JP4172544B2 - 疲労試験機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、疲労試験機に係り、例えば、超高サイクル域データ取得用の油圧サーボ疲労試験機等に利用できる。
【0002】
【背景技術】
機械構造物の破損の7〜8割以上は疲労が原因とされており、疲労に対する対策は機械技術者にとって最も切実な課題の一つである。一般に、鉄鋼材料のS−N曲線には106〜107程度の繰返し数で水平部、すなわち疲労限度が現れる。そして、航空機や原子力機器等の一定期間での修理や部品交換が前提となる場合を除き、一般の機械では疲労限度を基準とした設計が行われている。
【0003】
しかし、近年、高強度鋼や表面硬化鋼等において、107〜108以上の長寿命域でもS−N曲線に水平部が現れず、疲労限度が認められない現象が報告されるようになってきた。この現象は超高サイクル疲労、あるいは超長寿命疲労と呼ばれ、現在、その機構解明を目指して活発な研究がなされている。
【0004】
このような超高サイクル疲労を対象とする試験機には、繰返し速度、荷重精度、荷重安定性、偏荷重の除去等において、従来の疲労試験機に比べ、高い性能が要求される。そこで、本願出願人により、DSP(Digital Signal Processor)コントローラを用いたデジタル制御を行って油圧サーボ機構を操作することにより、荷重精度、荷重安定性、操作性を高めた軸荷重疲労試験機が開発されている(特許文献1参照)。この軸荷重疲労試験機では、試験機本体構成部品の一体化を進めて高剛性化を図り、系の固有振動数を高くすることで、高応答性を確保し、超高サイクル域のデータの多数取得を実現している。また、試験片取付部に球状ベアリング(球面軸受)が組み込まれ、試験片に引張荷重が負荷される際に自動調芯が行われるようになっている。さらに、DSPコントローラには、コンピュータが接続され、このコンピュータの画面上で、試験中の実測値の表示や制御パラメータの入力を行うことができるようになっている。
【0005】
この他に、デジタル制御を行う油圧式の疲労試験機としては、例えば、制御対象出力量の値が複数の所定レベルの各々に達する都度に、データサンプリングを行うようにした低サイクル疲労試験機等がある(特許文献2等参照)。この低サイクル疲労試験機では、制御対象出力量の反復変化の一周期当たりのデータポイントの個数を、その反復変化の周期の長短に影響されることなく、適正個数に近づけることができる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−243606号公報(図1、図3、段落[0061]〜[0063]、[0068]、[0074]〜[0076])
【特許文献2】
特開2000−131203号公報(図1、図7、段落[0007]〜[00011]、[0026]、[0040])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、疲労試験機は、様々な外乱の影響を受けるため、増幅率を一定値とすると荷重信号が目標値信号に追従しない場合がある。このような場合には、荷重信号の最大値および最小値をリアルタイムでモニタし、このモニタ結果と目標値信号とのずれ量から最適な増幅率補正量および零点補正量を計算し、この計算結果に基づき、増幅率および零点を補正するという外乱に対する修正動作が行われる。このような比例制御は、外乱等があってもそれに適応して増幅率および零点を時々刻々と変化させることから、適応比例制御と呼ばれることがあり、前述した特許文献1に記載された疲労試験機でも、この適応比例制御が行われている。
【0008】
しかし、このような適応比例制御を行った場合でも、荷重信号が目標値信号にある程度収束すると、それ以上収束しなくなる場合があるため、この問題を解消し、より一層収束の度合いを高めて試験精度を向上させることが望まれる。
【0009】
また、前述した特許文献2には、増幅率の自動的な制御を行うAGC(Auto Gain Control)方式は、制御の実行中に、あるサイクルで実際に発生した制御対象出力量の振幅に基づき、その次のサイクルに用いる目標値信号の振幅の大きさを修正する方式であるため、最初の1サイクルから高精度な制御を行うことはできないので、試験片の応力−ひずみ曲線のヒステリシスカーブの面積が比較的大きい低サイクル疲労試験への適用は困難である旨が記載されている。従って、前述した特許文献2に記載された低サイクル疲労試験機は、そもそもAGC方式の制御を行っていないので、上記のような問題を解消するものではない。
【0010】
さらに、前述した特許文献1に記載された疲労試験機では、DSPコントローラに接続されたコンピュータの画面上で、試験中の実測値(例えば、試験片に負荷されている荷重や、その最大値、最小値、関数発生器の信号の値等)の表示が行われているが、これらの表示は、荷重値や電圧値としての表示であり、実験者が必要とする応力表示ではない。従って、実験者は、試験片直径をもとに、計算を行って応力を把握しなければならなかった。また、制御パラメータの入力も、応力値で入力することはできず、試験片直径をもとに、制御すべき荷重や電圧の値を計算して制御パラメータとして入力する必要があった。さらに、誤認識や誤入力があれば、試験精度向上の妨げにもなる。このため、試験機の操作性や使い勝手を向上させ、実験者の操作の手間や判断の手間を軽減し、より確実に試験精度の向上を図ることができる環境を作り出すことが望まれる。
【0011】
ところで、超高サイクル疲労研究において対象となる高強度材料の疲労破壊は、低・中強度材料の疲労破壊に比べ、表面傷や表面に存在する介在物の応力集中に敏感である。もし、試験片に偏荷重が作用すると、本来なら内部破壊するものでも表面破壊を生じることがある。このような場合、試験結果の信頼性が著しく低下するおそれがあるので、試験片の芯合わせに細心の注意が必要であり、また、これを回避すべく調芯作業の簡略化(アライメントフリー)を図るのであれば、超高サイクル疲労研究に用いる試験機および試験片には偏荷重を防止する機構等が求められる。そこで、前述した特許文献1に記載された疲労試験機では、試験片取付部に球状ベアリングを組み込み、試験片に引張荷重が負荷される際に自動調芯が行われるようにすることで、アライメントフリーを実現している。
【0012】
しかし、このように球状ベアリングを組み込んだ場合には、試験条件が、引張荷重のみが負荷される疲労試験(引張−引張疲労試験)に限られ、圧縮負荷を伴う疲労試験を行うことができない。疲労研究では応力比(最小応力/最大応力)が−1となる引張−圧縮疲労試験が基本データとなるため、超高サイクル疲労研究に用いる軸荷重疲労試験機は、アライメントフリー機能を有し、かつ、引張−圧縮荷重の負荷が可能である機構を備えていることが求められる。一方、このような機構が無い場合に高精度のデータを得るためには、偏荷重防止のために、試験片にひずみゲージを貼って調芯作業を行う必要がある。しかし、この調芯作業は、一回の試験毎に行う必要があり、膨大な時間と労力を費やす。このため、アライメントフリーを実現しつつ偏荷重防止を図ることで、試験精度を向上させることが望まれる。
【0013】
本発明の目的は、試験精度を向上させることができる疲労試験機を提供するところにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、試験片を取り付ける試験片取付部および試験片に荷重を負荷するアクチュエータ部を有する本体と、試験片に負荷される荷重に応じた検出信号をフィードバックしてアクチュエータ部の動作を制御するための制御信号を本体に送るフィードバック制御を行う制御手段とを備えた疲労試験機において、制御手段は、フィードバック制御をデジタル処理で行うデジタルコントローラを備えて構成され、このデジタルコントローラは、検出信号と目標値信号との偏差量に応じた制御信号を発生する制御信号発生手段と、検出信号の波形と目標値信号の波形とを比較してこの比較結果に基づき制御信号の発生処理に用いられる増幅率および零点の補正に関する計算処理を行う増幅率補正/零点補正計算手段と、この増幅率補正/零点補正計算手段による計算結果に基づき増幅率の補正処理を行う増幅率補正手段と、増幅率補正/零点補正計算手段による計算結果に基づき零点の補正処理を行う零点補正手段とを含んで構成され、増幅率補正/零点補正計算手段は、検出信号の目標値信号への収束度に応じて増幅率の補正に関する計算処理のアルゴリズムを段階的に切り替える構成とされていることを特徴とするものである。
【0015】
ここで、「増幅率および零点の補正に関する計算処理」には、増幅率や零点の元の値(補正前の値)に対して増減する分の量を計算する処理、および補正後の零点や増幅率の値そのもの(修正値そのもの)を計算する処理のいずれも含まれる。
【0016】
また、「アルゴリズムを段階的に切り替える構成」には、2つのアルゴリズムを切り替える構成、および3つ以上のアルゴリズムを切り替える構成のいずれも含まれる。この際の切替は、一回切り替えたら元のアルゴリズムに戻ることはない一方通行の切替、および一回切り替えても再び元のアルゴリズムに戻ることがあり得る相互方向通行の切替のいずれも含まれる。
【0017】
さらに、「アルゴリズム」を「切り替える」ことには、例えば、以下のようなことが含まれる。すなわち、(1)計算処理に使用される数式の形態そのものを切り替えることが含まれる。例えば、1次関数から2次関数への変更、べき乗数の変更、加算項から減算項への変更またはその逆の変更、項数の変更等である。(2)計算処理に使用される数式に含まれる係数や定数の値を切り替えることが含まれる。例えば、0.1%を乗じていた処理を、0.05%を乗じる処理に変更する等である。(3)計算処理に使用されるデータやデータ群を切り替えることが含まれる。(4)選択処理(例えばIF文等の処理)や分岐処理(例えばCASE文等の処理)の構造を切り替えることが含まれる。例えば、プログラム内における選択処理の順序や位置の変更、分岐数の増減、選択処理や分岐処理の重層度合いの変更等である。(5)全く異種のアルゴリズムへ切り替えることが含まれる。例えば、数式を用いた計算処理を行うアルゴリズムから、データの選択処理を行うアルゴリズムへの切替、あるいは数式を用いた計算処理を行うアルゴリズムから、異なる処理内容のルーチン(例えば、異なる数式を用いるルーチン、異なるデータを用いるルーチン等)の選択処理を行うアルゴリズムへの切替等である。
【0018】
このような本発明の疲労試験機においては、増幅率補正/零点補正計算手段により、検出信号の波形と目標値信号の波形とを比較してこの比較結果に基づき増幅率および零点の補正に関する計算処理を行う際に、検出信号の目標値信号への収束度に応じ、増幅率の補正に関する計算処理のアルゴリズムを段階的に切り替える。
