JP6429123B2 - 送電ケーブル - Google Patents

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Description

本発明は、半導電性樹脂組成物およびそれを用いた送電ケーブルに関する。
送電ケーブルは、例えば、複数の導体を撚り合わせた撚り線と、撚り線の外周を被覆するように絶縁層と遮蔽層(例えばワイヤーシールド)と外被層(シース)とをこの順で備えている。一般に、撚り線の外周には複数の導体を撚り合わせることで凹凸が形成されるので、撚り線の外周に設けられる絶縁層にも凹凸が形成される。この絶縁層の外周に遮蔽層を直接設けると、絶縁層と遮蔽層との界面には絶縁層の凹凸により空隙が形成されてしまう。
このような送電ケーブルに高電圧を印加すると、空隙で部分放電が発生するおそれがある。部分放電は、送電ケーブルの近傍の空気をイオン化させることにより絶縁層の劣化を促進し、絶縁破壊を生じさせる。
そこで、高電圧が印加される高圧用の送電ケーブル、例えば高速鉄道などの車輌に用いられる特別高圧ケーブルには、部分放電を抑制するため、絶縁層と遮蔽層との間に半導電層(外部半導電層)が設けられる。外部半導電層は、絶縁層の表面にある凹凸を埋めて部分放電の発生を抑制する。また、外部半導電層は、導電性付与剤を含有する半導電性樹脂組成物で形成されており、絶縁層の表面電位を均一化することにより部分放電を抑制する。
外部半導電層は、部分放電を抑制する観点から、絶縁層の表面の凹凸を埋めて絶縁層と密着している必要がある。一方、外部半導電層には、送電ケーブルの端末加工時に、絶縁層を傷つけることなく、絶縁層から容易に剥離できることが要求されている。したがって、絶縁層と良好に密着し、送電ケーブルの端末加工時には絶縁層から容易に剥離できる外部半導電層が望まれている。
このような外部半導電層を形成する半導電性樹脂組成物のベース樹脂には、絶縁層を形成する樹脂(例えば、エチレンプロピレンゴム等)に対して過度に密着することなく、適度な密着性を有する熱可塑性樹脂が用いられている。例えば、外部半導電層を形成する熱可塑性樹脂として、酢酸ビニルを10質量%以上40質量%以下含有するエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2001−302856号公報
しかしながら、特許文献1の熱可塑性樹脂は絶縁層を形成する樹脂との密着性が高いので、特許文献1に示す半導電性樹脂組成物で形成される外部半導電層は絶縁層から容易に剥離できないことがある。そのため、特許文献1に示す送電ケーブルでは端末加工しにくいといった問題がある。
そこで、本発明は、絶縁層から容易に剥離できる外部半導電層を形成可能な半導電性樹脂組成物、およびこれを用いた送電ケーブルを提供することを目的とする。
本発明の態様によれば、
導体と、前記導体の外周を囲うように設けられる絶縁層と、前記絶縁層の外周を囲うように設けられる半導電層と、を備え、前記半導電層は、溶解度パラメータSP値が9.3(cal/cm31/2 以上10.1(cal/cm31/2以下である熱可塑性樹脂、導電性付与剤および可塑剤を含有し、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記導電性付与剤を40質量部以上80質量部以下、前記可塑剤を3質量部以上20質量部以下含有する半導電性樹脂組成物で形成されており、前記絶縁層がエチレンプロピレンゴムで形成されており、前記熱可塑性樹脂は、酢酸ビニルを44.0質量%以上83.4質量%以下含有するエチレン酢酸ビニル共重合体であり、前記可塑剤は、トリメリット酸エステル類、アジピン酸エステル類またはリン酸エステル類の少なくとも1つである、送電ケーブルが提供される。
本発明によれば、絶縁層から容易に剥離できる外部半導電層を形成可能な半導電性樹脂組成物、およびこれを用いた送電ケーブルが得られる。
本発明の一実施形態に係る送電ケーブルの断面図である。
[本発明者らが得た知見]
本発明の一実施形態の説明に先立ち、本発明者が得た知見について説明をする。
上述したように、酢酸ビニル含量が10質量%以上40質量%以下であるEVAを含む半導電性樹脂組成物で形成される外部半導電層を、エチレンプロピレンゴムで形成される絶縁層の外周に設ける場合、外部半導電層と絶縁層との密着性が高い傾向にある。そのため、外部半導電層を絶縁層から容易に剥離することが困難である。つまり、絶縁層から外部半導電層を剥離するときの剥離強度が高い。
剥離強度が高い要因としては、上述のEVAと、絶縁層を形成する樹脂との溶解度パラメータSP値の差が小さいことが考えられる。溶解度パラメータSP値は、Fedors法により分子構造から算出され、物質(樹脂)の蒸発エネルギーおよびモル体積から算出される値であり、樹脂の極性の指標となる。一般に、樹脂と樹脂との極性の差(溶解度パラメータSP値の差)が小さいと、2つの樹脂同士の親和性が高くなり、それらの密着性が大きくなることが知られている。
上述のEVAは溶解度パラメータSP値が8.7(cal/cm31/2以上9.2(cal/cm31/2以下程度であるため、EVAとエチレンプロピレンゴム(溶解度パラメータSP値8.2(cal/cm31/2)との溶解度パラメータSP値の差が0.5(cal/cm31/2以上1.0(cal/cm31/2以下程度となる。
溶解度パラメータSP値の差が0.5(cal/cm31/2以上1.0(cal/cm31/2以下程度では、外部半導電層を容易に剥離できるような剥離強度が得られないことから、本発明者らは、溶解度パラメータSP値より高い熱可塑性樹脂を用いて、外部半導電層を形成して検討を行った。ところが、このような熱可塑性樹脂を用いるだけでは、剥離強度を十分に低減できないことが分かった。
