JP4174327B2 - 互変的色彩記憶性光変色性絵本 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、互変的色彩記憶性光変色性絵本に関する。詳細には、紫外線又は紫外線を含む太陽光の照射により発色して発色状態を維持し、可視光の照射により消色して、消色状態に変位するジアリールエテン系フォトクロミック化合物を含む光変色像を設け、前記光変色像を特定の色彩変換手段の介在により、発色状態と消色状態を互変的に記憶保持させる機能を発現させるよう構成した互変的色彩記憶性光変色性絵本に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、色変化する絵本として、熱変色性材料を利用した熱変色性絵本(例えば、特許文献1)、光変色性材料を利用した光変色性絵本(例えば、特許文献2)が開示されている。
前記熱変色性絵本としては、熱又は冷熱手段(例えば、ヘアドライヤー、風呂の浴温、冷水等)の適用により色変化する絵本が商品化されている。
一方、光変色性絵本は、前記した熱又は冷熱手段を要さず、太陽光の照射により色変化する光変色性材料を利用したものであり、幼児等にあっても、手軽に安心して変色遊びに供することができる利点がある。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−314984号公報
【0004】
【特許文献2】
特公平8−16215号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記従来の光変色性材料を利用した系にあっては、太陽光の照射により変色し、太陽光の当たらない場所に放置すると、自然に可逆的に元の色に戻り、変色前後の色彩の互変的記憶性を有していない。
本発明者らは、光メモリー(色彩記憶性光変色性)に必要とされる熱不可逆性をもつフォトクロミック化合物の諸分野への応用性を検討する過程において、変色前後の色彩を択一的且つ互変的に記憶保持する軽便な方法を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、前記方法を具現化させるために、更に検討を加え、ジアリールエテン系フォトクロミック化合物を光変色材料として適用すると共に、特定の色彩変換手段を特定位置に配置して、前記フォトクロミック化合物の色彩記憶性光変色機能を絵本に効果的に発現させ、発色状態と消色状態を互変的に記憶保持させる、絵本の色彩記憶性光変色機能の互変的発現方法及び互変的色彩記憶性光変色性絵本を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、紫外線又は紫外線を含む太陽光の照射により発色して発色状態を維持し、可視光の照射により消色して消色状態に変位するジアリールエテン系フォトクロミック化合物を含む光変色像を設けた絵本と、紫外線吸収剤及び/又は、少なくとも紫外線を遮蔽する光遮蔽性顔料を含み、太陽光の紫外線をカットし、可視光の照射により前記発色状態にあるフォトクロミック化合物を消色させ、消色状態に変位させて維持するシート状或いはペースト状の色彩変換手段とからなり、前記色彩変換手段を前記光変色像に接触乃至非接触状態に配置して、発色状態と消色状態を互変的に記憶保持させる機能を発現させる互変的色彩記憶性光変色性絵本を要件とする。
更には、色彩変換手段は、紫外線吸収剤及び/又は、少なくとも紫外線を遮蔽する光遮蔽性顔料を熱可塑性プラスチックに一体的にブレンドしたシート状成形体であること、シート状成形体には、内部に型抜き像が配設されてなること、色彩変換手段は、紫外線吸収剤及び/又は、少なくとも紫外線を遮蔽する光遮蔽性顔料を含む、印刷乃至塗布層、印像又は筆記像のいずれかであり、別体のシート材表面に配設されてなること、シート材は、透明プラスチックシートであること、色彩変換手段は、絵本の付属物としてセットされてなること、光変色像には、非光変色性染料又は顔料を併存させてなり、有色(1)と有色(2)の互変的色彩記憶性を有すること等を要件とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
前記における光変色像は、光メモリー性(色彩記憶性光変色性)を有するフォトクロミック化合物を含有するものであり、ジアリールエテン系化合物が用いられる。
前記ジアリールエテン系化合物は、熱不可逆性、繰返し耐久性、長波長域感受性、高感度性等を顕著に向上させた光変色材料であり、絵本への適用性を満たし、特に効果的であり、以下に例示する。
【0008】
ジアリールエテン系フォトクロミック化合物の基本骨格としては一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
【化1】
(式中、環Aは炭化水素環又は複素環を示し、環B及び環Cは置換または非置換のいずれかのベンゼン環、チオフェン環、フラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、ピロール環、セレノフェン環、チアゾール環等のアリール基から選ばれ、環Bと環Cは同一或いは異なる構造であってもよい。また、環A、環B、環Cは置換基の一部に側鎖としてポリマーが結合していてもよい。)
【0009】
前記一般式(1)で示される化合物を具体的に例示すると、
【化2】
(式中、R1は、
【化3】
を示し、
R2は、
【化4】
