JP4178208B2 - パチンコ機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は遊技システムおよびパチンコ機に関し、所定のタイミングにおいて所定領域に入賞または通過したパチンコ球の数が所定数を超えた場合における処理技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のパチンコ機では、パチンコ球が所定領域に入賞または通過すると、遊技盤面に設けられている図柄表示装置に図柄を変動して表示させ始める。上記所定領域には、ゲート等の特定領域や、特定の入賞口等がある。そして、図柄が変動を始めた後、しばらくしてから停止して表示された図柄が当たり図柄と一致すれば、「大当たり」として遊技者に有利な遊技状態に変更する。すなわち、大入賞口を一定期間だけ開放する等を行う。こうして、一定条件下で遊技者に特別の利益を提供している。ところで、一般的なパチンコ遊技場(ホール)では、数十台〜数百台のパチンコ機の動向をホールコンピュータに集中させてホール管理を行なっている。そのため、各パチンコ機からホールコンピュータに、図柄表示装置が作動する図柄作動信号や、「当たり」が発生したことを示す利益発生信号等の各種信号が送られている。したがって、各パチンコ機について、これらの図柄作動信号や利益発生信号等の各種信号の発生回数に基づいて釘調整等を行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、パチンコ球が所定領域を通過または入賞しても、法律の規定により所定数(例えば、4)を超えてカウントされず、その入賞による役物(あるいは表示装置等)の作動は無効となる。そのとき、パチンコ機は実際にパチンコ球がゲート等の特定領域を通過しやすいのか、あるいは特定の入賞口に入賞しやすいのかを確実に把握することができなかった。一方、遊技者にとっては、せっかくパチンコ球が所定領域を通過または入賞しても、その入賞による役物(あるいは表示装置等)の作動が無効とされる。そのため、遊技意欲が減退する原因となっていた。本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、所定のタイミングにおいてパチンコ球が上記所定数を超えて所定領域を通過または入賞した場合には、そのパチンコ球の数をカウントして一定条件下で遊技者に有利な状態に遊技状態を変更し、遊技者に遊技意欲を向上させることである。
【0004】
【0005】
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【課題を解決するための第の手段】
請求項に記載の発明は、パチンコ球が入賞または通過する所定領域と、該所定領域に入賞または通過したパチンコ球を検出する検出手段と、該検出手段からの検出出力に基づいて図柄を変動する図柄表示装置と、該図柄表示装置の変動停止時に表示される図柄が当り図柄である場合に所定の態様で開放される入賞装置と、前記図柄表示装置の変動中に前記検出手段で検出したパチンコ球を所定個数まで加算記憶すると共に前記図柄表示装置の変動毎に減算記憶する入賞記憶手段と、を備えたパチンコ機において、前記検出手段によって検出されたパチンコ球の数が前記入賞記憶手段で記憶される所定個数を超えた場合には、その超過したパチンコ球の数をあふれ値として記憶するあふれ球記憶手段と、該あふれ球記憶手段に記憶されているあふれ値が存在し且つ前記入賞記憶手段の記憶値が前記所定個数よりも小さな個数であるときに、前記図柄表示装置の変動時間を所定の変動回数にわたって短縮する変動時間短縮手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明によれば、図柄表示装置の変動中にパチンコ球が所定数を超えて所定領域を入賞または通過すると、その超過したパチンコ球の数があふれ値としてあふれ球記憶手段に記憶され、その記憶値が存在し且つ入賞記憶手段の記憶値が前記所定個数よりも小さな個数であるときに、前記図柄表示装置の変動時間を所定の変動回数にわたって短縮する。こうして図柄表示装置の変動時間が遊技者にとって有利な状態に変更されるので、遊技者は有利な遊技状態が得られるという期待感を持たせることができる。そのため、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
【0014】
【課題を解決するための第の手段】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載のパチンコ機において、前記変動時間短縮手段は、前記あふれ球記憶手段に記憶されているあふれ値の値に応じて前記図柄表示装置の変動時間を変化させるものであることを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明によれば、あふれ値に応じた変動時間となるため、遊技者の遊技意欲をさらに向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここで、実施の形態1〜3は、請求項1に係る発明の前提となる実施態様であり、実施の形態4は請求項1,2を具体化した実施態様である。また、実施の形態〜7は請求項1に係る発明に類似する発明を具体化した実施態様である。これらの実施の形態のうち、実施の形態1〜6は、特別図柄表示装置に特別図柄が変動して表示されている間に、あふれ球が生じた場合の処理方法を示す。また、実施の形態7は、普通図柄表示装置に普通図柄が変動して表示されている間に、あふれ球が生じた場合の処理方法を示す。なお、各実施の形態において「あふれ球」とは、図柄表示装置(特別図柄表示装置,普通図柄表示装置等)に図柄が変動して表示されている間に、所定領域(第1種始動口,ゲート等)に所定数(例えば、4個)を超えて入賞または通過したパチンコ球のことである。また、「あふれ値」とは「あふれ球」の数である。
【0017】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1について、図1〜図7を参照しながら説明する。ここで、図1にはパチンコ機10の外観を示す正面図を示し、図3には同じく裏面図を示す。図2にはパチンコ機10の遊技盤面12に設けられている複合装置14の構成を示す。図4はパチンコ機10に備えられているメイン制御部100および枠制御部300と、パチンコ遊技場に備えられているホールコンピュータ200とについて、それぞれの構成をブロック図で示す。図5は、あふれ値の処理を実現するフローチャートである。図6,図7には、データ表示装置220に表示されるあふれ値の例を示す。
【0018】
パチンコ機10の表面側について、図1を参照しながら説明する。図1において、パチンコ機10の遊技盤面12には、複合装置14、ランプ類16、第1種始動口18、大入賞口20等が適宜に配置して設けられている。ここで、複合装置14には、図2に示すように、普通図柄表示装置46、特別図柄表示装置50、普通図柄メモリランプ44、特別図柄メモリランプ48、ゲート42,52、特定領域センサ40,54等が設けられている。ここで、第1種始動口18やゲート42,52は、所定領域を具体化したものである。第1種始動口18は通常の入賞口と同様に作用し、賞品球が払い出される。一方、ゲート42,52は、矢印D2のようなパチンコ球の通過を特定領域センサ40,54が検出するだけで、賞品球は払い出されない。また、始動口センサ32や特定領域センサ40,54は、検出手段を具体化したものである。さらに、特別図柄表示装置50,普通図柄表示装置46,データ表示装置220は、表示手段を具体化したものである。そして、役物36,特別図柄表示装置50,普通図柄表示装置46は、特別装置を具体化したものである。
【0019】
普通図柄表示装置46には普通図柄が表示される。この普通図柄はパチンコ球がゲート42,52を通過したときに変動が始まり、普通図柄変動期間(例えば、30秒間)を経過した後に停止する。もし普通図柄変動期間中に、ゲート42,52をパチンコ球が通過すると、その数に対応して普通図柄メモリランプ44が点灯する。この普通図柄メモリランプ44には電球やLED等が用いられる。そして、普通図柄が変動を停止すると普通図柄メモリランプ44が消灯するとともに次の変動を始める。特別図柄表示装置50には特別図柄(例えば、絵柄や英数字)等が表示される。このうち特別図柄は、図1に示す第1種始動口18にパチンコ球が入賞したときに変動が始まり、特別図柄変動期間(例えば、20秒間)を経過した後に停止する。もし特別図柄変動期間中に、第1種始動口18にパチンコ球が入賞すると、その数に対応して特別図柄メモリランプ48が点灯する。この特別図柄メモリランプ48には電球やLED等が用いられ、その後に特別図柄が変動して停止するごとに1個ずつ消灯する。以下、本明細書では簡単のために、普通図柄,特別図柄,後述するサービス図柄には英数字を用いた例について説明する。したがって、これらの図柄には、英数字以外に絵柄(例えば、キャラクタ,果物,動物の絵)等を任意に選択し、あるいはこれらを組み合わせて用いてもよい。また、図柄表示装置に同時に表示する図柄の個数(桁数)も、本明細書で示す個数に限らず、任意の個数で表示してもよい。
【0020】
