JP4181823B2 - データ処理装置、データ処理方法、プログラム、及びインクジェット記録システム - Google Patents

データ処理装置、データ処理方法、プログラム、及びインクジェット記録システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体の端部に余白を形成せずに記録を行う余白なし記録(縁なし記録、ともいう)を実行できる記録装置へ送信するためのデータを処理する方法、装置、プログラム、記録システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置による記録媒体への記録形態には、記録媒体の周縁に余白を形成せず、記録媒体全面に画像を形成するようにした、いわゆる余白なし記録(あるいは、縁無し記録ともいう)と称する記録形態が知られている。この余白なし記録では、一枚の記録メディアの上下左右の少なくとも一端部に余白が無くなる状態まで記録を行う。このとき、記録媒体の端部に確実に記録を行うために、記録装置では記録媒体の端部より数ミリ外方へ突出する範囲に亘って余分にインクの吐出を行っている。このような記録媒体の外方に吐出されたインクは、プラテンに設けられたインク吸収体(プラテン吸収体)上に着弾し、その吸収体内に吸収されるようになっている。
【0003】
この記録装置では、プラテン吸収体に蓄積されたインクがある一定量を超えるまでは記録媒体や記録装置が汚れるなどの問題は生じ難いが、プラテン吸収体に蓄積された総廃インク量がプラテン吸収体の吸収限界量を越えると、この吸収体からインクが溢れ出し、記録媒体の裏面が汚れたり、場合によってはインクジェット記録装置内にインクが付着するといった不都合が生じる。このため、この種のインクジェット記録装置では、プラテン吸収体に吐出された廃インク量を累積的に加算し、その加算値がプラテン吸収体の吸収限界量に達した場合には、プラテン吸収体の交換を促すエラー表示などを行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような廃インク量の管理およびエラー表示を行う方法としては、(A)記録装置側において、▲1▼ホスト装置から受け取った記録データを解析することによって余白無し記録に伴う廃インク量を算出し、▲2▼このインク量に相当する値を、その時点までにプラテン吸収体に蓄積されている廃インク量(プラテン廃インク量)に相当する値に累積的に加算し、▲3▼この累積値が予め定められた値(吸収限界値)を超えたら、「プラテン吸収体からインクが溢れ出す可能性がある」旨の警告信号をホスト側に送信し、(B)ホスト側において、▲4▼記録装置から受け取った警告信号に基づいてエラー表示を行う、という方法が考えられます。
【0005】
しかしながら、上記方法の場合、ホスト側から送信される記録データを解析して余白無し記録に伴う廃インク量を算出する処理や、この算出値を累積的に加算する処理などのデータ処理を記録装置側にて行うため、記録装置側の処理負荷が高り、制御も複雑化するという問題がある。また、上記データ処理による負荷に起因して他の処理(例えば、受信した記録データのインデックス処理等)が影響を受け、装置全体の処理速度が低下し、これに伴って記録処理速度が低下する問題がある。更に、上記のようなデータ処理を行うためのプログラムを格納するには、記録装置側に大きな容量のメモリ(ROM)を搭載する必要があるが、このような大容量のメモリは高価であり、また、上記データ処理を行うためには高性能な演算手段(CPU)が必要となるが、このような高性能な演算手段も高価であることからコスト増大を招くという問題がある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題に着目してなされたもので、大きな容量のメモリや高性能の演算手段を記録装置に設けずしかも記録速度を極力低下させないようにして、インク溢れが生じない余白なし記録を行うことができるようにしたデータ処理方法、データ処理装置、および当該データ処理装置と記録装置とを含む記録システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明は、以下のような構成を有する。
