JP4171888B2 - 自動車用導体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤーハーネスなどに利用される自動車用導体に関するものである。特に、より軽量な自動車用導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車には、通常、車両内にワイヤーハーネス(内部配線)が配備されており、ワイヤーハーネスにより車両内の電装品への電源、通信、センシングなどを行っている。ワイヤーハーネスは、主に、自動車用電線、保護材、コネクタ類から構成される。上記自動車用電線として、従来、図2に示すものが知られている。図2は、従来の自動車用電線の断面模式図である。従来の自動車用電線100は、通常、素線101を7本撚り合わせて導体102を構成し、導体102の外周に塩化ビニルなどの樹脂被覆103を施している。導体102を構成する素線101は、線径rがφ0.32mm、φ0.26mmの銅線が一般的である。また、導体102は、線径rがφ0.32mmの場合、導体径R:φ1.0mm、断面積:約0.56mm2(公称断面積0.5sq)のもの、線径rがφ0.26mmの場合、導体径R:0.8mm、断面積:約0.37mm2(同0.3sq)のものが一般的である。なお、図2において、導体102の断面積が約0.56mm2の場合、電線100の径R0は、φ2.0mm、同約0.37mm2の場合、電線100の径R0は、φ1.4mmが一般的である。
【0003】
近年、地球温暖化に代表される環境問題がクローズアップされている。そこで、従来のガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの自動車において、より低燃費化を進めるべく、車両の軽量化が叫ばれている。一方、エレクトロニクスの進歩につれて、ますます多岐にわたる回路が増加したことから、ワイヤーハーネスの重量も増加傾向にあり、一般的な自動車1台当りの重量が約25kg程度となっている。上記重量のうち、約60%を自動車用電線、約15%を保護材、約10%をコネクタ類が占めている。そこで、車両の軽量化に当り、上記ワイヤーハーネスの重量、特に、高重量を占める自動車用電線の重量を軽減することが検討されている。
【0004】
自動車用電線の軽減方法として、例えば、より細径の素線を用いたり、樹脂被覆の厚みを薄くして軽量設計されているISO規格の電線を採用することが検討されている。或いは、図3に示すように素線111を撚り合わせた後、ダイスに通して圧縮した導体112が採用されている。図2に示す電線110では、導体112の断面積を約0.5mm2とする場合、導体径R'がφ0.9mm、電線110の径R1がφ1.6mmであり、図2に示す電線100よりも導体径を細くすることができる。図3に示すような圧縮導体をより安定して製造するために、中心素線に高硬度線を用い、その外周素線に低硬度線を用いた複合撚り線が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
その他、自動車用電線ではないが、トロリー線やケーブルなどの吊架線として、銅線と亜鉛めっきステンレス線とを撚り合わせたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平1-225006号公報(特許請求の範囲参照)
【特許文献2】
特公昭63-23015号公報(特許請求の範囲参照)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ワイヤーハーネスに用いられる自動車用電線の導体は、上記のように素線の複合体又は単体であり、その断面積は一般に約0.5mm2(公称断面積0.5sq)、約0.3mm2(同0.3sq)であるが、近年、車両を軽量にすべくより細径に、具体的には断面積が0.5mm2(同0.5sq)は0.3mm2(同0.3sq)以下に、0.3mm2(同0.3sq)は0.2mm2(同0.2sq)以下に、更に0.15mm2(同0.15sq)、0.1mm2(同0.1sq)にすることが要求されている。しかし、従来の自動車用導体では、細径化することで、破断強度が低くなるという問題がある。
【0008】
ワイヤーハーネスに用いられる自動車用電線の導体に要求される破断強度は、一般に、断面積約0.1〜0.3mm2(公称断面積0.1〜0.3sq)で80N(ニュートン)である。導体の破断強度は、通常、断面積を小さくすることで低下する傾向にある。そのため、導体の公称断面積を0.3sq以下にするべく素線の断面積を小さくすると、破断強度が80N以下になり、導体が破断し易くなる恐れがある。
【0009】
