JP4187921B2 - ねじ山形成具及びその使用法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シャフト部分と造形部分とを形成しているねじ山形成具であって、造形部分はコアにねじ山巻き条を形成していて、形成開始範囲と案内範囲とに分けられており、形成開始範囲内ではねじ山巻き条がコアの近くに内側の斜めの圧力側面を形成しかつこれに半径方向で外側に続いて外側の圧力面を形成しており、案内範囲内ではねじ山巻き条が横断面で見て半径方向で外側に向かってほぼ鋭角であり、形成開始範囲がねじ山巻き条の作用を前端部から案内範囲に向かって増大させている形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】
このねじ山形成具は非切削の内ねじ山製作に役立つ。シャフト部分は一般に円柱状であって、チャック内での工具締め込みに役立ち、かつ、一般にねじ山形成モーメント伝達のための四角部を支持している。案内範囲は製作すべき内ねじ山のキャリブレーションの機能も有している。造形部分は例えば耐摩滅性のねじ山形成表面を生ぜしめるために表面処理を施されている。ねじ山形成の際には、材料の段階的な冷間変形が、ねじ山側面のキャリブレーションと仕上げとともに、行われる。工具におけるねじ山巻き条の横断面は多角形である。最初に述べた形式の公知の(DE 18 47 255 U)ねじ山形成具においては、形成開始範囲において外側の圧力面は、横断面で見て半径方向で外側に向かってほぼ鋭角のねじ山巻き条により形成されており、換言すれば内側の斜めの圧力側面に続いている外側の斜めの圧力側面により形成されている。外側の斜めの圧力側面の作用方向は、ねじ山形成具の半径方向及び軸方向に対して角度を形成している。形成開始範囲におけるねじ山巻き条の作用の増大は、いわゆる櫛形バイトの切り込みによって、換言すればねじ山巻き条の高さを変えずにコア直径を先端から案内範囲に向かって増大させることによって、生ぜしめられている。組織に六方格子構造を有している材料が公知のねじ山形成具により加工される場合には、製作されたねじ山は次のようなネガティブな特性を有している: 内ねじ山小径は不充分に成形されている。内ねじ山小径の範囲内では、材料粒子が剥がれる。わずかな滑り率及びわずかな冷間変形性質を有する材料に内ねじ山を製作するために公知のねじ山形成具を使用することは、少なくとも、なかんずく自動車工業において普通であるような、大きな負荷を受けるねじ結合部においては、認めることができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の課題は、最初に述べた形式のねじ山形成具が、組織に六方格子構造を有している材料に内ねじ山を製作する場合に、内ねじ山小径の範囲内での材料粒子の剥がれなしに、内ねじ山小径の改善された成形を生ぜしめるようにすることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明によるねじ山形成具は、形成開始範囲内で外側の圧力面が、鋭角の圧力側面に対してほぼ半径方向で作用する拡幅された平面部であり、かつ、半径方向に作用する平面部により形成された、ねじ山巻き条の円周延び方向に延びる縁が丸みを付けられていることを特徴としている。
【0005】
【発明の効果】
本発明によるねじ山形成具が、組織に六方格子構造を有している材料に形成する内ねじ山においては、内ねじ山小径が良好に成形されており、内ねじ山小径の範囲内での材料粒子の剥がれが回避されている。幅広い若しくは大きな平面部の圧力面若しくは作用面が材料内に侵入することによって、摩擦が生ぜしめられる。これによって生じた熱及び圧力自体は材料の形状変更性質を改善し、材料特有の格子平面に沿っての材料押しのけ(滑り)を生ぜしめる。例えば切り欠き作用による材料組織構造の損傷は、本発明によるねじ山形成具においては認めることができない。本発明によるねじ山形成具は、その六方格子構造によって滑り面の数がわずかで、かつ又は室温での冷間変形性質がわずかである材料に特に適している。平面部の縁の丸みによって、鋭い縁が回避され、本発明によるねじ山形成具が希求する作用が可能にされている。丸みの半径は例えば0.1mmである。
【0006】
本発明によるねじ山形成具において設けられている平面部は、ねじ山形成具において従来ねじ山巻き条の半径方向の自由端部における鋭い尖端を回避するために形成開始範囲においてもねじ山巻き条に設けられていた尖端丸みとは異なるものである。拡幅された平面部は、場合により案内範囲に存在している尖端丸みよりも明らかに幅広い。すなわち拡幅された平面部は著しく幅広い平らな若しくは平面の形成物であり、その幅は一般に少なくともP/10である。拡幅された平面部はねじ山形成の際に材料内に圧力応力を生ぜしめて、滑り面を形成するのに適した組織の格子構造の場合に2つ以上の滑り面が形成され、換言すればねじ山形成は主として圧力によって行われ、その際材料の温度は250℃以下、それどころか200℃以下にとどまる。
【0007】
【発明の実施の形態】
