JP6580433B2 - ビニル絶縁ビニルシースケーブル及びビニル絶縁ビニルシースケーブルの製造方法 - Google Patents

ビニル絶縁ビニルシースケーブル及びビニル絶縁ビニルシースケーブルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、絶縁体とシースを容易に剥離することができるビニル絶縁ビニルシースケーブル及びこのビニル絶縁ビニルシースケーブルの製造方法に関する。
従来、ケーブルの絶縁材料として、例えば、塩化ビニル樹脂組成物が用いられている。このような塩化ビニル樹脂組成物は、ケーブルの絶縁体及びシースに用いられている。塩化ビニル樹脂組成物を用いたケーブルとしてビニル絶縁ビニルシースケーブルが知られている。ビニル絶縁ビニルシースケーブルは、日本工業規格(JIS C 3342)で定める引張強さ、熱老化特性、耐油性等を満たすように形成されている。また、ビニル絶縁ビニルシースケーブルは、配線作業の際の取扱性及び施工性を良好にするため、絶縁体とシースとの間の剥離を容易に行うことができるように形成されている。
絶縁体とシースとの間の剥離を容易に行うことができるビニル絶縁ビニルシースケーブルとして、特許文献1の図1に図示するような技術が知られている。
特許文献1の図1に図示するビニル絶縁ビニルシースケーブル1は、導線2に絶縁層3を被覆してなる複数(図1では2本)の絶縁電線4と、この複数の絶縁電線4の外側に被覆されるシース5とを備えて構成されている。
絶縁層3は、ポリ塩化ビニル樹脂に可塑剤及び重質炭酸カルシウム等の充填剤を配合してなるポリ塩化ビニル樹脂組成物により形成されている。ここで、特許文献1のポリ塩化ビニル樹脂組成物は、ポリ塩化ビニル樹脂100重量部に対して、可塑剤を60重量部以上80重量部以下配合するとともに、重質炭酸カルシウムを100重量部以上200重量部以下配合してなり、且つ、重質炭酸カルシウムの平均粒子径が1.5μm以上5μm以下の範囲にある構成を備えている。
特開2012−38648号公報
特許文献1の図1に図示するビニル絶縁ビニルシースケーブル1は、上記配合量にて構成されたポリ塩化ビニル樹脂組成物を導線2の外周に被覆して絶縁層3を形成した場合、絶縁層3が硬くなってしまい、取扱性及び施工性や、絶縁抵抗率が悪くなってしまうという問題点があった。
また、重質炭酸カルシウムの配合量を200重量部に増やした場合であっても、絶縁層3とシース5との間の剥離効果が小さくなり、且つ、引張特性は12MPa以下となり物性低下が著しいため使用することが難しいという問題点があった。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、引張強さ、熱老化特性、耐油性等の日本工業規格を満たし、且つ、取扱性及び施工性を良好にしつつ、絶縁体とシースとの間の剥離性が良好なビニル絶縁ビニルシースケーブル及びこのビニル絶縁ビニルシースケーブルの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のビニル絶縁ビニルシースケーブルは、導体に絶縁体を被覆した絶縁電線にシースを被覆し、前記絶縁体と前記シースとの間に剥離層を介在させてなるビニル絶縁ビニルシースケーブルにおいて、前記剥離層は、塩化ビニル樹脂に充填剤と滑剤と配合してなる樹脂組成物からなり、前記剥離層の外面及び内面に前記充填剤と前記滑剤との混合物がブルームされてなり、さらに、前記剥離層は、前記塩化ビニル樹脂100重量部に対して、前記充填剤を200重量部を超え240重量部以下配合するとともに、前記滑剤を0.1重量部以上5重量部未満配合してなり、前記滑剤として、脂肪酸、脂肪酸系アルコール、脂肪酸系エステル、脂肪酸系アミド、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、又は、パラフィンワックスを用いることを特徴とする。
このような特徴を有する本発明は、塩化ビニル樹脂に充填剤と滑剤と配合した樹脂組成物からなる剥離層の外面及び内面に充填剤と滑剤との混合物がブルームする。ブルームした充填剤と滑剤との混合物は、絶縁体とシースとを剥離する際の剥離剤として機能する。
また、本発明は、塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤を200重量部を超え240重量部以下配合するとともに、滑剤を0.1重量部以上重量部未満配合してなる樹脂組成物によって剥離層が形成される。
また、本発明は、より好適な滑剤として、脂肪酸、脂肪酸系アルコール、脂肪酸系エステル、脂肪酸系アミド、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、又は、パラフィンワックスが配合される。
請求項記載の本発明のビニル絶縁ビニルシースケーブルは、請求項1に記載のビニル絶縁ビニルシースケーブルにおいて、前記剥離層の厚さを0.01mm以上0.5mm以下とすることを特徴とする。
このような特徴を有する本発明は、厚さが0.01mm以上0.5mm以下の剥離層が形成される。