その他、特許文献1に記載される導体は、素線を撚り合わせた後、圧縮工程を必要とするため、より効率よく製造することが求められている。
【0010】
ここで、自動車用電線の導体の抵抗値は、信号や電流を流すために電圧降下を考慮して許容電流値の限界を0.5A(アンペア)とすると、0.65Ω/m以下、望ましくは0.6Ω/m以下にすることが要求されている。
【0011】
従って、破断強度が80N以上で、特に電気抵抗が0.65Ω/m以下であり、かつ導体の公称断面積が0.3sq以下、特に、0.2sq以下ならば、ワイヤーハーネスに用いられる自動車用電線の軽量化が実現できることになる。そこで、本発明の主目的は、破断強度を低下させることなく、より軽量な自動車用導体を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、素線に銅などの線と複数のステンレス線とを組み合わせて用いることで上記目的を達成する。
【0013】
即ち、本発明自動車用導体は、ステンレスからなる第一素線を複数本と、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅被覆アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の第二素線とを7本以上組み合わせて構成されることを特徴とする。
【0014】
本発明者らは、上記の問題を改善すべく、種々の実験や評価を行った結果、以下の知見を得た。即ち、導体を構成する素線として、80N以上の破断強度を確保するために複数のステンレス線を用いると共に、導電率の低下を防止するために電気の良導体となる銅などの金属線を用い、これらを複数本組み合わせることが好ましいとの知見を得た。この知見に基づき、上記構成を規定するものである。
【0015】
上記構成を具える本発明自動車用導体は、ステンレス線を複数具えることで、細径の素線を用いても破断強度の低下による破断を抑制することができる。かつ、銅などの良導体の金属線を具えることで、電気抵抗が銅線などよりも高いステンレス線を複数有していても、電気抵抗の上昇を抑制することができる。以下、本発明をより詳しく説明する。
【0016】
本発明において第一素線は、ステンレスからなるものとする。ステンレスとしては、特に、クロム系ステンレス(鉄/クロム合金)、又はニッケルクロム系ステンレス(鉄/クロム/ニッケル合金)で形成されたものが好ましく、公知の化学成分のものを用いてもよい。クロム系ステンレスは、特に、フェライト系の場合、耐食性がよく好ましい。フェライト系の化学成分としては、炭素:0.4重量%未満、クロム:12重量%超18重量%未満が挙げられる。ニッケルクロム系ステンレスは、オーステナイト系であり、化学成分としては、炭素:0.15重量%未満、クロム:16重量%超26重量%未満、ニッケル:6重量%超25重量%未満が挙げられる。これらステンレスは、強度に優れるだけでなく、大量生産されて汎用されているため、比較的安価であり経済性がよく好ましい。その他、強度を向上させるためにモリブデンやアルミニウムなどが添加されたステンレスを用いてもよい。
【0017】
なお、高強度材として、例えば、ステンレス以外の鉄系高強度材やチタン系金属線材なども考えられる。しかし、前者の場合、水や塩水などで腐食され易く、自動車用導体の適応試験の塩水噴霧試験に合格できない恐れがある。自動車用電線は、水や塩水などが用いられるエンジンルーム内に配置されることがあるため、一般に、導体に対して塩水噴霧試験を行って適正を調べている。ステンレス以外の鉄系高強度材では、上記のように腐食され易いためこの塩水噴霧試験に合格しない恐れがある。一方、後者の場合、水や塩水などに対する耐食性は高いが、比較的高価であり、経済性を考慮すると好ましくない。そこで、本発明では、水や塩水の害などの環境面及び経済面を考慮して、ステンレスに規定する。
【0018】
上記ステンレスからなる第一素線は、破断強度を考慮すると3本以上具えることが好ましい。本発明者らは、本発明を検討するに当り、まず、破断強度について検討した。例えば、導体の断面積を約0.2mm2(公称断面積0.2sq)とする場合、線径:φ0.19mmの素線を7本撚り合わせて導体とする。同様に約0.1mm2(同0.1sq)とする場合、直径φ0.135mmの素線7本を撚り合わせて導体とする。このとき、破断強度を80N以上得ようとすると、前者の場合、ステンレスからなる第一素線が2本以上、後者の場合、同6本具えることが好ましいとの知見を得た。この知見に加えて、作業性、製造性(つくり易さ)などを考慮すると、例えば、7本の素線を撚り合わせて導体を作製する場合、ステンレスからなる第一素線は2本以上具えることが好ましいとの知見を得た。