そこで、本発明者らは、外部半導電層の剥離強度をさらに低減する方法について検討を行った。その結果、半導電性樹脂組成物に、溶解度パラメータSP値の高い熱可塑性樹脂を用いると共に、可塑剤を多量に含有させるとよいとの知見を見出した。可塑剤は、樹脂の破断伸びを向上させ、樹脂成形体に可撓性を付与するものである。一般に、可塑剤の含有量は、可塑剤のブリードを抑制する観点から、少量がよいと考えられていた。ブリードとは、樹脂組成物に含有させた可塑剤が、樹脂組成物で形成された樹脂成形体の表面に溶出することであり、樹脂成形体をべたつかせて取り扱い性などを低下させる要因となる。
しかしながら、多量の可塑剤を含有させた半導電性樹脂組成物で外部半導電層を形成すると、外部半導電層と絶縁層との界面に可塑剤をブリードさせることで、外部半導電層と絶縁層との密着を抑制することができる。つまり、ブリードさせた可塑剤を外部半導電層と絶縁層との間に介在させることで、外部半導電層と絶縁層との過度な密着を抑制することができる。これにより、絶縁層から外部半導電層を剥離するときの剥離強度を低減することができる。また、可塑剤を外部半導電層からブリードさせているものの、外部半導電層が外被層などで被覆されるため、可塑剤が送電ケーブルの表面にブリードすることで取り扱い性が低下してしまうおそれがない。本発明は、上述の知見に基づいて成されたものである。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について説明する。
(1)半導電性樹脂組成物
本実施形態の半導電性樹脂組成物には、熱可塑性樹脂と導電性付与剤と可塑剤とが含有されている。以下、半導電性樹脂組成物に含有される各成分について説明する。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂は、半導電性樹脂組成物のベース樹脂である。
本実施形態の熱可塑性樹脂は、溶解度パラメータSP値が9.3(cal/cm3)1/2以上10.1(cal/cm3)1/2以下である。この熱可塑性樹脂は、溶解度パラメータSP値が大きいため、絶縁層を形成する熱可塑性樹脂との極性の差が大きくなるような樹脂である。例えば、絶縁層がエチレンプロピレンゴム(溶解度パラメータSP値8.2(cal/cm3)1/2)で形成される場合、本実施形態の熱可塑性樹脂とエチレンプロピレンゴムとの溶解度パラメータSP値の差が少なくとも1.1(cal/cm3)1/2となる。熱可塑性樹脂の溶解度パラメータSP値が9.3(cal/cm3)1/2未満であると、絶縁層を形成する樹脂との溶解度パラメータSP値の差が小さくなるため、外部半導電層が絶縁層に過度に密着して形成され、外部半導電層の剥離強度が高くなってしまう。また、外部半導電層と絶縁層との界面に可塑剤をブリードさせにくくなるので、外部半導電層の剥離強度を低減できなくなってしまう。一方、熱可塑性樹脂の溶解度パラメータSP値が10.1(cal/cm3)1/2を超えると、絶縁層を形成する樹脂との溶解度パラメータSP値の差が大きくなりすぎるため、部分放電を抑制できる程度に外部半導電層を絶縁層に密着させることができなくなる。
熱可塑性樹脂としては、外部半導電層が燃焼した際に有毒ガスを発生させない観点から、ハロゲンを含まない熱可塑性樹脂を用い、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)(溶解度パラメータSP値9.3(cal/cm3)1/2以上10.1(cal/cm3)1/2以下を用いる。EVAは、エチレンユニットと酢酸ビニルユニットからなり、酢酸ビニルユニットの比率(いわゆるVA量)により溶解度パラメータSP値を変更できる。具体的には、EVAのVA量を44質量%以上とすることにより、EVAの溶解度パラメータSP値を9.3(cal/cm3)1/2とすることができる。一方、EVAのVA量を83.4質量%以下とすることにより、EVAの溶解度パラメータSP値を10.1(cal/cm3)1/2以下とすると共に、ガラス転移温度が高くなることによる耐寒性低下を抑制することができる。
(可塑剤)
可塑剤は、半導電性樹脂組成物の破断伸びを向上させ、外部半導電層に可撓性を付与する。また、可塑剤は、外部半導電層と絶縁層との界面に適度にブリードさせることで、外部半導電層の剥離強度を低減させる。さらに、可塑剤は、加熱した際の半導電性樹脂組成物の粘度を低減し、その押出成形性を向上させる。
可塑剤としては、トリメリット酸エステル類、アジピン酸エステル類、リン酸エステル類を用いる。
これらは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの可塑剤は、熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜変更して用いるとよい。これらは、溶解度パラメータSP値が9.3(cal/cm3)1/2以上10.1(cal/cm3)1/2以下の熱可塑性樹脂と適度な相溶性を有しており、半導電性樹脂組成物に多量に含有させた場合に適度にブリードしやすい。さらに、所定の耐熱性を有しており、半導電性樹脂組成物の耐熱性を維持させることができる。
可塑剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して3質量部以上20質量部以下、好ましくは5質量部以上15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以上15質量部以下である。可塑剤の含有量が3質量部未満であると、可塑剤が外部半導電層の表面へブリードしにくくなり、外部半導電層の剥離強度を十分に低減できない。一方、可塑剤の含有量が20質量部を超えると、外部半導電層の剥離強度が低減しすぎるばかりか、外部半導電層の機械的強度が低下してしまう。
