JP6580433B2 - ビニル絶縁ビニルシースケーブル及びビニル絶縁ビニルシースケーブルの製造方法 - Google Patents
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Description
絶縁体とシースとの間の剥離を容易に行うことができるビニル絶縁ビニルシースケーブルとして、特許文献1の図1に図示するような技術が知られている。
また、本発明は、より好適な滑剤として、脂肪酸、脂肪酸系アルコール、脂肪酸系エステル、脂肪酸系アミド、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、又は、パラフィンワックスが配合される。
また、本発明によれば、滑剤を配合することにより、滑剤と混合した充填剤がブルームし易くなる。これにより、シースと絶縁体との間の剥離性が向上し、剥離効果を長期にわたって維持することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、シースと絶縁体との間の剥離性が向上することにより、配線作業の際の取扱性及び施工性を良好にすることができるという効果を奏する。
さらに、本発明によれば、引張強さ、熱老化特性、耐油性等の特性については、剥離層以外の絶縁層及びシースで保持されるため、引張強さ、熱老化特性、耐油性等の日本工業規格を満たすことができるという効果を奏する。
以下、図1及び図2を参照しながら、本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第1の実施形態を説明する。
図1は本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第1の実施形態を示す一部切り欠き斜視図、図2は図1におけるA−A間の断面図である。
ビニル絶縁ビニルシースケーブル10は、図1及び図2に図示するように、1本又は2本以上(本実施形態においては2本)の絶縁電線11と、剥離層12と、シース13とを備えて構成されている。
まず、本発明のビニル絶縁ビニルシースケーブル10の上記各構成について説明する。
絶縁電線11は、図1及び図2に図示するように、導体14と、導体14に押出成形によって形成された絶縁体15とを備えて構成されている。絶縁体15は、塩化ビニル樹脂をベース樹脂として、これに、可塑剤、充填剤、安定剤等を配合してなる塩化ビニル樹脂組成物によって構成されている。
絶縁電線11は、公知のものが用いられているため詳細な説明は省略する。
剥離層12は、図2に図示するように、絶縁体15の外面16と、後述するシース13の内面17との間に介在するように配置されている。
本実施形態においては、剥離層12は、図2に図示するように、絶縁体15の外面16に押出成形によって形成されるものである。剥離層12は、この厚さが、0.01mm以上0.5mm以下となるように形成されている。
このような構成によれば、剥離層12の外面18及び内面19にブルームした充填剤と滑剤との混合物がシース13と絶縁体15とを剥離する際の剥離剤として機能することになる。これにより、絶縁体15の外面16に、別途、剥離剤を塗布することなく、シース13と絶縁体15との剥離作業を容易に行うことができる。
剥離層12は、塩化ビニル樹脂をベース樹脂として、これに、充填剤と、滑剤とを配合してなる塩化ビニル樹脂組成物によって構成されている。また、その他の成分として、可塑剤と、安定剤とが配合されている。さらに、必要に応じて加工助剤を配合してもよいものとする。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、タルク等の各種無機化合物を挙げることができる。
滑剤は、融点が50℃以上160℃以下のものが好ましいものとする。
滑剤としては、脂肪酸、脂肪酸系アルコール、脂肪酸系エステル、脂肪酸系アミド、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩が用いられ、例えば、エチレンビスステアリン酸アミド(商品名:日本化成(株)製 スリパックスE)等を挙げることができる。その他に、滑剤としては、ポリエチレンワックス(低分子ポリエチレン)、パラフィンワックス、又は、高分子シリコーンが用いられる。
安定剤としては、例えば、Ba系、Sn系の安定剤、Ca−Zn系安定剤等を挙げることができる。
加工助剤は、塩化ビニル樹脂に充填剤を多量に配合した場合、剥離層12を押出成形し易くするために配合されるものである。
剥離層12を構成する塩化ビニル樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤を80重量部以上240重量部以下、滑剤を0.1重量部以上10重量部以下、可塑剤を30重量部以上100重量部以下、安定剤を0.5重量部以上10重量部以下、加工助剤を0重量部以上10重量部以下配合してなるものである。
ここで、充填剤は、120重量部以上240重量部以下配合することが好ましいものとする。
また、滑剤は、1重量部以上10重量部以下配合することが好ましいものとする。
シース13は、絶縁体15と同様に、塩化ビニル樹脂をベース樹脂として、これに、可塑剤、充填剤、安定剤等を配合してなる塩化ビニル樹脂組成物によって構成されている。
シース13は、図2に図示するように、絶縁体15の外面16に剥離層12が形成された絶縁電線11を2本平行に配列し、この2本の絶縁電線11に共通な被覆となるように押出成形によって形成されている。このような構成により、シース13と絶縁体15との間に、剥離層12が介在するように配置されることになる。
まず、第1の工程において、絶縁電線11を製造するとともに、剥離層12を形成する。
