JP4178485B2 - スパッタリングターゲット用酸化ガリウム粉末およびその製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性薄膜を製造するために利用されるスパッタリングタ−ゲット材等の高密度焼結体に用いられる酸化ガリウム粉末およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来技術としては、まず金属ガリウムを硝酸で溶解し、これをアンモニア水(NH 4 OH)で中和する。そして、この中和によって生じた沈積物(水酸化ガリウム)を、ろ過、洗浄、乾燥する。次いで、得られた水酸化ガリウムをバイ焼し、酸化ガリウム粉末を得ることが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の従来技術で得られた酸化ガリウム粉末は、水酸化物の乾燥時に二次凝集が起こるので、諸特性(平均粒径、粒度分布、見掛密度等)のバラツキが比較的大きくなり、この粉末を用いて、スパッタリングタ−ゲット用の焼結体を作製した場合、85〜92%程度の密度は得られるものの、この焼結体からなるスパッタリングタ−ゲットを使用しての高速スパッタリング条件下では、タ−ゲットの割れ発生が生じ易く、またノジュ−ルの発生量が多くショ−トが多発する等のため安定した成膜が出来なく、利用効率も悪いという問題があった。
【0004】
しかし、近年増々高速スパッタリングが利用され、スパッタリング中での、より安定した放電が、良質の導電性薄膜生成に必要とされ、そのためには、スパッタリングタ−ゲットに用いられる焼結体の更なる高密度化と、高速スパッタリング条件下での、タ−ゲット使用時における強度が要請されて来ており、上述の従来技術では十分に対応することが出来ないのが現状である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者等は、上記事情を解決すべく鋭意研究開発に努めた結果、酸化ガリウム粉末を得るための焼前物質である水酸化ガリウムを製造する際に、従来の如き“中和法”でなく“電解法”を用いることにより、最終的に得られる酸化ガリウム粉末の諸特性は向上し、高密度、高強度のスパッタリングタ−ゲット用焼結体が製造可能になるとの知見を得たのである。
【0006】
本発明は、上記の知見に基づいて得られたものであって、請求項1に記載の発明は、金 属ガリウムを陽極とし、硝酸アンモニウム水溶液または塩化アンモニウム水溶液を電解液とした電解において、この電解液の浴温が30℃以下で、電解されることにより得られた水酸化ガリウムを、仮焼して得ることを特徴とするスパッタリングターゲット用酸化ガリウム粉末である。
請求項2に記載の発明は、平均粒径が0.2〜1.5μmである請求項1に記載のスパッタリングターゲット用酸化ガリウム粉末である。
請求項3に記載の発明は、金属ガリウムを陽極とし、硝酸アンモニウム水溶液または塩化アンモニウム水溶液を電解液とした電解において、この電解液の浴温が30℃以下で、電解することにより水酸化ガリウムを得る工程と、この電解により得られた水酸化ガリウムを仮焼して平均粒径0.2〜1.5μmの酸化ガリウムの粉末を得る工程とを含むスパッタリングターゲット用酸化ガリウム粉末の製造方法である。
【0007】
本発明により得られた酸化ガリウム粉末は、微細な一次粒子の凝集体からなる整寸の角の取れた二次粒子からなる粉末で、二次粒子の粒径は、比較的狭い粒度分布内におさまっている。該粉末は、特に流動性に優れているため、例えば、ZnO粉末と混合して焼結体を作製した場合も均一分散性に優れ、成形した成形体の密度は高く、焼成後の焼結体も高密度が得られ、かつ機械的強度も高く、この焼結体を用いて得られたスパッタリングタ−ゲットは、高速スパッタリング条件下でも割れ等の現象は見られず、ノジュ−ルの発生も少なく、タ−ゲット密度も93%以上となり、利用効率(歩留)も向上し、良質の導電性薄膜を成膜出来る。
【0008】
【本発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
冷却システムを有する電解槽中で、例えば硝酸アンモニウムまたは塩化アンモニウム水溶液を電解液として、その濃度が0.5〜3mol/L、そして浴温が30℃以下の条件で、金属ガリウムを陽極として、電流密度が300〜700A/m2となる範囲で制御して電解した。電解槽底の沈積物をろ過、洗浄および乾燥し、水酸化ガリウムを得た。
次に、これを500〜1100℃でバイ焼し、所望の酸化ガリウム粉末を得ることが出来る。得られた酸化ガリウムは、大部分のものが、平均粒径0.2〜1.5μmの範囲にはいっていた。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、具体的に説明する。
[実施例1]
冷却システムを有する電解槽中で、硝酸アンモニウム水溶液を電解液として、その濃度が1.5mo1/L、そして浴温を25℃に保って、金属ガリウムを陽極として、電流密度を600A/m2に制御して電解した。電解槽底の沈積物をろ過、洗浄および乾燥し、水酸化ガリウムを得た。
