JP6028098B2 - ねじ切削用タップ - Google Patents

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Description

本発明は、ねじ切削用タップに係り、特に、チッピング抑制およびねじ精度の安定化に関するものである。
テーパ状の食付き部の先端から完全山部に向かうに従って頂部が削られた不完全の形状から完全な形状となるねじ山が、ねじれ溝や直線溝により周方向に分断され、その分断されたねじ山の一端部、すなわち分断により形成された一方の端面に前記ねじれ溝または直線溝に沿って形成される切れ刃が形成されているねじ切削用タップが知られている。このねじ切削用タップにおいて、切削中に発生するチッピング(切れ刃に生じる小さい欠け)を抑制するため、切れ刃に面取りを施すなど複数のタップが提案されている。例えば、特許文献1では、切れ刃に隣接するすくい面に、ねじ山の山頂に向かって周方向へ後退する面取りが形成される技術が開示されている。また、特許文献2においても、切れ刃に隣接するすくい面に面取りを施すことで、負のすくい角を形成する技術が開示されている。その他、切れ刃のすくい面にR面取を施す技術なども提案されている。
特開2008−272856号公報 特開平7−164247号公報
ところで、特許文献1や特許文献2等に記載のねじ切削用タップは、切れ刃のすくい面に面取りなどを施すことでチッピングを抑制して工具の寿命を改善しているが、タップ加工後のめねじ精度が安定しない問題があった。なお、めねじ精度とは、タップ加工後のめねじの寸法精度に対応する。このめねじ精度が安定しない原因として、タップ加工を開始するとねじ切削用タップにスラスト力が発生するが、切れ刃に面取が施されると負の方向に作用するスラスト力が大きくなり、ねじ切削用タップが切削方向に進みすぎるためと考えられている。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、タップ加工中に発生するチッピングを抑制するとともに、めねじ精度も安定するねじ切削用タップを提供することにある。
上記目的を達成するための、第1発明の要旨とするところは、(a)食付き部の先端から完全山部に向かうに従って不完全な形状から完全な形状となるねじ山が、軸方向に伸びる溝によって周方向に分断され、その分断されたねじ山の一端部にその溝に沿って切れ刃が形成されているねじ切削用タップにおいて、(b)少なくとも前記食付き部の山頂およびねじ山フランクに形成される前記切れ刃には、その切れ刃のすくい面から回転方向に突き出し、その切れ刃に沿って連なる突状部が形成されている。
このようにすれば、切れ刃のすくい面から回転方向に突き出す突状部が形成されることで、チッピングが抑制される。また、突状部が形成されることで、ねじ切削用タップが被削材に食い付いたときの負側に作用するスラスト荷重が低減され、ねじ切削用タップが進みすぎることもなくなってめねじ精度が安定する。
また、好適には、前記突状部を軸直角な断面で切断したときの径方向の寸法で定義されるその突状部の幅は、ねじの基準ねじ山高さの1/80乃至1/20の範囲内とされている。突状部の幅がこの範囲内とされることで、チッピングが抑制されつつめねじ精度も安定する。
また、好適には、(a)食付き部の先端から完全山部に向かうに従って不完全な形状から完全な形状となるねじ山が、軸方向に伸びる溝によって周方向に分断され、その分断されたねじ山の一端部にその溝に沿って切れ刃が形成されているねじ切削用タップの製造方法において、少なくとも前記食付き部の山頂およびねじ山フランクに形成される前記切れ刃には、その切れ刃のすくい面から回転方向に突き出し、その切れ刃に沿って連なる突状部が形成されており、前記突状部は、研削砥石を用いた研磨加工によって前記ねじ山を形成する際に前記切れ刃に形成されるバリを、ガラスビーズを用いたブラスト処理を施すことで形成される。このようにすれば、前記突状部を容易に形成することができる。
本発明が好適に適用された3枚刃のスパイラルタップを示す図である。 基準ねじ山高さを説明する図である。 図1のスパイラルタップのねじ山の製造工程を説明する図である。 ブラスト処理を施すことで形成される突円形状部を電子顕微鏡で拡大した写真である。 突円形状部が形成されないスパイラルタップの初期性能試験を行った試験結果を示す図である。 ねじ山製造時に形成されるバリを残したスパイラルタップの初期性能試験を行った試験結果を示す図である。 本願の突円形上部が形成されたスパイラルタップの初期性能試験を行った試験結果を示す図である。 複数の形式のスパイラルタップを用いて耐久試験を行った試験結果を示す図である。