すなわち、本発明の第1の形態は、記録データに基づき、記録媒体の端部より内側の領域および当該端部より外側にはみ出すはみ出し領域に対しインクを吐出することにより前記記録媒体の端部に余白を設けずに記録を行う余白なし記録を可能とするインクジェット記録装置に供給するデータの処理を、前記インクジェット記録装置に接続されるホスト装置によって行うデータ処理方法であって、前記記録データ前記はみ出し領域に吐出されるデータであるか否かの判断を1ラスタ分の記録データ毎に行い、前記はみ出し領域に吐出されるインク滴の数のみをカウントした値を当該カウント前にカウントした値に累積し、該累積したカウント値に応じて前記余白なし記録に伴って生じる廃インク量に相当する値を取得する廃インク量取得工程と、前記廃インク量取得工程により取得された前記廃インク量に相当する値を表すデータを前記インクジェット記録装置に送出するデータ送出工程と、を前記ホスト装置によって行うことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第2の形態は、記録データに基づき、記録媒体の端部より内側の領域および当該端部より外側にはみ出すはみ出し領域に対しインクを吐出することにより前記記録媒体の端部に余白を設けずに記録を行う余白なし記録を可能とするインクジェット記録装置に対し、データを供給するデータ処理装置であって、前記ホスト装置は、前記記録データ前記はみ出し領域に吐出されるデータであるか否かの判断を1ラスタ分の記録データ毎に行い、前記はみ出し領域に吐出されるインク滴の数のみをカウントした値を当該カウント前にカウントした値に累積し、該累積したカウント値に応じて、前記余白なし記録に伴って生じる廃インク量に相当する値を取得する廃インク量取得手段と、前記廃インク量取得工程により取得された前記廃インク量に相当する値を表すデータを前記インクジェット記録装置に送出するデータ送出手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の第3の形態は、記録データに基づき、記録媒体の端部の内側から外側にはみ出すはみ出し領域に対しインクを吐出することにより前記記録媒体の端部に余白を設けずに記録を行う余白なし記録を可能とするインクジェット記録装置を制御するプログラムあって、前記記録データ前記はみ出し領域に吐出されるデータであるか否かの判断を1ラスタ分の記録データ毎に行い、前記はみ出し領域に吐出されるインク滴の数のみをカウントした値を当該カウント前にカウントした値に累積し、該累積したカウント値に応じて前記余白なし記録に伴って生じる廃インク量に相当する値を取得する廃インク量取得ステップと、前記廃インク量取得工程により取得された前記廃インク量に相当する値を表すデータを前記インクジェット記録装置に送出するデータ送出ステップと、をコンピュータによって実行させることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の第4の形態は、記録データに基づき、前記記録媒体の端部の内側から外側にはみ出すはみ出し領域対してインクを吐出することにより前記記録媒体の端部にまで記録を行う余白なし記録を可能とするインクジェット記録装置と、前記インクジェット記録装置に記録に関するデータを供給するホスト装置とを有するインクジェット記録システムであって、前記ホスト装置は、前記記録データ前記はみ出し領域に吐出されるデータであるか否かの判断を1ラスタ分の記録データ毎に行い、前記はみ出し領域に吐出されるインク滴の数のみをカウントした値を当該カウント前にカウントした値に累積し、該累積したカウント値に応じて前記余白なし記録に伴って生じる廃インク量に相当する値を取得する廃インク量取得手段と、前記廃インク量取得手段により取得された前記廃インク量に相当する値を表すデータを前記インクジェット記録装置に送出するデータ送出手段とを有し、前記インクジェット記録装置は、前記余白なし記録の際に前記記録媒体の端部より外側にはみ出す領域に吐出される廃インクを受けるインク受け部と、前記ホスト装置から送信された前記廃インク量に相当する値を表すデータを累積的に加算し、前記余白なし記録によって前記インク受け部に吐出された廃インク量に相当する累積値を記憶する累積値記憶手段とを有することを特徴とするものである。
【0011】
そして、上記構成を有する本発明によれば、廃インク量に相当する値を取得するデータ取得処理などの複雑なデータ処理をホスト装置側にて行い、インクジェット記録装置側では、単にホスト装置にて処理されたデータ(廃インク量に相当するデータ値)を加算したり、あるいは単に格納したりするだけの極めて単純な処理を行うだけで済み、高性能な演算記録手段等を手段や大容量のメモリを搭載せず安価に構成することができると共に、余白なし記録動作であっても、高速で記録処理を行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明を適用可能なインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。