JP4177248B2 - し渣除去装置 - Google Patents
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Description
また、原水中に含まれるし渣をドラム回転式の撹拌破砕機やグラインダポンプで破砕した後、し渣脱水機でし渣を除去する「汚水処理装置」が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
しかし、特許文献2や特許文献3に開示されている撹拌破砕機では、糞塊だけでなく、髪の毛や厨芥も破砕されてしまい、ドラムスクリーンで捕捉されなくなって、ろ過水に混じり込む問題点があった。なお、ろ過水中の糞は、後段の生物処理装置によって分解されるが、髪の毛や厨芥は分解されないため、ドラムスクリーンで捕捉する必要がある。
そこで、本発明の目的は、ドラムスクリーンでろ過する前に、髪の毛や厨芥を破砕せず、糞塊を破砕できるようにしたし渣除去装置を提供することにある。
上記第1の観点によるし渣除去装置(100)では、原水(W)を回転羽根(33)で撹拌することにより旋回流を作り、この旋回流を止め板(32)にぶつける。このため、原水(W)中で元々脆くなっている糞塊は、止め板(32)にぶつかった衝撃で、破砕される。他方、髪の毛や厨芥は、原水(W)中で非常に柔軟であるため、破砕されることなく止め板(32)を通り過ぎる。かくして、ドラムスクリーン(2)では、髪の毛や厨芥は捕捉され、糞塊は捕捉されなくなる。
上記第2の観点によるし渣除去装置(100)では、すり鉢状底部(31a)の壁面に沿って旋回しながら徐々に沈んでゆく糞塊が止め板(32)にぶつかる回数が多くなり、糞塊を破砕できる確実性を高くすることが出来る。
上記構成において「止め板(32)との最短間隔」とは、回転羽根(33)が回転中に止め板(32)に最も近づいた時の止め板(32)との間隔をいう。
上記第3の観点によるし渣除去装置(100)では、糞塊は止め板(32)に当たり,髪の毛や厨芥は抜けられるような間隙を開けた近傍で外羽根(33a)が回転し、糞塊を止め板(32)にぶつける。一方、内羽根(33b)は回転軸(34)に近い空間で回転し、撹拌の死角を作らないようにする。
上記第4の観点によるし渣除去装置(200,300)では、流入口(31b)から流出口(31c)への流路長を長くできるため、撹拌破砕機(30)における滞留時間を長くできる。さらに、破砕され小さくなった糞成分を含んで上昇する流れと、破砕前の大きな糞塊が沈み込む動きとを分けることが出来る。これらにより、破砕効率を上げることが出来る。
上記第5の観点によるし渣除去装置(300)では、流入した原水(W)が回転羽根(33)に必ず接触するため、確実に糞塊を破砕することが出来る。
(A)ドラムスクリーン(2)でろ過する前に、髪の毛や厨芥を破砕せず、糞塊を破砕できる。これにより、ドラムスクリーン(2)で糞塊が捕捉されることを防止できる。
(B)後段の生物処理装置で分解されない髪の毛や厨芥が破砕されてドラムスクリーン(2)を通過しろ過水(F)に混じることを防止できる。
(C)糞成分がドラムスクリーン(2)を通過しろ過水(F)に混じるので、後段の生物処理装置へ栄養を十分供給できる。
(D)捕捉したし渣(S)中の糞成分が減少するので、脱水性が改善され、脱水後のし渣(S’)の含水率を小さく出来る。これにより、脱水後のし渣(S’)が衛生的になると共に嵩も小さくなり、脱水後のし渣(S’)の処理が楽になる。
