JP4179217B2 - 新規ベクター及びこのベクターを用いて行う植物形質転換体の作出方法 - Google Patents

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本発明は新規なベクター、及び、このベクターを用いて行う植物形質転換体の作出方法に関する。
近年、遺伝子組換え植物の開発も実用段階に達するものが現われ、作出された組換え植物を、実際に野外で生育させるケースも生じてきた。しかし、この場合、組換え遺伝子を含む花粉が野性種と交配する可能性があるため、花粉の飛散が問題となる。そこで、これを防止するため、かかる組換え植物の開発と並行する形で、植物の花粉形成を阻害する技術、即ち、不稔化技術の研究も進められている。また、近年スギ花粉などによる花粉症が社会問題化しており、スギ等の植物については、花粉症の防止のためにも、この不稔化技術の研究が進められている。さらに、花卉園芸においては、種子形成に伴う植勢の低下を防止して、花咲きを良くしたり、開花期間を延長させる等の目的でも、不稔化の研究は進められている。
このように、不稔化植物の研究対する社会的な需要は非常に大きなものである。従来より、植物への不稔形質の導入は、主として、交配や遺伝子工学的手法を用いて行われてきた。交配による不稔形質の導入は、特別な装置や施設が必要なく、簡易な手段で行うことができるというメリットがあるが、その反面、適用できる植物種が限られるというデメリットがある。即ち、現在、不稔形質を持つ個体が確認されている栽培植物としては、イネ、コムギ、トウモロコシ、ナタネ等があるが、これらの植物と交配可能な植物でなければ、この方法によって不稔化された植物を作製することができない。
一方、遺伝子工学的手法による不稔形質の導入は、交配による方法とは異なり、広範な植物種に適用が可能というメリットがある。現在までのところ、遺伝子工学的手法により不稔化に成功した植物としては、トウモロコシ、キャベツ、ブロッコリー、レタス、メロンなどが知られており、例えば、国際公開公報WO89/10396には、タバコ葯組織のタペータム細胞に特異的な発現プロモーターの下流に、バーナーゼ遺伝子を連結して雄性不稔遺伝子を作成し、これを植物に導入して、不稔化植物を得た旨の報告がされている。
WO89/10396
しかし、遺伝子工学的手法により不稔遺伝子を植物に導入し、不稔化植物を作成するにあたっては、通常、その過程でカルスを経由する。ところが、いわゆる組織又は器官特異的なプロモーター(以下、単に組織特異的プロモーターという。)とされるものであっても、植物細胞において機能するプロモーターは、ほぼ全てがカルスで活性化する。これは、カルスが脱分化した細胞の塊であり、細胞の分裂活性が高い上に、組織特異的な発現制御から逸脱したもので、組織又は器官特異性を司る転写調節因子が作用しないためと考えられる。上記バーナーゼ遺伝子を始め、不稔化に用いられる遺伝子は、多くの場合、何らかの形で細胞機能を阻害する遺伝子が、花芽分裂細胞で特異的に働くプロモーターの制御下に配されて形成されるが、これらのプロモーターも同様で、花芽分裂細胞や葯だけではなく、カルスにおいても活性化する。このため、遺伝子導入処理後の植物細胞から不稔化植物を作成する過程において、細胞機能阻害遺伝子がカルス細胞中で発現し、細胞が枯死したり、その増殖が妨げられて、目的とする不稔化植物が得られないという現象が見られた。
以上のような、組換え植物作成過程における、カルス細胞での目的遺伝子の発現は、目的遺伝子として、不稔化植物を作成するための細胞機能阻害遺伝子を、花芽分裂細胞特異的プロモーターと共に用いる場合に限らず、他の有用遺伝子を組織特異的プロモーターと共に用いる場合でも、不定芽再分化の阻害等、好ましくない影響をもたらす。現実に、これが原因となって、組換え植物の作成に失敗したと考えられるケースも多く知られている。
以上の問題点を踏まえ、本発明は、遺伝子工学的手法により目的遺伝子を植物細胞に導入し、これを培養して組換え植物を作成する場合に、その培養ステージに応じて、また、その培養組織又は器官に応じて、目的遺伝子の発現を適正に制御する技術を提供することを目的してなされたものである。
特に、本発明は、しばしば、組換え植物の作成に失敗をもたらす、カルスでの目的遺伝子の発現を抑制する技術を提供することを目的とする。
更に、本発明は、不稔化植物の作成に大きな効果をもたらす技術を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、以下の構成単位A及びBを、同一DNA分子上に又は異なるDNA分子上に配したベクターであって、プロモーター1及びプロモーター2が、シロイヌナズナのPISTILLATA(PI)遺伝子、APETALA1(AP1)遺伝子、APETALA2(AP2)遺伝子、APETALA3(AP3)遺伝子、AGAMOUS(AG)遺伝子、LEAFY(LFY)遺伝子及び/若しくはSEPALLATA3(SEP3)遺伝子の発現を制御するプロモーター、又はタバコTA29プロモーターであり、プロモーター3が、植物のヒストンH3プロモーター、ヒストンH4プロモーター、又はシロイヌナズナのSHOOT MERISTEMLESS(STM)遺伝子及び/若しくはCUP−SHAPED COTYLEDOM(CUC)遺伝子の発現を制御するプロモーターであることを特徴とするベクターにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
