JP4595631B2 - 選抜マーカー遺伝子の影響が排除された遺伝子導入細胞、組織又は植物の作成方法 - Google Patents

選抜マーカー遺伝子の影響が排除された遺伝子導入細胞、組織又は植物の作成方法 Download PDF

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Description

本発明は、選抜マーカー遺伝子の影響が排除された遺伝子導入細胞、組織又は植物の作成方法に関する。
近年、植物分野での遺伝子導入技術の進歩は目覚しく、遺伝子導入によって新規な形質を付与した組換え農作物が作出されるようになり、既に、野外で大規模に栽培されている。
植物への遺伝子導入では、このように所定の形質を付与するため植物細胞への導入が企図される遺伝子、即ち目的遺伝子は、選抜マーカー遺伝子と共に植物細胞に導入され、その植物細胞への選抜マーカー遺伝子の導入の有無、つまりはその植物細胞における選抜マーカー遺伝子の発現の有無が、目的遺伝子導入の指標として用いられるのが普通である。
しかし、遺伝子導入細胞の選抜に用いられた選抜マーカー遺伝子は、その細胞に存在し続け、更に、かかる細胞を起源として作成された遺伝子導入植物の細胞にも伝達されて存在し続けるため、様々な障害を与える。
例えば、遺伝子導入技術を利用した植物育種を行おうとする場合において、いったん、ある選抜マーカー遺伝子を用いて遺伝子導入を行い、遺伝子導入植物を作成してしまうと、この遺伝子導入植物に対しては、先に用いられた選抜マーカー遺伝子と同一の選抜マーカー遺伝子を用いて遺伝子導入を行うことは、二度とできない。すでに、その植物細胞には、この選抜マーカー遺伝子が存在しているため、再びこれと同一の選抜マーカー遺伝子を新たな目的遺伝子と共に導入しても、新たな目的遺伝子が導入されようがされまいが、その植物の細胞や組織ではこれが常に発現し、新たな目的遺伝子導入の指標とすることは、もはやできないからである。従って、このような遺伝子の多重導入は、各遺伝子の導入毎に異なる選抜マーカー遺伝子を用いなければならない。しかし、現在実用できる選抜マーカー遺伝子の種類はごく限られており、このことが、ある植物に遺伝子の多重導入を行うことのできる回数を制約して、より有用かつ実用的な形質をその植物に付与する試みを困難なものとしている。また、そもそも、遺伝子導入植物が選抜マーカー遺伝子を保持するものである限り、どのように遺伝子導入技術を駆使し、どのように画期的な形質を付与したとしても、これを食用等に供することについて、社会的な同意を得るのは、現状では非常に困難である。
従って、遺伝子導入細胞の選抜後、選抜に用いた選抜マーカー遺伝子を、それが存在し、機能する染色体等のDNAから除去するなどして、その影響を、遺伝子導入細胞、組織、更には植物体から排除する技術は、遺伝子工学技術を用いた植物育種の新たな展開に必須のものであると言える。
このような技術として、本出願人は、先に、選抜マーカー遺伝子として形態異常誘導遺伝子を利用し、植物細胞への遺伝子導入に際し、この選抜マーカー遺伝子をトランスポゾンや部位特異的組換え系等と組合せて用いることにより、選抜マーカー遺伝子の影響を排除した、いわゆるマーカーフリーの遺伝子導入植物を作成する方法を提案した(例えば、特許文献1、特許文献2)。
この方法によれば、目的遺伝子と共に植物細胞の染色体DNA等に導入された選抜マーカー遺伝子は、一定期間の経過後、トランスポゾンや部位特異的組換え系の働きにより、導入されたDNAから除去され、しかも、そのDNAへの導入及び除去が、遺伝子導入細胞に由来する組織の形状変化として、肉眼で容易に検出できる。つまり、この方法では、まず、遺伝子導入処理後の植物細胞を適当な条件下で培養し、この培養細胞が増殖して生じてくる組織の中から、形態異常を示す組織を選抜すれば、選抜マーカー遺伝子と目的遺伝子とが染色体DNA等に導入された植物細胞及び組織を得ることができ、次いで、この形態異常を示す組織をやはり適当な条件下で培養し、その後、この組織から生じてくる、今度は正常な形態を示す組織を選抜すれば、そのDNAから選抜マーカー遺伝子が除去されて目的遺伝子のみがこの染色体DNA等に残留し続けている遺伝子導入細胞及び組織、換言すれば選抜マーカー遺伝子の影響が排除された、マーカーフリーの遺伝子導入細胞及び組織を得ることができ、更に、かかる細胞及び組織からマーカーフリーの遺伝子導入植物を得ることができる。
特開平9−154580 特開平10−327860
上記方法において、選抜マーカー遺伝子の染色体DNA等への導入及び除去が、遺伝子導入細胞に由来する組織の形状変化をもたらすのは、この選抜マーカー遺伝子が形態異常誘導遺伝子であるため、目的遺伝子と共に植物の染色体DNA等に導入され、発現することによって、その植物細胞の増殖・分化の方向を狂わせて、通常とは異なる、つまり異常な形態分化を引き起こすためである。
しかし、形態異常誘導遺伝子の一つである、サイトカイニン合成遺伝子を植物の染色体DNAに導入すると、その発現産物であるサイトカイニンが、隣接する非遺伝子導入細胞にも影響を及ぼし、その結果、遺伝子導入細胞のみならず、非遺伝子導入細胞までもが異常な形態分化を起こしてしまうことがある。このため、上記方法において、選抜マーカー遺伝子である形態異常誘導遺伝子としてサイトカイニン合成遺伝子を用いた場合には、遺伝子導入処理後の植物細胞より生じてくる形態異常を示す組織の中には、選抜マーカー遺伝子はもちろん、目的遺伝子も全く導入されていない非遺伝子導入細胞からなる組織や、遺伝子導入細胞とこのような非遺伝子導入細胞とが混在するキメラ組織が含まれる可能性も高く、結果的に、マーカーフリーの細胞・組織の作成効率が低下するという問題があった。
本発明は、かかる問題点に鑑み、形態異常誘導遺伝子を利用したマーカーフリーの遺伝子導入細胞、組織又は植物の作成方法において、マーカーフリーの組織の作成効率を向上させることを目的としてなされたものである。
すなわち、本発明は、選抜マーカー遺伝子の影響が排除された遺伝子導入細胞又は組織の作成方法であって、次の過程(A)〜(D)を経ることを特徴とする。
(A)目的遺伝子、サイトカイニン合成遺伝子以外の選抜マーカー遺伝子、及び、脱離部位を有し、上記選抜マーカー遺伝子が脱離部位に存在することを特徴とするベクターを、植物細胞に導入する過程
(B)(A)でベクターが導入された植物細胞を培養し、上記選抜マーカー遺伝子の発現を指標として、目的遺伝子が導入された植物細胞を選抜する過程
(C)形態異常誘導遺伝子、脱離酵素遺伝子、及び、脱離部位を有し、形態異常誘導遺伝子と脱離酵素遺伝子とが、脱離部位に存在することを特徴とするベクターを、(B)で選抜された植物細胞に導入する過程