(導電性付与剤)
導電性付与剤は、半導電性樹脂組成物に導電性を付与する。導電性付与剤としては、例えば導電性カーボンを用いることができる。この導電性カーボンは、粒子径が小さい、比表面積が大きい、ストラクチャー(粒子の形)が大きい、表面化合物が少ない、といった特徴を有している。導電性カーボンは、少量の添加により導電性を付与できるため、多量に添加する必要がなく、半導電性樹脂組成物の粘度を過度に向上させるおそれがない。
導電性カーボンとしては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラックおよびケッチェンブラック等がある。具体的には、東海カーボン株式会社製のシーストG116(登録商標)、ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製のケッチェンブラックEC(登録商標)、電気化学工業株式会社製のアセチレンブラック(登録商標)等が挙げられる。なお、導電性カーボンは1種を用いてもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
導電性付与剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、40質量部以上80質量部以下である。導電性付与剤の含有量が40質量部未満となると、導電性付与剤の含有量が少なく、外部半導電層に要求される導電性(例えば、体積抵抗率で102Ω・cm以上105Ω・cm以下)を満たすことが困難となる。一方、80質量部を超えると、半導電性樹脂組成物の粘度が過度に高くなるため、押出成形性が低下することになる。
(粘度調整剤)
半導電性樹脂組成物には、さらに粘度調整剤が含有されることが好ましい。粘度調整剤は、熱可塑性樹脂を低粘度化させることで導電性付与剤の熱可塑性樹脂への分散を促進させる。また、半導電性樹脂組成物を製造するときや押し出すときの加熱の際、半導電性樹脂組成物の粘度を低減させて押出成形性を向上させる。さらに、その含有量によっては、可塑剤と同様に外部半導電層の表面にブリードするものと考えられ、外部半導電層の剥離強度をさらに低減させることができる。
粘度調整剤の含有量は、半導電性樹脂組成物の押出成形性を向上させると共に、外部半導電層の剥離強度を低減させる観点からは、熱可塑性樹脂100質量部に対して、可塑剤と粘度調整剤との合計で、好ましくは10質量部以上30質量部以上、より好ましくは15質量部以上25質量部以下である。合計の含有量が10質量部未満であると、粘度調整剤の含有量が少なくなるため、外部半導電層の剥離強度を十分に低減できないばかりか、半導電性樹脂組成物の粘度を低減して押出成形性を向上できないおそれがある。一方、30質量部を超えると、粘度調整剤の含有量が多すぎるため、外部半導電層の機械的強度が低下するおそれがある。
したがって、粘度調整剤を上記範囲内で含有させることで、外部半導電層の剥離強度をさらに低減させることができる。さらに、半導電性樹脂組成物の130℃でのムーニー粘度を50以下に低減し、その押出成形性を向上させることができる。つまり、半導電性樹脂組成物を押し出す際の押出負荷を抑制することができる。
粘度調整剤としては、例えば半導電性樹脂組成物の成形温度(80℃以上110℃以下)付近に融点を有し、100℃での粘度が好ましくは20mm2/sec以下、より好ましくは5mm2/sec以上15mm2/sec以下であるものを用いることができる。
粘度が20mm2/secを超えると、半導電性樹脂組成物の粘度を十分に低減できず、押出成形性を向上できないおそれがある。この結果、半導電性樹脂組成物を均一な被覆厚で押し出して均一な厚さの外部半導電層を形成することが困難となる。なお、粘度調整剤の粘度は、JIS K2283に準拠して測定されたものである。
粘度調整剤としては、例えば、分岐状炭化水素、飽和環状炭化水素または直鎖状炭化水素を用いることができる。これらの中から1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。具体的には、パラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックスなどを用いることができる。パラフィンワックスは、炭素数18以上30以下の直鎖状炭化水素であり、融点が40℃以上70℃以下程度のものである。
マイクロクリスタリンワックスは、炭素数36以上70以下程度の分岐状炭化水素または飽和環状炭化水素であり、融点が60℃以上90℃以下程度のものである。
(その他の添加剤)
本実施形態の半導電性樹脂組成物には、必要に応じて架橋剤、架橋助剤、老化防止剤、滑剤、操作油、耐オゾン防止剤、紫外線防止剤、難燃剤、充填剤、帯電防止剤、粘着防止剤などのその他の添加剤が含有されていてもよい。
外部半導電層の耐変形性を向上させる観点からは、架橋剤が含有されていることが好ましい。耐変形性を向上させることにより、外部半導電層を剥離する際の破壊を抑制することができる。架橋剤としては、例えば、α,α'−ジ(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン(日本油脂株式会社製のパーブチルP)ジクミルパーオキシド(日本油脂株式会社製のパークミルD)などの有機過酸化物を用いることができる。
(2)半導電性樹脂組成物の製造方法