請求項記載の本発明のビニル絶縁ビニルシースケーブルは、請求項1又は2に記載のビニル絶縁ビニルシースケーブルにおいて、前記滑剤として、融点が50℃以上160℃以下のものを配合することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明は、より好適な滑剤として、融点が50℃以上160℃以下のものが配合される。
上記課題を解決するためになされた請求項記載の本発明のビニル絶縁ビニルシースケーブルの製造方法は、導体に絶縁体を被覆した絶縁電線にシースを被覆し、前記絶縁体と前記シースとの間に剥離層を介在させてなるビニル絶縁ビニルシースケーブルの製造方法において、塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤を200重量部を超え240重量部以下配合するとともに、滑剤を0.1重量部以上5重量部未満配合しり、且つ、該滑剤として、脂肪酸、脂肪酸系アルコール、脂肪酸系エステル、脂肪酸系アミド、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、又は、パラフィンワックスを用いた樹脂組成物からなる前記剥離層の外面及び内面に前記充填剤と前記滑剤との混合物をブルームさせる工程を含むことを特徴とする。
このような特徴を有する本発明は、塩化ビニル樹脂に充填剤と滑剤と配合した樹脂組成物にて剥離層を形成することにより、剥離層の成形時又は成形後に、この外面及び内面に充填剤と滑剤との混合物がブルームする。ブルームした充填剤と滑剤との混合物は、絶縁体とシースとを剥離する際の剥離剤として機能する。
請求項1、2又に記載された本発明によれば、充填剤と滑剤との混合物が剥離剤として剥離層の外面及び内面にブルームすることから、シースと絶縁体の剥離を容易に行うことができる。したがって、シースと絶縁体との間の剥離性を良好にすることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、滑剤を配合することにより、滑剤と混合した充填剤がブルームし易くなる。これにより、シースと絶縁体との間の剥離性が向上し、剥離効果を長期にわたって維持することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、シースと絶縁体との間の剥離性が向上することにより、配線作業の際の取扱性及び施工性を良好にすることができるという効果を奏する。
さらに、本発明によれば、引張強さ、熱老化特性、耐油性等の特性については、剥離層以外の絶縁層及びシースで保持されるため、引張強さ、熱老化特性、耐油性等の日本工業規格を満たすことができるという効果を奏する。
請求項又はに記載された本発明によれば、より好適な滑剤を配合することにより、滑剤と混合した充填剤が、より良好に剥離層の外面及び内面にブルームし易くなる。これにより、シースと絶縁体の剥離を、さらに容易に行うことができる。したがって、シースと絶縁体との間の剥離性を、より良好にすることができるという効果を奏する。
本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第1の実施形態を示す一部切り欠き斜視図である。 図1におけるA−A間の断面図である。 本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第2の実施形態を示す断面図である。 本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第3の実施形態を示す断面図である。 従来例のビニル絶縁ビニルシースケーブルの断面図である。
以下、図1及び2を参照しながら、本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第1の実施形態について、また、図3を参照しながら、本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第2の実施形態について、また、図4を参照しながら、本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第3の実施形態について、それぞれ説明する。
<第1の実施形態>
以下、図1及び図2を参照しながら、本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第1の実施形態を説明する。
図1は本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第1の実施形態を示す一部切り欠き斜視図、図2は図1におけるA−A間の断面図である。
以下の説明において、具体的な形状、材料、数値等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができるものとする。
図1及び図2において、引用符号10は、本発明のビニル絶縁ビニルシースケーブルを示している。
ビニル絶縁ビニルシースケーブル10は、図1及び図2に図示するように、1本又は2本以上(本実施形態においては2本)の絶縁電線11と、剥離層12と、シース13とを備えて構成されている。
まず、本発明のビニル絶縁ビニルシースケーブル10の上記各構成について説明する。