絶縁電線11の製造及び剥離層12の形成は、2層押出成形によって行う。すなわち、導体14の外周に、絶縁体15と、上記配合量にて構成された塩化ビニル樹脂組成物を絶縁体15の外面16に被覆されてなる剥離層12とを押出成形により形成する。
この2層押出成形時又は成形後に、充填剤と滑剤との混合物が剥離層12の外面18及び内面19にブルームして剥離剤となる。
すなわち、第1の押出成形工程において、導体14の外周に、絶縁体15を押出成形により形成し絶縁電線11を製造した後、第2の押出成形工程において、絶縁体15の外面16の上に剥離層12を押出成形により形成してもよいものとする。
まず、絶縁体15の外面16に剥離層12が形成された絶縁電線11を2本平行に並べる。しかる後、2本の絶縁電線11の外周に塩化ビニル樹脂組成物を押出することにより、シース13が形成される。
以上により、ビニル絶縁ビニルシースケーブル10の製造が完了する。
また、本発明によれば、滑剤を配合することにより、滑剤と混合した充填剤がブルームし易くなる。これにより、シース13と絶縁体15との間の剥離性が向上し、剥離効果を長期にわたって維持することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、シース13と絶縁体15との間の剥離性が向上することにより、配線作業の際の取扱性及び施工性を良好にすることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、引張強さ、熱老化特性、耐油性等の特性については、剥離層以外のシース13及び絶縁体15で保持されるため、引張強さ、熱老化特性、耐油性等の日本工業規格を満たすことができるという効果を奏する。
以下、図3を参照しながら、本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第2の実施形態を説明する。
図3は本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第2の実施形態を示す断面図である。
ビニル絶縁ビニルシースケーブル20は、図3に図示する剥離層21を形成する位置以外は、図1及び図2に図示するビニル絶縁ビニルシースケーブル10と同じ構成及び構造を備えている。したがって、第2の実施形態では、ビニル絶縁ビニルシースケーブル10と同じ構成及び構造には、同一の符号を付して説明を省略し、剥離層21についてのみ説明する。
剥離層21の厚さや、剥離層21を構成する組成物の各成分及びこの配合量については、第1の実施形態における剥離層12と同一であるので詳細な説明は省略する。
まず、第1の工程において、導体14の外周に、絶縁体15を押出成形により形成する。
しかる後、各絶縁電線11の絶縁体15の外面16に、第1の実施形態において説明した配合量の塩化ビニル樹脂組成物から構成される剥離層21と、この剥離層21の外面22に被覆されてなるシース13とを2層押出成形により形成する。
この剥離層21の成形時又は成形後に、充填剤と滑剤との混合物が剥離層21の外面22及び内面23にブルームして剥離剤となる。
以上により、ビニル絶縁ビニルシースケーブル20の製造が完了する。
以下、図4を参照しながら、本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第3の実施形態を説明する。
図4は本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第3の実施形態を示す断面図である。
ビニル絶縁ビニルシースケーブル30は、図4に図示する第1剥離層31と第2剥離層32とを備えてなる構成以外は、図1及び図2に図示するビニル絶縁ビニルシースケーブル10と同じ構成及び構造を備えている。したがって、第3の実施形態では、ビニル絶縁ビニルシースケーブル10と同じ構成及び構造には、同一の符号を付して説明を省略し、第1剥離層31及び第2剥離層32についてのみ説明する。
第1剥離層31は、図4に図示するように、絶縁体15の外面16に押出成形によって形成されるものである。
第1剥離層31の厚さや、第1剥離層31を構成する組成物の各成分及びこの配合量については、第1の実施形態における剥離層12と同一であるので詳細な説明は省略する。
第2剥離層32は、図4に図示するように、シース13の内面17に押出成形によって形成されるものである。
第2剥離層32の厚さや、第2剥離層32を構成する組成物の各成分及びこの配合量については、第1剥離層31と同様に、第1の実施形態における剥離層12と同一であるので詳細な説明は省略する。
まず、第1の工程において、絶縁電線11を製造するとともに、第1剥離層31を形成する。当該工程は、第1の実施形態におけるビニル絶縁ビニルシースケーブル10の製造方法の第1工程と同一であるため詳細な説明を省略する。
この第1剥離層31の成形時又は成形後に、充填剤と滑剤との混合物が第1剥離層31の外面33及び内面34にブルームして剥離剤となる。
しかる後、絶縁体15の外面16に被覆された第1剥離層31の外面34に、第1の実施形態において説明した配合量の塩化ビニル樹脂組成物から構成される第2剥離層32と、この第2剥離層32の外面35に被覆されてなるシース13とを2層押出成形により形成する。
この第2剥離層32の成形時又は成形後に、滑剤と混合した充填剤が第2剥離層32の外面35及び内面36にブルームして剥離剤となる。
まず、第1の押出成形工程において、導体14の外周に、絶縁体15を押出成形により形成し絶縁電線11を製造した後、第2の押出成形工程において、2本の絶縁電線11を並べて、各絶縁電線11の絶縁体15の外面16に第1剥離層31を押出成形により形成する。しかる後、第3の押出成形工程において、第1剥離層31の外面33に第2剥離層32を押出成形により形成し、第4の押出工程において、第2剥離層32の外面35にシース13を押出成形により形成する。