このし渣除去装置100は、原水Wを撹拌破砕機30の内部へ導入する原水導入管1と、原水導入管1を通る原水Wの流量を検出する流量計1aと、原水W中の糞塊を破砕するための撹拌破砕機30と、撹拌破砕機30から流出した処理水を導いて流入トラフ1cからドラムスクリーン2の内周面に落下させる処理水導入管1bと、ウェッジワイヤーを円筒方向に配置したドラムであって原水Wが落下する内周面が上方へ廻る方向にドラムモータ2aにより回転させられし渣Sを捕捉しろ過水Fを通過させるドラムスクリーン2と、そのドラムスクリーン2の内周面および外周面に洗浄水Cを噴射するドラム洗浄ノズル3およびドラム洗浄バルブ3aと、処理水導入管1bの上面に付着した汚れを流し落とすための洗浄水Cを噴射する配管洗浄ノズル22および配管洗浄バルブ22aと、ドラムスクリーン2から落下してきたろ過水Fを受けるろ過水槽4と、ドラムスクリーン2のし渣排出ガイド2bによりドラムスクリーン2の内部から排出され落下してきたし渣Sを受け取るホッパ5と、そのホッパ5から落下してきたし渣Sを脱水モータ6aにより回転するスクリュー6bで口径の小さいし渣排出口6cへと押してその圧搾により脱水する脱水機6と、し渣Sから脱水された水を受け取る脱水ドレン受け7と、し渣排出口6cから排出され落下してきた脱水後のし渣S’を収容するし渣受けかご8と、ホッパ5の受け口の傾斜面に向けて洗浄水Cを噴射すると共に洗浄水Cの一部を脱水機6の内部へ噴射するためのホッパ洗浄ノズル10およびホッパ洗浄バルブ10aと、流量計1aで検出した原水Wの流入量に応じて撹拌モータ35,ドラムモータ2aおよび脱水モータ6aの回転とドラム洗浄バルブ3a,配管洗浄バルブ22aおよびホッパ洗浄バルブ10aの開閉とを制御する制御装置20とを具備している。
すり鉢状底部31aの中央には、回転軸34を軸支する軸受36が設けられている。
回転羽根33は、すり鉢状底部31aのテーパ面に適合して傾斜している外羽根33aと、外羽根33aが回転する空間よりも回転軸34に近い空間を撹拌する内羽根33bと、外羽根33aおよび内羽根33bを支持すると共に回転軸34を把持する主ハブ33cと、外羽根33aの先端を支持する外羽根支持棒33eおよび内羽根33bの先端を支持する内羽根支持棒33fを支持すると共に回転軸34を把持する副ハブ33dとを備える。
回転軸34は、主ハブ33cおよび副ハブ33dの軸孔33gに挿通されて把持される。
外羽根33aが回転中に止め板32に最も近づいた時の止め板32との間隔は、2[mm]以上25[mm]以下になっている。
制御装置20は、時刻t1に流量計1aで原水Wの流入開始を検知すると撹拌モータ35を直ちに回転させ、時刻t2に流量計1aで原水Wの流入休止を検知すると時間T1後まで回転させ、停止させる。回転羽根33の回転数は、例えば毎分500回転である。
また、制御装置20は、時刻t1に流量計1aで原水Wの流入開始を検知するとドラムモータ2aを直ちに回転させ、時刻t2に流量計1aで原水Wの流入休止を検知すると時間T2後まで回転させ、停止させる。
また、制御装置20は、時刻t1に流量計1aで原水Wの流入開始を検知するとホッパ洗浄バルブ10aを時間T3後に開き、時間T4だけ開いて時間T5だけ閉じることを反復し、時刻t2に流量計1aで原水Wの流入休止を検知すると時間T6後に開き、時間t7まで開いた後、閉じる。
また、制御装置20は、時刻t1に流量計1aで原水Wの流入開始を検知すると脱水モータ6aを時間T8後に回転させ、時間T9だけ回転させて時間T10だけ停止することを反復し、時刻t2に流量計1aで原水Wの流入休止を検知すると時間T11後まで回転させ、停止させる。
また、制御装置20は、時刻t1に流量計1aで原水Wの流入開始を検知するとドラム洗浄バルブ3aおよび配管洗浄バルブ22aを時間T12後に開き、時間T14だけ開いて時間T15だけ閉じることを反復し、時刻t2に流量計1aで原水Wの流入休止を検知すると直ちに開き、時間t16まで開いた後、閉じる。
BODが200[mg/l],濁質成分が200[mg/l]の家庭雑排水を原水Wとして、し渣除去装置100で処理した。
ドラムスクリーン2から排出されるし渣Sの成分重量比は、髪の毛0.1%,厨芥95.4%,糞成分4.0%,その他(紙類,プラスチック類等)0.5%であった。含水率は、81〜85%であった。また、脱水後のし渣S’の含水率は、70〜75%であった。
BODが200[mg/l],濁質成分が200[mg/l]の家庭雑排水を原水Wとして、し渣除去装置100から撹拌破砕機30を除いた構成で処理した。
