以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
〔1〕本実施形態の車両制御装置の構成:
図1は本発明の一実施形態としての車両制御装置101の構成を示すブロック図である。この図1に示すように、本実施形態の車両制御装置101は、可視光線の透過率を調整可能な調光ガラス110を、ウインドウガラス111〜116としてそなえた自動車(車両)100において、各調光ガラス110の透過率を制御したり、エンジン40の始動などを制御するものである。
〔1−1〕本実施形態のガラスの構成:
本実施形態における車両としての自動車100は、ここでは、一般的な4ドアタイプの乗用車を具体例とし、6枚のウインドウガラス111〜116(フロントウインドウガラス111,右前サイドウインドウガラス112,左前サイドウインドウガラス113,右後サイドウインドウガラス114,左後サイドウインドウガラス115およびリアウインドウガラス116)をそなえている。
これらのウインドウガラス111〜116を成す調光ガラス110としては、図2に示すような調光ガラス110A、もしくは、図3に示すような調光ガラス110B、もしくは、図4に示すような調光ガラス110Cのいずれかを用いることができる。
ここで、「調光ガラス」とは、ガラスそのものの可視光線の透過率や着色具合などを自由に調整可能とすることで、カーテンやシャッタなどを用いることなく、当該ガラスの隔てた側を視認不可能なもの(高濃度な状態)とすることが可能なガラスである。
また、ここでいう「調光ガラス」の「ガラス」とは、いわゆる二酸化珪素を主成分とするガラスという材質を限定的に指すのではなく、窓などに利用され得る、通常、略無色透明である板状のものを指す広義の「ガラス」であり、アクリルやポリカーボネートといったプラスチックなどの材質のものも含まれる。
図2は調光ガラス(第1例)110Aの構造を模式的に示す断面図で、この図2に示すように、調光ガラス110Aは、液晶を用いて調光可能に構成されたものであり、通常は透明な状態であったものが、電圧の印加により液晶分子の配向性が変わることにより光が遮られる構成を有している。
より具体的に説明すると、調光ガラス110Aは、2枚のガラス板(透明板)120,130の間に有機エレクトロルミネッセンス素子層140が挟入されることによって構成
されている。なお、以下では「エレクトロルミネッセンス」を「EL」と略記する場合がある。
有機EL素子層140は、陽極透明電極141と陰極透明電極142とが有機EL層143を挟入することにより構成されている。そして、陽極透明電極141と陰極透明電極142との間に電圧を印加することにより、有機EL層143が発光するようになっている。
この有機EL層143は、陽極側から順に正孔輸送層144,発光層145および電子輸送層146の3層を積層されて構成されており、陽極透明電極141と陰極透明電極142との間に電圧が印加されることにより発光層146から陽極方向に向けて発光光が発せられるのである。
また、発光層146は、光の3原色である赤(R),緑(G),青(B)を各々発光する発光体を、マトリクス状に規則正しく配列して構成されており、このような構成により、調光ガラス110Aを、カラー表示装置として機能させることが可能になっている。
調光ガラス110Aにおいて、有機EL素子層140による表示状態(3原色用発光体の発光状態)は、後述する調整手段10bの表示制御機能や居眠り運転抑制制御機能によって制御され、全面的に同一色の着色表示を行なえるだけでなく、任意の画像を表示させ、外部に対して様々な情報を報知することが可能になっている。
なお、本実施形態においては、有機EL層143は正孔輸送層144,発光層145および電子輸送層146の3層により構成されているが、本発明はこれに限らず、単一の層からなるものや、正孔輸送層と発光層の2層からなるもの等、有機EL層と呼ばれるものによって構成されていればよい。
そして、調光ガラス110Aでは、可視光線の透過率を調整すべく、液晶フィルム150が車室内側に貼付されている。液晶フィルム150を調光ガラス110Aの車室内側つまりガラス板130に貼付することで、この液晶フィルム150による調光(可視光線の透過率の変更・調整;後述)を行なっても、有機EL素子層140による外部(車室外)に対する表示(後述)が液晶フィルム150によって遮られることはない。
液晶フィルム150は、2枚の透明薄膜151,152の間に、透明電極153,154および液晶層(液晶分子)155が挟入されることによって構成されている。液晶層155は、透明電極153,154の間に挟入されている。
そして、これらの透明電極153,154の間に所定の電圧を印加することにより、液晶層155における液晶分子の配向性を変化させることで可視光線が遮られるように構成されている。
すなわち、液晶フィルム150つまりは調光ガラス110Aは、電圧を印加しない状態で透明な状態(可視光線の透過率が所定値である70%以上の状態)であるが、所定の電圧を印加すると高濃度な状態(可視光線の透過率が所定値である70%未満の状態)に切り換えられるようになっている。この液晶フィルム150に対する印加電圧は、後述する調整手段10bによって調整・制御される。
上述のごとく、1枚の調光ガラス110Aにおいて、有機EL素子層140および液晶フィルム150をそなえることにより、有機EL素子層140によるカラー表示装置としての機能と、液晶フィルム150による一般的な調光ガラスとしての機能との両方を実現
することが可能になるのである。なお、調光ガラス110Aにおいて、カラー表示を目的としないのであれば、RGBの3色の発光体全てをそなえる必要はない。
図3は調光ガラス(第2例)110Bの構造を模式的に示す断面図である。この図3に示すように、調光ガラス110Bは、フォトクロミック方式を用いて調光可能に構成されたもので、図2に示した調光ガラス110Aとほぼ同様に構成されているが、調光ガラス110Bでは、調光ガラス110Aの液晶フィルム150に代え、フォトクロミックガラス層160がそなえられている。このフォトクロミックガラス層160は、特定の波長の光を照射することにより、着色する物質を用いたもので、調光ガラス110Bの車室外側つまりガラス板120に貼付されている。なお、図3中、既述の符号と同一の符号は、同一もしくはほぼ同一の部分を示しているので、その説明は省略する。
より具体的に説明すると、調光ガラス110Bにおいては、可視光線の透過率を調整すべく、陽極側のガラス板120の外側に、特定波長の光の照射により着色する機能を有するフォトクロミックガラス層160が設けられている。このフォトクロミックガラス層160つまりは調光ガラス110Bは、通常、透明な状態(可視光線の透過率が所定値である70%以上の状態)であるが、有機EL層143(発光層145)に当該特定波長を有する光を発光させると着色され高濃度な状態(可視光線の透過率が所定値である70%未満の状態)に切り換えられるようになっている。フォトクロミックガラス層160を着色すべく有機EL層143(発光層145)に当該特定波長を有する光を発光させる指示・制御は、後述する調整手段10bによって行なわれる。
このとき、調光ガラス110Bにおいて、フォトクロミックガラス層160は、特定の紫外線光により着色するものとし、有機EL素子層140の発光層145は、赤(R),緑(G),青(B)の光の3原色および当該特定の紫外線光を発する4種類の発光体をマトリクス状に規則正しく配列して構成されているものとする。この場合、紫外線光用発光体の発光状態の制御は、後述する調整手段10bによって行なわれる一方、有機EL素子層140による表示状態(3原色用発光体の発光状態)は、調光ガラス110Aと同様、後述する調整手段10bの表示制御機能や居眠り運転抑制制御機能によって制御され、全面的に同一色の着色表示を行なえるだけでなく、任意の画像を表示させ、外部に対して様々な情報を報知することが可能になっている。
上述のごとく、1枚の調光ガラス110Bにおいて、有機EL素子層140およびフォトクロミックガラス層160をそなえることにより、有機EL素子層140によるカラー表示装置としての機能と、有機EL素子層140(紫外線用発光体)およびフォトクロミックガラス層160の協働動作による調光ガラスとしての機能との両方を実現することが可能になるのである。なお、調光ガラス110Bにおいてカラー表示を目的としないのであれば、RGBの3色の発光体全てをそなえる必要はなく、また、フォトクロミックガラス層160を着色するための光は紫外線光に限らず、赤外線光や、単色表示時であれば表示用の光と異なる波長の光でもよく、表示装置として使用する際に用いられる波長の光でなければよい。
図4は調光ガラス(第3例)110Cの構造を模式的に示す断面図で、この図4に示すように、調光ガラス110Cは、図2に示す調光ガラス110Aの液晶フィルム150を取り除いたもの、もしくは、図3に示す調光ガラス110Bのフォトクロミックガラス層160を取り除いたものと等価な構成になっている。なお、フォトクロミックガラス層160をそなえていないので、当然、調光ガラス110Bについて上述した、有機EL素子層140における紫外線用発光体も不要になる。また、図4中、既述の符号と同一の符号は、同一もしくはほぼ同一の部分を示しているので、その説明は省略する。
より具体的に説明すると、調光ガラス110Cにおいては、有機EL素子層140が、カラー表示を行なうものとして機能する。つまり、有機EL素子層140つまりは調光ガラス110Cは、通常、透明な状態であるが、有機EL層143(発光層145)を発光させ何らかのカラー表示を行なう状態に切り換えられるようになっている。
このとき、調光ガラス110Cにおいてカラー表示を行なうことを目的とする有機EL層143の発光制御は、後述する後述する調整手段10bの表示制御機能や居眠り運転抑制制御機能によって行なわれる。この調光ガラス110Cにおいても、有機EL素子層140による表示状態(3原色用発光体の発光状態)は、調光ガラス110A,110Bと同様、後述する調整手段10bの表示制御機能や居眠り運転抑制制御機能によって制御され、全面的に同一色の着色表示を行なえるだけでなく、任意の画像を表示させ、外部に対して様々な情報を報知することが可能になっている。
上述のごとく、1枚の調光ガラス110Cにおいて、有機EL素子層140をそなえることにより、カラー表示装置としての機能と調光ガラスとしての機能との両方を実現することが可能になるのである。なお、調光ガラス110Cにおいてカラー表示を目的としないのであれば、RGBの3色の発光体全てをそなえる必要はない。
〔1−2〕本実施形態の車両制御装置101の構成:
図1に示す本実施形態の自動車100においては、エンジン40の駆動がオルタネーター(図示略)に伝わり該オルタネーターによる発電が行なわれ、その電力は、通常のバッテリと本実施形態の車両制御装置101のための専用バッテリと(いずれも図示略)に蓄積される。ここで、通常のバッテリは、エンジン40の点火プラグや各種装備品を作動させるための電源であり、専用バッテリは本実施形態に係る調光ガラス110を動作させるための専用の電源である。このように、他の装備品等を作動させるための電源と、調光ガラス110を作動させるための電源とを分離することにより、エンジン40非作動時に調光ガラス110が電力を消費していても、エンジン40始動のためのバッテリが上がってしまうのを防止できるようになっている。
そして、本実施形態の車両制御装置101は、図1に示すように、6枚のウインドウガラス111〜116を成す調光ガラス110のそれぞれに接続され、各調光ガラス110における可視光線の透過率を調整制御するとともに、各調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示を制御し、さらに、エンジン40の各種制御を行うものである。
すなわち、車両制御装置101は、制御手段としてのCPU10,位置検出手段としてのGPS位置検出部21,速度検出手段としての速度センサ22,明度検出手段としての明度センサ23,ROMおよびRAMからなる記憶部30,をそなえて構成されている。
ここで、記憶部30のROM(Read Only Memory)は、車両制御装置101としての機能を実現すべくCPU10が実行すべき各種プログラム(調光制御プログラム/表示制御プログラム/居眠り運転抑制プログラム)や、これらのプログラムを実行するために必要になる初期データ(デフォルト値等)や、後述する位置判定手段11および速度判定手段12ならびに居眠り判定手段14による判定でそれぞれ必要となる位置判定条件および速度判定条件ならびに居眠り判定条件や、その判定に必要となる領域情報(後述する特定領域の経度・緯度情報)および速度情報(後述する速度ゼロの情報)ならびに居眠り判定基
準情報や、ウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110における有機EL素子層140で表示されるオリジナル画像データ(後述するブレーキ用表示画像データや方向指示用表示画像データのほか、ユーザの好みによって格納された各種表示画像データ等)などを記憶するものである。
また、この記憶部30のROMには、識別手段19で必要となる運転者識別のプログラムなども格納されている。さらに、この記憶部30のROMには、音声信号に応じたエフェクト表示をガラスに行う際の基本となる画像パターンや、音声−画像変換プログラムなども格納されている。
なお、本実施形態において、位置判定条件は、自動車100の所在位置が、予め指定された特定領域(より具体的には、自動車100の走行移動しうる公道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していることであり、速度判定条件は、自動車100の移動速度(車速)がゼロであることである。
記憶部30のRAM(Random Access Memory)は、ROMに記憶されたプログラムをCPU10が実行する際に使用するデータ(フラグや変数の値など)を一時的に記憶するほか、ウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110における有機EL素子層140によってカラー表示を行なう際に有機EL素子層140で表示すべき画像データを一時的に記憶するものである。
なお、本実施形態において、記憶部30のRAMには、エンジンの始動時における居眠り判定結果の履歴を蓄積しておく。この場合、生体センサの検出結果により、該運転者を識別し、識別された同一の運転者について、エンジンの始動時における居眠り判定結果の履歴を蓄積しておくことが望ましい。また、記憶部30のRAMには、識別手段19で必要となる運転者識別のための識別や照合のテンプレートや各種データなども格納されている。
GPS位置検出部21は、自動車100の所在位置(現在位置;緯度・経度情報)を、例えば既設のカーナビゲーションのGPS(Global Positioning System)機能を用いて
検出するものである。速度センサ22は、自動車100の移動速度(車速)を検出するもので、この速度センサ22も、自動車100に既設のものが用いられる。明度センサ23は、自動車100外部の明度(車室外の明るさの度合い;単位:ルクス(lx))を検出するものである。
また、車両制御装置101には、各種操作入力部が接続されており、アクセルペダル51,ブレーキペダル52,方向指示器操作部53,切換スイッチ54,表示指示入力部55,居眠り検知手段57、運転者を識別するための生体データを取得する生体センサ59などが接続されている。また、車両制御装置101からの指示を受けて各種表示を行う表示部60を備えている。なお、表示部60は、速度計などの表示部と兼用したり、カーナビゲーション装置の表示部と兼用することが可能である。
切換スイッチ54は、各調光ガラス110の透明状態から高濃度状態への切換指示や各調光ガラス110の高濃度状態から透明状態への切換指示を、CPU10(後述する調整手段10b)に対して行なうもので、フロントウインドウガラス111,右前サイドウインドウガラス112,左前サイドウインドウガラス113,右後サイドウインドウガラス114,左後サイドウインドウガラス115およびリアウインドウガラス116の全てについて同時に切り換える指示や、これらのウインドウガラス111〜116のうちの少なくとも一つを指定して選択的に切り換える指示を行なえるようになっている。また、切換スイッチ54は、後述するごとく明度センサ23による検出結果(明度)に応じた透過率
調整を行なう明度調整モードの設定・解除も行なえるようになっている。
表示指示入力部55は、各調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示についての実行指示や解除指示を、CPU10(後述する調整手段10bの表示制御機能や居眠り運転抑制制御機能)に対して行なうもので、例えば、各調光ガラス110で表示されるべき画像を記憶部30のROMに保存されているオリジナル画像データの中から指定しその画像の表示指示や解除指示を行なったり、各調光ガラス110で発光されるべき色を指定しその色による表示指示や解除指示を行なったり、図5を参照しながら後述するようなブレーキ用表示画像を運転者のブレーキペダル52の操作に応じてリアウインドウガラス116(調光ガラス110)に表示させるブレーキ表示モードの設定や解除を指示したり、図6(a)を参照しながら後述するような方向指示用表示画像を、運転者によって操作される方向指示器操作部53の動作に応じて表示させる方向指示表示モードの設定や解除を指示したりするものである。
居眠り検知手段57は、運転者の居眠り、あるいは居眠りに関連する状態を検知するもので、該居眠り検知手段57の検知結果は、居眠り判定手段14で判定される。そして、居眠り判定手段14の判定結果(居眠りなし/居眠り発生)は、調整手段10bに伝達される。そして、後述する調整手段10bやエンジンコントローラ10aにより、居眠り運転抑制プログラムが実行され、居眠り運転抑制制御機能が働く。
なお、この居眠り検知手段57は、たとえば、図15のように、ダッシュボード59Aの運転席に近いいずれかの位置で、運転者の顔を動画で撮影可能なカメラが該当する。なお、カメラの配置場所は、サンバイザー、ダッシュボード上、Aピラー、ステアリングの中心付近、など変形が可能である。
なお、運転者識別のための生体センサ59としては、図15のように顔や虹彩を撮影するカメラや、指紋や掌の血管をスキャンするセンサや、呼気中の成分を検出するセンサ(図示せず)や、運転者の声紋を取得するマイクロホン(図示せず)などを、ダッシュボードDやステアリングホイール58などに設けることが可能である。
また、生体センサとしては、運転者が常時身につけた状態にした生体センサ59’(図示せず)を用いて、その生体センサ59’から無線あるいは赤外線によるデータ転送を用いて必要な情報をCPU10が取得することも可能である。
この実施形態において、居眠りに関連する状態とは、運転者の顔(表情)における目の開き具合、所定の動作の反応時間の長短、所定の質問に対する回答の正答率などが挙げられる。
この場合、図16のような、運転者の顔画像に含まれる眼の開き具合(h1/w1,h2/w2)により、居眠り判定手段14で判定がなされる。
なお、この場合、顔外形の所定範囲内の、横に2つ並んだ状態の、横長の白目とその中央の黒目とを、パターン認識により認識し、眼の開き具合(縦横比)を求めて判定を行う。
また、横あるいは斜めの方向から運転者を撮影し、頭部あるいは上半身の位置や動きで居眠りを検出・判定することも可能である。
また、車両の走行軌跡が蛇行していることによっても居眠りを検知でき、その場合には、GPS位置検出部21や、図示されないステアリング操作角度センサなどが居眠り検知手段57を構成している。また、蛇行だけでなく、通常のステアリング操作とは異なる、居眠り時の急激なステアリング操作も居眠り検知に用いることができる。
さらには、後述するように、運転者の脳波を調べたり、運転者の反射神経などを検知することでも居眠り検知が可能である。
CPU(Central Processing Unit)10は、記憶部30のROMに記憶されている調
光制御プログラム/表示制御プログラム/居眠り運転抑制プログラムを読み出して実行することにより、後述する位置判定手段11,速度判定手段12,エンジンコントローラ10aおよび調整手段10bの居眠り運転抑制制御機能や居眠り運転抑制制御機能としての機能を果たすものである。
位置判定手段11は、GPS位置検出部21によって検出された自動車100の所在位置(現在位置;緯度・経度情報)が、記憶部30のROMに記憶されている位置判定条件を満たしているか否か、すなわち、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属しているか否かを判定するものである。この位置判定手段11による判定は、GPS位置検出部21によって検出された所在位置の緯度・経度情報が、記憶部30のROMに予め登録されている特定領域の経度・緯度情報に属しているか否かを判定することによって行なわれる。
速度判定手段12は、速度センサ22によって検出された自動車100の移動速度(車速)が、記憶部30のROMに記憶されている速度判定条件を満たしているか否か、すなわち、ゼロであるか否かを判定するものである。
居眠り判定手段14は、居眠り検知手段57で検知される運転者の検知結果に基づいて、居眠りなし/居眠り発生といった判定を行い、判定結果を調整手段10bに伝達する。
なお、居眠りではないものの、居眠りの手前の状態が居眠り検知手段57に検出されることもあるため、居眠りなし/居眠り注意/居眠り発生、といった判定を行うようにしてもよい。
識別手段19は、生体センサ59の検出結果により、テンプレートマッチングなどの各種手法を用いて、該運転者を識別し、識別結果を調整手段10bに伝達する。
エンジンコントローラ10aは、アクセルペダル51,ブレーキペダル52などに基づいてエンジン40の回転数を制御するほか、上述した居眠り判定手段14による判定結果に基づいて、後述する調整手段と共に居眠り運転抑制制御機能を実行する。
調整手段10bは、図7を参照しながら後述するように、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)に従い、運転者の前方および両側方におけるウインドウガラス111〜113を、位置判定手段11および速度判定手段12による判定結果と切換スイッチ54によって行なわれる切換指示とに従った透過率調整対象とする一方、図8を参照しながら後述するように、上記ウインドウガラス111〜113以外のウインドウガラス114〜116を、切換スイッチ54によって行なわれる切換指示のみに従った透過率調整対象としている。
また、調整手段10bは、居眠り運転抑制制御のため、居眠り判定手段14の判定結果に従い、少なくともウインドウガラス111〜113、望ましくはウインドウガラス111〜116を、透過率調整対象とする。
つまり、調整手段10bは、ウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110を透明状態から高濃度状態へ切り換える指示を切換スイッチ54から受けると、位置判定手段11によって自動車100の所在位置が特定領域に属していると判定され且つ速度判定手段12によって自動車100の移動速度がゼロであると判定された場合に限り、ウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110の透過率を所定値未満(例えば