更に、ステンレスからなる第一素線を2本とすると、撚り合せて導体を形成する場合、第一素線の位置が非対称となることがあり、撚り合わせた導体の強度の安定性に欠ける恐れがあることがわかった。そこで、撚り合わせた導体の強度の安定性、作業性、製造性などを考慮して、ステンレスからなる第一素線は、3本以上と規定するものである。より具体的には、ステンレスからなる第一素線の占有断面積を導体全体の断面積に対して15〜88%、特に、25〜85%とすることが好ましい。但し、本発明導体においてステンレスからなる第一素線の割合が多すぎると、電気抵抗が大きくなる恐れがある。そのため、導体の公称断面積を0.3sq以下にした際、破断強度:80N以上で電気抵抗:0.65Ω/m以下を満たすには、第二素線として導電率100%IACSの銅線を用いた場合、公称断面積0.3sq、0.2sqでは、25〜86%、特に好ましくは40〜60%、同0.15sq、0.1sqでは、25〜72%、特に好ましくは、40〜60%とする。第二素線として導電率60%IACSのアルミニウム合金線を用いた場合、公称断面積0.3sq、0.2sqでは、25〜86%、特に好ましくは40〜60%、同0.15sq、0.1sqでは、25〜60%、特に好ましくは、40〜60%とする。なお、上記第一素線の占有断面積の割合を高くする場合は、電気抵抗が比較的高くてもよい信号用電線の導体に用いるとよい。
【0019】
上記ステンレスからなる第一素線と後述する銅などの金属線からなる第二素線との配置は、上記のように強度の安定性などを考慮して対称になるように行うことが好ましい。
【0020】
第二素線は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅被覆アルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種とする。従って、第二素線は、全て同種でもよいし、複数種のものを組み合わせて用いてもよい。自動車用電線の導体に用いられる素線は、一般に銅線、銅合金線が多いが、より軽量にするには、アルミニウム線、アルミニウム合金線、銅被覆アルミニウム線が好ましい。なお、銅線は、化学成分が銅及び不可避的不純物からなるものが挙げられる。銅合金線は、化学成分が銅と、Sn、Ag、Ni、Si、Cr、Zr、In、Al、Ti、Fe、P、Mg、Zn、Beよりなる群から選ばれる1種以上の元素と不可避的不純物とからなるものが挙げられる。アルミニウム線は、化学成分がアルミニウム及び不可避的不純物からなるものが挙げられる。アルミニウム合金線は、化学成分がアルミニウムと、Mg、Si、Cu、Ti、B、Mn、Cr、Ni、Fe、Sc、Zrよりなる群から選ばれる1種以上の元素と不可避的不純物とからなるものが挙げられる。銅被覆アルミニウム線は、上記アルミニウム線の外周にメッキ法やかん合法などで銅を被覆したものが挙げられる。
【0021】
本発明に用いる第一素線及び第二素線は、上記破断強度に加えて、導電率をも考慮して組み合わせることが好ましい。自動車用電線では、上記のように電気抵抗を0.65Ω/m以下にすることが求められており、この値を満足するには、導体の公称断面積が0.3sqの場合、7%IACS以上、同0.2sqの場合、13%IACS以上、同0.15sqの場合、17%IACS以上、同0.1sqの場合、25%IACS以上、より好ましくは、30%IACS以上にすることが望まれる。導電率は、高い方が好ましいため、本発明では、下限を20%IACS以上と規定する。また、本発明では、強度を維持するべくステンレスからなる第一素線を用いるため、導電率の最大値を85%IACSとする。なお、%IACSとは、国際軟銅標準(International Annealed Copper Standard)の電気抵抗値(1.7241×10-8Ω・m)に相当する導電率を100として相対比で表示したものである。
【0022】
上記各素線は、線径が小さい程、軽量な導体を実現することができる。具体的には、各素線の線径は、φ0.26mm以下が好ましく、特に、φ0.23mm未満とすると、より軽量効果が得られて好ましい。線径φ0.26mm以下の素線を用いることで、公称断面積が0.3sq以下の導体を得ることができる。また、線径φ0.2mm以下の素線を用いることで、公称断面積が0.2sq以下の導体を得ることができる。本発明は、このように細径の素線を用いることで、より細径の導体を得ることができると共に、細径であっても、破断強度及び導電率を考慮して素線を組み合わせることで、自動車用電線に十分に適した導体を提供することができる。
【0023】