ドラムスクリーン2から排出されるし渣Sの成分重量比は、髪の毛0.1%,厨芥82.5%,糞成分17.0%,その他(紙類,プラスチック類等)0.4%であった。含水率は、89〜94%であった。また、脱水後のし渣S’の含水率は、81〜83%であった。
また、し渣Sの含水率が89〜94%から81〜85%に低下し、脱水後のし渣S’の含水率も81〜83%から70〜75%に低下したことが判る。
(A)ドラムスクリーン2でろ過する前に、髪の毛や厨芥を破砕せず、糞塊を破砕できる。これにより、ドラムスクリーン2で糞塊が捕捉されることを防止できる。
(B)後段の生物処理装置で分解されない髪の毛や厨芥が破砕されてドラムスクリーン2を通過しろ過水Fに混じることを防止できる。
(C)糞成分がドラムスクリーン2を通過しろ過水Fに混じるので、後段の生物処理装置へ栄養を十分供給できる。
(D)捕捉したし渣S中の糞成分が減少するので、脱水性が改善され、脱水後のし渣S’の含水率を小さく出来る。これにより、脱水後のし渣S’が衛生的になると共に嵩も小さくなり、脱水後のし渣S’の処理が楽になる。
このし渣除去装置200では、撹拌破砕機30への原水Wの流入口31bよりも処理水の流出口31cの方が高い位置にある。それ以外は実施例1と同じ構成である。
このし渣除去装置300では、撹拌破砕機30への原水Wの流入口31bを回転羽根33より下の位置に設けている(同じ高さでもよい)。それ以外は実施例2と同じ構成である。
1a 流量計
2 ドラムスクリーン
2a ドラムモータ
2b し渣排出ガイド
4 ろ過水槽
5 ホッパ
6 脱水機
6a 脱水モータ
6b スクリュー
6c し渣排出口
20 制御装置
30 撹拌破砕機
31 ケーシング
31a すり鉢状底部
31b 流入口
31c 流出口
32 止め板
33 回転羽根
34 回転軸
35 撹拌モータ
100 し渣除去装置
Claims (5)
- 原水流入管(1)から流入する原水(W)を回転羽根(33)で撹拌し原水(W)中に含まれる糞塊を止め板(32)にぶつけて破砕する撹拌破砕機(30)と、前記撹拌破砕機(30)を経た処理水をろ過してし渣を取り出すドラムスクリーン(2)と、前記ドラムスクリーン(2)から排出された前記し渣を受け取るホッパ(5)と、前記ホッパ(5)に溜まったし渣をし渣排出口(6c)へとスクリュー(6b)で押してその圧搾により脱水する脱水機(6)とを備えたことを特徴とするし渣除去装置(100)。
- 請求項1に記載のし渣除去装置(100)において、前記撹拌破砕機(30)は、すり鉢状底部(31a)を持つケーシング(31)と、前記すり鉢状底部(31a)のテーパ面に立設された止め板(32)と、原水(W)を撹拌するための回転羽根(33)とを備えてなることを特徴とするし渣除去装置(100)。
- 請求項2に記載のし渣除去装置において、前記回転羽根(33)は、止め板(32)との最短間隔が2[mm]以上25[mm]以下になる外羽根(33a)と、外羽根(33a)が回転する空間よりも回転軸(34)に近い空間を撹拌する内羽根(33b)とを備えてなることを特徴とするし渣除去装置(100)。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載のし渣除去装置において、前記撹拌破砕機(30)への原水(W)の流入口(31b)よりも前記撹拌破砕機(30)からの処理水の流出口(31c)の方が高い位置にあることを特徴とするし渣除去装置(200,300)。
- 請求項4に記載のし渣除去装置において、前記撹拌破砕機(30)への原水(W)の流入口(31b)が前記回転羽根(33)と同じかそれよりも下の位置にあり、前記撹拌破砕機(30)からの処理水の流出口(31c)が前記回転羽根(33)よりも上の位置にあることを特徴とするし渣除去装置(300)。
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