(D)(C)でベクターが導入された植物細胞を培養し、その結果、該細胞が増殖して得られる組織より生じる、異常な形態をした組織を選抜する過程
(E)(D)で選抜された異常な形態をした組織を培養し、その結果生じる、正常な形態をした組織を選抜する過程
本発明においては、まず、目的遺伝子、サイトカイニン合成遺伝子以外の選抜マーカー遺伝子、及び、脱離部位を有し、上記選抜マーカー遺伝子を脱離部位に配したベクター(以下、目的遺伝子導入用ベクターという。)を植物細胞に導入し、選抜マーカー遺伝子の発現を指標として、その染色体DNA等に目的遺伝子が導入された植物細胞を選抜するので、遺伝子導入細胞を確実に選抜することができる。
さらに本発明は、上記のようにして選抜された遺伝子導入細胞に対し、形態異常誘導遺伝子、脱離酵素遺伝子、及び、脱離部位を有し、形態異常誘導遺伝子と脱離酵素遺伝子とを、脱離部位に配したベクター(以下、選抜マーカー除去用ベクターという)を導入するので、目的遺伝子と共に遺伝子導入細胞の染色体DNA等に導入されていた選抜マーカー遺伝子は、その染色体DNA等から除去される。
従って、本発明によれば、遺伝子導入処理後の植物細胞から、非遺伝子導入細胞からなる組織や、遺伝子導入細胞と非遺伝子導入細胞とが混在するキメラ組織が選抜する可能性を低減させ、その後の過程において、マーカーフリーの細胞及び組織の作成効率を向上させることができる。
しかも、選抜マーカー遺伝子の除去は、選抜マーカー除去用ベクターに配した形態異常誘導遺伝子の働きにより、遺伝子導入細胞に由来する組織の形状変化として、肉眼で容易に検出できるので、上記マーカーフリーの細胞及び組織の作成を容易に行うことができる。
また、本発明においては、選抜マーカー遺伝子の導入と除去とを2段階に分けて行う。つまり、まず、目的遺伝子導入用ベクターを用いて目的遺伝子と共に選抜マーカー遺伝子を導入し、次いで、選抜マーカー除去用ベクターを用いて選抜マーカー遺伝子を除去するので、選抜マーカー遺伝子を除去するタイミングを人為的に調節することができ、実用上、非常に便利である。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明において用いるベクターの構造について説明する。
本発明においては、目的遺伝子、サイトカイニン合成遺伝子以外の選抜マーカー遺伝子、及び、脱離部位を有し、上記選抜マーカー遺伝子を脱離部位に配した、目的遺伝子導入用ベクターと、形態異常誘導遺伝子、脱離酵素遺伝子、及び、脱離部位を有し、形態異常誘導遺伝子と脱離酵素遺伝子とを、脱離部位に配した、選抜マーカー除去用ベクターとを用いる。
目的遺伝子導入用ベクターに配される目的遺伝子の種類、つまり、本発明の方法により植物細胞に導入することができる目的遺伝子の種類に特に限定はない。例えば、高成長性を付与するC2C1A遺伝子(ペルオキシダーゼ遺伝子)、耐乾燥性を付与するgols遺伝子、耐塩及び耐乾燥性を付与するcodA遺伝子、耐冷性を付与するデサチュラーゼ遺伝子など、農業的に優れた形質を付与できる遺伝子、農業的に優れた形質を付与するとは限らないが、遺伝子発現機構の研究に必要とされる遺伝子等、目的に応じて種々選択することができる。さらに、厳密には遺伝子と言えないが、所定の構造を有し、所定の機能を細胞内で果たすDNA因子も、本発明でいう目的遺伝子として植物細胞に導入することができる。例えば、このような場合として、遺伝子の発現抑制を目的として、その遺伝子の転写調節因子をアンチセンス方向に配置した構造を導入する場合等が考えられる。
目的遺伝子導入用ベクターに用いる選抜マーカー遺伝子としては、目的遺伝子が植物細胞の染色体DNA等に導入された場合の指標となって、かかる細胞の選抜を可能とするものであれば、何であれ用いることができる。このような選抜マーカー遺伝子としては、例えば、カナマイシンに対する耐性を付与するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(NPTII遺伝子)、ハイグロマイシンに対する耐性を付与するハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子等の抗生物質耐性遺伝子、及び、ビアラホス(bialaphos)に対する耐性を付与するホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(bar遺伝子)等の除草剤耐性遺伝子のような、いわゆる薬剤耐性遺伝子を始め、緑色蛍光タンパク質遺伝子(GFP遺伝子)、β−グルクロニダーゼ遺伝子(GUS遺伝子)、ルシフェラーゼ遺伝子等の視覚的選抜を可能とする遺伝子、アグロバクテリウム・リゾジェネス(Agrobacterium rhizogenes:以下、A.リゾジェネスと略す。)のT−DNA上に存在するrolArolB及び/又はrolC等からなるrol遺伝子など、汎用のものを使用することができる。また、これらの選抜マーカー遺伝子を2種類以上組合せて使用しても構わない。ただし、本発明の目的遺伝子導入用ベクターに用いる選抜マーカー遺伝子として、サイトカイニン合成遺伝子を使用することはできない。サイトカイニン合成遺伝子を選抜マーカー遺伝子として使用した場合には、遺伝子導入処理後の植物細胞から、非遺伝子導入細胞からなる組織や、遺伝子導入細胞と非遺伝子導入細胞とが混在するキメラ組織が選抜される可能性が高くなり、その後の過程において、マーカーフリーの細胞及び組織の作成効率が低下するからである。
一方、選抜マーカー除去用ベクターに用いる形態異常誘導遺伝子としては、その発現によって、宿主細胞の増殖・分化の方向を狂わせて、通常とは異なる形態分化を引起こす遺伝子全般を用いることができる。かかる遺伝子として、代表的には、宿主植物に矮化、頂芽優勢の崩壊、色素の変化、根頭癌腫、毛状根、葉の波打ち等を引起こす、植物ホルモン合成系遺伝子や植物ホルモンシグナルトランスダクション系遺伝子など、植物ホルモン関連遺伝子を例示することができる。