A.プロモーター1、発現抑制配列としてオペレーター配列、及び、プロモーター1により発現が促進され、かつ、前記オペレーター配列により発現が抑制される目的遺伝子としてBax、RNase、プロテアーゼ又はDAMメチラーゼをコードする遺伝子からなるDNA配列。
B.プロモーター2、プロモーター2により発現が促進されて前記オペレーター配列による発現抑制を機能せしめるオペレーター配列結合タンパク質をコードする遺伝子、プロモーター3、前記オペレーター配列、及び、プロモーター3により発現が促進され、かつ、前記オペレーター配列により発現が抑制される脱離反応触媒酵素遺伝子として部位特異的組換え系の組換え酵素遺伝子からなり、該部位特異的組換え系の組換え酵素遺伝子の発現により脱離するDNA配列。
本発明は、目的遺伝子として、植物の表現型に効果を及ぼすことができる構造遺伝子をカスケード的に作用する調節因子の制御下に配したベクターを提供する。本発明においては、かかるベクターを用いて目的遺伝子を植物細胞に導入し、これを培養して組換え植物を作成することで、その培養ステージに応じて、また、その培養組織又は器官に応じて、目的遺伝子の発現を適正に制御することができる。
即ち、本発明により提供される上記ベクターによれば、組換え植物の作成に失敗をもたらす、カルスでの目的遺伝子の発現を抑制することができる。
特に、本発明は、不稔化植物の作成に大きな効果を発揮する。
以下に本願発明を詳細に説明する。
(1)本発明のベクター
本発明のベクターは、図1に示すように大きく2つの構成単位から成る。1つは構成単位Aであって、プロモーター1、発現抑制配列、及び、プロモーター1により発現が促進され、かつ、前記発現抑制配列により発現が抑制される目的遺伝子からなるDNA配列である。もう一つは構成単位Bであって、プロモーター2、プロモーター2により発現が促進されて前記発現抑制配列による発現抑制を機能せしめる発現抑制遺伝子、プロモーター3、前記発現抑制配列、及び、プロモーター3により発現が促進され、かつ、前記発現抑制配列により発現が抑制される脱離反応触媒酵素遺伝子からなり、該脱離反応触媒酵素遺伝子の発現により脱離するDNA配列である。
なお、本発明においてベクターとは、必ずしも一つのDNA分子からなるものには限定されず、2つのDNA分子からなるものをも意味している。従って、上記構成単位A及びBは、必ずしも同一DNA分子上にある必要はなく、それぞれ異なるDNA分子上に配されていてもよい。
次に、上記構成要素のそれぞれについて説明する。
ここでプロモーター1としては、少なくともカルス及び目的遺伝子を発現させようとする植物組織において活性を示し、その制御下にある目的遺伝子の発現を促進するものを使用する。前記したように、植物細胞において働く大抵のプロモーターは、組織特異的プロモーターと呼ばれるものも含め、カルスで活性を示す。従って、プロモーター1としては、これの制御下におく目的遺伝子を発現させようとする植物組織を基準に、この植物組織で活性を示すプロモーターを選択して使用すればよい。
また、プロモーター2に関しては、少なくともカルスにおいて活性を示し、その制御下にある遺伝子の発現を促進するものを使用する。また、プロモーター3は、プロモーター1及びプロモーター2が活性を示さない植物組織において活性を示すプロモーターを使用する。
なお、かかるベクターにおいて、プロモーター1として、花芽分裂細胞及びカルスにおいて活性を示し、芽の分裂細胞において活性を示さないプロモーター、プロモーター2して、少なくともカルスにおいて活性を示し、芽の分裂細胞において活性を示さないプロモーター、プロモーター3として、少なくとも芽の分裂細胞において活性を示すプロモーターを用い、かつ、プロモーター1の制御下に置く目的遺伝子としてBax、RNase、プロテアーゼ又はDAMメチラーゼをコードする遺伝子を用いることにより、不稔化植物の作成に有用なベクターを得ることができる。
この場合において、プロモーター1、即ち、花芽分裂細胞及びカルスにおいて活性を示し、芽の分裂細胞において活性を示さないプロモーターとしては、花芽分裂細胞で働く、シロイヌナズナのPISTILLATA(PI)遺伝子、APETALA1(AP1)遺伝子、APETALA2(AP2)遺伝子、APETALA3(AP3)遺伝子、AGAMOUS(AG)遺伝子、LEAFY(LFY)遺伝子及び/又はSEPALLATA3(SEP3)遺伝子の発現を制御するプロモーターや、花芽分裂細胞の中でも葯で特異的に働く、タバコTA29プロモーターを使用するまた、これらはいずれも、プロモーター2として使用することもできる。