図において、記録装置100の給紙位置100aに挿入された記録媒体Pは、送りローラ106によって矢印Y方向に送られ、ヘッドカートリッジ104による記録可能領域へと搬送される。記録可能領域には平板状のプラテン107が設けられており、このプラテン107によって記録媒体Pは下方から平坦な状態で支持される。また、このプラテン107には不図示のプラテン吸収体(インク受け部)が保持されており、このプラテン吸収体が記録媒体Pの外側に吐出されたインクを受け、吸収するようになっている。この実施形態におけるプラテン吸収体は、ここに吐出された廃インクが最大インク吸収量(吸収限界量)以内に抑えられている状態であれば、その上方を記録媒体Pが摺動しても記録媒体Pの裏面に廃インクが付着しないものとなっている。なお、このプラテン吸収体は、適用する記録媒体Pの主走査方向における最大幅を越える幅を有するものとなっており、記録媒体Pの挿入誤差、搬送誤差などを勘案した十分な幅をもたせたものとなっている。
【0013】
一方、キャリッジ101は、2つのガイド軸102、103によって、それらの軸方向に沿う方向に移動可能となっており、不図示のキャリッジモータの駆動により、主走査方向(矢印X1,X2で示す方向)に沿って往復走査する。キャリッジ101による1回の主走査が終了すると、記録媒体Pを副走査方向(矢印Y方向)に一定量(記録ヘッド104による記録幅に相当)だけ送り、次の主走査に備える。これらの主走査と副走査を繰り返して1頁の記録を行う。
【0014】
キャリッジ101に搭載されたヘッドカートリッジ104は、インクを吐出するノズルを所定の密度で多数配列してなる記録ヘッドと、この記録ヘッドにインクを供給するインクタンクとを含む構成を有しており、記録ヘッドの吐出口が形成された吐出口面は、プラテン107上に搬送された記録媒体Pに対向している。
108はスイッチと表示部を備える操作部で、スイッチはインクジェット記録装置100の電源のオン/オフの切り替えや各種記録モードの設定等に使用され、表示部はエラー発生時等のインクジェット記録装置100の状態の表示を行う。
【0015】
図2は余白なし記録時に、記録媒体Pの外側にインクを吐出する範囲E1を模式的に示す図である。図示のように、インクジェット記録装置100では、余白なし記録を行う際に、記録媒体Pの上下端、左右端の外側にもインクドット(廃インク)の吐出を行う。この実施形態では、上記領域E1内に吐出される廃インク量(以下、プラテン廃インク量と称す)を後述のプリンタドライバによって求めるようになっている。
【0016】
図3は図1に示すインクジェット記録装置に接続されるホスト装置200に用いられるプリンタドライバの処理手順を概念的に示す説明図である。
通常の記録では、ホスト装置200はユーザが記録を指定すると、記録すべき画像データ201を、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色の記録データ(カラー記録データ)、またはブラック(K)の記録データ(モノクロ記録データ)に分離する処理(202)を行う。次に各色のデータを1ラスタずつのデータに分離するラスタライズ処理(203)を行う。次に、ラスタライズ処理されたラスタデータをアウトプットモジュール300に送信し、ここで縦横変換処理及びデータ圧縮処理(301)を行う。ここで、縦横変換とは、データの並び順をラスタデータ(横方向データ)からカラムデータ(縦方向データ)へと変換する処理を意味する。
【0017】
アウトプットモジュール300に1スキャン分のラスタデータが貯蓄されると、そのデータに記録装置操作用コマンドを付加し、送信バッファ204に送る。送信バッファ204では一定のデータが貯蓄されると、そのデータをインクジェット記録装置100に送信する。
【0018】
また、ユーザが余白なし記録を選択した場合には、ホスト装置200のプリンタドライバは、記録媒体Pの外側のはみ出し領域E1にインクを吐出すべき記録データが含まれているか否かのチェックを行い、記録媒体Pの外側にインクを吐出すべきデータが存在する場合には、アウトプットモジュール300内で、その記録媒体Pの外側に吐出される各色分の記録ドット数のカウント処理を廃インク量取得手段302にて行う。そして、1ページ分の記録動作が終了すると、その時点で1ページ分のドットカウント値をアウトプットモジュール300から送信バッファ(送信手段)204へと送り、ここからさらにインクジェット記録装置100へと送信する。
【0019】
ここで、図4に示すフローチャートに基づき、前述の余白なし記録が指定されたときのアウトプットモジュール300で処理される記録媒体外に吐出されるインクドットのカウント処理を説明する。