まず、絶縁電線11について説明する。
絶縁電線11は、図1及び図2に図示するように、導体14と、導体14に押出成形によって形成された絶縁体15とを備えて構成されている。絶縁体15は、塩化ビニル樹脂をベース樹脂として、これに、可塑剤、充填剤、安定剤等を配合してなる塩化ビニル樹脂組成物によって構成されている。
絶縁電線11は、公知のものが用いられているため詳細な説明は省略する。
つぎに、本発明の特徴部分である剥離層12について説明する。
剥離層12は、図2に図示するように、絶縁体15の外面16と、後述するシース13の内面17との間に介在するように配置されている。
本実施形態においては、剥離層12は、図2に図示するように、絶縁体15の外面16に押出成形によって形成されるものである。剥離層12は、この厚さが、0.01mm以上0.5mm以下となるように形成されている。
剥離層12は、この外面18及び内面19に、後述する充填剤と滑剤との混合物がブルームされてなる構成を備えている。ここで、「ブルーム」とは、樹脂組成物に対し配合剤を多量に配合した場合に、この配合剤が樹脂表面から粉状に析出する現象のことであり、本実施例では、剥離層12を構成する塩化ビニル樹脂組成物に配合された充填剤と滑剤とが混合してなる混合物が剥離層12の外面18及び内面19に析出することをいうものとする。
このような構成によれば、剥離層12の外面18及び内面19にブルームした充填剤と滑剤との混合物がシース13と絶縁体15とを剥離する際の剥離剤として機能することになる。これにより、絶縁体15の外面16に、別途、剥離剤を塗布することなく、シース13と絶縁体15との剥離作業を容易に行うことができる。
本発明のビニル絶縁ビニルシースケーブル1における剥離層12を形成する位置は、絶縁体15の外面16に限られるものではない。他の形成位置については後述する。
ここで、剥離層12を構成する組成物の各成分について説明する。
剥離層12は、塩化ビニル樹脂をベース樹脂として、これに、充填剤と、滑剤とを配合してなる塩化ビニル樹脂組成物によって構成されている。また、その他の成分として、可塑剤と、安定剤とが配合されている。さらに、必要に応じて加工助剤を配合してもよいものとする。
充填剤は、後述する滑剤と混合して剥離層12の外面18及び内面19にブルームすることにより、シース13と絶縁体15との剥離の際に剥離剤として機能するものである。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、タルク等の各種無機化合物を挙げることができる。
滑剤は、塩化ビニル樹脂の流動性を増すとともに、押出機の金属表面との摩擦抵抗を減らして粘着を防ぎ、押出成形をし易くするために配合されるものである。また、本発明において滑剤は、充填剤を剥離層12の外面18及び内面19にブルームし易くするために配合されるものである。さらに、本発明において滑剤は、充填剤と混合して剥離層12の外面18及び内面19にブルームすることにより、シース13と絶縁体15との剥離の際に剥離剤として機能するものである。このような滑剤を配合することにより、シース13と絶縁体15との間の剥離性が向上し、剥離効果を長期にわたって維持することができる。
滑剤は、融点が50℃以上160℃以下のものが好ましいものとする。
滑剤としては、脂肪酸、脂肪酸系アルコール、脂肪酸系エステル、脂肪酸系アミド、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩が用いられ、例えば、エチレンビスステアリン酸アミド(商品名:日本化成(株)製 スリパックスE)等を挙げることができる。その他に、滑剤としては、ポリエチレンワックス(低分子ポリエチレン)、パラフィンワックス、又は、高分子シリコーンが用いられる。
可塑剤としては、エステル系可塑剤が用いられ、例えば、フタル酸エステル、ポリエステル、トリメリット酸エステル等を挙げることができる。
安定剤としては、例えば、Ba系、Sn系の安定剤、Ca−Zn系安定剤等を挙げることができる。
加工助剤としては、例えば、アクリル系、シリコン系のものを挙げることができる。
加工助剤は、塩化ビニル樹脂に充填剤を多量に配合した場合、剥離層12を押出成形し易くするために配合されるものである。
つぎに、上記各成分の配合量について説明する。
剥離層12を構成する塩化ビニル樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤を80重量部以上240重量部以下、滑剤を0.1重量部以上10重量部以下、可塑剤を30重量部以上100重量部以下、安定剤を0.5重量部以上10重量部以下、加工助剤を0重量部以上10重量部以下配合してなるものである。
ここで、充填剤は、120重量部以上240重量部以下配合することが好ましいものとする。
また、滑剤は、1重量部以上10重量部以下配合することが好ましいものとする。
つぎに、シース13について説明する。
シース13は、絶縁体15と同様に、塩化ビニル樹脂をベース樹脂として、これに、可塑剤、充填剤、安定剤等を配合してなる塩化ビニル樹脂組成物によって構成されている。
