JP4181830B2 - 扉の構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物などに付設される扉に設けられ、この扉の開閉を行う操作部分を改良した扉の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建物の開口部などに設けられる扉には、その開閉を行うためにノブやレバーハンドルが設けられる。これらノブやハンドルは、扉における戸先側の両面に配設され、この戸先側に内蔵される錠機構部を構成するラッチボルトの木口に対する進退を行う。
【0003】
ノブの場合、これを掴み持ち、回転させることでラッチボルトを木口より後退させ建物枠側のストライクから退かせ係合状態を解き、そして、ノブを掴み持った状態で扉に対して押す、或いは引く、という操作にて扉の開放を行う。
また、ハンドルの場合では、ハンドルを掴み持ち、扉面に対し、この扉面と平行な方向に所定角度揺動させることで、すなわち扉面に植設状態の軸部の回転にて、ラッチボルトの後退が行われ、そして、ハンドルを掴み持った状態で扉を押す、或いは引くことで扉の開放が行われる。
【0004】
そして、これらノブやハンドルに対する人の操作において、扉を押して開く場合に、ノブの場合は、掴み持ち回転させたノブ自体を押す方向に操作することで行い、また、ハンドルの場合も、掴み持ち揺動させたハンドル自体を押す方向に操作することで行う。
【0005】
ところが、これらノブやハンドルの場合に、扉を開放する「押す」という操作を行う直前に、「回転」或いは「揺動」という操作が必要なことから、障害者や高齢者など手が不自由である場合に、扉の開放操作を行いにくいことがある。
【0006】
このような不具合に対し、扉の開放方向と同方向に操作を行うことでラッチボルトを後退させる機構となるハンドル構造、所謂プッシュプル錠が下記特許文献1等にある。
このプッシュプル錠は、扉を開放する「押す」「引く」という操作方向と同方向に揺動するハンドルで構成され、押すことで開放する扉の一方の面には扉面に対して近接する方向に揺動するハンドルが設けられ、また、引くことで開放する扉の他方の面には扉面に対して離間する方向に揺動するハンドルが設けられており、これらハンドルの揺動、すなわち、「押す」或いは「引く」という操作にてラッチボルトが後退し、扉の開放が行える構造となっている。
【0007】
【特許文献1】
実用新案登録第2529263号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のプッシュプル錠を備えた扉では、扉の開閉動作が急激に行われないように制御するドアクローザーが設けられていない場合や、室内扉など扉自体が軽量に構成されている場合に、その扉の開放操作を行う際に、特に扉を押して開放する側では、開放操作を行う者が、扉とともに開放方向に勢いがつき、操作方向である前方に倒れ込んでしまったり、また、扉を勢いよく開けてしまうことで扉の向こう側にいる人に扉を衝突させてしまうことがあり、非常に危険であるという問題があった。
【0009】
そこで本発明は、上記問題点を解消するために、扉の開放操作方法、特に扉の押して開ける側での操作構造を改善し、開放する扉による事故を未然に防ぐことを可能とする扉の構造を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
この発明の請求項1記載の扉の構造は、進退自在な係合杆5による係合にて閉鎖状態を維持され、押す方向が開放方向となる扉1であって、該扉1の押される面1dに配設され、扉1の開放方向と略同方向に揺動自在となる把手10を備え、該把手10を前記扉1の開放方向と同方向に揺動させることで、前記係合杆5による係合状態を解除し扉1の開放が行われる扉の構造において、
前記把手10の前記扉面1dに対向する裏面に、該裏面に直交して突出形成する腕部16と、
前記把手10の前記扉面1dに対向する裏面に配設され、先端が前記把手10の揺動端近傍に位置し、該先端が前記把手10の裏面に近接する厚み方向に揺動移動自在な操作片34と、
前記把手10の揺動基端軸15と同軸に設けられ、該把手10とともに、かつ、該把手10に対して揺動自在に設けられ、前記係合杆5を備える錠機構部4内に延出し、該錠機構部4に開放操作の出力を行う作動片41と、
