JP6564258B2 - 半導電性樹脂組成物およびこれを用いた電力ケーブル - Google Patents

半導電性樹脂組成物およびこれを用いた電力ケーブル Download PDF

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本発明は、半導電性樹脂組成物およびこれを用いた電力ケーブルに関するものである。
従来より、エチレン−プロピレンゴムからなる絶縁層を備えたケーブルが知られている。このようなケーブルにおいて、高圧送電(たとえば、6000V以上)に用いられるケーブルでは、エチレン−プロピレンゴムからなる絶縁層の外周に、さらに外部半導電層が設けられている。このような外部半導電層を有するケーブルにおいては、通常、終端処理や中間接続のための末端処理として、外部半導電層を剥ぎ取る工程が含まれる。そのため、このような外部半導電層としては、容易に剥離できることが求められている。
たとえば、特許文献1では、高圧送電用のケーブルの外部半導電層を形成するために用いられる、半導電性樹脂組成物として、エチレン−酢酸ビニル共重合体100質量部に対して、30〜200質量部の塩素化ポリエチレンと、6〜300質量部のアセチレンブラックとを配合してなるものが開示されている。
特開昭56−67109号公報
ここで、高圧送電用のケーブルの外部半導電層を形成するために用いられる、半導電性樹脂組成物としては、体積抵抗率が十分に低いことが求められるが、その一方で、上記特許文献1に記載の半導電性樹脂組成物では、体積抵抗率が十分に低減されたものではなかった。一方、上記特許文献1に記載の半導電性樹脂組成物において、体積抵抗率を低減するために、アセチレンブラックの配合量を増大させる方法も考えられるが、この場合には、半導電性樹脂組成物の溶融粘度が上昇してしまい、混練や押出しが困難になるなど加工性が悪化してしまうという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、加工性に優れ、かつ、体積抵抗率が十分に低減され、剥離容易性(外部半導電層等とした場合における剥ぎ取り易さ)に優れた半導電性樹脂組成物、および該半導電性樹脂組成物を用いて得られる電力ケーブルを提供することにある。
[1]本発明に係る半導電性樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体85〜97質量%、および塩素化ポリエチレン3〜15質量%を含むベース樹脂100質量部に対し、40〜60質量部のファーネスブラックを配合してなることを特徴とする。
[2]本発明に係る電力ケーブルは、導体と、前記導体の外周に被覆された絶縁層および外部半導電層と、を少なくとも備え、前記外部半導電層が上記発明の半導電性樹脂組成物で構成されることを特徴とする。
本発明によれば、加工性に優れ、かつ、体積抵抗率が十分に低減され、剥離容易性(外部半導電層等とした場合における剥ぎ取り易さ)に優れた半導電性樹脂組成物、および該半導電性樹脂組成物を用いて得られる電力ケーブルを提供することができる。
図1は、本実施形態に係る電力ケーブルの断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る半導電性樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体78〜97質量%、および塩素化ポリエチレン3〜22質量%を含むベース樹脂100質量部に対し、40〜60質量部のファーネスブラックを配合してなる。
<ベース樹脂>
ベース樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体78〜97質量%、および塩素化ポリエチレン3〜22質量%を含有する。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)としては、エチレンと、酢酸ビニルとを含む単量体を共重合してなる共重合体であればよく、特に限定されないが、酢酸ビニル含有量が5〜40質量%であり、メルトフローレイト(MFR、温度190℃、荷重2.2Kg、時間10分)が0.1〜20のものを好ましく用いることができる。
ベース樹脂中における、エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有割合は、78〜97質量%であり、好ましくは80〜95質量%、より好ましくは85〜90質量%である。エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有割合が少なすぎると、半導電性樹脂組成物のムーニー粘度が高くなってしまい、加工性が悪化してしまう。一方、含有割合が多すぎると、体積抵抗率が高くなり過ぎてしまう。
塩素化ポリエチレン(CPE)としては、ポリエチレンの水素の一部を塩素で置換してなる樹脂であればよく、結晶性、半結晶性、非晶性のいずれであってもよい。塩素化ポリエチレンを配合することにより、半導電性樹脂組成物の体積抵抗率を低くすることができる。