【0019】
このため、検出信号が目標値信号にある程度収束したときに、増幅率の補正に関するアルゴリズムを切り替えることにより、収束が頭打ちになる状態を回避し、検出信号の目標値信号への収束度を高めることが可能となる。従って、試験精度の向上が図られ、これにより前記目的が達成される。
【0020】
また、前述した疲労試験機において、増幅率補正/零点補正計算手段は、検出信号の目標値信号への収束度に応じて零点の補正に関する計算処理のアルゴリズムを段階的に切り替える構成とされていることが望ましい。
【0021】
このように零点の補正に関する計算処理のアルゴリズムを段階的に切り替える構成とした場合には、増幅率のみならず、零点の補正に関する計算処理についても、アルゴリズムが切り替えられるので、検出信号の目標値信号への収束度をより一層高め、試験精度をより一層向上させることが可能となる。
【0022】
さらに、以上に述べた疲労試験機において、増幅率補正/零点補正計算手段は、周期的に変化する検出信号の波形と、周期的に変化する目標値信号の波形とを波形一周期毎に比較し、この比較結果として得られた双方の波形のずれ量に基づき増幅率および零点の補正に関する計算処理を波形一周期毎に行うとともに、この計算処理を行う際にアルゴリズムを切り替えるか否かを波形一周期毎に判断する構成とされていることが望ましい。
【0023】
このようにアルゴリズムを切り替えるか否かの判断を波形一周期毎に行う構成とした場合には、適切なタイミングでアルゴリズムの切替を行うことが可能となり、収束の速度が上がり、試験精度のより一層の向上が図られる。
【0024】
なお、本願明細書では、以上に述べた増幅率や零点の補正に関する計算処理のアルゴリズムを段階的に切り替える処理を伴う制御を、多段適応比例制御(MAP:Multimode Adaptive Proportional Control)と呼ぶものとする。このような多段適応比例制御は、本発明の疲労試験機だけではなく、他の制御対象装置にも適用することができる。すなわち、制御対象装置(疲労試験機の本体に相当するもの。)からの出力信号(試験片に負荷される荷重に応じた検出信号に相当するもの。)をフィードバックして制御対象装置を制御するための制御信号を制御対象装置に送るフィードバック制御を行うシステムを実現するにあたり、フィードバック制御をデジタル処理で行うデジタルコントローラを設け、このデジタルコントローラを、出力信号と目標値信号との偏差量に応じた制御信号を発生する制御信号発生手段と、出力信号の波形と目標値信号の波形とを比較してこの比較結果に基づき制御信号の発生処理に用いられる増幅率および零点の補正に関する計算処理を行う増幅率補正/零点補正計算手段と、この増幅率補正/零点補正計算手段による計算結果に基づき増幅率の補正処理を行う増幅率補正手段と、増幅率補正/零点補正計算手段による計算結果に基づき零点の補正処理を行う零点補正手段とを含む構成とし、増幅率補正/零点補正計算手段を、出力信号の目標値信号への収束度に応じて増幅率の補正に関する計算処理のアルゴリズムを段階的に切り替える構成としてもよい。また、増幅率に加え、零点の補正に関する計算処理のアルゴリズムを段階的に切り替える構成としてもよい。
【0025】
そして、本発明は、試験片を取り付ける試験片取付部および試験片に荷重を負荷するアクチュエータ部を有する本体と、試験片に負荷される荷重に応じた検出信号をフィードバックしてアクチュエータ部の動作を制御するための制御信号を本体に送るフィードバック制御を行う制御手段とを備えた疲労試験機において、制御手段は、フィードバック制御をデジタル処理で行うデジタルコントローラと、このデジタルコントローラに接続されてデジタルコントローラとの間で情報の送受信を行うことによりフィードバック制御に関する処理以外の処理を行う外部処理装置とを備えて構成され、外部処理装置は、試験中以外の状態でアクチュエータ部を動作させる場合に使用する待機中画面を表示する処理およびこの待機中画面を用いて行われる実験者によるアクチュエータ部に対する操作入力を受け付ける処理を行う待機中画面表示・入力受付処理手段と、試験条件を設定するための試験条件設定画面を表示する処理およびこの試験条件設定画面を用いて行われる実験者による試験条件の設定入力を受け付ける処理を行う試験条件設定画面表示・入力受付処理手段と、試験中に試験状況をモニタする試験中画面を表示する処理およびこの試験中画面を用いて行われる実験者による入力を受け付ける処理を行う試験中画面表示・入力受付処理手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0026】
ここで、「フィードバック制御に関する処理」には、フィードバックのメインループの処理の他に、例えば、前述した増幅率および零点の補正に関する計算処理、並びに増幅率および零点の補正処理等が含まれる。
【0027】
このような本発明の疲労試験機においては、デジタルコントローラとは別途に設けられた外部処理装置により、待機中画面、試験条件設定画面、試験中画面の3つの画面の表示処理およびこれらの画面を用いた入力の受付処理を行う。従って、試験機操作の各状況毎に、つまり試験の準備段階から本番段階に至るまでの各場面毎に、これらの画面が切り替わる。
【0028】
このため、実験者は、試験およびその準備の各場面において、3つの画面のいずれかを参照しながら、各場面で必要となる情報の表示のみを確認し、また、各場面で必要となる入力作業のみを行う。従って、実験者は、試験およびその準備の各場面で必要最低限の操作を行えばよくなり、余分な操作を行ったり、余分な情報を参照して余分な事を考える余地を排除することが可能となるので、操作性の向上が図られる。そして、操作性の向上が図られることから、誤認識や誤操作等の発生も回避または抑制されるので、試験精度の向上にも繋がる。
【0029】
なお、待機中画面表示・入力受付処理手段、試験条件設定画面表示・入力受付処理手段、および試験中画面表示・入力受付処理手段に加え、ある操作を実行中に、行ってはならない操作または行うべきでない操作を強制的に無効にする相反操作強制無効手段、あるいは実験者により入力されるパラメータ(試験条件等)が異常か否かを監査する入力パラメータ監査手段を設けてもよく、これらを設けることで、誤操作が防止されるので、試験精度のより一層の向上に繋がる。
【0030】
また、待機中画面表示・入力受付処理手段、試験条件設定画面表示・入力受付処理手段、および試験中画面表示・入力受付処理手段は、全て外部処理装置に設けられ、デジタルコントローラは、これらの手段により行われる3つの画面の表示処理や3つの画面での入力受付処理を負担しない。すなわち、実験者と試験機との間のマンマシンインターフェースの機能は、全て外部処理装置により実現し、デジタルコントローラは、制御性能に直接関係する演算処理のみを負担する。このため、デジタルコントローラの処理負担が軽減され、応答性や荷重精度、外乱に対する収束性等の制御性能に直接関係する演算処理の速度が向上するので、この点でも試験精度の向上が図られ、これらにより前記目的が達成される。
【0031】
また、前述した疲労試験機において、試験条件設定画面表示・入力受付処理手段は、試験条件設定画面で試験条件として、最大応力および最小応力の組合せ、最大応力および応力比の組合せ、最小応力および応力比の組合せのうちのいずれかの組合せ、並びに試験片直径の入力を受け付ける構成とされ、試験中画面表示・入力受付処理手段は、試験中画面で試験状況として、応力のグラフ表示を行う構成とされていることが望ましい。
【0032】
このように試験条件設定画面での応力・応力比・試験片直径による入力受付、および試験中画面での応力のグラフ表示を行う構成とした場合には、実験者は、応力・応力比・試験片直径という普段使用するパラメータのみを使用すればよくなるので、試験機の操作性が向上する。また、試験中画面での応力表示がグラフ化されているので、実験者は、直感的に試験状況を把握することが可能となり、試験機の操作性がより一層向上する。このため、疲労試験機や制御の知識がない実験者でも容易に疲労試験を行うことが可能となる。
【0033】
なお、以上に述べた外部処理装置として、コンピュータを機能させるためのプログラムは、以下に示すように、プログラムそれ自体でも流通対象や取引対象となる。すなわち、以上に述べた外部処理装置として、コンピュータを機能させるためのプログラムまたはその一部は、例えば、光磁気ディスク(MO)、コンパクトディスク(CD)を利用した読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)を利用した読出し専用メモリ(DVD−ROM)、DVDを利用したランダム・アクセス・メモリ(DVD−RAM)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去および書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等の記録媒体に記録して保存や流通等させることが可能であるとともに、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等の有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにはこれらの組合せ等の伝送媒体を用いて伝送することが可能であり、また、搬送波に載せて搬送することも可能である。さらに、以上に述べたプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。
【0034】
また、本発明は、試験片に荷重を負荷するアクチュエータ部と、このアクチュエータ部による荷重方向に沿う方向に配置される状態で試験片を取り付ける試験片取付部とを備え、試験片取付部には、試験片の両側の端部をそれぞれ掴む掴み部が設けられ、これらの各掴み部には、試験片の両側の端面がそれぞれ当接される試験片当接面が形成されている疲労試験機において、試験片の両側の端面は、平行度0.01を満たし、かつ、試験機本体構成部品の各面のうち、対向する各掴み部の試験片当接面同士の平行度を規定する役割を果たす各面も、全て平行度0.01を満たす状態で仕上げられているとともに、試験片を試験片取付部に取り付けた状態で、試験片の各端部の外周面と各掴み部との間に隙間が形成される構成とされていることを特徴とするものである。
【0035】
ここで、「平行度」とは、製図学上の平行度(製作図面に記載する平行度)であり、平面部分の基準平面に対する平行度である。「平行度0.01」は、基準平面にそれぞれ平行で0.01mmの間隔を持つ二つの平面の間の空間を許容域にするという意味である。基準平面は、例えば、各部品の反対側の面等とすればよい。