70%未満)に調整し、各調光ガラス110を透明状態から高濃度状態へ切り換える。
このようにウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110を高濃度状態へ切り換えた後も、所定制御周期毎に、GPS位置検出部21および速度センサ22による検出、および、その検出結果に基づく位置判定手段11および速度判定手段12による判定が実行されており、位置判定手段11によって自動車100の所在位置が特定領域に属していないと判定された場合、もしくは、速度判定手段12によって自動車100の移動速度がゼロでないと判定された場合には、直ちに、調整手段10bが、ウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110の透過率を所定値以上(例えば70%以上)に調整し、各調光ガラス110を高濃度状態から透明状態へ切り換える。
また、調整手段10bは、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)の対象外であるウインドウガラス114〜116を成す各調光ガラス110を透明状態から高濃度状態へ切り換える指示を切換スイッチ54から受けると、位置判定手段11および速度判定手段12による判定結果と関係なく、各調光ガラス110の透過率を所定値未満(例えば70%未満)に調整し、各調光ガラス110を透明状態から高濃度状態へ切り換える。
さらに、調整手段は13は、ウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110を透明状態から高濃度状態へ切り換える指示を受けると、各調光ガラス110の透過率を所定値以上(例えば70%以上)に調整し、各調光ガラス110を高濃度状態から透明状態へ切り換える。
また、本実施形態の調整手段10bは、切換スイッチ54により前記明度調整モードが設定されている場合、明度センサ23によって検出された、自動車100外部の明度(車室外の明るさの度合い)に応じて、各調光ガラス110の透過率を調整する機能も有している。例えば、自動車100外部の明度が低い場合(つまり車外が暗い場合)、各調光ガラス110の透過率を高めるように調整する一方、自動車100外部の明度が高い場合(つまり車外が明るい場合)、各調光ガラス110の透過率を低くするように調整する。
また、イグニッションキー(図示せず)が操作されてエンジン始動の指示が発生しても、本実施形態のエンジンコントローラ10aと調整手段10bとは、居眠り運転抑制制御のため、運転者の顔画像や姿勢状態が撮影され、これにより居眠り検知手段57の検知結果が居眠り判定手段14で判定されて調整手段10bに伝達されてからでないと、エンジンの始動は行えないように制御する。
そして、本実施形態の調整手段10bは、居眠り発生と判定された場合に、位置判定手段によって車両の所在位置が特定領域に属していると判定され且つ速度判定手段によって車両の移動速度がゼロであると判定されてから、運転に適さない状態にまで各調光ガラス110の透過率を下げる機能を有している。
すなわち、居眠りが検知されて判定手段14で居眠りと判定された場合には、車両の所在位置と移動速度が条件を満たせば、調整手段10bは、各調光ガラス110の透過率を透明状態から高濃度状態へ切り換える。この場合、調整手段10bは、少なくともウインドウガラス111〜113、望ましくはウインドウガラス111〜116を、高濃度の透過率調整対象とする。これにより、居眠りした状態で、車両を運転することができない状態になる。
なお、各調光ガラス110が図2に示す調光ガラス110Aである場合、調整手段10bは、液晶フィルム150における2枚の透明電極153,154に所定の電圧を印加し、液晶層155における液晶分子の配向性を変化させることにより、調光ガラス110の
透過率を所定値未満に調整する。また、各調光ガラス110が図3に示す調光ガラス110Bである場合、調整手段10bは、有機EL素子層140の透明電極141,142に所定の電圧を印加し、発光層145に特定波長の光(本実施形態では紫外線光)を発光させフォトクロミックガラス層160を着色させることにより、調光ガラス110の透過率を所定値未満に調整する。さらに、各調光ガラス110が図4に示す調光ガラス110Cである場合、調整手段10bは、有機EL素子層140の透明電極141,142に所定の電圧を印加し、発光層145に所定色の光を発光させることにより、調光ガラス110の透過率を所定値未満に調整する。
調整手段10bの表示制御機能は、各調光ガラス110における有機EL素子層140の発光層145の各発光体の発光状態を制御することにより、有機EL素子層140において任意の発色もしくは任意のカラー画像の表示を実行させるものである。
特に、本実施形態の調整手段10bの表示制御機能は、図10を参照しながら後述するように、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)に従い、運転者の前方および両側方におけるウインドウガラス111〜113でのカラー表示についての実行指示を表示指示入力部55から受けた場合には、位置判定手段11によって自動車100の所在位置が特定領域に属していると判定され且つ速度判定手段12によって自動車100の移動速度がゼロであると判定された場合に限り、ウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110の有機EL素子層140に、表示指示入力部55によって指定された画像等のカラー表示を実行させる。
また、調整手段10bの表示制御機能は、図9や図11を参照しながら後述するように、ウインドウガラス114〜116でのカラー表示についての実行指示を表示指示入力部55から受けた場合には、上述のごとき判定を行なうことなく、直ちに、ウインドウガラス114〜116を成す各調光ガラス110の有機EL素子層140に、表示指示入力部55によって指定された画像等のカラー表示を実行させる。
さらに、調整手段10bの表示制御機能は、図9を参照しながら後述するように、リアウインドウガラス116について、上述したブレーキ表示モードを表示指示入力部55により設定された場合には、自動車100の走行中にリアウインドウガラス116として用いられる調光ガラス110の有機EL素子層140において、自動車100の運転者によるブレーキペダル52の操作に連動した表示を実行させる。
このブレーキ表示モードの設定時には、例えば運転者がブレーキペダル52を操作するとブレーキランプが点灯すると同時に、リアウインドウガラス116において例えば図5に示すようなブレーキ用表示画像(「ブレーキ!」を含む画像)が表示される。なお、ブレーキ用表示画像は図5に示す例に限定されるものではない。
同様に、調整手段10bの表示制御機能は、図9を参照しながら後述するように、リアウインドウガラス116について、上述した方向指示表示モードを表示指示入力部55により設定された場合には、自動車100の走行中にリアウインドウガラス116として用いられる調光ガラス110の有機EL素子層140において、自動車100の運転者によって操作される方向指示器操作部53の動作に連動した表示を実行させる。この方向指示表示モードの設定時には、例えば運転者が方向指示器操作部53を操作すると指示方向に応じたウインカーが点灯すると同時に、リアウインドウガラス116において例えば図6(a)に示すような方向指示用表示画像(右方向指示に応じた、大きな右矢印を含む画像)が表示される。なお、方向指示用表示画像は図6(a)に示す例に限定されるものではない。
また、同様に、調整手段10bの表示制御機能は、リアウインドウガラス116について、自動車100の走行中にリアウインドウガラス116として用いられる調光ガラス110の有機EL素子層140において、居眠り運転抑制制御時には、例えば図6(b)に示すような非常停止を意味するハザードランプ表示画像(大きな右矢印と左矢印とを含む画像)を表示させる。なお、画像は図6(b)に示す例に限定されるものではない。これにより、居眠りした状態で、車両を運転することが適さない状態になる。
なお、以上の構成において、運転者の識別を行わない場合には、生体センサ59と識別手段19とを設けることを要しない。
〔2〕本実施形態の車両制御装置の動作:
〔2−1〕本実施形態の車両制御装置の調光制御動作:
次に、上述のごとく構成された本実施形態の車両制御装置101の調光制御動作(調整手段10bの動作)について、図7および図8を参照しながら説明する。なお、図7は本実施形態の車両制御装置101の調光制御動作(フロントウインドウガラス111およびフロントサイドウインドウガラス112,113に対する調光制御動作)を説明するためのフローチャート、図8は本実施形態の車両制御装置101の調光制御動作(リアサイドウインドウガラス114,115およびリアウインドウガラス116に対する調光制御動作)を説明するためのフローチャートである。
CPU10(調整手段10b)は、前述した通り、切換スイッチ54からの指示に応じて動作し、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)の対象になっている、運転者の前方および両側方におけるウインドウガラス111〜113については、図7に示すフローチャート(ステップS11〜S20)に従って調光ガラス110の調光制御を行なう一方、それ以外のウインドウガラス114〜116については、図8に示すフローチャート(ステップS21〜S25)に従って調光ガラス110の調光制御を行なう。
図7に示すように、ウインドウガラス111〜113が透明な状態〔可視光線の透過率が所定値(70%)以上の状態〕に設定されている際(ステップS11のYESルート)に、切換スイッチ54から、全てのウインドウガラス111〜116を指定して、もしくは、ウインドウガラス111〜113のうちの少なくとも一つを指定して、調光ガラス110を透明状態から高濃度状態へ切り換える指示がCPU10に入力されると(ステップS12のYESルート)、位置判定手段11により、GPS位置検出部21によって検出された自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属しているか否かを判定するとともに、速度判定手段12により、速度センサ22によって検出された自動車100の移動速度(車速)がゼロであるか否か、つまり自動車100が停車しているか否かを判定する(ステップS13)。
そして、自動車100の現在位置が特定領域に属し且つ自動車100が停車していると判定された場合(ステップS14のYESルート)、調整手段10bにより、ウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110の透過率が所定値(70%)未満に調整され、各調光ガラス110が透明状態から高濃度状態へ切り換えられる一方(ステップS15)、自動車100の現在位置が特定領域に属していない、もしくは、自動車100が停車していないと判定された場合(ステップS14のNOルート)、調整手段10bによる高濃度状態への切換調整を行なわず、切換を行なえない旨を運転者(切換操作者)に対しエラーとして通知する(ステップS16)。なお、エラー通知は、ビープ音や、コンソールディスプレイでのエラー表示等によって行なう。
ウインドウガラス111〜113が既に高濃度な状態〔可視光線の透過率が所定値(70%)未満の状態〕に設定されている際(ステップS11のNOルート)に、切換スイッ
チ54から、全てのウインドウガラス111〜116を指定して、もしくは、ウインドウガラス111〜113のうちの少なくとも一つを指定して、調光ガラス110を高濃度状態から透明状態へ切り換える指示がCPU10に入力されると(ステップS17のYESルート)、調整手段10bにより、直ちに、ウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110の透過率が所定値(70%)以上に調整され、各調光ガラス110が高濃度状態から透明状態へ切り換えられる(ステップS20)。
また、ウインドウガラス111〜113が既に高濃度な状態〔可視光線の透過率が所定値(70%)未満の状態〕に設定され(ステップS11のNOルート)、且つ、切換スイッチ54から、調光ガラス110の高濃度状態から透明状態への切換指示がCPU10に入力されない状態(ステップS17のNOルート)では、所定制御周期毎に、GPS位置検出部21および速度センサ22による検出、および、その検出結果に基づく位置判定手段11および速度判定手段12による判定が実行され(ステップS18)、位置判定手段11によって自動車100の現在位置が特定領域に属していないと判定された場合、もしくは、速度判定手段12によって自動車100が動き出したと判定された場合には(ステップS19のNOルート)、調整手段10bにより、直ちに、ウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110の透過率が所定値(70%)以上に調整され、各調光ガラス110が高濃度状態から透明状態へ切り換えられる(ステップS20)。
図8に示すように、ウインドウガラス114〜116が透明な状態〔可視光線の透過率が所定値(70%)以上の状態〕に設定されている際(ステップS21のYESルート)に、切換スイッチ54から、全てのウインドウガラス111〜116を指定して、もしくは、ウインドウガラス114〜116のうちの少なくとも一つを指定して、調光ガラス110を透明状態から高濃度状態へ切り換える指示がCPU10に入力されると(ステップS22のYESルート)、調整手段10bにより、直ちに、ウインドウガラス114〜116を成す各調光ガラス110の透過率が所定値(70%)未満に調整され、各調光ガラス110が透明状態から高濃度状態へ切り換えられる(ステップS23)。
そして、ウインドウガラス114〜116が既に高濃度な状態〔可視光線の透過率が所定値(70%)未満の状態〕に設定されている際(ステップS21のNOルート)に、切換スイッチ54から、全てのウインドウガラス111〜116を指定して、もしくは、ウインドウガラス114〜116のうちの少なくとも一つを指定して、調光ガラス110を高濃度状態から透明状態へ切り換える指示がCPU10に入力されると(ステップS24のYESルート)、調整手段10bにより、直ちに、ウインドウガラス114〜116を成す各調光ガラス110の透過率が所定値(70%)以上に調整され、各調光ガラス110が高濃度状態から透明状態へ切り換えられる(ステップS25)。
なお、ウインドウガラス111〜116のうちの少なくとも一つが透明な状態に設定されている場合で、且つ、切換スイッチ54により前記明度調整モードが設定されている場合には、透明な状態に設定されたウインドウガラスの調光ガラス110について、調整手段10bにより、明度センサ23によって検出された、自動車100外部の明度(車室外の明るさの度合い)に応じて、透過率が調整される。例えば、自動車100外部の明度が低い場合(つまり車外が暗い場合)、各調光ガラス110の透過率を高く調整して視界を確保する一方、自動車100外部の明度が高い場合(つまり車外が明るい場合)、各調光ガラス110の透過率を低く調整して運転者や乗員の受ける眩しさを低減する。ただし、透過率を低く調整する場合、ウインドウガラスが高濃度な状態になってしまうほど透過率を低く調整することはなく、ウインドウガラス(調光ガラス110)を通しての視界を確保しながら眩しさを低減できる程度、透過率を低く調整する。
〔2−2〕本実施形態の車両制御装置の表示制御動作:
ついで、本実施形態の車両制御装置の表示制御動作(調整手段10bの表示制御機能の動作)について、図9〜図11を参照しながら説明する。なお、図9は本実施形態の車両制御装置101の表示制御動作(リアウインドウガラス116に対する表示制御動作)を説明するためのフローチャート、図10は本実施形態の車両制御装置101の表示制御動作(フロントウインドウガラス111およびフロントサイドウインドウガラス112,113に対する表示制御動作)を説明するためのフローチャート、図11は本実施形態の車両制御装置101の表示制御動作(リアサイドウインドウガラス114,115に対する表示制御動作)を説明するためのフローチャートである。
CPU10(調整手段10bの表示制御機能)は、前述した通り、表示指示入力部55からの指示に応じて動作し、リアウインドウガラス116については、図9に示すフローチャート(ステップS31〜S42)に従って調光ガラス110(有機EL素子層140)の表示制御を行ない、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)の対象になっている、運転者の前方および両側方におけるウインドウガラス111〜113については、図10に示すフローチャート(ステップS51〜S58)に従って調光ガラス110(有機EL素子層140)の表示制御を行ない、それ以外のウインドウガラス114,115については、図11に示すフローチャート(ステップS61〜S65)に従って調光ガラス110(有機EL素子層140)の表示制御を行なう。
図9に示すように、表示指示入力部55から、リアウインドウガラス116を指定してこのリアウインドウガラス116の調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示についての実行指示がCPU10に入力されると(ステップS31のYESルート)、その実行指示が、前記ブレーキ表示モードおよび前記方向指示表示モードを設定するものであるか否かを判定される(ステップS32)。
実行指示が、前記ブレーキ表示モードおよび前記方向指示表示モードを設定するものであった場合(ステップS32のYESルート)、以降、表示指示入力部55からこれらのモードの設定解除指示が入力されるまで(ステップS37でYES判定となるまで)、調整手段10bの表示制御機能によりステップS33〜S36の処理が実行される。つまり、運転者がブレーキペダル52を操作すると(ステップS33のYESルート)、ブレーキランプが点灯すると同時に、調整手段10bの表示制御機能により、リアウインドウガラス116において例えば図5に示すようなブレーキ用表示画像(「ブレーキ!」を含む画像)が表示される(ステップS34)。また、運転者が方向指示器操作部53を操作すると(ステップS33のNOルートからステップS35のYESルート)、指示方向に応じたウインカーが点灯すると同時に、調整手段10bの表示制御機能により、リアウインドウガラス116において例えば図6(a)に示すような方向指示用表示画像(右方向指示に応じた、大きな右矢印を含む画像)が表示される(ステップS36)。そして、表示指示入力部55からこれらのモードの設定解除指示が入力されると(ステップS37のYESルート)、前記ブレーキ表示モードおよび前記方向指示表示モードの設定が解除される(ステップS38)。
一方、実行指示が、前記ブレーキ表示モードおよび前記方向指示表示モードを設定するものでなかった場合(ステップS32のNOルート)、その実行指示は、記憶部30のROMに保存されているオリジナル画像データの中から指定された任意画像の表示指示、あるいは、指定色の発光・表示指示であると、調整手段10bの表示制御機能によって判断される。そして、調整手段10bの表示制御機能により、指定された画像もしくは色に関するデータが記憶部30のROMから読み出されるとともに(ステップS39)、読み出されたデータに基づいて任意画像もしくは指定色がリアウインドウガラス116において発光・表示される(ステップS40)。このステップS40による表示は、表示指示入力部55から表示解除指示が入力されるまで(ステップS41でYES判定となるまで)継
続され、表示指示入力部55から表示解除指示が入力されると(ステップS41のYESルート)、任意画像もしくは指定色の表示が解除される(ステップS42)。
なお、図9に示す例では、ブレーキ表示モードおよび方向指示表示モードの両方を設定している場合について説明しているが、ブレーキ表示モードまたは方向指示表示モードのいずれか一方のみが指定されている場合には、指定されたモードに対応するブレーキ表示もしくは方向指示表示を行なうようにする。
図10に示すように、表示指示入力部55から、ウインドウガラス111〜113のうちの少なくとも一つを指定して調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示についての実行指示(記憶部30のROMに保存されているオリジナル画像データの中から指定された任意画像の表示指示、あるいは、指定色の発光・表示指示)がCPU10に入力されると(ステップS51のYESルート)、位置判定手段11により、GPS位置検出部21によって検出された自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属しているか否かを判定するとともに、速度判定手段12により、速度センサ22によって検出された自動車100の移動速度(車速)がゼロであるか否か、つまり自動車100が停車しているか否かを判定する(ステップS52)。
そして、自動車100の現在位置が特定領域に属し且つ自動車100が停車していると判定された場合(ステップS53のYESルート)、調整手段10bの表示制御機能により、指定された画像もしくは色に関するデータが記憶部30のROMから読み出されるとともに(ステップS54)、読み出されたデータに基づいて任意画像もしくは指定色が調光ガラス110において発光・表示される(ステップS55)。このステップS55による表示は、表示指示入力部55から表示解除指示が入力されるまで、もしくは、位置判定手段11によって自動車100の現在位置が特定領域に属していないと判定されるまで、もしくは、速度判定手段12によって自動車100が動き出したと判定されるまで(ステップS56でYES判定となるまで)継続され、表示指示入力部55から表示解除指示が入力されるか、自動車100の現在位置が特定領域外になるか、自動車100が移動し始めると(ステップS56のYESルート)、任意画像もしくは指定色の表示が解除される(ステップS57)。
一方、ステップS53において、自動車100の現在位置が特定領域に属していない、もしくは、自動車100が停車していないと判定された場合(NOルート)、調整手段10bの表示制御機能による表示制御を行なわず、表示を行なえない旨を運転者(切換操作者)に対しエラーとして通知する(ステップS58)。なお、エラー通知は、ビープ音や、コンソールディスプレイでのエラー表示等によって行なう。
図11に示すように、表示指示入力部55から、ウインドウガラス114,115のうちの少なくとも一つを指定して調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示についての実行指示(記憶部30のROMに保存されているオリジナル画像データの中から指定された任意画像の表示指示、あるいは、指定色の発光・表示指示)がCPU10に入力されると(ステップS61のYESルート)、調整手段10bの表示制御機能により、指定された画像もしくは色に関するデータが記憶部30のROMから読み出されるとともに(ステップS62)、読み出されたデータに基づいて任意画像もしくは指定色が調光ガラス110において発光・表示される(ステップS63)。このステップS63による表示は、表示指示入力部55から表示解除指示が入力されるまで(ステップS64でYES判定となるまで)継続され、表示指示入力部55から表示解除指示が入力されると(ステップS64のYESルート)、任意画像もしくは指定色の表示が解除される(ステップS65)。