ここで、好適には、前記ねじ切削用タップは、例えば高速度工具鋼や超硬合金等の種々の工具材料を用いて構成することができ、必要に応じてTi Al NやTi NやTi CN等の硬質被膜をコーティングすることもできる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が好適に適用された3枚刃のスパイラルタップ10を示す図で、(a)は軸心Oと直角方向から見た正面図、(b) は(a) におけるIB−IB断面の拡大図である。このスパイラルタップ10は、シャンク12、首部14、およびねじ部16を、その順番で同一の軸心O上に一体に備えており、ねじ部16には加工すべきめねじに対応するねじ溝形状のおねじが設けられているとともに、そのおねじを分断するように軸心Oまわりに等間隔で3本のねじれ溝20が形成されている。ねじ部16は、おねじのねじ山18が軸方向においてテーパ状に除去された先端側の食付き部22と、その食付き部22に連続して設けられた完全なねじ山18を有する完全山部24とを備えており、上記ねじれ溝20との稜線部分に切れ刃28が形成されている。ねじれ溝20は右ねじれで、ねじ部16を越えて首部14の略全域に亘って設けられている。
食付き部22に形成されている切れ刃28のには、すくい面30から回転方向に向かって突き出し、切れ刃28に沿って連なる突円形状部32が形成されている。(b)に示すように、突円形状部32は、軸直角に切断したときの断面が半円形状に形成されており、切れ刃28に沿って連なって形成されている。また、この突円形状部32は、軸心Oと切れ刃28の先端(すくい面30の外周端)とを結ぶ基準線Sよりも回転方向に突き出している。なお、突円形状部が、本発明の突状部に対応する。
(b)に示す突円形状部32の軸直角断面において、突円形状部32の径方向の寸法に対応する突円形状部32の幅Hwは、ねじのJIS規格に基づいて定められている基準ねじ山高さH(基準山形高さH)の1/80乃至1/20の大きさの範囲内に設計されている。前記基準ねじ山高さHをさらに詳細に説明すると、図2に示すおねじとめねじとで形成される基準山形の高さHに対応する。また、図1(b)に記載の突円形状部32のすくい面30から先端まで高さHhは、平均値で5μm〜20μmの範囲とされている。なお、突円形状部32は、少なくとも食付き部22の山頂に形成されるが、食付き部22のねじ山フランクまたは完全山部24に形成されても構わない。
次に、図1(b)に示す突円形状部32の製造方法について説明する。図3は、スパイラルタップ10に形成される食付き部22の製造工程を示すものである。なお、この食付き部22の製造に先だって、公知の研磨工程によってねじれ溝20およびねじ山18が形成されている。従って、予めねじれ溝20およびねじ山18が形成された状態で食付き部22の製造工程が実行される。食付き部22は、図3に示す研磨砥石34を回転駆動させて、食付き部22の外周面を研磨して山払いおよび2番逃げ面35のための2番取りする際に形成される。このとき、食付き部22の外周部であって切れ刃28となる部位にバリ36が形成される。従来では、食付き部22の製造後に残るバリ36を研磨等によって除去していた。これに対して本実施例では、このバリ36にガラスビーズを噴き付ける、公知のブラスト処理を実行する。このブラスト処理が実行されることで、バリ36が塑性加工されて図1(b)に示すような突円形状部32が形成される。なお、突円形状部32の幅Hwや高さHhは、ブラスト処理におけるガラスビーズの粒度、ブラスト処理時間、並びに圧力を適宜調整することで調整が可能となる。図4に、上記ブラスト処理を施すことで食付き部22の切れ刃28に形成される突円形状部32を示す。図4の写真は、電子顕微鏡を用いて拡大したものであり、突円状に膨らんで連なる部位が突円形状部32に該当する。
図5乃至図7に、後述する各スパイラルタップを用いてタップ加工を実行したときのトルクTおよびスラスト力Fs、並びにタップ加工後のめねじ精度を測定した初期の性能試験の測定結果を示す。以下に、タップ加工の試験条件を示す。
・試験条件
・サイズ:M6×1
・切削速度:15m/min
・被削材:S45C
