JP4174797B2 - エアバッグ装置付インストルメントパネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両衝突時にエアバッグ装置の作動で開くエアバッグドア部を有するエアバッグ装置付インストルメントパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、エアバッグ装置付インストルメントパネルは、エアバッグ装置を収納する平面視略矩形の枠体をインストルメントパネル本体裏面に溶着し、このインストルメントパネル本体裏面に上記枠体に対応して破断予定部を形成するとともに、この破断予定部によって囲まれる領域でエアバッグドア部を形成し、車両衝突時に上記破断予定部をエアバッグ装置の作動で破断して上記エアバッグドア部を開くように構成されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−71924号公報(第4頁、図4)
【特許文献2】
特開平9−52566号公報(第4頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の特許文献1,2では、単に、エアバッグ装置を枠体内部に収納しているだけであるため、車両衝突時にエアバッグの膨出圧力で上記枠体が万が一破損してエアバッグを膨出させることができなくなると、乗員にとって非常に危険である。
【0005】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両衝突時にエアバッグを確実に膨出させて乗員を保護することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、エアバッグ装置の支持構造を内外2重構造にしたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、この発明は、車幅方向に延びる前側枠壁及び後側枠壁と車体前後方向に延びる左側枠壁及び右側枠壁とを備えかつエアバッグが膨出するシューティング口を有するとともに内部にエアバッグ装置を収納する平面視略矩形の樹脂製枠体が樹脂製インストルメントパネル本体裏面に溶着され、上記シューティング口に対応するように上記インストルメントパネル本体にエアバッグドア部が形成され、車両衝突時に上記エアバッグ装置の作動で上記エアバッグドア部を開くように構成されたエアバッグ装置付インストルメントパネルを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、この発明は、上記エアバッグ装置は、フックを介して上記枠体に係止するように該枠体内に収納され、上記枠体の左側枠壁及び右側枠壁の外側におけるインストルメントパネル本体裏面には、一対の樹脂製第1ブラケットがこれら両枠壁に沿うように溶着され、上記両第1ブラケットは、第2ブラケットを介してそれぞれ上記エアバッグ装置に結合され、上記エアバッグ装置は、第3ブラケットを介してインストルメントパネル本体又はインストルメントパネル本体に結合されたインパネ補強部材に結合されていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成により、この発明では、車両衝突時にエアバッグの膨出圧力で上記枠体が万が一破損しても、枠体の外側にある一対の第1ブラケットがシューティング口の役目をし、エアバッグが確実に膨出して乗員の安全が確保される。
【0010】
また、仮に、上記第1ブラケットがインストルメントパネル本体から外れても、エアバッグ装置は枠体内部に収納されているため、エアバッグの機能に支障を来さず、乗員の安全が確保される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0012】
図3はこの発明の実施の形態1に係るエアバッグ装置付インストルメントパネル1の助手席前方部分を示す。図1は図3のI−I線における断面図、図2は図3のII−II線における断面図である。このインストルメントパネル1は、サーモプラスチックオレフィン(TPO)樹脂等の熱可塑性エラストマー樹脂材で成形された樹脂製基材3と、この基材3の表面側に一体に被覆されたポリプロピレン(PP)等の樹脂製表皮5とからなる2層構造のインストルメントパネル本体7を備えている。
【0013】
上記インストルメントパネル本体7の基材3裏面には、車幅方向及び車体前後方向に延びる平面視略矩形の溝部9が形成され、この溝部9に対応するインストルメントパネル本体7部分が薄肉に形成されて平面視略矩形の破断予定部11が形成されている。そして、この破断予定部11によって囲まれる領域により、車両衝突時に後述するエアバッグ装置29の作動で上記破断予定部11を破断して開くエアバッグドア部13が形成される。このエアバッグドア部13は、上記破断予定部11がインストルメントパネル本体7表面側から識別できない,いわゆるシームレスタイプに構成されている。