本実施形態の半導電性樹脂組成物は、上述の熱可塑性樹脂、導電性付与剤、可塑剤、必要に応じて粘度調整剤やその他添加剤を混合し、加熱しながら混練することにより成形される。各成分の添加順序は、特に限定されない。
なお、混練は、ミキシングロール、バンバリミキサ、ブラベンダープラストグラフ、加圧型ニーダーなどのバッチ式混練機や単軸または2軸押出機を用いて、同時的あるいは逐次的に行うことができる。混練の際の加熱温度は、熱可塑性樹脂の融点以上(例えば80℃以上110℃以下)とする。
(3)送電ケーブルの構成
次に、本発明の一実施形態に係る送電ケーブルについて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る送電ケーブルの断面図である。
本実施形態の送電ケーブル1は、導体10の外周上に、内部半導電層11、絶縁層12、外部半導電層13、遮蔽層14(以下、シールド層14ともいう)および外被層15(以下、シース15ともいう)を備えている。
以下、送電ケーブル1の各構成について説明する。なお、外部半導電層13以外については、従来公知の構成とすることができる。
(導体)
導体10としては、例えば、複数の金属線を撚り合わせた撚り線を用いることができる。撚り線を構成する金属線としては、低酸素銅や無酸素銅等からなる銅線、銅合金線、銀等からなる他の金属線等を用いることができる。導体10の導体径は特に限定されず、用途に応じて最適な数値が適宜選択される。なお、図1では、6本の金属線からなる撚り線の場合を図示するが、金属線の本数はこれに限定されず、1本の単線、または2本以上の撚り線とすることができる。
(内部半導電層)
内部半導電層11は、導体10の外周を被覆するように設けられている。内部半導電層11の厚さは、例えば0.3mm以上3mm以下である。
内部半導電層11は、熱可塑性樹脂および導電性付与剤を含有する半導電性樹脂組成物で形成されている。内部半導電層11を形成する熱可塑性樹脂としては、絶縁層12との良好な密着性を得る観点から、絶縁層12の熱可塑性樹脂と同系統のものが用いられる。例えば、絶縁層12にエチレンプロピレンゴムやポリエチレンが用いられる場合、エチレンプロピレンゴムやブチルゴムなどが用いられる。なお、内部半導電層11には、架橋剤、架橋助剤、老化防止剤などのその他の添加剤が含有されていてもよい。また、内部半導電層11は、半導電性樹脂組成物を押し出して成形する以外に、例えばスフ製の基布に導電性ブチルゴムを塗布した半導電性布テープを巻き付けることにより形成することもできる。
(絶縁層)
絶縁層12は、内部半導電層11の外周を被覆するように設けられている。絶縁層12の厚さは、例えば3mm以上30mm以下である。
絶縁層12は、熱可塑性樹脂を含有する絶縁性樹脂組成物で形成されている。絶縁層12を形成する熱可塑性樹脂としては、外部半導電層13に用いる熱可塑性樹脂との溶解度パラメータSP値の差が少なくとも1.1(cal/cm3)1/2となるような樹脂を選択する。例えば、エチレンプロピレンゴムやポリエチレンなどを用いることができる。これらの中でもエチレンプロピレンゴムが好ましい。絶縁層12は、内部半導電層11の熱可塑性樹脂と同程度の極性を有するものから形成されているため、内部半導電層11と良好に密着する。なお、絶縁層12には、架橋剤、架橋助剤、老化防止剤などのその他の添加剤が含有されていてもよい。
(外部半導電層)
外部半導電層13は、絶縁層12の外周を被覆するように設けられている。外部半導電層13の厚さは、例えば0.3mm以上3mm以下である。
外部半導電層13は、絶縁層12を形成する樹脂との溶解度パラメータSP値の差が大きくなるような熱可塑性樹脂を含有する半導電性樹脂組成物で形成されている。そのため、外部半導電層13は、絶縁層12と過度に密着することなく絶縁層12の外周に設けられている。また、外部半導電層13は多量の可塑剤を含有しており、外部半導電層13と絶縁層12との界面20には、外部半導電層13に含有されていた可塑剤がブリードしている。ブリードした可塑剤が界面20の全体または一部に存在するため、外部半導電層13は、可塑剤が絶縁層12との界面に介在した状態で絶縁層12の外周に設けられている。これにより、外部半導電層13は、絶縁層12と過度に密着することなく、絶縁層12から剥離するときの剥離強度が低くなるように構成されている。なお、可塑剤が界面20にブリードすることは、外部半導電層13が絶縁層12と過度に密着しにくい熱可塑性樹脂で形成されて界面20での密着性が小さいために促進されるものと考えられる。
外部半導電層13の剥離強度は、絶縁層12がエチレンプロピレンゴムで形成される場合、好ましくは5N/12.7mm以上30N/12.7mm以下、より好ましくは10N/12.7mm以上25N/12.7mm以下である。剥離強度が5N/12.7mm未満となると、外部半導電層13が振動や加工時の曲げなどの外部応力で剥離するおそれがある。一方、剥離強度が30N/12.7mmを超えると、外部半導電層13の密着が強すぎるため、外部半導電層13を剥離する際に外部半導電層13自体が破壊されたり、絶縁層12が破壊されたりするおそれがある。なお、剥離強度は、後述する実施例において具体的に説明する。
外部半導電層13は、導電性付与剤が良好に分散している半導電性樹脂組成物で形成されている。このため、その体積抵抗率は102Ω・cm以上105Ω・cm以下となる。
外部半導電層13は、可塑剤により所望の破断伸びを有するため、剥離する際に破断しにくい。外部半導電層13の剥離強度が大きい場合、剥離する際に外部半導電層13自体が破壊し、剥離性が低下することもあるが、本実施形態では、所望の破断伸びが付与されているため、剥離性の低下が抑制される。