・下穴:φ5mm×15mm
・機械:立形マシニングセンタ、水溶性切削油剤(10倍希釈)使用
・加工深さ:12mm止まり
この図5乃至図7のグラフにおいて、横軸が加工時間を示しており、左側の縦軸が回転トルクTr、右側の横軸がスラスト力Fsを示している。ここで、トルクはスパイラルタップの回転トルクTrであり、スラスト力は、タップ加工中に発生するスパイラルタップの進行方向に作用する力である。このスラスト力Fsは、スパイラルタップが回転しつつ被削材に食い込むことで生じる、所謂コルク・スクリュー効果によって発生する。なお、前記トルクTrおよびスラスト力Fsは、よく知られた三分力計で測定した。また、めねじ精度は、よく知られたねじゲージを用いて測定した。図5乃至図7のめねじ精度にあっては、加工後のめねじに止り側のねじゲージを通し、そのねじゲージが予め設定されている回転数(本実施例では2回転とした)以内で止まった場合に合格(めねじ精度良好)と判断した。
図5において、(a)はねじ山製造中に形成されるバリを除去した既存のスパイラルタップの測定結果、(b)は切れ刃にR面取が施されているスパイラルタップの測定結果を示している。スパイラルタップが被削材へ食い込むとトルクTrが増加し、これに伴ってスパイラルタップの軸方向に作用するスラスト力Fsが発生する。図5(a)にも示されるように、バリを除去した既存のスパイラルタップで試験を開始すると、タップ食い込み直後から負の方向に作用するスラスト力Fs、すなわち切削方向に作用するスラスト力Fsが発生する。この負のスラスト力Fsが大きくなると、スパイラルタップが切削方向に進み過ぎる傾向となる。(a)にあっては、タップ食い込み直後から負のスラスト力Fsも大きいためにスパイラルタップが進み過ぎる傾向を示している。これに起因して、1穴目のめねじ穴から止り側ゲージが2.8回転(WP2.8)しており、2回転を超えることからめねじ精度が不合格となった。なお、このスパイラルタップを用いて性能試験を引き続き行ったが、2穴目、3穴目ともにタップ加工後のめねじ精度は不合格となった。
図5(b)の切れ刃にR面取を施したスパイラルタップについても、タップ食い込み後から負の方向に作用するスラスト力Fsが大きくなっている。従って、R面取を施した場合においてもスパイラルタップが切削方向へ進みすぎる傾向にあり、これに起因して、1穴目のねじ穴から止まり側ゲージ(WP)が3回転しており、めねじ精度が不合格となった。なお、このスパイラルタップについても性能試験を引き続き行ったが、2穴目、3穴目ともにタップ加工後のめねじ精度は不合格となった。
図6の(a),(b)はともに、ねじ山の製造中に形成されるバリを残したスパイラルタップの測定結果であって、(a)は一穴目、(b)は二穴目の測定結果を示している。バリを残したスパイラルタップにあっては、1穴目のスラスト力Fsが図5(a),(b)のスラスト力Fsと比べて小さくなっている。従って、スパイラルタップが切削方向に進み過ぎる傾向が改善されている。これより、止まり側ゲージが0.5回転で止まり、めねじ精度が合格となった。このスパイラルタップを用いて2穴目のタップ加工を実行すると(b)に示す結果となった。2穴目では、1穴目に比べてスラスト力Fsが大きくなっている。すなわち、2穴目ではスパイラルタップが切削方向に進みすぎる傾向となり、止りゲージが2.2回転回転しめねじ精度が不合格となった。これは、1穴目のタップ加工の際にバリが破損し、実質的にバリが除去された既存のスパイラルタップでタップ加工が実行されたためと考えられる。
図7に、突円形状部32が形成されたスパイラルタップ10の測定結果を示す。この試験では、突円形状部32の幅Hwが平均値でH/50のスパイラルタップを使用した。図7の(a)は、1穴目の測定結果を示している。図に示すように、食付き部22のねじ山18が被削材に食い込んだ直後はスラスト力Fsが正の値となっており、加工が進行するに従って負の値に変化している。加工中におけるスラスト力Fsのスラスト最小値も−55.51(N)と他のスパイラルタップと比べて非常に小さい値となっている。これより、タップ加工中にスパイラルタップが進みすぎるという傾向は殆どなくなる。そして、めねじ精度を測定しても止りゲージが0.5回転で止まり、めねじ精度も合格している。このスパイラルタップ10を用いて引き続き試験を行ったが図7(b)の100穴目の測定結果をみても、スラスト力Fsに大きな変化はなく、めねじ精度も1穴目と同様に止まりゲージが0.5回転で止まり、タップ加工を100穴行ってもめねじ精度は維持されている。
