JP4179120B2 - トナー製造方法 - Google Patents

トナー製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4179120B2
JP4179120B2 JP2003331194A JP2003331194A JP4179120B2 JP 4179120 B2 JP4179120 B2 JP 4179120B2 JP 2003331194 A JP2003331194 A JP 2003331194A JP 2003331194 A JP2003331194 A JP 2003331194A JP 4179120 B2 JP4179120 B2 JP 4179120B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
filter
solid
liquid
liquid separation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003331194A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004258609A (ja
Inventor
昭一郎 石橋
尚之 中村
健太郎 山脇
晃 大平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2003331194A priority Critical patent/JP4179120B2/ja
Publication of JP2004258609A publication Critical patent/JP2004258609A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4179120B2 publication Critical patent/JP4179120B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、トナー製造方法に関し、特に、固液分離をトナー粒子によって形成された固液分離面を有するフィルターを用いて固液分離を行うとともに、該フィルターを再生する工程を有するトナー製造方法に関する。
近年、機械的粉砕により製造されたトナーに代わり、湿式で造粒して製造されたトナーが小粒径化、粒径分布のシャープ化、離型剤を多量導入するのに有利なため注目されている。湿式で造粒して製造する具体的なトナーの製造方法としては、乳化会合法、懸濁重合法、分散重合法、さらには別途重縮合したポリエステル等を用いる溶解懸濁法等がある。
水系媒体中での重合工程を経てトナー粒子を形成する乳化会合法による重合トナーは、製造工程でトナー粒子の粒径や形状を制御できるので、小粒径で粒径分布がシャープであり、かつ、個々のトナー粒子の形状が揃った粒子表面に角のない丸みを帯びたトナーが得られる(例えば、特許文献1参照。)。
この様な粒径と形状の揃ったトナーには高解像の画像が期待されるため、例えば1200dpi(dpiとは1インチ(2.54cm)あたりのドット数を表す)という微小なドット画像を形成するデジタル方式の画像形成への採用検討が盛んになりつつある。
湿式で造粒するトナーは、水系媒体中または有機溶媒中でトナー粒子を形成させ、トナー粒子分散液とした後、濾過装置の様な固液分離装置に代表される分離手段を用いてトナー粒子分散液からトナー粒子を分離し、その後必要に応じ外添剤を添加して得られる。
トナー粒子を分散させていた分散液中には、界面活性剤、トナー粒子より脱離した遊離離型剤粒子またはその分解物粒子等の不純物が含有されている。そのため、トナー粒子を分散液より分離する時に、これらの不純物が残存しない様にトナー粒子をよく洗浄することが必要である。
トナー粒子から水溶性不純物や可溶性不純物の除去を目的として、遠心分離により固体粒子と水系媒体とを分離しながら、分離液(濾液)の電気伝導度が特定値以下になるまで洗浄水の供給を行ってトナー粒子の洗浄を行う技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
また、攪拌翼とフィルターとを備えた容器内に水系媒体を除去したトナー粒子を投入し、洗浄液を加えて攪拌した後、加圧下でトナー粒子を濾過して不純物の除去を行う技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、トナー粒子分散液の固液分離を行うことにより、フィルターの目詰まりが発生する。すなわち、トナー粒子分散液の固液分離を行うと、不溶性の塩、トナー粒子からの遊離した着色剤や離型剤等の不溶性の不純物、トナー微粒子等がフィルターの目に詰まって目詰まりを起こす。そして、フィルターが目詰まりを発生させるたびに新しいフィルターに交換する必要があり、交換の工数とコストがかかり、トナー粒子分散液の固液分離を迅速かつ効率よく低コストで実施することは難しかった。
とりわけ、特許文献3のように加圧下でトナー粒子の濾過を続けていく場合は、フィルターの目詰まりは促進され、短い周期でトナー粒子表面からの不純物除去が難しくなり、最終的には不純物の除去ができなくなる。
事実、フィルターの目詰まりを考慮せずに、上記特許文献に開示された再生方法を経て得られたトナーを用いて画像形成を行うと、画像上の高濃度部分に白い粒状の「トナーブリスター」と呼ばれる画像欠陥が発生していた。トナーブリスターとは、トナー粒子内に残存した不純物が水和物となり、定着工程の加熱により水和物が水蒸気となってトナー画像上より排出される結果、トナー画像が破壊されて、画像上の高濃度部分に白い粒状の画像欠陥が発生する現象のことを云う。
この様に、トナー粒子分散液を固液分離する時にトナー粒子表面から不純物を完全に除去させる技術は画像欠陥のない良好なトナー画像形成を行う上で達成すべき課題となっていたが、この課題を解決する技術はこれまで確立されていなかった。
特開2000−214629号公報 特開2000−292976号公報 特開2001−249490号公報
本発明は、上記問題を鑑み提案されたものであり、トナー製造工程でトナー粒子表面より不純物を十分除去して作製されたトナーで画像形成を行ったときに、トナーブリスターによる画像欠陥を発生させない、安定した画像形成が可能なトナーの得られるトナー製造方法を提供することを目的とする。
本発明の課題は下記構成を採ることにより達成される。
1.
水系媒体中または有機溶媒中で形成したトナー粒子を含有するトナー粒子分散液を、フィルターを用いて固液分離する工程を有するトナー製造方法において、該フィルターによりトナー粒子によって形成された固液分離面で固液分離を行う工程と、該フィルターを高圧ジェット流、ブラシ、超音波、洗浄剤、ブラストによるフィルター再生方法のうちいずれかを用いて再生する工程とを有することを特徴とするトナー製造方法。
2.
