JP2020061265A - 膜電極接合体プレートの製造装置 - Google Patents

膜電極接合体プレートの製造装置 Download PDF

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【課題】膜電極接合体とシール部材との接着領域から気泡抜きを完全に行うことができる膜電極接合体プレートの製造装置を提供する。【解決手段】外周部に額縁状に接着剤20が塗布された膜電極接合体10に対して額縁状のシール部材50を接着して膜電極接合体プレート100を製造するのに用いる膜電極接合体プレートの製造装置300であって、膜電極接合体プレートの製造装置300は、接着時に膜電極接合体10に対してシール部材50を押圧する押圧部材40を少なくとも備える。押圧部材40は、膜電極接合体10に塗布された接着剤20に形状に合わせた額縁状の部材であり、角部44を含む全周域においての断面形状が幅方向の中心が最も厚くなった(厚みh)湾曲形状とされている。【選択図】図5

Description

本発明は、膜電極接合体プレートの製造装置に関する。
燃料電池は、複数の燃料電池セルが積層された燃料電池スタックを有している。各燃料電池セルは、膜電極接合体(MEA)と、膜電極接合体を両側から挟持する一対のセパレータとを有する。膜電極接合体は通常矩形状であり、その外周部に額縁状のシール部材が配置され、そのシール部材と一対のセパレータとが接着一体化されることで燃料電池セルとされる。セパレータで挟持する前の、膜電極接合体とシール部材とからなる部材は、膜電極接合体プレートと通称される。
膜電極接合体プレートの製造に当たっては、矩形状である膜電極接合体の外周部に額縁状に接着剤を塗布し、額縁状に塗布された接着剤を利用して、額縁状のシール部材を接着する。接着に当たっては、接着部に気泡が残存するのを回避するために、押圧部材を用いて、シール部材の上から接着剤が塗布された領域を押圧することが行われる。
特許文献1には、膜電極接合体プレートの製造方法の一例が記載されている。そこでは、矩形状の膜電極接合体の外周部に額縁状に接着剤を塗布し、額縁状に塗布された接着剤を利用して額縁状のシール部材を接着する。接着に際し、シール部材における膜電極接合体の外周部に額縁状に塗布された接着剤に対応する開口部の部分を、膜電極接合体に対して傾斜させた姿勢として接着剤と接触させる。その状態でシール部材の上から押圧して、シール部材と膜電極接合体とを接着一体化する。シール部材における少なくとも接着剤に対応する開口部の部分を傾斜させておくことにより、膜電極接合体に塗布された接着剤とシール部材との接触面に気泡が生じるのが抑制される。それにより、燃料電池セルとして作動するときに、作動ガスが接着部を通して外部に漏洩する等の不都合が生じるのを回避することができる。
なお、膜電極接合体は、通常、電解質膜とその両面に形成された触媒層とで構成される。触媒層の電解質膜に面する側とは反対の面にさらにガス拡散層を積層した膜電極接合体も用いられており、膜電極ガス拡散層積層体(MEGA)と称される場合もある。本明細書では、説明を簡素化するために、特に言及しない限り、膜電極接合体の用語は、膜電極接合体および膜電極ガス拡散層積層体の双方を意味するものとして、用いている。
特開2018−120736号公報
本発明者らは、膜電極接合体プレートの製造およびそれを用いた燃料電池セルの製造に多く携わってきているが、燃料電池セルの製造の低コスト化および製造のサイクルタイムの短縮化が求められている今日、特許文献1に記載された製造方法は、シール部材に部分的に傾斜部を形成するステップが含まれることから、サイクルタイム短縮の観点からは、なお改善する余地があることを経験した。また、塗布される接着剤の形状は、常に同じ形状になるとは限らないため、気泡の発生を完全になくすためには、塗布された接着剤の形状にあわせてシール部材の傾斜角度を調整する必要があり、膜電極接合体プレートの製造の高速化の観点から、改善する余地があることを経験した。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、膜電極接合体プレートの製造に際して、接着面からの気泡抜きに要する時間をより短時間とすることができ、それにより、膜電極接合体プレートの製造、ひいては、燃料電池セルの製造を、より高速化することができる膜電極接合体プレートの製造装置を開示することを課題とする。
本発明による膜電極接合体プレートの製造装置は、外周部に額縁状に接着剤が塗布された膜電極接合体に対して前記額縁状に塗布された接着剤を利用して前記膜電極接合体の外周に額縁状のシール部材を接着して膜電極接合体プレートを製造するのに用いる膜電極接合体プレートの製造装置であって、前記膜電極接合体プレートの製造装置は、接着時に前記膜電極接合体に対して前記シール部材を押圧する押圧部材を少なくとも備えており、前記押圧部材は、前記膜電極接合体に塗布された接着剤の形状に合わせた額縁状の部材であり、角部を含む全周域においての断面形状が幅方向の中心が最も厚くなる湾曲形状とされていることを特徴とする。