図1に戻って、第1種始動口18には、始動口センサ32と役物36とが設けられている。始動口センサ32はパチンコ球の通過を検出し、チューリップ状の役物36はソレノイド34によって開閉される。役物36が閉じた状態でも破線で図示するようにパチンコ球が通過可能な程度の隙間があり、役物36が開いている状態でなくても入賞可能になっている。大入賞口20には蓋20aが備えられており、この蓋20aはソレノイド30によって開閉される。また、大入賞口20にはVゾーン20bが特別の入賞口として設けられており、このVゾーン20bに一定の時期に入賞すれば大当たり状態を一定制限内で継続することができる。遊技盤面12以外では、効果音や音楽等を出すスピーカ26と、遊技者の手がハンドル22に触れているか否かを検出するタッチセンサ24と、ガラス枠17が開かれた否かを検出する金枠センサ38とが設けられている。スピーカ26は賞品球の受皿である上皿28の内部に設けられ、タッチセンサ24や金枠センサ38はそれぞれ所定の位置に設けられている。また、ランプ類16には電球やLED等が用いられ、図示した位置には限らずパチンコ機10の遊技内容等に合わせて適切な位置に配置される。
【0021】
次に、パチンコ機10の裏面側について、図3を参照しながら説明する。図3において、パチンコ機10の裏面側にはホールコンピュータ200等の外部装置と電気的に接続するための端子60,62が設けられている。端子60は、枠制御部300から出力される信号を外部装置に伝達するための端子である。端子62は、メイン制御部100からコネクタ66を介して出力される信号を外部装置に伝達するための端子である。
【0022】
次に、メイン制御部100,ホールコンピュータ200,枠制御部300の構成について、図4を参照しながら説明する。まずメイン制御部100は主にパチンコ遊技の制御を行い、CPU(プロセッサ)110,ROM112,RAM114,入力処理回路102,図柄表示制御回路104,出力処理回路106,タイマー108,通信制御回路116によって構成されている。CPU110は、ROM112に格納されている遊技制御プログラムに従ってパチンコ機10におけるパチンコ遊技を制御する。ROM112には一般にEPROMが用いられるが、これに限らずEEPROMやフラッシュメモリを使用してもよい。RAM114は記憶手段を具体化したものであって、一般にDRAMが用いられるが、SRAMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを使用してもよい。このRAM114には、特別変動フラグ,第1種カウンタ,第1所定値,特別あふれフラグ,特別あふれカウンタ(カウント手段),大入賞口フラグ,特別設定値,データフレーム,特別図柄変動期間データ等の各種のデータあるいは入出力信号が格納される。
【0023】
入力処理回路102は、始動口センサ32や特定領域センサ40,54から送られたそれぞれの検出信号を受けて、メイン制御部100内で処理可能なデータ形式に変換し、バス118を介してCPU110,RAM114に転送する。出力処理回路106はCPU110からバス118を介して送られた作動データを受けて、ランプ類16を点灯・点滅させ、あるいはソレノイド34を作動させる。このランプ類16やソレノイド34の作動によって、パチンコ機10の表面側に設けられている様々のランプ類が点灯・点滅し、あるいは第1種始動口18の役物36が開閉する。
【0024】
図柄表示制御回路104はCPU110からバス118を介して送られた表示データを、普通図柄表示装置46,特別図柄表示装置50に文字や図柄等の表示制御を行う。タイマー108は、普通図柄変動期間や特別図柄変動期間等の時間管理を行う。通信制御回路116は信号出力手段やあふれ値出力手段を具体化したものであって、ホールコンピュータ200および/または枠制御部300との間において各種データを送受信する。なお、上記各構成要素は、いずれもバス118に互いに結合されている。
【0025】
次に、枠制御部300は、パチンコ遊技を行うために必要なパチンコ球の発射や払い出しの制御、あるいは扉開放の有無の検査等を行う。この枠制御部300は、CPU310,ROM302,RAM304,通信制御回路306,入力処理回路312,出力処理回路314によって構成されている。CPU310は、ROM302に格納されている枠制御プログラムに従ってパチンコ機10に設けられている各種装置の動作を制御する。ROM302にはROM112と同様にEPROM等が用いられる。RAM304はRAM114と同様にDRAM等が用いられる。このRAM304には、制御データ等の各種のデータあるいは入出力信号が格納される。
【0026】
通信制御回路306は、メイン制御部100との間において各種データを送受信する。すなわち、メイン制御部100から送られてきた制御データをCPU310に送り、CPU310が制御データに従って金枠センサ38やスピーカ26等の動作を制御する。具体的には、金枠センサ38を用いて金枠が開かれていないかチェックしたり、遊技者の手がハンドル22に触れているかチェックしたり、スピーカ26に効果音等を出させたり、モータ64,68を駆動させてパチンコ球の発射や払い出し等を行う。入力処理回路312は、金枠センサ38やタッチセンサ24等から送られたそれぞれの信号を受けて、枠制御部300内で処理可能なデータ形式に変換し、バス316を介してCPU310,RAM304に転送する。出力処理回路314はCPU310からバス316を介して送られた駆動データを受けて、スピーカ26やモータ64,68等を駆動する。このスピーカ26やモータ64,68の駆動によって、効果音や音楽等が出され、上皿28内のパチンコ球が発射されたり賞品球が払い出される。なお、上記各構成要素は、いずれもバス316に互いに結合されている。
【0027】
次に、ホールコンピュータ200について説明する。ホールコンピュータ200は、パチンコ遊技場の所定位置(例えば、管理室)に備えられ、パチンコ遊技場全体のパチンコ機10等を管理する。このホールコンピュータ200は、CPU210,ROM202,RAM212,通信制御回路204,データ表示制御回路214によって構成されている。CPU210はROM202に格納されている全体制御プログラムに従ってホールコンピュータ200の全体を制御する。ROM202にはROM112と同様にEPROM等が用いられる。RAM212は記憶手段を具体化したものであって、RAM114と同様にDRAM等が用いられる。このRAM212には、あふれ値カウンタ(信号カウント手段),あふれ値等の各種のデータあるいは入出力信号が格納される。通信制御回路204はあふれ値入力手段を具体化したものであって、各パチンコ機10のメイン制御部100との間において各種データを送受信する。データ表示制御回路214はデータ表示装置220にあふれ値等の表示制御を行う。このデータ表示装置220としては、ホールコンピュータ200本体内に設けられ遊技場関係者が見得る表示装置(例えば、液晶表示装置やCRT等)、および/または、ホール内において遊技者が見得るように設けられている表示装置が該当する。なお、上記各構成要素は、いずれもバス216に互いに結合されている。また、RAM212および通信制御回路204は、信号カウント手段を具体化したものである。
【0028】
次に、本発明を実現するための処理手順について説明する。図5の左側に示す処理手順は、図4に示すメイン制御部100においてROM112に格納されているあふれ値処理プログラムをCPU110が実行することによって実現される。また、図5の右側に示す処理手順は、図4に示すホールコンピュータ200においてROM202に格納されている集計制御プログラムをCPU210が実行することによって実現される。ここで、図5の左側には第1種始動口処理を、同じく右側にはホールコンピュータ200側の集計表示処理をそれぞれ示す。これらの手順は所定のタイミングでそれぞれ実行される。
【0029】
図5に示す処理手順では、各パチンコ機10のあふれ値等をホールコンピュータ200側で集計して表示するための処理を行う。まず、特別図柄表示装置50に特別図柄が停止して表示されている通常状態において、第1種始動口18にパチンコ球が入賞した場合には次のように処理される。すなわち、始動口センサ32から出力された検出信号を受けて、ステップS10では入賞した(YES)と判別される。そして、現在の第1種カウンタの値が第1所定値(所定数の1つであり、例えば4)以上であるか否かを判別する[ステップS12]。この第1種カウンタは、特別図柄表示装置50に図柄が変動して表示されている間に第1種始動口18に入賞したパチンコ球の数をカウントするカウンタである。
【0030】
このステップS12において、第1種カウンタの値が第1所定値以上ならば(YES)、その第1種カウンタをカウントアップせずにあふれ信号を出力し[ステップS16a]、第1種始動口処理を終了する。ここで、第1種カウンタの値が第1所定値以上である期間は「作動無効期間」に相当し、パチンコ球の入賞があっても特別図柄表示装置50の作動が無効になる。上記あふれ信号は例えばパルス状の信号であって、図4において示すように通信回線を経て直接メイン制御部100からホールコンピュータ200に伝送される。一方、第1種カウンタの値が第1所定値未満ならば(NO)、第1種カウンタをカウントアップした後[ステップS14]、特別変動フラグのオン/オフを判別する[ステップS20]。この特別変動フラグは、特別図柄表示装置50に図柄が変動して表示されている期間内にオンとなり、特別図柄表示装置50に図柄が停止して表示されている期間内はオフとなる。ここで、特別変動フラグがオフならば(NO)、次回の図柄変動に備えて特別変動フラグをオンにするとともに[ステップS22]、第1種カウンタをカウントダウンして[ステップS24]、第1種始動口処理を終了する。なお、本明細書において、上記「カウントアップする」という場合には、通常は1だけ値を増やすことを意味するが、遊技状態等に応じて適宜に2以上の値を増やしてもよい。また「カウントダウンする」という場合にも、値を減らす点を除いてはカウントアップと同様である。