【0036】
また、「対向する各掴み部の試験片当接面同士の平行度を規定する役割を果たす各面」とは、複数の試験機本体構成部品を組み立てて試験機本体を構成するときに、結果的に、各掴み部の試験片当接面同士の相対姿勢に影響を及ぼすことになる面をいう。
【0037】
このように試験片および試験機本体構成部品の各面の平行度を向上させ、かつ、試験片の端部と掴み部とのはめ合いを緩めにした場合には、平行度を向上させたことから、偏荷重の発生が抑えられ、また、緩めのはめ合いであることから、試験片に側面(試験片の端部の外周面)からの拘束力が加わらないようになり、偏荷重の発生を抑えることが可能となる。このため、試験精度の向上が図られる。さらに、通常、はめ合いを緩くすると、疲労試験中に試験片の横ずれが懸念されるが、試験片および試験機本体構成部品の各面の平行度を向上させているので、試験片には横ずれを生じさせる力が加わらない。
【0038】
さらに、前述した疲労試験機において、試験本番で用いる試験片の各端部の外周面と各掴み部とのはめ合いの隙間は、試験前に行う調芯作業で用いる調芯用ダミー試験片の各端部の外周面と各掴み部とのはめ合いの隙間よりも大きいことが望ましい。
【0039】
このように試験本番で用いる試験片よりも大きい端部を有する調芯用ダミー試験片を用いて調芯作業を行うことができる構成とした場合には、試験前に調芯用ダミー試験片を用いて調芯作業を行った後に、調芯用ダミー試験片を取り除き、試験本番で用いる試験片を取り付ける。これにより、調芯作業を精度よく行うことが可能になることに加え、前述した緩めのはめ合いも容易に実現可能となる。また、調芯用ダミー試験片による調芯作業を一回行えば、そのままの状態で複数の試験を行うことが可能であり、実験者の作業の手間が軽減される。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1には、本実施形態の疲労試験機10の全体構成が示されている。また、図2は、疲労試験機10の本体11を構成する試験片取付部20の断面図であり、図3は、試験片取付部20の要部の拡大断面図である。さらに、図4〜図6には、疲労試験機10の制御手段60を構成する外部処理装置90による処理に伴う画面例が示されている。この疲労試験機10は、超高サイクル域データを取得するための疲労試験機である。
【0041】
図1において、疲労試験機10は、試験片1を取り付けてこの試験片1に荷重を負荷する本体11と、この本体11における荷重の負荷のための動作を制御する制御手段60とを備えて構成されている。
【0042】
本体11は、試験片1を取り付ける試験片取付部20と、試験片1に荷重を負荷するアクチュエータ部40と、このアクチュエータ部40に供給する油圧の切換操作を行うサーボバルブ50とを備えて構成されている。
【0043】
図2において、試験片取付部20は、試験片1の上側の端部1Aに複数の部品を介して接続されて試験片1にかかる負荷を検出するロードセル21と、このロードセル21のひずみを検出するひずみ計22と、ロードセル21を保持するロードセルホルダ23と、試験片1の上側の端部1Aを掴む上側(ロードセル21側)の掴み部24と、試験片1の下側の端部1Bを掴む下側(ピストン41側)の掴み部25とを含み構成されている。
【0044】
ロードセル21は、複数本のボルト26によりロードセルホルダ23の上面23Aに固定されている。ロードセル21は、試験片1から力を受けて微小変形し、そのときの歪みがひずみ計22により検出され、これにより試験片1にかかる負荷が検出されるようになっている。
【0045】
ロードセルホルダ23は、図示されない複数本のボルトによりアクチュエータ部40のシリンダ42の上面42Aに固定されている。このロードセルホルダ23は、上下のフランジ部を複数本(例えば2本)の支柱部により連結した構成を有し、例えば一塊の金属材料により形成されている。
【0046】
上側の掴み部24には、上方に向かって延びる丸棒状の軸部27が設けられ、この軸部27の上部には、雄ねじ28が切られている。軸部27とロードセル21との間には、ブッシュ29が挟み込まれ、これにより荷重方向(図2中の上下方向)と直交する方向についての上側の掴み部24とロードセル21との相対的な位置決めが行われている。また、軸部27の雄ねじ28には、ロックナット30が螺合され、このロックナット30を締め込むことにより、荷重方向についての上側の掴み部24のロードセル21に対する相対的な位置が固定されるようになっている。
【0047】
下側の掴み部25は、アクチュエータ部40の第一ピストンロッド41Bの先端に設けられたピストン用ねじ41Dに螺合されて第一ピストンロッド41Bに固定されている。これにより試験片1に対し、アクチュエータ部40のピストン41の進退運動による荷重が負荷されるようになっている。
【0048】
図2および図3において、試験片1の上下の端部1A,1Bを掴む各掴み部24,25は、試験片1の上下の端部1A,1Bを挿入する例えば円形状の挿入穴31,32が形成された試験片ホルダ24A,25Aと、複数本のボルト33,34の締め込みにより各挿入穴31,32に挿入された試験片1の上下の端部1A,1Bを押さえ付けて固定する試験片固定蓋24B,25Bとを備えて構成されている。各試験片固定蓋24B,25Bは、中央に試験片1を挿通する貫通孔を備えた円盤形状、すなわちドーナツ形状を有し、例えば、それぞれ二分割され、互いに線対称に配置される略半円形の蓋片により構成されている。
【0049】
また、各試験片固定蓋24B,25Bは、それぞれ二分割ではなく、それぞれ三分割等としてもよい。例えば、三分割とする場合には、120度ずつに分割して略扇形の蓋片とし、これらの各々の蓋片をそれぞれ2本のボルト33,34を用いて各試験片ホルダ24A,25Aに固定する。つまり、試験片固定蓋24Bを合計6本のボルト33で固定し、試験片固定蓋25Bを合計6本のボルト34で固定する。これにより、同じ合計6本のボルト33,34で固定するにしても、二分割の場合に比べて三分割の方が、試験片1の各端部1A,1Bへの荷重のかかり方が均等になる。従って、試験片1にとっては、二分割の試験片固定蓋24B,25Bよりも、三分割の試験片固定蓋24B,25Bを使用した方が、無理のない負荷が可能となる。但し、二分割の方が、取付けが容易であるという利点もある。このため、例えば長寿命域で試験片1の上下の端部1A,1Bと各試験片固定蓋24B,25Bとの接触部から疲労破壊してしまう可能性のある材料については、三分割の試験片固定蓋24B,25Bを使用し、例えば高強度鋼等のように上記のような破壊が生じない材料については、二分割の試験片固定蓋24B,25Bを使用する等により、試験片1の材料に応じ、分割数の異なる試験片固定蓋24B,25Bを使用するようにしてもよい。
【0050】
図3において、試験片ホルダ24A,25Aに形成された挿入穴31,32の底面は、試験片1の上下の端面1C,1Dがそれぞれ当接される試験片当接面31A,32Aとなっている。また、試験片1を試験片取付部20に取り付けた状態では、試験片1の上下の端部1A,1Bの外周面1E,1Fと、上下の掴み部24,25の試験片ホルダ24A,25Aに形成された挿入穴31,32の内周面(側面)31B,32Bとの間に、隙間35,36がそれぞれ形成されるようになっている。
【0051】
また、図3において、試験前に行う調芯作業で用いる調芯用ダミー試験片の上下の端部2A,2Bが、図中二点鎖線で示されている。この調芯用ダミー試験片は、上下の端部2A,2B以外の部分については、試験本番で用いる試験片1と同じである。そして、調芯用ダミー試験片の上下の端部2A,2Bの外径寸法(直径)W1,W2は、試験本番で用いる試験片1の上下の端部1A,1Bの外径寸法(直径)D1,D2よりも、それぞれ大きくなっている。従って、上下の掴み部24,25の試験片ホルダ24A,25Aに形成された挿入穴31,32の内径寸法(直径)をH1,H2とすると、試験本番で用いる試験片1の上下の端部1A,1Bの外周面1E,1Fと、挿入穴31,32の内周面(側面)31B,32Bとのはめ合いの隙間(H1−D1),(H2−D2)は、調芯用ダミー試験片の上下の端部2A,2Bの外周面2E,2Fと、挿入穴31,32の内周面(側面)31B,32Bとのはめ合いの隙間(H1−W1),(H2−W2)よりも、それぞれ大きくなっている。
【0052】
さらに、上下の掴み部24,25の試験片当接面31A,32A(図3参照)同士の平行度を規定する役割を果たす各構成部品(図2参照)の加工精度は高く、各構成部品の各面(上面または下面)は、平行度0.01を満たす仕上げとなっている。また、これらの各面の表面粗さは、研磨仕上げ相当の粗さとなっている。なお、これらの各面の平行度は、荷重方向(ピストン41の進退方向)に対する直角度を確保したうえでの平行度である。
【0053】
具体的には、次の面について、平行度0.01および研磨仕上げ相当の粗さとなる加工が行われている。すなわち、図3において、(1)試験片1の上下の端面1C,1D、(2)上下の掴み部24,25の試験片当接面31A,32A、(3)試験片1の上下の端部1A,1Bの対向面1G,1H、(4)これらの対向面1G,1Hに当接する上下の試験片固定蓋24B,25Bの裏側底面24C,25C、(5)上下の掴み部24,25の試験片ホルダ24A,25Aの表面24D,25D、(6)これらの表面24D,25Dに接合される上下の試験片固定蓋24B,25Bの裏側接合面24E,25Eについて、上記の条件を満たす高精度な加工が行われている。
【0054】
また、図2において、(7)アクチュエータ部40のシリンダ42の上面42A、(8)ロードセルホルダ23の下面23B、(9)ロードセルホルダ23の上面23A、(10)ロードセル21の下面21A、(11)ロックナット30の下面30A、(12)ブッシュ29の上面29A、(13)ブッシュ29の下面29B、(14)上側の掴み部24の上面24F、(15)下側の掴み部25の下面25F、(16)第一ピストンロッド41Bの上端面41Eについて、上記の条件を満たす高精度な加工が行われている。
【0055】
アクチュエータ部40は、前述した本願出願人による特許文献1に記載の疲労試験機のアクチュエータ部と同様のものであるため、詳細な図示による説明は省略する。図1において、アクチュエータ部40は、試験片1に荷重を負荷するための進退運動を行うピストン41と、このピストン41の周囲に配置されてピストン41の摺動を案内するシリンダ42とを備えている。そして、ピストン41は、前後の油圧差により進退運動を行うヘッド部41Aと、このヘッド部41Aの前進側に設けられた第一ピストンロッド41Bと、ヘッド部41Aの後退側に設けられた第二ピストンロッド41Cとを含み構成されている。