なお、可塑剤は、外部半導電層13の内側および外側の表面にブリードするものの、外部半導電層13が後述するシールド層14およびシース15で被覆されているので、送電ケーブル1の表面まではブリードしにくくなっている。そのため、可塑剤のブリードにより送電ケーブル1の取り扱い性が低下することを抑制することができる。
(シールド層)
シールド層14は、外部半導電層13の外周に設けられ、電流が導体10を流れる際に発生するノイズを遮蔽するものである。シールド層14は、可撓性を得るため、例えば軟銅線などの素線を複数編み込むことにより形成される。
(シース)
シース15は、シールド層14の外周に設けられ、導体10や絶縁層12などを被覆保護するものである。シース15は、従来公知の樹脂組成物から形成され、例えば塩化ビニル樹脂から構成される。
(4)送電ケーブルの製造方法
送電ケーブル1は、例えば以下のように製造することができる。まず、導体10を準備して、導体10の外周上に内部半導電層11用の半導電性樹脂組成物を押し出して内部半導電層11を形成する。そして、内部半導電層11を架橋させる。例えば有機過酸化物を用いて架橋させる場合、内部半導電層11を高温(140℃以上190℃以下)で高圧(1.3MPa)の水蒸気内に15分間、曝すことにより行う。続いて、内部半導電層11の外周に絶縁層12用の樹脂組成物を押し出して絶縁層12を形成し、絶縁層12を架橋させる。続いて、絶縁層12の外周に外部半導電層13用の半導電性樹脂組成物を押し出して外部半導電層13を形成し、外部半導電層13を架橋させる。その後、外部半導電層13の外周にシールド層14およびシース15を設けることで本実施形態の送電ケーブル1を得る。
上述したように、内部半導電層11、絶縁層12および外部半導電層13は、順次押出被覆して形成してもよいが、3層を同時に押し出して形成してもよい。
<本発明の実施形態に係る効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
(a)本実施形態によれば、半導電性樹脂組成物は、溶解度パラメータSP値が9.3(cal/cm3)1/2以上10.1(cal/cm3)1/2以下の熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂100質量部に対して3質量部以上20質量部以下の可塑剤とを含有している。半導電性樹脂組成物によれば、絶縁層12を形成する樹脂との溶解度パラメータSP値の差が大きくなるような溶解度パラメータSP値を有する熱可塑性樹脂を含有しているので、外部半導電層13を絶縁層12と過度に密着させることなく形成することができる。また、半導電性樹脂組成物によれば、ブリードが生じるような多量の可塑剤を含有しているので、外部半導電層13を形成したときに絶縁層12との界面20に可塑剤をブリードさせて、外部半導電層13と絶縁層12との過度な密着を抑制することができる。したがって、本実施形態の半導電性樹脂組成物によれば、絶縁層12から剥離するときの剥離強度が低減されており、端末加工時に容易に剥離することができる外部半導電層13を形成することができる。
(b)本実施形態によれば、半導電性樹脂組成物は、さらに粘度調整剤を含有し、熱可塑性樹脂100質量部に対して、粘度調整剤および可塑剤を合計で10質量部以上30質量部以下含有することが好ましい。粘度調整剤は、半導電性樹脂組成物を調製するときや押し出すときの加熱の際に、半導電性樹脂組成物の粘度を低減して押出成形性を向上させることができる。例えば、半導電性樹脂組成物の130℃でのムーニー粘度を50以下にすることができる。これにより、被覆厚の均一な外部半導電層13を形成することができる。また、粘度調整剤は、可塑剤と同様に外部半導電層13と絶縁層12との界面20にブリードすることで、外部半導電層13の剥離強度をさらに低減させることができる。
(c)本実施形態によれば、粘度調整剤は、分岐状炭化水素、飽和環状炭化水素または直鎖状炭化水素の少なくとも1つであり、温度100℃における粘度が20mm2/sec以下であることが好ましい。このような粘度調整剤によれば、半導電性樹脂組成物の粘度をより低減し、押出成形性をさらに向上させることができる。
(d)本実施形態によれば、可塑剤は、トリメリット酸エステル類、アジピン酸エステル類またはリン酸エステル類の少なくとも1つあることが好ましい。これらの可塑剤は、溶解度パラメータSP値が9.3(cal/cm3)1/2以上10.1(cal/cm3)1/2以下である熱可塑性樹脂と適度な相溶性を有しており、多量に含有させた場合に適度にブリードしやすい。さらに、これらの可塑剤は、耐熱性を有しており、半導電性樹脂組成物の耐熱性を維持させることができる。
(e)本実施形態によれば、熱可塑性樹脂は、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンメチルアクリレート共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体およびニトリルゴムから選ばれる1種または2種以上であることが好ましく、酢酸ビニル量が44.0質量%以上83.4質量%以下となるエチレン酢酸ビニル共重合体であることがより好ましい。このような熱可塑性樹脂によれば、絶縁層12を形成する樹脂との溶解度パラメータSP値の差を大きくできるため、外部半導電層13を絶縁層12から剥離するときの剥離強度をより低減させることができる。