【0031】
また、特別図柄表示装置50に特別図柄が変動して表示されている状態において、第1種始動口18にパチンコ球が入賞した場合には次のように処理される。すなわち、上記通常状態と同様にステップS10,S12,S14の処理が行われた後、ステップS20では特別変動フラグはオンであるので(YES)、何もせずに第1種始動口処理を終了する。一方、第1種始動口18にパチンコ球が入賞していない場合には、特別図柄表示装置50の表示状態にかかわらず次のように処理される。すなわち、始動口センサ32からは検出信号が出力されていないために、ステップS10では入賞していない(NO)と判別される。その後、特別図柄表示装置50の図柄変動を行うか否かを第1種カウンタの値によって判別する[ステップS18]。このとき第1種カウンタの値が1以上ならば(YES)、上記ステップS20に進んで上記と同様の処理を行う。こうして、入賞していない状態でも、特別図柄表示装置50の図柄変動状態をチェックして、停止状態の場合には変動を開始させることが実現される。一方、第1種カウンタが0ならば、何もせずに第1種始動口処理を終了する。
【0032】
次に、ホールコンピュータ200において、上記ステップS16aでパチンコ機10から出力されたあふれ信号が受信されたか否かを判別する[ステップS30]。もし、あふれ信号が受信されたならば(YES)、あふれ値カウンタのあふれ値をカウントアップし、そのあふれ値をデータ表示装置220に表示する[ステップS32]。こうしてデータ表示装置220の画面に表示されるあふれ値の例を図6および図7に示す。一方、ステップS30においてあふれ信号が受信されていない場合には(NO)、何もせずに集計表示処理を終了する。なお、あふれ値カウンタの値は、電源投入時や所定時刻等で0にクリアされる。
【0033】
図6に示す例では、あるパチンコ機について、時間の経過に伴うあふれ値(図6に示す「あふれ球数」の欄)の変化が発射個数等の他の情報とともに表示されている。また、図7に示す例では、各パチンコ機に付されている固有の番号(図7に示す「台番号」の欄)ごとについて、あふれ値が特別図柄表示装置50の作動回数(図7に示す「特別図柄作動回数」の欄)等の他の情報とともに表示されている。データ表示装置220に表示されるあふれ値を遊技場関係者が見た場合にはパチンコ機の状態を的確に把握し、そのパチンコ機を適切にかつ素早く調整を行うことが可能になる。すなわち、従来では大当たりの発生率を調整するために、第1種始動口18への入賞率を調整していた。具体的には、特別図柄表示装置50の作動回数に基づき第1種始動口18周辺の釘を調整していた。しかし、どの程度調整すればよいのか見当がつかないため、試し打ちをしながら何度も少しずつ調整する必要があった。本発明の遊技システムによれば、あふれ値の多少によってどの程度調整すればよいのか見当がつく。したがって、パチンコ機を適切にかつ素早く調整を行うことができる。例えば、図7において台番号「1」のパチンコ機はあふれ球が多く第1種始動口18に入賞しすぎていることが分かり、第1種始動口18の作動回数を減らすには大きく調整する必要がある。同じく台番号「2」のパチンコ機は少し調整すればよいことが分かる。また、図6によると、時間経過に伴うあふれ値の変化が表示され、これによると各区間のあふれ値を比較することにより不正行為の有無を発見することができる。例えば、あふれ値が極端に多い区間では磁石等の人為的な不正により入賞数が増えて多くのあふれ球が発生した可能性があることが分かる。
【0034】
また、上記あふれ値を遊技者が見た場合には、その遊技者がパチンコ遊技を行うにあたって有利なパチンコ機を選択することが可能になる。すなわち、図7で表示される台番号「1」と「2」のパチンコ機はほぼ同数だけ特別図柄表示装置50が作動しており、このパチンコ機で遊技しようという意欲が湧く。しかし、あふれ球を比較すると、台番号「1」の方があふれ球が多いために第1種始動口18に入賞しやすく、遊技者にとって有利になる。したがって、遊技者はあふれ球数を見て有利なパチンコ機を選択してパチンコ遊技を行おうとする。そのため、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。さらに、まだ商品化されていない開発段階において、テストデータを収集する際に図7に示すようなあふれ球数を表示させれば、その表示結果を基にして第1種始動口18への入賞と図柄変動回数とのバランスがとれたパチンコ機を開発することが可能になる。すなわち、遊技盤面のゲージを構成する上でどうしても第1種始動口18への入賞率が設計値よりも高くなってしまう場合がある。この場合、従来では特別図柄表示装置50の作動回数に基づいて、ゲージの構成を修正していた。しかし、どの程度ゲージを修正すればよいのか見当がつかないため、何回もテストを行う必要があった。本発明の遊技システムによればあふれ球数に基づいてどの程度修正すればよいのか見当がつき、ゲージを適切に修正することができる。したがって、パチンコ機の開発期間を短縮することが可能になる。
【0035】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について、図8〜図10を参照しながら説明する。この実施の形態2が実施の形態1と異なる点は、あふれ値をカウントする装置である。すなわち、実施の形態1ではホールコンピュータ200側であふれ値をカウントするのに対し、実施の形態2ではパチンコ機10側であふれ値をカウントする点が異なっている。したがって、図1〜図4に示すようなパチンコ機10やホールコンピュータ200の構成は同一であるので説明を省略し、図8,図9に示す処理手順ついて説明する。図8と図9の左側とに示す処理手順は、図4に示すメイン制御部100においてROM112に格納されているあふれ値処理プログラムをCPU110が実行することによって実現される。また、図9の右側に示す処理手順は、図4に示すホールコンピュータ200においてROM202に格納されている集計制御プログラムをCPU210が実行することによって実現される。なお、図8には第1種始動口処理を示し、図5と同一処理には同一符号を付して説明を省略する。図9の左側にはパチンコ機10側の信号送信処理を、同じく右側にはホールコンピュータ200側の集計表示処理をそれぞれ示す。これらの手順は所定のタイミングでそれぞれ実行される。図10には、パチンコ機10側からホールコンピュータ200側に送信されるデータフレームの例を示す。
【0036】
まず、図8において図5と異なるのは、特別図柄表示装置50に特別図柄が変動して表示されている間(すなわち特別変動フラグがオンのとき)に、第1種始動口18にパチンコ球が入賞したとき、第1種カウンタの値が第1所定値以上であるならば、その第1種カウンタをカウントアップせずに特別あふれカウンタの値(すなわち、あふれ値)をカウントアップする[ステップS16b]。すなわち、第1種カウンタの値が第1所定値以上である期間は「作動無効期間」に相当し、パチンコ球の入賞があっても特別図柄表示装置50の作動が無効になる。上記特別あふれカウンタは、作動無効期間内に第1種始動口に入賞したパチンコ球の数である。
【0037】
次に、図9に示す処理手順では、各パチンコ機10において所定期間内であふれ値をそれぞれカウントし、ホールコンピュータ200で集計して表示するための処理を行う。まず、ホールコンピュータ200が対応するパチンコ機10について集計するタイミングに達すると、パチンコ機10のメイン制御部100にデータ送信要求を送る[ステップS50]。このデータ送信要求を受けたメイン制御部100は[ステップS40]、データフレームをホールコンピュータ200に送信する[ステップS42]。このデータフレームはあふれ信号を具体化した例であって、少なくとも上記ステップS22bにおいて特別あふれカウンタでカウントされたあふれ値が含まれており、図10に示す。データフレームを送信した後は、次の送信に備えて特別あふれカウンタをリセットし[ステップS44]、信号送信処理を終了する。なお、ステップS40においてホールコンピュータ200からの送信要求がない場合には(NO)、何もせずに信号送信処理を終了する。
【0038】
ここで、図10に示すデータフレーム500の例では、従来でも送信されているパチンコ球の発射個数や大当たり発生回数等のデータが含まれている。具体的な内容としては、1234番台のパチンコ機10において、123個のパチンコ球が発射され、特別図柄表示装置50が12回図柄変動し、そのうち3回大当たりが発生し、あふれ値に対応する特別あふれ球が5個発生したことを示す。なお、本明細書において、「カウンタをリセットする」という場合には、通常は対象となるカウンタの値を0に設定することを意味するが、遊技状態等に応じて0以外の適切な値を設定してもよい。
【0039】
上記データフレームがホールコンピュータ200において受信されると(ステップS52)、時間ごとや番台ごと等に応じて集計処理を行い[ステップS54]、その集計結果をデータ表示装置220に表示する[ステップS56]。データ表示装置220への表示態様は、例えば上述した図6や図7に示すような態様で行われる。こうしてデータ表示装置220に表示されるあふれ値を遊技場関係者が見た場合にはパチンコ機の状態を的確に把握し、そのパチンコ機を適切にかつ素早く調整を行うことが可能になる。また、そのあふれ値を遊技者が見た場合には、その遊技者がパチンコ遊技を行うにあたって有利なパチンコ機を選択することが可能になる。
