JP4178640B2 - 車両の前照灯制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の前照灯制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近の車両の中には、光量が高いレベルの(明るい)前照灯を装備した車両が増加する傾向にあり、特にディスチャージ式(HID式)の前照灯を装備した車両においては光量が極めて高くなる。前照灯の光量が高くなることは、自車両の運転者にとっては視認性の点で有利な反面、照射をまともに受けた歩行者や対向車両の運転者に対しては眩しさを従来以上に大きく与えてしまうことになる。このような眩しさを与えることを防止あるいは低減するため、特開平7−101291号公報には、対向車両を検出したときに、前照灯の光量を低下させるように制御するものが開示されている。また、特開平7−69125号公報には、対向車両を検出したときは、照射方向を変更するものが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近では、安全性の向上、特に歩行者に対する安全性ということが強く要請されている。このため、自車両の前方にいる前方歩行者を運転者が明確に認識すること、つまり前方歩行者を明確に視認できるようにすることが強く望まれることになる。このような観点から、前述したような光量の高いレベルの前照灯を用いることが考えられるが、この場合、光量の高い前照灯に照射された前方歩行者が眩しさを強く感じてしまうことになり、この点において何らかの対策が望まれることになる。
【0004】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、前方歩行者に対して眩しさを与えてしまうことを防止しつつ、この前方歩行者を運転者が明確に視認できるようにした車両の前照灯制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明はその第1の解決手法として次のようにしてある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
可視光線を車体前方へ向けて照射する第1前照灯と、
紫外線を車体前方へ向けて照射する第2前照灯と、
自車両の前方に存在する前方歩行者を検出する歩行者検出手段と、
を備え、
前記歩行者検出手段によって前方歩行者が検出されていないときは、前記第2前照灯が消灯される、
うにしてある。
【0006】
前記目的を達成するため、本発明はその第2の解決手法として次のようにしてある。すなわち、特許請求の範囲における請求項2に記載のように、
可視光線を車体前方へ向けて照射する第1前照灯と、
紫外線を車体前方へ向けて照射する第2前照灯と、
自車両の前方に存在すると共に、自車両に向かう方向に進行している前方進行歩行者を検出する歩行者検出手段と、
を備え、
前記歩行者検出手段によって前方進行歩行者が検出されていないときは、前記第2前照灯が消灯される、
うにしてある。
【0007】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項3以下に記載のとおりである。
【0008】
【発明の効果】
請求項1、請求項2によれば、紫外線が前方歩行者の衣服に反応してこの前方歩行者を明瞭に浮き上がらせるので、運転者から前方歩行者を明確に認識することができる。この一方、紫外線を受けても前方歩行者は何ら眩しさを感じることはない。そして、前方歩行者を明確に視認できるようにするために可視光線の光量をいたずらに上げることも不用となり、可視光線により前方歩行者へ眩しさを与えてしまうことも防止される。
以上に加えて、請求項1によれば、実際に前方歩行者が検出されていないときは、第2前照灯を消灯させて、エネルギの無駄な消費を防止する上で好ましいものとなる。また、請求項2によれば、前方歩行者が眩しさを感じかつ自車両の運転者にとって危険防止のために特に注視するのが、前方歩行者が自車両に向かってくるときであるが、このような自車両に向かって進行してくる前方歩行者が実際に検出されていないときは第2前照灯を消灯して、エネルギの無駄な消費を防止する上で好ましいものとなる。
【0009】
請求項によれば、特に、車体前方のうち、車幅方向外側の領域、つまり歩行者の存在可能性が高い領域となる歩道等の車線境界付近での前方歩行者を明確に認識することができる。
請求項によれば、請求項に対応した効果と同様の効果を得ることができる。
【0010】
請求項によれば、左右方向つまり車幅方向のうち法定走行側(左走行が義務付けられている国では左側)寄りの歩道等にいる前方歩行者を明確に認識する上で好ましいものとなる。また、第2前照灯の数を極力少なくする上でも好ましいものとなる。