〔2−3〕本実施形態の車両制御装置の居眠り運転抑制制御動作:
〔2−3−1〕始動時居眠り運転抑制制御動作(1):
次に、上述のごとく構成された本実施形態の車両制御装置101の始動時の居眠り運転抑制制御動作(エンジンコントローラ10aと調整手段10bとの動作)について、図12のフローチャートを参照しながら説明する。
CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、イグニッションがオン操作されると(図12のステップS121)、エンジン始動の前に、表示部60に居眠り検査実行の手順などを表示する。なお、CPU10は、この時点でウインドウが高濃度状態であれば、透明状態に戻す。
表示された手順に従い、居眠り検知手段57で運転者の顔画像や運転姿勢が撮影されると、居眠り検知手段57での撮影結果がCPU10に取り込まれる。そして、CPU10内の居眠り判定手段14が、運転者の顔画像あるいは運転姿勢を初期画像として登録する(図12中のステップS122)。
なお、この初期画像が、居眠りの有無の判定基準として、居眠り判定手段14で使用される。初期画像が運転者の顔画像である場合、上述した運転者の顔画像に含まれる眼の開き具合(h1/w1,h2/w2)の初期値がしきい値として採用される。また、初期画像が、運転者の横から見た運転姿勢であれば、背の傾き具合の初期値が、しきい値として採用される。この場合、h1/w1とh2/w2との、所定時間の平均値を用いる。
ただし、この時点で、居眠りと同等な状態が発生することにより、運転者の顔画像の眼の開き具合が著しく小さい場合や、運転姿勢が前屈みであったり揺れているような場合もありうるため、居眠り判定を行う(図12中のステップS123)。すなわち、居眠り判定手段14は、居眠り検知手段57で検知される運転者の検知結果に基づいて、居眠りなし/居眠り発生といった判定を行い、その判定結果を調整手段10bに伝達する。居眠り発生と判定された場合には、初期値をしきい値として採用することは行わない。
なお、この顔画像や運転姿勢については、もともと眼の開き具合が小さい、もともと前屈みの傾向があるなど、個人差がある。そこで、この画像の取得と判定に加え、運転者の意識レベルや体調を判定するために、反射神経の計測などを行うことも望ましい。
たとえば、CPU10の制御により、表示部60に「瞬き3回続けてしてください」とメッセージ表示してから、運転者が実際に瞬きを3回するまでの時間や、各瞬きの間隔を計測することや、表示部60に「ブレーキペダルを踏んでください」とメッセージ表示してから、運転者が実際にブレーキペダル52を踏むまでの時間を計測することや、表示部60がタッチパネルを備えた場合には表示部60に交通規則のテストを表示して結果(回答の正誤、回答時間)により判定することで、運転者の意識レベルや体調を判定することが可能になる。
特に、ブレーキペダル52を踏むまでの時間では、居眠り以外の脳や体の異常も含めて運転に適しない状態を検知できて望ましい。また、交通規則のテストによっても、居眠り以外の脳の障害などの運転に適しない状態を検知できて望ましい。
なお、ブレーキペダル52に代えて、ハンドブレーキレバーの操作や、各種のボタンの押下の操作を採用することも可能である。
居眠り判定手段14で居眠りなしと判定された場合(図12のステップS124でNO)には、調整手段10bはエンジン始動指示をエンジンコントローラ10aに伝達し、エ
ンジンコントローラ10aはエンジン40を始動する(図12中のステップS128)。すなわち、エンジン始動の指示を受けたエンジンコントローラ10aは、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を始動させる。
一方、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図12のステップS124でYES)には、調整手段10bにより、少なくともウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110、望ましくはウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより高濃度(所定値(70%)未満)に調整される(図12中のステップS125)。この場合、居眠り発生と判定されているため、実質的に運転ができない状態になるよう、できるだけ高い濃度(低い透過率)に各調光ガラスが制御されることが望ましい。
この場合、調光ガラス110は、透明状態から高濃度に制御される場合だけではなく、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態が維持される場合、さらには、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態からより一層高濃度に制御される場合、などの態様が考えられる。
また、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図12のステップS124でYES)には、上記調光ガラスの高濃度化の制御とともに、調整手段10bの表示制御機能により、フロントウインドウガラス111とリアウインドウガラス116とにおいて、調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示として、例えば図6(b)に示すようなハザードランプ表示画像(右方向指示と左方向指示との両方に応じた、大きな右矢印を含む画像)が表示される(図12中のステップS126)。この場合、居眠り発生と判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめることができる。なお、ハザードランプ表示の代わりに、赤常時点灯のパーキングランプ表示であってもよい。
さらに、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図12のステップS124でYES)には、上記調光ガラスの高濃度化の制御やハザードランプ表示とともに、調整手段10bの表示制御機能により、いずれかのウインドウガラスもしくは全体のウインドウガラスにおいて、指定された画像もしくは色に関するデータが記憶部30のROMから読み出され、読み出されたデータに基づいて任意画像もしくは指定色が調光ガラス110において発光・表示される(図12中のステップS127)。この場合、居眠り発生と判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめる画像や色が望ましい。
そして、以上のように、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図12のステップS124でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図12中のステップS125)、ウインドウのハザードランプ表示(図12中のステップS126)、ウインドウの所定画像・色表示(図12中のステップS127)を実行した後に、調整手段10bはエンジン始動指示をエンジンコントローラ10aに伝達し、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動する(図12中のステップS128)。すなわち、エンジン始動の指示を受けたエンジンコントローラ10aは、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を始動させる。
なお、以上の実施形態では、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図12のステップS124でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図12中のステップS125)、ウインドウのハザードランプ表示(図12中のステップS126)、ウインドウの所定画像・色表示(図12中のステップS127)を実行した後に、エンジン40を始動させていたが、ほぼ同時、すなわち、エンジンを始動して走行を開始する前にウインドウガラスの高濃度化などが実行できれば、実行の順番を異ならせ
てもよい。
また、居眠り発生と判定された場合にウインドウの高濃度化などを実行しても、居眠り状態の運転者が車両を無理矢理走行させるといった事態も想定される。そこで、このような走行を防止するため、CPU10内のエンジンコントローラ10aは、エンジン回転数の上限をアイドリング状態もしくはエアコン使用時のアイドルアップ状態の回転数にまで制限すること、オートマチック車の場合の変速操作にかかわらず変速を電気的に実行させない、オートマチック車の場合の変速操作があった場合には変速機をニュートラル状態に制御する、といった走行不能対策を講じることも有効である。そして、このような走行不能対策を講じたとしても、駐停車中の冷暖房の使用には何ら問題は生じない。
また、以上の実施形態では、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図12のステップS124でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図12中のステップS125)、ウインドウのハザードランプ表示(図12中のステップS126)、ウインドウの所定画像・色表示(図12中のステップS127)を実行していたが、居眠り状態での走行を抑制するため、ウインドウガラスの高濃度化だけを実行してもよいし、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウのハザードランプ表示でもよく、また、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウの所定画像・色表示であってもよい。
この実施形態の車両制御装置101によれば、運転者について居眠り発生と判定されれば調光ガラス110の透過率は所定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になる。一方、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。すなわち、エンジン40をかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、居眠り運転を有効に抑制することが可能になり、さらに、プライバシーやセキュリティも確保される。
また、この実施形態では、エンジン40のエンジン回転数をアイドリングのみに限定していないため、エアコン使用時のアイドルアップ機能が有効に動作するため、冷暖房の能力に問題が生じることがなく、車両中の乗員に不快感を与えることがないという利点がある。
なお、居眠り発生と判定されて調光ガラス110が高濃度化された後に、運転者が運転を再開したい場合には、予め定められた所定の操作により、CPU10が上述した反射神経の計測や交通規則のテストなどを実行し、運転に支障がないと判定されれば調光ガラス110を透明状態に戻す。また、運転者が一旦エンジンを停止させて、再びイグニッションをオンすることで、始動時居眠り運転抑制制御を最初から実行してもよい。
〔2−3−2〕始動時居眠り運転抑制制御動作(2):
次に、上述のごとく構成された本実施形態の車両制御装置101の始動時の居眠り運転抑制制御動作(エンジンコントローラ10aと調整手段10bとの動作)について、図17のフローチャートを参照しながら説明する。
なお、ここでは、自動車のウインドウが標準状態(規定値(70%)以上)の状態にあることを前提に説明を行う。また、初期状態でウインドウが高濃度状態(規定値未満)である場合の動作については、後述する。
CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、運転者によってイグニッションキーがオン操作されると、この図17のフローチャートに従った制御シーケンスを実行開始し、たとえば、エンジン始動の前に、表示部60に居眠り検査実行の手順などを表示する。
表示された手順に従い、居眠り検知手段57で運転者の顔画像や運転姿勢が撮影されると、居眠り検知手段57での撮影結果がCPU10に取り込まれる。そして、CPU10内の居眠り判定手段14が、運転者の顔画像あるいは運転姿勢を初期画像として登録する(図17中のステップS1701)。
なお、この初期画像が、居眠りの有無の判定基準として、居眠り判定手段14で使用される。初期画像が運転者の顔画像である場合、上述した運転者の顔画像に含まれる眼の開き具合(h1/w1,h2/w2)の初期値がしきい値として採用される。また、初期画像が、運転者の横から見た運転姿勢であれば、背の傾き具合の初期値が、しきい値として採用される。この場合、h1/w1とh2/w2との、所定時間の平均値を用いる。
ただし、この時点で、居眠りと同等な状態が発生することにより、運転者の顔画像の眼の開き具合が著しく小さい場合や、運転姿勢が前屈みであったり揺れているような場合もありうるため、居眠り判定を行う(図17中のステップS1702)。
すなわち、居眠り判定手段14は、居眠り検知手段57で検知される運転者の検知結果に基づいて、居眠りなし/居眠り可能性あり、といった判定を行い、その判定結果を調整手段10bに伝達する。居眠り発生と判定された場合には、初期値をしきい値として採用することは行わない。
なお、この顔画像や運転姿勢については、もともと眼の開き具合が小さい、もともと前屈みの傾向があるなど、個人差がある。そこで、この画像の取得と判定に加え、運転者の意識レベルや体調を判定するために、反射神経の計測などを行うことも望ましい。
たとえば、CPU10の制御により、表示部60に「瞬き3回続けてしてください」とメッセージ表示してから、運転者が実際に瞬きを3回するまでの時間や、各瞬きの間隔を計測することや、表示部60に「ブレーキペダルを踏んでください」とメッセージ表示してから、運転者が実際にブレーキペダル52を踏むまでの時間を計測することにより、反応時間を計測する。また、ブレーキペダル52を繰り返して踏む際における、踏見込み間隔の時間も同様に検知に用いることができる。
特に、ブレーキペダル52を踏むまでの反応時間では、居眠り以外の脳や体の異常も含めて運転に適しない状態を検知できて望ましい。また、交通規則のテストによっても、居眠り以外の脳の障害などの運転に適しない状態を検知できて望ましい。以上のようにして、居眠り可能性の有無を判定する(図17中のステップS1701、S1702)。
また、表示部60がタッチパネルを備えた場合には表示部60に交通規則のテストを表示して結果(回答の正誤、回答時間)により判定することで、運転者の意識レベルや体調を判定することが可能になる。
この場合、瞬きやブレーキペダル踏み込みの開始に要する時間が所定時間以上であれば、居眠り可能性ありと判定することができる。なお、この所定時間としては、運転者毎に登録をしておいてもよいし、全員に共通の時間(たとえば、1秒)を定めておいてもよい。また、一般道の運転なのか、高速道路の運転なのか、長距離の運転なのかによって、判定の基準を変えてもよい。すなわち、高速道路や長距離の運転であれば、判定基準を厳しくすることも可能である。
また、生体センサ59によって取得された指紋や掌紋や顔写真などの生体データにより、CPU10内の識別手段19が運転者毎の識別を行う。予め登録された運転者のデータ
に一致すれば、その運転者、一致するデータが無ければ、新規登録運転者#1などとして、登録を行う(図17中のステップS1701、S1702)。
すなわち、居眠りの有無については、必要に応じて、運転者毎に判定され、後述するように履歴が記憶されたり、過去の居眠り履歴と比較がなされる。
また、過去に登録された顔画像があれば、その登録済み顔画像と比較して、現時点の顔画像から、居眠りの判定を行うことも可能である。
そして、居眠り判定手段14は、居眠り検査手段57で検知される運転者の顔画像や姿勢や上記反応時間に基づいて、居眠りなし/居眠り可能性ありといった判定を行い、その判定結果を調整手段10bに伝達する。
居眠り判定手段14で居眠りなしと判定された場合(図17のステップS1703でNO)には、調整手段10bはエンジン始動指示をエンジンコントローラ10aに伝達し、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動する(図17中のステップS1708)。すなわち、エンジン始動の指示を受けたエンジンコントローラ10aは、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を始動させる。
そして、エンジン停止の指示があれば(図17中のステップS1709でYES)、エンジンコントローラ10aがエンジン40を停止させ(図17中のステップS1710)、調整手段10bは居眠り判定なしの履歴を記憶部に格納する(図17中のステップS1711)。
一方、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図17のステップS1703でYES)には、GPS位置検出部21の検出結果に基づいて、自動車100の現
在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属しているか否かを判定する(図17中のステップS1704)。
なお、位置だけでなく、速度も判定基準とする設定であれば、速度判定手段12により、速度センサ22によって検出された自動車100の移動速度(車速)がゼロであるか否か、つまり自動車100が停車しているか否かを判定する。
ここで、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図17のステップS1703でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していなければ(図17中のステップS1704でNO)、あるいは、速度がゼロ以外であれば、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動させることなく、調整手段10bは特定領域以外で居眠り判定ありの履歴を記憶部に格納して処理を終了する(図17中のステップS1711)。
すなわち、この制御によれば、車両のエンジン始動時に、居眠り可能性ありと判定された場合に、特定領域以外、すなわち道路上であれば、調光ガラスの透過率は規定値未満に調整しないが、エンジンを始動しないように制御しているため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
ここで、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図17のステップS1703でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニ
の駐車場など)に属していれば(図17中のステップS1704でYES)、あるいは、位置が特定領域であって速度がゼロであれば、調整手段10bにより、少なくともウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110、望ましくはウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより高濃度(規定値(70%)未満)に調整される(図17中のステップS1705)。この場合、居眠り可能性ありと判定されているため、実質的に運転ができない状態になるよう、できるだけ高い濃度(低い透過率)に各調光ガラスが制御されることが望ましい。
この場合、調光ガラス110は、透明状態から高濃度に制御される場合だけではなく、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態が維持される場合、さらには、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態からより一層高濃度に制御される場合、などの態様が考えられる。
また、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図17のステップS1703でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していれば(図14中のステップS204でYES)、上記調光ガラスの高濃度化の制御とともに、調整手段10bの表示制御機能により、フロントウインドウガラス111とリアウインドウガラス116とにおいて、調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示として、例えば図6(b)に示すようなハザードランプ表示画像(右方向指示と左方向指示との両方に応じた、大きな右矢印を含む画像)が表示される(図17中のステップS1706)。この場合、居眠り可能性ありと判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめることができる。なお、ハザードランプ表示の代わりに、赤常時点灯のパーキングランプ表示であってもよい。
さらに、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図17のステップS1703でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していれば(図14中のステップS204でYES)、上記調光ガラスの高濃度化の制御やハザードランプ表示とともに、調整手段10bの表示制御機能により、いずれかのウインドウガラスもしくは全体のウインドウガラスにおいて、指定された画像もしくは色に関するデータが記憶部30のROMから読み出され、読み出されたデータに基づいて任意画像もしくは指定色が調光ガラス110において発光・表示される(図17中のステップS1707)。この場合、居眠り可能性ありと判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめる画像や色が望ましい。
そして、以上のように、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図17のステップS1704でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図17中のステップS1705)、ウインドウのハザードランプ表示(図17中のステップS1706)、ウインドウの所定画像・色表示(図17中のステップS1707)を実行した後に、調整手段10bはエンジン始動指示をエンジンコントローラ10aに伝達し、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動する(図17中のステップS1708)。すなわち、エンジン始動の指示を受けたエンジンコントローラ10aは、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を始動させる。
そして、エンジン停止の指示があれば(図17中のステップS1709でYES)、エンジンコントローラ10aがエンジン40を停止させ(図17中のステップS1710)、調整手段10bは特定領域で居眠り判定ありの履歴を記憶部に格納する(図17中のステップS1711)。