本発明自動車用導体は、その外周に樹脂被覆を行い、自動車用電線に用いることが好適である。樹脂は、例えば、塩化ビニル、ノンハロゲン樹脂などが挙げられる。樹脂被覆を施した自動車用電線は、ワイヤーハーネスに用いることが好適である。このようなワイヤーハーネスは、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンの自動車や、電気自動車(EV)などの各種自動車において、その内部配線に用いられる。
【0024】
なお、本発明導体は、上記のような素線を撚り合わせるだけでなく、並列させて用いてもよい。そして、並列させた導体の外周に樹脂被覆を施してテープ状電線として用いてもよい。このようなテープ状電線の導体に用いても、本発明導体は、自動車用導体として、適当な破断強度と導電率とを有するものを提供することが可能である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(実施例1)
本発明導体を用いて自動車用電線を作製し、更に、この電線を用いてワイヤーハーネスを作製して、その特性と軽量効果を評価してみた。
【0026】
ワイヤーハーネスは、以下のようにして得た。まず、電気用導線とSUS304系ステンレス線を所定の寸法に伸線した後軟化して、所定の構成本数で撚り線とし、図1(A)〜(C)に示す本発明導体を得る(試料No.1〜6、9〜14)。図1(A)に示す導体1aは、ステンレス線(第一素線)2を3本、電気用導線(第二素線)3を4本用いた例、同(B)に示す導体1bは、ステンレス線2を4本、電気用導線3を3本用いた例、同(C)に示す導体1cは、ステンレス線2を6本、電気用導線3を1本用いた例である。これら導体1a〜1cの外周に塩化ビニルを所定厚みに被覆して自動車用電線を製造する。次に、得られた電線を定尺長に切断した後、電線の先端を皮むきして金属端子を圧着させる。そして、この端子をハウジング中に挿入し、約200本からなるサブアッシーを束ねて保護材をかぶせ、ワイヤーハーネスを得る。
【0027】
本例においてSUS304系ステンレス線は、JIS G 4308相当品を用いた。電気用導線は、自動車用電線として用いられている一般的な電気銅線の他、アルミニウム線(Al)、銅被覆アルミニウム線(銅/Al)を用いた。また、本例では、図1に示すように、いずれの試料も、対称形状となるようにステンレス線と電気用導線を配置した。
【0028】
比較例として、上記のステンレス線を1本、銅線を6本用いた導体(試料No.7、8)、電気銅線のみを用いた導体(試料No.15)、中心素線にステンレス線(JIS G 4308相当品)を用い、外周素線に電気銅線を用い、これら素線を撚り合せた後圧縮した導体(試料No.16)を作製した。これら比較試料は、各素線の構成本数や導体の形状を変化させたものであり、その他の製造工程は、上記試料No.1〜6及び9〜14と同様にしてワイヤーハーネスを得た。表1に特性及び軽量効果の評価の結果を示す。軽量効果の評価は、導体の単位あたりの重量(g/m)と、試料No.15を100とした重量の割合(比%)により行った。
【0029】
【表1】
【0030】
表1に示すように試料No.1〜6及び9〜14は、銅などの金属線と複数のステンレス線とを組み合わせることで、導体が銅のみからなる従来の試料No.15、圧縮導体の試料No.16と比較して重量が小さく、軽量であると共に、優れた破断強度や低い電気抵抗を有することがわかる。また、アルミニウム線や銅被覆アルミニウム線を用いた試料No.9〜14は、より軽量であることがわかる。更に、ステンレス線と電気用導線の構成本数を変化させて、破断強度:80N以上、電気抵抗:0.65Ω/m以下である試料No.1〜5、11、12は、軽量化と共に、自動車用導体に十分に適することがわかる。加えて、ステンレス線の占有断面積の割合(占有率(%))が40〜60%であれば、破断強度:80N以上、導電率:20%IACS以上とすることができると推測される。試料No.6、13、14は、ステンレス線の占有率が高いことから優れた破断強度を有するが、断面積が小さいことで電気抵抗が比較的高い。従って、電気抵抗が比較的高くてもよい信号用電線の導体に適用するとよい。一方、ステンレス線を1本用いた試料No.7、8では、破断強度が小さすぎることがわかる。
【0031】
自動車の電気システムは、現行12V(作動電圧14V)が一般であるが、燃費の向上やCO2削減などに対して、より高電圧とする42V((14×3)V)が叫ばれている。これに対して、本発明は、上記の結果に示すように導体の細径化、具体的には公称断面積を0.3sq→0.2sq、特に0.1sqに、また軽量化が可能である。このことからも本発明導体は、自動車用導体としてふさわしいものといえる。