塩素化ポリエチレンとしては、塩素含有量が23〜40質量%のものが好ましく、塩素含有量が30〜40質量%であるものがより好ましい。また、塩素化ポリエチレンの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは3万〜20万、より好ましくは3万〜10万である。
ベース樹脂中における、塩素化ポリエチレンの含有割合は、3〜22質量%であり、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは10〜15質量%である。塩素化ポリエチレンの含有割合が少なすぎると、塩素化ポリエチレンを配合することによる、体積抵抗率の低減効果が不十分となる。一方、含有割合が多すぎると、半導電性樹脂組成物のムーニー粘度が高くなってしまい、加工性が悪化してしまう。
また、ベース樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、および塩素化ポリエチレンに加えて、他の樹脂を含有していてもよく、このような他の樹脂としては、特に限定されないが、エチレン−アクリル酸エチル コポリマー(EEA)、エチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴムなどが挙げられる。これら他の樹脂の含有割合は、ベース樹脂中、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
<ファーネスブラック>
ファーネスブラックは、ファーネス法、すなわち、石油を高温ガス中で不完全燃焼させることにより得られるカーボンブラックである。本実施形態においては、上述したベース樹脂に、所定量のファーネスブラックを配合することにより、半導電性樹脂組成物のムーニー粘度を上昇させることなく、体積抵抗率を十分に低減させることができるとともに、剥離容易性(外部半導電層等とした場合における剥ぎ取り易さ)に優れたものとすることができる。
ファーネスブラックとしては、その算術平均粒子径は、特に限定されないが、剥離容易性をより高めることができるという点より、20〜40nmの範囲にあることが好ましく、20〜30nmの範囲にあることがより好ましく、20〜25nmの範囲にあることがさらに好ましい。
また、ファーネスブラックとしては、その比表面積(窒素吸着比表面積)は、特に限定されないが、体積抵抗率をより低くすることができ、かつ、剥離容易性をより高めることができるという点より、50〜300m/gの範囲にあることが好ましく、100〜250m/gの範囲にあることがより好ましく、180〜250m/gの範囲にあることがさらに好ましい。
半導電性樹脂組成物中における、ファーネスブラックの配合量は、ベース樹脂100質量部に対して、40〜60質量部であり、好ましくは45〜60質量部、より好ましくは50〜60質量部である。本実施形態においては、ファーネスブラックを用いることにより、上記のように比較的少ない配合量でも、半導電性樹脂組成物の体積抵抗率を十分に低減させることができ、しかも、半導電性樹脂組成物を、剥離容易性にも優れたものとすることができる。そして、本実施形態によれば、このように、比較的少ない配合量とすることができることにより、ファーネスブラックなどのカーボンブラックを比較的多量に用いた場合における、ムーニー粘度の上昇の問題を招来することなく、体積抵抗率の低減効果、および剥離容易性の向上効果を適切に得ることができるものである。
特に、本実施形態においては、ベース樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合体に、上記所定量の塩素化ポリエチレンを配合し、これにファーネスブラックを組み合わせて用いることにより、塩素化ポリエチレンの作用により、半導電性樹脂組成物中にファーネスブラックの連鎖構造(導電構造)が形成され易くなるという効果を奏するものである。そして、これにより、ファーネスブラックを比較的少量配合した場合でも、導電性を十分に高めることができ、結果として、体積抵抗率を十分に低減させることができるものである。なお、この理由としては、たとえば、塩素化ポリエチレンの結晶化に関する特性や、ファーネスブラックの比表面積が大きいという特性などに起因するものと考えられる。一方で、ファーネスブラック以外のカーボンブラック、たとえば、アセチレンブラックなどを用いた場合には、体積抵抗率を十分に低いものとしたり、あるいは、剥離容易性に優れたものとするためには、これらを比較的多量に用いる必要があり、ムーニー粘度が上昇し、加工性に劣るという不具合がある。
なお、半導電性樹脂組成物中における、ファーネスブラックの配合量が少なすぎると、体積抵抗率が高くなったり、剥離容易性が悪化したりする。一方、ファーネスブラックの配合量が多すぎると、ムーニー粘度が上昇してしまい、加工性が低下してしまう。