本発明による膜電極接合体プレートの製造装置では、押圧部材が、角部を含む全周域においての断面形状が幅方向の中心が最も厚くなる湾曲形状とされていることにより、膜電極接合体とシール部材との積層部を単にシール部材の上から押圧するだけで、接着領域からの気泡抜きを完全に行うことができる。それにより、膜電極接合体プレートの製造を高速化が可能となる。
本実施の形態で製造される膜電極接合体プレートの斜視図。 図1のII−II線に沿う断面図。 図1に示す膜電極接合体プレートを用いて作られる燃料電池セルの一例を示す断面図。 膜電極接合体の全体を示す斜視図(図4(a))と図4(a)のb−b線に沿う断面図。 押圧部材の平面図(図5(a))と図5(a)のb−b線、c−c線、d−d線に沿う断面図(図5(b)(c)(d))。 シール部材と押圧部材との位置関係を説明する図。 膜電極接合体プレートの製造工程を示す図。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、実施の形態である膜電極接合体プレートの製造装置300によって製造される膜電極接合体プレート100の斜視図である。膜電極接合体プレート100は、膜電極接合体10とシール部材50とを備える。膜電極接合体10は平面視で矩形状であり、図2に示すように、膜電極接合体本体11と、その両面に積層されたガス拡散層12a、12bとを有する。膜電極接合体本体11は、電解質膜とその両面に形成された触媒層とで構成される。
この例において、図4にも示されるように、下位に位置するガス拡散層12bの平面視での大きさと形状は膜電極接合体本体11の大きさと形状とほぼ同じある。上位に位置するガス拡散層12aは下位に位置するガス拡散層12bよりも小さく、その外周には、膜電極接合体本体11が額縁状に露出している露出部13が存在する。
シール部材50は、図6にも示されるように、膜電極接合体本体11の上位に位置するガス拡散層12aが入り込むことのできる形状と大きさの空所51を中央部に持つ額縁状の平板状部材であり、シール部材50の外周縁部には接着剤層52を有している。膜電極接合体本体11に対してシール部材50が接着一体化されて、膜電極接合体プレート100とされる。
図3に示すように、膜電極接合体プレート100の両面に一対のセパレータ60a、60bが配置されて、燃料電池セル200とされる。図示の燃料電池セル200では、シール部材50の上面外周縁に塗布された接着剤層52によって、上位のセパレータ60aはシール部材50に接着一体化されており、シール部材50の下面外周縁に塗布されている接着剤層52によって、下位セパレータ60bがシール部材50に接着一体化されている。
図4(a)は、膜電極接合体10を上から見た斜視図で示しており、図4(b)は、図4(a)のb−b線に沿う断面図である。膜電極接合体プレート100の製造に際して、膜電極接合体10を構成する膜電極接合体本体11に対してシール部材50を接着一体化する。接着一体化するために、図示のように、膜電極接合体本体11の額縁状に露出している露出部13の上に、額縁状に接着剤20が塗布される。
図1にも示すように、シール部材50は矩形状であり、その中央部に空所51を有している。接着一体化に際しては、その空所51内に、膜電極接合体本体11の上位に位置するガス拡散層12aが入り込む。それにより、シール部材50の空所51近傍の裏面が、膜電極接合体本体11に塗布された接着剤20と接した状態となる。後に説明するように、その上から押圧部材40で押圧することで、両者は確実に接着一体化し、膜電極接合体プレート100とされる。
膜電極接合体プレートの製造装置300は、図7に示すように、膜電極接合体10を載置する基台301と、前記した押圧部材40と、押圧部材40を基台301に向けて押下する、図示しない押下装置を備える。
押圧部材40は、図5(a)に示すように、平面視で額縁状の形状であり、矩形状の枠体41と、矩形状の枠体41で囲まれた空所42とを有する。空所42の大きさと形状は、図6に示すように、シール部材50に形成した空所51の大きさおよび形状とほぼ同じである。枠体41は、互いに直交する4本の直線部43と、隣接する2本の直線部43の交差部である4つの角部44とで構成される。4本の直線部43の横幅W1は等しい。