【0040】
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3について、図11〜図16を参照しながら説明する。この実施の形態3が実施の形態1,2と異なる点は、あふれ値を表示する装置である。すなわち、実施の形態1,2ではホールコンピュータ200側であふれ値を表示するのに対し、実施の形態3ではパチンコ機10側であふれ値を表示する点が異なっている。したがって、図1〜図4に示すようなパチンコ機10の構成は同一であるので説明を省略し、図11〜図14に示す処理手順ついて説明する。これらの図11〜図14に示す処理手順は、いずれも図4に示すメイン制御部100においてROM112に格納されているあふれ値処理プログラムをCPU110が実行することによって実現される。なお、図11には第1種始動口処理を示し、図5と同一処理には同一符号を付して説明を省略する。また、図12には特別図柄処理を、図13には大入賞口開閉処理を、図14には特別あふれ球処理をそれぞれ示す。これらの処理手順は一定期間(例えば、10ミリ秒)ごとに、時分割処理によって実行される。また、図15,図16には、パチンコ機10の特別図柄表示装置50に表示されるあふれ値の例を示す。
【0041】
まず、図11において図5と異なるのは、特別図柄表示装置50に特別図柄が変動して表示されている間(すなわち特別変動フラグがオンのとき)に、第1種始動口18にパチンコ球が入賞したとき、第1種カウンタの値が第1所定値以上であるならば、その第1種カウンタをカウントアップせずに特別あふれフラグをオンにする[ステップS16c]。すなわち、第1種カウンタの値が第1所定値以上である期間は「作動無効期間」に相当し、パチンコ球の入賞があっても特別図柄表示装置50の作動が無効になる。したがって、特別あふれフラグは、特別図柄表示装置50に図柄が変動して表示されている間にパチンコ球が第1種始動口18に入賞したときにオンとなり、特別図柄表示装置50に図柄が停止して表示されている際にパチンコ球が第1種始動口18に入賞したときにオフとなる。
【0042】
次に、図12に示す特別図柄処理は、特別図柄表示装置50に表示される特別図柄を変動させ、その後に停止した図柄が大当たり図柄(例えば、「777」等のようなゾロ目の図柄)と一致した場合には遊技状態を変更し、遊技者に特別の利益を与える処理を行う。具体的には、まず特別変動フラグの状態を判別する[ステップS60]。特別変動フラグがオンならば(YES)、特別図柄表示装置50に特別図柄の変動表示を開始する[ステップS64]。このとき、図4のCPU110からタイマー108に特別図柄変動期間のデータを送り、タイマー108はその特別図柄変動期間を経過したときにCPU110に変動停止信号を送る。一方、ステップS60において特別変動フラグがオフならば(NO)、何もせずに特別図柄処理を終了する。
【0043】
そして、特別図柄変動期間が経過したか否か、すなわちタイマー108から変動停止信号があるか否かを判別する[ステップS66]。特別図柄変動期間が経過すると(YES)、特別図柄表示装置50に変動して表示していた特別図柄を停止させ[ステップS68]、その特別変動フラグをオフにする[ステップS70]。その後、特別図柄表示装置50に停止して表示されている特別図柄が大当たり図柄か否かを判別する[ステップS72]。もし、停止して表示されている特別図柄が大当たり図柄と一致しているときには(YES)、大入賞口フラグをオンにし[ステップS74]、特別図柄処理を終了する。この大入賞口フラグは、大入賞口20の蓋20aを大入賞口開放期間だけ開けるときにオンとなり、開けないときにオフとなる。なお、ステップS66において特別図柄変動期間を経過しない場合や、ステップS72において停止して表示されている特別図柄が大当たり図柄でない場合には、何もせずに特別図柄処理を終了する。上記の特別図柄処理を実行することによって、大入賞口20を開ける状態に達したか[ステップS74]が分かる。
【0044】
次に、図13に示す大入賞口開閉処理は、大入賞口20の開閉処理を行う。具体的には、まず上記の大入賞口フラグの状態を判別し[ステップS80]、大入賞口フラグがオンならば大入賞口20を開ける[ステップS82]。このとき図4のCPU110は出力処理回路106に作動データを送ってソレノイド30を作動させ、大入賞口20の蓋20aを開ける。またCPU110はタイマー108に大入賞口開放期間のデータを送り、タイマー108はその大入賞口開放期間を経過したときにCPU110に閉鎖信号を送る。そして、大入賞口開放期間が経過したか否か、すなわちタイマー108から閉鎖信号があるか否かを判別する[ステップS84]。大入賞口開放期が経過すると(YES)、大入賞口フラグをオフにし[ステップS86]、大入賞口20を閉じる。大入賞口20を閉じる方法は、大入賞口20を開けた場合と同様な過程で行われる。なお、ステップS80において特別フラグがオフの場合や、ステップS84において大入賞口開放期間が経過していない場合には、何もせずに大入賞口開閉処理を終了する。この大入賞口開閉処理によって大入賞口20の開閉が行われ、特に大入賞口20が開かれた場合には遊技者に特別の利益を提供することができる。
【0045】
ここで、フローチャート等によって図示はしないが、一定の条件が成立すれば再びステップS82〜S88の処理が実行され、大入賞口20が断続的に開けられる。これにより、遊技者は有利な遊技状態を継続させることができる。ここで、一定の条件とは、例えば次の2つの条件である。(条件1)大当たり後に大入賞口20の開閉回数が制限回数(例えば16回)以内であること。(条件2)現在の大入賞口開放期間内において、Vゾーン20bを除く大入賞口20にパチンコ球が制限個数(例えば、10個)が入賞する前に、または制限時間(例えば30秒)以内に、少なくとも1個のパチンコ球がVゾーン20bに入賞すること。
【0046】
次に、図14に示す特別あふれ球処理は状態変更手段を具体化した第1の処理であって、あふれ球が生じたときにそのあふれ球の数に応じて遊技状態を遊技者にとって有利な状態に変更する処理を行う。まず、あふれ球の有無を、図14において特別あふれフラグが設定されたか否かによって判別する[ステップS100]。もし、あふれ球が発生した場合には(YES)、次回のあふれ球の発生に備えて特別あふれフラグをオフにし(ステップS102)、特別あふれカウンタをカウントアップするとともに、現在の特別あふれカウンタの値(すなわち、あふれ値)を特別図柄表示装置50に表示する[ステップS104]。特別図柄表示装置50に表示されたあふれ値の例を図15,図16に示す。図15に示す例では、特別図柄表示装置50の上段に「あふれ球[3]個」のようにあふれ値が数字で表示されており、下段に特別図柄の「157」が表示されている。また、図16に示す例では、あふれ値が上段に棒グラフ形式で表示されている。なお、これらの図15,図16において図1,図2と同一要素には同一符号を付している。この表示によって、遊技者はあふれ球が何個生じたのかを簡単に知ることができる。
【0047】
図14に戻って、ステップS104の後、遊技状態を遊技者に有利な状態に変更すべきか否かを、特別あふれカウンタの値が特別設定値(例えば、100)に達したか否かで判別する[ステップS106]。特別設定値は、パチンコ機10の製造時等において予めROM112等に設定されている値である。もし、特別あふれカウンタの値(すなわちあふれ値)が特別設定値に達したときは(YES)、大入賞口20を開けた後[ステップS108]、次回の有利な状態への変更に備えて特別あふれカウンタをリセットする[ステップS110]。このリセットによって、特別図柄表示装置50に表示されるあふれ値は0(あるいは所定の値)になる。なお、ステップS108では、図4のCPU110がタイマー108に大入賞口特別開放期間のデータを送り、タイマー108はその大入賞口特別開放期間を経過したときにCPU110に特別閉鎖信号を送る。一方、ステップS106において特別あふれカウンタの値が特別設定値に達していないときは(NO)、何もせずに次のステップS112の処理に進む。そして、大入賞口特別開放期間が経過したか否か、すなわちタイマー108から特別閉鎖信号があるか否かを判別する[ステップS112]。大入賞口特別開放期間が経過すると(YES)、大入賞口20を閉じ[ステップS114]、特別あふれ球処理を終了する。一方、ステップS112において大入賞口特別開放期間が経過する前や、大入賞口特別開放期間が設定されない場合には、そのまま特別あふれ球処理を終了する。
【0048】
このように、特別図柄表示装置50に特別図柄が変動して表示されている間にあふれ球が発生し、そのあふれ球によるあふれ値が特別設定値に達すると、遊技者は大入賞口20に入賞させて多くの賞球を得ることができる。すなわち、あふれ値に基づいて遊技状態に有利な状態に変更されるため、遊技者は短期間に多くの賞球を得ることが可能になる。そのため、単に特別図柄表示装置50による電気的なくじで「大当たり」を狙うだけでなく、第1種始動口18に多く入賞させて多くの賞球を得ようとする期待感を遊技者に与えることができる。したがって、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。また、特別図柄メモリが上限に達しても、従来のようにパチンコ球の打ち出しを止める必要もないので、打ち出しを止めるという面倒な操作をしなくてもよい。さらに、ホールにとっても、遊技者が打ち出しを止めることによる稼働率の低下を防止することができる。