シース13は、図2に図示するように、絶縁体15の外面16に剥離層12が形成された絶縁電線11を2本平行に配列し、この2本の絶縁電線11に共通な被覆となるように押出成形によって形成されている。このような構成により、シース13と絶縁体15との間に、剥離層12が介在するように配置されることになる。
つぎに、本発明のビニル絶縁ビニルシースケーブル10の製造方法について説明する。
まず、第1の工程において、絶縁電線11を製造するとともに、剥離層12を形成する。
絶縁電線11の製造及び剥離層12の形成は、2層押出成形によって行う。すなわち、導体14の外周に、絶縁体15と、上記配合量にて構成された塩化ビニル樹脂組成物を絶縁体15の外面16に被覆されてなる剥離層12とを押出成形により形成する。
この2層押出成形時又は成形後に、充填剤と滑剤との混合物が剥離層12の外面18及び内面19にブルームして剥離剤となる。
本実施形態では、絶縁電線11の製造及び剥離層12の形成は、2層押出成形による形成を採用したが、これに限定されるものではない。その他、例えば、絶縁電線11の製造及び剥離層12の形成を2回押出成形によって行ってもよいものとする。
すなわち、第1の押出成形工程において、導体14の外周に、絶縁体15を押出成形により形成し絶縁電線11を製造した後、第2の押出成形工程において、絶縁体15の外面16の上に剥離層12を押出成形により形成してもよいものとする。
つぎに、第2の工程において、シース13を形成する。
まず、絶縁体15の外面16に剥離層12が形成された絶縁電線11を2本平行に並べる。しかる後、2本の絶縁電線11の外周に塩化ビニル樹脂組成物を押出することにより、シース13が形成される。
以上により、ビニル絶縁ビニルシースケーブル10の製造が完了する。
以上、図1及び図2を参照しながら説明してきたように、本発明によれば、充填剤と滑剤との混合物が剥離剤として剥離層12の外面18及び内面19にブルームすることから、シース13と絶縁体15の剥離を容易に行うことができる。したがって、シース13と絶縁体15との間の剥離性を良好にすることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、滑剤を配合することにより、滑剤と混合した充填剤がブルームし易くなる。これにより、シース13と絶縁体15との間の剥離性が向上し、剥離効果を長期にわたって維持することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、シース13と絶縁体15との間の剥離性が向上することにより、配線作業の際の取扱性及び施工性を良好にすることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、引張強さ、熱老化特性、耐油性等の特性については、剥離層以外のシース13及び絶縁体15で保持されるため、引張強さ、熱老化特性、耐油性等の日本工業規格を満たすことができるという効果を奏する。
さらに、本発明によれば、より好適な滑剤を配合することにより、滑剤と混合した充填剤が、より良好に剥離層12の外面18及び内面19にブルームし易くなる。これにより、シース13と絶縁体15の剥離を、さらに容易に行うことができる。したがって、シース13と絶縁体15との間の剥離性を、より良好にすることができるという効果を奏する。
<第2の実施形態>
以下、図3を参照しながら、本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第2の実施形態を説明する。
図3は本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第2の実施形態を示す断面図である。
図3において、引用符号20は、本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第2の実施形態を示している。
ビニル絶縁ビニルシースケーブル20は、図3に図示する剥離層21を形成する位置以外は、図1及び図2に図示するビニル絶縁ビニルシースケーブル10と同じ構成及び構造を備えている。したがって、第2の実施形態では、ビニル絶縁ビニルシースケーブル10と同じ構成及び構造には、同一の符号を付して説明を省略し、剥離層21についてのみ説明する。
剥離層21は、図3に図示するように、シース13の内面17に押出成形によって形成されるものである。
剥離層21の厚さや、剥離層21を構成する組成物の各成分及びこの配合量については、第1の実施形態における剥離層12と同一であるので詳細な説明は省略する。
つぎに、本発明のビニル絶縁ビニルシースケーブル20の製造方法について説明する。
まず、第1の工程において、導体14の外周に、絶縁体15を押出成形により形成する。
つぎに、第2の工程において、絶縁電線11を2本平行に並べる。
しかる後、各絶縁電線11の絶縁体15の外面16に、第1の実施形態において説明した配合量の塩化ビニル樹脂組成物から構成される剥離層21と、この剥離層21の外面22に被覆されてなるシース13とを2層押出成形により形成する。
この剥離層21の成形時又は成形後に、充填剤と滑剤との混合物が剥離層21の外面22及び内面23にブルームして剥離剤となる。