を示す。
【0010】
【化5】
(式中、R3は、
【化6】
【化7】
を示し、
R4は、
【化8】
【化9】
を示す。
【0011】
前記一般式(2)又は(3)で示される化合物を更に詳しく説明すると、
マレイン酸無水物系化合物としては、
3,4−ビス(1,2−ジメチル−3−インドリル)フラン−2,5−ジオン、
3,4−ジ(2−メチル−3−ベンゾチオフェン)フラン−2,5−ジオン等があげられる。
シクロペンテン系化合物としては、
1−(1,2−ジメチルインドリル)−2−(2−シアノ−3,5−ジメチル−4−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(1,2−ジメチル−3−インドリル)−2−(3−シアノ−2,5−ジメチル−4−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(1,2,−ジメチル−3−インドリル)−2−(2−メチル−3−ベンゾチエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(5−(4−メトキシフェニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(5−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(5−(2−(4−シアノフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−(2−(2−キノリル)−1−エテニル)−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−(2−(4−ピリジル)−1−エテニル)−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−(2−(1−ナフチル)−1−エテニル)−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(5−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2−メチル−4−オクチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(5−(2−(4−t−ブチルフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−(2−(2−ベンゾチアジル)−1−エテニル)−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(6−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−2−(5−(4−(4−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(6−(4−(4−メトキシフェニル)−1,3−ブタジエニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−2−(5−(4−(4−メトキシフェニル)−1,3−ブタジチエニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(6−(4−(4−メトキシフェニル)−1,3−ブタジエニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(6−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(6−(2−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−エテニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−2−(5−(2−(4−シアノフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(6−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−2−(5−(2−(4−シアノフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(6−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−2−(5−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(6−(4−(4−メトキシフェニル)−1,3−ブタジエニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−2−(5−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2,4−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(6−(2−(4−メトキシフェニル)−1−エテニル)−2−メチル−3−ベンゾチエニル)−2−(2,4−ジメチル−(5−(4−(4−メトキシフェニル)−1,3−ブタジエニル))−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(1,2−ジメチル−3−インドリル)−2−(2−シアノ−3−メトキシ−5−メチルチエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン
1,2−ビス(2−メチル−5−フェニル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−フェニル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(5−メチル−2−フェニル−4−チアゾイル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(2−メチルベンゾチオフェン−3−イル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(3−メチル−2−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(3−メチル−2−チエニル)−2−(2−メチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1,2−ビス(5−(4−メチルフェニル)−2−メチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン、
1−(2,4−ジメチル−5−フェニル−3−チエニル)−2−(2−メチル−5−フェニル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン等があげられる。
【0012】
更に、別のジアリールエテン系フォトクロミック化合物の基本骨格としては一般式(4)で示される化合物が挙げられる。
【化10】
(式中、A1及びA2は置換或いは非置換のアルキル基、脂肪酸又は脂肪酸エステル基、シアノ基から選ばれ、環B及び環Cは、置換または非置換のいずれかのベンゼン環、チオフェン環、フラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、ピロール環、セレノフェン環、チアゾール環等からなるアリール基から選ばれ、A1とA2、及び,環Bと環Cは同一或いは異なる構造であってもよい。また、環B、環Cは置換基の一部に側鎖としてポリマーが結合していてもよい。)
【0013】
前記一般式(4)で示される化合物を具体的に例示すると、
【化11】
(式中、R5は、
【化12】
(R6は、
【化13】
を示す。)
【0014】
【化14】
(式中、R7は、
【化15】
(R8は、
【化16】
を示す。)
【0015】
【化17】
(式中、R9はメチル基又はエチル基を示し、R10はメチル基又はエチル基を示し、
R11は、
【化18】
を示し、
R12は、
【化19】
を示す。)
【0016】
前記一般式(3)乃至(5)で示される化合物を更に詳しく説明すると、
2−ブテン系化合物としては、2,3−ジメシチルブテン、2,3−ビス(2,3,5−トリメチル−4−チエニル)−2−ブテン等があげられる。
マレイン酸系化合物としては、2,3−ジ(2−メチルベンゾチエニル)−マレイン酸ジメチル等があげられる。
ジシアノエチレン系化合物としては、1,2−ビス(2,3,5−トリメチル−4−チエニル)−1,2−ジシアノエチレン、1,2−ビス(2−メチル−3−ベンゾチエニル)−1,2−ジシアノエチレン等があげられる。
【0017】
前記ジアリールエテン系フォトクロミック化合物は、そのままの染料形態、前記化合物を含有する樹脂粉粒体、或いは前記化合物をマイクロカプセル中に媒体と共に内包させた、マイクロカプセル形態の顔料として実用に供することができ、従来より汎用のバインダー樹脂、例えば、各種合成樹脂エマルジョン、水溶性乃至油溶性の合成樹脂、その他糊剤等から選ばれる固着剤を含むビヒクル中に配合して、印刷インキ、塗料を調製できる。尚、前記マイクロカプセル形態の顔料は、従来より公知の界面重合法、inSitu重合法、液中界面重合法、スプレードライング法等の適宜の方法により得ることができ、粒子径0.5〜50μm、好ましくは1〜30μm程度のものが、分散性、持久性、加工性の面で有効である。
【0018】
光変色像は、絵本の基体表面に形成した、前記印刷インキや塗料による印刷像又は塗布像を例示できる。
【0019】
又、光変色像は、前記した染料、樹脂粉粒体、或いはマイクロカプセル形態の顔料を熱可塑性樹脂中に一体的にブレンドして成形したシート状、フィラメント状、或いは、任意形象の成形体となし、それを基材に貼着して光変色像となしたものでもよい。
【0020】
前記光変色像の厚みは、3μm〜400μmの範囲、好ましくは、5μm〜300μmが実用的である。
【0021】
前記ジアリールエテン系フォトクロミック化合物は、光変色像中に0.005〜20重量%、好ましくは、0.01〜10重量%の範囲の含有量が実用的であり、玩具性を満たす。
0.005重量%未満では、低発色濃度であり、光変色による視覚効果を満たさない。一方、20重量%以上となしても、含有量に相応する発色濃度効果が得られない。
光変色像中には、非光変色性染料又は顔料を併存させて、発色時と消色時の色彩を多彩に変化させ、視覚効果を更に高めることができる。
【0022】
前記における絵本の基材は、従来より汎用の材料からなり、印刷像が形成できるものであればよく、紙、合成紙、布帛、プラスチックフィルム、プラスチック発泡体等を挙げることができる。
【0023】
