JP4186447B2 - 樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂組成物の製造方法に関し、詳しくは、例えば、プリント配線用基板や、定着部材等の電子写真用部材などに好適に利用可能な、耐熱樹脂層表面に金属層を有する樹脂組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐熱性樹脂からなる薄板、または芯材に耐熱性樹脂を含浸させた薄板に銅、アルミニウム等の導電性金属の薄膜を積層したものは、従来よりプリント配線用基板として広く用いられている。また、電子写真方式、静電記録方式等、乾式のトナーを用いる画像形成装置においても、トナー像を熱と圧力により定着する定着ベルト等として、耐熱性樹脂と金属薄膜とを積層したフィルムを無端状ベルトにして用いられることがある。このような定着ベルトは、電子写真プロセスにより形成された未定着トナー像を電磁誘導加熱して加圧定着を行うものである。
【0003】
このような定着ベルトは、例えば、厚さが50〜200μmの熱硬化性ポリイミド、芳香族ポリイミド(アラミド)、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂からなるフィルム状部材と厚さが1〜50μm程度の銅の薄膜とを積層し、その上に必要に応じて耐熱性弾性層、さらに耐熱性離型層を形成した無端状ベルトとしたものが用いられる。なお、液晶ポリマーは、溶液状態又は溶融状態で液晶性を示すポリマーであるが、溶融状態で液晶性を示すサーモトロピック液晶ポリマーは、特に高強度、高耐熱、低線膨張率、高絶縁、低吸湿、高ガスバリアー性等の優れた特性を持っている。このため、液晶性を利用するものに限らず、機械的な部品や繊維としての用途も増加している。
【0004】
上記のように、耐熱性樹脂の層と金属薄膜とを積層したフィルム状部材の製造は、耐熱性樹脂のフィルムと金属箔とを接着剤等によって張り合わせる方法、耐熱性樹脂のフィルム上に化学メッキ法もしくは物理メッキ法により金属薄膜を形成する方法等が知られている。
【0005】
しかしながら、上記のように接着剤等で張り合わせる方法では、金属薄膜がくり返し電磁誘導加熱された時の接着力に信頼性が乏しい。また、耐熱性樹脂の上に金属薄膜を形成する方法でも、一般にポリイミドや芳香族ポリアミド(アラミド)のような耐熱性樹脂と銅等の金属薄膜とを強固に付着させるのが難しい。このため、付着性を向上させるための技術が開示されており、例えば特開平5−299820号公報には、ポリイミドに金属蒸着膜を形成し、その後に電子ビーム加熱蒸着銅層及び電解メッキ銅層を順次積層する技術が提案されている。
【0006】
また、特開平6−316768号公報には、ポリイミドにフッ素を含有させておき、このフッ素を接着サイトとするために、まず、ヒドラジンを含有する水溶液を用いて1段目のエッチング処理を行い、続いて、ナフタリン−1−ナトリウムで2段目のエッチング処理を行って銅が付着し易くする技術が開示されている。さらに、特開平7−216225号公報には、ポリイミド前躯体に、金属粉末を混合しておくことにより、メッキによる金属膜との接着性を高める技術が開示されている。
【0007】
一方、耐熱性樹脂が芳香族ポリアミド(アラミド)である場合も、特開平6−256960号公報に、ヒドラジンとアルカリ金属水酸化物とを含有する水溶液によってエッチング処理し、次いで無電解メッキのための触媒付与処理を行う技術が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来から知られている技術のように、耐熱性樹脂を成形した後、この上に金属の薄膜を形状する方法では、充分な接着性が得られなかったり、製造工程の合理化が難しい。一方、耐熱性樹脂として液晶ポリマーを用いる場合には、フィルム状にしたものを金属箔と直接に熱圧着することができるが、液晶ポリマーのフィルム状部材は、一般に成形時に著しく配向し一方向に裂け易いものとなってしまう。
【0009】
従って、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、樹脂層と金属層とが高い接着性を有し、耐久性に優れた樹脂組成物の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、本発明は、
<1> 少なくとも表面に多孔質構造を有する樹脂層表面に、金属層が設けられてなり、且つ前記多孔質構造に前記金属層が食い込んでなる樹脂組成物の製造方法であって、
前記樹脂層として、ポリイミド前駆体溶液を塗布してポリイミド前駆体塗膜を形成し、前記ポリイミド前駆体塗膜表面に貫通孔を多数有する溶剤置換速度調節材を被覆し、前記ポリイミド前駆体塗膜を凝固溶媒に接触させて、表面に多孔質構造を有するポリイミド前駆体塗膜を形成し、表面に多孔質構造を有する前記ポリイミド前駆体塗膜を、熱イミド化処理して、表面に多孔質構造を有するポリイミド樹脂層を形成し、
且つ少なくとも表面に多孔質構造を有する前記樹脂層表面に、多孔質構造に前記金属層が食い込んでなる金属層を形成することを特徴とする樹脂組成物の製造方法である。
【0011】
