JP2005279832A - 直溝タップ - Google Patents

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広之 浅川
Isamu Watanabe
勇 渡邉
Ryuji Kasahara
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Abstract

【課題】 切りくずをより細かく分断して、切りくず詰まりの発生を抑制することができる直溝タップを提供すること。
【解決手段】 直溝4の一方の側面、即ち、切削面となる側の側面には、副溝5が凹設深さd、延設長さL及び傾斜角αを有して凹設されている。おねじ部3には、この副溝5によって、切れ刃が形成されると共に、所定のすくい角が付与される。被加工物の下穴表層部を切削する場合には、その切削によって生じる切りくずが副溝5に沿って押し出され、より細かく分断されるので、切りくず詰まりの発生が抑制され、その結果、切れ刃の欠損や工具本体の折損などの発生が抑制される。
【選択図】 図2

Description

本発明は直溝タップに関し、特に、切りくずをより細かく分断して、切りくず詰まりの発生を抑制することができる直溝タップに関するものである。
一般に、めねじの形成にはタップが使用される。このタップには、タップの軸に対してねじれたねじれ溝を有するねじれ溝タップ(スパイラルタップ)や、タップの軸に対して平行な直溝を有する直溝タップ(ハンドタップ)などがある。
スパイラルタップは、切りくずを後方(シャンク側)へ排出することができるため、止まり穴の加工に多用されるが、ねじれ溝がおねじ部と同方向へ大きなねじれ角でねじれているため、切れ刃の刃先角が小さくなって欠け易いという欠点がある。これに対し、直溝タップでは、切れ刃の刃先強度を大きくすることができるので、高硬度の被削材にも対応することができる。
ところで、直溝タップでは、切れ刃がタップの軸に平行とされる。よって、切削に際しては、切りくずにタップの軸方向への分力は作用しないので、切りくずは切削方向前方へ押し出されるのみとなる。従って、切りくずが切れ刃部位に停滞して、切れ刃の浸入が阻害されるため、タップを無理にねじ込もうとすると、切りくず詰まりの発生によって、ねじ山を潰したり、切れ刃の欠けや工具本体の折損を招いたりする。そのため、タップを頻繁にねじ戻して切りくずを排出する作業が必要となる。
そこで、実開昭61−64928号公報には、凹溝(直溝)の切削面となる側の側面をねじ部軸線に対して傾斜させ、その溝巾がねじ部先端方向に向かって末広がりとなるように構成する技術が記載されている。この技術によれば、切削面がタップ進行方向に前傾されるので、切りくずにタップの軸方向への分力が作用して、切りくずを切り刃部に停滞させることなくタップ進行方向へ押し出すことができる。その結果、切りくずを凹溝内へ留めて、切り刃部での切りくず詰まりを抑制することができる。
実開昭61−64928号公報(図1〜図4など)
しかしながら、上述したタップでは、切りくずが凹溝(直溝)に沿って押し出され、その凹溝の径に合った螺旋状となるため著しく大径となり、凹溝内に詰まるという問題点があった。その結果、切りくずの排出性が損なわれ、切りくず詰まりが発生することにより、切れ刃の欠けや工具本体の折損を招くという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、切りくずをより細かく分断して、切りくず詰まりの発生を抑制することができる直溝タップを提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載の直溝タップは、軸回りに回転される工具本体と、その工具本体の先端側に設けられる食付き部とその食付き部に連設される完全ねじ山部とを有するおねじ部と、前記工具本体の軸に対して略平行な直溝とを備えるものであり、前記直溝に凹設され、前記おねじ部と交わる稜線部に切れ刃を形成する副溝を備え、その副溝が前記完全ねじ山部の外径から凹設される凹設深さdは、少なくとも前記食付き部において、前記おねじ部の谷底以上の深さ、かつ、前記完全ねじ山部のとがり山の高さHに対して略2.5H以下の深さとなるように構成され、前記副溝が前記工具本体の軸に対して傾斜する傾斜角αは、0°を越え、かつ、前記おねじ部のねじ山のリード角βに対して略4β以下の範囲となるように構成されている。