本実施形態では、剥離層21とシース13の形成は、2層押出成形による形成を採用したが、これに限定されるものではない。その他、例えば、第1の押出成形工程において、導体14の外周に、絶縁体15を押出成形により形成し絶縁電線11を製造した後、第2の押出成形工程において、2本の絶縁電線11を並べて、各絶縁電線11の絶縁体15の外面16に剥離層21を押出成形し、しかる後、第3の押出成形工程において、剥離層21の外面22にシース13を押出成形により形成してもよいものとする。
以上により、ビニル絶縁ビニルシースケーブル20の製造が完了する。
以上、図3を参照しながら説明してきたように、本実施形態のビニル絶縁ビニルシースケーブル20によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
<第3の実施形態>
以下、図4を参照しながら、本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第3の実施形態を説明する。
図4は本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第3の実施形態を示す断面図である。
図4において、引用符号30は、本発明に係るビニル絶縁ビニルシースケーブルの第3の実施形態を示している。
ビニル絶縁ビニルシースケーブル30は、図4に図示する第1剥離層31と第2剥離層32とを備えてなる構成以外は、図1及び図2に図示するビニル絶縁ビニルシースケーブル10と同じ構成及び構造を備えている。したがって、第3の実施形態では、ビニル絶縁ビニルシースケーブル10と同じ構成及び構造には、同一の符号を付して説明を省略し、第1剥離層31及び第2剥離層32についてのみ説明する。
まず、第1剥離層31について説明する。
第1剥離層31は、図4に図示するように、絶縁体15の外面16に押出成形によって形成されるものである。
第1剥離層31の厚さや、第1剥離層31を構成する組成物の各成分及びこの配合量については、第1の実施形態における剥離層12と同一であるので詳細な説明は省略する。
つぎに、第2剥離層32について説明する
第2剥離層32は、図4に図示するように、シース13の内面17に押出成形によって形成されるものである。
第2剥離層32の厚さや、第2剥離層32を構成する組成物の各成分及びこの配合量については、第1剥離層31と同様に、第1の実施形態における剥離層12と同一であるので詳細な説明は省略する。
つぎに、本発明のビニル絶縁ビニルシースケーブル30の製造方法について説明する。
まず、第1の工程において、絶縁電線11を製造するとともに、第1剥離層31を形成する。当該工程は、第1の実施形態におけるビニル絶縁ビニルシースケーブル10の製造方法の第1工程と同一であるため詳細な説明を省略する。
この第1剥離層31の成形時又は成形後に、充填剤と滑剤との混合物が第1剥離層31の外面33及び内面34にブルームして剥離剤となる。
つぎに、第2の工程において、第1の工程で製造した絶縁電線11を2本平行に並べる。
しかる後、絶縁体15の外面16に被覆された第1剥離層31の外面34に、第1の実施形態において説明した配合量の塩化ビニル樹脂組成物から構成される第2剥離層32と、この第2剥離層32の外面35に被覆されてなるシース13とを2層押出成形により形成する。
この第2剥離層32の成形時又は成形後に、滑剤と混合した充填剤が第2剥離層32の外面35及び内面36にブルームして剥離剤となる。
上記製造方法の他、例えば、つぎのような製造方法を用いてもよいものとする。
まず、第1の押出成形工程において、導体14の外周に、絶縁体15を押出成形により形成し絶縁電線11を製造した後、第2の押出成形工程において、2本の絶縁電線11を並べて、各絶縁電線11の絶縁体15の外面16に第1剥離層31を押出成形により形成する。しかる後、第3の押出成形工程において、第1剥離層31の外面33に第2剥離層32を押出成形により形成し、第4の押出工程において、第2剥離層32の外面35にシース13を押出成形により形成する。
以上により、ビニル絶縁ビニルシースケーブル30の製造が完了する。
以上、図4を参照しながら説明してきたように、本実施形態のビニル絶縁ビニルシースケーブル30によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
つぎに、表1−表3に基づいて、本発明の実施例と、従来例及び比較例との比較について説明する。ここでは、実施例1〜11、従来例及び比較例1〜5を例に挙げて説明するものとする。
Figure 0006580433
Figure 0006580433
Figure 0006580433
まず、表1及び表2に基づいて、本発明の実施例1〜11について説明する。
実施例1〜11は、本発明のビニル絶縁ビニルシースケーブルである。
表1及び表2に示す実施例1〜10におけるビニル絶縁ビニルシースケーブルの構成は、先に説明したビニル絶縁ビニルシースケーブル10,20(図2及び図3参照)と同じであるので説明を省略する。また、表2に示す実施例11におけるビニル絶縁ビニルシースケーブルの構成は、先に説明したビニル絶縁ビニルシースケーブル30(図4参照)と同じであるので説明を省略する。