前記揺動基端軸15と平行とされて前記作動片41を貫通して設けられるガイド軸32と、
前記扉面1dに配置され、前記揺動基端軸15が貫通され、前記腕部16を揺動自在に支持するとともに、前記ガイド軸32の揺動移動をガイドするガイド穴31を備えるベース板23と、
前記把手10の腕部16に設けられ、前記ガイド穴と連通し、前記ガイド軸が挿着されて、前記作動片41の揺動範囲を所定角度内に規制する長穴状の揺動規制部29と、
前記操作片34に連結され、該操作片34の揺動移動に連動して移動し、前記ガイド軸32の前記揺動規制部29における移動軌跡上に位置して係止し該ガイド軸32の移動を規制し、前記作動片41の把手10に対する揺動を規制する規制部40と、
を具備し、
前記把手10を前記扉1の開放方向に押圧し揺動させることで、前記ガイド軸32を前記揺動規制部29に沿わせて移動させた後、前記作動片41の揺動を前記把手10の腕部16の揺動規制部29が規制して前記ガイド軸32を前記ガイド穴31に沿って移動させ、前記作動片41にて前記把手10の揺動操作を前記錠機構部4に伝達し、
前記把手10とともに前記操作片34を掴み持つことで、前記規制部40が移動して前記ガイド軸32の前記揺動規制部29における移動軌跡上に位置し、該規制部40が前記作動片41の前記把手10の腕部16に対する揺動を規制し、該作動片41にて前記把手10の揺動操作を前記錠機構部4に伝達して、
前記扉1の開放が行われることを特徴とする。
【0011】
このような扉の構造によれば、押すことで開放する扉1に対する開放操作において、押すことで揺動し係合杆5を後退させる把手10に、操作片34を設け、この操作片34とともに把手10を握持することで操作し、錠機構部4内に直接操作力が伝わる作動片41を把手10と略一体となるように規制状態として、扉の開放操作を行えるように構成したので、扉1に対する「押す」という開放操作に、操作片34を掴み持つ前段操作を必要とすることから、開放方向への扉1の急激な開放が抑止され、扉1の向こう側にいる人に扉1を衝突させるような事故等、扉1を勢いよく開放してしまうことで発生する事故を未然に防ぐことが可能となる。
【0012】
また、操作片34を掴むことなく、把手10を押圧させるのみの開放操作となっても、この把手10の揺動を、さらに押し込むように押圧操作することで、すなわち、把手10を2段階で押圧するような操作を行うことによって、作動片41が把手10と略一体となるように規制状態とされる構成としたので、扉1に対する「押す」という開放操作を、単純に押圧するのみでなく、さらに押し込むような操作を必要とすることから、開放方向への扉1の急激な開放操作を行っても、扉1はすぐには開放されずに抑止され、上記同様に扉1の向こう側にいる人に扉1を衝突させるような事故等、扉1を勢いよく開放してしまうことで発生する事故を未然に防ぐことが可能となる。
【0013】
請求項2記載の扉の構造は、前記把手10は、略板状に形成され、前記扉面1dに対向する裏面に、該裏面に直交して突出形成する腕部16を備え、該腕部先端16aを前記揺動基端とされて前記扉面1d側に枢着され、該腕部16にて前記操作片34の基端を揺動自在に支持するとともに、該腕部16内に長手方向に形成される管部22内に前記規制部40が軸線方向に貫通配置されることを特徴とする。
【0014】
このような扉の構造によれば、把手10の腕部16内に貫通配置される規制部40が外部に表出することなく、機構部分を隠すことととなり、見栄えを低下させることがない。また、この規制部40が腕部16内に設けられることにより、変形などの不具合が生じにくい。
【0015】
請求項3記載の扉の構造は、前記操作片34には、前記把手10の裏面から離脱する方向に付勢する付勢部材39が備えられることを特徴とする。
【0016】