前記基材には光変色像を設けて絵本が構成され、紫外線照射具による紫外線照射、或いは紫外線を含む太陽光の照射により発色させ、発色状態を維持させることができる。
【0024】
色彩変換手段は、紫外線吸収剤及び/又は、少なくとも紫外線を遮蔽する光遮蔽性顔料を含み、太陽光の紫外線をカットして、可視光の照射により前記発色状態にあるフォトクロミック化合物を消色させ、消色状態に変位させて維持させるための手段であり、従来より汎用の紫外線吸収剤、光遮蔽性顔料を適用でき、熱可塑性プラスチックに一体的にブレンドして成形した、シート状の成形体を例示できる。更には、紫外線吸収剤及び/又は光遮蔽性顔料をバインダー樹脂に溶解又は分散状態に支持体に固着させた、印刷乃至塗布層(像を含む)、印像又は筆記像等を挙げることができ、具体的には、透明乃至半透明性の、シートを支持体とするものであってもよい。
尚、前記したシートの成形体にあっては、文字、図柄、模様等の像を内部に型抜きし、発色像と消色像との対比による視覚効果を高めることができる。
更には、色彩変換手段として、紫外線吸収剤及び/又は、光遮蔽性顔料を配合したペースト状乃至ジェル等の塑性乃至流動体形態のものであってもよい。
前記において、熱可塑性プラスチックに一体的に紫外線吸収剤を配合する系にあっては、前記プラスチックの重量に対して、0.001重量%以上、好ましくは、0.01重量%以上の紫外線吸収剤を配合することによって、効果的な紫外線のカット効果の役目を果たす。又、バインダー樹脂を含むビヒクル中に紫外線吸収剤を溶解又は分散させたインキにより、固着像を形成させる系にあっては、バインダー樹脂に対して、0.05重量%以上、好ましくは、0.1重量%以上の紫外線吸収剤を配合することによって、効果的な紫外線のカット効果の役目を果たす。
一方、光遮蔽性顔料を配合する系にあっては、前記熱可塑性プラスチック或いはバインダー樹脂に対して、0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%の割合に配合して分散状態に固着させることにより、所期の紫外線カット効果を効果的に果たす。
【0025】
前記紫外線吸収剤としては、
2,4−ヒドロキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、
2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、
2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、
ビス−(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)−メタン、
2−〔2’−ヒドロキシ−3’−5’−ジ−t−アミルフェニル〕−ベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシ−ベンゾフェノン〔商品名:シーソーブ103、シプロ化成(株)製〕、
2−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノン、
2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、
2−〔2’−ヒドロキシ−3’−5’−ジ−t−アミルフェニル〕−ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤。
【0026】
サリチル酸フェニル、
サリチル酸パラ−t−ブチルフェニル、
サリチル酸パラオクチルフェニル、
2−4−ジ−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシベンゾエート、
1−ヒドロキシベンゾエート、
1−ヒドロキシ−3−t−ブチル−ベンゾエート、
1−ヒドロキシ−3−t−オクチルベンゾエート、
レゾルシノールモノベンゾエート等のサリチル酸系紫外線吸収剤。
【0027】
エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、
2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、
2−エチルヘキシル−2−シアノ−3−フェニルシンナート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤。
【0028】
2−〔5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン−PS、チバガイギー社製〕、
2−〔5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール、
2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2Hベンゾトリアゾール、
2−〔3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール、
2−〔3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−〔3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−〔3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン328、チバガイギー社製〕、
メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール分子量300〔商品名:チヌビン1130、チバガイギー社製〕、
2−〔3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、
メチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール分子量300、
2−〔3−t−ブチル−5−プロピルオクチレート−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−〔2−ヒドロキシフェニル−3,5−ジ−(1,1’−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、
2−〔2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、
2−〔3−t−ブチル−5−オクチルオキシカルボニルエチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン384、チバガイギー社製〕、
2−〔2−ヒドロキシ−5−テトラオクチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール、
2−〔2−ヒドロキシ−4−オクトオキシ−フェニル〕−ベンゾトリアゾール、
2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3”4”5”6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤。
【0029】
エタンジアミド−N−(2−エトキシフェニル)−N’−(4−イソドデシルフェニル)、
2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリル−オキシカルボニル)−エチル−7−オキサ−3,20−ジアゾジスピロ(5,1,11,2)ヘンエイコ酸−21−オン等の蓚酸アニリド系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0030】
光遮蔽性顔料としては、粒子径が5〜400μmの金属光沢顔料、或いは、粒子径が1μm以下の透明二酸化チタン、透明酸化鉄、透明酸化セリウム、透明酸化亜鉛等を例示でき、一種又は二種以上を適用できる。
前記金属光沢顔料としては、天然雲母、合成雲母、ガラス、アルミナから選ばれる芯物質の表面を金属酸化物で被覆したものを例示でき、可視光線の選択的干渉作用により生じる虹彩効果、透過効果と、光変色層の可視光線の反射効果の相乗作用により、金属光沢調の色彩変化を視覚させることができる。
前記光遮蔽性顔料を適用した系にあっては、光吸収(或いは光反射)機能と光透過機能の両面性を兼ね備えており、紫外線や可視光線の少なくとも一部を吸収或いは反射し、更に可視光線も視覚を妨げない程度の適量を透過させることができ、光変色層の色彩変化を透視させることができる。
ここで、前記光遮蔽性顔料を含む層の上層又は下層には、紫外線吸収剤を含む層を積層状に配置することができる。更には、光遮蔽性顔料に紫外線吸収剤を適宜の割合で配合して、共存層を形成させることができる。
【0031】
前記色彩変換手段は、絵本の光変色像上に接触乃至非接触状に配置される。具体的には、前記光変色像上に全面を接触させた状態、一部を接触状態、全体が非接触状態、型抜き像の形成箇所を除き接触状態、光変色性絵本の周囲を非接触状態に覆った系等を例示できる。
【0032】
【実施例】
絵本及び色彩変換手段は、下記の実施例の組み合わせに限定されず、相互の互換的な実施例間の組み合わせも有効である。
【0033】
実施例1
互変的色彩記憶性光変色性絵本の作製
絵本を構成する紙面上に、無色から橙色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物A(1−(2−フェニル−5−メチル−4−チアゾイル)−2−(3−メチル−2−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)を公知の界面重合法によりエポキシ樹脂膜で内包させたマイクロカプセル顔料を含むスクリーン印刷インキを用いて「みかん」の絵柄(光変色性印刷像)をスクリーン印刷した。
前記紙面を、紫外線吸収能を有する無色透明のポリエステルフィルムを前記紙面と同一形状に裁断したシート(色彩変換手段)と共に製本し、互変的色彩記憶性光変色性絵本を得た。
【0034】
前記「みかん」の絵柄は、シートが上面に配置された状態では視覚されないが、シートをめくって太陽光を照射すると、太陽光中に含まれる紫外光によって光変色性印刷像が橙色に変色するため、絵柄が現出し、この状態は屋外、室内、暗所のいずれの場所で放置しても変色することなく、その状態を維持していた。
次にシートを再び紙面上に配置して太陽光を照射すると、太陽光に含まれる紫外光はシートにより遮断され、それ以外の光(可視光)が照射されるため、絵柄は徐々に消色して視覚されなくなり、この状態は、屋外、室内、暗所のいずれの場所で放置しても変色することなく、その状態を維持していた。
前記操作を繰り返すことによって、「みかん」の絵柄が視覚される状態と視覚されない状態の互変的色彩記憶性を有し、繰り返し何度も楽しむことができた。