<その他の成分>
本実施形態の半導電性樹脂組成物は、上述したベース樹脂およびファーネスブラックに加えて、架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、ベース樹脂を架橋させることできるものであればよく、特に限定されないが、通常は、有機過酸化物架橋剤が用いられる。
有機過酸化物架橋剤の具体例としては、ヒドロキシパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジアルキル(アリル)パーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンビドロパーオキサイド、ジプロピオニルパーオキサイド、ジオクタノイルパーオキサイド、p-メチルベンゾイルパーオキサイド、パーオキシケタール、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等が挙げられる。これらのなかでも、架橋性に特に優れているという観点より、ジクミルパーオキサイドが好ましい。
また、本実施形態の半導電性樹脂組成物には、必要に応じて、架橋助剤、充填剤、軟化剤、滑剤、老化防止剤、安定剤、難燃剤などの各種配合剤をさらに含有させてよい。
老化防止剤としては、特に限定されず、樹脂組成物やゴム組成物の分野で用いられている老化防止剤を制限なく用いることができるが、たとえば、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール等のヒンダードフェノール系;4,4’−チオビス−(6−tert−ブチル−3-メチルフェノール)等のチオビスフェノール系;ホスファイト、トリス(混合物−および−ノニル−フェニル)ホスファイト等のりん系;2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メチルメルカプトベンズイミダゾール等のイミダゾール系;トリス(ノニルフェニル)、ジラウリル・チオジプロピオネート、ジステアリル・チオジプロピオネート、ジステアリル−β,β−チオジブチレート、ラウリル・ステアリル・チオジプロピオネート、含硫黄エステル系化合物、アミル−チオグリコレート、1,1’− チオビス−(2−ナフトール)、ヒドラジン誘導体などを用いることができる。
本実施形態の半導電性樹脂組成物は、ベース樹脂を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体、および塩素化ポリエチレン、ならびに、必要に応じて配合される架橋剤などの各種配合剤を、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、二軸押出機、ブスコニーダー、ヘンシェルミキサー、ロールニーダー等を用いて混練することにより得ることができる。この際においては、架橋剤を除く成分を予め混練しておき、次いで、得られた混練物に、架橋剤を配合して混練するような工程を採用してもよい。
<電力ケーブル>
次いで、本実施形態の電力ケーブルについて説明する。図1は、本実施形態に係る電力ケーブルを示す断面図である。図1に示すように、本実施形態の電力ケーブル1は、導体10と、導体10を被覆する内部半導電層20と、内部半導電層20を被覆する絶縁層30と、絶縁層30を被覆する外部半導電層40とを備える。
本実施形態の電力ケーブル1を構成する各層のうち、外部半導電層40は、上述した本実施形態の半導電性樹脂組成物で構成される層であり、絶縁層30と良好に密着している一方で、端末加工時には絶縁層30から容易に剥ぎ取れる、いわゆるフリーストリッピング型の半導電層として作用する。
なお、本実施形態の電力ケーブル1は、外部半導電層40の外側に、遮蔽層、押えテープ層およびシースをさらに備えていてもよい。また、絶縁層3の厚さは、たとえば3〜10mmであり、外部半導電層4の厚さは、たとえば0.2〜2mmである。本実施形態の電力ケーブル1は、たとえば、使用電圧が3.3〜33kVの高電圧用途に特に有用である。
導体10としては、銅線、銅合金線、アルミニウム線等の電力ケーブル用途に用いられている金属線を用いることができる。また、このような金属線の表面にスズや銀等のめっきを施したものを用いてもよく、導体10としては、単線あるいは撚線のいずれであってもよい。
内部半導電層20は、導体10を被覆する半導電性の層であり、内部半導電層用樹脂組成物を用い、これを架橋することにより形成される。内部半導電層用樹脂組成物は、通常、エチレン系重合体、導電性カーボン、有機過酸化物架橋剤、および老化防止剤を含む。エチレン系重合体としては、たとえば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルメタクリレート共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレンジエンゴム(EPDM)が挙げられる。また、有機過酸化物架橋剤および老化防止剤としては、上述したものなどを用いることができる。