まず、1ページ分の記録データの先頭において、記録媒体Pの外方に吐出されるインクドットの数をカウントするドットカウンタの初期化(ゼロクリア)を行う(ステップS41)。次にラスタデータを取得し(ステップS42)、そのデータが記録媒体の外側に吐出すべきインクドットのデータであるか否かの判断を行う(ステップS43)。そして、記録媒体Pの外側であると判断された場合には、そのドットデータの数をカウントし、その値がそれまでのカウント値に累積される(ステップS44)。
【0020】
この後、以上のカウント動作が1ページ分の記録データに対して行われたか否かを判断し、1ページ分のカウント動作が終了したと判断された場合には(ステップS45)、その1ページ分の記録媒体Pに対してその外側に吐出されるインクドットのカウント値(廃インクドット数)を表すデータをインクジェット記録装置に送信する(ステップS46)。また、記録すべき次のページが存在すると判断された場合には(ステップS47)、再びステップS41からの処理を同様に行う。
【0021】
ここで、図5に示すブロック図に基づき、本発明の実施形態に適用されるインクジェット記録装置100の制御系の主要部の概略構成を説明する。このインクジェット記録装置100の制御系では、ホスト装置200から送信されて来た記録すべき文字や画像のデータ受け、それを一旦、受信バッファ401に蓄える。また、記録装置100の動作状態などを知らせるデータもCPU402から出力された後、受信バッファ401を経てホスト装置200に転送される。
【0022】
受信バッファ401に蓄えられたホスト装置200からのデータは、CPU402の管理下において、記録ヘッドが主走査した時に記録を行うためのデータに加工され、ランダムアクセスメモリ(RAM)403に記憶される。RAM403のデータは、記録ヘッドコントロール部により記録ヘッド408に転送され、そのデータに従って記録ヘッド408の電気熱変換体等の吐出エネルギー発生手段を駆動し、インク滴を吐出させて文字や画像の記録を行う。機械部406は、CPU402からの指令により図外のキャリッジモータやラインフィードモータ等の駆動を制御する。なお、表示部407は、CPU402からの指令によって駆動される表示パネル群のLEDや液晶表示素子等とそれらを制御するコントロール部とで構成されている。
【0023】
また、前述のように、ホスト装置200からは、記録媒体内にインクドットを吐出させるための記録データだけでなく、記録媒体の外側に吐出させるインクドットのカウント値(廃インクドット数)も送出され、その廃インクドット数を表すデータが前記受信バッファ401に格納される。この廃インクドット数を表すデータ値がホスト装置200から受け取ると、CPU402はEEPROMなどの書き込み可能な不揮発性メモリ(累積値記憶手段)405に既に格納されている記録媒体Pの外側の領域E1に吐出されるインクドット数の累積値を取り出し、その累積値と受信バッファ401に格納されたドットカウント数の値とを加算し、得られた最新のプラテン廃インク量の累積値をEEPROM405に格納する。
【0024】
このように、ホスト装置200から廃インクドット数を表すデータを受信したときにインクジェット記録装置で実行される制御動作を図6のフローチャートに示す。
まず、受信バッファ401が廃インクドット数を表すデータを受信すると(ステップS61)、その値が0でないか否かを判断する(ステップS62)。次に、0でないと判断された場合は、その廃インクドット数に基づきプラテン吸収体に吐出されるプラテン廃インク量を求める(ステップS63)。次に、前回の余白なし記録動作までに累積されたプラテン廃インク量をEEPROM405から読み出し(ステップS64)、その累積プラテン廃インク量に今回の余白なし記録動作によって吐出されるプラテン廃インク量を加算する(ステップS65)。その後、EEPROM405に新たな累積プラテン廃インク量の格納(上書き)を行う(ステップS66)。なお、この図6のフローチャートでは、廃インク量の管理を、廃インク量そのものの値で管理しているが、インクドット数の値で管理してもよいことは言うまでもない。この場合、廃インクドット数に関するデータに基づいて廃インク量を算出する必要は無く、また、EEPROM405にはドット数情報が格納されることになる。
【0025】
図7は、図6のステップS66に示す動作によってEEPROM405に格納された「プラテン廃インク量の累積値」に応じて実行される制御動作を示すフローチャートである。