【0056】
シリンダ42の内部の円柱状の空間には、ピストン41のヘッド部41Aの前進側に第一圧力室43が形成され、ヘッド部41Aの後退側に第二圧力室44が形成されている。これらの第一圧力室43および第二圧力室44には、シリンダ42に形成された第一流路45および第二流路46を通してヘッド部41Aに油圧をかけるための油が供給されるようになっている。
【0057】
サーボバルブ50は、前述した本願出願人による特許文献1に記載の疲労試験機のサーボバルブと同様のものであり、図示されない四つのポート、すなわちPポート、Rポート、C1ポート、C2ポートを備えている。このうち、Pポートは、図示されない油圧ユニットの供給圧配管に接続され、Rポートは、図示されないオイルタンクに繋がる戻り配管に接続されている。また、C1ポート、C2ポートは、アクチュエータ部40のシリンダ42に形成された第一流路45、第二流路46にそれぞれ接続されている。
【0058】
サーボバルブ50は、DSPコントローラ70から送られてくる電流信号または電圧信号により、Pポートから入ってきた油をC1またはC2ポートに切り換えて流すようになっている。例えば、C1ポートに切り換えたときには、C1ポートから出た油は、第一流路45を通って第一圧力室43に入り、ピストン41のヘッド部41Aを押してピストン41を後退移動させる。このピストン41の後退移動により、第二圧力室44内の油は、ヘッド部41Aに押されて第二流路46を通ってC2ポートに入る。そして、C2ポートからサーボバルブ50内に入った油は、サーボバルブ50の中でRポートに導かれ、最終的に油圧ユニットの戻り配管に流される。このような経路を経て、油は循環するようになっている。また、C2ポートに切り換えたときも、同様であり、このときには、ピストン41は前進移動する。
【0059】
従って、サーボバルブ50の切換制御により、ピストン41は進退運動を行うようになっている。この際、図2に示すように、アクチュエータ部40の第一ピストンロッド41Bは、下側の掴み部25を介して試験片1の下側の端部1Bに接続されている。このため、ピストン41の進退運動に伴って、試験片1の下側の端部1Bには試験片1の長手方向についての変位が与えられ、その結果、試験片1に荷重がかけられるようになっている。
【0060】
サーボバルブ50としては、例えば、いわゆるノズルフラッパ型サーボバルブを好適に用いることができ、さらに応答性を向上させるという観点から、いわゆるダイレクトドライブ型サーボバルブを用いてもよい。ここで、前者のノズルフラッパ型サーボバルブとは、ファーストステージと称される部分の中のノズルとフラッパとの間の圧力差でスプールを動かすものであり、後者のダイレクトドライブ型サーボバルブとは、スプールを直接に、ボイスコイルあるいは超磁歪素子や電歪素子等の駆動素子で駆動するものである。
【0061】
図1において、制御手段60は、試験片1に負荷される荷重に応じたひずみ計22の検出信号をフィードバックしてアクチュエータ部40の動作を制御するための制御信号をサーボバルブ50に送るフィードバック制御を行うものであり、制御性能に直接関係する処理をデジタル処理で行うDSPコントローラ70と、このDSPコントローラ70に接続されてDSPコントローラ70との間で情報の送受信を行うことにより制御性能に直接関係しない処理を行う外部処理装置90とを備えて構成されている。
【0062】
図1において、DSPコントローラ70は、関数発生器71と、制御信号発生手段を構成するサーボ増幅器72と、D−Aコンバータ73と、A−Dコンバータ74と、カウンタ75と、リミッタ76とを備えている。また、DSPコントローラ70は、ピークボトムホールド77と、増幅率補正/零点補正計算手段78と、増幅率補正手段79と、零点補正手段80とを備えている。
【0063】
なお、上記のDSPコントローラ70の各構成要素は、DSPコントローラ70の内部に設けられた一つまたは複数の中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する一つまたは複数の制御プログラム、並びにROMやRAM等の各種メモリにより実現される。また、DSPコントローラ70を構成するハードウェアとしては、CPUの他に、例えば積和演算器等が含まれていてもよい。制御プログラムは、外部処理装置90により作成されてコンパイルされた実行プログラムを、DSPコントローラ70に搭載したものである。この制御プログラムは、外部処理装置90により作成されたプログラムと、DSPコントローラ70に内蔵されたDSPボードで用意されている種々の命令(例えば、サイン波形を出力する命令等)とを組み合わせて作成されるのが一般的であるが、制御プログラムの全ての部分を外部処理装置90により作成してもよい。
【0064】
そして、DSPコントローラ70では、次のようなフルデジタル化されたフィードバック制御が行われる。制御の概要から説明すると、先ず、関数発生器71において目標荷重に相当する信号が作られる。この信号は、サーボ増幅器72により所定の増幅率で増幅され、D−Aコンバータ73を通じてアナログ電流信号または電圧信号に変換される。このアナログ電流信号または電圧信号は、サーボバルブ50において、この信号の大きさに比例した流量の油に置き換えられ、アクチュエータ部40の第一圧力室43または第二圧力室44に導かれる。この結果、ピストン41が移動し、試験片1に荷重が負荷される。
【0065】
次に、試験片1に負荷された荷重は、ロードセル21およびひずみ計22により荷重に比例したアナログ電圧信号または電流信号に変換され、さらに、A−Dコンバータ74を通じてデジタル信号に変換される。そして、関数発生器71からの目標値信号とこの荷重信号との偏差値が計算され、この値が再びサーボ増幅器72に送られる。このようなフィードバックループによって最終的に偏差が収束し、試験片1に目標値信号に相当する荷重が負荷される。
【0066】
一方、疲労試験機10は、システム全体として様々な外乱の影響を受けるため、増幅率を一定値とすると荷重信号が目標値信号に追従しない場合がある。このような場合には、ピークボトムホールド77、増幅率補正/零点補正計算手段78、増幅率補正手段79、零点補正手段80により、外乱に対する修正動作が行われる。すなわち、ピークボトムホールド77により荷重信号の最大値および最小値がリアルタイムでモニタされ、増幅率補正/零点補正計算手段78により、このモニタ結果と目標値信号とのずれ量から最適な増幅率補正量および零点補正量が計算される。そして、この計算結果に基づき、零点補正手段80により、関数発生器71の信号が補正されるとともに、増幅率補正手段79により、サーボ増幅器72の増幅率が修正される。
【0067】
また、試験片1の破断時、あるいは、非常事態の発生時等、荷重信号が予め設定された範囲を逸脱した場合には、リミッタ76により疲労試験機10が停止される。なお、カウンタ75により、疲労試験に必要な繰返し数が計数される。
【0068】
続いて、制御の詳細、すなわちDSPコントローラ70の各構成要素の処理内容の詳細を説明する。
【0069】
関数発生器71は、目標値r(k)の発生処理を行うものである。目標値r(k)は、サイン波形であり、次の式(1)で示される。
【0070】
r(k)=At×sin(2π×(F×k/Fs))+OFFt ・・・(1)
【0071】
ここで、Atは、到達目標荷重のサイン波振幅(amplitude)であり、Fは、疲労試験の繰返し周波数(frequency)であり、Fsは、DSPコントローラ70のA−Dコンバータ74の動作周波数(sampling frequency)であり、OFFtは、零点すなわち目標荷重のサイン波平均値(offset)である。kは、離散化した時間のうちのある一つの時刻を意味する値であり、例えば、サンプリング周波数Fsを50Hzとすると、1秒間に50回分の時刻データを測定することができ、このとき、k=1のデータは、50個のデータのうち1番目の時刻データを表す。
【0072】
また、到達目標荷重のサイン波振幅Atおよび零点OFFtは、後述する図5の試験条件設定画面200を用いて実験者により入力される最大応力および応力比から決定される。この決定処理は、外部処理装置90の処理手段90Aにより行われ、その決定結果が関数発生器71に引き渡され、関数発生器71での処理に用いられる。例えば、ロードセル21を1000kgf(9.81kN)で10V出力するように較正したとする。このとき、試験片1に最大値1000kgf(9.81kN)、最小値100kgf(0.98kN)のサイン波形の繰返し荷重を加えたい場合には、目標荷重の振幅は(1000−100)/2=450kgf(4.41kN)となり、目標荷重のサイン波平均値は(1000+100)/2=550kgf(5.39kN)となる。換言すれば、この波形は、550kgf(5.39kN)を中心として上下に450kgf(4.41kN)の振幅を持つサイン波形となる。このとき、1kgf(9.81N)は0.01Vに対応するので、上記の目標荷重を目標電圧信号に変換すれば、振幅At=450×0.01=4.5V、零点OFFt=550×0.01=5.5Vとなる。なお、疲労試験機10では、後述する如く、外部処理装置90の試験条件設定画面表示・入力受付処理手段92により、図5の試験条件設定画面200上で応力値による設定入力を受け付けるので、実験者は、応力値から荷重値への換算作業を行う必要はなく、外部処理装置90が、応力値から荷重値への換算処理、目標荷重の振幅および零点の算出決定処理、電圧値への変換処理を全て自動的に行う。
【0073】
さらに、疲労試験の繰返し周波数Fは、後述する図5の試験条件設定画面200を用いて実験者により入力される。
【0074】
サーボ増幅器72は、サーボバルブ50に送る制御信号を発生させる処理を行うものである。DSPコントローラ70による制御は、比例制御であり、サーボバルブ50に制御信号として送る比例制御の操作量u(k)は、次の式(2)で示される。
【0075】
u(k)=G×e(k) ・・・・・・・(2)
【0076】
ここで、Gは、増幅率すなわち比例ゲイン(gain)である。e(k)は、目標値r(k)と応答値(ひずみ計22で検出される荷重値)x(k)との偏差量であり、e(k)=r(k)−x(k)で表される。
【0077】
従って、偏差量e(k)の算出処理およびその偏差量e(k)に基づくサーボ増幅器72による処理を合わせて考えると、最終的に、サーボバルブ50に送る制御信号の値は、上記の式(2)に式(1)を代入し、次の式(3)のようになる。
【0078】
u(k)
=G×(r(k)−x(k))
=G×(At×sin(2π×(F×k/Fs))+OFFt−x(k))・・・・・・・・(3)