なお、以上の実施形態では、特定領域において、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図17のステップS1703でYES、S1704でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図17中のステップS1705)、ウインドウのハザードランプ表示(図17中のステップS1706)、ウインドウの所定画像・色表示(図17中のステップS1707)を実行した後に、エンジン40を始動(図17中のステップS1708)させていたが、ほぼ同時、すなわち、エンジンを始動して走行を開始する前にウインドウガラスの高濃度化などが実行できれば、実行の順番を異ならせてもよい。また、エンジン始動直後にウインドウの高濃度化や各種表示を実行させてもよい。この場合には、バッテリーの負担を軽減させることが可能になる。
また、居眠り可能性ありと判定された場合にウインドウの高濃度化などを実行しても、酒酔い状態の運転者が車両を無理矢理走行させるといった事態も想定される。そこで、このような走行を防止するため、CPU10内のエンジンコントローラ10aは、エンジン回転数の上限をアイドリング状態もしくはエアコン使用時のアイドルアップ状態の回転数にまで制限すること、オートマチック車の場合の変速操作にかかわらず変速を電気的に実行させない、オートマチック車の場合の変速操作があった場合には変速機をニュートラル状態に制御する、といった走行不能対策を講じることも有効である。そして、このような走行不能対策を講じたとしても、駐停車中の冷暖房の使用には何ら問題は生じない。
また、以上の実施形態では、特定領域において居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図17のステップS1703でYES、S1704でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図17中のステップS1705)、ウインドウのハザードランプ表示(図17中のステップS1706)、ウインドウの所定画像・色表示(図17中のステップS1707)を実行していたが、居眠り状態での走行を抑制するため、ウインドウガラスの高濃度化だけを実行してもよいし、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウのハザードランプ表示でもよく、また、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウの所定画像・色表示であってもよい。
この実施形態の車両制御装置101によれば、居眠り可能性ありと判定されれば調光ガラス110の透過率は規定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になる。一方、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。すなわち、エンジン40をかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
また、この実施形態では、エンジン40のエンジン回転数をアイドリングのみに限定していないため、エアコン使用時のアイドルアップ機能が有効に動作するため、冷暖房の能力に問題が生じることがなく、車両中の乗員に不快感を与えることがないという利点がある。
なお、この実施形態では、調整手段10bが、エンジンの始動時における居眠りの判定結果の履歴を蓄積しておき、居眠り可能性ありの判定が所定回数以上の場合には、エンジンの始動時に居眠り可能性ありと判定され、車両の所在位置が特定領域に属していると判定された場合であっても、調光ガラスの前記透過率を規定値未満に調整するものの、エンジンを始動しない、ように制御してもよい。
この場合、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、かつ、ウインドウの高濃度化とエンジン不始動とにより、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
また、この実施形態では、調整手段10bが、生体センサ59の検出結果により、該運転者を識別し、識別された同一の運転者について、エンジンの始動時における居眠り判定手段の判定結果の履歴を蓄積しておき、居眠り可能性ありの判定が所定回数以上の場合には、エンジンの始動時に居眠り可能性ありと判定され、車両の所在位置が特定領域に属していると判定された場合であっても、調光ガラスの前記透過率を規定値未満に調整するものの、エンジンを始動しない、ように制御することも可能である。この場合、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、かつ、ウインドウの高濃度化とエンジン不始動とにより、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
なお、複数の運転者が同一の車両を交互に使用する場合には、このように、運転者を生体データで識別してから、本実施形態の制御を行うことが望ましい。逆に、一人だけが使用する車両の場合には、生体センサ59による運転者識別をすることを要しない。
なお、居眠り発生と判定されて調光ガラス110が高濃度化された後に、運転者が運転を再開したい場合には、予め定められた所定の操作により、CPU10が上述した反射神経の計測や交通規則のテストなどを実行し、運転に支障がないと判定されれば調光ガラス110を透明状態に戻す。また、運転者が一旦エンジンを停止させて、再びイグニッションをオンすることで、始動時居眠り運転抑制制御を最初から実行してもよい。
〔2−3−3〕走行中居眠り運転抑制制御動作:
次に、上述のごとく構成された本実施形態の車両制御装置101の走行中の居眠り運転抑制制御動作(エンジンコントローラ10aと調整手段10bとの動作)について、図13のフローチャートを参照しながら説明する。なお、実際にはエンジンは始動しているが走行を開始していない状態も、走行開始可能な状態であるため、ここでは、走行中居眠り運転抑制制御として扱うことにする。
CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、エンジンの始動後あるいは車両の走行中に、図13の走行中居眠り運転抑制制御動作のプログラムを定期的に実行する。
この実施形態の車両制御装置101では、居眠り検知手段57は、運転者の運転状態(眼の開き具合や姿勢の変化)から居眠りを検知する(図13中のステップS131)。
なお、昼間でも夜間であっても、走行中にも運転者の居眠りを有効に検出できるように、居眠り検知手段57は、高感度かつ広ダイナミックレンジのカメラであることが望ましい。
居眠り検知手段57が一定時間毎の検知を行うと、居眠り検知手段57の検知結果がCPU10に取り込まれる。そして、CPU10内の居眠り判定手段14が、居眠り検知手段57の検知結果から、運転者の運転中の居眠りの有無を判定する(図13中のステップS132)。
居眠り判定手段14は、居眠り検知手段57で検知される眼の開き具合や姿勢の変化に基づいて、居眠りなし/居眠り発生といった判定を行い、その判定結果を調整手段10bに伝達する。
なお、運転中には、多少の姿勢変化や、左右の確認のため、顔画像や運転姿勢画像が乱れることもあるので、顔画像と運転姿勢との両方を用いたり、所定時間の平均値で判定することが、誤動作防止から望ましい。
たとえば、眼の開き具合が初期登録時の50%以下になった状態が1秒以上連続するなど、通常の瞬きとは異なる眼の開き具合になれば居眠りと考えられる。また、前屈みになる回数が1分間に1回以上であり、その状態が数回連続するなど、通常と運転姿勢になれば、居眠りと考えられる。なお、この数値は一例であり、各種の変形、設定が可能である。
居眠り判定手段14で居眠りなしと判定された場合(図13のステップS133でNO)には、調整手段10bは特別な指示を出さず、通常の走行状態を維持させる(図13中のステップS133でNO→エンド)。
一方、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図13のステップS133でYES)には、調整手段10bは、GPS位置検出部21の検出結果とナビゲーションプログラムとにより、最寄りの駐停車可能場所までの検索を実行する(図13中のステップS134)。そして、その駐停車可能場所までの誘導を表示部60に行う(図13中のステップS135、S136)。あるいは、CPU10は、図示されないカーナビゲーション装置に対して、最寄りの駐停車可能場所までの検索を指示し、その駐停車可能場所までの誘導を行わせる(図13中のステップS135、S136)。
また、この誘導の際に、さらなる居眠りを防止するため、警報の音声や表示を行うことが望ましい。さらに、これに加えて、運転者の顔や頭部にエアコンからの冷風を当てることも望ましい。
そして、位置判定手段11により、GPS位置検出部21によって検出された自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、誘導目的地に属しているか否かを判定するとともに、速度判定手段12により、速度センサ22によって検出された自動車100の移動速度(車速)がゼロであるか否か、つまり自動車100が誘導目的地に停車しているか否かを判定する(図13中のステップS136)。
自動車100が誘導目的地に達していれば(図13中のステップS136でYES)、少なくともウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110、望ましくはウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより高濃度(所定値(70%)未満)に調整される(図13中のステップS137)。この場合、居眠り発生と判定されているため、実質的に運転ができない状態になるよう、できるだけ高い濃度(低い透過率)に各調光ガラスが制御されることが望ましい。
この場合、調光ガラス110は、透明状態から高濃度に制御される場合だけではなく、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態が維持される場合を含む。さらには、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態から、居眠り運転を抑制するため、より一層高濃度に制御される場合、などの態様が考えられる。
また、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図13のステップS133でYES)であって、誘導目的地に達した後には(図13中のステップS136でYES)、上記調光ガラスの高濃度化の制御とともに、調整手段10bの表示制御機能により、フロントウインドウガラス111とリアウインドウガラス116とにおいて、調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示として、例えば図6(b)に示すようなハザードランプ表示画像(右方向指示と左方向指示との両方に応じた、大きな右矢印を含む画像)が表示される(図13中のステップS138)。この場合、居眠り発生と判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめることができる。なお、ハザードランプ表示の代わりに、赤常時点灯のパーキングランプ表示であってもよい。
さらに、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図13のステップS133でYES)であって、誘導目的地に達した後には(図13中のステップS136でYES)、上記調光ガラスの高濃度化の制御やハザードランプ表示とともに、調整手段10bの表示制御機能により、いずれかのウインドウガラスもしくは全体のウインドウガラスにおいて、指定された画像もしくは色に関するデータが記憶部30のROMから読み出され、読み出されたデータに基づいて任意画像もしくは指定色が調光ガラス110において発光・表示される(図13中のステップS139)。この場合、居眠り発生と判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめる画像や色が望ましい。
そして、以上のように、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図13のステップS133でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図13中のステップS137)、ウインドウのハザードランプ表示(図13中のステップS138)、ウインドウの所定画像・色表示(図13中のステップS139)を実行するが、調整手段10bはエンジンの停止は行わない。
なお、居眠り発生と判定された場合にウインドウの高濃度化などを実行しても、居眠り状態の運転者が車両を無理矢理走行させるといった事態も想定される。そこで、このような走行を防止するため、CPU10内のエンジンコントローラ10aは、エンジン回転数の上限をアイドリング状態もしくはエアコン使用時のアイドルアップ状態の回転数にまで制限すること、オートマチック車の場合の変速操作にかかわらず変速を電気的に実行させない、オートマチック車の場合の変速操作があった場合には変速機をニュートラル状態に制御する、といった走行不能対策を講じることも有効である。そして、このような走行不能対策を講じたとしても、駐停車中の冷暖房の使用には何ら問題は生じない。
また、以上の実施形態では、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図13のステップS134でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図13中のステップS137)、ウインドウのハザードランプ表示(図13中のステップS138)、ウインドウの所定画像・色表示(図13中のステップS139)を実行していたが、居眠り検出状態での走行を抑制するため、ウインドウガラスの高濃度化だけを実行してもよいし、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウのハザードランプ表示でもよく、また、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウの所定画像・色表示であってもよい。
この実施形態の車両制御装置101によれば、居眠りが検出されて居眠り発生と判定されれば、駐停車可能場所まで誘導した後に、調光ガラス110の透過率は所定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になる。一方、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。すなわち、エンジン40をかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、居眠り運転を有効に抑制することが可能になり、さらに、プライバシーやセキュリティも確保される。
また、この実施形態では、エンジン40のエンジン回転数をアイドリングのみに限定していないため、エアコン使用時のアイドルアップ機能が有効に動作するため、冷暖房の能力に問題が生じることがなく、車両中の乗員に不快感を与えることがないという利点がある。
なお、以上の説明での走行中とは、道路(公道、私道)を走行中の場合だけでなく、道路上で渋滞や信号待ちなどで一時的に停止している場合を含むだけでなく、駐車場でエンジンを始動した状態など、すぐにも走行が可能な状態も含むものとする。
ここで、エンジン始動後であって走行開始前、すなわち、駐車場などの駐停車可能な場所でエンジンを始動した後に車両と停めたままで居眠りをしたような場合は、以上の誘導の部分を省略して、その場で調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図13中のステップS137)、ウインドウのハザードランプ表示(図13中のステップS138)、ウインドウの所定画像・色表示(図13中のステップS139)を実行すればよい。
なお、居眠り発生と判定されて調光ガラス110が高濃度化された後に、運転者が運転を再開したい場合には、予め定められた所定の操作により、CPU10が上述した反射神経の計測や交通規則のテストなどを実行し、運転に支障がないと判定されれば調光ガラス110を透明状態に戻す。また、運転者が一旦エンジンを停止させて、再びイグニッションをオンすることで、始動時居眠り運転抑制制御を最初から実行してもよい。
また、この実施形態においても、生体センサ59による運転者識別を実行して、居眠り判定結果の履歴を保存し、同一運転者が居眠り運転を繰り返す場合には、その対応を厳しくするように調整手段10bが制御を変更してもよい。
〔2−4〕本実施形態の車両制御装置の調光・表示・居眠り運転抑制制御動作:
以上の実施形態では、調光制御、表示制御、居眠り運転抑制制御がそれぞれ独立した状態であるとして説明を行ってきた。
ここでは、図14のフローチャートを参照しつつ、調光制御と表示制御と居眠り運転抑制制御(始動時居眠り運転抑制制御と走行中居眠り運転抑制制御)とを一連の制御としてまとめて実行する場合について説明する。
〔2−4−1〕始動時居眠り運転抑制制御動作(1):
CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、イグニッションがオン操作されると(図14のステップS201)、始動時居眠り運転抑制制御ルーチンとして、エンジン始動の前に、表示部60に居眠り検査実行の手順などを表示する。なお、CPU10は、この時点でウインドウが高濃度状態であれば、透明状態に戻す。
表示された手順に従い、居眠り検知手段57で運転者の顔画像や運転姿勢が撮影されると、居眠り検知手段57での撮影結果がCPU10に取り込まれる。そして、CPU10内の居眠り判定手段14が、運転者の顔画像あるいは運転姿勢を初期画像として登録する(図14中のステップS202)。
なお、この初期画像が、居眠りの有無の判定基準として、居眠り判定手段14で使用される。初期画像が運転者の顔画像である場合、上述した運転者の顔画像に含まれる眼の開き具合(h1/w1,h2/w2)の初期値がしきい値として採用される。また、初期画像が、運転者の横から見た運転姿勢であれば、背の傾き具合の初期値が、しきい値として採用される。
ただし、この時点で、居眠りと同等な状態により、運転者の顔画像の眼の開き具合が著しく小さい場合や、運転姿勢が前屈みであったり揺れているような場合もありうるため、居眠り判定を行う(図14中のステップS203)。すなわち、居眠り判定手段14は、居眠り検知手段57で検知される運転者の検知結果に基づいて、居眠りなし/居眠り発生といった判定を行い、その判定結果を調整手段10bに伝達する。
なお、この顔画像や運転姿勢については、もともと眼の開き具合が小さい、もともと前屈みの傾向があるなど、個人差がある。そこで、この画像の取得と判定に加え、運転者の
意識レベルや体調を判定するために、反射神経の計測などを行うことも望ましい。
たとえば、CPU10の制御により、表示部60に「瞬き3回続けてしてください」とメッセージ表示してから、運転者が実際に瞬きを3回するまでの時間や、各瞬きの間隔を計測することや、表示部60に「ブレーキペダルを踏んでください」とメッセージ表示してから、運転者が実際にブレーキペダル52を踏むまでの時間を計測することや、表示部60がタッチパネルを備えた場合には表示部60に交通規則のテストを表示して結果(回答の正誤、回答時間)により判定することで、運転者の意識レベルや体調を判定することが可能になる。
特に、ブレーキペダル52を踏むまでの時間では、居眠り以外の脳や体の異常も含めて運転に適しない状態を検知できて望ましい。また、交通規則のテストによっても、居眠り以外の脳の障害などの運転に適しない状態を検知できて望ましい。
また、ブレーキペダル52を繰り返して踏む際における、踏見込み間隔の時間も同様に検知に用いることができる。
居眠り判定手段14で居眠りなしと判定された場合(図14のステップS204でNO)には、調整手段10bはエンジン始動指示をエンジンコントローラ10aに伝達し、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動する(図14中のステップS210)。すなわち、エンジン始動の指示を受けたエンジンコントローラ10aは、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を始動させる。
一方、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図14のステップS204でYES)には、調整手段10bにより、少なくともウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110、望ましくはウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより高濃度(所定値(70%)未満)に調整される(図14中のステップS205)。この場合、居眠り発生と判定されているため、実質的に運転ができない状態になるよう、できるだけ高い濃度(低い透過率)に各調光ガラスが制御されることが望ましい。
この場合、調光ガラス110は、透明状態から高濃度に制御される場合だけではなく、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態が維持される場合を含む。さらには、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態から、居眠り運転を抑制するため、より一層高濃度に制御される場合、などの態様が考えられる。
また、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図14のステップS204でYES)には、上記調光ガラスの高濃度化の制御(図14中のステップS205)とともに、調整手段10bの表示制御機能により、フロントウインドウガラス111とリアウインドウガラス116とにおいて、調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示として、例えば図6(b)に示すようなハザードランプ表示画像(右方向指示と左方向指示との両方に応じた、大きな右矢印を含む画像)が表示される(図14中のステップS206)。この場合、居眠り発生と判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめることができる。なお、ハザードランプ表示の代わりに、赤常時点灯のパーキングランプ表示であってもよい。
さらに、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図14のステップS204でYES)には、上記調光ガラスの高濃度化の制御(図14中のステップS205)やハザードランプ表示(図14中のステップS206)とともに、調整手段10bの表示制御機能により、いずれかのウインドウガラスもしくは全体のウインドウガラスにおいて、
指定された画像もしくは色に関するデータが記憶部30のROMから読み出され、読み出されたデータに基づいて任意画像もしくは指定色が調光ガラス110において発光・表示される(図14中のステップS207)。この場合、居眠り発生と判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめる画像や色が望ましい。