前記フィルターを再生する工程では、高圧ジェット流、ブラシ、超音波、洗浄剤、ブラストによるフィルター再生方法のうち少なくとも2つ以上を組み合わせてフィルターの再生を行うことを特徴とする前記1に記載のトナー製造方法。
本発明のトナー製造方法では、トナー粒子分散液の固液分離工程で、トナー粒子によって固液分離面を形成するフィルターを用いて固液分離を行うとともに、該フィルターの再生を行う工程を有するようにすることで、トナーブリスターによる画像欠陥を発生させることのない高画質のトナー画像を安定して形成することを可能にした。
また、このような固液分離工程を採用することにより、該フィルターが再生により繰り返し使用が可能になり、トナー粒子分散液の固液分離作業の効率を大幅に向上させることが可能になった。
本発明者等は、不織布や濾紙等の従来タイプのフィルターを用いてトナー粒子分散液の固液分離を行った時に、トナーケーキ中のフィルターに近接する箇所にあったトナーを用いて画像形成を行うと、トナーブリスターが発生し易い傾向にあったことや、このようなトナーでは外添剤の付着が弱い傾向を有していることに着目した。また、従来タイプのフィルターで固液分離を行うと、トナーのロット間で解像度にばらつきが発生しやすい傾向を有していることにも着目した。
本発明者等は、不織布や濾紙等の従来タイプのフィルターを用いてトナー粒子分散液の固液分離を行うと、図2に示す様に、フィルター内部にトナー粒子が入り込んだ状態を形成して固液分離が行われていることに着目した。
これらの傾向から、本発明者等は、トナー粒子がフィルター内部の奥深くまで入り込んで固液分離が行われると、入り込んだトナー粒子の影響で、トナー粒子表面から不純物が除去しにくくなり、とりわけフィルター表面に近接した箇所にあったトナー粒子では不純物除去がより難しくなったものと推測した。
すなわち、従来タイプのフィルターでは、フィルターの目ががトナー微粒子や不純物により目詰まりすると、該フィルター近くでトナーケーキを形成したトナー粒子の不純物量が上昇し、次第に不純物を付着したトナー粒子がトナーケーキ全体を占めるようになって、トナー全体の性能を悪くするものと推測した。そして、トナー粒子がフィルター内部に入り込んだ状態で固液分離を行うものは不純物除去が難しく、また、フィルター内部に入り込んだトナー粒子を除去することが難しく、フィルターの再生もできないものである。
そこで、本発明者等は、トナーケーキを形成する時に、フィルターの内部にトナー粒子が入り込まない状態でトナーケーキの形成を行うとともに、固液分離に使用するフィルターを再生しやすいものにすることを検討した。
その結果、図1に示すトナー粒子により固液分離面を形成するフィルター(以下、本発明に係るフィルターとも云う)を用いるとともに、該フィルターに再生処理を行うことで、フィルターを繰り返し使用して固液分離を行って得られたトナーでは画像形成時にトナーブリスターによる画像欠陥が発生しないことを見出した。
本発明に係るフィルターで固液分離を行ってトナーケーキを形成することによりトナー粒子から不純物が確実に除去されるようになった理由は明らかではないが、おそらく、固液分離を行った時に、図1に示す様に、フィルター内にトナー粒子によって形成された固液分離面で固液分離が行われることにより不純物がトナーケーキ中のトナー粒子表面から均質に脱着して効率よく系外に排出されるようになったためと推測される。
すなわち、図1に示す様に、本発明に係るフィルターを用いて固液分離を行うと、該フィルターの目にトナー粒子が充填されて、トナー粒子によって固液分離面が形成され、この固液分離面で固液分離が行われる。そして、トナー粒子によって形成された固液分離面ではちょうどカラムクロマトグラフィーのように平面性を保ったままの状態で不純物の濃縮が行われて、メッシュを通過させて排出するという分離能が発現することにより、トナー粒子分散液の液成分とともに不純物成分がトナー粒子表面から洗い流され排出されるようになったものと推測している。
本発明者等は、トナー粒子によって固液分離面を形成できるフィルターを用い、該フィルターの目詰まりを再生する工程を繰り返し、このフィルターを用いてトナー粒子分散液の固液分離を行って得られたトナーを用いて画像形成したところ、トナー画像上にトナーブリスターに起因する画像欠陥がなく、安定したトナー画像が得られることを見出し本発明に至った。
ここで、上記構成に使用される用語について説明する。
本発明で云う「トナー粒子分散液」とは、トナーの製造工程において、粒子形成を完了したトナー粒子を分散させてなる液のことを云う。
本発明で云う「固液分離」とは、トナー粒子分散液から液成分を脱液(脱水)してトナー粒子を分離し、トナーケーキと呼ばれる含水したトナー塊状物(バルク物)を形成する操作を云う。
本発明で云う「固液分離面」とは、トナー粒子分散液より液成分を脱液する面のことで、具体的には、フィルターの目にトナー粒子を充填させて、密な状態でトナー粒子同士が相互に支えあって形成された状態で固液分離を行う面のことを云う。
ここで、「フィルターの目」とは、トナー粒子分散液の液成分を脱水させるための細孔のことを云う。「フィルターの目開き」とは、フィルターの目(細孔)の大きさのことを云う。
次に、本発明に係るフィルターについて説明する。
図1は、本発明に係るフィルターの一例を示す概略図である。
図1において、11は本発明に係るフィルター、12はトナーケーキ、13はトナー粒子分散液、14は固液分離面を形成するメッシュ、15は補強用メッシュ、16はトナー粒子、17は固液分離面、18は液滴、10は目(細孔)を示す。
また、トナーケーキが本発明に係るフィルターの表面に形成されると、トナー粒子が密な状態になりトナー粒子同士が相互に支え合い、頑丈なブリッジを形成して液成分のみの通過を可能にしたものと推測される。
その結果、トナーケーキ中のトナー粒子間の空隙を液体だけが流れて行き、液体の流動によりトナー粒子表面に付着していた不純物がトナー粒子表面より液体とともに洗い出されて、結果としてトナーケーキを形成するトナー粒子表面から不純物を除去することを可能にしたものと推測される。
本発明に係るフィルターを用いて製造されたトナーは、トナーの帯電性を低下させる不純物(例えば、脂肪酸金属塩等)や電気抵抗を低下させて転写率を低下させる不純物(例えば、遊離の顔料、遊離の離型剤等)がトナー粒子表面より除去されているので、トナーブリスタートによる画像欠陥、トナーロット間の解像度ばらつきもなく良好である。
この様に、フィルターの目開きにトナー粒子によって固液分離面を形成させて、このトナー粒子によって固液分離面で固液分離を行うという技術思想は従来技術から到底考えつかぬものであった。
図2は、フィルターの内部にトナー粒子が入り込んだ状態で固液分離を行う従来タイプのフィルターの一例を示す概略図である。
図2において、111は従来タイプのフィルター、12はトナーケーキ、13はトナー粒子分散液、16はトナー粒子、18は液滴、19は不織布を示す。
