JP4179217B2 - 新規ベクター及びこのベクターを用いて行う植物形質転換体の作出方法 - Google Patents
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Description
A.プロモーター1、発現抑制配列としてオペレーター配列、及び、プロモーター1により発現が促進され、かつ、前記オペレーター配列により発現が抑制される目的遺伝子としてBax、RNase、プロテアーゼ又はDAMメチラーゼをコードする遺伝子からなるDNA配列。
B.プロモーター2、プロモーター2により発現が促進されて前記オペレーター配列による発現抑制を機能せしめるオペレーター配列結合タンパク質をコードする遺伝子、プロモーター3、前記オペレーター配列、及び、プロモーター3により発現が促進され、かつ、前記オペレーター配列により発現が抑制される脱離反応触媒酵素遺伝子として部位特異的組換え系の組換え酵素遺伝子からなり、該部位特異的組換え系の組換え酵素遺伝子の発現により脱離するDNA配列。
本発明のベクターは、図1に示すように大きく2つの構成単位から成る。1つは構成単位Aであって、プロモーター1、発現抑制配列、及び、プロモーター1により発現が促進され、かつ、前記発現抑制配列により発現が抑制される目的遺伝子からなるDNA配列である。もう一つは構成単位Bであって、プロモーター2、プロモーター2により発現が促進されて前記発現抑制配列による発現抑制を機能せしめる発現抑制遺伝子、プロモーター3、前記発現抑制配列、及び、プロモーター3により発現が促進され、かつ、前記発現抑制配列により発現が抑制される脱離反応触媒酵素遺伝子からなり、該脱離反応触媒酵素遺伝子の発現により脱離するDNA配列である。
本発明のベクターは、公知の遺伝子導入方法を用いて宿主植物の細胞に導入することができる。代表的な遺伝子導入方法としては、アグロバクテリウム感染法等の間接導入法や、パーティクルガン法、ポリエチレングリコール法、リポソーム法、マイクロインジェクション法等の直接導入法などを挙げることができる。例えば、アグロバクテリウム感染法を用いる場合、以下のようにして、本発明のベクターをアグロバクテリウムに導入すればよい。
本発明において遺伝子導入処理後の植物細胞は、まず、適当なカルス誘導培地にて培養し、カルスを増殖させる。これにより、カルスにおいて活性を示すプロモーター2の働きにより、発現抑制遺伝子が発現して、発現抑制配列による発現抑制作用を機能せしめ、目的遺伝子及び脱離反応触媒酵素遺伝子の発現は抑制される。従って、カルス中において目的遺伝子が発現することも、構成単位Bが脱離することもない。
本発明のベクターにより作出された形質転換体の検出、及び、その後代における安定性の確認は、これらの細胞や組織から常法に従ってDNAを抽出した後、これを、PCR法やサザンブロッティング法等、公知の手段を用いて分析することにより行えばよい。
1.PIプロモーターのタバコでの発現
花芽分裂細胞及びカルスにおいて活性を示し、芽の分裂細胞において活性を示さないプロモーターの一つとして、シロイヌナズナのPISTILLATA(PI)が知られている(Gotoら、Genes & Development、vol.8、1548−1560、1994)。本実施例においては、まず、タバコにおいて、このプロモーターがシロイヌナズナと同様な活性を示すかどうか検討を行うため、京都大学化学研究所の後藤弘爾博士(現岡山県立大学)より譲り受けたPIプロモーターとGUS遺伝子の融合遺伝子をもつバイナリーベクター系の組換えプラスミドを、エレクトロポレーション法により、A.ツメファシエンスEHA105に導入した。
目的遺伝子として、細胞のエネルギー生産を司るミトコンドリアの機能を損なう働きを持ち、植物においても、これを高発現させると細胞を死滅させることが既に報告されている(Laccommeら、PNAS、vol.96、7956−7961、2000)、ヒト由来のBax遺伝子を用いるため、これをPCR法で分離した。
プロモーター1として前記PIプロモーター、発現抑制配列として、大腸菌のLacI遺伝子産物が認識し、結合するオペレーター配列、目的遺伝子として上記Bax遺伝子を用い、構成単位Aを構築した
まず、5’側をリン酸化処理した2種類のオリゴDNA、−GATCCATTGT GAGCGCTCAC AATACGTATT GTGAGCGCTC ACAAT−(配列番号3)及び−GATCATTGTG AGCGCTCACA ATACGTATTG TGAGCGCTCA CAATT−(配列番号4)を合成し、94℃から徐々に室温まで低下させてアニーリング処理を行い、これらを対合させて、オペレーター配列を含む二本鎖DNA(以下、単にオペレーター配列ともいう。)を得た。この二本鎖DNAにおいて、その5’側末端と3’側末端とは、それぞれ制限酵素BamHIが認識する突出部位を形成する。
PIプロモーターに、上記3で作成したオペレーター配列を認識し、結合するタンパク質をコードする発現抑制遺伝子であるLacI遺伝子を連結し、また、芽の分裂細胞及びカルスで活性を示すユーカリ由来のヒストンH3プロモーターに、LacI遺伝子産物が認識し、結合するオペレーター配列及び組換え酵素Rの遺伝子をこの順で連結して、更にこれらの構成要素を、組換え酵素Rが認識して作用する、同一方向を向いた2つの認識配列RSに挟まれたカセット内の、制限酵素HindIII及びEcoRI認識部位に挿入して、構成単位Bを構築した(図2(B))。