また、プロモーター3、即ち、芽の分裂細胞において活性を示すプロモーターとしては、植物のヒストンH3プロモーターやヒストンH4プロモーター、シロイヌナズナのSHOOT MERISTEMLESS(STM)遺伝子及び/又はCUP−SHAPED COTYLEDOM(CUC)遺伝子の発現を制御するプロモーター等を使用する
さらに、目的遺伝子としては、Bax、RNase、プロテアーゼ、DAMメチラーゼをコードする遺伝子を使用するなお、本発明の実施例では、目的遺伝子としてBax遺伝子を用いたが、これは、アポトーシスを引き起こすほ乳動物のBaxをコードする遺伝子である。
本発明のベクターにおいて発現抑制配列としてオペレーター配列を、発現抑制遺伝子としてオペレーター配列結合タンパク質をコードする遺伝子を用いる
なお、オペレーター配列結合タンパク質をコードする遺伝子としては、大腸菌由来のラクトースオペロンの使用が、オペレーター配列としては、このラクトースオペロンの認識可能なDNA配列が好ましい。植物由来の遺伝子は、内在性のパラログ遺伝子が目的遺伝子の発現制御に影響を及ぼすおそれがある。また、より効果的にオペレーター配列結合タンパク質をオペレーター配列に結合させるため、このオペレーター配列を並列に2つ以上配してもよい。
脱離反応触媒酵素遺伝子と、この脱離反応触媒酵素遺伝子の発現により前記構成単位Bを脱離させるための機構は、既に当業者に公知となっており、本発明のベクターにおいては、特許第3256952号等に記載されるように、部位特異的組換え系(site−specific recombination system)を利用する。本発明の実施例においても、部位特異的組換え系を利用し、脱離反応触媒酵素遺伝子として部位特異的組換え系の組換え酵素遺伝子を用い、構成単位B全体を、この組換え酵素遺伝子が認識し、しかも互いに同じ方向を向いている2つの認識配列に挟むことによって、この構成単位Bを脱離させる。
ここで、部位特異的組換え系とは、組換え酵素と、この組換え酵素が認識して作用する認識配列との働きにより、この認識配列に挟まれた領域の脱離又は組換えを起こす系である。即ち、この認識配列が同一DNA分子上に、同一方向を向いてある一定の間隔で二つ存在している場合には、これに挟まれた領域がこのDNA分子から脱離し、また、この配列が対向する方向を向いて二つ存在している場合には、この領域が反転するので、本発明では、この前者の脱離作用を利用する。
現在、部位特異的組換え系はファージ、細菌(例えば大腸菌)、酵母等の微生物から分離されたCre/lox系、R/RS系、FLP/FRT系、cer系、fim系等が知られているが(総説として、N.L.Craig、Annu.Rev.Genet.、22:17、1988)、植物その他の高等生物ではまだその存在を知られていない。しかし、これらの微生物から分離された部位特異的組換え系も、その由来する生物種と異なる生物種(植物を含む)に導入された場合に、そのそもそもの生物内における挙動と同一の挙動をとることが明らかとなっている。これらの中でも、酵母(Zygosaccharomyces rouxii)の部位特異的組換え系であるR/RS系(H.Matsuzaki et al.、J.Bacteriology、172:610、1990)は、脱離効率が高いので、本発明において用いる部位特異的組換え系として好ましい。
本発明のベクターにおいては、さらに、これらの構成要素以外にも、選抜マーカー遺伝子や、DNA結合領域をコードするDNA配列、不活性化ドメインをコードするDNA配列等を配してもよい。
選抜マーカー遺伝子としては、抗生物質耐性遺伝子や除草剤耐性遺伝子など、汎用のものが使用できる。例えば、このような遺伝子として、カナマイシン耐性遺伝子(NPTII)、抗生物質ハイグロマイシンに対する耐性を植物に付与するハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(htp)遺伝子及びビアラホス(bialaphos)に対する耐性を付与するホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ(bar)遺伝子等から選ばれる1つ以上の遺伝子を使用することができる。このような選抜マーカー遺伝子を本発明のベクター中に組込むことは、目的とする形質転換細胞の効率的な選抜のために有効である。
特に構成単位Bに、負の選抜マーカー遺伝子として植物ホルモン合成遺伝子、例えばサイトカイニンを合成する酵素をコードするイソペンテニルトランスフェラーゼ(ipt)遺伝子、オーキシンを合成する酵素をコードするインドールアセトアミドヒドロキシラーゼ(iaaH)遺伝子等の植物ホルモン合成遺伝子や、植物ホルモンのシグナル伝達に関与するmsh1,cki1等の遺伝子を導入し、利用すると、この構成単位Bの脱離の有無を、植物組織又は器官の奇形の発生の有無として肉眼で検出できるので、本発明の方法を効率的に実施することができる。