<2> 少なくとも表面に多孔質構造を有する樹脂層表面に、金属層が設けられてなり、且つ前記多孔質構造に前記金属層が食い込んでなる樹脂組成物の製造方法であって、
前記樹脂層として、樹脂材料塗布液を用いてバルク状の樹脂層を形成し、前記バルク状の樹脂層表面に、発泡剤を含む樹脂材料塗布液を用いて多孔質の樹脂層を形成し、
且つ少なくとも表面に多孔質構造を有する前記樹脂層表面に、多孔質構造に前記金属層が食い込んでなる金属層を形成することを特徴とする樹脂組成物の製造方法である。
【0012】
<3> 前記樹脂層として、ポリイミド樹脂を主成分とする層を形成することを特徴とする<2>に記載の樹脂組成物の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明の樹脂組成物と共に、その製造方法についても説明する。
【0015】
本発明の樹脂組成物は、少なくとも表面に多孔質構造を有する樹脂層表面に、金属層が設けられてなり、且つ多孔質構造に金属層が食い込んでなることを特徴とする。樹脂層表面には、多数の細孔が有するので、この細孔を有する樹脂層の表面に金属層を形成すると、樹脂層表面の細孔内部近傍にまで金属が食い込み、密着(接触)面積が大きくなると共に、所謂アンカー効果を得ることができる。このため、本発明の樹脂組成物は、樹脂層と金属層との高い密着性を有し、耐久性に優れる。
【0016】
本発明の樹脂組成物は、少なくとも表面に多孔質構造を有する樹脂層表面に、金属層を形成することで、製造することができる(本発明の樹脂組成物の製造方法)が、この詳細については、以下、各層の構成と共に説明する。
【0017】
まず、樹脂層について説明する。
樹脂層は、金属層が形成される表面近傍のみが多孔質構造であってもよく、層全体が多孔質構造であってもよいが、強度の観点から表面近傍のみが多孔質構造であることが好適である。
この多孔質構造とは、多数の微細な連続孔が層表面から内部にかけて延在している状態を示し、貫通している必要はない。この細孔の大きさ(口径)としは、0.01μm以上100μm以下であることが、上述のように所望とする密着(接触)面積やアンカー効果を得る観点から好ましく、より好ましくは、0.05μm以上10μm以下であり、さらに好ましくは0.1μm以上5μm以下である。細孔の大きさが、0.01μmより小さいと、所望とするアンカー効果が得られないことがあり、100μmより大きいと、金属層自体の表面粗さが粗くなり過ぎることがある。
ここで、細孔の大きさは、樹脂層表面を走査型電子顕微鏡により観察し、その画像を処理した細孔径の平均値を表している。
【0018】
樹脂層を構成する材料としては、所望とする用途によって異なるが、例えば、後述する定着部材用途に用いる場合、耐熱性を有する材料で有ることが好適である。このような耐熱性を有する材料としては、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミド等が挙げられるが、ポリイミド、芳香族ポリアミド(アラミド)、サーモトロピック液晶ポリマーとして分類されるものを使用するのが望ましい。上記サーモトロピック液晶ポリマーには、完全芳香族ポリエステル、芳香族−脂肪族ポリエステル、芳香族ポリアゾメチ、芳香族ポリエステル−カーボネ−ト等がある。これらの中でも、耐熱性や耐磨耗性が高い観点から、ポリイミドが特に好ましい。このポリイミドを用いることで、樹脂組成物として、耐熱性、耐磨耗性が要求される定着部材などに好適に適用可能である。ポリイミドは、熱硬化性のものが望ましく、熱硬化性ポリイミドは、分子主鎖中にイミド基が有機基と直結し、これが繰り返し単位となって、高分子化しているものである。有機基は、例えば、脂肪族基、芳香族基等を意味するが、芳香族基、例えば、フェニル基、ナフチル基、ジフェニル基(2つのフェニル基がメチレン基やカルボニル基を介して結合されたものを含む)である方が、高い使用温度で機械的特性が良好なものとなる。ポリイミド前駆体の一つであるポリアミド酸は、有機酸二無水物と有機ジアミンとの当量を、常温の有機極性溶媒中で縮重合反応させることによって生成することができる。
【0019】
樹脂層の厚さは、用途によって適宜選択することができるが、例えば、定着部材として利用する場合、50〜150μm程度であることが好ましい。また、樹脂層は、単層から構成されてもよし、複数層から構成されていてもよく、各層は同じ材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。
【0020】
樹脂層の形成方法としては、上述のように、本発明においては、少なくとも表面が多孔質構造を有するように構成できれば、特に制限はないが、例えば、以下に示す方法が好適に挙げられる。
(a)樹脂層として、ポリイミド前駆体溶液を塗布してポリイミド前駆体塗膜を形成し(以下、「PI前駆体塗膜形成工程」という)、ポリイミド前駆体塗膜表面に貫通孔を多数有する溶剤置換速度調節材を被覆し、ポリイミド前駆体塗膜を凝固溶媒に接触させて、表面に多孔質構造を有するポリイミド前駆体塗膜を形成し(以下、「PI前駆体析出工程」という)、表面に多孔質構造を有するポリイミド前駆体塗膜を、熱イミド化処理して、表面に多孔質構造を有するポリイミド樹脂層を形成する(以下、「PI樹脂層形成工程」という)方法(以下、この方法を(a)の方法という)。