請求項2記載の直溝タップは、請求項1記載の直溝タップにおいて、前記副溝が前記工具本体の先端から延設される延設長さLは、前記食付き部の長さ以上、かつ、前記食付き部の長さに前記完全ねじ山部の10山分のねじ山長さを加えた長さ以下の範囲となるように構成されている。
請求項3記載の直溝タップは、請求項1又は2に記載の直溝タップにおいて、前記副溝の底部は、前記工具本体の軸に略垂直な断面形において、略円弧状に構成されており、その円弧は、前記直溝の円弧よりも小径に構成されている。
請求項4記載の直溝タップは、請求項1から3のいずれかに記載の直溝タップにおいて、前記副溝の底部は、その副溝の傾斜角α方向に略平行な断面形において、略円弧状に構成されると共に、前記工具本体の後端側へ向かうに従って、その副溝の凹設深さが漸次浅くなるように構成されている。
請求項1記載の直溝タップによれば、直溝に凹設され、おねじ部と交わる稜線部に切れ刃を形成する副溝を備えているので、かかる副溝で切りくずをより細かく分断して、切りくず詰まりの発生を抑制することができるという効果がある。
ここで、副溝が完全ねじ山部の外径から凹設される凹設深さdは、少なくとも食付き部において、谷底以上の深さを有するように構成されているので、切りくずを確実に分断することができるという効果がある。即ち、切りくずを分断するためには、副溝のすくい面に切りくずを沿わせて、切りくずを小さくカールする必要がある。そのため、実際に切削が行われる谷径より上の部分に副溝を設けたのでは、切りくずがすくい面に沿わなくなるため、良好な切りくずの分断を行うことが困難となるのである。
また、谷径より上の部分に副溝を設けると、外径から谷径までの切削面中に段差が形成され(即ち、副溝によるすくい面と直溝によるすくい面とが交わる稜線部に段差が形成され)、その段差を起点として欠けが発生する。これに対し、本発明のように、少なくとも食付き部において、副溝の凹設深さが谷底以上の深さとなるように構成すれば、外径から谷径までの切削面中に段差が発生することを回避することができるので、その段差を起点として発生する欠けを未然に防止することができるという効果がある。
一方、その凹設深さdは、少なくとも食付き部において、完全ねじ山部のとがり山の高さHに対して、略2.5H以下の深さを有するように構成されているので、切りくずを十分に細かく分断して、切りくず詰まりを確実に抑制することができるという効果がある。
更に、副溝の凹設深さdは、食付き部においてのみ規定され、完全ねじ山部においては規定されていない。よって、副溝を凹設加工する工程では、完全ねじ山部における副溝の凹設深さを管理する必要がないので、加工を容易として、その分、副溝の加工コストを低減することができるという効果がある。
更に、副溝が工具本体の軸に対して傾斜する傾斜角αは、0°を越えるように構成されているので、切りくずへ工具本体の軸方向への分力を作用させ、切りくずをタップ進行方向へ押し出すことができるという効果がある。その結果、切れ刃部に切りくずが停滞して、その切りくずによって切れ刃の浸入が阻害されるという不具合が抑制される。
一方、この傾斜角αは、おねじ部のねじ山のリード角βに対して、略4β以下となるように構成されているので、切りくずをタップ進行方向へ押し出す力が大きくなり過ぎて、切りくずを直溝へ留めることなく下穴の穴底へ押し出してしまうという不具合を抑制することができるという効果がある。その結果、止まり穴の加工においては、その止まり穴の谷底いっぱいまで切削(タッピング)することができる。
また、かかる傾斜角αを略4β以下とすることにより、副溝を直溝の一方の側面に凹設加工する場合に、研削砥石等の工具が直溝の他方の側面に干渉することを抑制することができるので、かかる凹設加工が容易となり、その分、副溝の加工コストを低減することができるという効果がある。
