JP4172946B2 - 燃料電池用ガスケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、密封装置の一種であるガスケットに係り、更に詳しくは、燃料電池用ガスケットとして用いられるのに適したガスケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池スタックの組付性の向上を目的として、燃料電池部品とガスケットとを一体部品とする方法が検討されており、例えば、金属、樹脂またはカーボン製のセパレータとガスケットとを一体化する方法や、電解質膜とガスケットとを一体化する方法等が検討されている。しかしながら電解質膜はその耐熱温度が100度以下と低いため、直接、金型内で射出成形するのが不可能である。このため粘着剤付き樹脂フィルム上にシールリップを備えた所定の断面形状のガスケットを成形してこれを電解質膜に貼り合わせる方法が考えられており、この場合、ガスケットはこれを粘着剤付き樹脂フィルム上に射出成形する。しかしながらこの方法によると、ガスケットの断面形状が異なるたび、すなわち製品仕様が異なるたびに射出成形用金型を製作する必要があるために、コスト高になると云う不都合がある。
【0003】
また、電解質膜に粘着剤付き樹脂フィルム一体ガスケットを貼り付ける手間を考えると、依然としてゴム単体のガスケットを使用する場合もある。しかしながらこの場合には、従来から指摘されているようにガスケットのハンドリング性(取扱い作業性)が余り良くなく、これを燃料電池スタックにセットするのが容易でない。
【0004】
また、樹脂フィルムの両面にガスケットを成形する場合に、樹脂フィルムに貫通穴を開けて射出成形する方法が検討されている。しかしながらこの方法によると、金型費用や樹脂フィルムの加工等の都合によりコストが高くなる不都合がある。また、簡易的なガスケットを必要とする場合に、樹脂フィルムの両面にゴムシートを射出成形する方法があるが、この方法によると、樹脂フィルムが軟らかく変形し易いものであるため、図4に示すようにゴムシート51,52内の樹脂フィルム53の位置が不安定になる。このためゴムシート51,52の厚さが所々によって異なることになり、反力、面圧または耐久性等の点からして性能が不安定になる不都合がある。また、樹脂フィルムの両面にゴム材料をセットして圧縮成形を行なう場合でも、樹脂フィルムの両面のゴム圧力が均一になることが保障されないため、樹脂フィルムのうねりは解決されない。スクリーン印刷を行なう場合でも、片面にゴムが付いたフィルム上にガスケットを安定良く成形するのは困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、製品仕様ごとに異なる金型を用いることなく燃料電池用ガスケットを製造することが可能であり、かつハンドリング性が良好な燃料電池用ガスケットを提供することを目的とする。
【0006】
またこれに加えて、樹脂フィルムよりなるシート状素材の両面にゴムシートを設ける場合であっても、ゴムシート間に挟まれるシート状素材にうねりが生じることがなく、もってシート状素材の両面に配置されるゴムシートの厚さ寸法の精度が良い燃料電池用ガスケットを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1による燃料電池用ガスケットは、一面に貼着機能を備えた樹脂フィルムよりなるシート状基材および前記シート状基材の他面に射出成形、圧縮成形またはスクリーン印刷により一体成形されたゴムシートを備えた第一部品と、樹脂フィルムよりなる第二シート状基材および前記第二シート状基材の一面に射出成形、圧縮成形またはスクリーン印刷により一体成形された第二ゴムシートを備えた第二部品とを有し、前記シート状基材の一面に前記貼着機能をもって前記第二シート状基材を貼着してなるガスケット素材の打抜き加工により製造され、前記ゴムシートおよび第二ゴムシートとしてはそれぞれゴム材料が選択接着性ゴムであることにより前記樹脂フィルムの表面に接着剤を塗布することなく固定されていることを特徴とするものである。
【0008】
上記構成を備えた本発明の請求項1による燃料電池用ガスケットは、シート状基材およびゴムシートを備えた第一部品と、第二シート状基材および第二ゴムシートを備えた第二部品との組み合わせよりなるものであって、前者の第一部品においてシート状基材の他面にゴムシートが射出成形、圧縮成形またはスクリーン印刷により一体成形されるとともに、後者の第二部品において第二シート状基材の一面に第二ゴムシートが射出成形、圧縮成形またはスクリーン印刷により一体成形されているために、第一および第二部品はそれぞれその製造時にシート状基材とシールリップを備えたガスケットとではなく、シート状基材と平板状のゴムシートまたは第二シート状基材と平板状の第二ゴムシートとが一体化される構造である。したがって製品仕様ごとに異なる金型ではなく、定型化された金型を用いてこれらの部品を製造することが可能となる。また、製造後における素材全体として、ゴムシートの単体ではなくゴムシートおよび第二ゴムシートがシート状基材および第二シート状基材によって支持される構造であるために、素材全体としての剛性を高めることが可能となる。