【0035】
実施例2
互変的色彩記憶性光変色性絵本の作製
絵本を構成する紙面の周辺部分に、非変色性インキにより背景の絵柄を印刷し、次いで、中央部分に、無色から青色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物B(1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−フェニル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)を含むスクリーン印刷インキを用いて主人公の少年の絵柄(光変色性印刷像)をスクリーン印刷した。
前記主人公の少年の絵柄近傍に、紫外線吸収能を有する無色透明のポリエステルフィルムをマントの形態に裁断したシート(色彩変換手段)を用いて、該シートの一辺を上質紙に固定し、固定部を支点にしてシートを反転させることにより主人公の少年の絵柄をシートにより被覆したり、或いは、被覆しない構成とした。
前記のようにして得られる紙面を、非変色性インキにより別途印刷した紙面と共に製本し、互変的色彩記憶性光変色性絵本を得た。
【0036】
前記絵本の主人公の少年の絵柄は、シートが上面に配置された状態では、あたかも透明マントを着て姿を隠しているような状態が視覚され、シートをめくって太陽光を照射すると、太陽光中に含まれる紫外光によって光変色性印刷像が青色に変色するため、主人公の少年の絵柄が現出し、あたかも透明マントを脱いで姿を現したような状態が視覚される。この状態は屋外、室内、暗所のいずれの場所で放置しても変色することなく、その状態を維持していた。
次にシートを再び主人公の少年の絵柄上に配置して太陽光を照射すると、太陽光に含まれる紫外光はシートにより遮断され、それ以外の光(可視光)が照射されるため、主人公の少年の絵柄は徐々に消色して視覚されなくなり、あたかも透明マントを着て再び姿を隠したように視覚される。この状態は、屋外、室内、暗所のいずれの場所で放置しても変色することなく、その状態を維持していた。
前記操作を繰り返すことによって、主人公の少年の絵柄が視覚される状態と視覚されない状態の互変的色彩記憶性を有し、繰り返し何度も楽しむことができた。
【0037】
【0038】
【0039】
実施例3
互変的色彩記憶性光変色性絵本の作製
絵本を構成する紙面上に、「かえる」の文字を非変色性インキを用いて印刷し、前記文字を設けていない部分に、無色から緑色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物D(1,2−ビス(2−メチル−6−ニトロ−3−ベンゾチエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)を公知の界面重合法によりエポキシ樹脂膜で内包させたマイクロカプセル顔料を含むスクリーン印刷インキを用いて「かえる」の絵柄(光変色性印刷像)をスクリーン印刷した。
紫外線吸収能を有する無色透明のポリエステルフィルムを長方形に裁断した、前記「かえる」の絵柄を完全に覆うサイズのシート(色彩変換手段)を用いて、該シートの一片をカードの折り曲げ部に固定し、固定部を支点にしてシートを反転させることにより、「かえる」の絵柄をシートにより被覆したり、或いは、被覆しない構成とした。
前記のようにして得られる紙面を、非変色性インキにより別途印刷した紙面と共に製本し、互変的色彩記憶性光変色性絵本を得た。
【0040】
前記「かえる」の絵柄は、シートが上面に配置された状態では視覚されないが、シートをめくって太陽光を照射すると、太陽光中に含まれる紫外光によって光変色性印刷像が緑色に変色するため、絵柄が現出し、この状態は屋外、室内、暗所のいずれの場所で放置しても変色することなく、その状態を維持していた。
次にシートを再び「かえる」の絵柄上に配置して太陽光を照射すると、太陽光に含まれる紫外光はシートにより遮断され、それ以外の光(可視光)が照射されるため、絵柄は徐々に消色して視覚されなくなり、この状態は、屋外、室内、暗所のいずれの場所で放置しても変色することなく、その状態を維持していた。
前記操作を繰り返すことによって、「かえる」の絵柄が視覚される状態と視覚されない状態の互変的色彩記憶性を有し、繰り返し何度も楽しむことができた。
【0041】
実施例4
互変的色彩記憶性光変色性絵本の作製
絵本を構成する紙面上に、桃太郎の絵柄を非変色性インキを用いて印刷し、前記絵柄上に、無色からピンク色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物E(1,2−ビス(5−メチル−2−フェニル−4−チアゾイル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)を樹脂中に分散した顔料を含むスクリーン印刷インキを用いて桃太郎の絵柄の全面を覆う大きさの桃の絵柄(光変色性印刷像)をスクリーン印刷した。
前記紙面を、紫外線吸収能を有する無色透明のポリエステルフィルムを前記紙面と同一形状に裁断したシート(色彩変換手段)と共に製本し、互変的色彩記憶性光変色性絵本を得た。
【0042】
前記桃太郎の絵柄は、シートが上面に配置された状態では視覚されるが、シートをめくって太陽光を照射すると、太陽光中に含まれる紫外光によって光変色性印刷像がピンク色に変色するため、桃の絵柄が現出して桃太郎の絵柄は視認されなくなり、この状態は屋外、室内、暗所のいずれの場所で放置しても変色することなく、その状態を維持していた。