ここで、植物ホルモン合成系遺伝子とは、サイトカイニン合成遺伝子のように、植物ホルモンの合成に関与するタンパク等をコードする遺伝子を意味し、植物病原菌であるアグロバクテリウム等に存在するipt(isopentenyltoransferase)遺伝子(A. C. Smigocki、L. D. Owens、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85:5131、1988)、iaaM(tryptophan monooxygenase)遺伝子(H. J. Klee et al.、GENES & DEVELOPMENT、1:86、1987)、gene遺伝子(H. kerber et al.、EMBO Journal、10:3983、1991)、gene6b遺伝子(P. J. J. Hooyaas et al.、Plant Mol. Biol.、11:791、1988)、及びrol遺伝子群(F. F. White et al.、J. Bacteriol.、164:33、1985)、シュードモナス・シリンガエの亜種(Pseudomonas syringae subsp. savastanoi)に存在するiaaL(indoleacetic acid-lysine synthetase)遺伝子(A. Spena et al.、Mol. Gen. Genet.、227:205、1991)、更には、種々の植物のホメオボックス遺伝子やフィトクローム遺伝子等が知られている。
植物ホルモンシグナルトランスダクション系遺伝子とは、ジベレリン、エチレン、オーキシン、サイトカイニン等の植物ホルモンの存在を認識するセンサーや、そのセンサーからの情報を伝達していく、一連の情報伝達経路に関わるタンパクをコードする遺伝子を意味し、エチレン受容体遺伝子であるETR1遺伝子(C. Chang et al.、Science、262:539、1993)、サイトカイニン受容体遺伝子であると考えられているCKI1遺伝子(T. Kakimoto、Science、274:982、1996)とその変異体(ex.CKI2遺伝子)及びGCR1遺伝子(S. Plakidou-Dymock et al.、Current Biology、8:315、1998)の他、IBC6遺伝子及びIBC7遺伝子(I. Brandstatter、J. J. Kieber、The Plant Cell、10:1009、1998)等が知られている。
本発明の選抜マーカー除去用ベクターにおいては、これら形態異常誘導遺伝子のいずれをも使用することができる、しかし、中でも特に、頂芽優勢の崩壊を引き起こすipt遺伝子は、特徴的な形態の異常を引き起こし、植物個体の再分化を妨げることから、植物に用いる形態異常誘導遺伝子として好ましい。
また、本発明の目的遺伝子導入用ベクター及び選抜マーカー除去用ベクターにおいて脱離部位とは、植物細胞のDNAに組込まれた場合に、特定の脱離酵素の働きにより、そのDNAから脱離する、ある範囲を有するDNA領域をいい、このような脱離部位及び脱離酵素遺伝子としては、例えば、部位特的組換え系に由来するものやトランスポゾン等を用いることができる。
部位特異的組換え系は、特徴的なDNA配列を有する組換え酵素認識配列、及び、組換え酵素認識配列を認識して、この認識配列が2以上存在したとき、その配列間の組換えを触媒する組換え酵素、という2つの要素からなっている。そして、この組換え酵素認識配列が同一DNA分子上に、互いに同方向を向いてある一定の間隔で二つ存在している場合には、これに挟まれた領域がこのDNA分子から脱離する、という挙動を示すので、本発明では、部位特異的組換え系の互いに同方向を向いた二つの組換え酵素認識配列に挟まれた領域を脱離部位、このとき組換え酵素認識配列を認識して作用する組換え酵素を脱離酵素、該組換え酵素をコードする遺伝子を脱離酵素遺伝子として利用する。また、選抜マーカー遺伝子、又は、形態異常誘導遺伝子及び脱離酵素遺伝子を脱離部位に配するには、これらの遺伝子を、上記の互いに同方向を向いた二つの組換え酵素認識配列に挟まれた領域であって、その脱離に影響を及ぼさない位置に配すればよい。
なお、組換え酵素認識配列、及び、この認識配列を認識して作用する組換え酵素の組合せとしては、現在、Cre/lox系、R/RS系、FLP/FRT系、cer系、fim系など、ファージ、細菌(例えば大腸菌)、酵母等の微生物から分離されたもののみが知られており(総説として、N L. Craig、Annu. rev. genet.、22:17、1988)、高等生物ではまだその存在を知られていない。しかし、微生物から分離されたこれらの組換え酵素認識配列及び組換え酵素も、その由来する生物種と異なる生物種、即ち、植物や動物に導入された場合でも、そもそもの生物内における挙動と同一の挙動をとることが明らかとなっており、本発明においても、こうした組換え酵素認識配列及び組換え酵素の組合せを自由に選択し、脱離部位を構成し、また、脱離酵素として利用することができる。中でも、Cre/lox系、R/RS系は、動物、植物等で広く用いられており、組換え効率も高いので、こうした組合わせとして好ましい。もっとも、本発明において、組換え酵素認識配列は、上記野生型の認識配列だけではなく、そのDNA配列が一部改変された、変異型認識配列を用いることもできる。ただし、このとき、変異型認識配列は、脱離酵素として用いる、組換え酵素により認識され得るものであることを要する。
一方、本発明の脱離部位及び脱離酵素遺伝子としてトランスポゾンを用いる場合には、非自律性のトランスポゾンを用いる。このとき、トランスポゾン本体を脱離部位、その転移酵素を脱離酵素、該転移酵素遺伝子を脱離酵素遺伝子として利用することができる。選抜マーカー遺伝子、又は、形態異常誘導遺伝子及び脱離酵素遺伝子を脱離部位に配するには、これらの遺伝子を、トランスポゾン本体内部の、その脱離に影響を及ぼさない位置に配すればよい。この意味において、これらの遺伝子の位置は、トランスポゾン本体の内部であって、転移酵素が結合する末端領域よりは下流に配することが好ましい。なお、トランスポゾンは、通常、転移酵素の働きによりその存在するDNA上から脱離し、その後、DNA上の新たな部位に転移するが、一定の確率で転移できぬままその機能を失い、消失等する場合も生ずるので、本発明ではこのようなトランスポゾンの転移ミスを利用する。
非自律性トランスポゾンは、DsdSpmを始め(H. -P. D〓ring and P. Starlinger、Ann. Rev. Genet.、20:175、1986)、トウモロコシ、キンギョソウ、アサガオ等の多くの植物から単離されている(例えば、Y. Inagaki et al.、Plant Cell、6:375 、1994)。これらのトランスポゾンも、その由来する植物と、異なる種類の植物の染色体DNA等に導入された場合にも、その能力を発揮して脱離し、転移することが多くの例で知られている(例えば、B. Baker et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、83:4844 、1986)ので、本発明においても、こうした非自律性トランスポゾンを自由に選択して利用することができる。
次に、上記ベクターを用いて行う、本発明による選抜マーカー遺伝子の影響が排除された遺伝子導入細胞及び組織の作成方法について説明する。
