JP4175588B2 - 電力ケーブルの半導電層用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力ケーブルの半導電層用樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、吸水量が少なく、直流漏れ電流が僅少であり、またボイドの発生が抑制された半導電層用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電力ケーブル、特に高圧電力ケーブルは、一般に、絶縁体界面における電界集中の緩和や部分放電の防止を目的として、体積抵抗率として概ね105 Ω−cm以下の導電性を持つように調製された半導電層を絶縁体の内部および外部に設けられている。
この半導電層は、一般に、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレンーエチルアクリレート共重合体などのエチレン系共重合体等のオレフィン系樹脂をベース樹脂とし、これにファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどの導電性のカーボンブラックを配合して導電性を付与した樹脂組成物で形成されている。
【0003】
しかし、一般に、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラックは吸水し易く、これを配合した樹脂組成物からなる半導電層が形成された電力ケーブルでは直流漏れ電流が増加するという問題があった。
また、押出成形時に発泡してボイド(空隙)が発生し、電力ケーブルの表面性状を悪化させるという問題もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の状況に鑑み、吸水量が少なく、直流漏れ電流が僅少であり、またボイドの発生が抑制された電力ケーブルの半導電層用樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、ベース樹脂であるエチレン系共重合体の結晶化度に着目するとともに、カーボンブラックとして吸水性が低い黒鉛化カーボンブラックを用いることが効果的にあることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、上記本発明の目的を達成するために、結晶化度が30%以下であるエチレン系共重合体100重量部に対して、黒鉛化カーボンブラックが30〜70重量部配合されていることを特徴とする電力ケーブルの半導電層用樹脂組成物を提供する。
【0007】
一般に、結晶化度が高いエチレン系共重合体にカーボンブラックを配合すると、カーボンブラックが偏在し易くなり、カーボンブラックの密度の高い部分において吸水量が多くなる。これに対して結晶化度が低いエチレン系共重合体にカーボンブラックを配合すると、カーボンブラックが均一に分散されるようになり、局所的な高吸水量部分の発生が無くなる。本発明では、ポリエチレン系共重合体の結晶化度をカーボンブラックの偏在が起こらない範囲とし、かつカーボンブラックについても、従来用いられているファーネスブラックやアセチレンブラック、ケッチェンブラックなどに比べて吸水性が低い黒鉛化カーボンブラックを用いることにより、さらなる吸水量の低減が図られる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明でベース樹脂として用いるエチレン系共重合体としては、結晶化度が30%以下のものが用いられる。結晶化度が30%以下であれば、その組成については特に制限されるものではないが、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンーエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)等が挙げられる。
エチレン系共重合体の結晶化度はコモノマーの含有量が多くなるほど結晶化度が低下する傾向にあり、本発明においてはコモノマーの含有量により結晶化度を30%以下となるように調整する。また、結晶化度は、DSC(示差走査熱量測定)により求めることができる。
また、これらのエチレン系共重合体は、一種用いることも、二種以上を混合して用いることもできる。
【0009】
本発明においては、上記のエチレン系共重合体からなるベース樹脂に導電性を付与するために配合されるカーボンブラックとして、黒鉛化カーボンブラックを使用する。
黒鉛化カーボンブラックは、従来用いられていたファーネスブラックなどのカーボンブラックをさらに不活性雰囲気中で2000〜3000℃の高温で処理したものであって、元の粒子径を保持したまま粒子内の結晶成長をさせたものである。この黒鉛化カーボンブラックは、従来用いられていたファーネスブラックなどのカーボンブラックに比べて不純物が低減され、耐熱性が向上され、水分を始めとする液体などの吸着性が低減されている。黒鉛化カーボンブラックの粒子径や比表面積などの物性は、必要に応じて適宜選択することができる。かかる黒鉛化カーボンブラックの例として、東海カーボン株式会社製のトーカブラック#3845、#3855あるいは#3885(商品名)などが挙げられる。
黒鉛化カーボンブラックの配合量は、エチレン系共重合体100重量部に対して30〜70重量部であり、好ましくは50〜60重量部である。黒鉛化カーボンブラックの配合量が、30重量部未満の少量の場合は半導電層としての導電性が不十分となり、一方70重量部を越える多量の場合は樹脂組成物の溶融時の粘度が高くなって押出成形が困難になり、何れの場合も所期の目的を達成できない。
【0010】