【0079】
ピークボトムホールド77は、ひずみ計22で検出される実測荷重値の波形についての各周期の最大値および最小値を測定し、それを記憶保持する処理を行うものである。
【0080】
増幅率補正/零点補正計算手段78は、目標値信号の波形と、ひずみ計22の検出信号の波形(フィードバック波形)とを比較し、この比較結果に基づき増幅率(ゲイン)および零点(オフセット)の補正に関する計算処理を行うものである。これは、適応比例制御を行うための処理である。目標値信号の波形とフィードバック波形との比較とは、目標値信号の波形の振幅とフィードバック波形の振幅との比較、および目標値信号の波形の零点(オフセット)とフィードバック波形の零点(オフセット)との比較である。ここで、目標値信号の波形の振幅およびオフセットは、前述した如く、図5の試験条件設定画面200で最初に試験条件を設定するときに外部処理装置90により算出決定された値である。一方、フィードバック波形の振幅およびオフセットは、ピークボトムホールド77により測定された最大値および最小値に基づき、増幅率補正/零点補正計算手段78により算出される。なお、これらの波形の比較処理および比較結果に基づく補正に関する計算処理は、波形一周期毎に行うのが原則であるが、複数周期毎に行うようにしてもよい。
【0081】
また、増幅率補正/零点補正計算手段78は、応答信号(ひずみ計22の検出信号)の目標値信号への収束度に応じ、増幅率(ゲイン)および零点(オフセット)の補正に関する計算処理のアルゴリズムを段階的に切り替える処理を行う。これは、多段適応比例制御を行うための処理である。なお、切り替えるか否かの判断処理は、波形一周期毎に行うのが原則であるが、複数周期毎に行うようにしてもよい。
【0082】
アルゴリズムを段階的に切り替える処理の具体例として、以下のような2段階の切替処理を挙げることができるが、切替の段階数、アルゴリズムの内容、切替判断方法等は、以下の例に限定されるものではない。
【0083】
例えば、増幅率(ゲイン)については、次のようなアルゴリズムAとアルゴリズムBとを、下記の条件に基づき自動的に切り替えることができる。
【0084】
<アルゴリズムA>
疲労試験中のある時刻に、実測荷重の振幅がAcで、そのときの比例ゲインがGcであるとする。ここで、到達目標荷重の振幅をAtとすると、これを達成するための比例ゲイン予測値Gtは、Gt=(At/Ac)×Gcと考えることができる。このGtの値と、現在の比例ゲインGcとの差をΔGとすると、ΔGは、次の式(4)で与えられる。
【0085】
ΔG=Gt−Gc=((At/Ac)−1)×Gc ・・・・・・・(4)
【0086】
通常の適応比例制御における増幅率の補正に関する計算処理(AGC:Auto Gain Control)では、上記の式(4)のΔGを基本にして、次の式(5)で示されるアルゴリズムで最適ゲインを求める計算を行っている。
【0087】
c(i+1)
=Gc(i)+gtp×ΔG
=Gc(i)+gtp×((At/Ac)−1)×Gc(i) ・・・(5)
【0088】
ここで、iは、i番目のサンプリングデータであることを示し、各周期に対応する。従って、iの値は、前記式(1)〜式(3)におけるkよりも長い時間間隔で変わる。また、gtpは、比例ゲインの変化を滑らかにするために用いるパラメータ(ゲインチューニングパラメータ)である。このgtpの値としては、例えば、経験値として0.02等を用いることができるが、これに限定されるものではない。以上の方法が、アルゴリズムAである。
【0089】
<アルゴリズムB>
通常の適応比例制御では、上記のアルゴリズムAのみでAGCを行っている。しかし、実測荷重値が目標値にある程度収束すると、gtp×ΔGの値が極端に小さくなるため、収束が頭打ちになり、誤差を例えば1%よりもさらに小さな値に収束させることが困難となる。
【0090】
そこで、多段適応比例制御では、試験開始後、実測荷重値が目標値にある程度収束した時点で、AGCのアルゴリズムを、上記のアルゴリズムAから下記のアルゴリズムBに変更する。
【0091】
(1)Ac<Atの場合には、比例ゲインを0.0002増加させる。
(2)Ac>Atの場合には、比例ゲインを0.0002減少させる。
(3)Ac=Atの場合には、比例ゲインをそのままとする。
【0092】
なお、このようなアルゴリズムBにおいて、増減量は上記の0.0002に限定されず、他の値としてもよく、また、増加量と減少量とを異なる値としてもよい。
【0093】
アルゴリズムAからアルゴリズムBへの切替のタイミングは、アルゴリズムAによる制御を行っている際に、初めてgtp×ΔG<0.0006を満たした時点である。従って、各周期毎にgtp×ΔG<0.0006を満たしているか否かを判断する。なお、0.0006という数値は、実験により経験的に得られた値であるが、判断基準値は、これに限定されるものではない。
【0094】
以上のようなアルゴリズムAからアルゴリズムBへの切り替えを行う多段適応比例制御により、誤差を±0.1%以下にまで収束させることができる。なお、アルゴリズムAにおけるgtpの値を、収束の度合いを監視しながら、動的に変更させたり、あるいは上記の例では0.0006のみとなっている切替の判断基準値(gtp×ΔGの境界値)を複数設け、アルゴリズムBにおける増減量を変更する等により、3段階以上の切替えを行う多段適応比例制御としてもよい。
【0095】
また、零点(オフセット)については、次のようなアルゴリズムCとアルゴリズムDとを、下記の条件に基づき自動的に切り替えることができる。
【0096】
<アルゴリズムC>誤差が定格出力の1.5%よりも大きいときに、次のアルゴリズムCを用いる。
【0097】
(1)現在の荷重平均値が目標荷重平均値よりも大きい場合には、オフセットの値を小さくする。調整量は、定格出力の0.15%である。
(2)現在の荷重平均値が目標荷重平均値よりも小さい場合には、オフセットの値を大きくする。調整量は、定格出力の0.15%である。
(3)現在の荷重平均値が目標荷重平均値と同じ場合には、オフセットをそのままとする。
【0098】
<アルゴリズムD>誤差が定格出力の1.5%以下のときに、次のアルゴリズムDを用いる。
【0099】
(1)現在の荷重平均値が目標荷重平均値よりも大きい場合には、オフセットの値を小さくする。調整量は、定格出力の0.006%である。
(2)現在の荷重平均値が目標荷重平均値よりも小さい場合には、オフセットの値を大きくする。調整量は、定格出力の0.006%である。
(3)現在の荷重平均値が目標荷重平均値と同じ場合には、オフセットをそのままとする。
【0100】
ここで、定格出力とは、目標荷重の最大値の絶対値と、目標荷重の最小値の絶対値とのうち、大きい方の値を指す。
【0101】
従って、アルゴリズムC,Dのいずれについても、オフセットの補正量を決定する処理の流れは、同じであり、調整量の数値が異なるだけである。前述したように、本発明では、このように使用データの相違のみの場合も、アルゴリムが相違するものと捉え、「アルゴリズム」を定義している。なお、定格出力の0.15%、0.006%という各調整量の値は、実験により経験的に求めたものであるが、この数値に限定されるものではない。また、アルゴリズムC,Dの切替の判断基準値となる定格出力の1.5%という誤差の値も、これに限定されるものではなく、他の値を用いてもよい。
【0102】
なお、上記の例で、定格出力の1.5%となっている切替の判断基準値(誤差の境界値)を複数設け、調整量も別の数値を追加して用意することにより、3段階以上の切替えを行う多段適応比例制御としてもよい。
【0103】
また、増幅率補正/零点補正計算手段78は、AGCが無効にされているときでも、自動オフセットコントロール(AOC:Auto offset control)を常時有効としている。つまり、試験中、荷重平均値は常に目標値に一致または略一致していることになる。実験者は、図6の試験中画面300で「AGC有効」ボタン360を用いて、AGCの有効・無効の選択を行うことができる。なお、本実施形態の疲労試験機10では、試験前に、一度平均値の調整を行うため、試験開始直後から平均値の誤差を小さい値にとどめることができる。従って、実際に使用されるオフセット調整量は、殆どアルゴリズムDの値となってもよい。
【0104】
増幅率補正手段79および零点補正手段80は、増幅率補正/零点補正計算手段78による計算結果をメモリに記憶しておき、この計算結果に基づき、増幅率および零点の補正処理をそれぞれ行うものである。増幅率補正/零点補正計算手段78による処理が波形一周期毎に行われるので、増幅率補正手段79および零点補正手段80による補正処理の内容は、波形一周期毎に更新される。
【0105】
カウンタ75は、疲労試験に必要な繰返し数の計数処理を行うとともに、カウンタリミットの処理を行うものである。カウンタリミットは、試験繰返し数が規定の値に達した時点で試験を停止する機能である。規定の値とは、実験者が、図5の試験条件設定画面200の打切り繰返し数の入力部233で入力した値である。
【0106】
リミッタ76は、最大リミッタ、最小リミッタ、ゲイン発振防止リミッタ、試験片破断検出機構の各処理を行うものである。
【0107】
最大リミッタは、ピークボトムホールド77で検出した最大値が、試験前に予め設定した値を上回ったときに、一方、最小リミッタは、ピークボトムホールド77で検出した最小値が、試験前に予め設定した値を下回ったときに、それぞれ試験動作を停止し、異常な荷重負荷が繰り返されることを防止する機能である。試験前に予め設定した値とは、実験者が、図5の試験条件設定画面200の許容過大誤差の入力部231で入力した値に基づき算出された値である。
【0108】
ゲイン発振防止リミッタは、オートチューニングにより、無制限に出力が増大し、試験が不安定となることを防止する機能である。実験者が、図5の試験条件設定画面200の許容最大ゲインの入力部232で入力した値によりリミッタをかける。
【0109】
試験片破断検出機構は、応答荷重波形の急激な変化を感知することにより試験片1の破断を検出し、試験片1が破断した瞬間に疲労試験を停止することで試験片破面と疲労試験機10そのものを保護する機能である。
【0110】
外部処理装置90は、コンピュータにより構成され、制御性能に直接関係しない各種処理を行う処理手段90Aと、例えばキーボードやマウス等の入力手段96と、例えば液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等の表示手段97とを備えて構成されている。また、例えばプリンタやプロッタ等の出力手段を適宜設けてもよい。
【0111】