【0049】
なお、図14のステップS108の大入賞口20を開ける処理に代えて、パチンコ機10の種類等によって他の遊技状態に変更してもよい。すなわち、払出装置から一定数の賞球を払い出してもよく、あるいは第1種始動口18の役物36,大入賞口20以外の役物や変動入賞装置や振り分け装置に入賞しやすくしてもよい。また、特別図柄表示装置50や普通図柄表示装置46の当たり図柄の出現確率を高くしてもよい。さらには、あふれ値(特別あふれカウンタの値)に対応して遊技者に有利な遊技状態に変更する変更テーブルをRAM114に記憶しておき、その変更テーブルに従って遊技状態を変更してもよい。例えば、あふれ値が30なら上記役物36を開き、50なら一定数の賞球を払い出し、100なら大入賞口20を開く等のように遊技状態を変更する。こうして、パチンコ機10の種類等に応じた適切な遊技状態に変更することができ、遊技者の遊技意欲がさらに向上する。
【0050】
〔実施の形態4〕
次に、実施の形態4について、図17,図18を参照しながら説明する。この実施の形態4が上記実施の形態3と異なる点は、遊技状態の変更方法である。すなわち、実施の形態3ではあふれ値が特別設定値に達したときに大入賞口20を開くのに対し、実施の形態4では特別図柄表示装置50および普通図柄表示装置46における図柄の変動期間を短縮する点が異なっている。したがって、図1〜図4に示すパチンコ機10の構成と、図11〜図13に示す処理手順は同一であるので説明を省略し、図17に示す特別あふれ球処理について説明する。図17に示す処理手順は、図4に示すメイン制御部100においてROM112に格納されているあふれ値処理プログラムをCPU110が実行することによって実現される。また、図18には、図17の処理手順を実行した場合における各種装置やカウンタの作動状態をタイムチャートで示す。
【0051】
図17に示す特別あふれ球処理は状態変更手段を具体化した第2の処理であって、あふれ球が生ずると遊技状態を遊技者にとって有利な状態に変更する処理を行う。まず図14に示すステップS100と同様にあふれ球の有無を判別する[ステップS120]。もし、あふれ球が発生した場合には(YES)、次回のあふれ球の発生に備えて特別あふれフラグをオフにし[ステップS126]、特別あふれカウンタをカウントアップするとともに、現在の特別あふれカウンタの値(すなわち、あふれ値)を特別図柄表示装置50に表示する[ステップS130]。特別図柄表示装置50に表示されたあふれ値の例は、上述した図15,図16と同様である。一方、ステップS120においてあふれ球が発生しなかった場合には(NO)、短縮開始条件を満たすか否かを判別する[ステップS122]。短縮開始条件を満たすか否かは、特別あふれカウンタの値が1以上でありかつ第1種カウンタが第1所定値よりも小さい値である第2所定値(所定数の1つであり、例えば3)未満であるか否かで行う。すなわち、短縮開始条件を満たすのは、現在短縮期間中でないことである。そのため、短縮期間中にあふれ球が生じてもステップS124を実行しない。したがって、短縮期間中に生じたあふれ球によって短縮状態が永久的に継続され、遊技者に過大な利益を与える事態を防止することができる。なお、第2所定値を第1所定値よりも小さくしたのは、遊技者に利益を与える時間をある程度確保して遊技意欲を向上させるためである。
【0052】
もし、短縮開始条件を満たすならば(YES)、変動期間短縮カウンタに変動期間短縮回数(例えば、4回)を設定し[ステップS124]、次回の変動期間短縮に備えて特別あふれカウンタをリセットする[ステップS128]。このリセットによって、特別図柄表示装置50に表示されるあふれ値は0(あるいは所定値)になる。また、変動期間短縮回数は、普通図柄表示装置46において普通図柄が変動して表示される回数である。なお、変動期間短縮カウンタが1以上のときには、上記図12のステップS64においてCPU110からタイマー108に送る特別図柄変動期間を短くする。また、普通図柄表示装置46についても同様に行われる。ここで、ステップS130を実行した後、あるいはステップS122において短縮開始条件を満たさないときは、ステップS132に進む。その後、ゲート42,52へのパチンコ球の通過を特定領域センサ40,54が検出し[ステップS132]、変動期間短縮カウンタが1以上のとき[ステップS134]、変動期間短縮カウンタをカウントダウンする[ステップS136]。なお、パチンコ球がゲート42,52を通過しない場合や、変動期間短縮カウンタが0であるときには何もせずに特別あふれ球処理を終了する。
【0053】
上記図17の処理手順を実行することによって、各種装置やカウンタは図18に示すように作動する。図18には上から順に、第1種始動口18における役物36の開閉状態、始動口センサ32のオン/オフ状態、第1種カウンタの値、特別あふれカウンタの値、変動期間短縮カウンタの値、特別図柄表示装置50における特別図柄の変動/停止、普通図柄表示装置46における普通図柄の変動/停止が時間の経過とともに変化する様子を示している。図18において、時刻t10にパチンコ球が第1種始動口18に入賞している。そのため、始動口センサ32がパルス信号を出力し、特別変動フラグをオンにする(図11のステップS18)。また、特別図柄表示装置50が図柄変動を始めている。その図柄変動中に、第1種始動口18にはパチンコ球が断続的に入賞しており、それに伴って第1種カウンタの値が増加している。一方、時刻t12には、時刻t10で変動開始した特別図柄表示装置50の特別図柄が停止し、次の変動を開始しており、第1種カウンタの値も3から2に変化している(図12のステップS24)。このように、特別図柄表示装置50の特別図柄が変動中にパチンコ球が第1種始動口18に入賞すれば第1種カウンタの値が増え、特別図柄変動期間を経過すると第1種カウンタの値が減るとともに、特別図柄表示装置50の特別図柄が次の変動を始める。
【0054】
そして、時刻t14には、第1種カウンタが4(第1所定値)であるときにパチンコ球が第1種始動口18に入賞したためにあふれ球となり、特別あふれカウンタが0から1に変化している(図17のステップS130)。その後も特別あふれカウンタの値が増えている。しばらくして、時刻t16には、第1種カウンタが3から2(第2所定値未満)に変化しているために変動短縮条件を満たし、変動期間短縮カウンタに4が設定されている(図17のステップS124)。そのため、時刻t16以降は普通図柄表示装置46および特別図柄表示装置50についてそれぞれの図柄変動期間が短縮され、この状態は普通図柄表示装置46について4回の普通図柄変動期間が経過する時刻t22まで続いている(図17のステップS134)。また、時刻t16から時刻t22までの間において、普通図柄表示装置46での2回目の図柄変動によって「当たり」となった結果、時刻t18から時刻t20までの間は第1種始動口18の役物36が開くとともに、普通図柄表示装置46の図柄変動処理が中断されている(すなわち当たり図柄の表示を停止している)。なお、特別図柄表示装置50の図柄変動は、時刻t16以降で5回目の図柄変動を開始する時はまだ変動期間短縮カウンタが1以上であるために変動期間短縮が継続され、最終的には時刻t22の後の時刻t24に終了する。
【0055】
このように、特別図柄表示装置50に特別図柄が変動して表示されている間にあふれ球が発生し、その後に第1種カウンタが第2設定値を下回ると、普通図柄表示装置46の図柄変動期間が変動期間短縮回数だけ短縮される。また、この間には特別図柄表示装置50の図柄変動期間も短縮される。こうして、一定時間内において普通図柄表示装置46による「当たり」を得る機会を遊技者により多く与えることができる。普通図柄表示装置46が「当たり」になると第1始動口役物が一定時間開放してパチンコ球が入賞しやすくなる。そのため、ゲート42,52に多くのパチンコ球を通過させて、普通図柄表示装置46の「当たり」によって第1種始動口18に入賞しやすくし、より多くの賞球を得ようとする期待感を遊技者に与えることができる。したがって、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。なお、遊技状態等に応じて、特別図柄表示装置50および普通図柄表示装置46における図柄の変動期間を同時に短縮したが、いずれか一方の図柄表示装置における図柄の変動期間を短縮してもよい。また、あふれ値(特別あふれカウンタの値)に対応する図柄変動期間を規定する期間テーブルをRAM114に記憶しておき、その期間テーブルに従って図柄変動期間を短縮してもよい。例えば、あふれ値が30なら15秒間に、50なら10秒間に、100なら5秒間にそれぞれ図柄変動期間を短縮する。こうして、遊技状態等に応じた適切な図柄変動期間に短縮することができ、遊技者の遊技意欲がさらに向上する。また、実施の形態4では短縮開始条件を満たすと変動期間短縮回数を設定したが、これに限らず一定時間や一定発射数等を設定してもよく、これらを任意に組み合わせてもよい。これらは上記期間テーブルのようにあふれ値との対応関係を定義しておくことにより実現できる。
【0056】
〔実施の形態5〕