なお、直溝タップで切削を行う場合、排出される切りくずの方向は、ねじ山のリード角βの影響を受ける。具体的には、ねじ山のリード角βが大きくなるほど、切りくずは、タップ進行方向の逆側(即ち、切削進行方向の逆側であって、シャンク側)に流れる傾向がある。そのため、上述のように、副溝にねじ山のリード角βと逆方向の傾斜角α(0°を越え、略4β以下)を与えることで、切りくずを工具本体の軸に対して垂直方向へ排出することができるという効果がある。この場合には、副溝の傾斜角αをねじ山のリード角βと同程度とすることで上記効果をより発揮することができる。
請求項2記載の直溝タップによれば、請求項1記載の直溝タップの奏する効果に加え、副溝が工具本体の先端から延設される長さLは、食付き部の長さ以上とされているので、食付き部から発生する切りくずを副溝によって確実に分断することができるという効果がある。また、かかる副溝を食付き部を越えて完全ねじ山部まで延設した場合には、その副溝の凹設空間によって、完全ねじ山部の切れ刃部に形成される切りくずの収納空間を拡大することができるので、その分、完全ねじ山部における切りくず詰まりの発生をより一層抑制することができるという効果がある。
一方、この延設長さLは、食付き部の長さに完全ねじ山部の10山分のねじ山長さを加えた長さ以下とされているので、副溝を凹設するための工数を抑制して、その分、加工コストを低減することができるという効果がある。
請求項3記載の直溝タップによれば、請求項1又は2に記載の直溝タップの奏する効果に加え、副溝の底部は、工具本体の軸に略垂直な断面形において、略円弧状に構成されているので、かかる副溝の底部に沿って切りくずをスムーズに押し出すことができるという効果がある。更に、その副溝の円弧は、直溝の円弧よりも小径とされているので、切りくずを副溝の径に合った形状、即ち、直溝の径よりも細かな形に分断して排出することができるので、切りくずが直溝内に詰まることを抑制して、切りくず詰まりに起因する切れ刃の欠けや工具本体の折損等をより確実に抑制することができるという効果がある。
請求項4記載の直溝タップによれば、請求項1から3のいずれかに記載の直溝タップの奏する効果に加え、副溝の底部は、その副溝の傾斜角α方向に略平行な断面形において、略円弧状に構成されると共に、工具本体の後端側へ向かうに従って、その副溝の凹設深さが漸次浅くなるように構成されている。よって、副溝を凹設加工する場合には、その副溝の底部円弧径に外径が一致する略円盤状の研削砥石等の加工工具を使用することができ、その結果、その凹設加工を高効率に行うことができる。
即ち、副溝の底部が傾斜角α方向に略平行な断面形において略直線状であれば、小径の加工工具を延設方向へ移動させつつ凹設加工を行う必要が生じ、加工時間が嵩むため、加工効率の悪化を招くところ、上記のような加工工具を使用することができれば、加工工具を直溝内に配置した後、その加工工具の側面を直溝の一方の側面へ押し当てるだけで、副溝を容易に凹設することができ、加工工具を副溝の延設方向(図2略左右方向)へ移動させる必要がなくなると共に、加工工具の直径も十分に大径のものを使用することができるので、加工時間を短縮して、その加工効率の向上を図ることができるのである。
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明における直溝タップ1の正面図である。まず、図1を参照して直溝タップ1の全体構成について説明する。
直溝タップ1は、ホルダー(図示せず)を介して加工機械(例えば、マシニングセンター)から伝達される回転力とねじのリードに合った送りとによって、被加工物の下穴にめねじを形成する工具であり、上記ホルダーに保持される工具本体2と、その工具本体2の先端側(図1右側)に形成されるおねじ部3と、軸Oに対して略平行な直溝4と、その直溝4に凹設される副溝5とを主に備えて構成されている。
なお、直溝タップ1によるめねじ加工は、機械加工に限られず、手作業によって行われても良い。
工具本体2は、高速度工具鋼を材質として軸Oを有する円柱状に形成されており、その後端側(図1左側)には、断面四角形状のシャンク四角部が形成されている。なお、工具本体2の材質は、高速度工具鋼に限られず、例えば、超硬合金などの他の材質から構成されていても良い。