そして、以上のように、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図14のステップS204でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図14中のステップS205)、ウインドウのハザードランプ表示(図14中のステップS206)、ウインドウの所定画像・色表示(図14中のステップS207)を実行した後に、調整手段10bはエンジン始動指示をエンジンコントローラ10aに伝達し、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動する(図14中のステップS208)。
すなわち、エンジン始動の指示を受けたエンジンコントローラ10aは、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を始動させる。そして、イグニッションスイッチの操作によってエンジン停止とされる(図14中のステップS209でYES)まで、CPU10は以上のウインドウの高濃度化制御などを続け、居眠り運転抑制制御を実行する。
なお、以上の実施形態では、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図14のステップS204でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図14中のステップS205)、ウインドウのハザードランプ表示(図14中のステップS206)、ウインドウの所定画像・色表示(図14中のステップS207)を実行した後に、エンジン40を始動させていたが、ほぼ同時、すなわち、エンジンを始動して走行を開始する前にウインドウガラスの高濃度化などが実行できれば、実行の順番を異ならせてもよい。
また、居眠り発生と判定された場合にウインドウの高濃度化などを実行しても、居眠り状態の運転者が車両を無理矢理走行させるといった事態も想定される。そこで、このような走行を防止するため、CPU10内のエンジンコントローラ10aは、エンジン回転数の上限をアイドリング状態もしくはエアコン使用時のアイドルアップ状態の回転数にまで制限すること、オートマチック車の場合の変速操作にかかわらず変速を電気的に実行させない、オートマチック車の場合の変速操作があった場合には変速機をニュートラル状態に制御する、といった走行不能対策を講じることも有効である。そして、このような走行不能対策を講じたとしても、駐停車中の冷暖房の使用には何ら問題は生じない。なお、マニュアルトランスミッション車の場合にはニュートラル制御はできないが、万が一、車両が移動し始めたことが検知されれば、CPU10がエンジン40を停止させればよい。
また、以上の実施形態では、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図14のステップS204でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図14中のステップS205)、ウインドウのハザードランプ表示(図14中のステップS206)、ウインドウの所定画像・色表示(図14中のステップS207)を実行していたが、居眠り状態での走行を抑制するため、ウインドウガラスの高濃度化だけを実行してもよいし、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウのハザードランプ表示でもよく、また、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウの所定画像・色表示であってもよい。
この実施形態の車両制御装置101によれば、運転者について居眠り発生と判定されれば調光ガラス110の透過率は所定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になる。一方、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。すなわち、エンジン40をかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、居眠り運転を有効に抑制することが可能になり、
さらに、プライバシーやセキュリティも確保される。
また、この実施形態では、エンジン40のエンジン回転数をアイドリングのみに限定していないため、エアコン使用時のアイドルアップ機能が有効に動作するため、冷暖房の能力に問題が生じることがなく、車両中の乗員に不快感を与えることがないという利点がある。
なお、居眠り発生と判定されて調光ガラス110が高濃度化された後に、運転者が運転を再開したい場合には、予め定められた所定の操作により、CPU10が上述した反射神経の計測や交通規則のテストなどを実行し、運転に支障がないと判定されれば調光ガラス110を透明状態に戻す。また、運転者が一旦エンジンを停止させて、再びイグニッションをオンすることで、始動時居眠り運転抑制制御を最初から実行してもよい。
〔2−4−2〕始動時居眠り運転抑制制御動作(2):
ここで、始動時居眠り運転抑制制御動作の第二例を説明する。
CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、運転者によってイグニッションがオン操作されると、始動時居眠り運転抑制制御ルーチンとして、エンジン始動の前に、表示部60に居眠り検査実行の手順などを表示する。
表示された手順に従い、居眠り検知手段57で運転者の顔画像や運転姿勢が撮影されると、居眠り検知手段57での撮影結果がCPU10に取り込まれる。そして、CPU10内の居眠り判定手段14が、運転者の顔画像あるいは運転姿勢を初期画像として登録する(図18中のステップS1801)。
なお、この初期画像が、居眠り可能性の有無の判定基準として、居眠り判定手段14で使用される。初期画像が運転者の顔画像である場合、上述した運転者の顔画像に含まれる眼の開き具合(h1/w1,h2/w2)の初期値がしきい値として採用される。また、初期画像が、運転者の横から見た運転姿勢であれば、背の傾き具合の初期値が、しきい値として採用される。
ただし、この時点で、居眠りと同等な状態により、運転者の顔画像の眼の開き具合が著しく小さい場合や、運転姿勢が前屈みであったり揺れているような場合もありうるため、居眠り判定を行う(図18中のステップS1802)。すなわち、居眠り判定手段14は、居眠り検知手段57で検知される運転者の検知結果に基づいて、居眠りなし/居眠り可能性あり、といった判定を行い、その判定結果を調整手段10bに伝達する。
なお、この顔画像や運転姿勢については、もともと眼の開き具合が小さい、もともと前屈みの傾向があるなど、個人差がある。そこで、この画像の取得と判定に加え、運転者の意識レベルや体調を判定するために、反射神経の計測などを行うことも望ましい。
たとえば、CPU10の制御により、表示部60に「瞬き3回続けてしてください」とメッセージ表示してから、運転者が実際に瞬きを3回するまでの時間や、各瞬きの間隔を計測することや、表示部60に「ブレーキペダルを踏んでください」とメッセージ表示してから、運転者が実際にブレーキペダル52を踏むまでの時間を計測することや、表示部60がタッチパネルを備えた場合には表示部60に交通規則のテストを表示して結果(回答の正誤、回答時間)により判定することで、運転者の意識レベルや体調を判定することが可能になる。
特に、ブレーキペダル52を踏むまでの時間では、居眠り以外の脳や体の異常も含めて運転に適しない状態を検知できて望ましい。また、交通規則のテストによっても、居眠り
以外の脳の障害などの運転に適しない状態を検知できて望ましい。また、ブレーキペダル52を繰り返して踏む、間隔の時間も同様に検知に用いることができる。
運転者が居眠り検知手段57を開始て顔画像や姿勢を登録したことが検知されると、居眠り検知手段57の検知結果がCPU10に取り込まれる。そして、CPU10内の居眠り判定手段14が、居眠り検知手段57の検知結果から居眠りあるいは居眠り可能性の有無を判定する(図18中のステップS1801、S1802)。
また、生体センサ59によって取得された指紋や掌紋や顔写真などの生体データにより、CPU10内の識別手段19が運転者毎の識別を行う。予め登録された運転者のデータに一致すれば、その運転者、一致するデータが無ければ、新規登録運転者#1などとして、登録を行う(図18中のステップS1801、S1802)。
すなわち、居眠りあるいは居眠り可能性の有無については、必要に応じて、運転者毎に判定され、後述するように履歴が記憶されたり、過去の居眠り履歴と比較がなされる。
また、過去に登録された顔画像があれば、その登録済み顔画像と比較して、現時点の顔画像から、居眠りの判定を行うことも可能である。
そして、居眠り判定手段14は、居眠り検査手段57で検知される運転者の顔画像や姿勢や上記反応時間に基づいて、居眠りの疑いのある表情、姿勢、反応時間などから、居眠りなし/居眠り可能性ありといった判定を行い、その判定結果を調整手段10bに伝達する。
居眠り判定手段14で居眠りなしと判定された場合(図18のステップS1803でNO)には、調整手段10bはエンジン始動指示をエンジンコントローラ10aに伝達し、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動する(図18中のステップS1810)。すなわち、エンジン始動の指示を受けたエンジンコントローラ10aは、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を始動させる。
一方、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図18のステップS1803でYES)には、GPS位置検出部21の検出結果に基づいて、自動車100の現
在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属しているか否かを判定する(図18中のステップS1804)。なお、位置だけでなく、速度も判定基準とする設定であれば、速度判定手段12により、速度センサ22によって検出された自動車100の移動速度(車速)がゼロであるか否か、つまり自動車100が停車しているか否かを判定する。
ここで、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図18のステップS1803でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していなければ(図18中のステップS1804でNO)、あるいは、速度がゼロ以外であれば、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動させることなく、調整手段10bは特定領域以外で居眠り判定ありの履歴を記憶部に格納して処理を終了する(図18中のステップS1831)。
すなわち、この制御によれば、車両のエンジン始動時に、運転者の居眠りの疑いのある表情・姿勢・反応時間が検出されて居眠り可能性ありと判定された場合に、特定領域以外、すなわち道路上であれば、調光ガラスの透過率は規定値未満に調整しないが、エンジンを始動しないように制御しているため、車両運送の保安基準などの法令に違反することも
なく、適法な状態を保ちつつ、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
ここで、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図18のステップS1803でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していれば(図18中のステップS1804でYES)、あるいは、位置が特定領域であって速度がゼロであれば、調整手段10bにより、少なくともウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110、望ましくはウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより高濃度(規定値(70%)未満)に調整される(図18中のステップS1805)。この場合、居眠り可能性ありと判定されているため、実質的に運転ができない状態になるよう、できるだけ高い濃度(低い透過率)に各調光ガラスが制御されることが望ましい。
この場合、調光ガラス110は、透明状態から高濃度に制御される場合だけではなく、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態が維持される場合を含む。さらには、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態から、居眠り運転を抑制するため、より一層高濃度に制御される場合、などの態様が考えられる。
また、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図18のステップS1803でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していれば(図18中のステップS1804でYES)、上記調光ガラスの高濃度化の制御とともに、調整手段10bの表示制御機能により、フロントウインドウガラス111とリアウインドウガラス116とにおいて、調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示として、例えば図6(b)に示すようなハザードランプ表示画像(右方向指示と左方向指示との両方に応じた、大きな右矢印を含む画像)が表示される(図18中のステップS1806)。この場合、居眠り可能性ありと判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめることができる。なお、ハザードランプ表示の代わりに、赤常時点灯のパーキングランプ表示であってもよい。
さらに、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図18のステップS1803でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していれば(図18中のステップS1804でYES)、上記調光ガラスの高濃度化の制御やハザードランプ表示とともに、調整手段10bの表示制御機能により、いずれかのウインドウガラスもしくは全体のウインドウガラスにおいて、指定された画像もしくは色に関するデータが記憶部30のROMから読み出され、読み出されたデータに基づいて任意画像もしくは指定色が調光ガラス110において発光・表示される(図18中のステップS1807)。この場合、居眠り可能性ありと判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめる画像や色が望ましい。
そして、以上のように、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図18のステップS1803でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していれば(図18中のステップS1804でYES)、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図18中のステップS1805)、ウインドウのハザードランプ表示(図18中のステップS1806)、ウインドウの所定画像・色表示(図18中のステップS1807)を実行した後に、調整手段10bはエンジン始動指示をエンジンコントローラ10aに伝達し、エンジンコントローラ10aはエ
ンジン40を始動する(図18中のステップS1808)。
すなわち、エンジン始動の指示を受けたエンジンコントローラ10aは、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を始動させる。
そして、CPU10は以上のウインドウの高濃度化制御などを続け、居眠り運転抑制制御を実行しつつ、エンジン停止の指示があれば(図18中のステップS1809でYES)、エンジンコントローラ10aがエンジン40を停止させ(図18中のステップS1830)、調整手段10bは特定領域で居眠り判定ありの履歴を記憶部に格納する(図18中のステップS1831)。
なお、以上の実施形態では、特定領域において、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図18のステップS1803でYES、S1804でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図18中のステップS1805)、ウインドウのハザードランプ表示(図18中のステップS1806)、ウインドウの所定画像・色表示(図18中のステップS1807)を実行した後に、エンジン40を始動(図18中のステップS1808)させていたが、ほぼ同時、すなわち、エンジンを始動して走行を開始する前にウインドウガラスの高濃度化などが実行できれば、実行の順番を異ならせてもよい。また、エンジン始動直後にウインドウの高濃度化や各種表示を実行させてもよい。この場合には、バッテリーの負担を軽減させることが可能になる。
また、居眠り可能性ありと判定された場合にウインドウの高濃度化などを実行しても、居眠り状態の運転者が車両を無理矢理走行させるといった事態も想定される。そこで、このような走行を防止するため、CPU10内のエンジンコントローラ10aは、エンジン回転数の上限をアイドリング状態もしくはエアコン使用時のアイドルアップ状態の回転数にまで制限すること、オートマチック車の場合の変速操作にかかわらず変速を電気的に実行させない、オートマチック車の場合の変速操作があった場合には変速機をニュートラル状態に制御する、といった走行不能対策を講じることも有効である。そして、このような走行不能対策を講じたとしても、駐停車中の冷暖房の使用には何ら問題は生じない。なお、マニュアルトランスミッション車の場合にはニュートラル制御はできないが、万が一、車両が移動し始めたことが検知されれば、CPU10がエンジン40を停止させればよい。
また、以上の実施形態では、特定領域において居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図18のステップS1803でYES、S1804でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図18中のステップS1805)、ウインドウのハザードランプ表示(図18中のステップS1806)、ウインドウの所定画像・色表示(図18中のステップS1807)を実行していたが、居眠り状態での走行を抑制するため、ウインドウガラスの高濃度化だけを実行してもよいし、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウのハザードランプ表示でもよく、また、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウの所定画像・色表示であってもよい。
この実施形態の車両制御装置101によれば、運転者の顔画像や姿勢や反応時間から居眠りの疑いのある表情・姿勢・反応時間が検出されて居眠り可能性ありと判定されれば調光ガラス110の透過率は規定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になる。一方、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。すなわち、エンジン40をかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
すなわち、エンジン40をかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、居眠り運転を有効に抑制することが可能になり
、さらに、プライバシーやセキュリティも確保される。
また、この実施形態では、エンジン40のエンジン回転数をアイドリングのみに限定していないため、エアコン使用時のアイドルアップ機能が有効に動作するため、冷暖房の能力に問題が生じることがなく、車両中の乗員に不快感を与えることがないという利点がある。
なお、居眠り可能性ありと判定されて調光ガラス110が高濃度化された後に、運転者が運転を再開したい場合には、予め定められた所定の操作により、CPU10が上述した反射神経の計測や交通規則のテストなどを実行し、運転に支障がないと判定されれば調光ガラス110を透明状態に戻す。また、運転者が一旦エンジンを停止させて、再びイグニッションをオンすることで、始動時居眠り運転抑制制御を最初から実行してもよい。
なお、この実施形態では、調整手段10bが、エンジンの始動時における居眠りの判定結果の履歴を蓄積しておき、居眠り可能性ありの判定が所定回数以上の場合には、エンジンの始動時に居眠り可能性ありと判定され、車両の所在位置が特定領域に属していると判定された場合であっても、調光ガラスの前記透過率を規定値未満に調整するものの、エンジンを始動しない、ように制御してもよい。
この場合、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、かつ、ウインドウの高濃度化とエンジン不始動とにより、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
また、この実施形態では、調整手段10bが、生体センサ59の検出結果により、該運転者を識別し、識別された同一の運転者について、エンジンの始動時における居眠り判定手段の判定結果の履歴を蓄積しておき、居眠り可能性ありの判定が所定回数以上の場合には、エンジンの始動時に居眠り可能性ありと判定され、車両の所在位置が特定領域に属していると判定された場合であっても、調光ガラスの前記透過率を規定値未満に調整するものの、エンジンを始動しない、ように制御することも可能である。この場合、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、かつ、ウインドウの高濃度化とエンジン不始動とにより、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
なお、複数の運転者が同一の車両を交互に使用する場合には、このように、運転者を生体データで識別してから、本実施形態の制御を行うことが望ましい。逆に、一人だけが使用する車両の場合には、生体センサ59による運転者識別をすることを要しない。
〔2−4−3〕走行中居眠り運転抑制制御動作:
CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、居眠りなし(図14中のステップS204でNO)の場合には、エンジンを始動(図14中のステップS210)し、走行中居眠り運転抑制制御ルーチンとして以下の処理を実行する。
また、同様に、CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、居眠りなし(図18中のステップS1803でNO)の場合には、エンジンを始動(図18中のステップS1810)し、走行中居眠り運転抑制制御ルーチンとして以下の処理を実行する。なお、以下の説明は、図14にそって行う。
なお、実際にはエンジンは始動しているが走行を開始していない状態も、走行開始可能な状態であるため、ここでは、走行中居眠り運転抑制制御として扱うことにする。