このような扉の構造によれば、操作片34は、把手10の裏面において常に離脱方向に付勢されており、規制部40の移動が行われず、作動片41の揺動の規制を行わない状態を保ち、把手10を勢いよく押すことでの扉1の開放操作を、上記したように押圧操作を単なる押圧操作ではなく、さらに押し込むような操作を必要な状態に維持することとなり、急な押し開け操作で簡単に扉1が開放しない状態を保つこととなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、扉1は、吊元1aとなる一側縁に、蝶番3などを介して建物開口部2の一方の縁部2a等に連結される。そして建物開口2に対して吊元1aの蝶番3を中心として建物開口部2の一方側、例えば屋外側や廊下側などの隔てられた空間のいずれか側の方向に揺動し、開閉する。扉1の戸先1bには、錠機構部4が内蔵される。錠機構部4は、係合杆としてのラッチボルト5を具備し、後述するレバーハンドル10が連結されている。ラッチボルト5は、戸先1bの木口1cに対して進退自在に設けられ、扉1が建物開口部2を閉鎖している際に、木口1cから突出した状態で、建物開口部2の他方の縁部2bに設けられるストライク板の係合穴6に嵌入する。そして、ラッチボルト5が係合穴6に嵌入し係合した状態では、扉1は閉鎖状態を保たれる。
なお、このラッチボルト5は、例えば閂状のラッチとして構成してもよく、可倒ラッチなどで構成されてもよい。
【0018】
扉1の戸先1b側の表裏両面には、把手としてのレバーハンドル10が配設される。なお、以下に説明する本実施の形態では、扉1の一方の面1dである押して開放する側のレバーハンドル10について説明し、引いて開放させる側である他方の面に配設されるレバーハンドルについては図示を省略しその詳述を行わない。
【0019】
図1に示すように、扉1の一方の面1d、すなわち、押すことで開放方向へと揺動させる操作の行われる扉の押される面1dにおける戸先1b側には、レバーハンドル10が配設される。
【0020】
レバーハンドル10は、図2に示すように、押圧部11と腕部16とが略直交した略L字状に形成される。
押圧部11は、本実施の形態では、扉面1dと略平行となる矩形板状に形成される。押圧部11には、扉面1dに対向する裏面に凹部12が形成される。この凹部12は、略矩形状に形成され、押圧部11の裏面において周囲の端縁部分を突条形状とするように形成されており、レバーハンドル10としての重量軽減を兼ねるとともに、後述する操作片34の作動領域となる。また、この押圧部11の先端縁部は、レバーハンドル10としての揺動端となり、握持部13とされる。
【0021】
腕部16は、押圧部11の裏面における握持部13と反対の側縁近傍に位置し、この裏面に直交して突出形成されるように設けられる。
本実施の形態の腕部16は、略角柱状に形成される延設体17と略方形箱状に形成される連結部材18とで構成される。
【0022】
腕部16の先端16aとなる延設体17の端部は、レバーハンドル10としての揺動基端となり、後述するベース板23に対し略垂直方向を軸線方向とした揺動基端軸15を介して連結されている。なお、この先端16aは、本実施の形態では、一対の突片20,20よりなる。
【0023】
延設体17は、連結部材18に対向する面に略角穴状に形成され軸線方向に凹状となる中空部19が形成されている。また、延設体17には、中空部19と連通してスリット状の一対の開口穴21が各突片20に沿って穿設され、中空部19とで軸線方向に貫通した管部22となり、後述する操作片34が貫通して取り付けられるようになっている。
【0024】
そして、押圧部11裏面に連結部材18が固定され、この連結部材18に延設体17が嵌入され、連結部材18を介して延設体17が押圧部11に固定される。
なお、押圧部11の裏面と腕部16との連結部分を構成する連結部材18には、ガイド溝18aが形成され、後述する操作片34の基端側を支持しガイドするようになっている。
【0025】
ベース板23は、図4に示すように、下面が開口した略箱状の台座25の裏面に固定され、すなわち、この台座25に穿設される貫通穴26を腕部16が貫通し、腕部先端16aが台座25内に位置して、腕部16が台座25より延出している。なお、台座25は、扉面1d、或いは扉内部に配設される錠機構部4を構成する錠箱に固定される。また、ベース板23と台座25、及び台座25と扉面1d(錠機構部4)との固定は、ネジやボルトなどの固定手段が用いられる。
【0026】
そして、ベース板23に両端を支持された揺動基端軸15により、台座25及びベース板23に対して、レバーハンドル10が揺動自在となる。本実施の形態では、台座25から延出する腕部16及び押圧部11が、図1に示すように、通常の状態において、押圧部11の板面が扉面1dと略平行となり、この押圧部11が腕部16から吊元1aに向いて延出している。
【0027】