また、一般に、導入遺伝子は、宿主植物のゲノム中、様々な位置に導入され、その導入位置によって異なる発現を示すことが知られ、位置効果と呼ばれている。本発明のベクターに恒常的に発現する適当なプロモーターとレポーター遺伝子、例えば、β−グルクロニダーゼ(GUS)やルシフェラーゼ(LUC)をコードする遺伝子等を組込むことで、この位置効果により、目的遺伝子等、本発明のベクターの構成要素が効果的に発現する形質転換体を容易に選抜することができるようになる。なお、本発明において形質転換体とは、本発明のベクターにより目的遺伝子が導入された細胞からなる植物体全体、植物器官又は植物組織をいう。
さらに、植物体内で外来遺伝子を発現させるためには、構造遺伝子の下流に植物用のターミネーター等を配置させる必要がある。従って、本明細書において、単に遺伝子というときは、構造遺伝子及びそのターミネーター配列を指している。上記した構成単位A及びBを形成する各遺伝子にしても、その構造遺伝子の下流にターミネーター配列を有するものである。なお、ターミネーター配列としては、例えばカリフラワーモザイクウイルス由来やノパリン合成酵素遺伝子由来のターミネーター等が挙げられる。但し、植物体内で機能することが知られているターミネーターであれば、これらのものに限定されることなく、本発明において使用できる。
(2)本発明のベクターの植物宿主への導入
本発明のベクターは、公知の遺伝子導入方法を用いて宿主植物の細胞に導入することができる。代表的な遺伝子導入方法としては、アグロバクテリウム感染法等の間接導入法や、パーティクルガン法、ポリエチレングリコール法、リポソーム法、マイクロインジェクション法等の直接導入法などを挙げることができる。例えば、アグロバクテリウム感染法を用いる場合、以下のようにして、本発明のベクターをアグロバクテリウムに導入すればよい。
まず、本発明のベクターを、定法により、植物細胞用のクローニングベクターに挿入して植物への遺伝子導入用組換えベクターを得る。このときクローニング用ベクターとしては、pBI2113Not、pBI2113、pBI101、pBI121、pGA482、pGAH、pBIG等のバイナリーベクター系のプラスミドや、pLGV23Neo、pNCAT、pMON200等の中間ベクター系のプラスミドを用いることができる。
例えば、バイナリーベクター系プラスミドを用いる場合、上記のバイナリーベクター中の境界配列LBとRBとに挟まれたT−DNA領域に、本発明のベクターの構成単位A及び/又はBを挿入し、この組換えベクターを大腸菌中で増幅する。次いで、増幅したベクターをアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciems、以下、単にA.ツメファシエンスと略記する。)C58、LBA4404、EHA101、C58C1RifR、EHA105等に、凍結融解法、エレクトロポレーション法、三者接合法(Nucleic Acids Research、12:8711、1984)等により導入し、該アグロバクテリウムを植物細胞に感染させることで、本発明のベクターをその植物に導入する。
なお、バイナリーベクター系プラスミドを用いる場合において、本発明のベクターを構成する構成単位A及びBは、同一T−DNA領域に配するのが望ましいが、異なるT−DNA領域に配してもよい。また、これらを、それぞれ異なるプラスミドに挿入してもよい。
本発明において、宿主となる植物の種類に制限はない。例えば、シロイヌナズナ、タバコ、イネ、トウモロコシ、ポプラ、ユーカリ、スギ等を宿主とすることができる。上記した遺伝子導入方法は、これらの植物の培養細胞、植物体全体、器官(例えば葉、花弁、茎、根、根茎、種子等)、又は組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)のいずれをも対象として行うことができる。また、エレクトロポレーション法を用いる場合には、プロトプラストを対象として行うこともできる。
(3)形質転換体の作出
本発明において遺伝子導入処理後の植物細胞は、まず、適当なカルス誘導培地にて培養し、カルスを増殖させる。これにより、カルスにおいて活性を示すプロモーター2の働きにより、発現抑制遺伝子が発現して、発現抑制配列による発現抑制作用を機能せしめ、目的遺伝子及び脱離反応触媒酵素遺伝子の発現は抑制される。従って、カルス中において目的遺伝子が発現することも、構成単位Bが脱離することもない。
次いで、このカルスを適当な再分化培地に移植し、プロモーター3が活性を示す植物組織又は器官を再分化させる。かかる組織や器官においては、プロモーター1及びプロモーター2は活性を示さないので、目的遺伝子が発現することはなく、また、脱離反応触媒酵素遺伝子の発現が発現抑制配列によって妨げられることはない。従って、脱離反応触媒酵素遺伝子が発現し、構成単位Bが脱離する。