次に、実施の形態5について、図19,図20を参照しながら説明する。この実施の形態5が上記実施の形態4と異なる点は、図柄表示装置で図柄の変動期間が短縮される時期である。すなわち、実施の形態4ではあふれ球が生じたときに所定変動回数だけ変動期間を短縮するのに対し、実施の形態5ではあふれ値が1以上である限り変動期間を短縮する点が異なっている。したがって、図1〜図4に示すパチンコ機10の構成と、図11〜図13に示す処理手順は同一であるので説明を省略し、図19に示す特別あふれ球処理について説明する。図19に示す処理手順は、図4に示すメイン制御部100においてROM112に格納されているあふれ値処理プログラムをCPU110が実行することによって実現される。また、図20には、図19の処理手順を実行した場合における各種装置やカウンタの作動状態をタイムチャートで示す。なお、図19において、図17と同一処理は同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
図19に示す特別あふれ球処理は状態変更手段を具体化した第3の処理であって、あふれ球が生ずると遊技状態を遊技者にとって有利な状態に変更する処理を行う。図19に示すステップS120において、あふれ球が発生しなかった場合には(NO)、特別あふれカウンタの値が1以上であるか否かを判別する[ステップS140]。もし、特別あふれカウンタの値が1以上であるならば(YES)、短縮フラグをオンにする[ステップS144]。一方、もし、特別あふれカウンタの値が0ならば(NO)、短縮フラグをオフにする[ステップS142]。この短縮フラグがオンのときには、上記図12のステップS64においてCPU110からタイマー108に送る特別図柄変動期間を短くする。また、普通図柄表示装置46についても同様に行われる。その後、パチンコ球がゲート42,52に通過するか、あるいは第1種始動口18に入賞し[ステップS146]、短縮フラグがオンならば[ステップS148]、図柄変動期間を短縮し[ステップS152]、そうでなければ図柄変動期間を元に戻す[ステップS150]。一方、パチンコ球がゲート42,52に通過せず、あるいは第1種始動口18にも入賞しない場合には、何もせずに特別あふれ処理を終了する。
【0058】
上記図19の処理手順を実行すると、各種装置やカウンタは図18と同様に表した図20のように作動する。ここで、図18と異なるのは、上から5番目の項目が短縮フラグになっている点である。図20において、時刻t30の状態は図18の時刻t10の状態と同様である。その後、時刻t32において第1種カウンタが4(第1所定値)であるときにパチンコ球が第1種始動口18に入賞したためにあふれ球となった。そのため、特別あふれカウンタが0から1に変化し(図17のステップS130)、短縮フラグもオンになる(図19のステップS144)。この状態は、特別あふれカウンタが0になる時刻t36まで続いている(図19のステップS142)。なお、時刻t34から始まる普通図柄表示装置46の図柄変動は、まだ短縮フラグがオンであるために変動期間短縮が継続される。そして、時刻t38において普通図柄表示装置46の図柄変動によって「当たり」となった結果、時刻t38から時刻t42までの間は第1種始動口18の役物36が開くとともに、普通図柄表示装置46の図柄変動処理が中断されている。また、時刻t40には再びあふれ球が生じたために、特別あふれカウンタが1となって短縮フラグもオンとなり、この状態は時刻t44まで続いている。
【0059】
このように、特別図柄表示装置50に特別図柄が変動して表示されている間にあふれ球が発生すると、その後に第1種カウンタが第2設定値を下回るまで、普通図柄表示装置46および特別図柄表示装置50の図柄変動期間が短縮される。こうして、一定時間内において普通図柄表示装置46による「当たり」や特別図柄表示装置50による「大当たり」を得る機会を遊技者により多く与えることができる。そのため、ゲート42,52により多くのパチンコ球を通過させ、あるいは第1種始動口18により多くのパチンコ球を入賞させて、より多くの賞球を得ようとする期待感を遊技者に与えることができる。したがって、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。なお、実施の形態5の場合と同様に、遊技状態等に応じて特別図柄表示装置50と普通図柄表示装置46とのいずれか一方の図柄表示装置における図柄の変動期間を短縮してもよい。
【0060】
〔実施の形態6〕
次に、実施の形態6について、図21〜図23を参照しながら説明する。この実施の形態6が上記実施の形態1〜5と異なる点は、遊技態様の変更方法である。すなわち、実施の形態1〜5では特別図柄表示装置50等によって遊技者に特別の利益を提供するのに対し、実施の形態6ではサービス図柄表示装置70によって遊技者に特別の利益を提供する点が異なっている。したがって、図1〜図4に示すパチンコ機10の構成と、図11〜図13に示す処理手順は同一であるので説明を省略する。なお、遊技盤面12には図23に示すように、新たにサービス図柄表示装置70が設けられている。以下、図21,22に示す特別あふれ球処理について説明する。図21,22に示す処理手順は、図4に示すメイン制御部100においてROM112に格納されているあふれ値処理プログラムをCPU110が実行することによって実現される。図23には、サービス図柄表示装置70に表示されるサービス図柄の例を示す。
【0061】
図21に示す特別あふれ球処理は状態変更手段を具体化した第4の処理であって、あふれ球が生ずると遊技状態を遊技者にとって有利な状態に変更する処理を行う。図21において、まずサービス図柄表示装置70のサービス図柄が停止して表示されている場合にあふれ球が発生した場合には、次のように処理される。すなわち、特別あふれフラグがオンであるため[ステップS160]、次回に備えて特別あふれフラグをオフにし[ステップS162]、特別あふれカウンタをカウントアップする[ステップS164]。そして、特別あふれカウンタが1以上であるか否か[ステップS166]、さらにサービス図柄表示装置70が変動期間内か否かが判別される[ステップS168]。もし、特別あふれカウンタが1以上で(ステップS166のYES)、かつサービス図柄表示装置70が変動期間内でないならば(ステップS168のNO)、サービス図柄の変動表示が開始され[ステップS170]、次回に備えて特別あふれカウンタがカウントダウンされた後[ステップS172]、図22のステップS174に進む。一方、サービス図柄表示装置70のサービス図柄が変動して表示されている場合にあふれ球が発生した場合には、次のように処理される。ステップS160,S162,S164はサービス図柄表示装置70のサービス図柄が停止して表示されている場合と同様に実行される。そして、特別あふれカウンタが1以上であり(ステップS166のYES)、サービス図柄表示装置70が変動期間内であるため(ステップS168のYES)、図22のステップS174に進む。
【0062】
そして、サービス図柄表示装置70に変動して表示されていたサービス図柄が停止して表示された場合には、その停止したサービス図柄が当たり図柄(例えば、「77」のようなゾロ目の図柄)と一致すれば[ステップS174]、特別図柄表示装置50で大当たり図柄が出現する確率を高くし[ステップS176]、特別あふれカウンタをリセットする[ステップS178]。一方、ステップS174において当たり図柄が表示されなかった場合には、何もせずに特別あふれ処理を終了する。このように、特別図柄表示装置50に特別図柄が変動して表示されている間において、あふれ球が発生するごとにサービス図柄表示装置70のサービス図柄が変動を始める。その後、停止したサービス図柄が当たり図柄の場合には、特別図柄表示装置50で大当たり図柄が出現する確率が高くなる。こうして、特別図柄表示装置50による「大当たり」を得る機会を遊技者により多く与えることができる。そのため、第1種始動口18により多くのパチンコ球を入賞させて、より多くの賞球を得ようとする期待感を遊技者に与えることができる。したがって、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
【0063】
〔実施の形態7〕
次に、実施の形態7について、図24〜図27を参照しながら説明する。この実施の形態7が上記実施の形態1〜6と異なる点は、遊技態様の変更方法である。すなわち、実施の形態1〜6では特別図柄表示装置50のあふれ球に基づいて遊技者に特別の利益を提供するのに対し、実施の形態7では普通図柄表示装置46のあふれ球に基づいて遊技者に特別の利益を提供する点が異なっている。したがって、図1〜図4に示すパチンコ機10の構成と、図11〜図13に示す処理手順は同一であるので説明を省略する。ここで、図24には特定領域通過処理を、図25には普通図柄処理を、図26には役物開閉処理を、図27には普通あふれ球処理をそれぞれ示す。これらの処理手順は一定期間(例えば、10ミリ秒)ごとに、時分割処理によって実行される。
【0064】
