ(32)の充電電圧もトリガ素子(33)のトリガ電圧以下となり、トリガ素子(33)の作動が停止する。これにより昇圧トランス(41)も停止し、定常点灯時には、高耐圧ダイオード(8)を経由して高圧放電灯(10)に定常のランプ電流が流れる。
【0057】
定常点灯では直流安定器(6)から出力した電流は、定常点灯時、放電灯(10)を通過して低圧側ライン(m)を流れ、センス抵抗(53)に電圧を生成させる。パルス幅制御回路(56)は前記センス抵抗(53)の電圧を検出して放電灯(10)に流れている点灯電流を検出し、放電灯(10)に供給される電力が一定となるようにスイッチング素子(57)をスイッチング制御する。
【0058】
さて前述の場合において、点灯始動時には電極(12)(13)間で放電現象が発生しこれによる周辺回路へのノイズ発生が考えられる。そこで、図5に示すように、低圧側外部リード棒(17)に接続されている補助リード(20)を金属製の凹面反射部(2a)に接続しておけば、凹面反射部(2a)がシールド部材の役目を果たし、周辺回路の誤動作発生を軽減することができる。(勿論、前述のように(10)の高圧側封止部(18)が凹面反射鏡(2)へ取り付けられることになり、低圧側封止部(19)の外部リード棒(17)又はこれに接続された補助リード(20)を凹面反射鏡(2)の金属部分である凹面反射部(2a)に電気的に接合される場合が一般的である。)
【0059】
この場合、前述のようにシールド効果を期待することが出来るのであるが、接続された凹面反射部(2a)が外部リード棒(16)又は(17)と同電位になり、光源装置(A)を取り扱っている作業者が誤って凹面反射部(2a)に接触した場合、感電の可能性がある。それ故、凹面反射鏡(2)の金属部分である凹面反射部(2a)あるいは凹面反射鏡(2)全体の外面を絶縁層(2e)で被覆しておけば、そのような危険性を確実に防止できる。
【0060】
なお、図3のようの補助リード(20)を凹面反射部(2a)に通す場合で、補助リード(20)と凹面反射部(2a)との間で絶縁を取る必要がある場合、凹面反射部(2a)に挿通した絶縁筒(23)を利用することになる。図4は、図6を用いて説明した場合の概略図で、首部(2b)に補助リード(20)を挿通した場合であり、金属製の凹面反射部(2a)と補助リード(20)との絶縁距離(S11)、絶縁管(9)に挿通された補助リード(20)の露出端と金属首部(2b)との絶縁距離(S12)を示しており、本発明の場合、直流電圧1kV〜4kVに応じて約2mm〜6mmの間隔でよい。図5は補助リード(20)を凹面反射部(2b)に接続し、外面に絶縁層(2e)を設けていない場合の金属製の凹面反射部(2a)とランプハウスの金属部分(7)との絶縁距離(S15)を示しており、前記の絶縁距離あるいは安全規格で定められた絶縁距離が必要となる。なお、外面に絶縁層(2e)を設けておけば前記絶縁距離(S15)は更に小さくなる。
【0061】
また、高圧放電灯(10)の定常点灯時、高圧放電灯(10)から出た光の一部は直接前方に向けて出射され、他は凹面反射部(2a)に反射される。これら前方に出射された光は例えばUV‐IRカットフィルタ、色分離ダイクロイックミラー、全反射ミラーその他で構成された光学系を通り、投写レンズ(70)を通して前方のスクリーン(S)にカラー映像として投影されることになる。
【0062】
この時、赤外線吸収膜(2d1)が可視光線反射膜である蒸着膜(2d)の下に設けてあれば、可視光線だけが蒸着膜(2d)に反射されて、赤外線は赤外線吸収膜(2d1)に吸収され、前方に照射されず、凹面反射鏡(2)の加熱に使われ、凹面反射鏡(2)から周囲に放射されていく。その結果、光源として高圧放電灯(10)を使用しているにもかかわらず被照射面の昇温が抑制されることになる。
【0063】
その他、高圧放電灯(10)は発光管部(11a)に必要ガスと水銀などを充填しており、点灯時には高圧放電灯(10)自体が高温になり、また発光管部(11a)内の気圧は例えば150気圧程度のきわめて高い圧力まで高まる。一方、封体容器(11)は前述のようにガラスであるから時として破裂することがある。その場合、発光管部(11a)内に充填されている水銀が蒸気となって周囲に飛散し、周囲の環境汚染することになる。
【0064】
そこで、前述のように利用されない開口部分(2f)や、切欠部(2g)に張設されたメッシュプレート(6)に水銀とアマルガムを形成する水銀アマルガム形成材料を用いておけば、前記水銀蒸気がこれらの部分に接触して水銀アマルガム形成材料と化合し、当該部分に付着して残留する。その結果、飛散する水銀の量を減少させることができる。
【0065】
ここで、前面開口が透明版(5)で閉塞され切欠部(2g)が設けられていない場合には、透明版(5)が破砕されない限り水銀がガラス破砕片と共に凹面反射部(2b)内に残留するので、かなりの水銀がアマルガムとなって捕集されることになる。
【0066】
逆に、前記の場合(前面開口が透明版(5)で閉塞されている場合)で凹面反射部(2a)に開口部分(2f)に切欠部(2g)が設けられ、切欠部(2g)にメッシュプレート(6)が張設され、切欠部(2g)を利用して通風冷却が行われる場合があるが、放電灯(10)の破裂により一部の水銀蒸気がメッシュプレート(6)を通って外部に流出しようとするが、この時メッシュプレート(6)の水銀アマルガム形成物質によってメッシュプレート(6)を通過する水銀が捕集され、水銀の外部への流出を抑制することになる。なお、この場合で開口部分(2f)にも水銀アマルガム形成物質を設けておけば凹面反射部(2b)の内部残留水銀の捕集に効果がある。
【0067】