拡幅された平面部が、ねじ山巻き条からねじ山巻き条に、同じ幅であるようにすると、本発明の特に合目的的なかつ有利な実施形態が生じる。この実施形態は例えば、形成開始範囲が櫛形バイトによって切り込まれている場合に適用される。重要なことは、拡幅された圧力面平面部が摩擦、ひいては材料加熱を生ぜしめることである。
【0008】
半径方向に作用する平面部が軸方向でねじ山巻き条に沿って案内範囲に向かって最小値に減少しているようにすることも、特に合目的的で有利である。この2番目に述べた実施形態は一般に、コアが前端部にまで同じままの直径を有している場合に、採用される。平面部は前端部から案内範囲に向かう方向でねじ山巻き条の半径方向の寸法の増大をもたらす。
【0009】
本発明によるねじ山形成具においては、圧力面平面部の半径は前端部から案内範囲への方向でねじ山巻き条からねじ山巻き条に増大しており、これによって形成開始範囲のねじ山巻き条の作用が増大している。圧力面平面部の軸方向で見た幅は、前記2番目の実施形態では前端部から案内範囲への方向でねじ山巻き条からねじ山巻き条に減少している。平面部の最小値は、案内範囲におけるねじ山巻き条が構造的に計算された工具外径直径の最小値に達したときに、達成されている。しかしながら減少の最小値は、案内範囲のねじ山巻き条が半径方向で外側に丸みを付けられている場合に、案内範囲のねじ山巻き条の極めて幅狭い丸みに相応することもできる。
【0010】
ねじ山巻き条からねじ山巻き条への平面部の減少が連続的であるようにすることも、特に合目的的であり、有利である。これらの平面部はねじ山形成の際に材料のより有利な変形を生ぜしめ、かつ、軸方向で見てねじ山形成具中心軸線に対して斜めに傾斜した配置を有している。
【0011】
単数又は複数の、例えば2つの滑り面を形成する六方格子構造の組織を有する材料内に内ねじ山を製作するために、本発明によるねじ山形成具を使用することも、特に合目的的であり、有利である。これによって、本発明によるねじ山形成具にとって特に適した材料が与えられている。単に1つの滑り面を有する材料としては、Mg、Zn 及び Be を挙げることができる。この点については、"Werk-stoffkunde und Werkstoffpruefung"(材料学及び材料検査)第10版、Wolfgang Weissbach 著、Friedr. Vieweg & Sohn 社発行、2.2章、31ページを参照されたい。
【0012】
この場合、その削り屑材料が切削加工の際に生ずる500℃からの加熱によって点火可能である六方格子構造の組織を有する材料内に内ねじ山を製作するために本発明によるねじ山形成具を使用することは、特に合目的的であり、有利である。この点火可能な材料は実地において第1にマグネシウムあるいはマグネシウム合金である。本発明によるねじ山形成具は、マグネシウムあるいはマグネシウム合金に正確な内ねじ山を製作することを実地に可能にする。
【0013】
本発明は実地において材料鋼に対しては使用されず、第1に、組織格子構造が滑り面を有しかつその削り屑材料が切削加工において点火せしめられるような材料に対して使用される。一般に、造形部分特に形成開始範囲は耐摩滅性の表面層を備えており、この表面層は少なくとも拡幅された平面部及びその丸みを付けられた縁を覆っている。ねじ山形成によって材料マグネシウム内にねじ山を製作する提案される方法においては、材料は直接又は間接に加熱されず、単に圧力下においてねじ山形成される。
【0014】
【実施例】
図面には本発明の有利な実施例が示されている。
【0015】
図面に示したねじ山形成具はそれぞれ1つのシャフト部分1と造形部分2とを有している。造形部分2はねじ山巻き条4が設けられているコア3を有していて、案内範囲5と前方に位置する形成開始範囲6とに分けられており、形成開始範囲は前端部7において自由に終わっている。案内範囲5内のねじ山巻き条4は横断面で見てほぼ鋭角であり、その際外側に位置する稜8は例えば丸みを付けられている。形成開始範囲6においては、ねじ山巻き条4はコア3の近くで内側の斜めの圧力側面9と半径方向で外側に向いた拡幅された圧力面平面部10とを形成している。これらの平面部10のそれぞれは2つの環状に回る縁11により仕切られており、これらの縁は図19及び20によれば丸みを付けられている。
【0016】
図1及び2並びに図7及び8に示したねじ山形成具においては、造形部分の横断面は多角形(プロフィールリリーフ研削)であり、図19にも示されているように、平面部の段階的な増大が行われている; コアは前端部に向かって一定不変の横断面を有している。
【0017】
図3及び4並びに図9及び10に示したねじ山形成具においては、造形部分の横断面は多角形(プロフィールリリーフ研削)であり、図20にも示されているように、平面部の円錐状若しくは連続的な増大が行われている; コアは前端部に向かって一定不変の横断面を有している。
【0018】
図5及び6並びに図11及び12に示したねじ山形成具においては、造形部分の横断面は円形であり、平面部は同じ幅に形成されている; コアは前端部に向かって減少する、櫛形バイトで切り込まれた横断面を有している。
【0019】
図13及び14に示したねじ山形成具においては、造形部分の横断面は円形であり、図19にも示されているように、平面部の段階的な増大が行われている; コアは前端部に向かって一定不変の横断面を有している。
【0020】