この実施形態の車両制御装置101では、エンジン始動後や車両の走行中には居眠り検知手段57は、運転者の運転状態(眼の開き具合や姿勢の変化)から居眠りを検知する(図14中のステップS211)。
居眠り検知手段57が一定時間の検知を行うと、居眠り検知手段57の検知結果がCPU10に取り込まれる。
そして、CPU10内の居眠り判定手段14が、居眠り検知手段57の検知結果から運転者の運転中の居眠りの有無を判定する(図14中のステップS212)。
居眠り判定手段14は、居眠り検知手段57で検知される眼の開き具合や姿勢の変化に基づいて、居眠りなし/居眠り発生といった判定を行い、その判定結果を調整手段10bに伝達する。
なお、運転中には、多少の姿勢変化や、左右の確認のため、顔画像や運転姿勢画像が乱れることもあるので、顔画像と運転姿勢との両方を用いたり、所定時間の平均値で判定することが、誤動作防止から望ましい。
たとえば、眼の開き具合が初期登録時の50%以下になった状態が1秒以上連続するなど、通常の瞬きとは異なる眼の開き具合になれば居眠りと考えられる。また、前屈みになる回数が1分間に1回以上であり、その状態が数回連続するなど、通常と運転姿勢になれば、居眠りと考えられる。なお、この数値は一例であり、各種の変形、設定が可能である。
居眠り判定手段14で居眠りなしと判定された場合(図14のステップS213でNO)には、調整手段10bは特別な指示を出さず、通常のエンジン制御状態や走行状態を維持させつつ、後述するようにウインドウガラスの調光制御や表示制御を行う。
一方、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図14のステップS213でYES)には、調整手段10bは、GPS位置検出部21の検出結果とナビゲーションプログラムとにより、車両が駐停車可能な場所に位置しているかを判定する(図14中のステップS214)。
ここで、駐停車可能な場所に位置しているとは、位置としては駐車場や私有地内であり、かつ、車両が静止して位置する場合を意味する。なお、駐停車が禁止されていない道路上の左側、チケットあるいは料金納付により路上駐車が認められている道路上の左側などで車両が静止して位置する場合も、駐停車可能場所に位置していると判定してよい。
また、車両が道路(公道、私道)上を走行中の場合は、駐停車可能な場所に位置していないと判定する。また、道路上で渋滞や信号待ちなどで一時的に停止している場合も、駐停車可能な場所に位置していないと判定する。また、道路の端に寄せて停めている場合も、駐停車が禁止されている場所であれば、駐停車可能な場所に位置していないと判定する。
なお、ショッピングモールなどの広大な駐車場内などであっても、車両が移動中であれば、駐停車が可能な場所に位置していないと判断して、近くの空きスペースに停止するように促す。
また、以上の場合の車両の位置については、GPS位置検出部21の検出結果を参照し、車両の移動速度についてはGPS位置検出部21の検出結果もしくは車両の車速センサー(図示せず)の検出結果を参照すればよい。
ここで、車両が駐停車可能場所に位置していない状態(図14中のステップS214でNO)であれば、最寄りの駐停車可能場所までの検索を実行する(図14中のステップS215)。そして、その駐停車可能場所までの誘導を表示部60に行う(図14中のステップS216、S217)。あるいは、CPU10は、図示されないカーナビゲーション装置に対して、最寄りの駐停車可能場所までの検索を指示し、その駐停車可能場所までの誘導を行わせる(図14中のステップS216、S217)。
なお、駐車場内であっても移動中の場合には、最寄りの空きスペースに駐車するようにとの警告メッセージを、車両が移動中の間は表示し続けるようCPU10が制御を行う。
また、この誘導の際に、さらなる居眠りを防止するため、警報の音声や表示を行うことが望ましい。さらに、これに加えて、運転者の顔や頭部にエアコンからの冷風を当てることも望ましい。
そして、位置判定手段11により、GPS位置検出部21によって検出された自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、誘導目的地に属しているか否かを判定するとともに、速度判定手段12により、速度センサ22によって検出された自動車100の移動速度(車速)がゼロであるか否か、つまり自動車100が誘導目的地に停車しているか否かを判定する(図14中のステップS217)。
自動車100が誘導目的地に達していれば(図14中のステップS217でYES)、少なくともウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110、望ましくはウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより高濃度(所定値(70%)未満)に調整される(図14中のステップS218)。
そして、CPU10は、変速レバーをパーキングの位置に操作するように促すメッセージを表示部60に表示する。運転者がこのメッセージに従わない場合には、オートマチック車の場合には電気的に変速機をニュートラルに制御することが可能である。なお、マニュアル車の場合には走行してしまって危険が生じるため、エンジンを停止させてもよい。
また、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図14のステップS213でYES)であって、車両が駐停車可能場所に停止している(図14中のステップS214でYES)場合、すなわち、駐車場などでエンジンを始動させた後に居眠りをしたような場合にも、同様にして、その場において、少なくともウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110、望ましくはウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより高濃度(所定値(70%)未満)に調整される(図14中のステップS218)。
以上の場合、居眠り発生と判定されているため、実質的に運転ができない状態になるよう、できるだけ高い濃度(低い透過率)に各調光ガラスが制御されることが望ましい。
この場合、調光ガラス110は、透明状態から高濃度に制御される場合だけではなく、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態が維持される場合を含む。さらには、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態から、居眠り運転を抑制するため、より一層高濃度に制御される場合、などの態様が考えられる。
また、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図14のステップS213でYES)であって、誘導目的地に達した後(図14中のステップS217でYES)、または、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図14のステップS213でYES)であって、車両が駐停車可能場所に停止している(図14中のステップS21
4でYES)場合、上記調光ガラスの高濃度化の制御とともに、調整手段10bの表示制御機能により、フロントウインドウガラス111とリアウインドウガラス116とにおいて、調光ガラス110における有機EL素子層140によるカラー表示として、例えば図6(b)に示すようなハザードランプ表示画像(右方向指示と左方向指示との両方に応じた、大きな右矢印を含む画像)が表示される(図14中のステップS219)。この場合、居眠り発生と判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめることができる。なお、ハザードランプ表示の代わりに、赤常時点灯のパーキングランプ表示であってもよい。
さらに、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図14のステップS213でYES)であって、誘導目的地に達した後には(図14中のステップS217でYES)、または、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図14のステップS213でYES)であって、車両が駐停車可能場所に停止している(図14中のステップS214でYES)場合、上記調光ガラスの高濃度化の制御やハザードランプ表示とともに、調整手段10bの表示制御機能により、いずれかのウインドウガラスもしくは全体のウインドウガラスにおいて、指定された画像もしくは色に関するデータが記憶部30のROMから読み出され、読み出されたデータに基づいて任意画像もしくは指定色が調光ガラス110において発光・表示される(図14中のステップS220)。この場合、居眠り発生と判定されて走行ができない状態であることを外部に知らしめる画像や色が望ましい。
そして、以上のように、エンジン始動後に居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図14のステップS213でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図14中のステップS218)、ウインドウのハザードランプ表示(図14中のステップS219)、ウインドウの所定画像・色表示(図14中のステップS220)を実行するが、調整手段10bはエンジンの停止は行わない。
すなわち、エンジン始動の指示を受けたエンジンコントローラ10aは、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を動作させており、イグニッションスイッチの操作によってエンジン停止とされる(図14中のステップS209でYES)まで、CPU10は以上のウインドウの高濃度化制御などを続け、居眠り運転抑制制御を実行する。
なお、居眠り発生と判定された場合にウインドウの高濃度化などを実行しても、居眠り状態の運転者が車両を無理矢理走行させるといった事態も想定される。そこで、このような走行を防止するため、CPU10内のエンジンコントローラ10aは、エンジン回転数の上限をアイドリング状態もしくはエアコン使用時のアイドルアップ状態の回転数にまで制限すること、オートマチック車の場合の変速操作にかかわらず変速を電気的に実行させない、オートマチック車の場合の変速操作があった場合には変速機をニュートラル状態に制御する、といった走行不能対策を講じることも有効である。そして、このような走行不能対策を講じたとしても、駐停車中の冷暖房の使用には何ら問題は生じない。なお、マニュアルトランスミッション車の場合にはニュートラル制御はできないが、万が一、車両が移動し始めたことが検知されれば、CPU10がエンジン40を停止させればよい。
また、以上の実施形態では、居眠り判定手段14で居眠り発生と判定された場合(図14のステップS213でYES)には、調整手段10bがウインドウガラスの高濃度化(図14中のステップS217)、ウインドウのハザードランプ表示(図14中のステップS218)、ウインドウの所定画像・色表示(図14中のステップS219)を実行していたが、居眠り検出状態での走行を抑制するため、ウインドウガラスの高濃度化だけを実行してもよいし、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウのハザードランプ表示でもよ
く、また、ウインドウガラスの高濃度化とウインドウの所定画像・色表示であってもよい。
この実施形態の車両制御装置101によれば、運転者の居眠りが検出されて居眠り発生と判定されれば、車両が駐停車可能場所に停止していない状態であれば駐停車可能場所まで誘導した後に、駐停車可能場所に位置している状態であればその場で、調光ガラス110の透過率は所定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になる。一方、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。すなわち、エンジン40をかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、居眠り運転を有効に抑制することが可能になり、さらに、プライバシーやセキュリティも確保される。
また、この実施形態では、エンジン40のエンジン回転数をアイドリングのみに限定していないため、エアコン使用時のアイドルアップ機能が有効に動作するため、冷暖房の能力に問題が生じることがなく、車両中の乗員に不快感を与えることがないという利点がある。
なお、居眠り発生と判定されて調光ガラス110が高濃度化された後に、運転者が運転を再開したい場合には、予め定められた所定の操作により、CPU10が上述した反射神経の計測や交通規則のテストなどを実行し、運転に支障がないと判定されれば調光ガラス110を透明状態に戻す。また、運転者が一旦エンジンを停止させて、再びイグニッションをオンすることで、始動時居眠り運転抑制制御を最初から実行してもよい。
〔2−4−4〕調光制御動作:
CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、居眠りなし(図14中のステップS204でNO)の場合にはエンジンを始動(図14中のステップS210)し、居眠りが検知されなければ(図14のステップS213でNO)、以下に説明するウインドウガラスの調光制御ルーチンや表示制御ルーチンを実行する。
また、同様に、CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、居眠りなし(図18中のステップS1803でNO)の場合には、エンジンを始動(図18中のステップS1810)し、居眠りが検知されなければ(図18のステップS1813でNO)、以下に説明するウインドウガラスの調光制御ルーチンや表示制御ルーチンを実行する。
すなわち、CPU10(調整手段10b)は、前述した通り、切換スイッチ54からの指示に応じて動作し、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)の対象になっている、運転者の前方および両側方におけるウインドウガラス111〜113については、図7に示すフローチャート(ステップS21〜S20)に従って調光ガラス110の調光制御を行なう(図14、図18中のステップS221)。
また、CPU10は、それ以外のウインドウガラス114〜116については、図8に示すフローチャート(ステップS21〜S25)に従って調光ガラス110の調光制御を行なう(図14、図18中のステップS222)。
〔2−4−5〕表示制御動作(1):
CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、居眠りなし(図14中のステップS204でNO)の場合にはエンジンを始動(図14中のステップS210)し、居眠りが検知されなければ(図14のステップS213でNO)、上述した調光制御に続いて、以下に説明するウインドウガラスの調光制御ルーチンや表示制御ルーチンを
実行する。
また、同様に、CPU10(エンジンコントローラ10aと調整手段10b)は、居眠りなし(図18中のステップS1803でNO)の場合には、エンジンを始動(図18中のステップS1810)し、居眠りが検知されなければ(図18のステップS1813でNO)、上述した調光制御に続いて、以下に説明するウインドウガラスの調光制御ルーチンや表示制御ルーチンを実行する。
すなわち、CPU10(調整手段10bの表示制御機能)は、前述した通り、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)の対象になっている、運転者の前方および両側方におけるウインドウガラス111〜113については、表示指示入力部55からの指示に応じて動作し、図10に示すフローチャート(ステップS51〜S58)に従って調光ガラス110(有機EL素子層140)の表示制御を行なう(図14、図18中のステップS223)。
また、CPU10(調整手段10bの表示制御機能)は、前述した通り、リアウインドウガラス116については、図9に示すフローチャート(ステップS31〜S42)に従って調光ガラス110(有機EL素子層140)の表示制御を行なう(図14、図18中のステップS224)。さらに、CPU10(調整手段10bの表示制御機能)は、前述した通り、上記以外のウインドウガラス114,115については、図11に示すフローチャート(ステップS61〜S65)に従って調光ガラス110(有機EL素子層140)の表示制御を行なう(図14、図18中のステップS224)。
そして、CPU10は、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を動作させており、イグニッションスイッチの操作によってエンジン停止とされる(図14、図18中のステップS225でYES)まで、居眠り検出(図14中のステップS213)と以上のウインドウの調光制御(図14、図18中のステップS221,222)や表示制御(図14、図18中のステップS223,224)を続ける。
この場合、居眠りが検出されない場合には、通常のウインドウガラスの調光制御(透明→高濃度、高濃度→透明)、ウインドウガラスへの各種の表示制御を実行することができるため、公道上での停車中の安全性や、公道上以外の領域での移動中の安全性を確保しながら、公道上以外の特定の場所(例えば私有地やコンビニの駐車場など)では、停止していればキーを抜脱しなくてもウインドウガラス111〜116(調光ガラス110)の透過率を所定値未満に切り換えてウインドウガラス111〜116を高濃度な状態に切り換えることができるので、停止中の車内温度上昇を確実に抑制できるとともに、プライバシイやセキュリティを確実に保護できる。また、キーを抜脱しなくても済むので、自動車100内での食事や睡眠に際してエンジン40を起動させエアコン等を作動させながら、ウインドウガラス111〜116を高濃度な状態に切り換えることができる。
また、走行中は以上のウインドウガラスの調光制御(図14、図18中のステップS221,222)や表示制御(図14、図18中のステップS223,224)を行いつつ居眠り検出(図14中のステップS211,S212,S213)を繰り返すため、居眠りが検出されれば駐停車可能場所までの誘導(図14中のステップS215,216,217)と居眠り運転抑制用のウインドウガラスの高濃度制御など(図14中のステップS218,219,220)を実行することになり、居眠り運転抑制の効果を期待することができる。
また、エンジン始動後であって走行開始前など、駐停車可能場所に停止していれば、以上のウインドウガラスの調光制御(図14、図18中のステップS221,222)や表
示制御(図14、図18中のステップS223,224)を行いつつ居眠り検出(図14中のステップS211,S212,S213)を繰り返すため、エンジン始動後に居眠りが検出されれば、その場で、居眠り運転抑制用のウインドウガラスの高濃度制御など(図14中のステップS218,219,220)を実行することになり、居眠り運転抑制の効果を期待することができる。
〔2−4−6〕表示制御動作(2):
なお、以上の表示動作(1)に代えて、あるいは加えて、以下の表示動作(2)を行うことも可能である。
ここで、この実施形態では、調整手段10bの表示制御機能により、ウインドウガラス111〜116においてカラー表示を行なう場合、自動車100の所在位置が特定領域(公道上以外の領域)に属していると判定され且つ自動車100の移動速度がゼロであると判定された場合に限り、カーオーディオの音声に反応させて、調光ガラス110(有機EL素子層140)によるカラー表示が行なわれるようにしてもよい。
この場合、調整手段10bにカーオーディオの音声信号を入力するように構成してもよいし、調整手段10bに図示されないマイクロホン等を接続してもよい。この場合、調整手段10bが請求項における画像生成手段を構成している。なお、複雑、あるいは、ユーザが定めた表示を行うべく、専用の画像生成プロセッサを設けてもよい。
そして、調整手段10bは、記憶部30のROMなどに格納された音声−画像変換プログラムを参照して、音声信号から所定の画像信号を生成して、調光ガラスに画像表示を行う。この場合、複数のパターンを用意しておいて、運転者や搭乗者が選択することも可能である。
なお、この場合、自動車100の所在位置が特定領域に属していない(つまり、例えば公道上に属している)と判定された場合、または、自動車100の移動速度がゼロでないと判定された場合、カラー表示が解除調整されることが望ましい。
従って、例えば公道上での停車中や、公道上でなくとも移動中には、ウインドウガラス111〜113(調光ガラス110)によるカラー表示を行なうことはできないので、公道上での停車中の安全性や、公道上以外の領域での移動中の安全性を確保することができる。
そして、この実施形態によれば、カーオーディオ等の音声信号に応じたエフェクト表示をガラスに行うことで、停車中であること、また、停車中に音楽を楽しんでいて走行できない状態であることを周囲に知らしめることができる。そして、このエフェクト表示はガラスを用いるため、カーオーディオ装置のディスプレイよりも大画面の迫力のある表示が可能になり、安全性や適法性も確保される。
なお、有機EL層143などの発光層を用いたエフェクト表示としての画像表示は、マトリクス状の複数画素を用いた画像表示であってもよいし、ガラス面全体の発光状態の変化や濃度の変化による表示であってもよい。また、ガラス面全体ではなく、ガラス面の一部にあらかじめ定められた形状の有機EL発光層143を設けておいて、該形状の発光状態や濃度を変化させる表示であってもよい。
また、有機EL層143などの発光層を用いたエフェクト表示としての画像表示は、RGBの3原色を用いた表示であってもよいし、単色の表示、モノクロの表示であってもよい。
また、この有機EL層143などの発光層を用いたエフェクト表示としての画像表示は、上述した居眠り可能性の有無に応じて異なる状態のエフェクト表示とするように、調整手段10bが制御してもよい。
また、有機EL層143を用いずに、調光ガラス110の濃度の変化を、エフェクト表示としての画像表示に用いてもよい。
〔3〕本実施形態の車両制御装置の効果:
以上の実施形態では、エンジンの始動時において、居眠り判定手段により運転者居眠り可能性ありと判定され、位置判定手段によって自動車100の所在位置が特定領域に属していると判定された場合には、ウインドウの調光ガラス110の透過率が規定値未満に調整されて、エンジンの始動が行われる。すなわち、この車両制御装置101によれば、自動車100のエンジン始動時に、運転者の表情,姿勢,反応時間などから居眠りの疑いが検出されて居眠り可能性ありと判定されれば調光ガラス110の透過率は規定値未満に調整される。従って、自動車100の運転者が居眠り可能性を有していれば、ウインドウガラス(調光ガラス110)の透過率が規定値未満となり走行に適しない状態になる。
一方、エンジンの始動は制限されないため、冷暖房などを使用することが可能になる。すなわち、エンジンをかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、自動車100中の乗員に不快感をあたえることなく、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。さらに、この制御を始動時に実行しているため、駐停車している位置から自動車100を移動させることができず、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