処理手段90Aは、待機中画面表示・入力受付処理手段91と、試験条件設定画面表示・入力受付処理手段92と、試験中画面表示・入力受付処理手段93と、相反操作強制無効手段94と、入力パラメータ監査手段95とを含み構成されている。
【0112】
待機中画面表示・入力受付処理手段91は、試験中以外の状態でアクチュエータ部40を動作させる場合に使用する図4の待機中画面100を表示する処理、およびこの待機中画面100を用いて行われる実験者によるアクチュエータ部40に対する操作入力を受け付ける処理を行うものである。
【0113】
試験条件設定画面表示・入力受付処理手段92は、試験条件を設定するための図5の試験条件設定画面200を表示する処理、およびこの試験条件設定画面200を用いて行われる実験者による試験条件の設定入力を受け付ける処理を行うものである。実験者が、図5の試験条件設定画面200で必要な数値を入力して決定を指示すれば、入力された試験条件は、この試験条件設定画面表示・入力受付処理手段92により、DSPコントローラ70の制御プログラムが解釈できるパラメータに自動変換され、DSPコントローラ70に転送される。
【0114】
試験中画面表示・入力受付処理手段93は、試験中に試験状況をモニタする図6の試験中画面300を表示する処理、およびこの試験中画面300を用いて行われる実験者による入力を受け付ける処理を行うものである。また、試験中画面表示・入力受付処理手段93は、試験中に異常が発生し、試験が停止した場合には、DSPコントローラ70の制御プログラムと通信を行って原因を調査し、レポートする処理を行う。
【0115】
相反操作強制無効手段94は、ある操作を実行中に、行ってはならない操作または行うべきでない操作を強制的に無効にする処理を行うものである。例えば、試験中には、試験条件のパラメータを変更することができないようになっている。
【0116】
入力パラメータ監査手段95は、実験者により入力されるパラメータ(試験条件等)が異常か否かを監査する処理を行うものである。例えば、図5の試験条件設定画面200での矛盾したパラメータ入力を監視する。
【0117】
そして、処理手段90Aに含まれる各手段91〜95は、外部処理装置90を構成するコンピュータ本体(パーソナル・コンピュータのみならず、その上位機種のものも含む。)の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する一つまたは複数のプログラムにより実現される。
【0118】
このような本実施形態においては、以下のようにして疲労試験機10を用いて超高サイクル域データを取得するための疲労試験が行われる。
【0119】
先ず、実験者は、疲労試験を行う前に、調芯用ダミー試験片を用いて疲労試験機10の本体11の調芯作業を行う。図2および図3において、調芯作業では、先ず最初に、調芯用ダミー試験片を下側(ピストン41側)の掴み部25に装着する。この際には、試験片ホルダ25Aに形成された挿入穴32に、調芯用ダミー試験片の下側の端部2Bを挿入し、ボルト34を締め込んで試験片固定蓋25Bにより調芯用ダミー試験片の下側の端部2Bを押さえ付けて固定する。
【0120】
次に、上側(ロードセル21側)の掴み部24の試験片ホルダ24Aに形成された挿入穴31に、調芯用ダミー試験片の上側の端部2Aが入るようにロードセル21の水平位置を調整する。
【0121】
続いて、ロードセル21の水平位置を調整後に、ボルト26によりロードセル21を固定し、ロックナット30を締める。最後に、調芯用ダミー試験片を取り外す。
【0122】
以上の調芯作業は、数分程度で行うことが可能であり、従来のように試験片にひずみゲージを貼って調芯作業を行う場合に比べ、作業時間が格段に短縮できる。この調芯作業の後は、疲労試験用の試験片1を無作為に何回取り付けたとしても、試験片1には、側面からの拘束力が加わることはない。従って、この調芯作業は、従来の場合と異なり、疲労試験毎に行う必要はない。
【0123】
実験者は、上記の如く調芯用ダミー試験片を用いて調芯作業を行った後に、疲労試験を行うために、疲労試験機10の本体11の試験片取付部20に、試験片1を取り付ける。この際、実験者は、外部処理装置90の待機中画面表示・入力受付処理手段91により表示手段97の画面上に表示された図4の待機中画面100を用いて、試験片1の取付作業に必要なピストン41の操作を行う。
【0124】
図4において、待機中画面100には、フィードバック値表示部110と、試験条件表示部120と、ピストンコントロール部130と、「通信終了」ボタン140と、「試験条件設定」ボタン150と、「試験コンソールへ」ボタン160と、「数値オフセット入力」ボタン170とが設けられている。
【0125】
フィードバック値表示部110には、ひずみ計22の検出信号から得られる負荷荷重の表示部111と、負荷荷重を試験片直径を用いて換算した負荷応力の表示部112とが設けられている。応力値への換算処理は、待機中画面表示・入力受付処理手段91により行われる。
【0126】
試験条件表示部120には、最大絶対応力、試験応力比、試験片直径、試験周波数の各表示部121〜124が設けられている。これらの表示値は、実験者が「試験条件設定」ボタン150をクリックして図5の試験条件設定画面200で入力した値である。
【0127】
ピストンコントロール部130には、ピストン41を前進移動(上昇)させる上昇ボタン131と、ピストン41を後退移動(下降)させる下降ボタン132と、ピストン41を中央位置にするニュートラルボタン133と、ピストン41の前進量(上昇量)をバー表示する前進量表示部134と、ピストン41の後退量(下降量)をバー表示する後退量表示部135と、サーボバルブ50の零点の調整量を入力するバルブ零調入力部136と、バルブ零調入力部136で入力した値を実際に設定する「Set」ボタン137とが設けられている。なお、サーボバルブ50の零点は、通常、安全サイドにずらしてあるので、これを予め補正して精密な制御を行うために零点調整を行う。
【0128】
「通信終了」ボタン140は、DSPコントローラ70との通信を終了させるボタンであり、「試験条件設定」ボタン150は、図5の試験条件設定画面200へ移動するためのボタンであり、「試験コンソールへ」ボタン160は、図6の試験中画面300へ移動するためのボタンであり、「数値オフセット入力」ボタン170は、試験開始前等の調整時に、強制的に零点(オフセット)をある値に定める場合に使用するボタンである。
【0129】
実験者は、試験前に試験条件の設定も行う。この際には、実験者は、図4の待機中画面100で「試験条件設定」ボタン150をクリックする。すると、外部処理装置90の表示手段97の画面上には、試験条件設定画面表示・入力受付処理手段92により、図5の試験条件設定画面200が表示される。
【0130】
図5において、試験条件設定画面200には、試験条件のうちの主要条件を設定する主要条件設定部210と、試験条件のうちの高度な条件の設定を行う高度条件設定部220と、各種のリミッタの値を設定するリミッタ設定部230と、各設定部210,220,230での入力を取り消す「キャンセル」ボタン240と、各設定部210,220,230で入力した条件を実際に設定する「条件を設定」ボタン250とが設けられている。
【0131】
主要条件設定部210には、最大絶対応力、試験応力比、試験片直径、試験周波数の各入力部211〜214が設けられるとともに、圧縮−圧縮試験を行う場合にチェックを入れるための圧縮−圧縮試験選択チェック入力部215が設けられている。ここで入力した最大絶対応力、試験応力比、および試験片直径の各値は、前述した式(1)中の到達目標荷重のサイン波振幅Atおよびサイン波平均値(零点)OFFtの算出決定処理に用いられる。この算出決定処理は、試験条件設定画面表示・入力受付処理手段92により行われる。また、ここで入力した試験周波数の値は、前述した式(1)中のFの値として設定される。
【0132】
高度条件設定部220には、ロードセル変換定数、真空バイアス、デフォルトゲインの各入力部221〜223が設けられている。ロードセル変換定数は、ロードセル21に負荷される荷重と、ひずみ計22の出力電圧との関係を示し、ロードセル21の較正結果に応じて入力するものであり、前述した式(1)中の到達目標荷重のサイン波振幅Atおよびサイン波平均値(零点)OFFtの算出決定処理等の各種処理における荷重−電圧換算処理に用いられる。また、デフォルトゲインは、増幅率(ゲイン)の初期値を設定するものである。
【0133】
リミッタ設定部230には、許容過大誤差、許容最大ゲイン、打切り繰返し数の各入力部231〜233が設けられている。これらの入力値は、リミッタ76およびカウンタ75により行われる各種のリミットの処理に用いられる。
【0134】
実験者が、各設定部210,220,230での入力を終えて「条件を設定」ボタン250をクリックすると、入力した条件が設定され、図4の待機中画面100に戻る。そして、実験者は、試験を開始する際には、この画面100で「試験コンソールへ」ボタン160をクリックする。すると、外部処理装置90の表示手段97の画面上には、試験中画面表示・入力受付処理手段93により、図6の試験中画面300が表示される。
【0135】
図6において、試験中画面300には、試験条件を表示する試験条件表示部310と、試験状況を数値表示する試験状況数値表示部320と、試験状況として実測荷重に基づく応力表示をグラフ表示で行う試験状況グラフ表示部330とが設けられている。
【0136】
試験条件表示部310には、最大絶対応力、試験応力比、試験片直径、試験周波数の各表示部311〜314が設けられている。これらの表示値は、実験者が図5の試験条件設定画面200で入力した値である。
【0137】
試験状況数値表示部320には、カウンタ75の計数値を表示するカウント表示部321と、現在のゲインを表示するゲイン表示部322と、サーボバルブ50の定格入力のうち何%まで使用しているか(最大流量に対して何%の流量となっているか)という出力レベルを表示する出力LV表示部323と、試験誤差表示部324とが設けられている。ここで表示する試験誤差とは、(実荷重振幅−目標荷重振幅)/目標荷重振幅×100(%)のことをいう。
【0138】
試験状況グラフ表示部330には、実荷重から算出した応力の波形(横軸を時間とし、縦軸を応力とした波形)が表示される。この際の荷重値から応力値への換算処理は、試験中画面表示・入力受付処理手段93により行われる。
【0139】
これらの試験状況数値表示部320および試験状況グラフ表示部330の表示内容は、試験中画面表示・入力受付処理手段93により、定期的に更新される。
【0140】