なお、前記光源体(1)は凹面反射鏡(2)にダブルエンドタイプの放電灯(10)を装着したものでもよいが、図1に示すようなシングルエンド型の放電灯(10')を凹面反射鏡(2)に装着したものでもよいことはいうまでもない。
【0068】
【発明の効果】
本発明は以上のような構成であるから、放電灯用として少なくとも凹面反射部が金属製である凹面反射鏡を使用することができ、これが故に凹面反射面の曲面精度の向上を図ることができ、以って明るさのばらつきを小さくすることや蒸着膜に耐熱性の低いものを使用することなどができ、更にコストを大幅に減ずることができた。そして光源装置全体の小型化と高密度化を達成することも可能となった。また、赤外線吸収膜を用いることでガラス製の凹面反射鏡と同様、被照射面の昇温を抑制することができるようにもなった。その他、水銀アマルガム生成材料を適宜使用することで、放電灯が破裂した場合、内部の水銀の周囲への飛散を出来るだけ小さくすることも出来るようになった。また凹面反射鏡が金属製で実現したので、高圧放電灯が破裂した場合でも凹面反射鏡は機械的に破壊することなく維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の点灯回路とこれに用いられる放電灯の一例を示す図面
【図2】従来の点灯回路とこれに用いられる放電灯の一例を示す図面
【図3】本発明の光源体の第2の実施例の概略断面図
【図4】本発明の光源体の第3の実施例の概略断面図
【図5】本発明の光源体の第4の実施例の概略断面図
【図6】本発明の光源体の具体例の断面図
【図7】図6の正面図
【図8】従来の点灯回路による始動印加電圧を示すグラフ
【図9】本発明の点灯回路による始動印加電圧を示すグラフ
【符号の説明】
(1)光源体
(2)凹面反射鏡
(2a)凹面反射部
(2b)首部
(3)絶縁部材
(4)始動回路部
(5)透明板
(6)メッシュプレート
(8)点灯用ダイオード
(10) 放電灯
Claims (10)
- 金属製凹面反射部と、前記金属製凹面反射部の中央にて背面側に突出され、絶縁部材を介して或いは絶縁材料で構成され、始動時に1000V〜4000Vの直流電圧が連続的に印加される高圧放電灯の封止部が装着される封止部装着用の首部とで構成されており、前記首部或いは前記首部内に装着された絶縁部材に封止部装着用の装着孔が穿設されている凹面反射鏡と、
その封止部が前記装着孔に装着された高圧放電灯とで構成され、
前記首部あるいは前記首部内に装着された絶縁部材の装着孔に沿って穿設された絶縁通孔又は絶縁溝或いは該絶縁通孔又は絶縁溝に挿通された絶縁管に前記高圧放電灯の他の封止部から導出された外部リード棒或いはこれに接続された補助リードが挿通されていることを特徴とする光源体。 - 金属製凹面反射部と、前記金属製凹面反射部の中央にて背面側に突出され、絶縁部材を介して或いは絶縁材料で構成され、高圧放電灯の封止部が装着される封止部装着用の首部とで構成されており、前記首部或いは前記首部内に装着された絶縁部材に封止部装着用の装着孔が穿設されている凹面反射鏡と、
その封止部が前記装着孔に装着された高圧放電灯とで構成され、
前記首部あるいは前記首部内に装着された絶縁部材の装着孔に沿って穿設された絶縁通孔又は絶縁溝或いは該絶縁通孔又は絶縁溝に挿通された絶縁管に前記高圧放電灯の他の封止部から導出された外部リード棒或いはこれに接続された補助リードが挿通されており、
前記金属製凹面反射部の凹面反射面の開口部分に水銀とのアマルガム生成物質が配置されていることを特徴とする光源体。 - 前記金属製凹面反射部の開口部分に形成された切欠部にアマルガム生成物質にて形成されたメッシュプレート或はアマルガム生成物質を付着したメッシュプレートが張設されていることを特徴とする請求項2に記載の光源体。
- 金属部分が熱伝導率50W/m・K以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光源体。
- 前記凹面反射部の凹面反射面にはフッ化マグネシウムと硫化亜鉛の多層膜蒸着が施されている事を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光源体。
- 前記凹曲反射部の金属基面上に熱線吸収膜が形成され、前記熱線吸収膜の上に可視光反射膜である蒸着膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光源体。
- 点灯始動時に高圧点灯電圧が印加されない方の低圧側封止部から導出された前記外部リード棒或いはこれに接続された前記補助リードが前記金属製の凹面反射部に電気的に接合されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光源体。
- 前記凹面反射鏡の金属部分の外面が絶縁層で被覆されていることを特徴とする請求項7に記載の光源体。
- 前記金属製凹面反射部の全面開口に透明板が配設されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光源体。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の光源体および
放電灯の始動時に1000V〜4000Vの直流電圧を発生させる始動回路部と、定常 点灯時に点灯電力を高圧放電灯に供給する安定器と、その入力側が前記安定器の出力ラインに接続され、その出力側が放電灯の一方の電極に接続された高耐圧ダイオードとで構成され、前記始動回路部の直流電圧側端部が高耐圧ダイオードの出力側に逆方向の極性となるように接続されている放電灯点灯回路により構成されたことを特徴とする光源装置。
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