また、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
また、以上の実施形態では、エンジンの始動時において、居眠り判定手段により運転者居眠り可能性ありと判定され、位置判定手段によって自動車100の所在位置が特定領域に属していて、速度がゼロであると判定された場合には、ウインドウの調光ガラス110の透過率が規定値未満に調整されて、エンジンの始動が行われる。ここで、特定領域とは、自動車100の走行移動しうる道路(公道や私道)以外の領域、すなわち私有地などである。
この車両制御装置101によれば、自動車100のエンジン始動時に、運転者の表情,姿勢,反応時間などから居眠りの疑いが検出されて居眠り可能性ありと判定されれば調光ガラス110の透過率は規定値未満に調整される。従って、自動車100の運転者が居眠り可能性を有していれば、ウインドウガラス(調光ガラス110)の透過率が規定値未満となり走行に適しない状態になる。
一方、エンジンの始動は制限されないため、冷暖房などを使用することが可能になる。すなわち、エンジンをかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、自動車100中の乗員に不快感をあたえることなく、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。さらに、この制御を始動時に実行しているため、駐停車している位置から自動車100を移動させることができず、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
また、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
従って、例えば道路上での停車中や、道路上でなくとも移動中には、ウインドウガラス111〜113(調光ガラス110)の透過率を規定値未満に切り換えることはできず、つまりウインドウガラス111〜113を高濃度な状態に切り換えることができないので、公道上での停車中の安全性や、公道上や私道上以外の領域での移動中の安全性を確保することができる。
また、以上の実施形態では、制御手段は、エンジンの始動時において、居眠り判定手段により居眠り可能性ありと判定され、位置判定手段によって自動車100の所在位置が前記特定領域(公道・私道以外の私有地などの領域)に属していないと判定された場合には、調光ガラス110の透過率を規定値未満に調整せず、エンジンを始動しない、ように制御する。この車両制御装置101によれば、自動車100のエンジン始動時に、運転者の表情,姿勢,反応時間などから居眠りの疑いが検出されて居眠り可能性ありと判定された場合に、特定領域以外、すなわち道路上であれば、調光ガラス110の透過率は規定値未満に調整しないが、エンジンを始動しないように制御しているため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
また、以上の実施形態では、エンジンの始動時における居眠り判定手段の判定結果の履歴を蓄積しておき、居眠り可能性有りの判定が所定回数以上の場合には、エンジンの始動時に居眠り可能性ありと判定され、自動車100の所在位置が特定領域に属していると判定された場合に、調光ガラス110の前記透過率を規定値未満に調整するものの、エンジンを始動しない、ように制御する。この場合、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
また、以上の実施形態では、生体センサ59の検出結果により、該運転者を識別し、識別された同一の運転者について、エンジンの始動時における居眠り判定手段の判定結果の履歴を蓄積しておき、居眠り可能性ありの判定が所定回数以上の場合には、エンジンの始動時に居眠り可能性ありと判定され、自動車100の所在位置が特定領域に属していると判定された場合に、調光ガラス110の前記透過率を規定値未満に調整するものの、エンジンを始動しない、ように制御する。この場合、特定領域である場合にウインドウの透過率を規定値未満に調整するため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
このように安全性を確保しながら、公道上や私道上以外の特定の場所(例えば私有地やコンビニの駐車場など)では、停止していればキーを抜脱しなくてもウインドウガラス111〜116(調光ガラス110)の透過率を規定値未満に切り換えてウインドウガラス111〜116を高濃度な状態に切り換えることができるので、停止中の車内温度上昇を確実に抑制できるとともに、プライバシイやセキュリティを確実に保護できる。また、キーを抜脱しなくても済むので、自動車100内での食事や睡眠に際してエンジン40を起動させエアコン等を作動させながら、ウインドウガラス111〜116を高濃度な状態に切り換えることができる。
ここで、調光ガラス110として液晶フィルム150を含むもの(図2に示す調光ガラス110A)を用いた場合には、2枚の透明電極153,154の間に所定の電圧を印加するだけで、極めて容易に調光ガラス110Aの透過率を所定値未満に切り換えてウインドウガラス111〜116を高濃度な状態にすることができる。
調光ガラス110として有機EL素子層140およびフォトクロミックガラス層160を含むもの(図3に示す調光ガラス110B)を用いた場合には、有機EL素子層140
の発光層145に特定波長の光(紫外線光)を発光させるだけで、極めて容易に調光ガラス110Bの透過率を所定値未満に切り換えてウインドウガラス111〜116を高濃度な状態にすることができる。このとき、有機EL素子層140から発した光によりフォトクロミックガラス層160が着色されるので、透過率の低下変更が充分に行なわれる一方、フォトクロミックガラス層160を着色させる波長の光以外の光を有機EL素子層140に発光させた場合には、有機EL素子層140を含む調光ガラス110Bを、上述したように外部に対する表示装置として機能させることが可能となる。
調光ガラス110として有機エレクトロルミネッセンス素子層140のみを含むもの(図4に示す調光ガラス110C)を用いた場合には、有機EL素子層140の発光層145に所定色の光を発光させるだけで、極めて容易に調光ガラス110Cの透過率を所定値未満に切り換えてウインドウガラス111〜116を高濃度な状態にすることができる。この場合も、有機EL素子層140を含む調光ガラス110Cを、上述したように外部に対する表示装置として機能させることが可能となる。
また、有機EL素子層140における発光層145を、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に規則正しく配列して構成し、各発光体の発光状態を制御することにより、有機EL素子層140において任意の発色や任意の画像の表示を行なうことが可能になり、ウインドウガラス111〜116(調光ガラス110)を外部に対する表示装置として用いることができる。
例えば、自動車100の停車中もしくは駐車中に全てのウインドウガラス111〜116(調光ガラス110)の色を車体外面と同じ色にすることで、外観上、お洒落で極めて目立つ状態となるので、悪意をもった第三者が盗難等の不法行為を行ない辛くなり、その自動車100に対する不法行為の防止に大きく寄与することになる。
また、自動車100の走行中にリアウインドウガラス116として用いられる調光ガラス110の有機EL素子層140において、自動車100のブレーキペダル52の操作に連動した表示や自動車100の方向指示器操作部53の動作に連動した表示を実行することにより、ブレーキランプやウインカーだけでなくリアウインドウガラス116を用いた大きな表示によって、後方の車両の運転者に対し運転者のブレーキングや移動方向の意志を明確に伝えることが可能になり、走行移動中の安全性を高めることができる。
なお、近年、自動車等に一般的に装備されているカーナビゲーションシステムのGPS機能を用いることで、特別な位置検出手段を新たにそなえることなく、極めて容易に自動車100の所在位置(現在位置)を検出することができる。
また、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)に従えば、少なくとも運転者の前方および両側方におけるウインドウガラス111〜113を透過率調整対象とすればよく、これらの対象ウインドウガラス111〜113以外のウインドウガラス114〜116として用いられる調光ガラス110の透過率については、自動車100の停止中/移動中に関係なくまた自動車100の所在位置に関係なく、切換スイッチ54により、所定値未満か以上のいずれか一方に選択的に切り換え可能に構成することで、対象ウインドウガラス111〜113以外のウインドウガラス114〜116については、自動車100の乗員の意志によって透明/高濃度の切換をいつでも行なうことが可能であり、利便性を高めることができる。
さらに、自動車100の外部の明度に応じて調光ガラス110の透過率を調整することにより、自動車100の外部が暗い場合には透過率を高めて視界を確保することができる一方、自動車の外部が極めて明るい場合(紫外線が多い場合等)には透過率を低くして運
転者や乗員の受ける眩しさを低減することができるので、運転者は自動車100の外部の状況を確実に視認することが可能になり、安全性を高めることができる。
また、本実施形態では、調整手段10bの表示制御機能により、上記道路運送車両の保安基準(第29条第4項)の対象であるウインドウガラス111〜113においてカラー表示を行なう場合、自動車100の所在位置が特定領域(公道上以外の領域)に属していると判定され且つ自動車100の移動速度がゼロであると判定された場合に限り、調光ガラス110(有機EL素子層140)によるカラー表示が行なわれる一方、自動車100の所在位置が特定領域に属していない(つまり、例えば公道上に属している)と判定された場合、または、自動車100の移動速度がゼロでないと判定された場合、カラー表示が解除調整される。従って、例えば公道上での停車中や、公道上でなくとも移動中には、ウインドウガラス111〜113(調光ガラス110)によるカラー表示を行なうことはできないので、公道上での停車中の安全性や、公道上以外の領域での移動中の安全性を確保することができる。
また、この実施形態の車両制御装置101によれば、運転者について居眠り発生と判定されれば調光ガラス110の透過率は所定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になる。一方、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。すなわち、エンジン40をかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、居眠り運転を有効に抑制することが可能になり、さらに、プライバシーやセキュリティも確保される。
また、この実施形態では、エンジン40のエンジン回転数をアイドリングのみに限定していないため、エアコン使用時のアイドルアップ機能が有効に動作するため、冷暖房の能力に問題が生じることがなく、車両中の乗員に不快感を与えることがないという利点がある。
さらに、この実施形態の車両制御装置101によれば、居眠りが検出されて居眠り発生と判定されれば、駐停車可能場所まで誘導した後に、調光ガラス110の透過率は所定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になる。一方、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。すなわち、エンジン40をかけて冷暖房を使用できるものの走行には適さないため、車両中の乗員に不快感をあたえることなく、居眠り運転を有効に抑制することが可能になり、さらに、プライバシーやセキュリティも確保される。また、この実施形態では、エンジン40のエンジン回転数をアイドリングのみに限定していないため、エアコン使用時のアイドルアップ機能が有効に動作するため、冷暖房の能力に問題が生じることがなく、車両中の乗員に不快感を与えることがないという利点がある。
また、この実施形態の車両制御装置101によれば、居眠り運転抑制制御(始動時居眠り運転抑制制御と走行中居眠り運転抑制制御)と調光制御と表示制御とを一連の制御として実行した場合であっても、始動時に運転者について居眠り発生と判定されれば調光ガラス110の透過率は所定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になるものの、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になり、また、駐停車可能場所に位置していない車両で居眠りが検出されて居眠り発生と判定されれば、駐停車可能場所まで誘導した後に、調光ガラス110の透過率は所定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になるものの、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になり、さらに、ウインドウガラスの調光制御や表示制御を行いつつ居眠り検出を繰り返すため、居眠りが検出されれば駐停車可能場所までの誘導と居眠り運転抑制用のウインドウガラスの高濃度制御などを実行することになり、居眠り運転抑制の効果を期待することができる。また、エンジンの始動後の走行開始前の駐停車可能場所に
位置している車両から居眠りが検出されて居眠り発生と判定されれば、その場で、調光ガラス110の透過率は所定値未満の高濃度に調整され、走行できない状態になるものの、エンジン40の始動は制限されないため、冷暖房を使用することが可能になる。
〔4〕その他:
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
〔4−1〕各種の変形:
以上の説明で、居眠り検知手段57として、運転者の眼の開き具合や運転姿勢をカメラで撮像するものを具体例にしてきたが、GPS位置検出部21の検出結果を参照して、車両の蛇行具合を居眠り検知に用いることが可能である。この場合、地図データを参照し、ステアリングの操作角度から道の曲がり具合を差し引き、直進すべき状態に正規化した操作角度のデータを用いる。また、追い越しなどの車線変更の影響を受けないように、ウインカーの操作を行った場合のステアリングの操作角度のデータは用いないようにする。そして、周期的に操作角度が右/左と変化する兆候が存在すれば、居眠り判定手段14は居眠り発生と判定する。また、蛇行だけでなく、通常のステアリング操作とは異なる、居眠り時の急激なステアリング操作についても、同様にして居眠り判定手段14は居眠り発生と判定する。
また、居眠り検知手段57として、撮像を行うカメラではなく、運転者の脳波を検出する脳波検出手段を用いることも可能である。
その場合、居眠り判定手段14は、運転者の脳波のアルファ波、ベータ波、シータ波の比率の違いによって判定を行う。たとえば、睡眠時に発生しやすいシータ波の割合が多ければ、居眠り可能性有りと判定する。
この場合、予め、居眠り可能性なしの状態で運転者毎の脳波の割合を登録しておいて、登録された脳波の状態と比較することも可能である。
また、運転者の眼の開き具合や運転姿勢を撮影するカメラと、脳波センサなどを組み合わせて使用することも可能である。
なお、運転者の眼の閉じている時間が長くなって居眠りの状況がひどくなってきたと居眠り判定手段14で判定された場合、駐停車可能な場所までの誘導ではなく、その場の路肩などに停止するように表示部60に表示した上で、車両が路肩に位置しており、車両の移動速度がゼロと判定されてからウインドウのハザードランプ表示を速やかに行うようにしてもよい。
また、例えば、本実施形態では、車両が自動車である場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、クルーザ,小型船等の船や、航空機や、電車のごとくウインドウガラスのある車両であれば、本発明は、上述した実施形態と同様に適用され、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、カラー表示等の表示を一切行なわない場合には、有機EL素子層140をそなえない通常のガラス板に図2に示すような液晶フィルム150のみを貼付して各調光ガラス110を構成するとともに、CPU10が位置判定手段11,速度判定手段12および調整手段10bとしての機能を果たすように構成し、調整手段10bが、図7および図8にて説明した手順で各調光ガラス110の透過率を調整するように構成してもよい。
このような構成によれば、有機EL素子層140によるカラー表示は行なえないが、自動車100について、例えば公道上での停車中の安全性を確保しながら、公道上以外の特
定の場所では、停止していればキーを抜脱しなくてもウインドウを高濃度な状態に切り換えられるようにすることができ、上述した本願発明特有の作用効果を得ることができるのである。
また、本実施形態においては6枚の調光ガラス110が使用されているが、本発明は、これに限定されず、本発明の車両制御装置101を搭載する車両に使用されるウインドウガラスの枚数分の調光ガラス110が使用される。
さらに、調光ガラス110は全体が1つの有機ELパネルから成るものでなくてもよく、複数の有機ELパネルを組み合わせて1つの調光ガラス110とするように構成してもよい。このように構成することにより、大型の有機ELパネルが、技術的または経済的な理由などにより入手が困難な場合であっても、有機ELパネルからなる調光ガラス110の大型化が可能となるのである。
〔4−2〕始動時居眠り運転抑制制御動作の変形例:
なお、上述した車両制御装置101の始動時の居眠り運転抑制制御動作(エンジンコントローラ10aと調整手段10bとの動作)について、図19のフローチャートに示す変形例を説明する。
ここでは、既に、私有地などの特定領域に自動車が駐車あるいは停車しており、ウインドウが所定値(規定値未満)の高濃度状態を維持した状態で存在しているものとする。この高濃度化は、居眠り運転抑制によるものであっても、日射しを避けたりプライバシーを確保するための設定操作に基づくものであってもよい。
この図19において、既に説明した図17のフローチャートと同一ステップについては重複した説明を省略する。
居眠り判定手段14で居眠り可能性なしと判定された場合(図19のステップS1703でNO)には、各ウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより低濃度(規定値(70%)以上)に調整される(図19中のステップS1712)。これにより、通常の運転操作に適した状態になる。
さらに、調整手段10bはエンジン始動指示をエンジンコントローラ10aに伝達し、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動する(図19中のステップS1708)。すなわち、エンジン始動の指示を受けたエンジンコントローラ10aは、図示されないセルモータや燃料噴射装置などを駆動して、エンジン40を始動させる。
そして、エンジン停止の指示があれば(図19中のステップS1709でYES)、エンジンコントローラ10aがエンジン40を停止させ(図19中のステップS1710)、調整手段10bは居眠り可能性判定なしの履歴を記憶部に格納する(図19中のステップS1711)。
一方、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図19のステップS1703でYES)には、GPS位置検出部21の検出結果に基づいて、自動車100の現
在位置(緯度
・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属しているか否かを判定する(図19中のステップS1704)。
なお、位置だけでなく、速度も判定基準とする設定であれば、速度判定手段12により、速度センサ22によって検出された自動車100の移動速度(車速)がゼロであるか否
か、つまり自動車100が停車しているか否かを判定する。
ここで、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図19のステップS1703でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していなければ(図19中のステップS1704でNO)、あるいは、速度がゼロ以外であれば、各ウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより低濃度(規定値(70%)以上)に調整される(図19中のステップS1713)。
そして、エンジンコントローラ10aはエンジン40を始動させることなく、調整手段10bは特定領域以外で居眠り可能性判定ありの履歴を記憶部に格納して処理を終了する(図19中のステップS1711)。
すなわち、この制御によれば、車両のエンジン始動時に、運転者の表情,姿勢,反応時間などから居眠りの疑いが検出されて居眠り可能性ありと判定された場合に、特定領域以外、すなわち道路上であれば、調光ガラスの透過率を規定値未満にせず低濃度状態にするが、エンジンを始動しないように制御しているため、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
ここで、居眠り判定手段14で居眠り可能性ありと判定された場合(図19のステップS1703でYES)であって、自動車100の現在位置(緯度・経度情報)が、特定領域(自動車100の走行移動しうる公道上や私道上以外の領域;例えば私有地やコンビニの駐車場など)に属していれば(図19中のステップS1704でYES)、あるいは、位置が特定領域であって速度がゼロであれば、調整手段10bにより、少なくともウインドウガラス111〜113を成す各調光ガラス110、望ましくはウインドウガラス111〜116を成す各調光ガラス110の透過率が、調整手段10bにより高濃度(規定値(70%)未満)に調整されたままの状態になる(図19中のステップS1705)。これにより、車両運送の保安基準などの法令に違反することもなく、適法な状態を保ちつつ、居眠り運転を有効に抑制することが可能になる。
なお、この場合、調光ガラス110は、高濃度が維持される場合だけではなく、図7や図8で説明した調光制御動作によって既に高濃度になっている状態から、居眠り運転抑を抑制するため、より一層高濃度に制御される場合、などの態様が考えられる。
なお、ここでは、図12のフローチャートに対応する変形例を図19のフローチャートを用いて説明したが、この変形例を図14や図18のフローチャートで説明した実施形態にも適用することが可能である。
〔4−3〕各種のプログラムへの応用:
また、上述した位置判定手段11,速度判定手段12,調整手段10bおよびエンジンコントローラ10aの表示制御機能としての機能(各手段の全部もしくは一部の機能)は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が所定のアプリケーションプログラム(調光制御プログラムもしくは表示制御プログラム)を実行することによって実現される。
また、上述した位置判定手段11,速度判定手段12,調整手段10bおよび調整手段10bならびにエンジンコントローラ10aの居眠り運転抑制制御機能としての機能(各手段の全部もしくは一部の機能)は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を