この方法においては、まず、上記構造を有する目的遺伝子導入用ベクターを植物細胞に導入することにより、目的遺伝子及び選抜マーカー遺伝子を、その染色体DNA等に導入する。植物細胞への導入法としては、例えば、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、ポリエチレングリコール法、融合法、高速バリスティックベネトレーション法等の物理的・化学的手法による直接的な導入法の他、植物に感染するウイルスや細菌を介して行う、間接的な導入法も使用することができる(I. Potrykus、Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol.、42:205、1991)。この場合、ウイルスとしては、カリフラワーモザイクウイルス、ジェミニウイルス、タバコモザイクウイルス、ブロムモザイクウイルス等が使用でき、細菌としては、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciense:以下、A.ツメファシエンスと略す。)、A.リゾジェネス等が使用できる。
目的遺伝子導入用ベクターを導入した植物細胞は、適当な培地を用いて培養し、目的遺伝子と共に染色体DNA等に導入された選抜マーカー遺伝子の発現を指標として選抜する。このとき培地としては、ムラシゲ・スクーグ(MS(T. Murashige and F. Skoog、Physiol. Plant.、15:473、1962))やガンボーグのB5等、植物の組織培養用培地として公知の基本培地又はこれを希釈したものに、必要に応じ、ショ糖等の炭素源、及び/もしくは、サイトカイニンやオーキシン等の植物ホルモンを添加した固体又は液体培地を用いることができる。ただし、使用する選抜マーカー遺伝子の種類によっては、その発現を検出するため、必要な成分を培地中に添加する必要がある。例えば、選抜マーカー遺伝子として、薬剤耐性遺伝子を使用した場合には、対応する薬剤を培地中に添加して選抜マーカー遺伝子の発現を検出する必要があり、GUS遺伝子を使用した場合には5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニドシクロヘキシルアンモニウム塩を、ルシフェラーゼ遺伝子を使用した場合にはルシフェリンを培地中に添加して、選抜マーカー遺伝子の発現を検出する必要がある。なお、培養温度や湿度、光強度等の培養環境条件は、その植物細胞の培養に適した条件を適宜採用すればよい。
次いで、上記培養により選抜された植物細胞に、選抜マーカー除去用ベクターを導入し、この細胞を培養する。すると、その細胞は、選抜マーカー除去用ベクターに配した形態異常誘導遺伝子が染色体DNA等に導入され、発現することにより、増殖・分化の方向が狂わされ、多芽体や発根能のない不定芽の分化、不定根の分化など、通常とは異なる形態の分化を起こす。そこで、このような形態異常を示す組織を選抜し、更に培養を続けると、やがて、この形態異常誘導遺伝子と共に、選抜マーカー除去用ベクターにより植物細胞に導入された脱離酵素遺伝子が働いて、脱離部位に存在する形態異常誘導遺伝子、そして、目的遺伝子導入用ベクターにより導入された選抜マーカー遺伝子が、これらが導入されていた染色体DNA等から脱離して、その機能を失い、その結果、形態異常を示す組織から、今度は正常な形態を示す組織が生じるので、これを選抜する。こうして選抜される組織は、従来法と比べ、マーカーフリー組織である確率が大きく向上している。
選抜マーカー除去用ベクターの導入、及び、導入後の細胞の培養は、目的遺伝子導入用ベクターの導入と、その導入後の細胞の培養に準じて行うことができる。ただし、このとき培地中に、選抜マーカー遺伝子の発現を検出するための成分を添加する必要はない。マーカーフリーの植物は、上記のようにして得られたマーカーフリー組織を、定法によって増殖させ、再分化させることにより得ることができる。
なお、本発明において、適用できる植物種は特に限定されない。例えば、タバコ、キク、カーネーション、イネ等の草本植物や、ユーカリ、ポプラ、マツ、アカシア、サクラ、ヤマモモ、クヌギ、ブドウ、リンゴ、バラ、ツバキ、ウメ等の木本植物にも本願発明を適用することができる。
以下、実施例に従い、発明の詳細を述べる。もっとも、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、更に詳細な実験操作のうち分子生物学的手法についてはは、特に述べる場合を除き、Molecular Cloning(Sambrook et al.、1989)、又は製造業者の取り扱い説明書に従い行った。
[実施例1]
I.目的遺伝子導入用ベクター(pIGFP21)の構築
プラスミドpIG221(Plant Cell Physio. 3(6):805-813. 1990)を制限酵素Sse83871(以下、SseIと略記する。)で消化し、T4DNAポリメラーゼにて処理した後、再連結することで、制限酵素SseI部位が欠失したプラスミドpIG221ΔSseを構築した。このpIG221ΔSseの制限酵素SmaI部位に二本鎖オリゴヌクレオチド(5'-cctgcagg-3')を連結して、CAMV35Sプロモーター(35S−P)とGUS構造遺伝子の間に制限酵素SseI部位が導入されたプラスミドpIG221sseΔsseを構築した後、このpIG221sseΔsseより、35S−Pとノパリンシンターゼ遺伝子のポリアデニル化シグナル(以下、ポリアデニル化シグナルは全てノパリンシンターゼ由来のものを用いた。)を連結したGUS遺伝子を制限酵素HindIIIとEcoRIにて切出し、これを、プラスミドpBI121(clontech社)の制限酵素HindIIIとEcoRI部位に配された、35S−P、GUS構造遺伝子及びポリアデニル化シグナルに置換して、プラスミドpBIG221sse(図1)を構築した。
一方、プラスミド128−35GFPより、互いに同方向を向いている部位特異的組換え系の組換え酵素認識配列(以下、単に認識配列ともいう。)RS二つに挟まれた、ノパリンシンターゼ遺伝子のプロモーター(Nos−P)及びポリアデニル化シグナルを連結したGFP構造遺伝子を制限酵素SseIにて切出し、これをpBIG221sseの制限酵素SseI部位に挿入して、本発明の目的遺伝子導入用ベクタープラスミドpIGFP21を構築した((独)産業技術総合研究所特許生物寄託センター宛てに3月29日付けで寄託済み)。