<実施例1>
実施例1は、表1に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.01mmの剥離層を形成した場合である。
<実施例2>
実施例2は、表1に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)80重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
<実施例3>
実施例3は、表1に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)100重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
<実施例4>
実施例4は、表1に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)100重量部、滑剤10重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
<実施例5>
実施例5は、表1に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)120重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
<実施例6>
実施例6は、表1に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
<実施例7>
実施例7は、表2に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部、滑剤1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
<実施例8>
実施例8は、表2に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部、滑剤10重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
<実施例9>
実施例9は、表2に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)100重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.5mmの剥離層を形成した場合である。
<実施例10>
実施例10は、表2に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.5mmの剥離層を形成した場合である。
<実施例11>
実施例11は、表2に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面及びシースの内面の両方に厚さ0.5mmの剥離層を形成した場合である。
つぎに、表3に基づいて、従来例について説明する。
まず、従来例のビニル絶縁ビニルシースケーブルの構成を、図5を参照しながら簡潔に説明する。
図5に図示する従来例のビニル絶縁ビニルシースケーブル100は、2本の絶縁電線101と、シース102とを備えて構成されている。
絶縁電線101は、導体103と、導体103に押出成形によって形成された絶縁体104とを備えて構成されている。絶縁体104は、塩化ビニル樹脂をベース樹脂として、これに、充填剤(炭酸カルシウム)を配合してなる塩化ビニル樹脂組成物によって構成されている。
シース102は、絶縁体104と同様に、塩化ビニル樹脂をベース樹脂として、これに、充填剤(炭酸カルシウム)を配合してなる塩化ビニル樹脂組成物によって構成されている。シース102は、絶縁電線101を2本平行に配列し、この2本の絶縁電線101に共通な被覆となるように押出成形によって形成されている。
図5からも明らかなように、従来例のビニル絶縁ビニルシースケーブル100は、シース102と絶縁体104との間に、本発明における剥離層を介在させてなる構成を備えていない。
<従来例>
従来例は、表3に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)200重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて絶縁体及びシースを形成した場合である。
表3からも明らかなように、従来例は、絶縁体及びシースを構成する塩化ビニル樹脂組成物に滑剤を配合するものではない。
つぎに、表3に基づいて、比較例1〜5について説明する。
比較例1〜5のビニル絶縁ビニルシースケーブルは、剥離層を構成する樹脂組成物の各成分の配合量を除いた基本的な構成が、先に説明したビニル絶縁ビニルシースケーブル10,20(図2及び図3参照)と同じであるので説明を省略する。
<比較例1>
比較例1は、表3に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.005mmの剥離層を形成した場合である。
<比較例2>