本発明に係るフィルターを用いて、トナー粒子分散液からトナー粒子を固液分離してトナーケーキの形成するための固液分離装置としては、特に限定されず、フィルタープレス、加圧葉状脱水機、加圧ヌッチェ、回転円筒型脱水機、回転円板型脱水機等を挙げることができるが、これらの中では回転円筒型脱水機がトナーケーキ中から不純物の除去がしやすく、且つ良好な生産性が得られ好ましい。
本発明に係るフィルターは、トナー粒子によって固液分離面を形成して固液分離ができ、再生して再使用できるものであればよく、具体的には、メッシュを有するフィルター、スクリーンを有するフィルター、多孔質部材を有するフィルター、プレートを有するフィルター等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
本発明に好ましく用いられるフィルターについて詳細に説明する。
1.メッシュを有するフィルター
本発明で云うメッシュとは、ワイヤーに代表されるような金属製或いは有機材料製等の線状部材(以後、単にワイヤーとも云う)を織りあげて作製したものである。
具体的には、線状部材である縦線(メッシュの長い方の線)と横線(メッシュの幅になる方の線)を規則的に配列し織ったもので、織り方としては、公知の平織、綾織、平畳織、綾畳織、むしろ織等が挙げられるが、これらの中では、精度、取り扱いやすさ等の点で綾畳織が好ましい。
本発明に用いられるメッシュを有するフィルターの例としては、固液分離面を形成するメッシュに、保護する目的や補強する目的で他のメッシュをシンタリングと呼ばれる熱結合処理を行って一体化加工して作製したものを挙げることができる。
ワイヤの材質としては、耐圧強度が有り、他の層と熱結合により一体化加工できるものなら特に限定されず、金属製ワイヤとしてはステンレス(316L、SUS904L)、ニッケル等を用いることができるが、これらの中ではステンレスの316Lが加工性、耐圧強度の点で好ましい。また、有機材料製のワイヤーの材質としては、ケブラーに代表される高張力、高弾性の繊維材料が好ましく、フィルター自体の質量を軽減させる利点を有している。
図3は、メッシュを有するフィルターの一例を示す概念図と断面図である。
図3において、20は固液分離面を形成するメッシュ(綾畳織り)、21はそのメッシュの縦線、22はそのメッシュの横線、100はフィルター、101は固液分離面を形成するメッシュを保護するためのメッシュ、102は固液分離面を形成するメッシュを、103、104、105は固液分離面を形成するメッシュを補強するためのメッシュを示す。
2.スクリーンを有するフィルター
本発明で云うスクリーンとは、線状部材(以下、ワイヤーロッドとも云う)をサポートロッド上に並列配置したもので、スリット状に開口した間隙があるスクリーンである。
ワイヤーロッドの断面形状としては、逆三角形、半円形、円形等が挙げられるがこれらの中では逆三角形が好ましい。また、サポートロッドの形状としては、三角形、雨滴型、円形等が挙げられるが雨滴型がワイヤーロッドを溶接しやすく好ましい。
ワイヤロッドおよびサポートロッドの材質としては、特に限定されないが耐圧強度が有り、溶着加工できるものなら特に限定されず、ステンレス(316L、SUS904L)、ニッケル等を用いることができるが、これらの中ではステンレスの316Lが耐圧強度および溶着加工性の点で好ましい。
図4は、スクリーンを有するフィルターの一例を示す概念図と断面図である。
図4において、30はスクリーン、31はワイヤーロッド、32はサポートロッド、33はスリット状の開口(目開きに該当)、34はワイヤーロッドの幅を示す。
3.多孔質部材を有するフィルター
本発明で云う多孔質部材とは、ステンレス金属粉末等の金属粉末同士を焼結加工して作製したもので、焼結した金属粉末と金属粉末の空隙に多数の連続した細孔を有している。
多孔質部材を有するフィルターの具体例としては、金属粉末と金属粉末とが接点で焼結され強固な一体となった多孔質部材をまず作製し、該多孔質部材に補強メッシュを溶着して形成したものを挙げることができる。なお、細孔の大きさは、多孔質部材の作製に用いた金属粉末の大きさと作製時の圧力と温度により決まる。
図5は、多孔質部材を有するフィルターの一例を示す概念図と断面図である。
図5において、40は多孔質部材、41は金属粉、42は細孔(目)、43は補強メッシュ、44はフィルターを示す。
4.プレートを有するフィルター
本発明で云うプレートとは、機械的あるいは化学的に金属板や樹脂板に貫通した細孔を設けたものである。
プレートを有するフィルターの具体例としては、ステンレス板、樹脂フィルム、樹脂板等を化学的エッチングあるいは機械的加工により貫通した細孔を設けたプレートに補強メッシュを溶着して形成したものを挙げることができる。
図6は、プレートを有するフィルターの一例を示す概念図と断面図である。
図6において、50はプレート、51はステンレス板、52は細孔(目)、53は補強メッシュを示す。
固液分離面が形成されるフィルターの目開き(以下、細孔、間隙、空隙の大きさとも云う)は、2〜45μmで、好ましくは5〜35μmである。
固液分離面が形成されるフィルターの目開きは、トナー粒子の個数平均粒径の0.2〜20倍が好ましく、0.5〜10倍がより好ましい。前記メッシュの目開きは、トナー粒子の個数平均粒径より20倍程度まで大きくても、固液分離開始とともに目にトナー粒子が相互に支え合ってブリッジを形成しながらパッキングされて固液分離面が形成されるのでトナー粒子がフィルターを通過して流出することは無い。なお、トナー粒子の個数平均粒径は良好なトナー画質を得るために3〜8μmが好ましい。
次に、トナー製造方法について説明する。
本発明のトナー製造方法は、水系媒体中または有機溶媒中で形成したトナー粒子をトナー粒子分散液とした後、図9、図10に記載の製造フローによりトナー粒子によって固液分離面を形成できるフィルターを用いて固液分離してトナーケーキとし、それを洗浄してトナー粒子表面から不純物を除去してトナー粒子を作製し、その後用いたフィルターを再生するという工程を繰り返して行う。本発明では、前記工程を繰り返し、多数回再生したフィルターを用いてトナーを製造することを特徴としている。
生産性の点でも、フィルターが目詰まりしたまま固液分離を続けると、フィルターの目詰まりが進み単位時間当たりの固液分離能力が低下し生産性が落ち、フィルターを交換することになり、交換時間のロス、交換コストの問題があった。
本発明では、例えば、フィルターの目詰まりを、目詰まり検知手段や固液分離した処理量等により判断し、フィルターの目詰まりが進む前にフィルターの再生を行うので、トナーケーキの洗浄に用いる洗浄水の使用量が少なく短時間で行え、且つ、フィルターの再生に要する再生水の使用量が少なく短時間で行える。その結果、固液分離の時間稼働率を上げることができ、フィルターの繰り返し使用可能回数も伸ばせるのでコストダウンが可能となる。
ここで、固液分離の時間稼働率とは、下記式で求めた値であり、固液分離の時間稼働率の値は大きいほど生産性が良く好ましい。