【0009】
またこれに加えて、第一および第二部品はそれぞれ、その製造時にシート状基材または第二シート状基材の両面ではなく片面のみに対してゴムシートまたは第二ゴムシートが射出成形、圧縮成形またはスクリーン印刷される構造であるために、このときシート状基材または第二シート状基材は金型や作業台等によって硬く支持された状態で成形や印刷が行なわれる。したがって、上記従来技術のようにシート状基材が柔らかなゴム間に挟まれた状態で成形が行なわれることがないために、シート状基材または第二シート状基材にうねりが生じるのを抑えることが可能となる。
【0010】
この本発明の請求項1による燃料電池用ガスケットは、その積層構造としては、樹脂フィルムよりなるシート状基材と、前記シート状基材の一面に塗布された粘着剤と、前記シート状基材の他面に射出成形、圧縮成形またはスクリーン印刷により一体成形されたゴムシートと、前記シート状基材の一面に前記粘着剤を介して貼着された樹脂フィルムよりなる第二シート状基材と、前記第二シート状基材の反対面に射出成形、圧縮成形またはスクリーン印刷により一体成形された第二ゴムシートとを有するのが好適であり、ゴムシートおよび第二ゴムシートはそれぞれその名のとおり、射出成形、圧縮成形またはスクリーン印刷により全面に亙って均一な厚さに成形されることになる。
【0011】
尚、本件出願には、以下の技術的事項が含まれる。
【0012】
すなわち、上記目的を達成するため、本件出願が提案する一のガスケットは以下の内容を備えている。
【0013】
(1) 粘着剤付きフィルムの粘着剤の塗布されていない面にシートガスケットを射出成形、圧縮成形またはスクリーン印刷を用いて成形した粘着剤付き樹脂フィルム一体ゴムシート。
(2) 樹脂フィルム上へのゴムの固定は、ゴム材料として選択接着性ゴムを使用する場合や、樹脂フィルムに前もって接着剤を塗布しゴムを成形時に一体化する方法がある。
(3) 粘着剤付き樹脂フィルム一体ゴムシートをトムソン刃またはウォータージェットでカットして、最終的に必要とされるガスケット形状に加工したガスケット。
【0014】
(4) 簡易的な金型を使用して、粘着剤付き樹脂フィルム上にガスケットをシート状に成形する。この成形は、インジェクションで使用するような高価な金型を必要とせず、簡易的な金型を用いて圧縮成形で行なうことができ、そのため低価格で粘着剤付き樹脂フィルムとガスケットの一体シートが製作可能である。またフィルム上にスクリーン印刷を行なう方法もある。最終的に使用するガスケットの形状には、ウォータージェットやトムソン刃で打ち抜く。トムソン刃で打ち抜く方法が比較的安価である。簡易的な金型とは、ガスケット形状に応じた型ではなく、平面板である下型と上型の間にゴムシートの厚みを決めるスペーサとして枠形の中型を使用するものである。
【0015】
(5) 上記(1)ないし(4)項の実施形態としては、ガスケット製作後に電解質膜等に貼り合わせることができるように、樹脂フィルムの片面に粘着剤を塗布したものを使用する。粘着剤を露出させておくと、その後の作業性が悪いため離型フィルムで保護をする。樹脂フィルムは主に、PET、PEN、PIまたはPEI等が使用される。厚さは50〜500μmである。つぎに、粘着剤付き樹脂の上に射出成形、圧縮成形もしくはスクリーン印刷によってゴムシートを成形する。構成要素は、樹脂フィルム、粘着剤、離型フィルムおよびゴムシートである。ゴムシートの厚さは0.05〜3mm程度が良好である。ゴム材料は、選択接着性ゴムを使用することにより樹脂フィルムの表面に接着剤を塗布することなく固定が可能である。但し、通常のゴムを使用する場合には、予め樹脂フィルムの表面に接着剤を塗布し、成形時にゴムシートを樹脂フィルム上に固定する方法もある。ゴム材料は主に、シリコーンゴム、EPDM、フッ素ゴムまたはブチルゴム等が使用される。粘着剤付き樹脂フィルムゴムシートを製作した後にトムソン刃やウォータージェットを使用して、素材をガスケット形状にカットする。
【0016】