目的とする形質転換体は、この後、目的遺伝子を発現させようとする組織又は器官を再分化させることにより得られる。このとき、構成単位Bは既に脱離してしまっているので、目的遺伝子の発現が、発現抑制配列に妨げられることはない。
即ち、本発明のベクターは、目的遺伝子の発現が、カスケード的に作用するプロモーター、発現抑制遺伝子及び脱離反応触媒酵素遺伝子よりなる調節因子の下に制御されているので、本発明のベクターを用いて目的遺伝子を植物細胞に導入すれば、目的遺伝子の発現は、その培養ステージに応じて、また、その培養組織又は器官に応じて適正に制御される。従って、遺伝子導入処理後の細胞を培養し、この細胞からカルスを経由して植物組織又は器官を再分化させるだけで、目的遺伝子のカルスにおける発現を抑制しつつ、この目的遺伝子が、特定の組織又は器官にて発現している形質転換体を作出することができる。
特に、プロモーター1が、少なくとも花芽分裂細胞及びカルスにおいて活性を示し、芽の分裂細胞において活性を示さないプロモーター、プロモーター2が、少なくともカルスにおいて活性を示し、芽の分裂細胞において活性を示さないプロモーター、プロモーター3が、少なくとも芽の分裂細胞において活性を示すプロモーター、更に、目的遺伝子が細胞機能阻害遺伝子である場合には、遺伝子導入処理後の植物細胞を培養してカルスを増殖させ、次いで、このカルスから芽を再分化させてから、花芽の再分化が起こるようにするようにすれば、細胞機能阻害遺伝子がカルス増殖中に発現することはなく、花芽の再分化が始まった時点で発現し、花芽の分裂細胞を死に到らしめて花芽形成を阻害するので、不稔化植物を得ることができる。再分化した芽から花芽、正確には花芽の原基を得るには、この芽を伸長させて切取り、これを適当な発根培地に挿しつけて発根させることで幼植物体を再生し、この幼植物体を生長させて花芽の再分化が起こるようにすればよい。
なお、植物細胞からのカルス増殖に用いるカルス誘導培地、カルスからの植物組織や器官の再分化に用いる再分化培地は、植物の組織培養培地として公知の培地に、サイトカイニンやオーキシン等の植物ホルモン等を適宜添加することによって調製することができる。また、選抜マーカー遺伝子として、前記したような抗生物質耐性遺伝子や農薬耐性遺伝子を用いた場合には、形質転換体の選抜のため、これらの耐性遺伝子に対応する抗生物質や農薬を培地中に添加すればよい。
(4)形質転換体の検出と確認
本発明のベクターにより作出された形質転換体の検出、及び、その後代における安定性の確認は、これらの細胞や組織から常法に従ってDNAを抽出した後、これを、PCR法やサザンブロッティング法等、公知の手段を用いて分析することにより行えばよい。
また、本発明のベクターにより導入される目的遺伝子が、不稔形質の付与等、植物体の外形に影響を及ぼすものである場合には、遺伝子導入処理後の植物細胞から、最終的に幼植物体を再生して、あるいは、この幼植物体を更に生長させ、その外形を調べることによって形質転換体を検出し、確認することもできる。例えば、本発明のベクターにより、不稔化植物を作成した場合には、前記のようにして得られた幼植物体を、メトロミックス350等の培養土を入れた植木鉢に植えて生長させ、一定期間経過後の花芽の形成を調べることによって形質転換体を検出し、確認することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
1.PIプロモーターのタバコでの発現
花芽分裂細胞及びカルスにおいて活性を示し、芽の分裂細胞において活性を示さないプロモーターの一つとして、シロイヌナズナのPISTILLATA(PI)が知られている(Gotoら、Genes & Development、vol.8、1548−1560、1994)。本実施例においては、まず、タバコにおいて、このプロモーターがシロイヌナズナと同様な活性を示すかどうか検討を行うため、京都大学化学研究所の後藤弘爾博士(現岡山県立大学)より譲り受けたPIプロモーターとGUS遺伝子の融合遺伝子をもつバイナリーベクター系の組換えプラスミドを、エレクトロポレーション法により、A.ツメファシエンスEHA105に導入した。
次いで、このA.ツメファシエンスをカナマイシン50mg/lを含むLB培地で28℃、一晩培養した培養液に、無菌条件下、種子から約4週間生育させたタバコ(Nicotiana tabacum SR−1)の葉を5mm角に切断した切片を、葉の表皮が下になるようにして1〜3分間浸漬し、滅菌した紙タオル等でその表面に付着している培養液を除いてから、カルス誘導培地(MS無機塩、3%しょ糖、0.8%寒天、1mg/lナフタレン酢酸、0.1mg/lベンジルアデニン)に置床し、25℃連続照明下で共存培養を行った。