(b)樹脂層として、樹脂材料塗布液を用いてバルク状の樹脂層を形成し(以下、「バルク状の樹脂層形成工程」という)、前記バルク状の樹脂層表面に、発泡剤を含む樹脂材料塗布液を用いて多孔質の樹脂層(以下、「多孔質の樹脂層形成工程」という)を形成する方法((b)の方法という)。
【0021】
以下、(a)の方法について説明する。
−PI前駆体塗膜形成工程−
PI前駆体塗膜形成工程では、通常、基体表面に、ポリイミド前駆体溶液を塗布することでポリイミド前駆体塗膜を形成するが、当該溶液に使用するポリイミド前駆体としては、ジアミノ化合物とテトラカルボン酸二無水物とから得られるポリアミド酸等が挙げられる。また、ポリイミド前駆体を溶解する溶剤としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン系極性溶剤が挙げられる。
また、ポリイミド前駆体溶液には、目的に応じて、滑剤、可塑剤、導電性粒子、酸化防止剤その他の添加物が添加されてもよい。
【0022】
ポリイミド前駆体含有液は、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン成分とを有機極性溶媒中で反応させポリイミド前駆体を合成することによって得ることできる。
芳香族テトラカルボン酸の代表例としては、次のようなものが挙げられる。例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、あるいはこれらのテトラカルボン酸エステル、または上記各テトラカルボン酸類の混合物等が挙げられる。
一方、芳香族ジアミン成分としては、特に制限はなく、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジメトキシベンチジン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
【0023】
ポリイミド前駆体溶液の基体への塗布量は、所望とする膜厚によるが、200〜1800g/m2とすることが好ましい。200g/cm2未満であると膜厚不足となることがあり、1800g/m2を超えると膜厚過多となることがある。
【0024】
ポリイミド前駆体溶液を塗布する方法は特に制限されず、例えば特開昭57−74131号公報に記載の遠心成形塗布法、特開昭62−19437号公報に記載の内面塗布法、特開平6−23770号公報に記載の外面塗布法、特開平3−180309号公報に記載の浸漬塗布法、特開平9−85756号公報に記載のらせん塗布法等が挙げられるが、基体として柱状或いは筒体を用いる場合、特願平11−314011号公報等に記載の浸漬塗布法を適用することが好ましい。
【0025】
浸漬塗布法は生産性が高いことが特徴であるが、通常の方法では塗布膜厚が、塗布液の粘度と引き上げ速度に支配される。また、ポリイミド前駆体溶液は濃度が低い割には粘度が非常に高い問題があるので、塗布後の被膜の濡れ膜厚が厚くなりすぎ、所望の膜厚に塗布することが難しい。そこで、塗布液に所定の円孔を設けたフロートを浮かべ、基体をその円孔を通して引き上げる特願平11−314011号に記載の浸漬塗布法を適用することが特に好ましい。この浸漬塗布法におけるフロートの円孔の大きさ(直径)は所望の膜厚により適宜調整することがよい。塗布される濡れ膜厚は、円孔と基体の間隙によって規制され、乾燥膜厚は濡れ膜厚と塗布液の濃度との積になる。但し、上記間隙は所望の濡れ膜厚の1〜3倍であるのがよい。1〜3倍とするのは、塗布液の粘度および/または表面張力、並びに、硬化時の収縮等により、乾燥膜厚が濡れ膜厚に比例するとは限らないからである。
【0026】
−PI前駆体析出工程−
PI前駆体析出工程では、ポリイミド前駆体塗膜を凝固溶媒に接触させる際、ポリイミド前駆体塗膜表面に貫通孔を多数有する溶剤置換速度調節材を被覆しておく。この凝固溶剤は、ポリイミド前駆体には不溶で、ポリイミド前駆体溶液の溶剤(非プロトン系極性溶剤)には相溶する溶剤である。このため、ポリイミド前駆体塗膜を、凝固溶媒に接触させると、ポリイミド前駆体塗膜から溶剤(プロトン系極性溶剤)が凝固溶媒に染み出て、代わりに凝固溶媒が浸透する。ポリイミド前駆体は凝固溶媒には不溶なのでポリイミド前駆体は析出する。この凝固溶剤に接触させる際に、ポリイミド前駆体塗膜表面に、溶剤置換速度調節材を被覆することで、当該調節材の貫通孔からのみ、凝固溶剤がポリイミド前駆体塗膜と接触する。そして、この接触した部分にのみ、溶剤(プロトン系極性溶剤)が凝固溶媒に染み出て、代わりに凝固溶媒が浸透し、ポリイミド前駆体塗膜では、上記調節材の貫通孔の部分にのみ細孔が形成される。このため、表面に多孔質構造を有するポリイミド前駆体塗膜を形成することができる。なお、表面に多孔質構造を有するポリイミド前駆体塗膜を形成後、溶剤置換速度調節材は剥離する。
【0027】
溶剤置換速度調節材は、ポリイミド前駆体塗膜表面に被覆する構造であれば、どのようなものでもよいが、一般的には、シート状のものが用いられる。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、セルロース、ポリフッ化エチレン系繊維(例えば、テフロン(R))等からなる不織布、或いは多孔質膜が挙げられる。また、溶剤置換速度調節材は、多数の貫通孔が設けられてなるが、これは、所望とする多孔質構造によって、その数や大きさは異なる。貫通孔の大きさ(口径)は、所望とするポリイミド樹脂層における多孔質構造の細孔の大きさよりも、大きめに設定することが好適である。