固形分離の時間稼働率=固液分離時間/(固液分離時間+トナーケーキ洗浄時間+ フィルター再生時間)×100
(トナー製造プロセス)
図7は、本発明に係るトナー製造プロセスの一例を示す図である。
図7のプロセスを順に説明する。
1.トナー粒子分散液を固液分離装置への送液を指示する。
2.トナー粒子分散液を固液分離装置で固液分離し、トナーケーキと分離液に分ける。
3.目詰まり検知手段で、目詰まりを判断し、目詰まりしていないと判断すれば、トナー粒子分散液の送液を指示する。
4.目詰まりと判断した時点で、トナー粒子分散液の送液を止め、トナーケーキの洗浄を指示する。
5.トナーケーキの排出を指示する。
6.排出完了の信号でフィルターの再生を指示する。
7.1の工程にもどり、トナー製造を続行を指示する。
(固液分離装置)
本発明に係るフィルターを用いて、トナー粒子分散液からトナー粒子を固液分離してトナーケーキの形成するための固液分離装置としては、特に限定されず、フィルタープレス、加圧葉状脱水機、加圧ヌッチェ、回転円筒型脱水機、回転円板型脱水機等を挙げることができるが、これらの中では回転円筒型脱水機がトナーケーキ中から不純物の除去がしやすく、且つ良好な生産性が得られ好ましい。
(トナー粒子分散液を固液分離してトナーケーキの形成、トナーケーキの洗浄)
本発明では、トナー粒子分散液を本発明に係るフィルターを用いて固液分離してトナーケーキを形成し、このトナーケーキを水またはアルコールで洗浄する。
具体的には、後述する図9、10に示す様にトナー粒子を含有するトナー粒子分散液を、本発明に係るフィルターが装着された回転円筒型脱水機の槽内に供給し、この回転円筒型脱水機を作動させてフィルターの表面にトナー粒子からなるトナーケーキを形成する。
次に、回転円筒型脱水機の槽内に水を供給して、トナーケーキを洗浄する。水による洗浄は、濾液の電気伝導度が50μS/cm以下になるまで続けられる。濾液の電気伝導度が50μS/cm以下になるまで洗浄すると、トナー粒子に付着している不純物の残存量が低減され好ましい。さらに、濾液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまで洗浄を続けると、トナー粒子に付着する不純物の量がさらに低減されより好ましい。
濾液の電気伝導度は、通常の電気伝導度計により測定することができ、測定器としの一例として「CM−10P」(東亜電波工業株式会社製)を挙げることができる。
洗浄に用いられる水としては、特に限定されないが、濾液の電気伝導度を50μS/cm以下とするためには、5μS/cm以下の電気伝導度の水を用いることが好ましい。さらに、磁気や超音波を用いて水のクラスタを小さくすることにより洗浄性能を高めた水を用いても良い。
洗浄時の回転円筒の加速度は、500〜1000Gが好ましく、600〜800Gがより好ましい。加速度がこの範囲であれば、トナーケーキ全体にわたって均一に洗浄水を供給でき、トナー粒子に付着した不純物を完全に除去することができ好ましい。
洗浄に用いられる水の供給量は、回転円筒型脱水機内に洗浄水が滞留しない範囲が好ましい。洗浄液が滞留しなければトナー粒子より一度分離した不純物が、トナー粒子に再付着するような問題も発生せず好ましい。
(トナーケーキの掻き取りと排出)
水により洗浄されて不純物が除去されたトナーケーキは、図7〜10に示す回転円筒型脱水機の回転円筒(バスケット)を高速回転させて脱水する。その後、回転円筒脱水機に取り付けられたまたは挿入されたスクレーパーで脱水されたトナーケーキが本発明に係るフイルター表面から掻き取られ、吸引パイプまたは排出口から排出されて次工程の乾燥装置706へ搬送される。
(フィルターの再生)
本発明に係るフィルターは、トナー微粒子や不純物(例えば、副反応物、添加剤)等により目詰まりしたものを除去し、再生して再使用される。
目詰まりしたフィルターの再生方法としては、具体的には、高圧ジェット流、ブラシ、洗浄剤、超音波、ブラスト、これらを少なくとも2つの方法以上を組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
次に、目詰まりしたフィルターの再生する方法を具体的に説明する。
1.高圧ジェット流による再生方法
固液分離装置(例えば、回転円筒型脱水機)に取り付けられた、又は挿入された高圧ジェットノズルからの高圧ジェット流(例えば、水やエアー)による方法。
2.ブラシによる再生方法
固液分離装置(例えば、回転円筒型脱水機)に取り付けられた、又は挿入されたブラシをフィルターに表面に接触させて回転して行う方法。
3.洗浄剤による再生方法
固液分離装置(例えば、回転円筒型脱水機)に取り付けられた、又は挿入されたノズルから洗浄剤をフィルター表面に吹く付けて行う方法。
4.超音波による再生方法
固液分離装置(例えば、回転円筒型脱水機)に取り付けられたままの、又は取り外したフィルターに超音波をかけて行う方法。
5.ブラストによる再生方法
固液分離装置(例えば、回転円筒型脱水機)に取り付けられた、又は挿入されたブラストノズルからブラストによる方法。
6.上記再生方法の組み合わせによる再生方法
上記再生方法を2つの以上組み合わせて行う方法。
次に、トナーの具体的製造方法を、本発明に係るフィルターを取り付けることができ、フィルターを再生する高圧ジェット水ノズルが装着された回転円筒型脱水機を用る方法で説明する。
図8は、フィルターの目詰まり状態を検知する検知装置として、分離液の排出量を検知する「流量計」が設置された固液分離とフィルターの再生を行う回転円筒型脱水機の一例を示す断面図である。
図8において、704は回転円筒型脱水機、301は本体、302はバスケット、303はバスケット回転装置、304トナーケーキ洗浄装置、305は液(トナー粒子分散液、トナーケーキ洗浄水)の供給パイプ、306はフィルター再生装置、307は再生用高圧ジェット水ノズルヘッド、308は分離液の排出口、309はフィルター、310はトナーケーキ排出口、401は流量計、601は高圧水供給パイプを示す。
図8に示す回転円筒型脱水機は、トナーケーキを下部から排出するタイプのもので、本体301に、バスケット302、バスケット回転装置303、図示していない掻き取り装置、トナーケーキ洗浄装置304、フィルター再生装置306、分離液の排出口308、トナーケーキ排出口310が取り付けられている。トナーケーキ洗浄装置には液の供給パイプが装着され、フィルター再生装置306には再生用高圧ノズルヘッド307が装着され、バスケット302には取り外し可能なフィルター309が装着されている。スタート時には液の供給パイプ305からトナー粒子分散液が供給され、バスケット302を高速で回転して固液分離し、トナーケーキをフィルター309の表面に形成していく。分離液(濾液)は液の排出口308から排出する。排出口308から排出される単位時間当たりの濾液(分散液)の排出量を流量計401を用いて計測し、流量が管理値を越えた時点でトナー粒子分散液の供給を停止し、固液分離を中断する。
その後トナーケーキを洗浄するため、液の供給パイプ305から洗浄水が供給される。トナーケーキの洗浄水は液の排水口308から排出する。
洗浄後のトナーケーキは、バスケット302を高速回転して脱水し、その後低速回転でスクレーパーで掻き落として、トナーケーキ排出口310から排出する。