おねじ部3は、図1に示すように、工具本体2の先端側に配設される2山の食付き部3aと、それに連設される完全ねじ山部3bとを備え、後述する直溝4および副溝5と交わる稜線部に切れ刃が形成されている。なお、おねじ部3には、その全長に亘ってTiCNコーティング膜が公知の表面処理手段によって設けられている。
食付き部3aは、被加工物の下穴内を螺進しつつその表層部を切削してめねじを形成するための部位であり、その外径が先端側(図1右側)に向かうほど小径となるテーパ状に形成されている。この食付き部3aは、不完全山の各切れ刃が所定の切込み量を分担して切削を行い、食付き部3a全体で完全なねじ山を被加工物の下穴に形成する。なお、食付き部3aの長さは、特に限定されるものではなく、任意の山数で良い。
完全ねじ山部3bは、被加工物へのめねじ切削過程において、主に、めねじ表面の仕上げとガイド或いは自己案内性を向上させる部位であり、被加工物の下穴表層部に形成すべきめねじのねじ山(谷)の形状と略一致して形成されている。
おねじ部3の外周には、そのねじ山を分断しつつ工具本体2の軸Oと略平行に延びる4条の直溝4が周方向略等間隔に凹設されている(図3参照)。なお、おねじ部3に配設される直溝4の溝数は、特に限定されるものではなく、直溝タップ1の呼び径等に応じて適宜変更される。
直溝4の一方の側面、即ち、切削面となる側の側面には、図1に示すように、副溝5が形成されている。おねじ部3には、この副溝5によって、切れ刃が形成されると共に、所定のすくい角が付与される。ここで、図2及び図3を参照して、この副溝5の詳細構成について説明する。
図2は、直溝タップ1の部分拡大図であり、工具本体2の先端部を示している。また、図3は、図2のIII−III線における直溝タップ1の断面図である。なお、図3では、理解を容易とするために、工具本体2をおねじ部3のねじ山の谷底に沿って切断した図を模式的に示している。
副溝5は、被加工物の下穴表層部を切削する際に生じる切りくずをより細かく分断して、切りくず詰まりの発生を抑制するための凹溝であり、図2及び図3に示すように、直溝4の一方の側面(切削面側)に、凹設深さd、延設長さL及び傾斜角αを有して、凹設されている。
ここで、副溝5の凹設深さdとは、軸Oを含む断面形において、完全ねじ山部の外径からの凹設深さを意味し(図2参照)、少なくとも食付き部においては、谷底以下の深さで、かつ、完全ねじ山部3bのとがり山の高さHに対して略2.5Hの深さよりも浅く構成されることが好ましい。
なお、完全ねじ山部3bのとがり山の高さHとは、ねじのフランクを山頂方向に延長して交わってできるつる巻き線が含まれる仮想的な円筒と、ねじのフランクを谷底方向に延長して交わってできるつる巻き線が含まれる仮想的な円筒との間を軸線に直角に測った距離をいう。
副溝5の凹設深さdが浅すぎる場合には、良好な切りくずの分断が困難となる。即ち、切りくずを分断するためには、副溝5のすくい面に切りくずを沿わせて、切りくずを小さくカールする必要がある。そのため、実際に切削が行われる部分(即ち、谷径より上の部分)に副溝5を設けたのでは、切りくずがすくい面に沿わなくなるため、良好な切りくずの分断を行うことが困難となる。
これに対し、本発明の直溝タップ1のように、副溝5の凹設深さを、少なくとも食付き部3aにおいて、谷底よりも深くなるように構成すれば、切りくずをすくい面に沿わせて、切りくずの分断を良好に行うことができる。
また、副溝5を谷径より上の部分に設けると、外径から谷径までの切削面中に段差が生じ(即ち、副溝5により形成されるすくい面と、直溝4により形成されるすくい面とが交わる稜線部に段差が形成され)、その部位の剛性が弱くなる。そのため、切削を行う場合には、上記切削面に沿って切りくずが押し出される際に、段差を起点として欠けが発生する。
これに対し、本発明の直溝タップ1のように、少なくとも食付き部3aにおいて、副溝の凹設深さを谷底以上の深さとなるように構成すれば、直溝タップ1の上記切削面に段差が発生することを回避することができるので、その段差を起点として欠けが発生することを未然に防止することができる。