(6) そして、上記(1)ないし(5)項によれば、以下の作用効果を奏することが可能となる。すなわち、通常、フィルム上にガスケットを成形する場合にはインジェクション成形が用いられるが、簡易的なガスケットを成形するのに金型を製作するとコストが高くなる。そこで、フィルム上に射出成形、圧縮成形またはスクリーン印刷でゴムシートを一体成形すれば、高価なインジェクションの金型を使用しないでシートガスケットを製作することができる。最終的なガスケット形状はトムソン刃またはウォータージェット等を使用しカットすることによって得られる。トムソン刃はインジェクションの金型と比較して安価である。
【0017】
(7) 樹脂フィルムの両面にゴムシートを一体化した製品で、両面のゴムシートの製品(4層構造と5層構造を含む)。
(8) 上記のシートを打ち抜いて製作した樹脂フィルム一体両面ガスケット。
(9) 粘着剤が塗布された樹脂フィルムの片面(粘着剤が塗布されていない面)上に、均一な厚みのゴムシートを一体成形する。これとは別に、第二樹脂フィルムの片面に、均一な厚みの第二ゴムシートを一体成形する。ゴムシートと第二ゴムシートを外側にして、樹脂フィルムと第二樹脂フィルムを粘着剤によって貼り合わせる。以上の方法により、五層構造のガスケットを製作する。
(10) 粘着剤が塗布された樹脂フィルムの片面(粘着剤が塗布されていない面)上に、均一な厚みのゴムシートを一体成形する。これとは別に、均一な厚みのゴムシート単体を成形する。樹脂フィルムとゴムシート単体を粘着剤によって貼り合わせる。以上の方法により、四層構造のガスケットを製作する。
【0018】
(11) 上記(7)ないし(10)項の実施形態としては、樹脂フィルムの片面に粘着剤を塗布したものを使用する。粘着剤を露出させておくと、その後の作業性が悪いため、離型フィルムで保護をする。樹脂フィルムは主に、PET、PEN、PIまたはPEI等が使用される。厚さは50〜500μmである。この粘着剤付き樹脂フィルムの上に射出成形、圧縮成形またはスクリーン印刷によってゴムシートを成形する。構成要素は、樹脂フィルム、粘着剤およびゴムシートである。ゴムシートの厚さは0.05〜3mm程度が良好である。ゴム材料は、選択接着性ゴムを使用することによって樹脂フィルムの表面に接着剤を塗布することなく固定が可能である。但し、通常のゴムを使用する場合には、予め樹脂フィルムの表面に接着剤を塗布し、成形時にゴムシートを樹脂フィルム上に固定する方法もある。ゴム材料は主に、シリコーンゴム、EPDM、フッ素ゴムまたはブチルゴム等が使用される。上記の方法で製作した粘着剤付き樹脂フィルムゴムシートの離型フィルムを取り除き、2枚を貼り合わせる。これにより、樹脂フィルムに対して両面にゴムシートが位置する製品が製作される。但し、2枚目の粘着剤付き樹脂フィルムゴムシートには、粘着剤が塗布されていない樹脂フィルム一体ガスケットでも良いし、ゴムシートであっても良い。
【0019】
(12) そして、上記(7)ないし(11)項によれば、以下の作用効果を奏することが可能となる。すなわち、樹脂フィルム一体ゴムシートを粘着剤によって貼り合わせることにより、樹脂フィルム両面ガスケットが完成する。この方法であれば、樹脂フィルムに対して両面のゴムシートの厚さ寸法を精度良く製作することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施例に係るガスケット素材21の平面を示しており、そのC−C線断面図が図2(B)に示されている。また、図3は図2(B)の一部拡大図であり、図2(A)は同ガスケット素材21の製造工程説明図である。
【0022】
当該実施例に係るガスケット素材21は、燃料電池用ガスケットを製造するために用いられるものであって、以下のように構成されている。
【0023】
すなわち、当該ガスケット素材21は、図2に示すように第一部品22および第二部品26の組み合わせによって構成されており、この第一部品22および第二部品26がそれぞれ以下のように構成されている。
【0024】
すなわち先ず、第一部品22においては、シート状基材としての樹脂フィルム23が設けられており、この樹脂フィルム23の一面(図上下面)に粘着剤24が全面に亙って塗布されており、樹脂フィルム23の他面(図上上面)にゴムシート25が射出成形法または圧縮成形法により全面に亙って均一な厚さで一体成形されており、以上の樹脂フィルム23、粘着剤24およびゴムシート25によって三層構造の第一部品22が構成されている。また第二部品26においては、第二シート状基材としての第二樹脂フィルム27が設けられており、この第二樹脂フィルム27の一面(図上下面)に第二ゴムシート28が射出成形法または圧縮成形法により全面に亙って均一な厚さで一体成形されており、以上の第二樹脂フィルム27および第二ゴムシート28によって二層構造の第二部品26が構成されている。