なお、図2に示すように、揺動基端軸15には、捩じりコイルバネなどの付勢部材27が巻装され、この捩じりコイルバネ27の一端がベース板23と係合し、捩じりコイルバネ27の他端が腕部16の延設体17に係合して、図4に示すように、これらベース板23と延設体17との間に位置しており、通常の状態で扉面1dに対して腕部16が略直交となる状態を維持するように付勢力を有している。
【0028】
また、延設体17の各突片20,20には、上記揺動基端軸15が挿着される取付穴28とともに、この取付穴28を中心として湾曲形成される長穴状の揺動規制部としての揺動ガイド穴29が穿設されている。一方、ベース板23には、揺動基端軸15の両端を支持する支持穴30とともに、この支持穴30に離間して長穴状のガイド穴31が穿設されている。これら揺動ガイド穴29とガイド穴31は連通しており、これらを貫通してガイド軸32が挿着されている。そして、上記した捩じりコイルバネ27により、扉面1dに対して腕部16が略直交となる状態において、ガイド穴31の先端と揺動ガイド穴29の後端との間にガイド軸32が位置し、その直交状態を維持、別言すると、これら揺動ガイド穴29とガイド穴31とによるガイド軸32の配置状態によって、ベース板23に対する腕部16の揺動を規制している。
【0029】
次に、操作片34は、レバーハンドル10の押圧部11裏面に配設され、図3,図4に示すように、上述した押圧部11裏面の凹部12の内寸法に対応した略矩形板状の部材とされ、この凹部12に対し、押圧部11の厚み方向に進退自在とされる。本実施の形態では、やや厚みを持つ板状に形成されている。
【0030】
また、この操作片34の腕部16に近接した基端側には、図2に示すように、操作片34の板面に対して略直交して延出する揺動腕35が設けられている。この揺動腕35は、操作片34の板面に沿い、この操作片34に固定される基部36を有している。そして、揺動腕35は、腕部16に形成された中空部19内に挿入されるとともに開口穴21を貫通して、先端が腕部先端16aに略位置する状態で配置される。
【0031】
揺動腕35の操作片34に近接した中途位置には、軸37を介して軸受部38が配設される。この軸受部38には捩じりコイルバネよりなる付勢部材としての揺動バネ39が軸37に巻装されている。軸受部38は、腕部16の中空部19内面に当接状態で配置され、この中空部19にて、揺動バネ39の一端が軸受部38に当接し、他端が揺動腕35の係止片35aに当接しており、揺動腕35を介して操作片34の揺動を一方に付勢しており、すなわちレバーハンドル10裏面から操作片34先端を離間させる方向となるように常に付勢している。揺動腕35の先端は、やや屈曲形成され、規制部40とされており、腕部先端16aの各突片20,20間にて移動自在とされている。
【0032】
そして、この操作片34は、レバーハンドル10に対して揺動されることで、腕部先端16aにて規制部40が移動することとなり、操作片34を揺動操作し、レバーハンドル10裏面に近接させると、規制部40は、ガイド軸32に近接し、前述した揺動ガイド穴29によるガイド軸32の移動軌跡上に位置し、これにより、ガイド軸32を揺動ガイド穴29内にて移動不可能とさせる。
【0033】
次に、作動片41は、レバーハンドル10の揺動基端である腕部16の先端16aに設けられる。この作動片41は、基端に一対の貫通孔42,42が穿設されるととともに、先端が真直に延出し、本実施の形態では、図2に示すように、略短冊板状に形成され、中途が屈曲形成されている。各貫通孔42,42は、上記した揺動基端軸15とガイド軸32との外径に対応して穿設され、それぞれが挿通されて、腕部16の先端である突片20,20間に基端が配置され、先端が、ベース板23のスリット穴24を貫通して延出するようになっている。
作動片41は、揺動基端軸15により、レバーハンドル10の腕部16に対して揺動自在とされ、かつ、この腕部16とともにベース板23に対して揺動自在とされる。
【0034】
そして、作動片41は、ベース板23を貫通して延出する先端が戸先1bに内蔵される錠機構部4内に位置するようになっている。この作動片41は、錠機構部4内にて、ラッチボルト5の進退動作を行う機構に係合するようになっている。なお、図1及び図4には、その機構の一部である連動部45を示している。
【0035】
次に、上記のように構成された扉の構造の操作について説明する。