請求項によれば、請求項5に対応した効果と同様の効果を得ることができる。
【0011】
求項によれば、第1前照灯によって、歩道等車線との境界付近にいる歩行者を上下方向ほぼ全体に渡って照射できるようにして極力その視認性を高めつつ、第2前照灯をも利用して、上記境界付近にいる歩行者を眩しさを与えることなくより明確に視認することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、自車両としての車両1を示し、その前照灯として、それぞれ可視光線を車体前方へ向けて照射する第1前照灯としての左右のロービーム用前照灯2R、2Lと、左右のハイビ−ム用前照灯3R、3Lとを有するが、以下の説明で特に左右を区別する必要のないときは、R、Lの符号を付することなく2あるいは3の符号のみをもって示すこととする。前照灯として、さらに、紫外線を車体前方へ向けて照射する第2前照灯としてのUVライト9を有する。車両1の前面にはレーダ4が装備されると共に、レ−ダ4後方の高い位置となるルーフ前端部にはカメラ8が装備されている。このレ−ダ4およびカメラ8を利用して、前方の物体までの距離や、物体形状、物体の方向等が検出される。車両1における前照灯2の制御に関する制御系統が、図2に示され、図2中、Uはマイクロコンピュ−タを利用して構成されたコントロ−ラ、5は道路情報を検出するナビゲ−ション、7は車速センサである。なお、上記カメラ8は、ロービーム用前照灯2の照射範囲をカバーできるようにその撮像範囲が設定されている。
【0013】
図4は、ロービーム用前照灯2の照射範囲をその配光パターンを含めて示すものであり、自車両1の運転者から前方を目視したときの様子に対応する。この図4において、21は対向車両、22は歩行者であり、23は自車両1の走行車線であり、走行車線の歩道側寄りの区分線(境界線)が符号23Lで示される。左右の前照灯2L、2R共に、左右のうち法定走行側(実施形態では、左側走行が義務づけられている国に対応して左側)が、部分的に照射範囲が高くなるように設定されている。
【0014】
右前照灯2Rについては、その光量は、左右方向において相違ないように設定されている。これに対して法定走行側となる左前照灯2Lについては、上述の照射範囲が部部的に高くされた左側部分のみ、つまり歩行者22寄りの部分が、他の部分よりも光量が小さくなるように設定されている。そして、UVライト9の照射範囲が、上記左前照灯2Lの部分的に光量が低くされた部分およびその付近のみを照射するように設定されている。このように、UVライト9の照射範囲は、自車両1の車体中心軸線よりも車幅方向外側寄り(前述のように法定走行側)のみを照射するように設定されている。なお、可視光線を照射する前照灯のうち少なくともロービーム用の前照灯2は、光量の極めて高いディスチャージ式とされている。また、ハイビーム用前照灯3の照射範囲および配光パターンは、従来と同様に設定されている。
【0015】
コントロ−ラUによる前照灯制御の一例について、図5のフロ−チャ−トを参照しつつ説明するが、この図5の制御は、ロービーム用前照灯2が点灯されたときに実行される。まず、Q(ステップ−以下同じ)1において、レ−ダ4等からの情報が入力された後、Q2において、現在走行している道路が自動車専用道路であるか否かが判別される。このQ2の判別でYESのときは、Q8において、UVライト9が消灯される。
【0016】
Q2の判別でNOのときは、Q3において、歩行者(自車両1の前方にいる前方歩行者)の検出が行われる。この歩行者の検出は、実施形態では、レ−ダ4およびカメラ8の両方を用いて行うようにしてあるが、いずれか一方のみにより検出することもできる。歩行者であるか否かは、図4に示すように、例えば検出物体の高さと幅との比が所定範囲であるか否かをみることによって検出することができる。Q3の後、Q4において、前照灯2の照射範囲(所定以上の光量が到達する距離範囲)に歩行者がいるか否かが判別される。このQ4の判別でNOのときは、前述のQ8に移行する。
【0017】
Q4の判別でYESのときは、Q5において、自車両1に対向している(向いている)歩行者であるか否かの検出が行われる。この検出は、例えば自車両1に対する検出歩行者の相対速度の変化をみることによって、行うことができる。Q6では、自車両1に向かってくる歩行者が存在するか否かが判別される。このQ6の判別でNOのときは、Q8に移行される。Q6の判別でYESのときは、UVライト9が点灯される。このように、実施形態では、自車両1の前照灯2から照射される可視光線によって眩しさをうける可能性のある歩行者を検出したときのみ、UVライト9が点灯されるようになっている。
【0018】