そしてこの第一部品22の樹脂フィルム23の一面に粘着剤24の貼着機能をもって第二部品26の第二樹脂フィルム27が一体的に貼り合わされており、以上の樹脂フィルム23、粘着剤24、ゴムシート25、第二樹脂フィルム27および第二ゴムシート28によって五層構造のガスケット素材21が構成されている。樹脂フィルム23および第二樹脂フィルム27はそれぞれ、PET、PEN、PIまたはPEI等よりなるフィルム材によって形成されており、その厚さを50〜500μm程度とされている。またゴムシート25および第二ゴムシート28はそれぞれ、シリコーンゴム、EPDM、フッ素ゴムまたはブチルゴム等によって均一な厚さを備えたシート状に形成されており、その厚さを0.05〜3mm程度とされている。
【0025】
上記構成のガスケット素材21を製造するに際しては、第一部品22および第二部品26をそれぞれ別個に成形し、成形後に両部品22,26を互いに貼り合わせる。
【0026】
すなわち、第一部品22の成形においては、先ず、樹脂フィルム23を適切な大きさに裁断し、ついでこの樹脂フィルム23を金型(図示せず)のキャビティ空間にセットし、ついでその他面にゴムシート25を射出成形法または圧縮成形法により全面に亙って均一な厚さに一体成形する。成形は一般に金型を100〜180度程度に加熱して成形を行なうものであって、本件の場合は130度で2分間加熱する。また圧縮成形における圧縮力は30tonf程度である。樹脂フィルム23に対するゴムシート25の一体化は、ゴムシート25が選択接着性を備えたゴム(シリコーンゴム等)よりなる場合にはその選択接着性を利用し、選択接着性を備えていないゴム(EPDM、フッ素ゴムまたはブチルゴム等)よりなる場合には、予め樹脂フィルム23の他面に接着剤(図示せず)を塗布することによりその接着性を利用する。ついでこの樹脂フィルム23およびゴムシート25よりなる成形品を金型から取り出し、樹脂フィルム23の一面に粘着剤24を塗布する。
【0027】
上記第一部品22の成形と相前後して第二部品26を成形する。すなわち先ず第二樹脂フィルム27を適切な大きさに裁断し、ついでこの第二樹脂フィルム27を金型(図示せず)のキャビティ空間にセットし、ついでその一面に第二ゴムシート28を射出成形法または圧縮成形法により全面に亙って均一な厚さに一体成形する。第二樹脂フィルム27に対する第二ゴムシート28の一体化は、第二ゴムシート28が選択接着性を備えたゴムよりなる場合にはその選択接着性を利用し、選択接着性を備えていないゴムよりなる場合には、予め第二樹脂フィルム27の一面に接着剤(図示せず)を塗布することによりその接着性を利用する。
【0028】
ついで、上記のようにそれぞれ成形した第一部品22および第二部品26を粘着剤24の貼着機能によって互いに貼り合わせる。
【0029】
また、上記構成のガスケット素材21からガスケットを製造するに際しては、トムソン刃(図示せず)を用い、ガスケット素材21を打ち抜き加工する。ガスケットの平面形状には様々なものがあり、よってその平面形状は限定されない。そして、このようにして製造したガスケットは、ゴムシート25または第二ゴムシート28の外面に接着剤(図示せず)を塗布し、この接着剤の接着作用によって電解質膜等の相手材に貼り付けられる。
【0030】
上記構成のガスケット素材21は、上記したように樹脂フィルム23およびゴムシート25を備えた第一部品22と、第二樹脂フィルム27および第二ゴムシート28を備えた第二部品26とを貼着剤24により一体的に貼り合わせたものであって、前者の第一部品22において樹脂フィルム23の他面にゴムシート25が射出成形または圧縮成形法により均一な厚さで一体成形されるとともに、後者の第二部品26において第二樹脂フィルム27の一面に第二ゴムシート28が射出成形または圧縮成形法により均一な厚さで一体成形されているために、この第一部品22および第二部品26はそれぞれこれを簡易構造の金型を用いて製造することが可能である。したがって、上記従来技術のように製品仕様ごとの高価な金型を用いることなく製造されるために、ガスケット素材21の製造を容易化し、かつ素材21の製造コストないし部品コストを低減させることができる。
【0031】
また、製造後における成形品は、樹脂フィルム23および第二樹脂フィルム27の全面に均一な厚さのゴムシート25および第二ゴムシート28が一体化された構造であって、任意の平面形状に打ち抜き加工することができ、よって汎用性に優れたものである。またこの成形品は、ゴムシート25,28のみよりなるものでなく、比較的軟らかなゴムシート25および第二ゴムシート28を比較的硬い樹脂フィルム23および第二樹脂フィルム27によって支持するものであるために、素材21全体の剛性を高めることができ、よって良好なハンドリング性を確保することができる。