上記のようにして構築した構成単位A(図2(A))及び構成単位B(図2(B))を連結し、植物遺伝子導入用ベクターpBI121のRBサイトとLBサイトとの間に挿入して、本発明のベクターを組込んだ植物への遺伝子導入用ベクターpMS−Bax1(国際寄託番号:FERM BP−8352)を得た(図2)。
前記1と同様にして、pMS−Bax1をA.ツメファシエンスEHA105に導入し、次いで、このpMS−Bax1導入A.ツメファシエンスをタバコ(Nicotiana tabacum SR−1)に感染させ、感染したタバコからカルスを誘導し、不定芽を再分化して発根させた後、育苗することにより、本発明のベクターが導入された形質転換タバコを得た。
上記のようにして得られた形質転換タバコについて、その花芽の形態を肉眼で観察したところ、花芽組織は、12個体中5個体で死滅していることが明らかとなった(図3)。
1.植物遺伝子導入用ベクターpMS−Bax1−iptの構築
負の選抜マーカー遺伝子として、サイトカイニン合成酵素をコードするipt遺伝子を、構成単位Bに導入した本発明のベクターを構築し、これを組込んだ植物遺伝子導入用ベクターpMS−Bax1−ipt(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター宛に、平成16年4月6日付で国際寄託済み。)を得た。
既に、35Sプロモーターに連結されたNtlim1遺伝子のアンチセンスcDNAが、選抜マーカー遺伝子であるカナマイシン耐性遺伝子と共に導入されているタバコ(Nico tiana tabacum SR−1)A2(Kawaokaら,Plant J.,22,289−301,2000)に、上記pMS−Bax1−iptを、実施例1の1と同様にして導入し、形質転換体を得た。但し、このpMS−Bax1−iptには、ipt遺伝子が挿入されているため、このベクターが導入された植物組織においては、不定芽再分化の際、植物ホルモンは必要としない。このため、本実施例においても、シュート形成用培地としてとして、ホルモンフリー培地(MS無機塩、3%しょ糖、0.25%ゲランガム、500mg/lカルベニシリン)を使用した。また、このとき得られる不定芽も、ipt遺伝子の影響により多芽体の形態をしていたため、発根は、この多芽体から伸張してきた茎葉を切り取って、材料とした。
上記のようにして得られた形質転換体について、その花芽の形態を肉眼で観察したところ、花芽組織は、10個体中4個体で死滅していることが明らかとなった。この結果より、本発明のベクターは、既にカナマイシンを選抜マーカー遺伝子として作成された形質転換体にも、効果的に不稔形質を導入できることが確認された。
Claims (4)
- 以下の構成単位A及びBを、同一DNA分子上に又は異なるDNA分子上に配したベクターであって、プロモーター1及びプロモーター2が、シロイヌナズナのPISTILLATA(PI)遺伝子、APETALA1(AP1)遺伝子、APETALA2(AP2)遺伝子、APETALA3(AP3)遺伝子、AGAMOUS(AG)遺伝子、LEAFY(LFY)遺伝子及び/若しくはSEPALLATA3(SEP3)遺伝子の発現を制御するプロモーター、又はタバコTA29プロモーターであり、プロモーター3が、植物のヒストンH3プロモーター、ヒストンH4プロモーター、又はシロイヌナズナのSHOOT MERISTEMLESS(STM)遺伝子及び/若しくはCUP−SHAPED COTYLEDOM(CUC)遺伝子の発現を制御するプロモーターであることを特徴とする、ベクター。
A.プロモーター1、発現抑制配列としてオペレーター配列、及び、プロモーター1により発現が促進され、かつ、前記オペレーター配列により発現が抑制される目的遺伝子としてBax、RNase、プロテアーゼ又はDAMメチラーゼをコードする遺伝子からなるDNA配列。
B.プロモーター2、プロモーター2により発現が促進されて前記オペレーター配列による発現抑制を機能せしめるオペレーター配列結合タンパク質をコードする遺伝子、プロモーター3、前記オペレーター配列、及び、プロモーター3により発現が促進され、かつ、前記オペレーター配列により発現が抑制される脱離反応触媒酵素遺伝子として部位特異的組換え系の組換え酵素遺伝子からなり、該部位特異的組換え系の組換え酵素遺伝子の発現により脱離するDNA配列。 - オペレーター配列が、lacI遺伝子であることを特徴とする、請求項1に記載のベクター。
- 構成単位Bが、この組換え酵素遺伝子が認識し、互いに同じ方向を向いている2つの認識配列に挟まれていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のベクター。
- 請求項1に記載のベクターを用いて植物細胞に遺伝子導入を行い、次いで、この植物細胞を培養し、カルスを経由して植物組織又は器官を再分化させることを特徴とする、目的遺伝子のカルスにおける発現を抑制して行う、植物形質転換体の作出方法。
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