扉1が建物開口2を閉塞した状態では、図1に示すように、錠機構部4のラッチボルト5先端が突出しており、係合穴6に進入し、扉1の閉塞状態が保たれる。
【0036】
また、この閉塞状態においては、図4に示すように、押圧部11の握持部13裏面に位置している操作片34が、揺動バネ39の付勢力により、押圧部11裏面の凹部12より突出しており、この操作片34と略一体構造とされる規制部40は腕部先端16aにてガイド軸32から離間した状態である。なお、この状態では、作動片41の先端41aは、錠機構部4の連動部45に接触している状態となっている。
【0037】
なお、本発明の扉の構造では、レバーハンドル10を掴み持って押圧し扉1を開放させる方法と、レバーハンドル10の押圧部11を押圧するのみで扉1を開放させる方法との2種類の操作方法がある。
【0038】
まず、レバーハンドル10を掴み持ち、扉1を開放する操作手順を説明する。この扉1を開放するには、まず、レバーハンドル10の握持部13側を、開放しようとする操作者が握持する。握持部13側を掴むことで、この握持部13の裏面に位置する操作片34は、押圧部11に対する押圧方向とは反対の引く方向の操作となり、揺動バネ39の付勢力に抗して押圧部11裏面の凹部12内に進入する。
【0039】
図5に示すように、操作片34の凹部12内への進入とともに、揺動腕35先端の規制部40が連動して移動し、ガイド軸32に近接する。これにより、規制部40は揺動ガイド穴29を塞ぐ状態となり、この揺動ガイド穴29に沿うガイド軸32の移動の規制を行う。
【0040】
次に、操作者は、レバーハンドル10の押圧部11を押圧して揺動基端軸15を中心に揺動させる。この揺動操作の際、規制部40がガイド軸32の揺動ガイド穴29に沿う移動を規制するので、作動片41はレバーハンドル10に対して揺動することなく、ガイド軸32がガイド穴31に沿って移動してレバーハンドル10の揺動とともに錠機構部4内を揺動されることとなる。これにより図6に示すように作動片41は連動部45を所定角度(図6中α)押圧し、この連動部45に連動連結されるラッチボルト5が後退となる。すなわち、扉1はラッチボルト5による係止維持状態を解かれる。
【0041】
係止状態を解かれた扉1は、レバーハンドル10を掴み持った状態で、レバーハンドル10に対して押圧力を加えている操作者の開放操作、すなわち押圧している操作により、開放方向へと吊元1aの蝶番3を中心として揺動する。
そして、そのまま扉1を開放方向に押すことにより、扉1が開放となる。
【0042】
次に、この扉1を開放させる際に、レバーハンドル10の握持部13を掴み持つことなく開放操作を行う操作手順について説明する。
まず、扉1を開放させようとする操作者は、レバーハンドル10の押圧部11を正面から押圧する。
【0043】
レバーハンドル10は、その押圧操作によって、揺動基端軸15を中心に揺動する。操作片34は、操作者により握持されないことから移動せず、揺動腕35の規制部40がガイド軸32に対して退いた状態のままである。すなわち、このレバーハンドル10の揺動の際に、ガイド軸32は揺動ガイド穴29に沿って移動することとなり、すなわち、作動片41がレバーハンドル10に対して揺動自在な状態となっている(図7参照)。
このレバーハンドル10の揺動によって、作動片41は、その揺動を規制されていないことから、連動片45を移動させることなく、連動片45に対して退くようになる。
【0044】
作動片41が、ガイド軸32の揺動ガイド穴29に沿う移動により、レバーハンドル10に対して揺動し、所定角度(図7中β)となると、ガイド軸32は揺動ガイド穴29の端部に到達し、この端部にてガイド軸32の移動が規制され、すなわち作動片41のレバーハンドル10に対する揺動が規制される。
【0045】
そして、さらに、レバーハンドル10を上記の操作片34を掴み持つ操作よりも押圧して揺動させると、図8に示すように、揺動を規制された作動片41がレバーハンドル10の揺動とともに所定角度(図8中γ)揺動し、錠機構部4の連動部45を押圧し、この連動部45に連動連結されるラッチボルト5が後退となる。すなわち、レバーハンドル10を通常の操作よりも大きく揺動操作(図8中矢線P)させることで、扉1はラッチボルト5による係止維持状態を解かれる。
【0046】