図8に、複数種類のスパイラルタップを用いて各スパイラルタップの耐久性能を試験したときの試験結果を示す。耐久性能は、各スパイラルタップを用いてタップ加工を行い、スパイラルタップに刃欠け(チッピング)や折損が生じた場合や、加工後のめねじに公知であるめねじ精度測定用の通りゲージおよび止りゲージを用いてめねじ精度が不合格となるまでのスパイラルタップの耐久数(加工穴数)を測定した。従って、耐久数が大きいほど耐久性能に優れたスパイラルタップとなる。なお、スパイラルタップは、いずれも食付き部22が2.5山に設計されている。試験条件は、図5乃至図7に示したタップ加工の試験条件と同じであるため省略する。また、図8の幅Hwは、突円形状部32の幅Hwに対応しており、基準ねじ山高さHで換算したもの、ならびに実際の寸法で表したものが示されている。なお、実際に試験したスパイラルタップの突円形状部32の幅Hw(平均値)は、厳密にこの値とはなっていないが、幅Hwの平均値がその値に近いものを使用した。
図8の従来技術Aは、バリを研磨やブラスト処理等で除去したスパイラルタップである(突円形状部なし)。このスパイラルタップにあっては、最初の1穴目からめねじ精度が不合格となったため1穴目で試験を中止した。すなわち耐久数(加工穴数)はゼロである。また、従来技術Bは、切れ刃にR面取を施したスパイラルタップである(突円形状部なし)。このスパイラルタップについても、1穴目からめねじ精度が不合格となったため、1穴目で試験を中止した。
比較品Cは、突円形状部を設け、且つ、突円形状部の幅Hwを基準山高さ(基準山形高さH)Hの1/110としたものである。この比較品Cにあっては、初期のめねじ精度について止りゲージ1.5回転(WP1.5回転)で合格したため試験を引き続き続行した。そして、耐久数(加工穴数)が1300となるとスパイラルタップの刃欠け(チッピング)が大きくなったため試験を中止した。これより、突円形状部32の幅Hwが小さくなり過ぎるとめねじ精度も不安定になりやすく、チッピングの抑制効果も低下する。
本実施例のスパイラルタップに対応する発明品Dは、突円形状部32の幅Hwを基準山高さHの1/80(H/80)としたものである。このスパイラルタップにあっては、初期めねじ精度が止りゲージ0.5回転(WP0.5回転)と良好な結果が得られた。また、その後の耐久試験においても、スパイラルタップが折損するまでの耐久数(加工穴数)が2487となり、耐久性も良好となった。また、めねじ精度についても良好であった。
発明品Eのスパイラルタップは、突円形状部32の幅HwをH/50としたものである。このスパイラルタップにあっても、初期めねじ精度が止りゲージ0.5回転と良好な結果が得られた。また、その後の耐久試験については、耐久数が2830になると摩耗が大きくなったため試験を終了した。前記摩耗の判断は、通りゲージが通らなくなったときに摩耗大と判断した。すなわち、耐久数が2830でめねじ精度が不合格となった。なお、スパイラルタップの摩耗が大きくなると通りゲージが通らなくなるのは、スパイラルタップの摩耗に従ってタップの切削量が小さくなるためである。このように、発明品Eのスパイラルタップは耐久性にも優れ(耐久数2830)、チッピングも殆ど見られなかった。
発明品Fのスパイラルタップは、突円形状部32の幅HwをH/30としたものである。このスパイラルタップにあっても、初期めねじ精度が止りゲージ0.5回転と良好な結果が得られた。また、その後の耐久試験については、耐久数が2854となったときに摩耗が大きくなった(めねじ精度不合格)ため試験を中止した。この発明品Eについても耐久性に優れ(耐久数2854)、チッピングも殆ど見られなかった。発明品Gのスパイラルタップは、突円形状部32の幅HwをH/20としたものである。このスパイラルタップにあっても、初期めねじ精度が止まりゲージ0.5回転と良好な結果が得られた。また、その後の耐久試験については、耐久数が2349になると異音が発生したため試験を中止したが、耐久数が2349と耐久性にも優れている。
比較品Hのスパイラルタップは、突円形状部32の幅HwをH/10としたものである。このスパイラルタップにあっても、初期めねじ精度が止りゲージ0.5と良好な結果が得られた。また、その後の耐久試験にあっては、耐久数560で切りくず形状に変化が生じて不安定となり、スパイラルタップも折損した。