pIGFP21の主な構造を図2に示す。このpIGFP21は、目的遺伝子のモデルとしてNPTII遺伝子、選抜マーカー遺伝子としてGFP遺伝子を有し、選抜マーカー遺伝子は、互いに同方向を向いた部位特異的組換え系の組換え酵素認識配列RS二つに挟まれた、脱離部位に位置するように配されている。なお、図中、四角形の枠で囲まれた黒三角形はRS及びその配列の方向を、Tはポリアデニル化シグナルを示す(以下同じ。)。このベクターを植物細胞に導入した場合、T−DNA領域、即ち、小さな黒三角形で示したT−DNAのライトボーダー(RB)とレフトボーダー(LB)間が、染色体DNA中に組込まれることとなる。
II.選抜マーカー除去用ベクター(pTSspsMRSrubipt35R)の構築
プラスミド128−35Rrubipt(特願2004−382394)より、互いに同方向を向いている二つの認識配列RSで挟まれた、Rubiscoプロモーター(Rub−P)を連結したipt遺伝子(プロモーターのみ、本来のプロモーターに換えてRub−Pを使用。)、並びに、35S−P及びポリアデニル化シグナルを連結した部位特異的組換え系の組換え酵素(以下、単に組換え酵素ともいう。)R構造遺伝子を制限酵素SseIにて切出し、これをプラスミドpTSsps(特願2004−382394)の制限酵素SseI部位に挿入して、選抜マーカー除去用ベクタープラスミドpTSspsMRSrubipt35Rを構築した((独)産業技術総合研究所特許生物寄託センター宛てに3月29日付けで寄託済み)。
pTSspsMRSrubipt35Rの主な構造を図3に示す。このpTSspsMRSrubipt35Rは、形態異常誘導遺伝子としてipt遺伝子、脱離酵素遺伝子として部位特異的組換え系の組換え酵素Rの遺伝子を有し、これらの遺伝子は、互いに同方向を向いた部位特異的組換え系の組換え酵素認識配列RS二つに挟まれた、脱離部位に位置するように配されている。
III.目的遺伝子導入用ベクター(pIGFP21)及び選抜マーカー除去用ベクター(pTSspsMRSrubipt35R)のアグロバクテリウムへの導入
A.ツメファシエンス4404株を、10mlのYEB液体培地(ビーフエキス5g/l、酵母エキス1g/l、ペプトン1g/l、ショ糖5g/l、2mM MgSO、22℃でのpH7.2(以下、特に示さない場合、22℃でのpHとする。))に接種し、OD630が0.4から0.6の範囲に至るまで、28℃で培養した。この培養液を、6900×g、4℃、10分間遠心して集菌した後、菌体を20mlの10mM HEPES(pH8.0)に懸濁して、再度6900×g、4℃、10分間遠心して集菌し、次いで200μlのYEB液体培地に懸濁して、これをプラスミド導入用菌液とした。
アグロバクテリウムへのベクターの導入には、エレクトロポレーション法を用いた。すなわち、0.5mlチューブ内で、上記のようにして調製したプラスミド導入用菌液50μlと、3μlのpIGFP21を混合し、この混合液についてエレクトロポレーションを行った(ジーンパルサーIIシステム[BIORAD社])後、200μlのYEB液体培地を加えて、これを25℃で1時間振とうして培養し、得られた菌体を、50mg/lカナマイシン添加YEB寒天培地(寒天1.5w/v%、他の組成は上記に同じ。)に播種し、28℃、2日間培養して菌コロニーを形成させた。アグロバクテリウムへのpIGFP21の導入の確認は、この菌コロニーをYEB液体培地に移植して培養した後、菌体からアルカリ法でプラスミドを抽出し、定法にて行った。こうしてpIGFP21が導入されたA.ツメファシエンス4404株を、LBA4404(pIGFP21)とした。
なお、pTSspsMRSrubipt35Rについても、同様にしてアグロバクテリウム4404株に導入し、これをLBA4404(pTSspsMRSrubipt35R)とした。
IV.タバコへの目的遺伝子導入用ベクター(pIGFP21)の導入
培養容器内で無菌的に成育させたタバコ(Nicotiana tabacum SR1、特に記載する場合を除き、以下同じ。)の葉から、中脈を取り除いて約8mm角となるようにカットして得られた葉片36片を、上記LBA4404(pIGFP21)の菌液(OD630=0.25、YEB液体培地にて一夜培養後、滅菌水で稀釈して菌体濃度を調整。)に約1分間浸してこれに感染させ、滅菌した濾紙の上に置いて余分な菌液を除いてから、アセトシリンゴン50mg/lを添加した植物ホルモンを含まない(ホルモンフリー)MS寒天培地(寒天0.8w/v%)に、葉の裏が上になるように置床して、25℃、全明(特に記載されない限り、外植片及び植物組織・植物体の培養はこの条件で行った。)で3日間培養行った。
上記培養後の葉片を、6−ベンジルアミノプリン1mg/l、ナフタレン酢酸0.1mg/l、カルベニシリン500mg/l及びカナマイシン200mg/lを添加したMS寒天培地に移植して培養を続けたところ、不定芽13個が再分化してきたので、この不定芽を分離し、更にカルベニシリン500mg/l及びカナマイシンン200mg/lを含むホルモンフリーMS寒天培地に移植して培養することにより発根させた。結局、13個の不定芽にそれぞれ由来する、カナマイシン耐性組換え体13系統を得ることができた。
V.目的遺伝子導入用ベクター(pIGFP21)が導入されたタバコのサザン分析
IVで得られたカナマイシン耐性組換え体13系統(pIGFP21−1〜13)より、CTAB法を用いて染色体DNAを抽出し、これを制限酵素BamHIで切断して、0.8%アガロースゲル電気泳動に供した。電気泳動後のアガロースゲルは、アルカリ・酸処理の後、その電気泳動面をナイロンメンブランに転写し、このナイロンメンブランについて、DIG PCR labeling kit(Boehringer Mannheim社より購入)にて予めラベリングしておいた、GUS遺伝子と相同性を有するプローブP1を用いてハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション後、DIG Wash and Block Buffer(Boehringer Mannheim社より購入)により化学発光検出を行ったところ、サザン分析に供した2系統(pIGFP21−10、13)において、1コピーのpIGFP21が導入されていることが確認された。
VI.目的遺伝子導入用ベクター(pIGFP21)が導入されたタバコへの選抜マーカー除去用ベクター(pTSspsMRSrubipt35R)の導入
IVと同様にして調製したpIGFP21−13の葉片を、前記LBA4404(pTSspsMRSrubipt35R)の菌液(OD630=0.25、YEB液体培地にて一夜培養後、滅菌水で稀釈して菌体濃度を調整。)に約1分間浸してこれに感染させ、滅菌した濾紙の上に置いて余分な菌液を除いてから、アセトシリンゴン50mg/lを添加したホルモンフリーMS寒天培地(寒天0.8w/v%)に、葉の裏が上になるように置床して、25℃、全暗で2日間培養行った。