また、試験中画面300には、オフセットを自動調整する「オフセット自動調整」ボタン340と、試験を停止する「試験停止」ボタン350と、AGCを有効にする「AGC有効」ボタン360と、カウンタ75の計数値をリセットする「カウンタリセット」ボタン370と、除荷を行う「除荷」ボタン380と、図4の待機中画面100に移動するための「メインコンソールへ」ボタン390とが設けられている。
【0141】
なお、実際に試験を行う場合には、目標荷重のオフセットの値まで静的にオフセットを調整し、その後、それに加算してサイン波形を重畳させる。「オフセット自動調整」ボタン340は、試験開始前に荷重を静的にそのオフセット値まで自動的にもっていくためのボタンである。
【0142】
また、「AGC有効」ボタン360をクリックしないと、多段適応比例制御が有効にならず、単なる比例制御となる。この場合には、増幅率(ゲイン)や零点(オフセット)の値は一定値となり、実荷重が外的要因によって目標荷重からずれたとしても、それに適応して増幅率や零点の値の修正動作は行われない。
【0143】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、増幅率補正/零点補正計算手段78は、増幅率および零点の補正に関する計算処理を行う際に、実荷重信号(ひずみ計22の検出信号)の目標値信号への収束度に応じ、増幅率の補正に関する計算処理のアルゴリズムを段階的に切り替える構成とされているので、検出信号が目標値信号にある程度収束したときに、増幅率の補正に関するアルゴリズムを切り替えることにより、検出信号の目標値信号への収束度を高めることができる。従って、試験精度の向上を図ることができる。
【0144】
また、増幅率補正/零点補正計算手段78は、検出信号の目標値信号への収束度に応じ、増幅率のみならず、零点の補正に関する計算処理のアルゴリズムを段階的に切り替える構成とされているので、検出信号の目標値信号への収束度をより一層高めることができ、試験精度をより一層向上させることができる。
【0145】
さらに、増幅率補正/零点補正計算手段78は、アルゴリズムを切り替えるか否かの判断を波形一周期毎に行う構成とされているので、適切なタイミングでアルゴリズムの切替を行うことができる。このため、収束の速度を向上させることができ、試験精度をより一層向上させることができる。
【0146】
具体的には、従来の適応比例制御で、目標値信号と検出信号との誤差の収束度が例えば±1%程度であったとすると、本実施形態の多段適応比例制御では、±0.1%以内に収束させることができる。
【0147】
そして、疲労試験機10は、制御手段60として、DSPコントローラ70と外部処理装置90とを備えているので、DSPコントローラ70には、制御性能に直接関係する演算処理(目標値信号と荷重信号との比較、増幅率補正、零点補正、ピークボトムホールド、多段適応比例制御を行うための増幅率や零点の補正に関する計算等の処理)のみを負担させ、一方、外部処理装置90には、制御性能に直接関係しない演算処理(フィードバックされた電圧を荷重に換算する演算処理、応力の数値表示・応力のグラフ表示・ピストン移動量のバー表示・ピストン操作用ボタンの矢印表示等のように人間が見て扱いやすい表示にするためのインターフェースに係る演算処理)を負担させることができる。つまり、制御性能に直接関係する演算処理用のプログラムと、制御性能に直接関係しない演算処理用のプログラムとを完全に分離し、これらの各プログラムを実行するハードウェアを分離することができる。
【0148】
このため、DSPコントローラ70の処理負担を軽減できるので、応答性や荷重精度、外乱に対する収束性等の制御性能に直接関係する演算処理についての処理速度を向上させることができ、この点でも試験精度の向上を図ることができる。
【0149】
また、外部処理装置90は、待機中画面表示・入力受付処理手段91、試験条件設定画面表示・入力受付処理手段92、および試験中画面表示・入力受付処理手段93を備えているので、実験者は、試験およびその準備の各場面において、図4の待機中画面100、図5の試験条件設定画面200、図6の試験中画面300の3つの画面のうちのいずれかを参照しながら、各場面で必要となる情報の表示のみを確認し、また、各場面で必要となる入力作業のみを行うことができる。従って、実験者は、試験およびその準備の各場面で必要最低限の操作を行えばよくなるので、余分な操作を行ったり、余分な情報を参照して余分な事を考える余地を排除することができ、操作性の向上を図ることができる。そして、操作性の向上を図ることができるため、誤認識や誤操作等の発生も回避または抑制することができ、試験精度の向上にも繋がる。
【0150】
そして、待機中画面表示・入力受付処理手段91により、図4の待機中画面100のピストンコントロール部130において、上昇ボタン131および下降ボタン132が矢印表示とされ、前進量表示部134および後退量表示部135がバー表示とされているので、実験者は、ピストン41の操作を直感的に行うことができる。また、これにより誤操作等も回避または抑制することができる。さらに、フィードバック値表示部110が設けられ、応力表示が行われるので、実験者は、現在の荷重の負荷状態を容易に確認することができる。
【0151】
また、試験条件設定画面表示・入力受付処理手段92により、図5の試験条件設定画面200で、最大絶対応力、応力比、および試験片直径の入力を受け付けることができる。このため、実験者は、応力・応力比・試験片直径という普段使用するパラメータのみを使用すればよくなるので、疲労試験機10の操作性を向上させることができ、疲労試験機や制御の知識がない実験者でも容易に疲労試験を行うことができる。
【0152】
さらに、試験中画面表示・入力受付処理手段93により、図6の試験中画面300の試験状況グラフ表示部330において、応力のグラフ表示が行われるので、実験者は、現在の試験状況を容易かつ直感的に把握することができる。また、実験者は、各ボタン340〜390を押していくだけで、設定した条件での疲労試験を適切に行うことができる。
【0153】
そして、外部処理装置90は、相反操作強制無効手段94を備えているので、誤操作を防止できる。
【0154】
また、外部処理装置90は、入力パラメータ監査手段95を備えているので、試験の安全性を高めることができる。
【0155】
さらに、疲労試験機10では、試験片1および本体11の各構成部品の各面の平行度を向上させたので、偏荷重の発生を抑えることができる。また、これと併せ、試験片1の端部1A,1Bと上下の掴み部24,25とのはめ合いを緩めにしたので(図3参照)、試験片1に側面(試験片1の端部1A,1Bの外周面1E,1F)からの拘束力が加わらないようにすることができ、偏荷重の発生を抑えることができる。このため、試験精度を向上させることができる。そして、通常、はめ合いを緩くすると、疲労試験中に試験片1の横ずれが懸念されるが、試験片1および本体11の各構成部品の各面の平行度を向上させているので、試験片1に横ずれを生じさせる力が加わることを回避できる。
【0156】
そして、試験本番で用いる試験片1の端部1A,1Bよりも大きい端部2A,2Bを有する調芯用ダミー試験片を用いて調芯作業を行うので、調芯作業を精度よく行うことができることに加え、前述した緩めのはめ合いも容易に実現できる。また、調芯用ダミー試験片による調芯作業を一回行えば、そのままの状態で複数の試験を行うことができるので、実験者の作業の手間を軽減できる。
【0157】
なお、本発明の効果を確かめるために、次のような手順で偏応力Δσの測定実験を行った。先ず、調芯用ダミー試験片を用いて疲労試験機10の調芯作業を行う。次に、試験片中央部の外周を3分割した位置に合計3枚のひずみゲージを貼った試験片1を試験片取付部20に取り付ける。この際、ひずみゲージの値は参考にしない。続いて、試験片1に±400MPaの静的応力を負荷する。最後に、ひずみゲージの値から偏応力Δσを算出する。そして、以上の測定を数回行った。
【0158】
上記の測定結果は、次のようになった。負荷応力±400MPaのときの偏応力Δσは、3.2〜3.9MPaであった。Δσの割合は、負荷応力に対して0.8〜2.3%である。この値は、疲労試験結果には全く影響しない値である。また、前述した特許文献1に記載された本願出願人による疲労試験機(球状ベアリングを備えた疲労試験機)では、負荷応力400MPaに対するΔσの割合は、3.5〜7.4%である。従って、本実施形態の疲労試験機10では、偏荷重を大幅に軽減できたことがわかり、これにより本発明の効果が顕著に示された。
【0159】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
【0160】
すなわち、前記実施形態では、増幅率補正/零点補正計算手段78は、増幅率および零点のいずれについても、それらの補正に関する計算処理のアルゴリズムを段階的に切り替える構成とされていたが、本発明では、増幅率についてだけアルゴリズムを段階的に切り替える構成としてもよい。但し、前記実施形態のように増幅率および零点の双方についてアルゴリズムを段階的に切り替える構成としておけば、試験精度をより一層向上することができる。
【0161】
【発明の効果】
以上に述べたように本発明によれば、増幅率補正/零点補正計算手段により、検出信号の波形と目標値信号の波形とを比較してこの比較結果に基づき増幅率および零点の補正に関する計算処理を行う際に、検出信号の目標値信号への収束度に応じ、増幅率の補正に関する計算処理のアルゴリズムを段階的に切り替えるので、検出信号が目標値信号にある程度収束したときに、増幅率の補正に関するアルゴリズムを切り替えることにより、検出信号の目標値信号への収束度を高めることができ、試験精度の向上を図ることができるという効果がある。
【0162】
また、本発明によれば、デジタルコントローラとは別途に設けられた外部処理装置により、待機中画面、試験条件設定画面、試験中画面の3つの画面の表示処理およびこれらの画面を用いた入力の受付処理を行うので、操作性の向上を図ることができ、実験者の操作負担を軽減して誤認識や誤操作等の発生を回避または抑制し、試験精度の向上を図ることができるという効果がある。
【0163】
さらに、本発明によれば、試験片および試験機本体構成部品の各面の平行度を向上させ、かつ、試験片の端部と掴み部とのはめ合いを緩めにしたので、偏荷重の発生を抑えることができ、試験精度の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の疲労試験機の全体構成図。
【図2】前記実施形態の疲労試験機の本体を構成する試験片取付部の断面図。
【図3】前記実施形態の試験片取付部の要部の拡大断面図。
【図4】前記実施形態の疲労試験機の制御手段を構成する外部処理装置による処理に伴う待機中画面の例示図。