【0028】
凝固溶剤としては、例えば、水、アルコール類(例えばメタノール、エタノール等)、炭化水素類(例えばヘキサン、ヘプタン、等)、ケトン類(例えばアセトン、ブタノン等)、エステル類(例えば酢酸エチル等)が挙げられ、水が最も扱いが簡便で好ましい。
【0029】
ポリイミド前駆体塗膜を凝固溶剤と接触させる方法としては、ポリイミド前駆体塗膜を内面に形成した基体を、凝固溶剤で満たした槽に浸漬する方法、等が好適である。この方法では、ポリイミド前駆体塗膜を凝固溶剤に均一に接触させることができる。この浸漬方法では、より効率よくポリイミド前駆体を析出させ、多孔質構造を形成する観点から、凝固溶剤を攪拌して、溶剤置換速度調節材における貫通孔内部に流通させやすくすることが好ましい。
【0030】
ポリイミド前駆体塗膜を凝固溶剤と接触させる方法としては、その他、ポリイミド前駆体塗膜に凝固溶剤を流下させたり、吹き付けてもよい。
【0031】
PI前駆体析出工程においては、ポリイミド前駆体塗膜を凝固溶剤に接触させる時間により、ポリイミド前駆体塗膜からの非プロトン系極性溶剤の溶出量が変化する。即ち、この時間により、多孔質構造の細孔の大きさや深さ(長さ)などを適宜制御することができる。
また、ポリイミド前駆体塗膜から凝固溶剤への非プロトン系極性溶剤の溶出量は、通常、凝固溶剤の温度が高いほど速くなるので、温度によっても、上記多孔質構造の細孔の大きさや深さなどを適宜制御することができる。
さらに、凝固溶剤にあらかじめ非プロトン系極性溶剤を混合しておくことにより、ポリイミド前駆体塗膜からの非プロトン系極性溶剤の溶出量を調整することもできるので、これによっても、上記多孔質構造の細孔の大きさや深さなどを適宜制御することができる。
【0032】
−PI樹脂層形成工程−
PI樹脂層形成工程においては、まず、非プロトン系極性溶剤を除去する目的で、乾燥を行うことが好ましい。乾燥条件は、20〜120℃の温度で10〜60分間、行うのが好ましい。筒状体の内部に温風を送ることも効果的である。乾燥温度は、段階的、または一定速度で上昇させてもよい。
【0033】
乾燥を、基体の長手方向を縦にして行うと、塗膜の一部分に筋やむらが生じることもある。そのような場合には、基体の長手方向を縦にして、さらに回転させることが有効である。回転速度は、10〜100rpm程度が好ましいが、回転装置によってはこれより速くても遅くてもかまわない。基体の長手方向を縦にして回転させることは、筒状体の長手方向を横にして回転させるよりも装置の構造は簡単である。
【0034】
PI樹脂層形成工程において、乾燥の後、好ましくは、350℃前後(好ましくは300〜450℃)の温度で、20〜60分間、ポリイミド前駆体塗膜を加熱することで、熱イミド化処理し、ポリイミド樹脂層を形成することができる。熱イミド化処理の際、溶剤が残留しているとポリイミド樹脂層に膨れが生じることがあるため、熱イミド化処理前には、完全に残留溶剤を除去することが好ましく、具体的には、熱イミド化処理前に、200〜250℃の温度で、10〜30分間加熱乾燥することが好ましく、続けて、温度を段階的、または一定速度で上昇させて、熱イミド化処理することが好ましい。
【0035】
このような方法により、表面に多孔質構造を有するポリイミド樹脂層を形成することができる。
【0036】
以下、(b)の方法について説明する。なお、(b)の方法では、ポリイミド前駆体溶液を用いてポリイミド樹脂層を形成する方法に準じて説明するが、これに限定されるわけではない。
【0037】
−バルク状の樹脂層形成工程−
バルク状の樹脂層形成工程では、上記(a)の方法における、PI析出工程で溶剤置換速度調節材を用いない以外は、同様の工程で、バルク状の樹脂層(ポリイミド樹脂層)を形成することができる。ここで、「バルク状」とは、多孔質構造を有する樹脂層と区別するための文言であり、多孔質構造を有さない樹脂層を意味する。なお、場合によっては、PI析出工程は行わなくてよい。
【0038】
―多孔質の樹脂層形成工程―
多孔質の樹脂層形成工程では、上記(a)の方法におけるポリイミド前駆体溶液中に、発泡剤を添加し、さらに、ポリイミド析出工程で溶剤置換速度調節材を用いない以外は、同様の工程で、バルク状の樹脂層(ポリイミド樹脂層)を形成することができる。このように、多孔質の樹脂層は、樹脂材料(ポリイミド前駆体)と共に、発泡剤を用い、加熱硬化処理(熱イミド化処理)させることで、容易に形成することができる。なお、場合によっては、PI析出工程は行わなくてよい。
【0039】
発泡剤として具体的には、例えば、「セルマイクC191(三協化成(株)製)」(主成分アゾジカルボンアミド)や、「セルマイク417(三協化成(株)製)」(無機系)等が挙げられる。
【0040】
また、(b)の方法のように、樹脂層を複数層で構成する場合、下層の樹脂層を乾燥或いは半硬化させて、上層の樹脂層における加熱硬化(熱イミド化処理)と共に、下層の樹脂層を完全に加熱硬化(熱イミド化処理)させることも好適である。このような方法を取ることで、各層間が溶融接着し優れた接着強度が得られるため好適である。