比較例2は、表3に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ1mmの剥離層を形成した場合である。
<比較例3>
比較例3は、表3に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)78重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
<比較例4>
比較例4は、表3に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)300重量部、滑剤0.1重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
<比較例5>
比較例5は、表3に示すように、ベース樹脂となる塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤(炭酸カルシウム)240重量部配合してなる塩化ビニル樹脂組成物を用いて、絶縁体の外面又はシースの内面に厚さ0.1mmの剥離層を形成した場合である。
表3からも明らかなように、比較例5は、剥離層を構成する塩化ビニル樹脂組成物に滑剤を配合するものではない。
実施例1〜11、従来例及び比較例1〜5の各組成に基づいてビニル絶縁ビニルシースケーブルを製造し、それぞれについて、「剥離性(ケーブル引抜荷重)」、「常温における引張強さ及び引張伸び」、「熱老化特性」、「耐油性」、「電気特性(絶縁抵抗)」、「施工性」の規格値及び目標値の各測定結果を比較する。
ここで、「規格値」とは、日本工業規格JIS C 3342に準拠した規格値をいうものとする。また、「目標値」とは、長期の使用や、使用者、作業者の使い易さを考慮した場合に必要な値をいうものとする。
また、表1−表3において、「◎」は、規格値及び目標値を満たし、且つ、極めて良好な特性を有している場合、「○」は、規格値及び目標値を満たしている場合、「△」は、規格値と目標値との間の値を満たしている場合、「×」は、規格値及び目標値を満たしていない場合を示している。
<剥離性(ケーブル引抜荷重)>
表1−表3において、「剥離性(ケーブル引抜荷重)」は、絶縁体とシースとの剥離のし易さを測定したものであり、目標値が20N以下であれば「○」、目標値が20Nを超えると「×」を示した。
<常温における引張強さ及び引張伸び>
「常温における引張強さ及び引張伸び」の測定結果は、表1−表3における「常温」の項目に示されており、「常温における引張強さ」は、規格値が10MPa以上、目標値が12MPa以上であれば「○」、規格値が10MPa、目標値が12MPaに到達しないと「×」を示した。
また、「常温における引張伸び」は、規格値が120%以上、目標値が200%以上であれば「○」、規格値が120%、目標値が200%に到達しないと「×」を示した。
<熱老化特性>
「熱老化特性」は、熱老化したときの「引張強さ残率」及び「引張伸び残率」を測定したものである。
「熱老化特性」の測定結果は、表1−表3における「熱老化」の項目に示されており、「引張強さ残率」は、規格値及び目標値がそれぞれ85%以上であれば「○」、規格値及び目標値がそれぞれ85%に到達しないと「×」を示した。
また、「引張伸び残率」は、規格値及び目標値がそれぞれ80%以上であれば「○」、規格値及び目標値がそれぞれ80%に到達しないと「×」を示した。
<耐油性>
「耐油性」は、日本工業規格JIS C 3005の「4.18 耐油」に準拠して「引張強さ残率」及び「引張伸び残率」を測定したものである。
「耐油性」の測定結果は、表1−表3における「耐油」の項目に示されており、「引張強さ残率」は、規格値及び目標値がそれぞれ85%以上であれば「○」、規格値及び目標値がそれぞれ85%に到達しないと「×」を示した。
また、「引張伸び残率」は、規格値及び目標値が80%以上であれば「○」、規格値及び目標値が80%に到達しないと「×」を示した。
<電気特性(絶縁抵抗)>
表1−表3において、「電気特性(絶縁抵抗)」の測定結果は、規格値が50MΩkm以上、目標値が100MΩkm以上であれば「○」、規格値が50MΩkm、目標値が100MΩkmに到達しないと「×」を示した。
<施工性>
表1−表3において、「施工性」は、配線作業における絶縁体とシースとの剥離のし易さを測定したものであり、目標値が40N以下であれば「○」、目標値が40Nを超えると「×」を示した。
つぎに、表1−表3に示された測定結果から、実施例1〜11と、従来例及び比較例1〜5とを比較する。
表1及び表2より、実施例1〜10の何れも上記各項目の測定結果がすべて「○」であった。また、表2より、実施例11は、「剥離性(ケーブル引抜荷重)」の測定結果が「◎」、それ以外のすべての項目の測定結果が「○」であった。
このような結果から、実施例1〜11の何れも、常温における引張強さ及び引張伸び、熱老化特性、耐油性、電気特性(絶縁抵抗)等の日本工業規格を満たし、且つ、施工性が良好であり、さらに、絶縁体とシースとの間の剥離性が良好であるといえる。
また、実施例11は、「剥離性(ケーブル引抜荷重)」の測定結果が「◎」を示したため、絶縁体又はシースの何れかに剥離層を設けた場合と比べてケーブルの引抜加重が小さいといえる。すなわち、剥離性が極めて良好であるといえる。