【0032】
(実施例2)
上記実施例1では、7本撚りの導体を検討してみた。本実施例では、19本撚りの導体を作製し、上記実施例1と同様に特性と軽量効果を評価してみた。本例では、上記実施例1に用いたものと同様のステンレス線(線径φ0.1mm):7本、電気用導線(線径φ0.1mm、電気銅線):12本を用い、実施例1と同様にして図1(D)に示す導体1dを得た(試料No.2-1、断面積:約0.15mm2、ステンレス線の占有断面積の割合:約37%)。この導体dを用いて実施例1と同様の工程でワイヤーハーネスを得た。また、比較例として、上記試料No.15、16と同様の構造の導体を同様の方法にて作製し、その導体を用いてやはり同様の方法にてワイヤーハーネスを得た。具体的には、上記実施例1の試料No.15と同様の銅線(線径:φ0.26mmの素線)を19本用い、導体が銅線のみからなる試料No.2-2(導体の断面積:1.0mm2)、上記実施例1の試料No.16と同様のステンレス線(線径:φ0.26mm)、銅線(圧縮前の線径:φ0.26mm)を用い、中心素線にステンレス線、外周素線に銅線(18本)を用い、撚り合わせた後、圧縮した試料No.2-3(導体の断面積:0.9mm2)を作製した。
【0033】
その結果、試料No.2-1は、重量:1.8g/m、破断強度:86N、導電率:63%IACS、試料No.2-2は、重量:12.6g/m、破断強度:230N、導電率:100%IACS、試料No.2-3は、重量:11.2g/m、破断強度:250N、導電率:95%IACSであった。このことから、本発明は、上記実施例1と同様に、導体が銅のみからなる従来の試料No.2-2や圧縮導体の試料No.2-3と比較して軽量化が実現できることがわかる。また、上記実施例1と同様に、破断強度が80N以上、導電率が20%以上IACSとすることで、軽量化と共に、自動車用導体に十分に適することがわかる。
【0034】
上記実施例1、2の他に、複数のステンレス線と電気用導線とを用い、これら素線を並列に並べてテープ状電線を作製し、同様にその特性と重量を調べたところ、上記実施例1、2と同様の結果が得られた。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように本発明自動車用導体によれば、複数のステンレスからなる第一素線と、銅などの金属からなる第二素線とを用い、複数本組み合わせることで、従来と比較して、軽量化することができるという優れた効果を奏し得る。また、本発明は、従来のように圧縮をしておらず、従来と比較して製造工程が少なく、生産性にも優れる。更に、本発明は、より細径である素線を用いて細径の導体としても、第一素線と第二素線とを適当に組み合わせることで、高い破断強度や優れた導電率を確保することができる。従って、本発明自動車用導体は、自動車用のワイヤーハーネスに適するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明自動車用導体の断面模式図であり、(A)は、第一素線を3本、第二素線を4本組み合わせたもの、(B)は、第一素線を4本、第二素線を3本組み合わせたもの、(C)は、第一素線を6本、第二素線を1本組み合わせたもの、(D)は、第一素線を7本、第二素線を12本組み合わせたものである。
【図2】従来の自動車用電線の断面模式図である。
【図3】圧縮導体を具える従来の自動車用電線の断面模式図である。
【符号の説明】
1a〜1c 導体 2 ステンレス線 3 電気用導線
110、110 自動車用電線 101、111 素線 102、112 導体 103 樹脂被覆
r 線径 R、R' 導体径 R0、R1 電線の径
Claims (4)
- 最終線径にて軟化されたステンレスからなる第一素線を複数本と、
銅および銅合金の少なくとも一種の第二素線とを7本撚り合わせて構成され、
前記第一素線及び第二素線は、線径がφ 0.2mm 以下であり、
第一素線の占有断面積を導体全体の断面積に対して43%以上86%以下としたことを特徴とする自動車用導体。 - 前記第一素線と第二素線の太さが実質的に同一であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用導体。
- 第一素線は、3本以上であり、クロム系ステンレス又はニッケルクロム系ステンレスからなることを特徴とする請求項1または 2に記載の自動車用導体。
- 導体の導電率が20%IACS以上85%IACS以下であることを特徴とする請求項1 〜 3のいずれか1項に記載の自動車用導体。
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