絶縁層30は、内部半導電層20を被覆する絶縁性の層であり、絶縁層用樹脂組成物を用い、これを架橋することにより形成される。絶縁層用樹脂組成物は、通常、エチレン系重合体、有機過酸化物架橋剤、および老化防止剤を含有する。エチレン系重合体、有機過酸化物架橋剤および老化防止剤としては、上述したものなどを用いることができる。
外部半導電層40は、絶縁層30を被覆する半導電性の層であり、上述した本実施形態に係る半導電性樹脂組成物から構成され、好ましくは、半導電性樹脂組成物を架橋することにより形成される。本実施形態においては、外部半導電層40は、絶縁層30と良好に密着している一方で、端末加工時には絶縁層30から容易に剥ぎ取れる、いわゆるフリーストリッピング型の半導電層である。
本実施形態の電力ケーブル1の製造方法としては、特に限定されないが、たとえば、導体10の外周に、内部半導電層20を形成するための内部半導電層用樹脂組成物からなる層、絶縁層30を形成するための絶縁層用樹脂組成物からなる層、および、外部半導電層40を形成するための本実施形態の半導電性樹脂組成物からなる層の3層を、同時押出し成形により押し出して、成形体を得て、これら3層を同時に架橋する方法などが挙げられる。
本実施形態の半導電性樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体78〜97質量%、および塩素化ポリエチレン3〜22質量%を含むベース樹脂100質量部に対し、40〜60質量部のファーネスブラックを配合してなるものである。そして、本実施形態のゴム組成物によれば、上記構成を有するベース樹脂に、上記所定量のファーネスブラックを配合することにより、ムーニー粘度の上昇を抑えながら、体積抵抗率を十分に低くすることができ、さらには、剥離容易性(外部半導電層等とした場合における剥ぎ取り易さ)に優れるものである。
そのため、本実施形態によれば、本実施形態の半導電性樹脂組成物を、電力ケーブル1の外部半導電層40に用いることにより、電力ケーブル1を、体積抵抗率が十分に低く、しかも、絶縁層30から剥離する際における剥離容易性に優れた外部半導電層40を備えるものとすることができる。そして、結果として、電力ケーブル1を、電気特性に優れ、終端処理や中間接続のための末端処理を容易に行うことができるものとすることができ、本実施形態の電力ケーブル1は、このような特性を活かし、高圧送電(たとえば、6000V以上)に用いられるフリーストリッピング型ケーブルとして好適に用いることができる。
以下に、実施例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
<実施例1〜5、比較例1〜6>
表1に示す各成分を、表1に示す割合で配合し、100℃のロールで混練することにより、半導電性樹脂組成物を得た。なお、表1において、各成分としては具体的に以下のものを使用した。
(1)エチレン−酢酸ビニル共重合体:エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(商品名「エバフレックスV523」、三井・デュポンポリケミカル社製、酢酸ビニル含有量33質量%、メルトフローレイト(MFR、温度190℃、荷重2.2Kg、時間10分)14)
(2)塩素化ポリエチレン:塩素化ポリエチレン(CPE)(商品名「エラスレン404B」、昭和電工社製、塩素含有量40質量%)
(3)ファーネスブラック:ファーネスブラック(商品名「トーカブラック#5500」、東海カーボン社製、算術平均粒子径25nm、窒素吸着比表面積225)
(4)アセチレンブラック:アセチレンブラック(商品名「デンカブラック」、電気化学工業社製)
(5)ステアリン酸:ステアリン酸(日油社製)
(6)老化防止剤:ビスフェノール系酸化防止剤(商品名「ノクラック300」、大内新興化学工業社製)と、アミン−ケトン系老化防止剤(商品名「ノクラック224」、大内新興化学工業社製)との1:1(重量比)の混合物
(7)安定剤:三塩基性硫酸鉛複合安定剤(商品名「スタビネックスTCS」、水沢化学工業社製)
(8)二塩基酸:二塩基酸フタル酸鉛(商品名「DLF」、堺化学社製)
(9)酸化亜鉛:酸化亜鉛(三井金属工業社製)
(10)酸化マグネシウム:酸化マグネシウム(協和化学工業社製)
(11)有機過酸化物架橋剤:ジクミルパーオキシド(日油社製)
(12)トリアリルシアネート:トリアリルシアネート(化薬アクゾ社製)
次いで、上記にて得られた半導電性樹脂組成物を用いて、下記の各評価を行った。
<ムーニー粘度ML(1+4,100℃)>