一方、副溝5の凹設深さdが深くなり過ぎると、副溝5で切りくずを適切に分断することができず、切りくずが大径の螺旋形となるため、切りくず詰まりを招き易くなるところ、本発明の直溝タップ1のように、食付き部3aにおける凹設深さdを略2.5H以下に制限することで、切りくずを十分に細かく分断して、切りくず詰まりを確実に抑制することができる。
なお、副溝5の凹設深さdは、食付き部3aにおいてのみ規定され、完全ねじ山部3bにおいては規定されていない。即ち、副溝5を凹設加工する工程においては、食付き部3aにおける凹設深さdのみを管理すれば良く、完全ねじ山部3bにおける副溝5の凹設深さを管理する必要がないので、その分、副溝5の凹設加工を容易として、工数を低減することができるので、副溝5の加工コストを低減することができる。
次いで、副溝5の延設長さLについて説明する。副溝5の延設長さLとは、図2に示すように、副溝5が工具本体2の先端(図2右側)から軸O方向に延設される長さを意味し、食付き部3aの長さ以上であって、かつ、食付き部3aの長さに完全ねじ山部3bの10山分のねじ山長さを加えた長さ以下であることが好ましい。
このように、副溝5の延設長さLを少なくとも食付き部3aの長さと同等以上だけ確保することで、食付き部3aから発生する切りくずを副溝5によって確実に分断して、切りくず詰まりに起因する種々の不具合を未然に防止することができる。
また、かかる副溝5の延設長さLを食付き部3aを越えて完全ねじ山部3bまで延設した場合には、その副溝5の凹設空間によって、完全ねじ山部3bの切れ刃部(切削面)に形成される切りくずの収納空間を拡大することができるので、完全ねじ山部3bにおける切りくず詰まりの発生をより一層抑制することができる。
一方、副溝5の延設長さLが不必要に長くされると、副溝5を凹設するための工数が増加して、加工コストが嵩むところ、本発明の直溝タップ1のように、副溝5の延設長さLを食付き部3aの長さに完全ねじ山部の10山分のねじ山長さを加えた長さ以下に制限することで、副溝5を凹設するための工数を抑制して、その分、加工コストを低減することができる。
なお、本実施例では、副溝5の延設長さLが、図2に示すように、工具食付き部3aの長さに完全ねじ山部の10山分のねじ山長さを加えた長さとされている。
次いで、副溝5の傾斜角αについて説明する。副溝5の傾斜角αとは、図2に示すように、副溝5とおねじ部3との稜線部(切れ刃)が工具本体2の軸Oに対して傾斜する傾斜角を意味し、0°を越え、かつ、おねじ部3のねじ山のリード角β(図示せず)に対して、略4β以下の角度であることが好ましい。なお、傾斜角αは、図2に示すように、リード角βとは逆方向である。
このように、副溝5の傾斜角αを0°を越えた角度とすることで、切りくずに工具本体2の軸O方向への分力を作用させて、かかる切りくずを直溝タップ1の進行方向(図2右方向)へ押し出すことができるので、切れ刃部に切りくずが停滞することを防止することができる。その結果、被加工物の下穴表層部への切れ刃の浸入が切りくずによって阻害されるという不具合を抑制することができる。
一方、この傾斜角αを不必要に大きくすると、切りくずを直溝タップ1の進行方向へ押し出す力が大きくなり過ぎて、切りくずが直溝4に留まることなく下穴の穴底へ押し出されてしまうところ、本発明の直溝タップ1のように、傾斜角αをおねじ部3のねじ山のリード角βに対して、略4β以下の傾斜角に制限することで、切りくずを直溝タップ1の進行方向へ押し出す力を適正にして、切りくずを直溝4に留めておくことができる。その結果、止まり穴の加工においては、その止まり穴の谷底いっぱいまで切削(タッピング)することができる。
また、このように、傾斜角αを略4β以下とすることで、副溝5を直溝4の一方の側面に凹設する場合に、研削砥石等の加工工具が直溝4の他方の側面に干渉することを抑制することができるので、かかる凹設加工が容易となり、その分、副溝5の加工コストを低減することができる。