前述の図6のステップS66によってEEPROM405に新たな累積プラテン廃インク量が格納されると、CPU408は、その都度、格納されたプラテン廃インク量が一定の値に達したか否か(以上か否か)の判断を行う(ステップS71,S72)。ここで、一定の値とは、プラテン吸収体の最大インク吸収量(吸収限界量)あるいは、これより若干少ない値であり、プラテン廃インク量が前記一定値に達した(以上となった)場合には、表示部407の表示素子(例えばLED)などを点灯させ、廃インクがプラテン吸収体の最大インク吸収量に達した(以上となった)、あるいは達する直前であることを表示すると共に、警告データをホスト装置200にホスト側に送信する(S74)。この警告データを受け取ったホスト装置200側はディスプレイ画面にエラーダイアログを表示し、プラテン吸収体が満了あるいは満了直前の状態に達したことをユーザに知らせる。このエラー状態においては、インクジェット記録装置の駆動を禁止状態にすることも有効である。
なお、上記のようなプラテン廃インクの量の判別は、インクジェット記録装置の電源を投入した時、あるいは排紙後に行うようにしても良い。
【0026】
以上のように、上記実施形態によれば、余白なし記録を行うに際し、記録データからプラテン廃インクドットを抽出し、そのドット数を求めるという複雑な処理をホスト装置200側で行い、インクジェット記録装置100では単にホスト装置200から送られて来るプラテン廃インクドットの値を累積するのみで良いため、インクジェット記録装置100にて実行する制御は極めて単純化され、大容量のメモリ(ROM等)や高性能の演算装置(CPU等)は不要となり、安価に構成することができる。しかもインクジェット記録装置側での処理時間を短縮でき、インクジェット記録装置での記録動作速度が低下することもなくなる。
【0027】
また、上記実施形態では、プラテン吸収体に吸収されているインクが一定値に達した時点でユーザに警告を発するようになっているため、インクを吸収し切れないプラテン吸収体の上を記録媒体が通過することによって記録媒体の裏面が汚れたり、インクジェット記録装置内が汚損されたりするのを防止することができる。
【0028】
さらに、上記実施形態では、余白なし記録に伴って発生する廃インク量をホスト側において取得するにあたり、記録媒体の外側にはみ出した領域に吐出されるインクドットの数をカウントしているので、ドット単位での極めて高精度な廃インク量に関する情報の取得が可能となる。
【0029】
なお、上記実施形態では、ドットカウント処理によって上記廃インク量に関する情報を取得し、その情報を記録装置側へ送信する形態を採用しているが、本発明はこの形態に限定されるものではない。例えば、記録媒体のサイズに対応して予め定められた廃インク量に相当する値を取得し、その値を記録装置側へ送信する形態とすることも可能である。
【0030】
すなわち、はみ出した領域におけるドットカウント処理は行わず、記録媒体のサイズに応じた特定値を「廃インク量に相当する値」と定めるのである。この形態の場合、ドットカウント処理は行わないので、記録媒体の外側にはみ出した領域に吐出されるインクドットの正確な数は不明であり、廃インク量を正確に管理するという点では上記実施形態よりも劣る。しかし、その反面、ドットカウント処理を行わない分だけ処理が簡易化するという利点がある。因みに、この形態の場合、廃インク量に相当する値として、記録媒体のサイズが異なる場合には異なる値が定められるが、記録媒体のサイズが同じ場合には記録デューティーに関係なく同じ値が定められる。
以上から明らかなように、ホスト側においては、余白なし記録に伴って発生する廃インク量に相当する値を取得することが重要であって、その具体的な取得方法としてドットカウント処理に限定されるものではない。
【0031】
ところで、上記実施形態では、廃インク量の累積及びその累積値が一定値に達したか否かの判断をインクジェット記録装置側で行うようにしたが、この廃インク量の累積及び前記判断をホスト装置側で行うようにすることも可能であり、これによれば、インクジェット記録装置側の負担を軽減することが可能となる。但し、この場合にも、廃インク量の最新の累積値を記憶する累積値記憶手段(ROM等)は少なくとも必要であり、インクジェット記録装置の電源を投入した時点で、その累積値記憶手段から読み出した累積値をホスト装置側へと送信するようにすることが必要となる。そしてホスト装置では、このインクジェット記録装置側から送られて来た累積値と記録データから抽出した廃インクドットの数とを加算し、その加算値が最新の累積値となってインクジェット記録装置へと送られ、これが累積値記憶手段に記憶(上書き)される。
【0032】