(f)本実施形態によれば、送電ケーブル1は、絶縁層12から剥離するときの剥離強度が低減された外部半導電層13を備えている。そのため、送電ケーブル1は、外部半導電層13を絶縁層12から容易に剥離しやすく、端末加工性に優れている。具体的には、絶縁層12がエチレンプロピレンから形成される場合、外部半導電層13を絶縁層12から幅12.7mmで剥離するときの剥離強度が5N/12.7mm以上30N/12.7mm以下となる。また、外部半導電層13は、導電性付与剤の分散性に優れているため、体積抵抗率が102Ω・cm以上105Ω・cm以下となる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(1)内部半導電層用の半導電性樹脂組成物の調製
まず、内部半導電層用の半導電性樹脂組成物を調製した。具体的には、エチレンプロピレンゴム100質量部に対して、導電性付与剤を40質量部以上80質量部以下と、有機過酸化物や酸化防止剤などの添加剤とを加え、バンバリミキサで混練することで、内部半導電層用の半導電性樹脂組成物を調整した。
(2)絶縁層用の樹脂組成物の調製
続いて、絶縁層用の絶縁性樹脂組成物を調製した。具体的には、溶解度パラメータSP値が8.2(cal/cm3)1/2であるエチレンプロピレンゴム100質量部に対して、クレーを30質量部以上70質量部以下と、有機過酸化物や酸化防止剤などの添加剤とを加え、バンバリミキサで混練することで、絶縁層用の樹脂組成物を調整した。
(3)外部半導電層用の半導電性樹脂組成物の調製
続いて、外部半導電層用の半導電性樹脂組成物を調製した。実施例および比較例において用いた材料は次の通りである。
(A)熱可塑性樹脂として、酢酸ビニル含量(VA量)が異なり、溶解度パラメータSP値が異なるエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いた。
・(a1)VA量80質量%のEVA(溶解度パラメータSP値10.1(cal/cm3)1/2):「レバプレン800HV」(ランクセス株式会社製)
・(a2)VA量70質量%のEVA(溶解度パラメータSP値9.8(cal/cm3)1/2):「レバプレン700HV」(ランクセス株式会社製)
・(a3)VA量60質量%のEVA(溶解度パラメータSP値9.6(cal/cm3)1/2):「レバプレン600HV」(ランクセス株式会社製)
・(a4)VA量50質量%のEVA(溶解度パラメータSP値9.4(cal/cm3)1/2):「レバプレン500HV」(ランクセス株式会社製)
・(a5)VA量46質量%のEVA(溶解度パラメータSP値9.3(cal/cm3)1/2):「EV45LX」(三井・デュポンポリケミカル株式会社製)
・(a6)VA量33質量%のEVA(溶解度パラメータSP値9.1(cal/cm3)1/2):「EV150」(三井・デュポンポリケミカル株式会社製)
(B)可塑剤として次のものを用いた。
・(b1)トリメリット酸トリオクチル(TOTM):「トリメックスT−08」(花王株式会社製)
・(b2)アジピン酸ジイソデシル(DIDA)(田岡化学工業社製)
・(b3)リン酸トリクレシル(TCP)(大八化学工業社製)
(C)導電性付与剤として次のものを用いた。
・(c1)カーボンブラック(平均粒径38nm):「デンカブラック」(デンカ株式会社製)
・(c2)カーボンブラック(平均粒径38nm):「シーストG116」(東海カーボン株式会社製)
(D)粘度調整剤として次のものを用いた。
・パラフィンワックス(融点58℃、粘度3.9mm2/sec(100℃)):「パラフィンワックス135」(JX日航日石株式会社製)
架橋剤として次のものを用いた。
・有機過酸化物:「パーブチルP」(日油株式会社製)
上記材料を用いて、実施例1〜14の半導電性樹脂組成物を調製した。
調製条件を以下の表1に示す。
実施例1では、表1に示すように、(A)熱可塑性樹脂としての(a1)VA量80質量%のEVA100質量部に対して、(B)可塑剤としての(b1)TOTMを10質量部と、導電性付与剤としての(c1)カーボンブラックを60質量部と、架橋剤としての有機過酸化物を2質量部とを添加し、バンバリミキサで混練することによって、実施例1の半導電性樹脂組成物を調製した。実施例2〜14では、表1に示すように調製条件を適宜変更した以外は、実施例1と同様に半導電性樹脂組成物を調製した。
また、上記材料を用いて、比較例1〜13性樹脂組成物を調製した。調製条件を以下の表2に示す。比較例1〜13は、表2に示すように調製条件を適宜変更した以外は、実施例1と同様に半導電性樹脂組成物を調製した。
(4)評価用送電ケーブルの製造
本実施例では、送電ケーブルを模擬した評価用送電ケーブルを製造した。
上記で調製した内部半導電層用の半導電性樹脂組成物、絶縁層用の樹脂組成物および外部半導電層用の半導電性樹脂組成物の各成分をそれぞれ押出機に供給した。これらの各成分について、内部半導電層用の半導電性樹脂組成物を85℃、絶縁層用の樹脂組成物を60℃、外部半導電層用の半導電性樹脂組成物を80℃でそれぞれ加熱し混練した後、導体としての銅線(断面積95mm2)の外周に、内部半導電層の厚さが1mm、絶縁層の厚さが9mm、外部半導電層の厚さが1mmとなるように3層同時押出した。続いて、押し出した各成分を架橋することにより、導体の外周に内部半導電層、絶縁層および外部半導電層をこの順に積層させた評価用送電ケーブルを製造した。
(5)評価方法
評価用送電ケーブルについて、外部半導電層の密着性および電気特性を評価した。
(外部半導電層の密着性)
外部半導電層の密着性については、絶縁層から外部半導電層を剥離するときの剥離強度により評価した。具体的には、評価用送電ケーブルをカッターで縦割りし、幅12.7mm、長さ約15cm程度の試験片を3つ作製した。この各試験片に対して、ショッパー型引張試験機により剥離試験を実施し、500mm/minの引張速度で銅線から外部半導電層を剥離するときの剥離強度を測定した。