上記培養後の葉片を、カルベニシリン500mg/lを添加したホルモンフリーMS寒天培地に移植して培養を続けたところ、不定芽65個が再分化してきたので、これら不定芽を分離し、同組成の培地で引き続き培養した。この培養の間に、29個の不定芽より多芽体が形成され、更に、その多芽体から正常な形態をした不定芽28個が伸長した。こうして多芽体から生じた不定芽は、セフォタキシム100mg/lを添加したホルモンフリーMS寒天培地で培養することにより発根し、28個の発根個体を得ることができた。これらの発根個体は継代培養を行って維持しつつ、以下の分析に供した。
VII.目的遺伝子導入用ベクター(pIGFP21)、次いで選抜マーカー除去用ベクター(pTSspsMRSrubipt35R)が導入されたタバコの分析
A.PCR分析によるGFP遺伝子除去の確認
VIにおいて作成した発根個体28個の染色体DNAをFast DNA kit (BIO 101 Inc)により抽出し、この染色体DNAについて、35S−Pに結合するプライマー35s60と、GUS構造遺伝子に結合するプライマーEXGUSを用いて、PCR分析を行った。この場合において、目的遺伝子導入用ベクター(pIGFP21)により、タバコの染色体DNA中にNPTII遺伝子(目的遺伝子)と共に導入されたGFP遺伝子(選抜マーカー遺伝子)が、選抜マーカー除去用ベクター(pTSspsMRSrubipt35R)により導入されたR遺伝子(脱離酵素遺伝子)の働きで脱離して、そのDNA上から除去されると、900bpのDNA断片が増幅されることとなる(図4)。
PCR反応は、上記のようにして抽出した染色体DNA1μgを、このプライマー0.2μMを含む、10mM Tris−HCl(25℃でのpH8.8)、50mM KCl、1.5mM MgCl、1w/v% TritonX−100、0.1mM dNTP、及び1.25ユニットのTaqポリメラーゼ(CETUS社より購入)という組成を有する混合液50μl中に溶解し、これを94℃で1分30秒間加温した後、94℃で30秒、60℃で30秒、72℃で2分の加温サイクルを30回繰り返して行った。得られた反応混合物はアガロースゲル電気泳動にて分析し、DNA断片の増幅を検出した。
PCR分析の結果、分析に供した28個体中7個体において、900bpのDNA断片の増幅が認められた。よって、これら7個体は、目的遺伝子導入用ベクター(pIGFP21)により、いったんは染色体DNA中に導入された選抜マーカー遺伝子が、選抜マーカー除去用ベクター(pTSspsMRSrubipt35R)により導入された脱離酵素遺伝子の働きで、除去されたものと考えられる。
また、このとき、1個体において、上記900bpのDNA断片と共に、1.9kbpのDNA断片の増幅も観察された。この1.9kbpのDNA断片は、GFP遺伝子が、目的遺伝子導入用ベクター(pIGFP21)により導入された状態のまま、染色体DNA上に存在し続けている場合に増幅されるDNA断片の大きさに相当する。従って、この個体は、同一個体内に選抜マーカー遺伝子が除去された細胞と除去されていない細胞とが存在する、キメラ個体であると考えられる。
B.GUS活性試験
目的遺伝子導入用ベクター(pIGFP21)において、GFP遺伝子は35S−PとGUS構造遺伝子を分断する位置に配置されている。従って、目的遺伝子導入用ベクター(pIGFP21)により、タバコの染色体DNA中にNPTII遺伝子(目的遺伝子)と共に導入されたGFP遺伝子(選抜マーカー遺伝子)が、選抜マーカー除去用ベクター(pTSspsMRSrubipt35R)により導入されたR遺伝子(脱離酵素遺伝子)の働きで脱離して、そのDNA上から除去されると、35S−PとGUS構造遺伝子とが連結し、GUS遺伝子が発現するようになる(図4)。
そこで、上記PCR分析によってGFP遺伝子の除去が確認された7個体に由来する7系統について、植物体の一部を採取し、Jeffersonらの方法に準拠してGUS活性試験を行った。
その結果、上記7系統のGUS活性試験に供した個体の全てで、GUSによる染色が観察され、GFP遺伝子が除去されていることが確認された。一方、前記IVにて、目的遺伝子導入用ベクターの導入後に作成されたpIGFP21−13についても、同様にしてGUS活性試験を行ったが、この系統に由来する個体ではGUSによる染色は観察されなかった。
C.サザン分析
PCR分析によって選抜マーカー遺伝子の除去が確認された8個体(キメラ個体と考えられる個体も含む。)に由来する8系統の個体から、染色体DNAを抽出して、制限酵素EcoRIで切断し、前記Vと同様にしてサザン分析を行った。この場合において、目的遺伝子導入用ベクター(pIGFP21)により、タバコの染色体DNA中にNPTII遺伝子(目的遺伝子)と共に導入されたGFP遺伝子(選抜マーカー遺伝子)が、選抜マーカー除去用ベクター(pTSspsMRSrubipt35R)により導入されたR遺伝子(脱離酵素遺伝子)の働きで脱離して、そのDNA上から除去されている場合には約7.0kbp、一方、GFP遺伝子が、目的遺伝子導入用ベクター(pIGFP21)により導入された状態のまま、染色体DNA上に存在し続けている場合には約2.7kbpのバンドが検出されることとなる。
その結果、分析に供した上記8系統の個体全てで約7.0kbpのバンドが観察され、GFP遺伝子が除去されていることが確認された。また、PCR分析の結果、キメラ性が示唆された1系統の個体については、この約7.0kbpのバンドと併せ、約2.7kbpのバンドも検出され、この系統がキメラ個体の系統であることが確認された。一方、前記IVにて、目的遺伝子導入用ベクターの導入後に作成されたpIGFP21−13に由来する系統の個体では、約2.7kbpのバンドしか検出されなかった。
VIII.次世代マーカーフリータバコの分析
上記PCR分析、GUS活性試験及びサザン分析の結果、染色体DNAからのGFP遺伝子の除去が確認された7系統は、IVでカナマイシン耐性も確認されていることから、染色体DNAに目的遺伝子(NPTII遺伝子)が導入され、かつ、その染色体DNAから選抜マーカー遺伝子(GFP遺伝子)が除去されている、マーカーフリー細胞からなるマーカーフリー個体の系統であると考えられる。
そこで、これらの系統について、その次世代の分析を行うべく、自家受粉により得られた種子から幼植物体を生育させ、上記VII−A及び−Bと同様にして、PCR分析及びGUS活性試験を行った。