【0041】
上記(a)、(b)の方法のように、通常は、樹脂層は、基体表面に形成する際、樹脂材料溶液(ポリイミド前駆体溶液)を塗布するが、基体としては、樹脂組成物の使用形態に応じて適宜選択される。例えば、樹脂組成物をフィルム状として使用する場合、基体としては、板状のものが用いられる。ベルト状として使用する場合、例えば、円柱状又は円筒状、楕円柱状又は楕円筒状が用いられる。基体の材質は、アルミニウムや銅、ステンレス等の金属が好ましい。その際、表面をクロムやニッケルでメッキしたり、フッ素樹脂やシリコーン樹脂で表面を被覆したり、あるいは表面にポリイミド樹脂が接着しないよう、表面に離型剤を塗布することも有効である。なお、樹脂組成物は、基体は取り外すことなく使用することもできるので、その使用形態に併せて基体の形状や材質は適宜選択することができる。
【0042】
次に、金属層について説明する。
金属層は、用途によって例えば、銅、ニッケル、クロム、コバルト、鉄、金、銀、錫、亜鉛、アルミニウム又はこれらの合金から構成されること好ましく、単層でもよいし、複数層から構成されてもよい。また、複数層から構成される場合、各層は同じ金属種でもよいし、相互に異なる金属種でもよい。
【0043】
金属層は、例えば、化学メッキ法(例えば、電解メッキ法、無電解メッキ法等)や、物理メッキ法(例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等)等によりに好適に形成することができる。これらのメッキ法は、樹脂層表面の細孔の内部から金属膜(層)が成長するので、接着強度を極めて高くすることができるため、特に好適である。これらのメッキ法により形成される金属層として、具体的には、例えば、無電解メッキ層と電解メッキ層とを順次設けた構成などが好適に挙げられる。また、特に、定着部材用途に用い、熱源として電磁誘導発熱方式を使用する場合、銅を含む金属層を有することが、発熱効率が高いため膜厚を小さくできる観点から好適である。このような構成の金属層として、具体的には例えば、無電解ニッケルメッキ層又は無電解銅メッキ層と、電解銅メッキ層とを順次設けた構成が好適に挙げられる。
【0044】
金属層の形成方法としては、具体的には、例えば、無電解メッキ金属層を形成する場合、無電解メッキにより金属イオンをホルマリン等の還元剤によって還元析出させることによって形成することができる。金属が銅の場合、特開平4−72070号公報や特開平4−186891号公報等に記載の方法を好適に適用することができる。無電解メッキにより形成される金属層の厚さは0.1〜1μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。電解メッキ金属層を形成する場合、無電解メッキ金属層を先に形成しておくことが好ましく、この無電解メッキ金属層は一般に抵抗が高いが、金属層に電流を流す必要がある場合に設けられる。このように無電解メッキ金属層は電極として作用し、一般的な方法で電解メッキを施すことによって、電解メッキ金属層を形成することができる。電解メッキ層の厚さは、用いる金属や用途によるため一概にはいえないが、例えば、柔軟性配線基板をして使用する場合で、銅からなる電解メッキ層を形成するときは5〜50μmとすることが好ましい。また、定着部材として使用する場合で、銅からなる電解メッキ層を形成するときは3〜20μmとすることが好ましく、ニッケルのときは8〜60μmとすることが好ましく、鉄のときは10〜100μmとすることが好ましい。
【0045】
金属層の厚さは、10μm以下とすることが好ましい。例えば、樹脂層がポリイミド樹脂層の場合、その形成時にポリイミド前駆体樹脂総を加熱硬化させてポリイミド樹脂層を形成するため、被膜(層厚)が10%前後収縮するので、厚さが10μmを超えると、しわを生じる場合があるため、10μm以下とすることで、しわの問題が生じることがほとんどない。
【0046】
金属層形成の際には、膜厚のむらが生じないように基体を回転させながら行うことが好ましい。さらに、上記電解メッキ時の電極は、樹脂層全体を取り囲むような構成であることが好ましい。
【0047】
本発明の樹脂組成物は、用途によりその形状は適宜選択されるが、配線基板などに用いる場合、フィルム状であることが好適であり、定着部材などに用いる場合は、ベルト状であることが好適である。なお、円筒あるは円柱状の基体に形成し、そのままで、定着ロール用途として使用することもできる。
【0048】
本発明の樹脂組成物は、定着部材用途として用いる場合、必要に応じて、さらに金属層表面に弾性層及び/又は離型層が設けられる。これらを設けることで、カラー定着時の画質を向上させ、さらにオフセットを防止することができる。これらの弾性層及び離型層は、定着部材用途として用いるため、耐熱性を有する材料から構成されるのが好ましい。
【0049】