なお、本実施例では、測定した剥離強度が5N/12.7mm以上30N/12.7mm以下であれば、外部半導電層を容易に剥離できることを示す。
また、剥離したときの外部半導電層の剥離状態を観察した。外部半導電層について、絶縁層に適度に密着すると共に良好に剥離する場合を「A」、密着性が大きすぎて絶縁層が破壊する場合を「B」、密着性が大きすぎて外部半導電層が破壊する場合を「C」、密着性が小さすぎる場合を「D」とした。
(外部半導電層の電気特性)
外部半導電層の電気特性については、外部半導電層の体積抵抗率により評価した。具体的には長さ80mm、幅50mm、厚さ1mmの試験片を作製し、JISK7194に従い、9点測定で23±2℃の室内で評価した。
外部半導電層においては、部分放電を抑制する観点から、体積抵抗率が102Ω・cm以上105Ω・cm以下であるとよい。
(6)評価結果
表1に示すように、実施例1では、外部半導電層の剥離強度が15N/12.7mmであるため、絶縁層から外部半導電層を容易に剥離することができ、また剥離したときの剥離状態がA(良好)であることが確認された。また、外部半導電層中に導電性付与剤を良好に分散できているので、外部半導電層の体積抵抗率が7×103Ω・cmであることが確認された。また、半導電性樹脂組成物の粘度(130℃でのムーニー粘度)が50以下であり、半導電性樹脂組成物の押出成形性が良好であることから、外部半導電層の被覆厚を均一できることが確認された。
実施例2,3,4,5は、実施例1における(A)熱可塑性樹脂の種類を変更した例である。
実施例2では(a2)VA量70質量%のEVAを、実施例3では(a3)VA量60質量%のEVAを、実施例4(a4)実施例5(a5)は各々VA量50,46質量%のEVAを用いた。
実施例1と同様に、剥離強度、剥離状態、体積抵抗率が良好であり、外部半導電層の被覆厚が均一であることが確認された。
実施例6,7は、実施例3における(c1)カーボンブラックの含有量を45質量部、75質量部に変更した例である。実施例6,7によれば、(c1)カーボンブラックの含有量を変更して体積抵抗率を調整しても、実施例1と同様に剥離強度を低減できることが確認された。
実施例8,9は、実施例3における(b1)TOTMを、(b2)DIDA又は(b3)TCPに変更した例である。実施例8,9によれば、(b1)TOTMを用いた実施例3と同様に良好な結果が得られることが確認された。
実施例10は、実施例3の(c1)カーボンブラックを(c2)カーボンブラックに変更した例である。実施例10によれば、(C)導電性付与剤の種類によらず、良好な結果が得られることが確認された。
実施例11〜14は、(D)粘度調整剤としてのパラフィンワックスをさらに添加し、その含有量を1質量部、10質量部とした例である。実施例13〜14においては、TOTMの含有量を10質量部から15質量部に変更した例である。実施例11〜14によれば、パラフィンワックス添加、TOTM増量により剥離強度をより低減できることが確認された。
表2に示すように、比較例1〜3は、実施例3おける(B)可塑剤の含有量を1質量部とし、(B)可塑剤の種類を(b1)TOTM、(b2)DIDA又は(b3)TCPに適宜変更した例である。比較例1では、(B)可塑剤の含有量を少なくしすぎたため、外部半導電層の剥離強度が50N/12.7mmと高く、外部半導電層を良好に剥離できないことが確認された。また、外部半導電層を剥離したとき、絶縁層が破壊されて剥離状態が不良(剥離状態B)であることが確認された。これは、外部半導電層と絶縁層との界面に(B)可塑剤を十分にブリードさせることができないためと考えられる。比較例1と同様に、比較例2,3では剥離強度が高くなることが確認された。
比較例4〜6は、実施例3における(B)可塑剤の含有量を25質量部とし、(B)可塑剤の種類を(b1)TOTM、(b2)DIDA又は(b3)TCPに適宜変更した例である。比較例4〜6では、(B)可塑剤の含有量を多くしすぎたため、外部半導電層の剥離強度が4N/12.7mmと低くなってしまい、部分放電を抑制できる程度に外部半導電層を絶縁層に密着できない(剥離状態D)ことが確認された。
比較例7〜10は、(C)導電性付与剤の含有量を30質量部または90質量部とした例である。比較例7,8では、(C)導電性付与剤の含有量を30質量部と少なくしたため、体積抵抗率が105Ω・cmよりも大きくなってしまうことが確認された。一方、比較例9,10では、(C)導電性付与剤の含有量を90質量部と多くしたため、体積抵抗率が102Ω・cm未満となることが確認された。つまり、比較例7〜10では、外部半導電層に要求される電気特性を満足しないことが分かる。
比較例11は、実施例3の(A)熱可塑性樹脂の種類を変更した例である。比較例11では、(a4)VA量33質量%のEVAを用いたため、外部半導電層の剥離強度が55N/12.7mmと高く、外部半導電層を容易に剥離できないことが確認された。これは、絶縁層を形成するエチレンプロピレンゴムと、外部半導電層を形成する熱可塑性樹脂との溶解度パラメータの差が0.4と小さくなったためと考えられる。
比較例12では、(B)可塑剤の含有量を3質量部として、(B)可塑剤と(D)粘度調整剤との合計の添加量を10質量部未満とした例である。比較例12では、界面に(B)可塑剤および(D)粘度調整剤を十分にブリードさせることができないため、外部半導電層の剥離強度が40N/12.7mmと高く、外部半導電層を良好に剥離できないことが確認された。また、外部半導電層を剥離したとき、絶縁層が破壊されて剥離状態が不良(剥離状態B)であることが確認された。