係止状態を解かれた扉1は、レバーハンドル10に対して押圧力を加えている操作者の開放操作、すなわち押圧している操作により、開放方向へと吊元1aの蝶番3を中心として揺動する。
そして、そのまま扉1を開放方向に押すことにより、扉1が開放となる。
【0047】
従って、このように構成された扉の構造によれば、押すことで開放する扉1に対する開放操作において、押すことで揺動しラッチボルト5を後退させるレバーハンドル10に、操作片34を設け、この操作片34をレバーハンドル10の握持部13を握持することで操作し、錠機構部4内の連動部45に直接操作力が伝わる作動片41をレバーハンドル10と略一体となるように規制状態として、扉の開放操作を行えるように構成したので、扉1に対する「押す」という開放操作に、操作片34を掴み持つ前段操作を必要とすることから、開放方向への扉1の急激な開放が抑止され、扉1の向こう側にいる人に扉1を衝突させるような事故等、扉1を勢いよく開放してしまうことで発生する事故を未然に防ぐことが可能となる。
【0048】
また、操作片34を掴むことなく、レバーハンドル10を押圧させるのみの開放操作となっても、このレバーハンドル10の揺動を、さらに押し込むように押圧操作することで、すなわち、レバーハンドル10を2段階で押圧するような操作を行うことによって、作動片45がレバーハンドル10と略一体となるように規制状態とされる構成としたので、扉1に対する「押す」という開放操作を、単純に押圧するのみでなく、さらに押し込むような操作を必要とすることから、開放方向への扉1の急激な開放操作を行っても、扉1はすぐには開放されずに抑止され、上記同様に扉1の向こう側にいる人に扉1を衝突させるような事故等、扉1を勢いよく開放してしまうことで発生する事故を未然に防ぐことが可能となる。また、このさらに押し込むような操作を行うことで扉を開放できる構成であることから、例えば、操作片34を掴み持つことができない場合や、掴み持つことが行えない場合、すなわち握力のない人や荷物を両手に持った状態の人などに対応でき、このような人たちの開放操作においても従来のような扉が急激に開放してしまうなどの不具合を解消することができて、なおかつ扉1の開放操作が行えることとなる。
【0049】
なお、上述した実施の形態では、レバーハンドル10における押圧される部分である押圧部11を略矩形板状とした例について説明したが、レバーハンドル10としての形状については、これに限定されるものではなく、円形や楕円形、多角形など、その他の形状としてもよく、また、板状ではなく、例えば枠状に形成されることとしても良く、揺動先端側を握持部13とする形状であれば上記形状に限定されるものではない。
また、レバーハンドル10を構成する腕部16の形状についても、上記実施の形態における形状に限定されるものではない。
【0050】
さらに、上述した実施の形態では、レバーハンドル10の揺動先端である握持部13の腕部16に対する向きが、扉1の戸先1bから吊元1aに向くよう構成した例について説明したが、このレバーハンドル10の扉1への取り付け状態については、腕部16に対する握持部13の延出方向が吊元1aから戸先1b側として構成されてもよく、また、その他の方向とされて構成されていても、上記同様の作用効果を得ることができる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による扉の構造では、押すことで開放する扉に対する開放操作において、押すことで揺動し係合杆を後退させる把手に、操作片を設け、この操作片を把手とともに握持することで操作し、錠機構部内に直接操作力を伝える作動片を把手と略一体となるように連結片の係合部と規制突起とで規制状態として、扉の開放操作を行えるように構成したので、扉に対する「押す」という開放操作に、操作片を掴み持つ前段操作を必要とすることから、開放方向への扉の急激な開放が抑止され、扉の向こう側にいる人に扉を衝突させるような事故等、扉を勢いよく開放してしまうことで発生する事故を未然に防ぐことが可能となる。
【0052】
また、操作片を掴むことなく、把手を押圧させるのみの開放操作となっても、この把手の揺動を、さらに押し込むように押圧操作することで、すなわち、把手を2段階で押圧するような操作を行うことによって、作動片が把手と略一体となるように連結片の規制部にて規制状態とされる構成としたので、扉に対する「押す」という開放操作を、単純に押圧するのみでなく、さらに押し込むような操作を必要とすることから、上記同様に開放方向への扉の急激な開放が抑止され、扉の向こう側にいる人に扉を衝突させるような事故等、扉を勢いよく開放してしまうことで発生する事故を未然に防ぐことが可能となる。