また、インクジェット記録装置では、通常は、記録ヘッド内に滞留している気泡の排出、あるいは増粘インクの排出などの回復動作を行う目的で、予備吐出や吸引回復動作などを行うことが一般に行われており、この回復動作時に排出される廃インクが、所定のインク吸収体に保持されることが行われている。上記の実施形態では、この回復動作時に排出されたインクを吸収する廃インク吸収体と、上記プラテン吸収体(廃インク受け部)とが別個のものである場合を想定している。従って、余白なし記録時に発生する廃インク量のみに基づき警告動作などを行うものとなっている。しかしながら、インクジェット記録装置にあっては、回復動作時に発生する廃インクの吸収体と、プラテン吸収体とが一体あるいは接続されているものもあり、この場合には、回復動作時に発生した廃インク量をも勘案して、廃インク吸収体のインク吸収状態を検出するようにすれば良い。
【0033】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、余白なし記録などに伴なって生じる各廃インク量に相当する値を取得する処理をホスト装置側に行い、ホスト装置側にて取得された上記廃インク量に相当する値をインクジェット記録装置側へ送信し、インクジェット記録装置ではその送信された値を格納するようにしたため、インクジェット記録装置における処理負荷を大幅に軽減することが可能となる。また、この構成によれば、インクジェット記録装置には、大容量のメモリや高性能の演算処理手段などを設けずに済むため、安価に構成することができる。また、ホスト側で画像処理動作などと並行して廃インク量を求める処理を行うため、インクジェット記録装置側で、記録データを再解析する手間を省くことができ、インクジェット記録装置の制御系全体を簡素化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に適用するインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態において、余白なし記録時に、記録媒体の外側にインクを吐出する範囲を模式的に示す図である。
【図3】本発明の一実施形態において、ホスト装置に用いられるプリンタドライバの処理手順を概念的に示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態において、記録媒体の外方に吐出されるインクドットのカウントを行うホスト装置の制御動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態におけるインクジェット記録装置の制御系を概略的に示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態におけるインクジェット記録装置のプラテン廃インク量の設定についての制御動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態において、プラテン廃インクの累積値に応じて実行される制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100 インクジェット記録装置
101 キャリッジ
102 ガイド軸
104 ヘッドカートリッジ
107 プラテン
200 ホスト装置
204 送信バッファ
300 アウトプットモジュール
302 廃インク量取得手段
401 受信バッファ
406 機械部
407 表示部
408 記録ヘッド

Claims (8)

  1. 記録データに基づき、記録媒体の端部より内側の領域および当該端部より外側にはみ出すはみ出し領域に対しインクを吐出することにより前記記録媒体の端部に余白を設けずに記録を行う余白なし記録を可能とするインクジェット記録装置に供給するデータの処理を、前記インクジェット記録装置に接続されるホスト装置によって行うデータ処理方法であって、
    前記記録データ前記はみ出し領域に吐出されるデータであるか否かの判断を1ラスタ分の記録データ毎に行い、前記はみ出し領域に吐出されるインク滴の数のみをカウントした値を当該カウント前にカウントした値に累積し、該累積したカウント値に応じて前記余白なし記録に伴って生じる廃インク量に相当する値を取得する廃インク量取得工程と、
    前記廃インク量取得工程により取得された前記廃インク量に相当する値を表すデータを前記インクジェット記録装置に送出するデータ送出工程と、
    前記ホスト装置によって行うことを特徴とするデータ処理方法。
  2. 前記廃インク量取得工程では、余白なし記録に伴って生じる廃インク量に相当する値を、前記記録媒体の1頁毎あるいは一定の記録領域毎に取得し、