以上により、ビニル絶縁ビニルシースケーブル30の製造が完了する。
実施例1〜11は、本発明のビニル絶縁ビニルシースケーブルである。
表1及び表2に示す実施例1〜10におけるビニル絶縁ビニルシースケーブルの構成は、先に説明したビニル絶縁ビニルシースケーブル10,20(図2及び図3参照)と同じであるので説明を省略する。また、表2に示す実施例11におけるビニル絶縁ビニルシースケーブルの構成は、先に説明したビニル絶縁ビニルシースケーブル30(図4参照)と同じであるので説明を省略する。
実施例1は、表1に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.01mmの剥離層を形成した場合である。
実施例2は、表1に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)80重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
実施例3は、表1に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)100重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
実施例4は、表1に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)100重量部、滑剤10重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
実施例5は、表1に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)120重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
実施例6は、表1に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
実施例7は、表2に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部、滑剤1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
実施例8は、表2に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部、滑剤10重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
実施例9は、表2に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)100重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.5mmの剥離層を形成した場合である。
実施例10は、表2に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.5mmの剥離層を形成した場合である。
実施例11は、表2に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面及びシースの内面の両方に厚さ0.5mmの剥離層を形成した場合である。
まず、従来例のビニル絶縁ビニルシースケーブルの構成を、図5を参照しながら簡潔に説明する。
図5に図示する従来例のビニル絶縁ビニルシースケーブル100は、2本の絶縁電線101と、シース102とを備えて構成されている。
絶縁電線101は、導体103と、導体103に押出成形によって形成された絶縁体104とを備えて構成されている。絶縁体104は、塩化ビニル樹脂をベース樹脂として、これに、充填剤(炭酸カルシウム)を配合してなる塩化ビニル樹脂組成物によって構成されている。
シース102は、絶縁体104と同様に、塩化ビニル樹脂をベース樹脂として、これに、充填剤(炭酸カルシウム)を配合してなる塩化ビニル樹脂組成物によって構成されている。シース102は、絶縁電線101を2本平行に配列し、この2本の絶縁電線101に共通な被覆となるように押出成形によって形成されている。
図5からも明らかなように、従来例のビニル絶縁ビニルシースケーブル100は、シース102と絶縁体104との間に、本発明における剥離層を介在させてなる構成を備えていない。
従来例は、表3に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)200重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて絶縁体及びシースを形成した場合である。
表3からも明らかなように、従来例は、絶縁体及びシースを構成する塩化ビニル樹脂組成物に滑剤を配合するものではない。
比較例1〜5のビニル絶縁ビニルシースケーブルは、剥離層を構成する樹脂組成物の各成分の配合量を除いた基本的な構成が、先に説明したビニル絶縁ビニルシースケーブル10,20(図2及び図3参照)と同じであるので説明を省略する。
比較例1は、表3に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.005mmの剥離層を形成した場合である。
比較例2は、表3に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ1mmの剥離層を形成した場合である。
比較例3は、表3に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)78重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