ここで、図24に示す特定領域通過処理は図11に示す第1種始動口処理と、図25に示す普通図柄処理は図12に示す特別図柄処理と、図26に示す役物開閉処理は図13に示す大入賞口処理とほぼ同様の処理を行なっている。すなわち、図11〜図13における特別図柄表示装置50を普通図柄表示装置46とし、特別あふれフラグを普通あふれフラグとし、特別あふれカウンタを、普通あふれカウンタとすれば図24〜図26に示す処理と同一になる。なお、図24のステップS202において、領域通過カウンタの値が第3所定値(所定数の1つであり、例えば4)以上ならば、その領域通過カウンタをカウントアップせずに普通あふれフラグをオンにする[ステップS206]。すなわち、領域通過カウンタの値が第3所定値以上である期間は「作動無効期間」に相当し、パチンコ球の通過があっても普通図柄表示装置46の作動が無効になる。図25のステップS224における普通変動期間は例えば30秒間であり、同図のステップS240における当たり図柄は例えば「7」である。図26のステップS244における役物開放期間は、例えば5秒間である。図27に示す普通あふれ球処理のステップS260〜S266は、図14に示す特別あふれ球処理とほぼ同様である。この普通あふれ球処理は状態変更手段を具体化した第5の処理であって、あふれ球が生ずると遊技状態を遊技者にとって有利な状態に変更する。したがって、これらの処理は簡単のために省略し、図27におけるステップS268以降について説明する。
【0065】
図27のステップS266において、普通あふれカウンタの値(すなわちあふれ値)が所定数の一つである普通設定値に達したときは(YES)、普通図柄表示装置46で当たり図柄が出現する確率を高くし[ステップS268]、次回の有利な状態への変更に備えて普通あふれカウンタをリセットする[ステップS270]。そして、普通図柄表示装置46において変動後に停止した普通図柄が当たり図柄と一致しているときには[ステップS272]、普通図柄表示装置46で当たり図柄が出現する確率を元の低い値に戻す[ステップS276]。なお、二点鎖線で示すように、ステップS272において普通図柄表示装置46に当たり図柄が表示されない場合には(NO)、普通図柄表示装置46における所定回数だけ普通図柄を変動させたか否かを判別してもよい[ステップS274]。この場合には、ステップS274において所定回数の変動を実行した後に(YES)、普通図柄表示装置46で当たり図柄が出現する確率を元の低い値に戻してもよい[ステップS276]。
【0066】
このように、普通図柄表示装置46に普通図柄が変動して表示されている間にあふれ球が発生すると、普通図柄表示装置46で行われる電気的なくじによる当たりが出やすくなる。そのため、ゲート42,52により多くのパチンコ球を通過させて、普通図柄表示装置46で「当たり」になることにより、多くの賞球を得ようとする期待感を遊技者に与えることができる。したがって、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
【0067】
上述した実施の形態1〜7によれば、以下のような(a1)〜(a4)の態様について、それぞれ第1の効果が得られる。
(a1)第1種始動口18(所定領域)にパチンコ球が入賞しても遊技者に有利な遊技状態に変更しない期間(例えば図18において第1種カウンタが4の状態である期間)に、その第1種始動口18に入賞したパチンコ球の数が特別あふれカウンタ(カウント手段)によってカウントされ、そのカウントされたあふれ値がデータ表示装置220(表示手段)によって表示される。なお、所定領域をゲート42,52とし、カウント手段を普通あふれカウンタとし、表示手段を特別図柄表示装置50または普通図柄表示装置46とした場合でも同様である。
(a2)ゲート42,52(所定領域)を通過したパチンコ球の数が所定期間に所定数を超えた場合には、その超過したパチンコ球の数が普通あふれカウンタ(カウント手段)によってカウントされ、そのカウントされたあふれ値が普通図柄表示装置46(表示手段)によって表示される。なお、所定領域を第1種始動口18とし、カウント手段を特別あふれカウンタとし、表示手段を特別図柄表示装置50またはデータ表示装置220とした場合でも同様である。
(a3)パチンコ機10では、始動口センサ32(検出手段)によって検出されたパチンコ球の数が所定数を超えたときに、通信制御回路116(信号出力手段)があふれ信号を出力する。一方、ホールコンピュータ200では、信号カウント手段があふれ信号を受けてカウントし、そのカウントされたあふれ値をデータ表示装置220(表示手段)が表示する。なお、カウントされたあふれ値をさらにホールコンピュータ200からパチンコ機10に伝送し、特別図柄表示装置50または普通図柄表示装置46で表示してもよい。
(a4)パチンコ機10では、始動口センサ32(検出手段)によって検出されたパチンコ球の数が所定数を超えるとそのパチンコ球の数を特別あふれカウンタ(カウント手段)がカウントし、そのカウントされたあふれ値を通信制御回路116(あふれ値出力手段)が出力する。一方、ホールコンピュータ200では、そのあふれ値を通信制御回路204(あふれ値入力手段)が受けて、データ表示装置220(表示手段)に表示する。
(第1の効果)上記(1)〜(4)において表示されたあふれ値を遊技場関係者が見た場合には、遊技場関係者は遊技者に過大な利益を与えるパチンコ機10を把握し、そのパチンコ機10を調整することができる。また、そのあふれ値を遊技者が見た場合には、遊技者にとって有利なパチンコ機10を選択して遊技することが可能になる。そのため、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
【0068】
また、実施の形態1〜7によれば、以下のような(b1)〜(b2)の態様について、それぞれ第2の効果が得られる。
(b1)第1種始動口18(所定領域)にパチンコ球が入賞しても遊技者に有利な遊技状態に変更しない期間(例えば図18において第1種カウンタが4の状態である期間)に、その第1種始動口18にパチンコ球が入賞すると、特別あふれ球処理(状態変更手段)が遊技者に有利な遊技状態に変更する。なお、所定領域をゲート42,52とし、カウント手段を普通あふれカウンタとし、状態変更手段を普通あふれ球処理とした場合でも同様である。
(b2)ゲート42,52(所定領域)を通過したパチンコ球の数が所定期間に所定数を超えた場合には、その超過したパチンコ球の数がRAM114(記憶手段)に記憶され、普通あふれ球処理(状態変更手段)があふれ値に基づいて遊技状態を変更する。なお、所定領域を第1種始動口18とし、カウント手段を特別あふれカウンタとし、状態変更手段を特別あふれ球処理とした場合でも同様である。
(第2の効果)遊技状態が遊技者にとって有利な状態に変更されるので、遊技者は有利な遊技状態が得られるという期待感を持たせることができる。そのため、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
【0069】
〔他の実施の形態〕
上述した遊技システムやパチンコ機におけるその他の部分の構造,形状,大きさ,材質,個数,配置および動作条件等については、上記実施の形態に限定されるものでない。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
(1)上記各実施の形態において、遊技者がハンドル22から手を離したことをタッチセンサ24が検出すると、あふれ値(特別あふれ球カウンタ等の値)をリセットする処理を付加してもよい。こうすれば、コイン等でハンドル22を固定して遊技する等の不適切な遊技によって、多くの賞球を与えることを防止することができる。
【0070】
(2)上記各実施の形態において、あふれ球の数(あふれ値)は図柄表示装置に図柄が変動して表示されている間に、所定領域に所定数を超えて入賞または通過したパチンコ球の全てをカウントした値である。この形態に限らず、他の形態によってあふれ球のカウントを制限してもよい。例えば次の各形態があり、これらの形態によって遊技者に適正な利益を提供することができる。
a)特別図柄表示装置50による電気的なくじで大当たりになった後、あふれ球のカウントを始める。その後、大当たりが終了すると、カウントされたあふれ球の数に応じて遊技者に有利な遊技状態に変更する。
b)特別図柄表示装置50による電気的なくじでリーチ状態になった後、あふれ球のカウントを始める。その後、リーチ状態(あるいは大当たり)が終了すると、カウントされたあふれ球の数に応じて遊技者に有利な遊技状態に変更する。
c)上記大当たりが終了した後に、あふれ球のカウントを始める。そして、特別図柄表示装置50の図柄変動回数が所定回数(例えば50回)に達した後、カウントされたあふれ球の数に応じて遊技者に有利な遊技状態に変更する。
d)その他、必要に応じて時間や期間の制限を課してもよい。すなわち、パチンコ遊技場の開店時から一定時間内,開店中の一定時間内,曜日や月・季節等の条件を満たせば、あふれ球の数をカウントする。
【0071】
(3)実施の形態1および実施の形態2では、特別図柄表示装置50に特別図柄が変動して表示されている間に、あふれ球が生じた場合の処理方法を示した。同様にして普通図柄表示装置46に普通図柄が変動して表示されている間に、あふれ球が生じた場合にも適用することができる。具体的には、例えば実施の形態7における図24〜図27に示すような処理を行い、その過程でメイン制御部100からホールコンピュータ200にデータフレームを送信する。こうすれば、普通図柄表示装置46に普通図柄が変動して表示されている間にゲート42,52に所定数を超えるパチンコ球が通過するとあふれ球が生ずると、そのあふれ球の数(すなわちあふれ値)はホールコンピュータ200のデータ表示装置220に表示される。したがって、データ表示装置220に表示されるあふれ値を遊技場関係者が見た場合にはパチンコ機の状態を的確に把握し、そのパチンコ機を適切にかつ素早く調整を行うことが可能になる。また、そのあふれ値を遊技者が見た場合には、その遊技者がパチンコ遊技を行うにあたって有利なパチンコ機を選択することが可能になる。