次にシートを再び紙面上に配置して太陽光を照射すると、太陽光に含まれる紫外光はシートにより遮断され、それ以外の光(可視光)が照射されるため、桃の絵柄は徐々に消色して視覚されなくなり、再び桃太郎の絵柄が視覚されるようになる。
この状態は、屋外、室内、暗所のいずれの場所で放置しても変色することなく、その状態を維持していた。
前記操作を繰り返すことによって、桃太郎の絵柄が視覚される状態と、桃の絵柄が視覚される状態の互変的色彩記憶性を有し、繰り返し何度も楽しむことができた。
【0043】
実施例5
互変的色彩記憶性光変色性絵本の作製
絵本を構成する紙面上に、茶色非変色性インキを用いて枯れ木の絵柄を印刷し、前記絵柄の周囲に、無色から橙色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物A(1−(2−フェニル−5−メチル−4−チアゾイル)−2−(3−メチル−2−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)を公知の界面重合法によりエポキシ樹脂膜で内包させたマイクロカプセル顔料を含むスクリーン印刷インキ、無色から赤色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物C(1,2−ビス(2,5−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)を公知の界面重合法によりエポキシ樹脂膜で内包させたマイクロカプセル顔料を含むスクリーン印刷インキ、及び、無色からピンク色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物E(1,2−ビス(5−メチル−2−フェニル−4−チアゾイル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)を公知の界面重合法によりエポキシ樹脂膜で内包させたマイクロカプセル顔料を含むスクリーン印刷インキを用いて花の絵柄(光変色性印刷像)をスクリーン印刷した。
前記紙面を、紫外線吸収能を有する無色透明のポリエステルフィルムを前記紙面と同一形状に裁断したシート(色彩変換手段)と共に製本し、互変的色彩記憶性光変色性絵本を得た。
【0044】
前記花の絵柄は、シートが上面に配置された状態では視覚されず、枯れ木の絵柄が視覚されるのみであるが、シートをめくって太陽光を照射すると、太陽光中に含まれる紫外光によって光変色性印刷像が橙色、赤色、ピンク色に変色するため、花の絵柄が現出し、この状態は屋外、室内、暗所のいずれの場所で放置しても変色することなく、その状態を維持していた。
次にシートを再び紙面上に配置して太陽光を照射すると、太陽光に含まれる紫外光はシートにより遮断され、それ以外の光(可視光)が照射されるため、花の絵柄は徐々に消色して視覚されなくなり、この状態は、屋外、室内、暗所のいずれの場所で放置しても変色することなく、その状態を維持していた。
前記操作を繰り返すことによって、枯れ木の絵柄が視覚される状態と花が咲いた木の絵柄が視覚される状態の互変的色彩記憶性を有し、繰り返し何度も楽しむことができた。
【0045】
実施例6
互変的色彩記憶性光変色性絵本の作製
絵本を構成する紙面上に、無色からピンク色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物C(1,2−ビス(5−メチル−2−フェニル−4−チアゾイル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)を公知の界面重合法によりエポキシ樹脂膜で内包させたマイクロカプセル顔料、及び、蛍光黄色を含むインキを用いて花の絵柄を印刷して光変色性印刷像を形成した。
前記紙面を、紫外線吸収能を有する無色透明のポリエステルフィルムを前記紙面と同一形状に裁断したシート(色彩変換手段)と共に製本し、互変的色彩記憶性光変色性絵本を得た。
【0046】
前記花の絵柄は、シートが上面に配置された状態では蛍光黄色を呈しているが、シートをめくって太陽光を照射すると、太陽光中に含まれる紫外光によって光変色性印刷像が赤色に変色し、この状態は屋外、室内、暗所のいずれの場所で放置しても変色することなく、その状態を維持していた。
次にシートを再び紙面上に配置して太陽光を照射すると、太陽光に含まれる紫外光はシートにより遮断され、それ以外の光(可視光)が照射されるため、絵柄は徐々に変色して蛍光黄色になり、この状態は、屋外、室内、暗所のいずれの場所で放置しても変色することなく、その状態を維持していた。
前記操作を繰り返すことによって、蛍光黄色の花柄が視覚される状態と赤色の花柄が視覚される状態の互変的色彩記憶性を有し、繰り返し何度も楽しむことができた。
【0047】
実施例7
互変的色彩記憶性光変色性絵本の作製
絵本を構成する合成紙面上に、非変色性インキを用いて人の顔の絵柄を印刷し、前記絵柄上に、無色から赤色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物C(1,2−ビス(2,5−ジメチル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)を含むスクリーン印刷インキを用いて斑点模様(光変色性印刷像)をスクリーン印刷した。