比較例4は、表3に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)300重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
比較例5は、表3に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
表3からも明らかなように、比較例5は、剥離層を構成する塩化ビニル樹脂組成物に滑剤を配合するものではない。
ここで、「規格値」とは、日本工業規格JIS C 3342に準拠した規格値をいうものとする。また、「目標値」とは、長期の使用や、使用者、作業者の使い易さを考慮した場合に必要な値をいうものとする。
表1−表3において、「剥離性(ケーブル引抜荷重)」は、絶縁体とシースとの剥離のし易さを測定したものであり、目標値が20N以下であれば「○」、目標値が20Nを超えると「×」を示した。
「常温における引張強さ及び引張伸び」の測定結果は、表1−表3における「常温」の項目に示されており、「常温における引張強さ」は、規格値が10MPa以上、目標値が12MPa以上であれば「○」、規格値が10MPa、目標値が12MPaに到達しないと「×」を示した。
また、「常温における引張伸び」は、規格値が120%以上、目標値が200%以上であれば「○」、規格値が120%、目標値が200%に到達しないと「×」を示した。
「熱老化特性」は、熱老化したときの「引張強さ残率」及び「引張伸び残率」を測定したものである。
「熱老化特性」の測定結果は、表1−表3における「熱老化」の項目に示されており、「引張強さ残率」は、規格値及び目標値がそれぞれ85%以上であれば「○」、規格値及び目標値がそれぞれ85%に到達しないと「×」を示した。
また、「引張伸び残率」は、規格値及び目標値がそれぞれ80%以上であれば「○」、規格値及び目標値がそれぞれ80%に到達しないと「×」を示した。
「耐油性」は、日本工業規格JIS C 3005の「4.18 耐油」に準拠して「引張強さ残率」及び「引張伸び残率」を測定したものである。
「耐油性」の測定結果は、表1−表3における「耐油」の項目に示されており、「引張強さ残率」は、規格値及び目標値がそれぞれ85%以上であれば「○」、規格値及び目標値がそれぞれ85%に到達しないと「×」を示した。
また、「引張伸び残率」は、規格値及び目標値が80%以上であれば「○」、規格値及び目標値が80%に到達しないと「×」を示した。
表1−表3において、「施工性」は、配線作業における絶縁体とシースとの剥離のし易さを測定したものであり、目標値が40N以下であれば「○」、目標値が40Nを超えると「×」を示した。
表1及び表2より、実施例1〜10の何れも上記各項目の測定結果がすべて「○」であった。また、表2より、実施例11は、「剥離性(ケーブル引抜荷重)」の測定結果が「◎」、それ以外のすべての項目の測定結果が「○」であった。
このような結果から、実施例1〜11の何れも、常温における引張強さ及び引張伸び、熱老化特性、耐油性、電気特性(絶縁抵抗)等の日本工業規格を満たし、且つ、施工性が良好であり、さらに、絶縁体とシースとの間の剥離性が良好であるといえる。
また、実施例11は、「剥離性(ケーブル引抜荷重)」の測定結果が「◎」を示したため、絶縁体又はシースの何れかに剥離層を設けた場合と比べてケーブルの引抜加重が小さいといえる。すなわち、剥離性が極めて良好であるといえる。
このような結果から、従来例は、日本工業規格を十分に満たさず、且つ、施工性及び剥離性が良好ではないといえる。
Claims (4)
- 導体に絶縁体を被覆した絶縁電線にシースを被覆し、前記絶縁体と前記シースとの間に剥離層を介在させてなるビニル絶縁ビニルシースケーブルにおいて、
前記剥離層は、塩化ビニル樹脂に充填剤と滑剤とを配合してなる樹脂組成物からなり、前記剥離層の外面及び内面に前記充填剤と前記滑剤との混合物がブルームされてなり、
さらに、前記剥離層は、前記塩化ビニル樹脂100重量部に対して、前記充填剤を200重量部を超え240重量部以下配合するとともに、前記滑剤を0.1重量部以上5重量部未満配合してなり、
前記滑剤として、脂肪酸、脂肪酸系アルコール、脂肪酸系エステル、脂肪酸系アミド、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、又は、パラフィンワックスを用いる
ことを特徴とするビニル絶縁ビニルシースケーブル。 - 請求項1に記載のビニル絶縁ビニルシースケーブルにおいて、
前記剥離層の厚さを0.01mm以上0.5mm以下とする
ことを特徴とするビニル絶縁ビニルシースケーブル。 - 請求項1又は2に記載のビニル絶縁ビニルシースケーブルにおいて、
前記滑剤として、融点が50℃以上160℃以下のものを配合する
ことを特徴とするビニル絶縁ビニルシースケーブル。 - 導体に絶縁体を被覆した絶縁電線にシースを被覆し、前記絶縁体と前記シースとの間に剥離層を介在させてなるビニル絶縁ビニルシースケーブルの製造方法において、
塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤を200重量部を超え240重量部以下配合するとともに、滑剤を0.1重量部以上5重量部未満配合してなり、且つ、該滑剤として、脂肪酸、脂肪酸系アルコール、脂肪酸系エステル、脂肪酸系アミド、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、又は、パラフィンワックスを用いた樹脂組成物からなる前記剥離層の外面及び内面に前記充填剤と前記滑剤との混合物をブルームさせる工程を含む
ことを特徴とするビニル絶縁ビニルシースケーブルの製造方法。
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