なお、直溝タップ1、即ち、直溝タイプのタップで切削を行う場合、排出される切りくずの方向は、ねじ山のリード角βの影響を受ける。具体的には、ねじ山のリード角βが大きくなるほど、切りくずは、タップ進行方向の逆側(図2左側)に流れる傾向がある。そのため、上述のように、副溝5にねじ山のリード角βと逆方向の傾斜角α(0°を越え、略4β以下)を与えることで、切りくずを工具本体2の軸Oに対して垂直方向へ排出することができる。
この場合には、副溝の傾斜角αをねじ山のリード角βと同程度(例えば、0°を越え、かつ、略2β以下の範囲)とすることが好ましい。上記効果をより発揮することができるからである。
なお、副溝5の底部は、副溝5の傾斜角α方向に略平行な断面形において、略円弧状に構成されると共に、工具本体2の後端側(図2左側)へ向かうに従って、その副溝5の凹設深さが漸次浅くなるように構成されている(図2参照)。
よって、かかる副溝5を凹設加工する場合には、その副溝5の底部円弧径に外径が一致する略円盤状の研削砥石等の加工工具を使用することができ、その結果、その凹設加工を高効率に行うことができる。
即ち、副溝5の底部が傾斜角α方向に略平行な断面形において略直線状であれば、小径の加工工具を回転駆動させつつ延設方向へ進退移動させて凹設加工を行う必要が生じ、加工時間が嵩むため、加工効率の悪化を招くところ、上記のような加工工具を使用することができれば、加工工具を回転駆動させつつ直溝4内に配置した後、その加工工具の側面を直溝4の一方の側面へ押し当てるだけで、副溝5を容易に凹設することができ、加工工具を副溝5の延設方向(図2略左右方向)へ進退移動させる必要がなくなると共に、加工工具の直径も十分に大径となるので、加工時間を短縮して、その加工効率を向上することができるのである。
また、副溝5の底部は、図3に示すように、工具本体2の軸Oに略垂直な断面形において、略円弧状に構成されているので、かかる副溝5に沿って切りくずをスムーズに押し出すことができる。更に、その副溝5の底部円弧は、直溝4の円弧よりも小径とされているので、切りくずを副溝5の径に合った形状、即ち、直溝4に沿って押し出される場合よりも細かな形状に分断して排出することができるので、切りくずが直溝4内に詰まることを抑制して、切りくず詰まりに起因する切れ刃の欠けや工具本体2の折損等をより確実に抑制することができる。
次いで、上述のように構成された直溝タップ1を用いて行った切削試験について説明する。この切削試験は、副溝5の形状による切りくずの変化を確認する試験である。なお、図4は、切削試験において発生した切りくずの正面図であり、図5は、切削試験に用いたタップの副溝形状を示す図である。
切削試験の詳細諸元は、被削材:JIS−S40C相当材、下穴:φ10×15.6mm(止まり穴)、使用機械:マシニングセンタ、切削油材:水溶性油(外部給油)、切削速度:2.4m/min(130回転/min)、ねじ立て長さ:12.3mmである。
また、切削試験には、図5に示す6種類のタップ(以下、「測定No.1〜No.6」と称す。)を用いて行った。これら各タップは、本実施例で説明した直溝タップ1と同様に構成されるものであるが、その副溝5の形状(傾斜角α、凹設深さd)がそれぞれ相違する。但し、延設長さLはいずれのタップも同じ長さである(図2参照)。
また、いずれのタップも同一の工具材料(高速度工具鋼)から構成され、各タップの呼びは、M11×1(ねじのリード角β:1°45’、完全ねじ山部3bのとがり山の高さH:略0.866mm)とされている。
切削試験の結果、凹設深さdを2.3mmとした場合には、切りくずが細かく分断されず、螺旋状の切りくずが生成されたのに対し、凹設深さdを1.6mmとした場合には、切りくずが細かく分断されることが確認された。また、傾斜角αを8°とした場合には、下穴の穴底に多くの切りくず残りが見られたのに対し、傾斜角αを0°30’又は4°とした場合には、下穴の穴底に切りくず残りはほとんど見られなかった。
具体的には、測定No.2,No.4、No.6では、凹設深さdが深すぎるため、切りくずを十分に細かく分断することができず(図4(b)の切りくずC10)、その結果、完全ねじ山部3bへの切りくずの噛み込みによって、切れ刃の折損などの不具合が発生した。また、測定No.5では、切りくずを細かく分断することはできたが、傾斜角αが大きすぎたため、下穴の穴底への切りくず残りが多く見られた。