次に、これを600℃でバイ焼し、酸化ガリウム粉末を得ることが出来た。得られた酸化ガリウム粉末を、電子顕微鏡で観察したところ、本発明の酸化ガリウムである個々の粉末は、図1に見られる様に、縦:約1〜1.5μm、横:約0.8μmの長方体状で、角が丸味を帯びた二次粒子で、その内部は、微細な一次粒子の凝集体から構成されていることが判明した。また上記二次粒子は、比較的整寸の粉未粒子であった。また、(マイクロトラック)レ−ザ回折法により粒度分布を測定したところ、可成り狭い分布を示した(図3参照)。平均粒径は、1μmであった。
【0010】
[実施例2]
冷却システムを有する電解槽中で、塩化アンモニウム水溶液を電解液として、その濃度が2mo1/L、そして浴温を25℃に保って、金属ガリウムを陽極として、電流密度を700A/m2に制御して電解した。電解棺底の沈積物をろ過、洗浄および乾燥し、水酸化ガリウムを得た。
次に、これを600℃でバイ焼し、酸化ガリウム粉末を得た。得られた酸化ガリウム粉末を、電子頭微鏡で観察したところ、実施例1と同様な粉末粒子であった。また(マイクロトラック)レ−ザ法により粒度分布を測定したところ、実施例1と同様に、可成り狭い分布を示した。また平均粒径は、1.2μmであった。
【0011】
(比較例)
比較のため、従来法として金属ガリウムを硝酸に溶解し、2mo1/Lの濃度の硝酸ガリウム水溶液を得、これをアンモニア水(NH 4 OH)で中和し、中和により生じた沈積物(水酸化ガリウム)を、ろ過、洗浄、乾燥した。得られた水酸化ガリウムを600℃でバイ焼し酸化ガリウム粉末を得た。得られた酸化ガリウム粉末を、電子顕微鏡で観察したところ、図2に見られる様に、約1μm径以下の微粉末の凝集・分散した粉末であった。また、(マイクロトラック)レ−ザ法により粒度分布を測定したところ、可成り広い範囲の分布を示した(図4参照)。平均粒径は、50μmであった。
【0012】
上記の実施例1、2および比較例で得られた酸化ガリウム粉末を夫々用いて、夫々、市販の平均粒径1μmのZnO粉末と混合して、ZnO(94wt%)−G a 2 O 3 (6wt%)組成の混合粉末を作製し、これらの粉末を用いて、圧力:5ton/cm2でプレス成形し、これらを1500℃、7時間、夫々空気中で焼成し、φ:20cmの夫々の焼結体を得た。得られた焼結体の密度は、実施例1の酸化ガリウム粉末を用いたものでは、94.8%で、実施例2の酸化ガリウム粉末を用いたものでは、94.5%であった。一方、比較例の場合では、91.8であった。これらの焼結体を夫々台金にロ−付し、夫々スパッタリングタ−ゲットを製造した。得られた焼結体を、タ−ゲットとして用いて、DCマグネトロンスパッタリング法で成膜を行なったところ、実施例1.2で得られた本発明の酸化ガリウム粉末を用いたものは、いずれも割れ発生は見られず、所望の成膜が出来、ショ−トの原囚となるノジュ−ルが発生せず、長時間にわたって安定な導電性薄膜が得られた。また得られた透明導電膜のシ−ト抵抗や透光性の諸特性を調査したところ、導電性薄膜用としても十分に加熱でき、満足できる結果を示すことが確認された。
しかし、比較例の従来法で得られた酸化ガリウム粉末を用いたものは、割れ発生が見られ所望の成膜が出来なかった。
【0013】
【発明の効果】
上述の如く、本発明で得られた焼結性に優れた酸化ガリウム粉末は、高密度で、かつ高強度の焼結体を形成することが可能で、このためスパッタリングタ−ゲット用の焼結体として利用した場合、ノジュ−ルの発生が少なく、高速スパッタリング条件で、優れた性能を示し、従来法のものより安定した成膜が可能であり、関連分野で貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の焼結性に優れた酸化ガリウム粉末の電子顕微鏡写真。
【図2】 従来法による酸化ガリウム粉末の電子顕微鏡写真。
【図3】 本発明の焼結性に優れた酸化ガリウム粉末のマイクロトラック法による粒度分布結果。
【図4】 従来法による酸化ガリウム粉末のマイクロトラック法による粒度分布結果。
Claims (3)
- 金属ガリウムを陽極とし、硝酸アンモニウム水溶液または塩化アンモニウム水溶液を電解液とした電解において、この電解液の浴温が30℃以下で、電解されることにより得られた水酸化ガリウムを、仮焼して得ることを特徴とするスパッタリングターゲット用酸化ガリウム粉末。
- 平均粒径が0.2〜1.5μmである請求項1に記載のスパッタリングターゲット用酸化ガリウム粉末。
- 金属ガリウムを陽極とし、硝酸アンモニウム水溶液または塩化アンモニウム水溶液を電解液とした電解において、この電解液の浴温が30℃以下で、電解することにより水酸化ガリウムを得る工程と、
この電解により得られた水酸化ガリウムを仮焼して平均粒径0.2〜1.5μmの酸化ガリウムの粉末を得る工程とを含むスパッタリングターゲット用酸化ガリウム粉末の製造方法。
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JP13320998A JP4178485B2 (ja) | 1998-05-15 | 1998-05-15 | スパッタリングターゲット用酸化ガリウム粉末およびその製造方法 |
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