比較例13では、(B)可塑剤の含有量を30質量部として、(B)可塑剤と(D)粘度調整剤との合計の添加量を30質量部より多くした例である。比較例13では、界面に(B)可塑剤および(D)粘度調整剤が過度にブリードしたためか、外部半導電層の剥離強度が5N/12.7mmよりも低くなってしまい、部分放電を抑制できる程度に外部半導電層を絶縁層に密着できない(剥離状態D)ことが確認された。
以上により、本発明の半導電性樹脂組成物によれば、溶解度パラメータSP値の高い熱可塑性樹脂と可塑剤や粘度調整剤を含有させることにより、絶縁層から容易に剥離できる外部半導電層を形成できる。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
熱可塑性樹脂と導電性付与剤と可塑剤とを含有し、
前記熱可塑性樹脂の溶解度パラメータSP値が9.3(cal/cm3)1/2以上10.1(cal/cm3)1/2以下であり、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記導電性付与剤を40質量部以上80質量部以下と、前記可塑剤を3質量部以上20質量部以下と、を含有する、半導電性樹脂組成物が提供される。
[付記2]
付記1の半導電性樹脂組成物であって、好ましくは、
さらに粘度調整剤を含有し、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記粘度調整剤および前記可塑剤を合計で10質量部以上30質量部以下含有する。
[付記3]
付記1又は2の半導電性樹脂組成物であって、好ましくは、
前記粘度調整剤は、分岐状炭化水素、飽和環状炭化水素または直鎖状炭化水素の少なくとも1つであり、温度100℃における粘度が20mm2/sec以下である。
[付記4]
付記1〜3のいずれかの半導電性樹脂組成物であって、好ましくは、
前記可塑剤は、トリメリット酸エステル類、アジピン酸エステル類またはリン酸エステル類の少なくとも1つである。
[付記5]
付記1〜4のいずれかの半導電性樹脂組成物であって、好ましくは、
前記熱可塑性樹脂は、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンメチルアクリレート共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体またはニトリルゴムの少なくとも1つである。
[付記6]
付記5の半導電性樹脂組成物であって、好ましくは、
前記熱可塑性樹脂は、酢酸ビニルを44.0質量%以上83.4質量%以下含有するエチレン酢酸ビニル共重合体である。
[付記7]
導体と、前記導体の外周を囲うように設けられる絶縁層と、
前記絶縁層の外周を囲うように設けられる半導電層と、を備え、
前記半導電層は、溶解度パラメータSP値が9.3(cal/cm3)1/2以上10.1(cal/cm3)1/2以下である熱可塑性樹脂、導電性付与剤および可塑剤を含有し、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記導電性付与剤を40質量部以上80質量部以下、前記可塑剤を3質量部以上20質量部以下含有する半導電性樹脂組成物で形成されている、送電ケーブルが提供される。
[付記8]
付記7の送電ケーブルであって、好ましくは、
前記絶縁層がエチレンプロピレンゴムから形成されている。
[付記9]
付記7又は8の送電ケーブルであって、好ましくは、
前記半導電層は、前記絶縁層から幅12.7mmで剥離するときの剥離強度が5N/12.7mm以上30N/12.7mm以下となるように構成されている。
[付記10]
付記7〜9のいずれかの送電ケーブルであって、好ましくは、
前記半導電層は、体積抵抗率が102Ω・cm以上105Ω・cm以下となるように構成されている。
1 送電ケーブル
10 導体
11 内部半導電層
12 絶縁層
13 外部半導電層
14 遮蔽層(シールド層)
15 外被層(シース)
20 界面

Claims (3)

  1. 導体と、前記導体の外周を囲うように設けられる絶縁層と、
    前記絶縁層の外周を囲うように設けられる半導電層と、を備え、
    前記半導電層は、溶解度パラメータSP値が9.3(cal/cm 3 ) 1/2 以上10.1(cal/cm 3 ) 1/2 以下である熱可塑性樹脂導電性付与剤および可塑剤を含有し、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記導電性付与剤を40質量部以上80質量部以下、前記可塑剤を3質量部以上20質量部以下含有する半導電性樹脂組成物で形成されており、
    前記絶縁層がエチレンプロピレンゴムで形成されており、
    前記熱可塑性樹脂は、酢酸ビニルを44.0質量%以上83.4質量%以下含有するエチレン酢酸ビニル共重合体であり、
    前記可塑剤は、トリメリット酸エステル類、アジピン酸エステル類またはリン酸エステル類の少なくとも1つである、
    送電ケーブル。
  2. 前記半導電層は、前記絶縁層から幅12.7mmで剥離するときの剥離強度が5N/12.7mm以上30N/12.7mm以下となるように構成されている、請求項1に記載の送電ケーブル
  3. 前記半導電層は、体積抵抗率が10 2 Ω・cm以上10 5 Ω・cm以下となるように構成されている、請求項1又は2に記載の送電ケーブル。
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