これに対して、測定No.1,No.3では、切りくずを適切な細かさで分断することができ(図4(a)の切りくずC1〜C3)、かつ、下穴の穴底への切りくず残りの発生も見られなかった。なお、測定No.3は、測定No.1に比較して、切りくずの形状ばらつきが少なく、切りくずをより安定して排出することができた。
以上の結果より、本発明の直溝タップ1のように、直溝4に副溝5を凹設することで、切りくずをより細かく分断して、切りくず詰まりに起因する種々の不具合の発生を抑制できることが確認された。また、副溝5の形状については、その傾斜角αを略0°を越え、かつ、略4β以下の範囲とし、更に、凹設深さdをおねじ部3の谷底よりも深く、かつ、略2.5Hよりも浅い範囲とすることで、顕著な効果を奏することが確認された。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定される物ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、本実施例では、直溝タップ1がメートル細目ねじ用のタップとして構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるわけではなく、直溝タップ1を他の種類のねじ用のタップとして構成することが当然可能である。なお、他の種類のねじとしては、例えば、メートル並目ねじ、ユニファイ並目・細目ねじ、ウイットねじ、ミニチュアねじ、ミシンねじ、自転車ねじ等が例示される。
本発明の一実施例における直溝タップの正面図である。 直溝タップの部分拡大図である。 図2のIII−III線における直溝タップ1の断面図である。 切削試験において発生した切りくずの正面図である。 切削試験に用いたタップの副溝形状を示す図である。
符号の説明
1 直溝タップ
2 工具本体
3 おねじ部
3a 食付き部
3b 完全ねじ山部
4 直溝
5 副溝
O 軸
d 副溝の凹設深さ
L 副溝の延設長さ
α 副溝の傾斜角
β おねじ部のねじ山のリード角
H 完全ねじ山部のとがり山の高さ

Claims (4)

  1. 軸回りに回転される工具本体と、その工具本体の先端側に設けられる食付き部とその食付き部に連設される完全ねじ山部とを有するおねじ部と、前記工具本体の軸に対して略平行な直溝とを備えた直溝タップにおいて、
    前記直溝に凹設され、前記おねじ部と交わる稜線部に切れ刃を形成する副溝を備え、
    その副溝が前記完全ねじ山部の外径から凹設される凹設深さdは、少なくとも前記食付き部において、前記おねじ部の谷底以上の深さ、かつ、前記完全ねじ山部のとがり山の高さHに対して略2.5H以下の深さとなるように構成され、
    前記副溝が前記工具本体の軸に対して傾斜する傾斜角αは、0°を越え、かつ、前記おねじ部のねじ山のリード角βに対して略4β以下の範囲となるように構成されていることを特徴とする直溝タップ。
  2. 前記副溝が前記工具本体の先端から延設される延設長さLは、前記食付き部の長さ以上、かつ、前記食付き部の長さに前記完全ねじ山部の10山分のねじ山長さを加えた長さ以下の範囲となるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の直溝タップ。
  3. 前記副溝の底部は、前記工具本体の軸に略垂直な断面形において、略円弧状に構成されており、
    その円弧は、前記直溝の円弧よりも小径に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の直溝タップ。
  4. 前記副溝の底部は、その副溝の傾斜角α方向に略平行な断面形において、略円弧状に構成されると共に、前記工具本体の後端側へ向かうに従って、その副溝の凹設深さが漸次浅くなるように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の直溝タップ。
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