カルス誘導培地での共存培養から3日後、上記切片をシュート形成用培地(MS無機塩、3%しょ糖、0.25%ゲランガム、0.1mg/lナフタレン酢酸、1mg/lベンジルアデニン、100mg/lカナマイシン、500mg/lカルベニシリン)に移稙して培養を続け、約4週間後、分化してきた茎葉を切り取り、この茎葉を100mg/lカナマイシン及び500mg/lカルベニシリンを含むMS基本培地の入った培養ビン(40φ×130mm)に移植して、約4週間培養することにより発根させ、PIプロモーター::GUS融合遺伝子を持つ形質転換タバコの発根個体を得た。
こうして得られた発根個体は、更に、バーミキュライト(日本耐火工業社)/ピートモス(和泉農材)混合用土(1:2)を入れたポットに植え換えて、25℃の温室で生育させ、花芽、花器官、茎頂点、茎、葉及び根を採取して、Jeffersonらの方法(Plant Mol.Biol.Rep.、vol.5、p.387−405、1987)により、これらの組織を構成している細胞のGUS活性を調査した。また、こうして得られた発根個体よりカルスを取得し、このカルスについても、同様にGUS活性を調査した。その結果、花芽形成初期の花芽分裂細胞、雄しべ及びカルスで強いGUS活性が検出され、上記PIプロモーターは、これらの組織において活性を示すことが確認された。
2.目的遺伝子の分離
目的遺伝子として、細胞のエネルギー生産を司るミトコンドリアの機能を損なう働きを持ち、植物においても、これを高発現させると細胞を死滅させることが既に報告されている(Laccommeら、PNAS、vol.96、7956−7961、2000)、ヒト由来のBax遺伝子を用いるため、これをPCR法で分離した。
即ち、DDBJから入手したBax遺伝子の配列情報を基に、制限酵素SmaIの認識部位を含むhBAX1プライマー(AGGCCCCGGG GGGAGCGGCG GTGATGGCG:配列番号1)と、制限酵素SacIの認識部位を含むhBAX2プライマー(CAGAGCTCTG CCATAATTTA TGGAGGAAAA:配列番号2)を合成し、これらのプライマーを用い、ヒト脳由来のcDNAライブラリー(タカラバイオ社製)を鋳型としてPCR反応を行い、その反応物をアガロースゲル電気泳動により分離した。その結果、ヒトBax遺伝子と推定される650bpのDNA断片の増幅が検出されたので、このDNA断片を回収し、一部を取り分けて、その塩基配列をシークエンサー(Beckman、CEQ2000XL)で調べ、ヒトBax遺伝子と完全に一致していることを確認した。なお、このときPCR反応は、TaKaRa LA PCR Kit Ver2.1(タカラバイオ社製)を用いて行った。
3.構成単位Aの構築
プロモーター1として前記PIプロモーター、発現抑制配列として、大腸菌のLacI遺伝子産物が認識し、結合するオペレーター配列、目的遺伝子として上記Bax遺伝子を用い、構成単位Aを構築した
まず、5’側をリン酸化処理した2種類のオリゴDNA、−GATCCATTGT GAGCGCTCAC AATACGTATT GTGAGCGCTC ACAAT−(配列番号3)及び−GATCATTGTG AGCGCTCACA ATACGTATTG TGAGCGCTCA CAATT−(配列番号4)を合成し、94℃から徐々に室温まで低下させてアニーリング処理を行い、これらを対合させて、オペレーター配列を含む二本鎖DNA(以下、単にオペレーター配列ともいう。)を得た。この二本鎖DNAにおいて、その5’側末端と3’側末端とは、それぞれ制限酵素BamHIが認識する突出部位を形成する。
次いで、この合成二本鎖DNAをPIプロモーターとBax遺伝子の間に連結することにより、構成単位Aを構築した(図2(A))。この構成単位Aでは、PIプロモーターの働きにより、カルス、花芽分裂細胞においてBax遺伝子の発現が促進されるが、上記オペレーター配列にLacI遺伝子産物が結合すると、これらの細胞においても、Bax遺伝子の発現は抑制されることとなる。
4.構成単位Bの構築
PIプロモーターに、上記3で作成したオペレーター配列を認識し、結合するタンパク質をコードする発現抑制遺伝子であるLacI遺伝子を連結し、また、芽の分裂細胞及びカルスで活性を示すユーカリ由来のヒストンH3プロモーターに、LacI遺伝子産物が認識し、結合するオペレーター配列及び組換え酵素Rの遺伝子をこの順で連結して、更にこれらの構成要素を、組換え酵素Rが認識して作用する、同一方向を向いた2つの認識配列RSに挟まれたカセット内の、制限酵素HindIII及びEcoRI認識部位に挿入して、構成単位Bを構築した(図2(B))。
なお、上記ヒストンH3プロモーターと組換え酵素R遺伝子との間に連結されたオペレーター配列は、2種類のオリゴDNA、−CTAGAATTGT GAGCGCTCAC AATACGTATT GTGAGCGCTC ACAAT−(配列番号5)及び−CTAGATTGTG AGCGCTCACA ATACGTATTG TGAGCGCTCA CAATT−(配列番号6)を、アニーリング処理して二本鎖DNAとしたものであり、その5’側末端と3’側末端とが、制限酵素XbaIが認識する突出部位を形成している点でのみ、上記3で作成したオペレーター配列と異なっている。しかし、このオペレーター配列も、LacI遺伝子産物が結合することにより、その下流に連結された遺伝子の発現を抑制し、構成単位Bの発現抑制配列として機能する。また、組換え酵素Rと認識配列RSとは、醤油酵母(Zygosaccharomyces rouxii)の部位特異的組換え系R/RSに由来するものである。