その結果、ここで分析に供した次世代の全ての幼植物体において、親世代と同様に、PCR分析による900bpのDNA断片の増幅、及び、GUS活性試験によるGUS染色が観察された。従って、これらの系統について、親世代の形質はその次世代にも確実に伝達されており、しかも、これらの親世代7系統は、マーカーフリー細胞のみから構成される個体の系統であって、キメラ性を全く有していないと考えられる。
[実施例2]
I.目的遺伝子導入用ベクター(pIRol21)の構築
rol遺伝子が、互いに同方向を向いた部位特異的組換え系の認識配列RS二つの間に挟まれている構造を有するプラスミド128−rolを構築し、次いで、この認識配列RS間に挟まれたrol遺伝子を、制限酵素SseIにて128−rolより切出し、これを、実施例1−Iで構築したプラスミドpBIG221sseの制限酵素SseI部位に挿入して、本発明の目的遺伝子導入用ベクタープラスミドpIRol21を構築した((独)産業技術総合研究所特許生物寄託センター宛てに3月29日付けで寄託済み)。
pIRol21の主な構造を図5に示す。このpIRol21は、選抜マーカー遺伝子としてrol遺伝子を有する他は、実施例1で用いた目的遺伝子導入用ベクターpIGFP21と同様の構造をしている。
II.目的遺伝子導入用ベクター(pIRol21)のアグロバクテリウムへの導入
実施例1−IIIと同様にして、pIRol21をA.ツメファシエンス4404株に導入し、この菌をLBA4404(pIRol21)とした。
III.タバコへの目的遺伝子導入用ベクター(pIRol21)の導入
上記LBA4404(pIRol21)を、実施例1−IVと同様にして、タバコに感染させた。
感染処理後のタバコ葉片105片は、6−ベンジルアミノプリン1mg/l、ナフタレン酢酸0.1mg/l、カルベニシリン500mg/l及びカナマイシン200mg/lを添加したMS寒天培地に移植して培養を続けたところ、不定芽11個が再分化してきたので、この不定芽を分離し、更にカルベニシリン500mg/l及びカナマイシンン200mg/lを含むホルモンフリーMS寒天培地に移植して培養することにより発根させた。結局、11個の不定芽にそれぞれ由来する、カナマイシン耐性組換え体11系統を得ることができた。
IV.目的遺伝子導入用ベクター(pIRol21)が導入されたタバコのサザン分析
IIIで得られたカナマイシン耐性組換え体11系統(pIRol21−1〜11)について、実施例1−Vと同様にしてサザン分析を行ったところ、そのうち2系統(pIRol21−7、11)に、1コピーのpIRol21が導入されていることが確認された。
V.目的遺伝子導入用ベクター(pIRol21)が導入されたタバコへの選抜マーカー除去用ベクター(pTSspsMRSrubipt35R)の導入
実施例1−VIと同様にして、IVで1コピーのpIRol21の導入を確認したpIRol21−11に、前記LBA4404(pTSspsMRSrubipt35R)を感染させ、感染後の葉片を培養して不定芽84個を再分化させ、更に、この不定芽から多芽体を経由して、109個の発根個体を得た。これらの発根個体は継代培養を行って維持しつつ、以下の分析に供した。
VI.目的遺伝子導入用ベクター(pIRol21)、次いで選抜マーカー除去用ベクター(pTSspsMRSrubipt35R)が導入されたタバコの分析
A.PCR分析によるrol遺伝子の除去の確認
Vにおいて作成した発根個体109個の染色体DNAについて、プライマー35s60とEXGUS、及び、rol遺伝子に結合し、その一部を増幅するように設計したプライマーrolc1とrolc2とを用い、実施例1−VIIAと同様にしてPCR分析を行った。この場合において、目的遺伝子導入用ベクター(pIRol21)により、タバコの染色体DNA中にNPTII遺伝子(目的遺伝子)と共に導入されたrol遺伝子(選抜マーカー遺伝子)が、選抜マーカー除去用ベクター(pTSspsMRSrubipt35R)により導入されたR遺伝子(脱離酵素遺伝子)の働きで脱離して、そのDNA上から除去されると、900bpのDNA断片が増幅され、また、rol遺伝子が、目的遺伝子導入用ベクター(pIRol21)により導入された状態のまま、染色体DNA上に存在し続けていると、1.0kbpのDNA断片が増幅されることとなる(図6)。
PCR分析の結果、分析に供した109個体中17個体において、900bpのDNA断片の増幅が認められた。よって、これら17個体は、目的遺伝子導入用ベクター(pIRol21)により、いったんは染色体DNA中に導入された選抜マーカー遺伝子が、選抜マーカー除去用ベクター(pTSspsMRSrubipt35R)により導入された脱離酵素遺伝子の働きで、除去されたものと考えられる。
また、このとき、9個体において、上記900bpのDNA断片と共に、1.0kbpのDNA断片の増幅も観察された。従って、この個体は、同一個体内に選抜マーカー遺伝子が除去された細胞と除去されていない細胞とが存在する、キメラ個体であると考えられる。
B.サザン分析
PCR分析によって選抜マーカー遺伝子の除去が確認された26個体(キメラ個体と考えられる個体も含む。)に由来する26系統の個体から染色体DNAを抽出して、制限酵素EcoRIで切断し、実施例1−Vと同様にしてサザン分析を行った。この場合において、目的遺伝子導入用ベクター(pIRol21)により、タバコの染色体DNA中にNPTII遺伝子(目的遺伝子)と共に導入されたrol遺伝子(選抜マーカー遺伝子)が、選抜マーカー除去用ベクター(pTSspsMRSrubipt35R)により導入されたR遺伝子(脱離酵素遺伝子)の働きで脱離して、そのDNA上から除去されている場合には約7.0kbp又は約20.0kbp、一方、rol遺伝子が、目的遺伝子導入用ベクター(pIRol21)により導入された状態のまま、染色体DNA上に存在し続けている場合には約2.7kbpのバンドが検出されることとなる。
その結果、分析に供した上記26系統の個体のうち、PCR分析によりキメラ性が示唆された系統の個体を除く17系統の個体全てで、約7.0kbp又約20.0kbpのバンドが観察され、rol遺伝子が除去されていることが確認された。また、PCR分析によりキメラ性が示唆された9系統の個体については、その全てで、約20.0kbpのバンドと約2.7kbpのバンドとが検出され、この系統がキメラ個体の系統であることが確認された。一方、前記IIIにて、目的遺伝子導入用ベクターの導入後に作成されたpIRol21−11では、約2.7kbpのバンドしか検出されなかった。
VII.次世代マーカーフリー個体及びキメラ個体の分析
上記PCR分析及びサザン分析の結果、染色体DNAからのrol遺伝子の除去が確認された26系統(キメラ個体の系統も含む。)の個体について、自家受粉を行い、得られた種子から幼植物体を生育させて以下の実験を行った。