トナーケーキを掻き落とした後のフィルター309は、フィルター再生装置306に取り付けられた再生用高圧ジェット水ノズルヘッド307から噴射される高圧水により再生する。その後フィルターは乾燥され、最初の工程に戻りトナー粒子分散液の送液再スタートする。
再生用高圧ジェット水ノズルヘッドの形状は、具体的にフラット(扇型)、フルコーン(円形全面型)、ホロコーン(円錐型)、ソリッド(直進型)、微粒スプレー等のコーン用を挙げることができるが、これらの中ではフラット(扇型)コーン用が再生効率の観点から好ましい。
次に、検知手段として分離液の排出量を検知する「流量計」を設置した回転円筒型脱水機を用いて、トナー粒子を製造する管理チャートについて説明する。
図9は、流量計により分離液の排出量を管理したときの一例を示すトナー粒子製造の管理チャートである。
チャートの縦軸は、分離液の単位時間当たりの排出量を、横軸は時間を示す。
トナー粒子分散液を回転円筒型脱水機に供給し固液分離を行うと、固液分離された分離液の排出量が流量計により検知される。トナー粒子分散液を供給し、固液分離を続けていくと次第にフィルターの目詰が進行し、排出量が減少していく。排出量が定められた値を下回った時点でトナー粒子分散液の供給を止め固液分離を中断する。固液分離されて形成されたトナーケーキは洗浄され、脱水した後回転円筒型脱水機から排出される。その後フィルターは再生して再使用される。この操作を繰り返すことによりトナー粒子を製造することができる。
図10は、本発明に好ましく用いられるトナー製造方法の一例を示す製造フロー図(製造プロセス図)である。
図10に示すフローに従って各工程を説明する。タンク701にストックしてあるトナー粒子分散液を回転円筒型脱水機704へ投入し、トナー粒子分散液の供給量と排出口308からの排出液量のバランスを見ながら回転円筒型脱水機704の操作を続ける。一定量の固液分離が終了したら操作を停止し、水洗浄、脱水した後、掻き取り装置306によりトナーケーキをケーキ排出口310から取り出す。取り出されたトナーケーキはストックタンク705に蓄えられ、好ましくは解碎処理された後乾燥装置706へ送られ、温風715により乾燥された後、サイクロン707でトナー粒子が回収され、トナー粒子ストックタンク708へ蓄えられる。
図11は、本発明により好ましく用いられるトナー製造方法の一例を示す製造フロー図(製造プロセス図)である。
図11に示すフローは、タンク701にストックしてあるトナー粒子分散液を、デカンター702で濃縮した後、調液タンク703に送液する。デカンター702では水より比重の小さい不純物はあらかじめ除去される。調整タンク703では希釈液711が加えられ、濃縮された液中のトナー粒子を再分散するとともに固液分離に適する濃度に調整すると同時に水溶性不純物をこの再分散液中に溶解させる。再分散されたトナー粒子分散液は回転円筒型脱水機704へ投入され、以降は図10と同じ操作を行う。
乾燥装置としては、フラッシュジェットドライヤー、流動床乾燥装置、スプレードライヤー、真空凍結乾燥装置、減圧乾燥装置等を挙げることができるが、これらの中の2種以上の乾燥装置を直列に配置して乾燥することが好ましい。
乾燥処理されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下である。
次に、本発明に係るトナー粒子分散液について説明する。
本発明に係るトナーは、水系媒体中または有機溶媒中でトナー粒子を形成させ、トナー粒子分散液とした後に、
トナー粒子によって固液分離面を形成できるフィルターにより固液分離してトナー粒子からなるトナーケーキを形成し、トナーケーキからトナー微粒子や不純物を洗浄して除去し、乾燥してトナー粒子を調製し、トナー粒子に必要に応じ外添剤を添加混合するトナー製造方法による得ることができる。
水系媒体としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、またはこれらを混合したものを挙げることができるが特に限定されるものではない。トナーの製造にはこれらの中から適したものを選ぶことができる。
トナー粒子分散液の製造方法は、公知の製造方法により作製することができ、具体的には、乳化会合法、懸濁重合法、分散重合法、溶解懸濁法、連続式乳化分散法等を挙げることができるが特に限定されるものではない。
以下、乳化会合法と分散重合法によるトナー粒子分散液の製造方法について説明する。
乳化重合によるトナー粒子分散液の製造方法は、水系媒体中でトナー粒子を形成させる方法で、例えば特開2002−351142号公報等に開示されている。
また、特開平5−265252号公報、特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に開示される樹脂粒子を水系媒体中で塩析/融着させてトナー粒子分散液を製造する方法を挙げることができる。
具体的には、水中で樹脂粒子を乳化剤を用いて分散させた後、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加えて塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、トナー粒子分散液調製するものである。なお、ここにおいて凝集剤と同時にアルコールなど水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
分散重合によるトナー粒子分散液の製造方法は、単量体の溶ける良溶媒に単量体と重合開始剤を同時に溶解し、重合の進行につれて溶媒に溶けなくなった高分子成分を析出させトナー粒子を形成する方法である。前記の溶媒はメタノールが使用されることが一般的で、固液分離がアルコール媒体中で行われるか、あるいは水とアルコールを混合した水系媒体中で行われるのが一般的である。
以下に、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
固液分離装置としては、回転円筒型脱水機「MARKIII 型式番号60×40」(松本機械株式会社製)を用いた。
《フィルターの作製》
本発明に係るフィルターの材料としては、SUS316Lの金属ワイヤーを用いた。
フィルターは、表1に記載の金属ワイヤー径を用い、固液分離面を形成するメッシュを綾畳織り、それ以外のメッシュを平織りで作製し、それらを熱結合(シンタリング)により一体化加工して作製した。一体化加工したフィルターを、回転円筒型脱水機のバスケットに装着できるよう加工(バスケットの直径は1524mm、深さは1020mm)して「フィルター1」を作製した。
表1に、上記で作製した本発明に係る「フィルター1」(本発明)、比較用として用意した不織布(岡田帆布株式会社製、通気量192ml/cm2・min)で作製した「フィルター2」の目開き等を示す。
Figure 0004179120
《トナーの製造》
〈トナー粒子分散液1の作製(乳化会合法の例)〉
(ラテックス(1HML)の調製)
(1)核粒子の調製(第一段重合)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコにアニオン系界面活性剤
式(101)
1021(OCH2CH22OSO3Na