弾性層としては、フッ素ゴムを主体とし、必要に応じてフッ素樹脂粒子やSiC、Al2O3等の無機粒子を混合した弾性層が挙げられる。フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン(VdF)を主成分とするVdFとヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体、上記VdF−HFP共重合体とテトラフルオロエチレン(TFE)との3元共重合体、TFEとプロピレンとの交互共重合体等のフッ素系エラストマーが挙げられる。この他、VdF−クロロトリフルオロエチレン共重合体や、例えばシリコーンゴム,フルオロシリコーンゴム等とVdFを主成分とする上記フッ素系エラストマーとの混合物を用いることもできる。
【0050】
剥離層としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂が好ましい。また、離型層には、耐久性や静電オフセットの向上のためにカーボン粉末が分散されていてもよい。剥離層の厚さは4〜40μmの範囲が好ましい。
【0051】
剥離層としてフッ素樹脂被膜を形成するには、その水分散液を下層表面に塗布して焼き付け処理する方法が好ましい。また、フッ素樹脂被膜の密着性が不足する場合には、必要に応じて、下層表面にプライマー層をあらかじめ塗布形成する方法がある。プライマー層の材料としては、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミド及びこれらの誘導体挙げられ、さらにフッ素樹脂から選ばれる少なくとも一つの化合物を含むことが好ましい。プライマー層の厚さは0.5〜10μmの範囲が好ましい。
【0052】
本発明の樹脂組成物は、電子写真用定着部材(本発明の電子写真用定着部材)として好適に利用することができるが、これを備える定着装置は、電磁誘導発熱方式の定着装置であり、その構成などは従来公知の構成をとることができる。この電磁誘導発熱方式の定着装置は、電磁誘導コイルに交流が通電されることで、定着部材(本発明の樹脂組成物)における金属層を貫通する磁束が生じ、金属層には過電流が生じて発熱し、効率よくトナー像を加熱定着できるものである。このように、電磁誘導発熱方式の定着装置では、定着部材は過電流によって繰り返し加熱されることなるが、樹脂層と金属層との密着性に優れた本発明の樹脂組成物を定着部材として利用することで、層間剥離等に対して十分な耐久性を付与すすることができる。特に、ベルト状のものの場合、加圧ロールとニップ部の摺動抵抗等により層間剥離が起り易いので、本発明の樹脂組成物を定着部材として用いることは効果的である。このような定着装置を備える画像形成装置も、従来公知の構成をとうことができる。
また、定着部材の一つとして転写定着部材としても適用可能であり、この転写定着部材は、中間転写体とも呼ばれるものであり、中間転写体上に一旦トナー像を転写し、転写体でトナー加熱溶融させ、そして、記録媒体に加熱圧着して転写と定着を同時に行う部材である。このような転写定着部材を備える画像形成装置自体は、従来公知の構成をとることができる。
【0053】
以下、本発明の電子写真用定着部材(本発明の樹脂組成物)を備える定着装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。
図1に示す定着装置は、金属層を有するベルト状加熱定着部材(本発明の定着部材)10と、加圧ロール12とを備える。ベルト状加熱定着部材10は、圧力付与部材14により、加圧ロール12表面に圧接され、ニップ部を形成している。加圧ロール12には、駆動手段(図示せず)が設けられている。ベルト状加熱定着部材10の表面周辺には、電磁誘導コイル16が備えられている。
【0054】
図1に示す定着装置では、駆動手段(図示せず)により加圧ロール12が回転し、これに伴い、ベルト状加熱定着部材10も回転する。ベルト状加熱定着部材10は、電磁誘導コイル16に交流を通電することで、金属層を貫通する磁束が生じ、金属層には過電流が生じて発熱する。この発熱したベルト状加熱定着部材10と加圧ロール12とのニップ部に、未定着トナー像Tが記録された記録媒体18を通過させることで、ベルト状加熱定着部材10の発熱により、トナーが加熱溶融され、定着が行われる。
【0055】
【実施例】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0056】
(実施例1)
ポリイミド前駆体であるポリアミド酸のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(商品名:Uワニス、宇部興産(株)製)(ポリイミド前駆体溶液)を用意した。固形分濃度は20%、粘度は約1Pa・sに調整した。
【0057】
基体として、厚さ0.2mmで20×150mmの大きさのガラス板基材を用意し、長手方向を垂直にしてポリイミド前駆体溶液に浸漬し、次いで100mm/minの速度で引き上げて、ポリイミド前駆体塗膜を形成した。
【0058】
その後、ポリイミド前駆体塗膜表面に、貫通孔を多数有する溶剤置換速度調節材(ユーポアUP2015(透気度550秒/100cc:宇部興産(株)製))を被覆して、水中に浸漬し、1分間放置した。基材を引き上げると、ポリイミド前駆体塗膜表面は、多数の細孔を有した多孔質構造を有していた。
【0059】