上記にて得られた半導電性樹脂組成物について、「JIS K6300−1 未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準拠して、ムーニー粘度ML(1+4,100℃)の測定を行った。なお、測定温度を100℃とし、L型のロータを用い、予熱時間1分として、回転4分後の値を測定した。ムーニー粘度ML(1+4,100℃)が低いほど、加工性に優れると評価できる。なお、ムーニー粘度ML(1+4,100℃)が60以下を合格とした。結果を表1に示す。
<体積抵抗率>
上記にて得られた半導電性樹脂組成物を、170℃、15分の条件でプレス架橋することで、厚さ1mmのシート状架橋物を得た。そして、得られたシート状架橋物を、幅20mm、長さ80mmの短冊状に切断し、得られた切断サンプルの長さ方向の両端の5mmの部分に導電性塗料を塗布することで、長さ方向両端に電極を形成することで、測定サンプルを得た。そして、得られた測定サンプルについて、「日本ゴム協会標準規格SRIS 2301−1969 導電性ゴムおよびプラスチックの体積抵抗率試験方法」(廃止)のホイートストンブリッジ法に準拠して、体積抵抗率の測定を行った。体積抵抗率が低いほど、半導電層としての特性に優れると評価できる。なお、体積抵抗率は50Ω・cm以下を合格とした。結果を表1に示す。
<剥離試験>
上記にて得られた半導電性樹脂組成物を、120℃でプレス成型(予備成型)することで、幅25mm、長さ100mm、厚さ1mmの半導電性樹脂組成物シートを得た。また、これとは別に、エチレン−プロピレンジエンゴム(EPDM)、有機過酸化物架橋剤(ジクミルパーオキシド)および各種配合剤を含有する絶縁樹脂組成物を、120℃でプレス成型(予備成型)することで、幅25mm、長さ100mm、厚さ3mmの絶縁樹脂組成物シートを得た。そして、上記にて得られた半導電性樹脂組成物シートと、絶縁樹脂組成物シートとを貼り合わせて、厚み3.8mmのスペーサを用いて一対のプレス板に挟んだ状態にて、170℃、15分の条件でプレス架橋を行うことで、半導電性樹脂組成物からなる半導電層と、絶縁樹脂組成物からなる絶縁層とからなる積層体試料(幅25mm、長さ100mm)を得た。なお、この際において、長さ方向端部から40mmの位置までマイラーシートを挟んでおき、この部分を剥離強度測定用の口出し部とした。
そして、得られた積層体試料について、引張試験機を用い、口出し部を開いて上下のチャックでつかんだ状態にて、室温で200mm/分の速度で引っ張ることで剥離試験を行い、剥離時の引張り力を測定し、これを剥離力とした。なお、剥離試験においては、剥離試験の結果、半導電層および絶縁層の各層の界面がそのまま現れた状態で剥離したものについてのみ、適切に剥離が起こったと判断し、剥離力の測定を行った。一方、剥離試験の結果、100N/(1/2inch)まで引張り力を上げても剥離が起こらなかった場合、あるいは、剥離が起こった場合でも、半導電層および絶縁層の各層のいずれか一方または両方の界面に、他方の樹脂が残存した状態となった場合には、剥離不能と判断した。剥離力が低いほど、剥離容易性(外部半導電層等とした場合における剥ぎ取り易さ)に優れると判断することができる。結果を表1に示す。
Figure 0006564258
<評価>
表1に示すように、エチレン−酢酸ビニル共重合体78〜97質量%、および塩素化ポリエチレン3〜22質量%を含むベース樹脂100質量部に対し、40〜60質量部のファーネスブラックを配合してなる実施例1〜5の半導電性樹脂組成物は、ムーニー粘度が低く、加工性に優れ、また、これを架橋して得られる架橋体は、体積抵抗率が低く、また、剥離力が低く、剥離容易性に優れたものであった。
一方、塩素化ポリエチレンの含有割合が多すぎる比較例1〜3は、ムーニー粘度が高く、加工性に劣るものであった。
また、塩素化ポリエチレンを配合しなかった比較例4は、体積抵抗率が100Ω・cmを超え、体積抵抗率に劣るものであった。
さらに、ファーネスブラックの代わりに、アセチレンブラックを使用した比較例5は、体積抵抗率が100Ω・cmを超え、体積抵抗率に劣るものであり、さらには、剥離試験において、100N/(1/2inch)まで引張り力を上げても剥離が適切に起こらず、剥離不能となる結果となった。
また、ベース樹脂100質量部に対する、ファーネスブラックの配合量を70質量部とした比較例6は、ムーニー粘度が高く、加工性に劣るものであった。
1…電力ケーブル
10…導体
20…内部半導電層
30…絶縁層
40…外部半導電層

Claims (2)

  1. エチレン−酢酸ビニル共重合体85〜97質量%、および塩素化ポリエチレン3〜15質量%を含むベース樹脂100質量部に対し、40〜60質量部のファーネスブラックを配合してなることを特徴とする半導電性樹脂組成物。
  2. 導体と、前記導体の外周に被覆された絶縁層および外部半導電層と、を少なくとも備えた電力ケーブルであって、
    前記外部半導電層が請求項1に記載の半導電性樹脂組成物で構成されることを特徴とする電力ケーブル。
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