    前記データ送出工程では、前記廃インク量取得工程によって1頁毎あるいは一定の記録領域毎に取得した前記廃インク量に相当する値を表すデータを前記インクジェット記録装置に順次送出することを特徴とする請求項1記載のデータ処理方法。
  3. 前記廃インク量取得工程では、余白なし記録に伴なって生じる廃インク量に相当する値を一定の記録領域毎に取得し、当該取得した夫々の値の累積値を求め、
    前記データ送出工程では、前記累積値を表すデータを前記インクジェット記録装置に送出することを特徴とする請求項1記載のデータ処理方法。
  4. 記録データに基づき、記録媒体の端部より内側の領域および当該端部より外側にはみ出すはみ出し領域に対しインクを吐出することにより前記記録媒体の端部に余白を設けずに記録を行う余白なし記録を可能とするインクジェット記録装置に対し、データを供給するデータ処理装置であって、
    前記記録データ前記はみ出し領域に吐出されるデータであるか否かの判断を1ラスタ分の記録データ毎に行い、前記はみ出し領域に吐出されるインク滴の数のみをカウントした値を当該カウント前にカウントした値に累積し、該累積したカウント値に応じて前記余白なし記録に伴って生じる廃インク量に相当する値を取得する廃インク量取得手段と、
    前記廃インク量取得工程により取得された前記廃インク量に相当する値を表すデータを前記インクジェット記録装置に送出するデータ送出手段と、
    を備えることを特徴とするデータ処理装置。
  5. 記録データに基づき、記録媒体の端部の内側から外側にはみ出すはみ出し領域に対しインクを吐出することにより前記記録媒体の端部に余白を設けずに記録を行う余白なし記録を可能とするインクジェット記録装置を制御するプログラムあって、
    前記記録データ前記はみ出し領域に吐出されるデータであるか否かの判断を1ラスタ分の記録データ毎に行い、前記はみ出し領域に吐出されるインク滴の数のみをカウントした値を当該カウント前にカウントした値に累積し、該累積したカウント値に応じて前記余白なし記録に伴って生じる廃インク量に相当する値を取得する廃インク量取得ステップと、
    前記廃インク量取得工程により取得された前記廃インク量に相当する値を表すデータを前記インクジェット記録装置に送出するデータ送出ステップと、
    をコンピュータによって実行させることを特徴とするプログラム。
  6. 記録データに基づき、前記記録媒体の端部の内側から外側にはみ出すはみ出し領域対してインクを吐出することにより前記記録媒体の端部にまで記録を行う余白なし記録を可能とするインクジェット記録装置と、前記インクジェット記録装置に記録に関するデータを供給するホスト装置とを有するインクジェット記録システムであって、
    前記ホスト装置は、
    前記記録データ前記はみ出し領域に吐出されるデータであるか否かの判断を1ラスタ分の記録データ毎に行い、前記はみ出し領域に吐出されるインク滴の数のみをカウントした値を当該カウント前にカウントした値に累積し、該累積したカウント値に応じて前記余白なし記録に伴って生じる廃インク量に相当する値を取得する廃インク量取得手段と、
    前記廃インク量取得手段により取得された前記廃インク量に相当する値を表すデータを前記インクジェット記録装置に送出するデータ送出手段とを有し、
    前記インクジェット記録装置は、
    前記余白なし記録の際に前記記録媒体の端部より外側にはみ出す領域に吐出される廃インクを受けるインク受け部と、
    前記ホスト装置から送信された前記廃インク量に相当する値を表すデータを累積的に加算し、前記余白なし記録によって前記インク受け部に吐出された廃インク量に相当する累積値を記憶する累積値記憶手段とを有することを特徴とするインクジェット記録システム。
  7. 前記インクジェット記録装置は、前記累積値記憶手段に記憶された累積値が予め定められた一定値を超えたか否かを判別する判別手段と、
    前記累積値が一定値を超えたら、前記ホスト装置に対し警告データを送信する送信手段を更に有し、
    前記ホスト装置は、前記インクジェット記録装置から送信された警告データに基づいて、表示画面にエラー状態である旨の表示を行うエラー表示手段を更に備えることを特徴とする請求項6記載のインクジェット記録システム。
  8. 前記インクジェット記録装置と前記ホスト装置の少なくとも一方は、前記累積値が予め定められた一定値を超えたエラー状態において、エラー表示と、インクジェット記録装置の駆動禁止の少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項6記載のインクジェット記録システム。
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