【0032】
更にまた、第一部品22および第二部品26の成形時にそれぞれ、樹脂フィルム23または第二樹脂フィルム27はその両面ではなく片面のみに対してゴムシート25または第二ゴムシート28が圧縮成形法により一体化されるため、このとき樹脂フィルム23または第二樹脂フィルム27は金型によって硬く支持された状態で成形が行なわれることになる。したがって、上記従来技術のように樹脂フィルムが柔らかなゴム間に挟まれた状態で成形が行なわれることがないために、樹脂フィルム23または第二樹脂フィルム27にうねりが生じるのを抑えることができ、よって樹脂フィルム23,27の両面に配置されるゴムシート25,28の厚さ寸法をそれぞれ精度良く成形することができる。
【0033】
尚、上記実施例では、射出成形法または圧縮成形法を用いてゴムシート25を樹脂フィルム23に一体成形するとともに第二ゴムシート28を第二樹脂フィルム27に一体成形したが、これに代えてスクリーン印刷法を用いるようにしても良い。また上記実施例では、トムソン刃を用いてガスケット素材21からガスケットを打ち抜き加工したが、これに代えてウォータージェット法を用いるようにしても良い。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0035】
上記構成を備えた本発明の請求項1による燃料電池用ガスケットにおいては、シート状基材およびゴムシートを備えた第一部品ならびに第二シート状基材および第二ゴムシートを備えた第二部品のそれぞれにおいて、製品仕様ごとに異なる金型を用いることなくこれらの部品を製造することができる。ゴムシートおよび第二ゴムシートのゴム材料としてはそれぞれ選択接着性ゴムを使用することによって樹脂フィルムの表面に接着剤を塗布することなく固定が可能である。したがって、ガスケット素材の製造を容易化し、かつ素材のコストを低減させることができる。また、シート状基材および第二シート状基材に均一な厚さのゴムシートおよび第二ゴムシートが一体成形された構造であるために、ガスケット素材はこれを任意の平面形状に打ち抜き加工することができる。したがって、汎用性に優れたガスケット素材を提供することができる。またゴムシートの単体ではなくゴムシートおよび第二ゴムシートをシート状基材および第二シート状基材によって支持する構造であるために、ガスケット素材はその剛性を高めることができる。したがって、良好なハンドリング性を発揮するガスケット素材を提供することができる。
【0036】
またこれに加えて、当該ガスケットによれば、製造時にシート状基材または第二シート状基材にうねりが生じるのを抑えることができ、よってシート状基材の両面に配置されるゴムシートの厚さ寸法をそれぞれ精度良く成形することができる。
【0037】
更にまた、本発明によれば、上記請求項1によるガスケット素材が備える特徴をそのまま備えたガスケット製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係るガスケット素材の平面図
【図2】 同ガスケット素材の断面図であって、(A)はその製造工程説明図、(B)は図1におけるC−C線断面図
【図3】 図2(B)の一部拡大図
【図4】 従来例に係るガスケット素材の断面図
【符号の説明】
21 ガスケット素材
23 樹脂フィルム(シート状基材)
24 粘着剤
25 ゴムシート
22 第一部品
26 第二部品
27 第二樹脂フィルム(第二シート状基材)
28 第二ゴムシート
Claims (1)
- 一面に貼着機能を備えた樹脂フィルムよりなるシート状基材(23)および前記シート状基材(23)の他面に射出成形、圧縮成形またはスクリーン印刷により一体成形されたゴムシート(25)を備えた第一部品(22)と、樹脂フィルムよりなる第二シート状基材(27)および前記第二シート状基材(27)の一面に射出成形、圧縮成形またはスクリーン印刷により一体成形された第二ゴムシート(28)を備えた第二部品(26)とを有し、前記シート状基材(23)の一面に前記貼着機能をもって前記第二シート状基材(27)を貼着してなるガスケット素材(21)の打抜き加工により製造され、
前記ゴムシート(25)および第二ゴムシート(28)としてはそれぞれゴム材料が選択接着性ゴムであることにより前記樹脂フィルムの表面に接着剤を塗布することなく固定されていることを特徴とする燃料電池用ガスケット。
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