表面の水滴を拭き取り、次いで上記基材を乾燥炉に入れた。設定温度は最初が30℃で、1時間後に100℃になるよう、徐々に温度が上昇するようにした。この乾燥後、皮膜は透明化した。更に150℃で20分間、200℃で20分間加熱乾燥させ、N,N−ジメチルアセトアミドと水を完全に除去した。
【0060】
その後、350℃で30分間加熱して熱イミド化処理した。これにより基材上には表面に多孔質構造を有したポリイミド樹脂層が全面に形成された。ポリイミド樹脂層の膜厚は0.5μmでほぼ均一であった。また、この多孔質構造における細孔の大きさは、0.8μmであった。
【0061】
続いて、ポリイミド樹脂層表面に厚さ0.3μmの無電解銅メッキを施した。
【0062】
−無電解メッキ浴の組成−
・CuSO4・5H2O:10g/リットル、
・EDTA・2Na:30g/リットル、
・HCHO(37質量%)溶液:5g/リットル、
・PEG#1000:0.5g/リットル
−無電解メッキ条件−
・メッキ浴温度:65℃、
・撹拌方法:空気撹拌、
・メッキ時間:8分、
・メッキ浴pH:12.5
【0063】
上記のようにして無電解メッキによる無電解メッキ金属層を形成した後、以下に示す条件で、該無電解メッキ金属層上に厚さ10μmの電解銅メッキを施し、電解メッキ金属層を形成して得た。
【0064】
−電解メッキ浴の組成−
・CuSO4・5H2O:120g/リットル、
・H2SO4:150g/リットル、
−電解メッキ条件−
・メッキ浴温度:25℃、
・撹拌方法:空気撹拌、
・メッキ条件:2A/dm2
・メッキ時間:30分、
【0065】
このようにして、無電解銅メッキ層と電解銅メッキ層からなる金属層を形成した。さらに、金属層上に、耐熱性プライマー(テフロンプライマー「855−021(デュポン(株)製)」水性塗料)を塗布後、PFAディスパージョン「500CL(デュポン(株)製)」水性塗料)を塗布し、380℃にて焼成して離型層を形成した。
【0066】
以上のようにして、得られたフィルム状の樹脂組成物をベルト状に加工し、加熱定着ベルトを作製した。得られた加熱定着ベルトを、図1に示す定着装置にベルト状加熱定着部材10として装着し、170℃で6hrs空回しテストを実施した。その結果、ポリイミド樹脂層と金属層(発熱層)との界面にハガレは発生しなかった。
なお、図1に示す定着装置の加圧ロール12としては以下のようにして作製したものを用いた。
―加圧ロールの作製―
チューブ内面に接着用プライマーを塗布した外径50mm、長さ340mm、厚さ30μmのフッ素樹脂チューブと金属製の中空芯金コアを成形金型内にセットし、フッ素樹脂チューブとコア間に液状発泡シリコーンゴム、層厚:2mmを注入後、加熱処理(150℃×2hrs)によりシリコーンゴムを加硫、発泡させてゴム弾性を形成し加圧ロールを作製した。
【0067】
(実施例2)
ポリイミド前駆体溶液の粘度、基体の引上げ速度を適宜変更し、厚さ20μmの表面に多孔質構造を有するポリイミド樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様にして定着ベルトを作製し、評価したところ、ポリイミド樹脂層と金属層(発熱層)との界面にハガレは発生しなかった。
【0068】
(実施例3)
ポリイミド前駆体溶液の粘度、基体の引上げ速度を適宜変更し、厚さ50μmの表面に多孔質構造を有するポリイミド樹脂層を形成し、さらに金属層上に、弾性層(シランカップリング剤「KBE903(信越化学(株)製)」を塗布乾燥後、液状シリコーンゴム「KE1334(信越化学(株)製)」を塗布乾燥:硬度40°(JIS−A))、離型層(実施例1と同様)を順次形成した以外は、実施例1と同様にして定着ベルトを作製し、評価したところ、ポリイミド樹脂層と金属層(発熱層)との界面にハガレは発生しなかった。
【0069】
(実施例4)
ポリイミド前駆体溶液の粘度、基体の引上げ速度を適宜変更し、さらに基体として円筒状のものを用いて、厚さ1.0μmの表面に多孔質構造を有するポリイミド樹脂層を無端ベルト状に形成した以外は、実施例1と同様にして定着ベルトを作製し、評価したところ、ポリイミド樹脂層と金属層(発熱層)との界面にハガレは発生しなかった。
【0070】
(実施例5)
ポリイミド前駆体溶液の粘度、基体の引上げ速度を適宜変更し、基体として円筒状のものを用いて、厚さ20μmの表面に多孔質構造を有するポリイミド樹脂層を無端ベルト状に形成した以外は、実施例1と同様にして定着ベルトを作製し、評価したところ、ポリイミド樹脂層と金属層(発熱層)との界面にハガレは発生しなかった。
【0071】
(実施例6)
ポリイミド前駆体溶液の粘度、基体の引上げ速度を適宜変更し、基体として円筒状のものを用いて、厚さ20μmの表面に多孔質構造を有するポリイミド樹脂層を無端ベルト状に形成し、さらに金属層上に、弾性層(シランカップリング剤「KBE903」(信越化学(株)製)を塗布乾燥後、液状シリコーンゴム「KE1334」(信越化学(株)製)を塗布乾燥:硬度40°(JIS−A))、離型層(実施例1と同様)を順次形成した以外は、実施例1と同様にして定着ベルトを作製し、評価したところ、ポリイミド樹脂層と金属層(発熱層)との界面にハガレは発生しなかった。
【0072】
(実施例7)
ポリイミド樹脂層を以下に示す方法により形成した以外は、実施例1と同様にして定着ベルトを作製し、評価したところ、ポリイミド樹脂層と金属層(発熱層)との界面にハガレは発生しなかった。