以上実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば次のような場合をも含むものである。まず、前照灯2は、その照射範囲全てについて同じような光量となるように設定してもよく(UVライト9については図3に示す実施形態のような照射範囲設定)、この場合、UVライト9による歩行者の視認性向上が得られるので、前照灯2の光量設定は図3の実施形態の場合よりも低くすればよい。
【0019】
UVライト9の照射範囲を、前照灯2の照射範囲とほぼ同じとなるように設定することもできる。また、前照灯2の照射範囲(領域)を車体中心軸線を含む左右所定幅範囲とする一方、UVライト9の照射範囲をこの前照灯2の照射範囲と殆ど重ならないような左右外側の領域のみとすることもできる。法定走行側とは反対側の領域についても、UVライト9で部分的に照射するようにすることもできる(図3のUVライト9による照射領域を、右側にも設定する)。UVライト9を、前照灯2が点灯されていることを前提として、常時点灯させておくこともできる。フロ−チャ−トに示す各ステップあるいはセンサやスイッチ等の各種部材は、その機能の上位表現に手段の名称を付して表現することができる。また、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。さらに、本発明は、制御方法として表現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車両の一例を示す斜視図。
【図2】本発明の制御系統をブロック図的に示す図。
【図3】本発明の一実施形態を示すもので、可視光線と紫外線とによる照射状態を模式的に示す図。
【図4】歩行者検出の一例示す図。
【図5】本発明の制御例を示すフロ−チャ−ト。
【符号の説明】
1:自車両
2(2R、2L):ロービーム用前照灯(第1前照灯)
4:レ−ダ
5:ナビゲ−ション
8:カメラ
9:UVライト(第2前照灯)
21:対向車両
22:歩行者
23L:車線の法定走行側の境界線

Claims (7)

  1. 可視光線を車体前方へ向けて照射する第1前照灯と、
    紫外線を車体前方へ向けて照射する第2前照灯と、
    自車両の前方に存在する前方歩行者を検出する歩行者検出手段と、
    を備え、
    前記歩行者検出手段によって前方歩行者が検出されていないときは、前記第2前照灯が消灯される、
    ことを特徴とする車両の前照灯制御装置。
  2. 可視光線を車体前方へ向けて照射する第1前照灯と、
    紫外線を車体前方へ向けて照射する第2前照灯と、
    自車両の前方に存在すると共に、自車両に向かう方向に進行している前方進行歩行者を検出する歩行者検出手段と、
    を備え、
    前記歩行者検出手段によって前方進行歩行者が検出されていないときは、前記第2前照灯が消灯される、
    ことを特徴とする車両の前照灯制御装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記第2前照灯による紫外線の照射領域が前記第1前照灯により照射される照射領域よりも車幅方向外側に設定されている、ことを特徴とする車両の前照灯制御装置。
  4. 請求項1または請求項2において、
    記第1前照灯の光量が、車体中心軸線を含む第1照射領域では大きく設定されると共に、該第1照射領域の左右外側に設定される第2照射領域では小さくなるように設定され、
    前記第2前照灯が、前記第2照射領域を照射するように設定されている、
    ことを特徴とする車両の前照灯制御装置。
  5. 請求項1または請求項2において、
    前記第2前照灯の照射領域が、車体中心軸線を境として、左右のうち法定走行側のみとなるように設定されている、ことを特徴とする車両の前照灯制御装置。
  6. 請求項において、
    光量が小さくされる前記第2照射領域が、車体中心軸線を境として、左右のうち法定走行側のみに設定されている、ことを特徴とする車両の前照灯制御装置。
  7. 請求項1または請求項2において、
    前記第1前照灯が、左右のロービーム用とされ、
    前記左右の第1前照灯のうち少なくとも法定走行側にある一方の第1前照灯の配光パターンが、左右のうち該法定走行側の方が反対側よりも高い位置までを照射するように設定され、
    前記一方の前照灯の光量が、前記高い位置までを照射する前記法定走行側が反対側に比して小さくなるように設定され、
    前記第2前照灯が、前記第1前照灯による照射領域のうち光量が小さくされる領域およびその付近のみを照射するように設定されている、
    ことを特徴とする車両の前照灯制御装置。
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