図15及び16に示したねじ山形成具においては、造形部分の横断面は円形であり、図20にも示されているように、平面部の円錐状若しくは連続的な増大が行われている; コアは前端部に向かって一定不変の横断面を有している。
【0021】
図17及び18に示したねじ山形成具においては、造形部分の横断面は多角形であり、平面部は同じ幅に形成されている; コアは前端部に向かって減少する、櫛形バイトで切り込まれた横断面を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1のねじ山形成具の斜視図である。
【図2】図1に示したねじ山形成具の成形開始範囲を図1よりも拡大した尺度で示した図である。
【図3】第2のねじ山形成具の斜視図である。
【図4】図3に示したねじ山形成具の成形開始範囲を図3よりも拡大した尺度で示した図である。
【図5】第3のねじ山形成具の斜視図である。
【図6】図5に示したねじ山形成具の成形開始範囲を図5よりも拡大した尺度で示した図である。
【図7】第1のねじ山形成具の側面図である。
【図8】第1のねじ山形成具の正面図である。
【図9】第2のねじ山形成具の側面図である。
【図10】第2のねじ山形成具の正面図である。
【図11】第3のねじ山形成具の側面図である。
【図12】第3のねじ山形成具の正面図である。
【図13】第4のねじ山形成具の側面図である。
【図14】第4のねじ山形成具の正面図である。
【図15】第5のねじ山形成具の側面図である。
【図16】第5のねじ山形成具の正面図である。
【図17】第6のねじ山形成具の側面図である。
【図18】第6のねじ山形成具の正面図である。
【図19】図2に示したねじ山形成具の成形開始範囲を図2よりも拡大した尺度で示した断面図である。
【図20】図4に示したねじ山形成具の成形開始範囲を図4よりも拡大した尺度で示した断面図である。
【符号の説明】
1 シャフト部分、 2 造形部分、 3 コア、 4 ねじ山巻き条、 5 案内範囲、 6 形成開始範囲、 7 前端部、 8 稜、 9 圧力側面、 10 圧力面平面部、 11 環状に回る縁、

Claims (7)

  1. 工作物の段階的な冷間変形をベースとした非切削加工による内ねじ山の製作に用いられるねじ山形成具であって、シャフト部分(1)と造形部分(2)とを形成しており、造形部分(2)がコア(3)にねじ山巻き条(4)を形成しておりかつ形成開始範囲(6)と案内範囲(5)とに分けられており、形成開始範囲(6)内ではねじ山巻き条(4)が当該ねじ山形成具のねじ山形成具中心軸線に関して半径方向内側、コア(3)の近くに位置する圧力側面(9)を形成しかつコア(3)のねじ山形成具中心軸線に対して平行な横断面で見てねじ山形成具のねじ山形成具中心軸線とコア(3)の円周面とに対して斜めの圧力側面(9)を形成しかつこれに半径方向外側へ続いて外側の圧力面(10)を形成しており、案内範囲(5)内ではねじ山巻き条(4)がコア(3)のねじ山形成具中心軸線に対して平行な横断面で見てねじ山形成具中心軸線に対する半径方向で外側に向かってほぼ鋭角を成しており、つまり鋭角の先端が尖っているか又は丸味の付けられた稜(8)であることのできる鋭角を圧力側面(9)が成しており、形成開始範囲(6)がねじ山巻き条(4)の変形作用を前端部(7)から案内範囲(5)に向かって増大させている形式のものにおいて、形成開始範囲(6)における外側の圧力面(10)が、案内範囲(5)におけるほぼ鋭角である稜(8)に較べて拡幅された平面部(10)であり、この平面部(10)が鋭角な稜(8)とは異ってコア(3)から見て半径方向外方へ工作物に作用しており、この半径方向に作用する平面部(10)により形成された、ねじ山巻き条(4)の円周延び方向に延びる縁(11)に丸味が付けられていることを特徴とするねじ山形成具。
  2. 拡幅された平面部(10)の幅が、ねじ山巻き条(4)のねじ山どうし、同じであることを特徴とする、請求項1記載のねじ山形成具。
  3. 半径方向に作用する平面部(10)の幅が軸方向でねじ山巻き条(4)に沿って案内範囲(5)に向かって最小値に減少していることを特徴とする、請求項1記載のねじ山形成具。
  4. 拡幅された平面部(10)がねじ山巻き条の各ねじ山において約1/10xP(ねじ山巻き条のピッチ)よりも幅広いことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のねじ山形成具。
  5. ねじ山巻き条(4)平面部(10)の幅の減少が前端部(7)から案内範囲(5)に向って連続的であることを特徴とする、請求項3又は4記載のねじ山形成具。
  6. 請求項1から5までのいずれか1項記載のねじ山形成具を、加工温度下で単数又は複数の滑り面を形成する六方格子構造の組織を有する材料内に内ねじ山を製作するために使用することを特徴とするねじ山形成具の使用法。
  7. 請求項1から5までのいずれか1項記載のねじ山形成具を、その削り屑材料が切削加工の際に生ずる500℃からの加熱によって点火可能である六方格子構造の組織を有する材料内に内ねじ山を製作するために使用することを特徴とするねじ山形成具の使用法。
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