枠体41の上面側は平坦面である。枠体41の下面側は、図5(b)(c)(d)に示すように、下方に向けて厚みhで膨出する湾曲形状とされている。具体的には、各直線部43の、横幅方向での断面形状は全長にわたって同じ形状であり、好ましくは、図5(b)(c)に示すように、横幅方向の中央部が最も厚く(厚みh)なった(下方に向けて最も膨出した)半円形状である。そして、その頂部は各直線部43の横幅W1の中央部を直線状に走っている。また、4つの各角部44は、直交する2本の直線部43を45度の角度でカットしたもの同士を、90度に組み付けた形状となっている。したがって、図5(d)に示すように、各角部43においても、その幅W2での中央部が最も厚い部位(厚みh)となっている。
膜電極接合体プレート100の製造手順を、図7を参照して説明する。最初に、図7(a)に示すように、基台301の上に、膜電極接合体10を、下位のガス拡散層12bが基台301の側となるようにして載置する。次に、図7(b)に示すように、膜電極接合体本体11の額縁状に露出している露出部13に、額縁状に接着剤20を塗布する。図4は、膜電極接合体10に接着剤20を塗布した後の状態を示している。
接着剤20を塗布した後、図7(c)に示すように、膜電極接合体10の上に、シール部材50を、空所51内に膜電極接合体10の上位のガス拡散層12aが入り込むようにして配置する。配置したシール部材50の上に、さらに、押圧部材40を、その湾曲形状である下面側をシール部材50側として、かつ、シール部材50の空所51と、押圧部材40の空所42とが一致するようにして、配置する。
シール部材50の上に押圧部材40を配置した後、図示しない押下装置を作動して、図7(c)に矢印で示すように、押圧部材40を基台301に向けて押下する。押圧部材40の押下により、シール部材50は接着剤20を押し潰すようにして降下していき、膜電極接合体10と接着一体化して、膜電極接合体プレート100とされる。その状態が、図7(d)および図1に示される。シール部材50の降下時に、接着剤20からの気泡抜きが進行し、接着界面に気泡が存在しない状態での接着一体化が可能となる。
特に、本実施の形態では、押圧部材40は、図5を用いて説明したように、角部44を含む全周域において、その断面形状は、幅(W1、W2)方向の中心が最も厚くなる湾曲形状とされており、額縁状に塗布された接着剤20の全領域において、完全な気泡抜きが進行する。また、平板状であるシール部材50を押圧部材40によって押圧するだけで、両者の接着一体化をすることができるので、特許文献1に記載される方法と比較して、膜電極接合体プレート100の製造を高速化することも可能となる。
[他の実施の形態]
上記の実施の形態では、膜電極接合体10として、膜電極接合体本体11とその両面に積層されたガス拡散層12a、12bとからなるものを示したが、膜電極接合体10はこれに限らない。例えば、膜電極接合体本体11の下面側にのみガス拡散層12bが積層されたものを用いることもできる。この場合には、膜電極接合体本体11の上面側にシール部材50を接着した後、シール部材50の空所42内に、上位のガス拡散層12aを接着配置する処理を行うことで、膜電極接合体プレート100とされる。さらに、両面にガス拡散層12a、12bを備えない膜電極接合体本体11に対して、シール部材50を接着一体化することで、膜電極接合体プレート100とすることもできる。この形態では、必要に応じて、膜電極接合体プレート100を構成する膜電極接合体本体11の両面に、後処理としてガス拡散層12a、12bを配置する処理が行われる。
300…膜電極接合体プレートの製造装置、
301…膜電極接合体プレート製造装置の基台、
200…燃料電池セル、
100…膜電極接合体プレート、
10…膜電極接合体、
11…膜電極接合体本体、
12a、12b…ガス拡散層、
13…膜電極接合体本体の額縁状の露出部、
20…接着剤、
40…押圧部材、
41…矩形状の枠体、
42…押圧部材の空所、
43…枠体の直線部、
44…枠体の交差部である角部、
50…シール部材、
51…シール部材の空所、
52…接着剤層、
60a、60b…セパレータ。

Claims (1)

  1. 外周部に額縁状に接着剤が塗布された膜電極接合体に対して前記額縁状に塗布された接着剤を利用して前記膜電極接合体の外周に額縁状のシール部材を接着して膜電極接合体プレートを製造するのに用いる膜電極接合体プレートの製造装置であって、
    前記膜電極接合体プレートの製造装置は、接着時に前記膜電極接合体に対して前記シール部材を押圧する押圧部材を少なくとも備えており、前記押圧部材は、前記膜電極接合体に塗布された接着剤の形状に合わせた額縁状の部材であり、角部を含む全周域においての断面形状が幅方向の中心が最も厚くなる湾曲形状とされていることを特徴とする膜電極接合体プレートの製造装置。
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