【図5】前記実施形態の疲労試験機の制御手段を構成する外部処理装置による処理に伴う試験条件設定画面の例示図。
【図6】前記実施形態の疲労試験機の制御手段を構成する外部処理装置による処理に伴う試験中画面の例示図。
【符号の説明】
1 試験片
1A 試験片の上側の端部
1B 試験片の下側の端部
1C 試験片の上側の端面
1D 試験片の下側の端面
1E 試験片の上側の端部の外周面
1F 試験片の下側の端部の外周面
10 疲労試験機
11 本体
20 試験片取付部
24,25 掴み部
31A,32A 試験片当接面
35,36 隙間
40 アクチュエータ部
60 制御手段
70 デジタルコントローラであるDSPコントローラ
72 制御信号発生手段を構成するサーボ増幅器
78 増幅率補正/零点補正計算手段
79 増幅率補正手段
80 零点補正手段
90 外部処理装置
91 待機中画面表示・入力受付処理手段
92 試験条件設定画面表示・入力受付処理手段
93 試験中画面表示・入力受付処理手段

Claims (7)

  1. 試験片を取り付ける試験片取付部および前記試験片に荷重を負荷するアクチュエータ部を有する本体と、前記試験片に負荷される荷重に応じた検出信号をフィードバックして前記アクチュエータ部の動作を制御するための制御信号を前記本体に送るフィードバック制御を行う制御手段とを備えた疲労試験機において、
    前記制御手段は、前記フィードバック制御をデジタル処理で行うデジタルコントローラを備えて構成され、
    このデジタルコントローラは、
    前記検出信号と目標値信号との偏差量に応じた前記制御信号を発生する制御信号発生手段と、
    前記検出信号の波形と前記目標値信号の波形とを比較してこの比較結果に基づき前記制御信号の発生処理に用いられる増幅率および零点の補正に関する計算処理を行う増幅率補正/零点補正計算手段と、
    この増幅率補正/零点補正計算手段による計算結果に基づき前記増幅率の補正処理を行う増幅率補正手段と、
    前記増幅率補正/零点補正計算手段による計算結果に基づき前記零点の補正処理を行う零点補正手段とを含んで構成され、
    前記増幅率補正/零点補正計算手段は、前記検出信号の前記目標値信号への収束度に応じて前記増幅率の補正に関する計算処理のアルゴリズムを段階的に切り替える構成とされ、前記アルゴリズムを切り替えることは、(1)計算処理に使用される数式の形態そのものを切り替えること、(2)計算処理に使用される数式に含まれる係数または定数の値を切り替えること、(3)計算処理に使用される前記検出信号および前記目標値信号以外のデータまたはデータ群を切り替えること、(4)条件に応じた選択処理または分岐処理の構造を切り替えること、(5)全く異種のアルゴリズムへ切り替えることのいずれかである
    ことを特徴とする疲労試験機。
  2. 請求項1に記載の疲労試験機において、
    前記増幅率補正/零点補正計算手段は、互いに全く異種のアルゴリズムAからアルゴリズムBへの切り替えを含む2段階以上のアルゴリズムの切り替えを行う構成とされ、
    前記アルゴリズムAは、
    c を実測荷重の振幅とし、A t を到達目標荷重の振幅とし、G c (i),G c (i+1)を前記増幅率とし、iをi番目、i+1をi+1番目のサンプリングデータであることを示すものとし、gtpを前記増幅率の変化を滑らかにするために用いるゲインチューニングパラメータとすると、G c (i+1)=G c (i)+gtp×((A t /A c )−1)×G c (i)という式で示されるアルゴリズムであり、
    前記アルゴリズムBは、
    c <A t の場合には、前記増幅率を所定量だけ増加させ、A c >A t の場合には、前記増幅率を前記所定量と同一または異なる所定量だけ減少させ、A c =A t の場合には、前記増幅率をそのままとするアルゴリズムであり、
    前記アルゴリズムAから前記アルゴリズムBへの切り替えのタイミングは、gtp×((A t /A c )−1)×G c (i)が所定の判断基準値を下回ったときであり、
    前記アルゴリズムAについては、前記gtpを固定値として1段階の前記アルゴリズムAとするか、または前記gtpの値を収束の度合いに応じて変更して2段階以上の前記アルゴリズムAとし、前記アルゴリズムBについては、前記gtp×((A t /A c )−1)×G c (i)に対する前記所定の判断基準値を1つ設定して1段階の前記アルゴリズムBとするか、または前記所定の判断基準値を2つ以上設定するとともに前記増幅率を増減させる前記所定量を変更して2段階以上の前記アルゴリズムBとする構成とされている
    ことを特徴とする疲労試験機。
  3. 請求項1または2に記載の疲労試験機において、
    前記増幅率補正/零点補正計算手段は、前記検出信号の前記目標値信号への収束度に応じて前記零点の補正に関する計算処理のアルゴリズムを段階的に切り替える構成とされ、前記アルゴリズムを切り替えることは、(1)計算処理に使用される数式の形態そのものを切り替えること、(2)計算処理に使用される数式に含まれる係数または定数の値を切り替えること、(3)計算処理に使用される前記検出信号および前記目標値信号以外のデータまたはデータ群を切り替えること、(4)条件に応じた選択処理または分岐処理の構造を切り替えること、(5)全く異種のアルゴリズムへ切り替えることのいずれかである
    ことを特徴とする疲労試験機。
  4. 請求項3に記載の疲労試験機において、
    前記増幅率補正/零点補正計算手段は、互いに使用データの相違するアルゴリズムCからアルゴリズムDへの切り替えを含む2段階以上のアルゴリズムの切り替えを行う構成とされ、
    目標荷重の最大値の絶対値と、目標荷重の最小値の絶対値とのうち、大きい方の値を定格出力とすると、
    前記アルゴリズムCは、
    前記定格出力に対する誤差のパーセンテージが、所定の判断基準値よりも大きいときに、現在の荷重平均値が目標荷重平均値よりも大きい場合には、前記定格出力に対するパーセンテージで示されたアルゴリズムC用の調整量で前記零点の値を小さくし、現在の荷重平均値が目標荷重平均値よりも小さい場合には、前記アルゴリズムC用の調整量で前記零点の値を大きくし、現在の荷重平均値が目標荷重平均値と同じ場合には、前記零点の値をそのままとするアルゴリズムであり、
    前記アルゴリズムDは、
    前記定格出力に対する誤差のパーセンテージが、所定の判断基準値以下のときに、現在の荷重平均値が目標荷重平均値よりも大きい場合には、前記アルゴリズムC用の調整量よりも小さいアルゴリズムD用の調整量で前記零点の値を小さくし、現在の荷重平均値が目標荷重平均値よりも小さい場合には、前記アルゴリズムD用の調整量で前記零点の値を大きくし、現在の荷重平均値が目標荷重平均値と同じ場合には、前記零点の値をそのままとするアルゴリズムであり、
    前記アルゴリズムCから前記アルゴリズムDへの切り替えのための前記所定の判断基準値を少なくとも1つ設定し、前記アルゴリズムCから前記アルゴリズムDへの切り替えを、少なくとも1回行う構成とされている
    ことを特徴とする疲労試験機。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の疲労試験機において、
    前記増幅率補正/零点補正計算手段は、周期的に変化する前記検出信号の波形と、周期的に変化する前記目標値信号の波形とを波形一周期毎に比較し、この比較結果として得られた双方の波形のずれ量に基づき前記増幅率および前記零点の補正に関する計算処理を波形一周期毎に行うとともに、この計算処理を行う際に前記アルゴリズムを切り替えるか否かを波形一周期毎に判断する構成とされていることを特徴とする疲労試験機。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の疲労試験機において、
    前記制御手段は、
    前記フィードバック制御をデジタル処理で行うデジタルコントローラと、
    このデジタルコントローラに接続されてデジタルコントローラとの間で情報の送受信を行うことにより前記フィードバック制御に関する処理以外の処理を行う外部処理装置とを備えて構成され、
    前記外部処理装置は、
    試験中以外の状態で前記アクチュエータ部を動作させる場合に使用する待機中画面を表示する処理およびこの待機中画面を用いて行われる実験者による前記アクチュエータ部に対する操作入力を受け付ける処理を行う待機中画面表示・入力受付処理手段と、
    試験条件を設定するための試験条件設定画面を表示する処理およびこの試験条件設定画面を用いて行われる前記実験者による前記試験条件の設定入力を受け付ける処理を行う試験条件設定画面表示・入力受付処理手段と、
    試験中に試験状況をモニタする試験中画面を表示する処理およびこの試験中画面を用いて行われる前記実験者による入力を受け付ける処理を行う試験中画面表示・入力受付処理手段とを備え
    前記試験条件設定画面表示・入力受付処理手段は、前記試験条件設定画面で前記試験条件として、最大応力および最小応力の組合せ、最大応力および応力比の組合せ、最小応力および応力比の組合せのうちのいずれかの組合せ、並びに試験片直径の入力を受け付ける構成とされ、
    前記試験中画面表示・入力受付処理手段は、前記試験中画面で前記試験状況として、応力のグラフ表示を行う構成とされている
    ことを特徴とする疲労試験機。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の疲労試験機において、
    前記試験片取付部は、前記アクチュエータ部による荷重方向に沿う方向に配置される状態で前記試験片を取り付ける構成とされ、
    記試験片取付部には、前記試験片の両側の端部をそれぞれ掴む掴み部が設けられ、これらの各掴み部には、前記試験片の両側の端面がそれぞれ当接される試験片当接面が形成され、
    前記試験片の両側の端面は、平行度0.01を満たし、かつ、試験機本体構成部品の各面のうち、対向する前記各掴み部の試験片当接面同士の平行度を規定する役割を果たす各面も、全て平行度0.01を満たす状態で仕上げられているとともに、
    前記試験片を前記試験片取付部に取り付けた状態で、前記試験片の各端部の外周面と前記各掴み部との間に隙間が形成され、試験本番で用いる前記試験片の各端部の外周面と前記各掴み部とのはめ合いの隙間は、試験前に行う調芯作業で用いる調芯用ダミー試験片の各端部の外周面と前記各掴み部とのはめ合いの隙間よりも大きい
    ことを特徴とする疲労試験機。
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