(4)また、実施の形態1および実施の形態2では、あふれ値をメイン制御部100からホールコンピュータ200に送信し、そのあふれ値をホールコンピュータ200のデータ表示装置220で表示した。この場合の通信方法は有線に限らず、無線,電波,光を利用して送信してもよい。さらには、複数のパチンコ遊技場とホストコンピュータとを通信回線で接続すれば、複数のパチンコ遊技場から送られてくる各パチンコ機ごとのあふれ値を一括して管理することができ、全体的な管理や調整が可能になる。
【0072】
(5)実施の形態1では、データ表示装置220であふれ値を表示する一例を図6,図7に示した。この例に限らず、他の態様であふれ値を表示してもよい。例えば、そのあふれ値に対応するLEDを遊技盤面12上で点灯したり、スピーカ26から音楽(チャイム)を出したり,特別図柄表示装置50に映像やアニメーションであふれ値を表示したりしてもよい。こうすれば、あふれ値を確実に遊技場関係者や遊技者等に認識させることができる。
(6)実施の形態2では、メイン制御部100からホールコンピュータ200に送るデータフレームは図10に示すデータフレーム500に限らず、他のデータフレームの態様であってもよい。例えば、図28に示すデータフレーム502のように、データフレーム500のデータ要素に加えて、普通図柄作動や普通あふれ球のデータを送信してもよい。この場合には、普通図柄作動や普通あふれ球についてのデータをデータ表示装置220に表示することが可能になる。その表示例を図29に示す。こうすれば、データ表示装置220に表示されるあふれ値を遊技場関係者が見た場合にはパチンコ機の状態をより的確に把握し、そのパチンコ機をより適切にかつ素早く調整を行うことが可能になる。また、そのあふれ値を遊技者が見た場合には、その遊技者がパチンコ遊技を行うにあたってより有利なパチンコ機を選択することが可能になる。
【0073】
(7)また、実施の形態3で大入賞口20を開いたり、実施の形態4で図柄の変動期間を短縮する態様とともに、特別図柄表示装置50(あるいは普通図柄表示装置46)に表示される当たり図柄の出現確率を高くしてもよい。こうすれば、特別図柄表示装置50等の「当たり」によって大入賞口20等に入賞しやすくし、より多くの賞球を得ようとする期待感を遊技者に与えることができる。したがって、遊技者の遊技意欲をより向上させることができる。
(8)実施の形態4ではあふれ球が発生した後に第1種カウンタが第2設定値を下回るまでの間において、普通図柄表示装置46の図柄変動期間を変動期間短縮回数だけ短縮した。この形態に限らず、他の形態で図柄変動期間を短縮してもよい。例えば、あふれ球が発生すると特別あふれ球カウンタをカウントアップし、このカウンタの値が開始値(例えば100)に達したときに図柄変動期間を短縮する。その後、普通図柄表示装置46において図柄を変動するごとに特別あふれ球カウンタをカウントダウンし、その特別あふれカウンタの値が終了値(例えば50)になると図柄変動期間の短縮を終了する。こうすれば、特別あふれカウンタの値が終了値になるまでは、遊技者は多くの賞球を得る機会が与えられるので、遊技意欲が向上する。
【0074】
【他の発明の態様】
以上、本発明の実施の形態および類似する実施の形態について説明したが、この実施の形態には特許請求の範囲に記載した発明の態様以外の発明の態様を有するものである。この発明の態様を以下に列挙するとともに、必要に応じて関連説明を行う。
【0075】
〔態様1〕
技システムにおいて、そのホールコンピュータは、前記パチンコ機から出力されたあふれ値を集計する集計手段をさらに備えており、前記表示手段は、その集計手段によって集計された値を表示することを特徴とする遊技システム。
〔態様1の関連説明〕
態様1によれば、表示手段には集計されたあふれ値が表示されるので、パチンコ機ごとや時間ごと等の所定の種類に応じた表示が可能になる。この表示手段に表示されるあふれ値を遊技場関係者が見た場合には、遊技場関係者は遊技者に過大な利益を与えるパチンコ機をより的確に把握し、そのパチンコ機を適切に調整することができる。また、表示手段に表示されるあふれ値を遊技者が見た場合には、遊技者にとって有利なパチンコ機を選択して遊技することが可能になる。そのため、遊技者の遊技意欲をより向上させることができる。
【0076】
〔態様2〕
チンコ機において、その状態変更手段は、役物および/または大入賞口を開け、あるいは前記図柄表示装置に表示される当たり図柄の出現確率を高くすることを特徴とするパチンコ機。
〔態様2の関連説明〕
態様によれば、役物や大入賞口を開き、あるいは当たり図柄の出現確率を高くなると、遊技者はより多くの賞球を得る機会が与えられる。そのため、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
【0077】
【発明の効果】
【0078】
発明のパチンコ機によれば、一定条件下でカウントされたパチンコ球の数、すなわちあふれ値に基づいて遊技状態を変更する。こうして遊技状態が遊技者にとって有利な状態に変更されるので、遊技者は有利な遊技状態が得られるという期待感を持たせることができる。そのため、遊技者の遊技意欲を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パチンコ機の外観を示す正面図である。
【図2】 複合装置を示す図である。
【図3】 パチンコ機の外観を示す正面図である。
【図4】 メイン制御部等の構成を示すブロック図である。
【図5】 あふれ値の処理を実現するフローチャートである。
【図6】 データ表示装置に表示されるあふれ値の例を示す。
【図7】 データ表示装置に表示されるあふれ値の例を示す。
【図8】 第1種始動口処理を示すフローチャートである。
【図9】 あふれ値の処理を実現するフローチャートである。
【図10】 データフレームの例を示す。
【図11】 第1種始動口処理を示すフローチャートである。
【図12】 特別図柄処理を示すフローチャートである。
【図13】 大入賞口開閉処理を示すフローチャートである。
【図14】 特別あふれ球処理を示すフローチャートである。
【図15】 特別図柄表示装置の表示例を示す図である。
【図16】 特別図柄表示装置の表示例を示す図である。
【図17】 特別あふれ球処理を示すフローチャートである。
【図18】 各種装置やカウンタの作動状態をタイムチャートで示す。
【図19】 特別あふれ球処理を示すフローチャートである。
【図20】 各種装置やカウンタの作動状態をタイムチャートで示す。
【図21】 特別あふれ球処理を示すフローチャートである。
【図22】 図21に続くフローチャートである。
【図23】 サービス図柄表示装置の表示例を示す図である。
【図24】 特定領域通過処理を示すフローチャートである。
【図25】 普通図柄処理を示すフローチャートである。
【図26】 役物開閉処理を示すフローチャートである。
【図27】 普通あふれ球処理を示すフローチャートである。
【図28】 データフレームの例を示す。
【図29】 特別図柄表示装置の表示例を示す図である。
【符号の説明】
10 パチンコ機
12 遊技盤面
14 複合装置
18 第1種始動口(所定領域)
20 大入賞口(状態変更手段)
20a 蓋
20b Vゾーン
30,34 ソレノイド
32 始動口センサ(検出手段)
36 役物(状態変更手段)
40,54 特定領域センサ(検出手段)
42,52 ゲート(所定領域)
44 普通図柄メモリランプ
46 普通図柄表示装置(図柄表示装置)
48 特別図柄メモリランプ
50 特別図柄表示装置(図柄表示装置)
100 メイン制御部
106 出力処理回路106(状態変更手段)
110 CPU(状態変更手段,信号出力手段)
112 ROM(状態変更手段)
114 RAM(記憶手段)
116 通信制御回路(信号出力手段)
200 ホールコンピュータ
210 CPU(カウント手段)
202 ROM(カウント手段)
220 データ表示装置(表示手段)
300 枠制御部

Claims (2)

  1. チンコ球が入賞または通過する所定領域と、該所定領域に入賞または通過したパチンコ球を検出する検出手段と、該検出手段からの検出出力に基づいて図柄を変動する図柄表示装置と、該図柄表示装置の変動停止時に表示される図柄が当り図柄である場合に所定の態様で開放される入賞装置と、前記図柄表示装置の変動中に前記検出手段で検出したパチンコ球を所定個数まで加算記憶すると共に前記図柄表示装置の変動毎に減算記憶する入賞記憶手段と、を備えたパチンコ機において、
    前記検出手段によって検出されたパチンコ球の数が前記入賞記憶手段で記憶される所定個数を超えた場合には、その超過したパチンコ球の数をあふれ値として記憶するあふれ球記憶手段と、
    該あふれ球記憶手段に記憶されているあふれ値が存在し且つ前記入賞記憶手段の記憶値が前記所定個数よりも小さな個数であるときに、前記図柄表示装置の変動時間を所定の変動回数にわたって短縮する変動時間短縮手段と、
    を有することを特徴とするパチンコ機。
  2. 前記変動時間短縮手段は、前記あふれ球記憶手段に記憶されているあふれ値の値に応じて前記図柄表示装置の変動時間を変化させるものであることを特徴とする請求項1記載のパチンコ機。
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