前記合成紙を用いて製本し、紫外線吸収剤を含有したペーストを収容した容器と組み合わせて互変的色彩記憶性光変色性絵本を得た。
【0048】
前記絵本は、太陽光を照射すると、太陽光中に含まれる紫外光によって光変色性印刷像が赤色に変色するため、人の顔に赤い斑点状のできものが現出し、この状態は屋外、室内、暗所のいずれの場所で放置しても変色することなく、その状態を維持していた。
次に前記ペーストを人の顔に塗って太陽光を照射すると、太陽光に含まれる紫外光はペーストにより遮断され、それ以外の光(可視光)が照射されるため、赤い斑点状のできものは徐々に消色して視覚されなくなり、この状態は、屋外、室内、暗所のいずれの場所で放置しても変色することなく、その状態を維持していた。
前記操作を繰り返すことによって、健康な人の顔が視覚される状態と、不健康な人の顔が視覚される状態の互変的色彩記憶性を有し、繰り返し何度も楽しむことができた。
【0049】
【0050】
【0051】
実施例8
互変的色彩記憶性光変色性絵本の作製
絵本を構成する紙面に、非変色性インキによりセーターを着た人物と背景の絵柄を印刷し、次いで、セーターの絵柄上に、無色から青色に可逆的に色変化するジアリールエテン系フォトクロミック化合物B(1,2−ビス(2,4−ジメチル−5−フェニル−3−チエニル)−3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテン)を含むスクリーン印刷インキを用いてコートの絵柄(光変色性印刷像)をスクリーン印刷した。
前記紙面を、紙面と同一形状の無色透明のポリエステルフィルム上に、前記人物の絵柄と重複しない位置に非変色性インキにより太陽の絵柄を印刷し、コートの絵柄と重複する部分に紫外線吸収剤を含む透明性インキにより、前記コートの絵柄と同一形状の像を印刷したシート(色彩変換手段)と共に製本し、互変的色彩記憶性光変色性絵本を得た。
【0052】
前記人物の絵柄は、シートが紙面上に配置されていない状態で太陽光を照射すると、太陽光中に含まれる紫外光によって光変色性印刷像が青色に変色するため、コートを着用した状態になり、この状態は屋外、室内、暗所のいずれの場所で放置しても変色することなく、その状態を維持していた。
次にシートを紙面上に配置して太陽光を照射すると、太陽光に含まれる紫外光はシートの紫外線吸収剤を含むインキを塗布した部分で遮断され、それ以外の光(可視光)が照射されるため、コートの絵柄は徐々に消色して視覚されなくなり、非変色性インキにより印刷したセーターの絵柄が視覚されるため、あたかもコートを脱いだように視覚される。この状態は、屋外、室内、暗所のいずれの場所で放置しても変色することなく、その状態を維持していた。
前記操作を繰り返すことによって、人物がコートを着た状態とコートを脱いだ状態の互変的色彩記憶性を有し、繰り返し何度も楽しむことができた。
【0053】
【発明の効果】
本発明の光変色性絵本は、色彩記憶性を有していると共に、特定の色彩変換手段を適用することにより、変色前後の両様相を択一的に記憶保持させることができ、二面性を備えた絵本として商品展開することができる。
しかも、前記色彩変換手段が、軽便且つ安全性を満たすので、幼児等にあっても、安心して実用に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光変色性絵本の光変色像が発色状態(A)と、前記発色状態にある光変色像に色彩変換手段を適用して消色状態に変位させた状態(B)を示す説明図である。
【符号の説明】
1 互変的色彩記憶性光変色性絵本
2 光変色像
3 色彩変換手段
Claims (7)
- 紫外線又は紫外線を含む太陽光の照射により発色して発色状態を維持し、可視光の照射により消色して消色状態に変位するジアリールエテン系フォトクロミック化合物を含む光変色像を設けた絵本と、紫外線吸収剤及び/又は、少なくとも紫外線を遮蔽する光遮蔽性顔料を含み、太陽光の紫外線をカットし、可視光の照射により前記発色状態にあるフォトクロミック化合物を消色させ、消色状態に変位させて維持するシート状或いはペースト状の色彩変換手段とからなり、前記色彩変換手段を前記光変色像に接触乃至非接触状態に配置して、発色状態と消色状態を互変的に記憶保持させる機能を発現させる互変的色彩記憶性光変色性絵本。
- 色彩変換手段は、紫外線吸収剤及び/又は、少なくとも紫外線を遮蔽する光遮蔽性顔料を熱可塑性プラスチックに一体的にブレンドしたシート状成形体である、請求項1記載の互変的色彩記憶性光変色性絵本。
- シート状成形体には、内部に型抜き像が配設されてなる、請求項2記載の互変的色彩記憶性光変色性絵本。
- 色彩変換手段は、紫外線吸収剤及び/又は、少なくとも紫外線を遮蔽する光遮蔽性顔料を含む、印刷乃至塗布層、印像又は筆記像のいずれかであり、別体のシート材表面に配設されてなる請求項1記載の互変的色彩記憶性光変色性絵本。
- シート材は、透明プラスチックシートである、請求項4記載の互変的色彩記憶性光変色性絵本。
- 色彩変換手段は、絵本の付属物としてセットされてなる、請求項1記載の互変的色彩記憶性光変色性絵本。
- 光変色像には、非光変色性染料又は顔料を併存させてなり、有色(1)と有色(2)の互変的色彩記憶性を有する、請求項1記載の互変的色彩記憶性光変色性絵本。
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