これに対して、表3より、従来例の上記各項目の測定結果は、「熱老化特性」及び「耐油性」がすべて「○」であったが、「剥離性(ケーブル引抜荷重)」、「常温における引張強さ及び引張伸び」、「電気特性(絶縁抵抗)」、「施工性」の各項目がすべて「×」であった。
このような結果から、従来例は、日本工業規格を十分に満たさず、且つ、施工性及び剥離性が良好ではないといえる。
また、表3より、比較例1の測定結果は、「剥離性(ケーブル引抜荷重)」が「×」、それ以外のすべての項目が「○」であった。
また、表3より、比較例2の測定結果は、「剥離性(ケーブル引抜荷重)」が「○」、「常温における引張強さ」が「×」、「常温における引張伸び」が「○」、熱老化特性は、「引張強さ残率」が「○」、「引張伸び残率」が「×」、耐油性は、「引張強さ残率」が「○」、「引張伸び残率」が「×」、「電気特性(絶縁抵抗)」が「△」、施工性が「×」であった。
また、表3より、比較例3の測定結果は、「剥離性(ケーブル引抜荷重)」が「×」、それ以外のすべての項目が「○」であった。
また、表3より、比較例4の測定結果は、「剥離性(ケーブル引抜荷重)」が「○」、「常温における引張強さ」が「×」、「常温における引張伸び」が「○」、熱老化特性は、「引張強さ残率」が「○」、「引張伸び残率」が「×」、耐油性は、「引張強さ残率」が「○」、「引張伸び残率」が「×」、「電気特性(絶縁抵抗)」が「△」、施工性が「○」であった。
また、表3より、比較例5の測定結果は、「剥離性(ケーブル引抜荷重)」が「×」、それ以外のすべての項目が「○」であった。
このような結果から、比較例1〜5は、常温における引張強さ及び引張伸び、熱老化特性、耐油性、電気特性(絶縁抵抗)等の日本工業規格、剥離性、施工性のうち、少なくとも何れか1つを満足していないといえる。
以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、実施例1〜11における剥離層を構成する樹脂組成物の各成分の配合量や、剥離層の厚みの値を採用していることから、従来例及び比較例1〜5に比べて、常温における引張強さ及び引張伸び、熱老化特性、耐油性、電気特性(絶縁抵抗)等の日本工業規格を満たし、且つ、施工性が良好であり、さらに、絶縁体とシースとの間の剥離性が良好であるといえる。
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
10,20,30…ビニル絶縁ビニルシースケーブル、 11…絶縁電線、 12…剥離層(絶縁体)、 21…剥離層(シース)、 13…シース、 14…導体、 15…絶縁体、 16,18,22,33,35…外面、 17,19,23,34,36…内面、 31…第1剥離層(絶縁体)、 32…第2剥離層(シース)

Claims (4)

  1. 導体に絶縁体を被覆した絶縁電線にシースを被覆し、前記絶縁体と前記シースとの間に剥離層を介在させてなるビニル絶縁ビニルシースケーブルにおいて、
    前記剥離層は、塩化ビニル樹脂に充填剤と滑剤と配合してなる樹脂組成物からなり、前記剥離層の外面及び内面に前記充填剤と前記滑剤との混合物がブルームされてなり、
    さらに、前記剥離層は、前記塩化ビニル樹脂100重量部に対して、前記充填剤を200重量部を超え240重量部以下配合するとともに、前記滑剤を0.1重量部以上5重量部未満配合してなり、
    前記滑剤として、脂肪酸、脂肪酸系アルコール、脂肪酸系エステル、脂肪酸系アミド、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、又は、パラフィンワックスを用い
    ことを特徴とするビニル絶縁ビニルシースケーブル。
  2. 請求項1に記載のビニル絶縁ビニルシースケーブルにおいて、
    前記剥離層の厚さを0.01mm以上0.5mm以下とす
    ことを特徴とするビニル絶縁ビニルシースケーブル。
  3. 請求項1又は2に記載のビニル絶縁ビニルシースケーブルにおいて、
    前記滑剤として、融点が50℃以上160℃以下のものを配合する
    ことを特徴とするビニル絶縁ビニルシースケーブル。
  4. 導体に絶縁体を被覆した絶縁電線にシースを被覆し、前記絶縁体と前記シースとの間に剥離層を介在させてなるビニル絶縁ビニルシースケーブルの製造方法において、
    塩化ビニル樹脂100重量部に対して、充填剤を200重量部を超え240重量部以下配合するとともに、滑剤を0.1重量部以上5重量部未満配合してなり、且つ、該滑剤として、脂肪酸、脂肪酸系アルコール、脂肪酸系エステル、脂肪酸系アミド、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩、又は、パラフィンワックスを用いた樹脂組成物からなる前記剥離層の外面及び内面に前記充填剤と前記滑剤との混合物をブルームさせる工程を含む
    ことを特徴とするビニル絶縁ビニルシースケーブルの製造方法。
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