また、本発明の半導電性層用樹脂組成物には、架橋剤が配合されてもよい。この架橋剤としては、従来からエチレン系共重合体等の架橋剤として知られたものを適宜選択して用いることができ、その例として、ジクミルパ−オキサイド、過酸化ベンゾイル、2,5−ジメチルー2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキシンー3、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等の有機過酸化物等が挙げられる。これらの中でも、ジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。
架橋剤の配合量は、必要に応じて適宜設定することができるが、エチレン系共重合体100重量部に対して0.5〜2.0重量部が適当である。
【0011】
更に、本発明の半導電層用樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤など、一般にオレフィン系樹脂組成物に添加される添加剤を適量添加することができる。中でも、酸化防止剤の添加は好ましい。
【0012】
本発明の半導電層用樹脂組成物は、上記各組成物成分を、ヘンシェルミキサー、オープンロールミキサー、バンバリー混合機、ニーダーなどの既知の混合手段を用いて均一に混合することにより容易に調製することができる。
また、本発明の半導電層用樹脂組成物による電力ケーブルの半導電層の形成は、押出成形と、架橋剤が用いられている場合はそれに続く架橋処理を行う、公知の電力ケーブルの製造方法により容易に行うことができる。
【0013】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0014】
(実施例1〜4、比較例1〜5)
表1に示した如く各成分を配合し、ヘンシェルミキサーにより混練して樹脂組成物コンパウンドを得た。この樹脂組成物コンパウンドを半導電層用として用いて、押出機にて、外径9.3mmの導体上に厚さ1mmの内部半導電層、厚さ3mmの絶縁層、厚さ0.7mmの外部半導電層を三層同時押出成形してケーブルを作成し、このケーブルを窒素雰囲気中で280℃にて3分間加熱して化学架橋処理した。尚、絶縁層の形成には日本ユニカー(株)製「HFDJ−4201」を用いた。
【0015】
上記半導電層用樹脂組成物コンパウンドの水分含有量、及び得られたケーブルの半導電層の直流漏れ電流、体積抵抗率を測定した。また、押出成形時における半導電層用樹脂組成物コンパウンドの押出加工性を評価した。
水分含有量は、カールフィッシャー法でJIS K0068に準拠して測定した。また、直流漏れ電流は、中部精機社製の直流高圧漏れ電流測定器・HLD−20Aを使用してケーブル長300mに対して−16kVの電圧を印加後、7分後の漏れ電流値を測定した。また、押出加工性は、押出成形時の半導電層用樹脂組成物を撹拌する際のモータトルク値の上昇状況と、押出成形時の外部半導電層のボイド発生状況など表面状態の目視による観察結果とから総合的に評価した。
これらの結果を表1に示した。
【0016】
【表1】
【0017】
*1:低密度ポリエチレン(密度:0.91、MFR:15g/10min、
結晶化度:42%)
*2:エチレン−酢酸ビニル共重合体(密度:0.94、MFR:15g/1
0min、結晶化度:25%)
*3:エチレンーエチルアクリレート共重合体(密度:0.93、MFR:1
5g/10min、結晶化度:27%)
*4:粒子径:40nm、比表面積:60m2 /g、DBP吸油量:175m
l/100g
*5:粒子径:25nm、比表面積:85m2 /g、DBP吸油量:130m
l/100g
*6:粒子径:40nm、比表面積:58m2 /g、DBP吸油量:170m
l/100g
*7:ジクミルパーオキサイド
*8:4,4'−チオビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)
*9:○=良好、△=やや悪い、×=悪い
【0018】
表1から明らかなように、実施例1〜4の半導電層用樹脂組成物は、水分含有量が少なく、その押出加工性もボイドの発生等もなく良好であり、半導電層の直流漏れ電流も少ない。
これに対して、比較例1は結晶化度30%以下のエチレン系共重合体にファーネスブラックを配合した例であるが、水分含有量が多く、押出加工性が悪く、直流漏れ電流も大きい。比較例2及び3は結晶化度30%以上の低密度ポリエチレンに黒鉛化カーボンブラックを配合した例であるが、水分含有量が多く、押出加工性が悪く、直流漏れ電流も大きい。比較例4は黒鉛化カーボンブラックを本発明の範囲より多量に配合した例であるが、水分含有量が多く、溶融時の粘度が高くなり押出加工性が悪い。比較例5は黒鉛化カーボンブラックを本発明の範囲よりも少なく配合した例であるが、水分含有量が少なく、また押出成形性も良好であるが、導電性が不足している。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、吸水量が少なく、直流漏れ電流が僅少であり、ボイドの発生が抑制された電力ケーブルの半導電層用樹脂組成物が提供される。
Claims (2)
- 結晶化度が30%以下であるエチレン系共重合体100重量部に対して、黒鉛化カーボンブラックが30〜70重量部配合されていることを特徴とする電力ケーブルの半導電層用樹脂組成物。
- 前記エチレン系共重合体がエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンーエチルアクリレート共重合体またはエチレン−プロピレン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の電力ケーブルの半導電層用樹脂組成物。
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