A.PCR分析
上記26系統の個体を親世代とする幼植物体について、実施例1−VIIAと同様にしてPCR分析を行ったところ、ここで分析に供した全ての幼植物体で、選抜マーカー遺伝子(rol遺伝子)の除去を示す900bpのDNA断片の増幅が観察された。つまり、この次世代分析では、親世代において、900bpのDNA断片と共に1.0kbpのDNA断片の増幅も観察された、キメラ個体の系統から得られた幼植物体においても、900bpのDNA断片の増幅しか観察されず、この個体及び系統のキメラ性が消失していることが判明した。
このように、本発明の方法にて得られたキメラ個体が、全て、その次世代においてキメラ性を消失させる、という共通の結果を示したことは、これらのキメラ性が不規則なものではなく、一定の規則性を有していることを示唆し、非常に興味深いことである。この理由は明らかではないが、植物体を形成する組織は、大きくL1(表皮などに発達する)層、L2(生殖器官に発達する)層及びL3(骨格構造に発達する)層の3つに分けることができるので、上記キメラ個体においては、L2層の細胞においてのみ、目的遺伝子導入用ベクター(pIRol21)により染色体DNA中に導入されたrol遺伝子が、選抜マーカー除去用ベクター(pTSspsMRSrubipt35R)により導入されたR遺伝子の働きでそのDNA上から除去され、L1及びL3層の細胞では、このrol遺伝子が、目的遺伝子導入用ベクター(pIRol21)により導入された状態のまま、染色体DNA上に存在し続けている、とも考えられる。
B.GUS活性試験
この実施例で用いた目的遺伝子導入用ベクター(pIRol21)においても、rol遺伝子は、35S−PとGUS構造遺伝子を分断する位置に配置されており、目的遺伝子導入用ベクター(pIGFP21)により、タバコの染色体DNA中にNPTII遺伝子(目的遺伝子)と共に導入されたrol遺伝子(選抜マーカー遺伝子)が、選抜マーカー除去用ベクター(pTSspsMRSrubipt35R)により導入されたR遺伝子(脱離酵素遺伝子)の働きで脱離して、そのDNA上から除去されると、35S−PとGUS構造遺伝子とが連結し、GUS遺伝子が発現するようになる(図6)。
そこで、ここでは、上記PCR分析及びサザン分析の結果、染色体DNAからのrol遺伝子の除去が確認された26系統のうち、キメラ性が示唆された系統を除く17系統を親世代とする幼植物体について、実施例1−VIIBと同様にしてGUS活性試験を行った。その結果、ここで分析に供した全ての幼植物体において、GUSによる染色が観察され、rol遺伝子が除去されていることが確認された。従って、これらの系統についても親世代の形質はその次世代に確実に伝達されており、これらの親世代17系統は、マーカーフリー細胞のみから構成される個体の系統であって、キメラ性を全く有していないと考えられる。
目的遺伝子導入用ベクタープラスミドpIGFP21の作成スキムのうち、プラスミドpIG221からプラスミドpBIG221sseの構築までを示す図である。 目的遺伝子導入用ベクタープラスミドpIGFP21の作成スキムのうち、プラスミドpBIG221sseからpIGFP21の構築までを示す図である。 選抜マーカー除去用ベクタープラスミドpTSspsMRSrubipt35Rの作成スキムを示す図である。 目的遺伝子導入用ベクタープラスミドpIGFP21により、そのT−DNA領域が組込まれた染色体DNAの構造、及び、この染色体DNAからGFP遺伝子が除去された後の構造を示す、説明図である。 目的遺伝子導入用ベクタープラスミドpIRol21の作成スキムを示す図である。 目的遺伝子導入用ベクタープラスミドpIRol21により、そのT−DNA領域が組込まれた染色体DNAの構造、及び、この染色体DNAからrol遺伝子が除去された後の構造を示す、説明図である。

Claims (8)

  1. 選抜マーカー遺伝子の影響が排除された遺伝子導入細胞又は組織の作成方法であって、次の過程(A)〜(D)を経ることを特徴とする方法。
    (A)目的遺伝子、サイトカイニン合成遺伝子以外の選抜マーカー遺伝子、及び、脱離部位を有し、上記選抜マーカー遺伝子が脱離部位に存在することを特徴とするベクターを、植物細胞に導入する過程
    (B)(A)でベクターが導入された植物細胞を培養し、上記選抜マーカー遺伝子の発現を指標として、目的遺伝子が導入された植物細胞を選抜する過程
    (C)形態異常誘導遺伝子、脱離酵素遺伝子、及び、脱離部位を有し、形態異常誘導遺伝子と脱離酵素遺伝子とが、脱離部位に存在することを特徴とするベクターを、(B)で選抜された植物細胞に導入する過程
    (D)(C)でベクターが導入された植物細胞を培養し、その結果、該細胞が増殖して得られる組織より生じる、異常な形態をした組織を選抜する過程
    (E)(D)で選抜された異常な形態をした組織を培養し、その結果生じる、正常な形態をした組織を選抜する過程
  2. 脱離部位が、互いに同方向を向いた二つの部位特異的組換え酵素認識配列に挟まれた領域であり、脱離酵素遺伝子が、上記二つの部位特異的組換え酵素認識配列を認識して作用する部位特異的組換え酵素をコードする遺伝子であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 選抜マーカー遺伝子として薬剤耐性遺伝子を用いることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 選抜マーカー遺伝子として、GUS遺伝子、GFP遺伝子又はルシフェラーゼ遺伝子を用いることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 選抜マーカー遺伝子として、rol遺伝子を用いることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  6. 形態異常誘導遺伝子として、サイトカイニン合成遺伝子を用いることを特徴とする、請求項1、2、3、4又は5に記載の方法。
  7. サイトカイニン合成遺伝子として、ipt(isopentenyltransferase)遺伝子を用いることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  8. 請求項1、2、3、4、5又は6に記載の方法により選抜マーカー遺伝子の影響が排除された遺伝子導入細胞又は組織を作成した後、これを増殖させて、植物体を再分化させることを特徴とする、選抜マーカー遺伝子の影響が排除された遺伝子導入植物の作成方法。
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