【0073】
―ポリイミド樹脂層の形成―
まず、貫通孔を多数有する溶剤置換速度調節材をポリイミド前駆体塗膜に被覆しなかった以外は、実施例1と同様にしてポリイミド前駆体塗膜を形成し、これを100℃にて半硬化させた(バルク状のポリイミド樹脂層)。
続いて、ポリイミド前駆体溶液に発泡剤(「セルマイクC−191(三協化成(株)製)」)を添加し、さらに貫通孔を多数有する溶剤置換速度調節材をポリイミド前駆体塗膜に被覆しなかった以外は、実施例1と同様にして、上記半硬化されたバルク状のポリイミド樹脂層表面に、ポリイミド前駆体塗膜を形成し、熱イミド処理を行い、バルク状のポリイミド樹脂層と、多孔質のポリイミド樹脂層とを順次積層した。このようにして、表面に多孔質構造を有するポリイミド樹脂層を形成した。このポリイミド樹脂層の膜厚は50μmでほぼ均一であった(バルク状のポリイミド樹脂層40μm、多孔質のポリイミド樹脂層10μm)。また、この多孔質構造における細孔の大きさは、3.0μmであった。
【0074】
(実施例8)
金属層における無電解銅メッキ層の代わりに、以下に示す条件で無電解ニッケルメッキ層を形成した以外は、実施例1と同様にして定着ベルトを作製し、評価したところ、ポリイミド樹脂層と金属層(発熱層)との界面にハガレは発生しなかった。
【0075】
−無電解メッキ浴の組成−
・CuSO4・5H2O:20g/リットル、
・NH3・H2O:5g/リットル、
・HCHO:10g/リットル、
−無電解メッキ条件−
・メッキ浴温度:30℃、
・撹拌方法:空気撹拌、
・メッキ時間:5分、
・メッキ浴pH:10.0
【0076】
(比較例1)
貫通孔を多数有する溶剤置換速度調節材をポリイミド前駆体塗膜に被覆せずに、バルク状のポリイミド樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを作製し、評価したところ、2hrs後、ポリイミド樹脂層と金属層(発熱層)との界面にハガレが発生した。
【0077】
(比較例2)
貫通孔を多数有する溶剤置換速度調節材をポリイミド前駆体塗膜に被覆せずに、バルク状のポリイミド樹脂層を形成した以外は、実施例4と同様にして、定着ベルトを作製し、評価したところ、2.5hrs後、ポリイミド樹脂層と金属層(発熱層)との界面にハガレが発生した。
【0078】
実施例から、表面に多孔質構造を有するポリイミド樹脂層上に、金属層を設けた本発明の樹脂組成物は、ポリイミド樹脂層と金属層との接着が機械的に強固に接着できており、これを用いた定着ベルトは、電磁誘導発熱の繰り返しや、加圧ロールとのニップ部の摺動抵抗等による層間剥離が生じにくく、優れた耐久性を有することがわかる。
【0079】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、樹脂層と金属層とが高い接着性を有し、耐久性に優れた樹脂組成物及びその製造方法、並びに、電子写真用定着部材を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真用定着部材を備える定着装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10 ベルト状加熱定着部材
12 加圧ロール
14 圧力付与部材
16 電磁誘導コイル
18 記録媒体
T トナー像
Claims (3)
- 少なくとも表面に多孔質構造を有する樹脂層表面に、金属層が設けられてなり、且つ前記多孔質構造に前記金属層が食い込んでなる樹脂組成物の製造方法であって、
前記樹脂層として、ポリイミド前駆体溶液を塗布してポリイミド前駆体塗膜を形成し、前記ポリイミド前駆体塗膜表面に貫通孔を多数有する溶剤置換速度調節材を被覆し、前記ポリイミド前駆体塗膜を凝固溶媒に接触させて、表面に多孔質構造を有するポリイミド前駆体塗膜を形成し、表面に多孔質構造を有する前記ポリイミド前駆体塗膜を、熱イミド化処理して、表面に多孔質構造を有するポリイミド樹脂層を形成し、
且つ少なくとも表面に多孔質構造を有する前記樹脂層表面に、多孔質構造に前記金属層が食い込んでなる金属層を形成することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。 - 少なくとも表面に多孔質構造を有する樹脂層表面に、金属層が設けられてなり、且つ前記多孔質構造に前記金属層が食い込んでなる樹脂組成物の製造方法であって、
前記樹脂層として、樹脂材料塗布液を用いてバルク状の樹脂層を形成し、前記バルク状の樹脂層表面に、発泡剤を含む樹脂材料塗布液を用いて多孔質の樹脂層を形成し、
且つ少なくとも表面に多孔質構造を有する前記樹脂層表面に、多孔質構造に前記金属層が食い込んでなる金属層を形成することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。 - 前記樹脂層として、ポリイミド樹脂を主成分とする層を形成することを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物の製造方法。
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