【0014】
上記エアバッグドア部13及びその周辺のインストルメントパネル本体7裏面には、平面視略矩形の樹脂製枠体15が振動溶着されている。この枠体15は略矩形筒状に形成された枠部17を備え、この枠部17は、車幅方向に延びる前側枠壁17aと、該前側枠壁17aの後側に対向配置されて車幅方向に延びる後側枠壁17bと、これら前側枠壁17a及び後側枠壁17bの左縁同士を連結するように車体前後方向に延びる左側枠壁17cと、右縁同士を連結するように車体前後方向に延びる右側枠壁17dとからなる。また、枠部17上端内側には、エアバッグが膨出する矩形シューティング口19が形成され、上記枠部17上端外側には、外側方に延びるフランジ部21が一体に形成されている。また、上記シューティング口19の車体前方側の一辺には、フラップ部23が凹状湾曲部からなるヒンジ部25を介して一体に形成され、図3にも示すように、上記フラップ部23は枠部17との間に平面視コの字形の僅かな隙間をあけて上記シューティング口19を覆っている。図1及び図2中、27は上記フランジ部21及びフラップ部23に形成された振動溶着用の突起であり、この突起27を介してフランジ部21及びフラップ部23がインストルメントパネル本体7裏面に振動溶着され、枠体15がインストルメントパネル本体7裏側に配置される。
【0015】
上記枠部17内には、車体前後方向からの衝撃から助手席の乗員を保護するためのエアバッグ及びインフレータ等からなるエアバッグ装置29が収納され、このエアバッグ装置29に車幅方向に間隔をあけて固定された複数のフック31を、枠部17に車幅方向に間隔をあけて形成された複数の係合孔17eにエアバッグ装置29の作動時に係止させるようにしている。
【0016】
この発明の特徴として、上記枠部17の左側枠壁17c及び右側枠壁17dの外側におけるインストルメントパネル本体7の基材3裏面には、断面略コの字状の一対の樹脂製第1ブラケット33がこれら両枠壁17c,17dに沿うように溶着されている。具体的には、上記第1ブラケット33は、縦壁部33aと、この縦壁部33aの上端及び下端から枠体15側にそれぞれ水平に延びる上側横壁部33b及び下側横壁部33cとからなり、上記上側横壁部33bには貫通孔33dと振動溶着用の突起27とが形成され、この突起27を介して上側横壁部33bがインストルメントパネル本体7の基材3裏面に振動溶着されている。また、上記第1ブラケット33の下側横壁部33cには金属製第2ブラケット35の一端が結合され、該第2ブラケット35の他端は上記エアバッグ装置29底部に結合され、これにより、上記両第1ブラケット33が第2ブラケット35を介してそれぞれ上記エアバッグ装置29底部に結合されている。また、上記エアバッグ装置29は、金属製第3ブラケット37を介してインストルメントパネル本体7を構成するパネル材7aに結合されている。
【0017】
上記第1ブラケット33のインストルメントパネル本体7への固定は、上記枠体17と共に行われるものである。つまり、上記枠体15のフランジ部21に突設した位置決めピン39を上記第1ブラケット33の貫通孔33dに挿入することにより、枠体15と第1ブラケット33とを位置ずれしないように組み付け、この状態で両者をインストルメントパネル本体7裏面に溶着する。なお、図示しないが、これとは逆に、位置決めピンを第1ブラケット33の上側横壁部33b裏面に下向きに突設するとともに、貫通孔を枠体15のフランジ部21に形成して両者を位置決めするようにしてもよい。また、上記エアバッグ装置29のパネル材7aへの結合は、エアバッグ装置29底部に下向きに突設されたネジ部材41を第3ブラケット37の一端側に形成された貫通孔37aに挿入し、ナット43を上記ネジ部材41に螺合させるとともに、上記第3ブラケット37の他端側に形成された貫通孔37bとパネル材7aに形成された貫通孔7bにボルト45を挿入し、このボルト45にナット47を螺合することで行われる。これにより、上記エアバッグ装置29底部がパネル材7aにブラケット37を介して連結支持される。なお、上記第1ブラケット33は、上側横壁部33b及び下側横壁部33cを上記とは逆に枠体15の外側方に向けてインストルメントパネル本体7の基材3裏面に振動溶着してもよい。
【0018】
このように構成されたインストルメントパネル1では、車両が衝突すると、エアバッグ装置29のエアバッグがインフレータの作動によって膨出し、その膨出圧力で破断予定部11が破断することにより、エアバッグドア部13がフラップ部23と一体となってヒンジ部25を開作動支点として回動し、車体前方上向きに開くようになっている。
【0019】