【0053】
さらに、このさらに押し込むような操作を行うことで扉を開放できる構成であることから、例えば、操作片を掴み持つことができない場合や、掴み持つことが行えない場合などに対応でき、従来のような扉が急激に開放してしまうなどの不具合を解消することが可能であって、扉の開放が行えることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による扉の構造一実施の形態を示す平断面図である。
【図2】同扉の構造における要部の分解斜視図である。
【図3】同扉の構造の一部分解斜視図である。
【図4】同扉の構造の平断面図である。
【図5】同扉の構造における動作を説明する平断面図である。
【図6】同扉の構造における動作を説明する平断面図である。
【図7】同扉の構造における動作を説明する平断面図である。
【図8】同扉の構造における動作を説明する平断面図である。
【符号の説明】
1…扉
1d…扉面
4…錠機構部
5…係合杆(ラッチボルト)
10…把手(レバーハンドル)
16…腕部
16a…先端
22…管部
29…揺動規制部(揺動ガイド穴)
34…操作片
39…付勢部材(揺動バネ)
40…規制部
41…作動片

Claims (3)

  1. 進退自在な係合杆による係合にて閉鎖状態を維持され、押す方向が開放方向となる扉であって、該扉の押される面に配設され、扉の開放方向と略同方向に揺動自在となる把手を備え、該把手を前記扉の開放方向と同方向に揺動させることで、前記係合杆による係合状態を解除し扉の開放が行われる扉の構造において、
    前記把手の前記扉面に対向する裏面に、該裏面に直交して突出形成する腕部と、
    前記把手の前記扉面に対向する裏面に配設され、先端が前記把手の揺動端近傍に位置し、該先端が前記把手の裏面に近接する厚み方向に揺動移動自在な操作片と、
    前記把手の揺動基端軸と同軸に設けられ、該把手とともに、かつ、該把手に対して揺動自在に設けられ、前記係合杆を備える錠機構部内に延出し、該錠機構部に開放操作の出力を行う作動片と、
    前記揺動基端軸と平行とされて前記作動片を貫通して設けられるガイド軸と、
    前記扉面に配置され、前記揺動基端軸が貫通され、前記腕部を揺動自在に支持するとともに、前記ガイド軸の揺動移動をガイドするガイド穴を備えるベース板と、
    前記把手の腕部に設けられ、前記ガイド穴と連通し、前記ガイド軸が挿着されて、前記作動片の揺動範囲を所定角度内に規制する長穴状の揺動規制部と、
    前記操作片に連結され、該操作片の揺動移動に連動して移動し、前記ガイド軸の前記揺動規制部における移動軌跡上に位置して係止し該ガイド軸の移動を規制し、前記作動片の把手に対する揺動を規制する規制部と、
    を具備し、
    前記把手を前記扉の開放方向に押圧し揺動させることで、前記ガイド軸を前記揺動規制部に沿わせて移動させた後、前記作動片の揺動を前記把手の腕部の揺動規制部が規制して前記ガイド軸を前記ガイド穴に沿って移動させ、前記作動片にて前記把手の揺動操作を前記錠機構部に伝達し、
    前記把手とともに前記操作片を掴み持つことで、前記規制部が移動して前記ガイド軸の前記揺動規制部における移動軌跡上に位置し、該規制部が前記作動片の前記把手の腕部に対する揺動を規制し、該作動片にて前記把手の揺動操作を前記錠機構部に伝達して、
    前記扉の開放が行われることを特徴とする扉の構造。
  2. 前記把手は、略板状に形成され、前記扉面に対向する裏面に、該裏面に直交して突出形成する腕部を備え、該腕部先端を前記揺動基端とされて前記扉面側に枢着され、該腕部にて前記操作片の基端を揺動自在に支持するとともに、該腕部内に長手方向に形成される管部内に前記規制部が軸線方向に貫通配置されることを特徴とする請求項1記載の扉の構造。
  3. 前記操作片には、前記把手の裏面から離脱する方向に付勢する付勢部材が備えられることを特徴とする請求項1または2記載の扉の構造。
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