この構成単位Bでは、カルス、花芽分裂細胞において、PIプロモーターの働きによりLacI遺伝子の発現が促進される。一方、ヒストンH3プロモーターは、カルス、芽の分裂細胞において働くが、カルス細胞においては、これに連結されたオペレーター配列にLacI遺伝子産物が結合するため、その下流にあるR遺伝子は発現が抑制される。しかし、芽の分裂細胞においては、PIプロモーターが働かないためLacI遺伝子は発現せず、このヒストンH3プロモーターの働きによりR遺伝子の発現が促進されて組換え酵素Rが生産され、認識配列Rsに挟まれたカセットが脱離する。
5.植物遺伝子導入用ベクターpMS−Bax1の構築
上記のようにして構築した構成単位A(図2(A))及び構成単位B(図2(B))を連結し、植物遺伝子導入用ベクターpBI121のRBサイトとLBサイトとの間に挿入して、本発明のベクターを組込んだ植物への遺伝子導入用ベクターpMS−Bax1(国際寄託番号:FERM BP−8352)を得た(図2)。
6.pMS−Bax1のタバコへの導入
前記1と同様にして、pMS−Bax1をA.ツメファシエンスEHA105に導入し、次いで、このpMS−Bax1導入A.ツメファシエンスをタバコ(Nicotiana tabacum SR−1)に感染させ、感染したタバコからカルスを誘導し、不定芽を再分化して発根させた後、育苗することにより、本発明のベクターが導入された形質転換タバコを得た。
7.花芽組織の形態
上記のようにして得られた形質転換タバコについて、その花芽の形態を肉眼で観察したところ、花芽組織は、12個体中5個体で死滅していることが明らかとなった(図3)。
さらに、この観察結果より、花芽組織が死滅し、不稔化したと考えられる形質転換タバコの葉について、組換え酵素Rの遺伝子、認識配列Rs及びBax遺伝子の存在を調査した。即ち、かかる形質転換体の葉から、常法によりゲノムDNAを抽出し、これを鋳型として、上記遺伝子又は認識配列を識別できる特異的プライマーを用いてPCRを行い、その増幅産物を電気泳動法で分析することにより、これらの遺伝子又は認識配列の存在を調査した。
結果を図4に示す。図4に示すように、花芽組織が死滅し、不稔化したと考えられる形質転換タバコの葉では、認識配列RsとBax遺伝子の増幅産物が検出され、その存在を確認することができたが、R遺伝子の増幅産物は検出されなかった。
なお、図5は、かかる形質転換体を作出する過程で得られたカルス及び不定芽よりRNAを抽出し、これらのRNAについてノーザンブロッティングを行った結果である。図5に示すように、本発明のベクターを用いて遺伝子導入処理を行った直後に得られたカルスでは、LacI遺伝子の発現と、R遺伝子の微弱な発現を検出することができたが、Bax遺伝子の発現は検出されなかった。一方、このカルスより再分化してきた不定芽では、LacI遺伝子、R遺伝子及びBax遺伝子の発現は、いずれも検出されなかった。
以上のことから、このベクターpMS−Bax1は、これが導入されたタバコにおいて、図6に示すように機能したと考えられる。即ち、遺伝子導入処理の直後に得られたカルスでは、PIプロモーターの働きにより発現抑制遺伝子LacIが発現してLacIタンパク質が生産され、これがオペレーター配列に結合して、Bax遺伝子とR遺伝子の発現が抑制される(図6(A))。しかし、このカルスから不定芽が分化する際は、PIプロモーターが不活化し、LacIタンパク質が発現しなくなる。このため、芽の分裂細胞において活性を示すヒストンH3プロモーターによりR遺伝子の発現が促進され、組換え酵素Rが生産されて、Rs認識配列に挟まれたカセットが脱離する(図6(B))。さらに、このカセットが脱離した後に得られる花芽の分裂細胞では、PIプロモーターが再び活性化するが、もはや、LacIタンパク質を生産するLacI遺伝子は存在しないので、Bax遺伝子は、このLacIタンパク質による抑制を受けることなく、PIプロモーターの働きにより発現が促進されて細胞死を誘導することとなる(図6(B))。
[実施例2]
1.植物遺伝子導入用ベクターpMS−Bax1−iptの構築
負の選抜マーカー遺伝子として、サイトカイニン合成酵素をコードするipt遺伝子を、構成単位Bに導入した本発明のベクターを構築し、これを組込んだ植物遺伝子導入用ベクターpMS−Bax1−ipt(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター宛に、平成16年4月6日付で国際寄託済み。)を得た。