7.08gをイオン交換水3010gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、フラスコ内の温度を80℃に昇温させた。
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(第一段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。これを「ラテックス(1H)」とする。
(2)中間層の形成(第二段重合)
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸6.2g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル5.6gからなる単量体混合液に離型剤として、下記式で表される化合物(以下、「例示化合物(19)」と云う。)98.0gを添加し、90℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
例示化合物(19)
CH3(CH220COOCH2C(CH2OCO(CH220CH33
一方、アニオン系界面活性剤(上記式(101))1.6gをイオン交換水2700mlに溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記「ラテックス(1H)」を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック株式会社製)により、前記例示化合物(19)の単量体溶液を8時間混合分散させて284nmの分散粒子径を有する乳化粒子(油滴)を含む分散液(乳化液)を調製した。
次いで、この分散液(乳化液)に、重合開始剤(KPS)5.1gをイオン交換水240mlに溶解させた開始剤溶液とイオン交換水750mlとを添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第二段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。これを「ラテックス(1HM)」とする。
前記「ラテックス(1HM)」を乾燥し、走査型電子顕微鏡で観察したところ、ラテックスに取り囲まれなかった例示化合物(19)を主成分とする粒子(400〜1000nm)が観察された。
(3)外層の形成(第三段重合)
上記の様にして得られた「ラテックス(1HM)」に、重合開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル10.4gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第三段重合)を行った後、28℃まで冷却しラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、前記中間層に例示化合物(19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(1HML)」とする。
この「ラテックス(1HML)」を構成する複合樹脂粒子は、138,000、80,000及び13,000にピーク分子量(重量)を有するものであり、また、この複合樹脂粒子の質量平均粒径は122nmであった。
(トナー粒子分散液の作製)
アニオン系界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)59.0gをイオン交換水1600mlに攪拌溶解し、この溶液を攪拌しながら、「C.I.ピグメントブルー15:3」420.0g徐々に添加し、次いで「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、「着色剤粒子の分散液」を調製した。
「ラテックス(1HML)」420.7g(固形分換算)と、イオン交換水900gと、「着色剤粒子の分散液」166gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物12.1gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を、攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を6〜60分間かけて90℃まで昇温し、会合粒子の生成を行った。その状態で、「コールターカウンター TA−II」(コルターカウンター株式会社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積平均粒径が6.4μmになった時点で、塩化ナトリウム80.4gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に熟成処理として液温度98℃にて2時間加熱攪拌することにより、粒子の融着を完結させた。
その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを4.5に調整し、「トナー粒子分散液1」を作製した。
〈トナー粒子の作製〉
上記で作製した「トナー粒子分散液1」を表1に記載の「フィルター」が装着された前記回転円筒型脱水機に液供給パイプから100L供給し、固液分離してトナーケーキを形成した。トナーケーキは回転円筒型脱水機内で洗浄水でかけ洗いし、脱水した後、機内に挿入されたスクレーパーにより掻き落し、機内から排出して容器に保管した。なお、目詰まりしたフィルターは下記のフィルターの再生方法により再生し、繰り返し使用した。
上記工程を繰り返し、フィルターを再使用して20ロットのトナーケーキを作製した。
上記で作製されたトナーケーキは「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業株式会社製)に少しずつ供給し、トナー粒子の水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー粒子1、3、4」を作製した。
〈トナー粒子の作製〉
トナー粒子は、図7の流量計が装着された回転円筒型脱水機「MARKIII 型式番号60×40」(松本機械株式会社製)に、表1に記載の「フィルター」をセットした装置を用い、上記で作製した「トナー粒子分散液1」を固液分離してトナーケーキを形成した。
固液分離は表2に記載の設定基準値を越えた時点で中断し、形成されたトナーケーキを回転円筒型脱水機内で水洗浄し、次で機内に挿入されたスクレーパーで掻き落し、機内から排出して容器に保管した。なお、目詰まりしたフィルターは下記のフィルターの再生方法により再生し、繰り返し使用した。
上記工程を繰り返し、フィルターを再使用して20ロットのトナーケーキを作製した。
上記で作製されたトナーケーキは「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業株式会社製)に少しずつ供給し、トナー粒子の水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー粒子1、3、4」を作製した。
《フィルターの再生》
トナーケーキを排出した後、前記回転円筒型脱水機に設置されている高圧ジェット再生装置のノズル(扇型)から高圧水(70×105Pa)を10分間噴射して、フイルターに目詰まりしたトナー微粒子や不純物を除去した。その後、前記ノズルからの熱風で回転円筒型脱水機全体を乾燥してフィルターの再生を完了した。