そして、車両衝突時にエアバッグの膨出圧力で上記枠体15の枠部17が万が一破損しても、枠部17の外側にある一対の第1ブラケット33がシューティング口19の役目をするので、エアバッグを確実に膨出させて乗員の安全を確保することができる。
【0020】
また、仮に、上記第1ブラケット33がインストルメントパネル本体7から外れても、エアバッグ装置29が枠体15に収納された状態で第3ブラケット37を介してインストルメントパネル本体7のパネル材7aに固定されているので、エアバッグの機能に支障を来すことなく乗員の安全を確保することができる。
【0021】
なお、この実施の形態では、エアバッグ装置29を第3ブラケット37でインストルメントパネル本体7のパネル材7aに結合したが、インストルメントパネル本体7に結合されて車幅方向に延びるインパネ補強部材としてインパネレインフォースメント(図示せず)に結合してもよい。
さらに、この実施の形態では、フランジ部21、フラップ部23及び一対の第1ブラケット33をインストルメントパネル本体7裏面に振動溶着したが、振動溶着の代替手段として、インストルメントパネル本体7裏面に多数の突起を形成する一方、枠体15のフランジ部21、フラップ部23及び一対の第1ブラケット33に多数の貫通孔を形成し、これら貫通孔に上記突起を挿入して該突起の先端を上記フランジ部21、フラップ部23及び一対の第1ブラケット33裏面に溶着するようにしてもよい。また、超音波溶着であってもよく、溶着手段は問わない。
【0022】
また、この実施の形態では、エアバッグドア部13が車体前側の車幅方向に延びる破断予定部11を開作動支点として回動して車体前方上向きに開くようにしたが、上記破断予定部11は、エアバッグドア部13の開作動時に破断するように形成してもよい。
【0023】
さらに、この実施の形態において、インストルメントパネル本体7に開口部を形成し、この開口部にインストルメントパネル本体7の一部を構成する別部材としてのパネル材を嵌め込み、このパネル材裏面に枠体15を溶着してもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、エアバッグ装置をフックを介して枠体に係止するように該枠体内に収納し、かつ枠体の外側でインストルメントパネル本体裏面に一対の第1ブラケットを溶着し、この両第1ブラケットを第2ブラケットを介してエアバッグ装置に結合したので、車両衝突時にエアバッグの膨出圧力で上記枠体が万が一破損しても、上記両第1ブラケットをシューティング口として機能させることができ、エアバッグを確実に膨出させて乗員を安全に保護することができる。
【0025】
また、上記エアバッグ装置を第3ブラケットを介してインストルメントパネル本体又はインパネ補強部材に結合したので、仮に、上記第1ブラケットがインストルメントパネル本体から外れても、エアバッグ装置が枠体内部に収納されていて、エアバッグの機能に支障を来すことなく乗員を安全に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図3のI−I線における断面図である。
【図2】図3のII−II線における断面図である。
【図3】インストルメントパネルの助手席前方部分の斜視図である。
【符号の説明】
1 インストルメントパネル
7 インストルメントパネル本体
11 破断予定部
13 エアバッグドア部
15 枠体
17a 前側枠壁
17b 後側枠壁
17c 左側枠壁
17d 右側枠壁
19 シューティング口
29 エアバッグ装置
33 第1ブラケット
35 第2ブラケット
37 第3ブラケット
Claims (1)
- 車幅方向に延びる前側枠壁及び後側枠壁と車体前後方向に延びる左側枠壁及び右側枠壁とを備えかつエアバッグが膨出するシューティング口を有するとともに内部にエアバッグ装置を収納する平面視略矩形の樹脂製枠体が樹脂製インストルメントパネル本体裏面に溶着され、上記シューティング口に対応するように上記インストルメントパネル本体にエアバッグドア部が形成され、車両衝突時に上記エアバッグ装置の作動で上記エアバッグドア部を開くように構成されたエアバッグ装置付インストルメントパネルであって、
上記エアバッグ装置は、フックを介して上記枠体に係止するように該枠体内に収納され、
上記枠体の左側枠壁及び右側枠壁の外側におけるインストルメントパネル本体裏面には、一対の樹脂製第1ブラケットがこれら両枠壁に沿うように溶着され、
上記両第1ブラケットは、第2ブラケットを介してそれぞれ上記エアバッグ装置に結合され、
上記エアバッグ装置は、第3ブラケットを介してインストルメントパネル本体又はインストルメントパネル本体に結合されたインパネ補強部材に結合されていることを特徴とするエアバッグ装置付インストルメントパネル。
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