即ち、このベクターは、図7に示すように、実施例1で構築した植物遺伝子導入用ベクターpMS−Bax1の構成単位Bに、制限酵素HindIII認識部位を両端に持ち、35Sプロモーターに連結したipt遺伝子を含むDNA断片を挿入したものであり、すでにカナマイシン耐性遺伝子等の選抜マーカー遺伝子を用いて有用遺伝子が導入されている植物体を、本発明の方法により不稔化する目的に、効果的に用いることができるものである。
2.pMS−Bax1−iptのタバコへの導入
既に、35Sプロモーターに連結されたNtlim1遺伝子のアンチセンスcDNAが、選抜マーカー遺伝子であるカナマイシン耐性遺伝子と共に導入されているタバコ(Nico tiana tabacum SR−1)A2(Kawaokaら,Plant J.,22,289−301,2000)に、上記pMS−Bax1−iptを、実施例1の1と同様にして導入し、形質転換体を得た。但し、このpMS−Bax1−iptには、ipt遺伝子が挿入されているため、このベクターが導入された植物組織においては、不定芽再分化の際、植物ホルモンは必要としない。このため、本実施例においても、シュート形成用培地としてとして、ホルモンフリー培地(MS無機塩、3%しょ糖、0.25%ゲランガム、500mg/lカルベニシリン)を使用した。また、このとき得られる不定芽も、ipt遺伝子の影響により多芽体の形態をしていたため、発根は、この多芽体から伸張してきた茎葉を切り取って、材料とした。
3.花芽組織の形態
上記のようにして得られた形質転換体について、その花芽の形態を肉眼で観察したところ、花芽組織は、10個体中4個体で死滅していることが明らかとなった。この結果より、本発明のベクターは、既にカナマイシンを選抜マーカー遺伝子として作成された形質転換体にも、効果的に不稔形質を導入できることが確認された。
本発明のベクターの基本的構成を示す説明図である。 pMS−Bax1の制限酵素地図を示す図である。 実施例1で得られたタバコにおいて観察された、死滅した花芽組織の状態を示す写真である。 実施例1において、花芽組織が死滅したタバコの葉からゲノムDNAを抽出し、PCRを行った結果を示す写真である。 実施例1において、花芽組織が死滅した系統のタバコを作出する過程で得られたカルス、及び、その後再分化してきた不定芽からRNAを抽出し、ノーザンハイブリダイゼーションを行った結果を示す写真である。 pMS−Bax1の機能を示す説明図である。 pMS−Bax1−iptの制限酵素地図を示す図である。

Claims (4)

  1. 以下の構成単位A及びBを、同一DNA分子上に又は異なるDNA分子上に配したベクターであって、プロモーター1及びプロモーター2が、シロイヌナズナのPISTILLATA(PI)遺伝子、APETALA1(AP1)遺伝子、APETALA2(AP2)遺伝子、APETALA3(AP3)遺伝子、AGAMOUS(AG)遺伝子、LEAFY(LFY)遺伝子及び/若しくはSEPALLATA3(SEP3)遺伝子の発現を制御するプロモーター、又はタバコTA29プロモーターであり、プロモーター3が、植物のヒストンH3プロモーター、ヒストンH4プロモーター、又はシロイヌナズナのSHOOT MERISTEMLESS(STM)遺伝子及び/若しくはCUP−SHAPED COTYLEDOM(CUC)遺伝子の発現を制御するプロモーターであることを特徴とする、ベクター。
    A.プロモーター1、発現抑制配列としてオペレーター配列、及び、プロモーター1により発現が促進され、かつ、前記オペレーター配列により発現が抑制される目的遺伝子としてBax、RNase、プロテアーゼ又はDAMメチラーゼをコードする遺伝子からなるDNA配列。
    B.プロモーター2、プロモーター2により発現が促進されて前記オペレーター配列による発現抑制を機能せしめるオペレーター配列結合タンパク質をコードする遺伝子、プロモーター3、前記オペレーター配列、及び、プロモーター3により発現が促進され、かつ、前記オペレーター配列により発現が抑制される脱離反応触媒酵素遺伝子として部位特異的組換え系の組換え酵素遺伝子からなり、該部位特異的組換え系の組換え酵素遺伝子の発現により脱離するDNA配列。
  2. オペレーター配列が、lacI遺伝子であることを特徴とする、請求項に記載のベクター。
  3. 成単位Bが、この組換え酵素遺伝子が認識し、互いに同じ方向を向いている2つの認識配列に挟まれていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のベクター。
  4. 請求項1に記載のベクターを用いて植物細胞に遺伝子導入を行い、次いで、この植物細胞を培養し、カルスを経由して植物組織又は器官を再分化させることを特徴とする、目的遺伝子のカルスにおける発現を抑制して行う、植物形質転換体の作出方法。
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