フィルターのライフ(繰り返し使用できるフィルターの再生回数(n回))は、固液分離スタート時の排出量が、フィルター新品の排出量の70%なった時点をとする。
〈トナーの作製〉
上記で作製した「トナー1、3、4」100質量部に、それぞれルチル型酸化チタン(体積平均粒径=20nm、n−デシルトリメトキシシラン処理)0.8質量部、球形単分散シリカ(ゾルゲル法で得られたシリカゾルにHMDS処理を行い、乾燥、粉砕処理を施した粒子径D50=127nm)1.8質量部を混合し、「ヘンシェルミキサー」(周速30m/s)(三井三池化工株式会社製)で15分間ブレンドを行った。その後、目開き45μmのフィルターを用いて粗粒を除去し、「トナー1、3、4」を作製して「実施例」および「比較例1、2」とした。
《現像剤の調製》
上記で作製した「トナー1、3、4」のそれぞれに、体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の「現像剤1、3、4」を調製した。
表2に、固液分離に用いたトナーとフィルター、固液分離を中断する設定基準、新品フィルターのスタート時の排出量、中断時の排出量、1回再生フィルターのスタート時の排出量、20回再生フィルターのスタート時の排出量を示す。
Figure 0004179120
《評価》
〈実写評価〉
電子写真方式を採用した市販の画像形成装置「コニカ9331」(コニカ株式会社製)の現像器に上記トナーと現像剤をセットしプリントを行い、下記の評価項目について評価を行った。なお、画像濃度は「マクベスRD−918型濃度計」(マクベス社製)を用いて行った。
(トナーブリスター)
トナーブリスター評価は、各トナーの2ロット目を用い、転写材上のトナー付着量が、1.6mg/cm2となるようプロセスを調整してプリント画像を形成した。
この画像に直径0.1〜0.5mm程度の穴、すなわちトナーブリスターがあるかどうかを顕微鏡を用いて観察し、評価した。
評価基準
◎ トナーブリスターが全く無く問題なし
○ 4cm2あたり1〜2個のトナーブリスターが存在するが、目視では凝視しなければ判らない程度のため実用上問題なし
× 4cm2あたり3個以上の明瞭なトナーブリスターが存在し実用上問題有り。
(トナーロット間の解像度ばらつき)
トナーロット間の解像度ばらつきは、各トナーの20ロットを同一のキャリアと画像形成装置で600dpi(dpiとは1インチ(2.54cm)あたりのドット数を表す)モードで画像をプリントし解像度のロット間ばらつきを評価した。
1mmあたり8.0本の白黒パターンを主走査方向で印字し、画像濃度において1mmあたり1本の周波数解析の基準ピーク値に対するサンプル周波数解析のピーク値を求め、以下の評価基準で評価した。
評価基準
◎ 基準ピーク値に対する比が50%未満であるバッチが無く優良
○ 基準ピーク値に対する比が50%未満であるバッチが1バッチ以上存在し、40〜50%であるバッチが2バッチ以下で良好
△ 基準ピーク値に対する比が50%未満であるバッチが1バッチ以上存在し、40〜50%であるバッチが8バッチ以下でかろうじて実用可能
× 基準ピーク値に対する比が50%未満であるバッチが1バッチ以上存在し、40〜50%であるバッチが8バッチ以上存在し、実用上問題有り。
〈洗浄水の使用量〉
洗浄水の使用量は、回転円筒型脱水機でトナーケーキを洗浄時、分離液(濾液)の電気伝導度が10μS/cmまで低下させるのに要した洗浄水の使用量を、回転円筒型脱水機に投入したトナー粒子分散液中のトナー粒子量に対する質量比(洗浄水使用量/回転円筒型脱水機に投入したトナー粒子分散液中のトナー粒子量)で評価した。
尚、電気伝導度の測定は「CM−10P」(東亜電波工業株式会社製)を使用して行った。
評価基準
◎ 10倍量未満は使用量が極めて少なく優良
○ 10〜30倍量は使用量が少なく良好
× 30倍量以上は使用量が多く、生産性が悪いため実用的でない。
表3に、解像度のロット間ばらつき、画像流れ、トナーブリスター、キャリア汚染、現像剤耐久性、洗浄水の使用量の評価結果を示す。
〈固液分離装置の時間稼働率〉
固液分離装置を稼働してトナー粒子生産している時間をトナーの水洗浄とフィルターの再生で装置が停止している時間(あるいは、フィルターを新品と交換している時間)と固液分離装置を稼働してトナー粒子生産している時間との和で割った値を固液分離装置の時間稼働率として評価した。
評価基準
◎ 時間稼働率が90%以上で生産性が優良
○ 時間稼働率が71〜89%で生産性が良好
× 稼働率が70%以下で生産性が悪いため実用的でない。
〈フィルターのライフ(使用可能回数または使用可能時間)〉
フィルターを高圧ジェット水で洗浄しても分散液の排出量が、フィルター新品の排出量と比較して70%に低下したとき、フィルターのライフとした。ライフの評価は、ライフに到達するまでのフィルターの再生回数(時間)で行った。
◎ 再生回数が101回以上でフィルターのライフが特に長く優良
○ 再生回数が100〜51回でフィルターのライフが長く優良
△ 再生回数が50〜20回でフィルターのライフが長く良好
× 再生回数が19回以下でフィルターのライフが短く実用的でない。
表3に、トナーブリスター、解像度のロット間ばらつき、洗浄水の使用量、固液分離装置の時間稼働率、フィルターのライフの評価結果を示す。
Figure 0004179120
表3から明らかなように、本発明のトナー製造方法で作製した「トナー」は比較例の「トナー3、4」と比較して、トナーリスターの発生が少なく、解像度のロット間ばらつきが少なく、長期間安定して良好な画像を得ることができ、且つ洗浄水の使用量も少なく、固液分離の時間稼働率も高く、フィルターのライフも長く優れた効果を有する。
本発明に係るフィルターの一例を示す概略図である。 フィルターの内部にトナー粒子が入り込んだ状態で固液分離を行う従来タイプのフィルターの一例を示す概略図である。 メッシュを有するフィルターの一例を示す概念図と断面図である。 スクリーンを有するフィルターの一例を示す概念図と断面図である。 多孔質部材を有するフィルターの一例を示す概念図と断面図である。 プレートを有するフィルターの一例を示す概念図と断面図である。 本発明に係るトナー製造プロセスの一例を示す図である。 流量計により分離液の排出量を管理したときの一例を示すトナー粒子製造の管理チャートである。 フィルターの目詰まり状態を検知する検知装置として、分離液の排出量を検知する「流量計」が設置された固液分離とフィルターの再生を行う回転円筒型脱水機の一例を示す断面図である。 本発明に好ましく用いられるトナー製造方法の一例を示す製造フロー図(製造プロセス図)である。 本発明により好ましく用いられるトナー製造方法の一例を示す製造フロー図(製造プロセス図)である。
符号の説明
301 本体
302 バスケット
303 バスケット回転装置
304 トナーケーキを水洗浄
305 液の供給パイプ
306 フィルター再生装置
307 再生用高圧ジェット水ノズルヘッド
308 分離液の排出口
309 フィルター
310 トナーケーキ排出口
401 流量計
601 洗浄水供給パイプ
704 回転円筒型脱水機