比較品Iのスパイラルタップは、突円形状部32の幅HwをH/5としたものである。このスパイラルタップにあっても、初期めねじ精度が止りゲージ0.5と良好であった。また、その後の耐久試験にあっては、耐久数7で切りくず形状に変化が生じて不安定となり折損した。このように突円形状部32の幅HwがH/10を超えると、折損しやすく切りくず形状に変化が生じて不安定となる。
これより、突円形状部32の幅HwがH/80〜H/20の範囲内において、めねじ精度も安定し、チッピングも抑制されることが確認された。特に、突円形状部32の幅wがH/50〜H/30の範囲内において耐久性の改善が顕著となった。
上述のように、本実施例によれば、切れ刃28のすくい面30に突円形状32が形成されることで、チッピングが抑制される。また、スパイラルタップ10が被削材に食い付いたときの負側に作用するスラスト荷重Fsが低減され、スパイラルタップ10が進みすぎることもなくなってめねじ精度が安定する。
また、本実施例によれば、突円形状部32の幅Hwは、めねじの基準ねじ山高さHの1/80乃至1/20の範囲内とされることで、チッピングが抑制されつつめねじ精度も安定する。
また、本実施例によれば、突円形状部32は、研磨加工によってねじ山18を形成する際に切れ刃28に形成されるバリ36に、ガラスビーズを用いたブラスト処理を施すことで、容易に形成できる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例のスパイラルタップ10は、ねじれ溝20が形成されているが、溝の形状はストレート溝あるいはスパイラポイント溝であっても構わない。
また、前述の実施例のスパイラルタップ10は3枚刃で構成されているが、刃数については特に限定されない。
また、前述の実施例では、バリ36にガラスビーズを用いたブラスト処理を施すことで突円形状部32が形成されるが、必ずしもガラスビーズに限定されず、スチールボールなど他の材料を用いたブラスト処理を実行しても構わない。
また、前述の実施例では、突円形状部32が切れ刃28に沿って連続して形成されているが、ねじ山の山頂のみに形成されるものであっても構わない。また、食付き部22だけなく、完全山部24にも形成されても構わない。
また、前述の実施例では、突円形状部32の断面が半円形状に形成されているとしたが、必ずしもこれに限定されず、例えば楕円形状など突状に変化するものであれば構わない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:スパイラルタップ(ねじ切削用タップ)
18:ねじ山
20:ねじれ溝(溝)
22:食付き部
24:完全山部
28:切れ刃
32:突円形状部(突状部)
36:バリ
H:基準ねじ山高さ
Hw:突円形状部の幅

Claims (3)

  1. 食付き部の先端から完全山部に向かうに従って不完全な形状から完全な形状となるねじ山が、軸方向に伸びる溝によって周方向に分断され、該分断されたねじ山の一端部に該溝に沿って切れ刃が形成されているねじ切削用タップにおいて、
    少なくとも前記食付き部の山頂およびねじ山フランクに形成される前記切れ刃には、該切れ刃のすくい面から回転方向に突き出し、該切れ刃に沿って連なる突状部が形成されている
    ことを特徴とするねじ切削用タップ。
  2. 前記突状部を軸直角な断面で切断したときの径方向の寸法で定義される該突状部の幅は、前記めねじの基準ねじ山高さの1/80乃至1/20の範囲内とされていることを特徴とする請求項1のねじ切削用タップ
  3. 食付き部の先端から完全山部に向かうに従って不完全な形状から完全な形状となるねじ山が、軸方向に伸びる溝によって周方向に分断され、該分断されたねじ山の一端部に該溝に沿って切れ刃が形成されているねじ切削用タップの製造方法において、
    少なくとも前記食付き部の山頂およびねじ山フランクに形成される前記切れ刃には、該切れ刃のすくい面から回転方向に突き出し、該切れ刃に沿って連なる突状部が形成されており、
    前記突状部は、研削砥石を用いた研磨加工によって前記ねじ山を形成する際に前記切れ刃に形成されるバリを、ガラスビーズを用いたブラスト処理を施すことで形成される
    ことを特徴とするねじ切削用タップの製造方法
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