含む)が所定のアプリケーションプログラム(居眠り運転抑制プログラム)を実行することによって実現される。
そのプログラムは、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RWなど),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD−RW,DVD+R,DVD+RWなど),半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体から調光制御プログラムを読み取って内部記憶装置もしくは外部記憶装置に転送し格納して用いる。また、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク,半導体メモリ等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
ここで、コンピュータとは、ハードウエアとOS(オペレーティングシステム)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウエアを意味している。また、OSが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウエアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたプログラムを読み取るための手段とをそなえている。上記の調光制御プログラムもしくは表示制御プログラムとしてのアプリケーションプログラムは、上述のようなコンピュータに、位置判定手段11,速度判定手段12,調整手段10bおよび調整手段10bの表示制御機能や居眠り運転抑制制御機能としての機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。また、その機能の一部は、アプリケーションプログラムではなくOSによって実現されてもよい。
さらに、本実施形態における記録媒体としては、上述したフレキシブルディスク,CD,DVD,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスクのほか、ICカード,ROMカートリッジ,磁気テープ,パンチカード,コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ),外部記憶装置等や、バーコードなどの符号が印刷された印刷物等の、コンピュータ読取可能な種々の媒体を利用することもできる。
〔5〕付記:
(付記1)
可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両において、前記調光ガラスの前記透過率を制御する車両制御装置であって、
前記車両の所在位置を検出する位置検出手段と、
前記車両の移動速度を検出する速度検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段と、
前記速度検出手段によって検出された前記車両の移動速度がゼロであるか否かを判定する速度判定手段と、
前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定され且つ前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロであると判定された場合、前記調光ガラスの前記透過率を所定値未満に調整する調整手段とをそなえて構成されていることを特徴とする、車両制御装置。
(付記2)
前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していないと判定された場合、もしくは、前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロでないと判定された場合、前記調整手段が、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値以上に調整することを特徴とする、付記1記載の車両制御装置。
(付記3)
前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により液晶分子の配向性を変化させることで可視光線を遮る液晶層を2枚の透明電極間に挟入して成る液晶フィルムを含んで構成され、
前記調整手段が、前記2枚の透明電極に前記所定の電圧を印加して前記液晶分子の配向性を変化させることにより、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値未満に調整することを特徴とする、付記1または付記2に記載の車両制御装置。
(付記4)
前記調光ガラスが、さらに、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層を含んで構成され、
前記発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、
各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御機能を更に備えて構成されていることを特徴とする、付記3記載の車両制御装置。
(付記5)
前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層と、前記発光層から発せられる特定波長の光に反応して着色されるフォトクロミックガラス層とを含んで構成され、
前記調整手段が、前記発光層に前記特定波長の光を発光させ前記フォトクロミックガラス層を着色させることにより、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値未満に調整することを特徴とする、付記1または付記2に記載の車両制御装置。
(付記6)
前記発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、
各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御機能を更に備えて構成されていることを特徴とする、付記5記載の車両制御装置。
(付記7)
前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層を含んで構成され、
前記調整手段が、前記発光層に所定色の光を発光させることにより、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値未満に調整することを特徴とする、付記1または付記2に記載の車両制御装置。
(付記8)
前記発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、
各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御機能を更に備えて構成されていることを特徴とする、付記7記載の車両制御装置。
(付記9)
前記表示制御機能が、前記車両の移動中にリアウインドウガラスとして用いられる前記調光ガラスの前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において、前記車両のブレーキ操作に連動した表示を実行させることを特徴とする、付記4,付記6,付記8に記載の車両制御装置。
(付記10)
前記表示制御機能が、前記車両の移動中にリアウインドウガラスとして用いられる前記調光ガラスの前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において、前記車両の方向指示器の動作に連動した表示を実行させることを特徴とする、付記4,付記6,付記8,付記9のいずれか一項に記載の車両制御装置。
(付記11)
前記車両が自動車であり、
前記特定領域が、前記自動車の走行移動しうる公道上以外の領域であることを特徴とする、付記1〜付記10のいずれか一項に記載の車両制御装置。
(付記12)
前記位置検出手段が、GPS(Global Positioning System)を用いて前記車両の所在
位置を検出することを特徴とする、付記1〜付記11のいずれか一項に記載の車両制御装置。
(付記13)
前記調整手段は、少なくとも前記車両の運転者の前方および両側方におけるウインドウガラスとして用いられる調光ガラスを、前記位置判定手段および前記速度判定手段による判定結果に従った前記透過率の調整対象とすることを特徴とする、付記1〜付記12のいずれか一項に記載の車両制御装置。
(付記14)
前記車両の運転者の前方および両側方におけるウインドウガラス以外のウインドウガラスとして用いられる前記調光ガラスの前記透過率については、前記速度判定手段および前記位置判定手段による判定結果と関係なく、前記調整手段によって前記所定値未満もしくは前記所定値以上のいずれか一方に選択的に切り換えさせる切換手段を更に備えて構成されていることを特徴とする、付記13記載の車両制御装置。
(付記15)
前記車両の外部の明度を検出する明度検出手段をさらにそなえ、
前記調整手段が、前記明度検出手段によって検出された明度に応じて前記調光ガラスの透過率を調整することを特徴とする、付記1〜付記14のいずれか一項に記載の車両制御装置。
(付記16)
運転者の居眠りを検知する居眠り検知手段と、前記居眠り検知手段の検知結果から運転者の居眠りの有無を判定する居眠り判定手段と、を備え、
前記制御手段は、前記居眠り判定手段により居眠り発生と判定された場合に前記調光ガラスの前記透過率を所定値未満に調整する、
ことを特徴とする車両制御装置。
(付記17)
前記制御手段は、前記居眠り検知手段による運転者の居眠りを検知の後に、エンジンを始動する、
ことを特徴とする付記16記載の車両制御装置。
(付記18)
前記居眠り検知手段は、エンジン動作中には運転者の運転中の居眠りを検知する、
ことを特徴とする付記16または付記17に記載の車両制御装置。
(付記19)
前記車両の所在位置を検出する位置検出手段と、
前記車両の移動速度を検出する速度検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段と、
前記速度検出手段によって検出された前記車両の移動速度がゼロであるか否かを判定する速度判定手段と、
地図データと前記車両の所在位置とに基づいて誘導を行うナビゲーション部を更に備え、
前記制御手段は、前記居眠り判定手段によって居眠り可能性ありと判定された場合、前記ナビゲーション部に駐停車可能な位置までの誘導を行わせ、前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記誘導位置に属していると判定され且つ前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロであると判定された場合には前記調光ガラスの前記透過率を所定値未満に調整する、
ことを特徴とする付記18記載の車両制御装置。
(付記20)
前記制御手段は、居眠りが検知された場合に、車両が特定領域に属して速度ゼロとなってから、エンジン回転数の上限をアイドリング状態もしくはエアコン使用時のアイドルアップ状態の回転数にまで制限する、
ことを特徴とする付記15〜付記19のいずれかに記載の車両制御装置。
(付記21)
前記制御手段は、居眠りが検知された場合に、車両が特定領域に属して速度ゼロとなってから、オートマチック車の場合の変速操作にかかわらず変速を電気的に実行させない、ことを特徴とする付記15〜付記19のいずれかに記載の車両制御装置。
(付記22)
前記制御手段は、居眠りが検知された場合に、車両が特定領域に属して速度ゼロとなってから、オートマチック車の場合の変速操作があった場合には変速機をニュートラル状態に制御する、
ことを特徴とする付記15〜付記19のいずれかに記載の車両制御装置。
(付記22)
前記制御手段は、エンジン始動前の前記居眠り検知手段による運転者の居眠りを検知として、運転者の反射神経の計測、交通規則のテストの結果(回答の正誤、回答時間)、などにより判定する、
ことを特徴とする付記17記載の車両制御装置。
(付記23)
前記制御手段は、駐停車可能場所までの誘導を行う際に、運転者に対して警報を出し続ける、あるいは、運転者に対して送風を行う、
ことを特徴とする付記19記載の車両制御装置。
(付記A0)
可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御装置であって、
前記車両の所在位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段と、
前記車両の移動速度を検出する速度検出手段と、
前記速度検出手段によって検出された前記車両の移動速度がゼロであるか否かを判定する速度判定手段と、
前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定され且つ前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロであると判定された場合、前記調光ガラスの前記透過率を所定値未満に調整する制御手段と、
音声信号に応じて変化する画像信号を生成する画像生成手段と、
を備え、
前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により発光する発光層を含み、
前記制御手段が、前記発光層の発光状態を前記画像信号に応じて制御する、
ことを特徴とする車両制御装置。
この付記の発明では、車両の所在位置が特定領域に属していると判定され且つ車両の移動速度がゼロであると判定された場合に限り、調光ガラスの透過率は所定値未満に調整されると共に音声信号に応じた画像表示がなされる一方、車両の所在位置が特定領域に属していないと判定された場合、もしくは、車両の移動速度がゼロでないと判定された場合には調光ガラスの透過率は所定値以上に調整されると共にガラスに画像表示はなされない。
従って、車両としての車両等が、例えば公道上での停車中や、公道上でなくとも移動中には、ウインドウガラス(調光ガラス)の透過率を所定値未満に切り換えることや画像表示をすることはできず、つまりウインドウガラスを不透明な状態に切り換えることができないので、公道上での停車中の安全性や、公道上以外の領域での移動中の安全性を確保することができる。
すなわち、車両の所在位置が特定領域に属していると判定され且つ車両の移動速度がゼロであると判定された場合に限り、調光ガラスを、後述するごとく外部に対する表示装置として機能させることが可能となる。
したがって、カーオーディオ等の音声信号に応じたエフェクト表示をガラスに行うことで、停車中であること、また、停車中に音楽を楽しんでいて走行できない状態であることを周囲に知らしめることができる。
(付記A1)
可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御装置であって、
前記車両の所在位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段と、
前記車両の移動速度を検出する速度検出手段と、
前記速度検出手段によって検出された前記車両の移動速度がゼロであるか否かを判定する速度判定手段と、
前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定され且つ前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロであると判定された場合、前記調光ガラスの前記透過率を所定値未満に調整する制御手段と、
音声信号に応じて変化する画像信号を生成する画像生成手段と、
を備え、
前記調光ガラスが、さらに、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層を含み、前記発光層が光の
3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、
前記制御手段が、各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御機能を更に備えて構成され、
前記制御手段は、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において、前記画像信号の表示を実行させる、
ことを特徴とする車両制御装置。
(付記A2)
前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していないと判定された場合、もしくは、前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロでないと判定された場合、前記調整手段が、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値以上に調整することを特徴とする、付記A0または付記A1記載の車両制御装置の調光制御装置。
(付記A3)
前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により液晶分子の配向性を変化させることで可視光線を遮る液晶層を2枚の透明電極間に挟入して成る液晶フィルムを含んで構成され、
前記調整手段が、前記2枚の透明電極に前記所定の電圧を印加して前記液晶分子の配向性を変化させることにより、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値未満に調整することを特徴とする、付記A0乃至付記A2のいずれか一項に記載の車両制御装置の調光制御装置。
(付記A4)
前記調光ガラスが、さらに、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層を含んで構成され、
前記発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、
各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御手段をさらにそなえて構成されていることを特徴とする、付記A3記載の車両制御装置の調光制御装置。
(付記A5)
前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層と、前記発光層から発せられる特定波長の光に反応して着色されるフォトクロミックガラス層とを含んで構成され、
前記調整手段が、前記発光層に前記特定波長の光を発光させ前記フォトクロミックガラス層を着色させることにより、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値未満に調整することを特徴とする、付記A0乃至付記A2のいずれか一項に記載の車両制御装置の調光制御装置。
(付記A6)
前記発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、
各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御手段をさらにそなえて構成されていることを特徴とする、付記A5記載の車両制御装置の調光制御装置。
(付記A7)
前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層を含んで構成され、
前記調整手段が、前記発光層に所定色の光を発光させることにより、前記調光ガラスの前記透過率を前記所定値未満に調整することを特徴とする、付記A0乃至付記A2のいずれか一項に記載の車両制御装置の調光制御装置。
(付記A8)
前記発光層が、光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、
各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御手段をさらにそなえて構成されていることを特徴とする、付記A7記載の車両制御装置の調光制御装置。
(付記A9)
前記表示制御手段が、前記車両の移動中にリアウインドウガラスとして用いられる前記調光ガラスの前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において、前記車両のブレーキ操作もしくは前記車両の方向指示器の動作に連動した表示を実行させることを特徴とする、付記A4,付記A6,付記A8に記載の車両制御装置の調光制御装置。
(付記A10)
前記車両が自動車であり、
前記特定領域が、前記自動車の走行移動しうる公道上以外の領域であることを特徴とする、付記A0〜付記A9のいずれか一項に記載の車両制御装置の調光制御装置。
(付記B0)
可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御コンピュータにおける車両制御プログラムであって、
前記車両の所在位置を検出する位置検出手段、
前記位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段、
前記車両の移動速度を検出する速度検出手段、
前記速度検出手段によって検出された前記車両の移動速度がゼロであるか否かを判定する速度判定手段、
前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定され且つ前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロであると判定された場合、前記調光ガラスの前記透過率を所定値未満に調整する制御手段、
音声信号に応じて変化する画像信号を生成する画像生成手段、
を備え、
前記調光ガラスが、所定の電圧の印加により発光する発光層を含み、
前記制御手段は、前記発光層の発光状態を前記画像信号に応じて制御する、
よう該車両制御コンピュータを機能させることを特徴とする車両制御プログラム。
(付記B1)
可視光線の透過率を調整可能な調光ガラスをウインドウガラスとして有する車両を制御する車両制御コンピュータにおける車両制御プログラムであって、
前記車両の所在位置を検出する位置検出手段、
前記位置検出手段によって検出された前記車両の所在位置が、予め指定された特定領域に属しているか否かを判定する位置判定手段、
前記車両の移動速度を検出する速度検出手段、
前記速度検出手段によって検出された前記車両の移動速度がゼロであるか否かを判定する速度判定手段、
前記位置判定手段によって前記車両の所在位置が前記特定領域に属していると判定され
且つ前記速度判定手段によって前記車両の移動速度がゼロであると判定された場合、前記調光ガラスの前記透過率を所定値未満に調整する制御手段、
音声信号に応じて変化する画像信号を生成する画像生成手段、
を備え、
前記調光ガラスが、さらに、所定の電圧の印加により発光する透明な発光層を2枚の透明電極間に挟入して成る有機エレクトロルミネッセンス素子層を含み、前記発光層が光の3原色である赤,緑,青を各々発光する発光体をマトリクス状に配列して構成され、
前記制御手段が、各発光体の発光状態を制御することにより、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において任意の発色もしくは任意の画像の表示を実行させる表示制御機能を更に備えて構成され、
前記制御手段は、前記有機エレクトロルミネッセンス素子層において、前記画像信号の表示を実行させるようコンピュータを動作させることを特徴とする車両制御プログラム。よう該車両制御コンピュータを機能させることを特徴とする車両制御プログラム。