Claims (2)

  1. 水系媒体中または有機溶媒中で形成したトナー粒子を含有するトナー粒子分散液を、フィルターを用いて固液分離する工程を有するトナー製造方法において、該フィルターによりトナー粒子によって形成された固液分離面で固液分離を行う工程と、該フィルターを高圧ジェット流、ブラシ、超音波、洗浄剤、ブラストによるフィルター再生方法のうちいずれかを用いて再生する工程とを有することを特徴とするトナー製造方法。
  2. 前記フィルターを再生する工程では、高圧ジェット流、ブラシ、超音波、洗浄剤、ブラストによるフィルター再生方法のうち少なくとも2つ以上を組み合わせてフィルターの再生を行うことを特徴とする請求項1に記載のトナー製造方法。
JP2003331194A 2003-02-04 2003-09-24 トナー製造方法 Expired - Fee Related JP4179120B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003331194A JP4179120B2 (ja) 2003-02-04 2003-09-24 トナー製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003026989 2003-02-04
JP2003331194A JP4179120B2 (ja) 2003-02-04 2003-09-24 トナー製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004258609A JP2004258609A (ja) 2004-09-16
JP4179120B2 true JP4179120B2 (ja) 2008-11-12

Family

ID=33133653

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003331194A Expired - Fee Related JP4179120B2 (ja) 2003-02-04 2003-09-24 トナー製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4179120B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004258609A (ja) 2004-09-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4179120B2 (ja) トナー製造方法
JP4360171B2 (ja) トナー製造方法
JP4385723B2 (ja) トナー製造方法
JP4189511B2 (ja) トナー製造方法
JP4179113B2 (ja) トナー製造方法
JP5444890B2 (ja) 重合トナーの製造方法
JP4466398B2 (ja) トナー乾燥方法、トナー乾燥装置
JP2005156937A (ja) トナー製造方法
JP2005141048A (ja) トナー製造方法
JP4193632B2 (ja) トナー製造方法
JP2005128285A (ja) トナー製造方法
JP2005091985A (ja) トナー製造方法
JP4172365B2 (ja) トナー製造方法
JP4089586B2 (ja) トナー製造方法
JP4134855B2 (ja) トナー製造方法
JP4225144B2 (ja) トナー製造方法
JP4189510B2 (ja) トナー製造方法
JP4552372B2 (ja) 水平ベルト式真空濾過装置を用いたトナーの製造方法
JP3684075B2 (ja) 重合トナー粒子の製造方法
JP4003495B2 (ja) トナーの製造方法
JP5151427B2 (ja) トナー粒子の製造に際し生じる樹脂微粒子を含む粉体の粉体除去装置
JP2007156124A (ja) 固気分離フィルターの清掃方法及びそれを使用したトナー粒子の製造方法
JP2018101071A (ja) トナーの製造装置
JP2010224527A (ja) 静電荷像現像用トナーの製造方法
JP2018066826A (ja) 金属含有微粒子、及び金属含有微粒子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060207

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080115

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080227

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080401

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080528

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20080710

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080805

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080818

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110905

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120905

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130905

Year of fee payment: 5

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees