JP4171366B2 - 食器洗い機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、洗浄タンク内に収容された食器に向けて洗浄水を噴射することにより食器を洗浄することができる食器洗い機に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、食器洗い機は、洗浄タンク内に溜めた水に専用洗剤を混ぜ合わせることにより洗浄水を生成し、その洗浄水を食器に向けて噴射することにより食器を洗浄することができるようになっている(たとえば、特許文献1参照)。洗浄タンク内には複数のノズルが配置されており、洗浄タンク内に溜められた洗浄水は、洗浄ポンプにより吸い込まれて複数のノズルから食器に向けて噴射される。そして、噴射された洗浄水は洗浄タンク内に溜まり、再び複数のノズルから食器に向けて噴射される。
【0003】
食器洗い機では、複数のノズルから勢いよく洗浄水を噴射させるとともに、洗浄タンク内の洗浄水を上記のように循環させて使用するため、食器を手洗いする場合よりも洗剤が泡立ちやすい。特に、食器を一度手洗いした後に食器洗い機で洗浄する場合のように、食器に付着している汚れが少ない場合には、洗剤がさらに泡立ちやすく、洗浄タンク内に大量の泡が生じるおそれがある。洗浄タンク内で泡が大量に発生すると、洗浄性能が低下したり、機外に泡が漏れたりするなどの問題が生じるため、専用洗剤は、手洗い時に使用する一般の台所洗剤よりも泡立ちにくくなっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−140919号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
専用洗剤をわざわざ用意するのは面倒であり、台所洗剤を使用して食器の洗浄を行うことができれば便利である。しかしながら、台所洗剤は専用洗剤と異なる特質(温度によって洗浄性能が異なるなど)を有しているため、台所洗剤を用いて食器を洗浄する場合には、台所洗剤の使用に適した態様で食器の洗浄を行わなければ、良好に食器を洗浄できないおそれがある。
【0006】
また、ユーザによっては、台所洗剤を用いて食器を手洗いした後、すすぎだけを食器洗い機で行いたい場合がある。しかしながら、台所洗剤を用いて手洗いした後の食器に洗剤成分が残っている場合には、すすぎ中に洗浄タンク内に大量の泡が生じるおそれがある。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、台所洗剤を用いて食器を洗浄する場合でもより良好に食器を洗浄することができる食器洗い機を提供することを目的とする。
【0007】
また、この発明の別の目的は、収容タンク内(洗浄タンク内)に泡が大量に発生するのを防止できる食器洗い機を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0012】
この発明は、専用洗剤を用いて食器の洗浄を行う専用洗剤コースと、台所洗剤を用いて食器の洗浄を行う台所洗剤コースとを実行可能な食器洗い機(1)であって、洗浄水が溜められる収容タンク(3)と、洗浄のために上記収容タンク内に湯を供給する際、台所洗剤コースであるときには、上記収容タンク内に溜まっていく湯を排水しないが、専用洗剤コースであるときには、給湯開始から所定時間内は、上記収容タンク内に溜まっていく湯を排水する排水手段(20,81,S1)とを含むことを特徴とする食器洗い機である。
【0013】
この構成によれば、専用洗剤コースでは、収容タンク内に給湯を開始したときには常温の水道水が供給され、徐々に水道水の温度が上昇することとなる。したがって、排水手段により収容タンク内に溜められる湯を排水する処理を行うことにより、給湯開始時に収容タンク内に供給される常温の水道水を排水することができるので、収容タンク内に溜められる湯を十分に高温にすることができる。そして、収容タンク内に溜められる湯と専用洗剤とを混ぜ合わせて洗浄水を生成し、その洗浄水を食器に噴射することにより殺菌洗浄(高温洗浄)を行うことができる。
【0014】
一般的に、台所洗剤は、専用洗剤とは異なり、高温の水道水と混ぜ合わせられて洗浄水が生成された場合に洗浄性能が低下する。台所洗剤コースでは排水手段により収容タンク内に溜められる湯を排水する処理を行わない構成とすることにより、収容タンク内に溜められる湯の温度を比較的低くすることができるので、洗浄性能が低下するのを抑制できる。したがって、台所洗剤を用いて食器を洗浄する場合であっても、より良好に食器を洗浄することができる。
【0015】
また、台所洗剤は専用洗剤と異なり液体であるため、専用洗剤コースのように排水手段により収容タンク内に溜められる湯を排水する処理を行うと、収容タンク内に供給された台所洗剤がすべて機外に排出されてしまうおそれがあるが、台所洗剤コースでは排水手段により収容タンク内に溜められる湯を排水する処理を行わない構成とすることにより、収容タンク内に供給された台所洗剤がすべて機外に排出されてしまうのを防止できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る食器洗い機1を正面側から斜めに見た斜視図である。
図1を参照して、この食器洗い機1は、その外形が略直方体形状の筐体2により区画されている。筐体2は、左右方向の長さ(幅)に比べて前後方向の長さ(奥行き)が短く形成されている。
【0020】
筐体2の内部には、洗浄すべき食器を収容するための洗浄タンク3が配置されており、この洗浄タンク3の前面には開口4が形成されている(図2参照)。開口4は、筐体2に対して回動可能に取り付けられた2枚の扉(上扉5および下扉6)により覆うことができるようになっている。上扉5によって開口4の上半分程度を覆うことができ、下扉6によって開口4の下半分程度を覆うことができる。上扉5は手前上方に回動可能となっている一方、下扉6は手前下方に回動可能となっている。これらの上扉5および下扉6を閉じた状態では、開口4が覆われて、洗浄タンク3が水密に塞がれる。
【0021】
下扉6の上端部には、その左右方向の中央部に、当該下扉6を開く際にユーザが握るための把持部7が配置されている。ユーザは、把持部7を握って手前側に引くことにより、下扉6を手前下方に回動させることができる。上扉5は下扉6に連動して開閉するようになっていて、下扉6が手前下方に回動されると、それに連動して上扉5が手前上方に回動され、開口4が大きく開放される。
筐体2の前面下部には、この食器洗い機1における運転内容(運転コースなど)を設定したり、運転状況を表示したりするための操作表示パネル8が配置されている。
【0022】
図2は、食器洗い機1を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た断面図である。また、図3は、上扉5および下扉6を取り外した状態で食器洗い機1を前方から見た正面図である。ただし、図3では、食器洗い機1の下部を省略して示している。
図2および図3を参照して、洗浄タンク3内には、洗浄すべき食器を保持するための2つの食器かご9(上かご9Aおよび下かご9B)が、上下方向に一定間隔を開けて配置されている。上かご9Aおよび下かご9Bは、それぞれ前後方向にスライド可能に配置されていて、上扉5および下扉6を開いた状態で開口4を介して手前側に引き出し、食器の出し入れを容易に行うことができるようになっている。
【0023】
下かご9Bの右側の部分(右端から3分の1程度の範囲)は、中皿や大皿などの比較的大きな皿を立てた状態で収容可能な大皿収容部10となっている。また、下かご9Bの中央部から左側にかけての部分(左端から3分の2程度の範囲)は、茶碗、汁椀およびどんぶりなどの碗物を、横にして立てた状態で収容可能な碗収容部11となっている。
上かご9Aの右側の部分(右端から3分の1程度の範囲)は、小鉢を収容するための小鉢収容部12となっている。また、上かご9Aの中央部から左側にかけての部分(左端から3分の2程度の範囲)は、コップや湯のみなどを収容するためのコップ収容部13となっている。小鉢収容部12には、前後2列にそれぞれ2個ずつ(計4個)の小鉢を左右に並べて収容可能となっており、コップ収容部13には、前後3列にそれぞれ4個ずつ(計12個)のコップを左右に並べて収容可能となっている。小鉢収容部12に収容される小鉢、およびコップ収容部13に収容されるコップや湯のみなどは、それぞれ開口が下方を向くようにしてセットされる。
【0024】
大皿収容部10に収容する大皿などは、碗収容部11に収容する茶碗などよりも上下方向の収容スペースを要する一方、小鉢収容部12に収容する小鉢は、コップ収容部13に収容するコップなどよりも上下方向の収容スペースを要しない。そこで、この実施形態では、小鉢収容部12を大皿収容部10の上方に配置し、コップ収容部13を碗収容部11の上方に配置するような構成とし、さらにコップ収容部13を小鉢収容部12よりも1段低く形成することにより、上かご9Aおよび下かご9Bに効率よく食器を収容できるようになっている。なお、上かご9Aおよび下かご9Bの周縁部などの空きスペースには、小皿を立てた状態で収容することができるようになっている。
【0025】
洗浄タンク3の左右内側面3Aの上部には、上かご9Aの左右側縁部と係合して前後方向にスライド可能に保持するための2対のレール14が、上下方向に一定間隔を空けて平行に配置されている(図2では、各対の左側のレール14だけが見えている。)。この構成によれば、上下に並ぶ2対のレール14のいずれに上かご9Aの左右側縁部を係合させるかによって、上かご9Aの高さを2段階に切り替えることができる。上かご9Aの左右側縁部を上側のレール14に係合させて、上かご9Aを高い方の位置に保持すれば、大皿収容部10の上方に比較的大きな空間を形成することができるので、特に大きな大皿であっても大皿収容部10に良好に収容することができる。
【0026】
図4は、食器洗い機1を前後方向に沿った水平面で切断したときの断面を上方から見た断面図であって、下扉6を開いた状態を示している。
図2〜図4を参照して、洗浄タンク3の底面3Bの手前側左部には、洗浄水を溜めておくための貯水部15が、一段低く形成されている。洗浄タンク3内には、たとえば、機外の給水設備や給湯設備から水道水を供給することができるようになっていて、洗浄タンク3内に供給された水道水は、貯水部15を含む洗浄タンク3の下部に溜まるようになっている。給水設備から洗浄タンク3内への水道水の供給、および給湯設備から洗浄タンク3内への水道水(湯)の供給は、給水バルブ84(図6参照)の開閉により行われる。給湯設備から給水バルブ84を介して洗浄タンク3内に湯を供給する場合には、たとえば操作表示パネル8の操作によってその旨の設定を行う。食器の洗浄に使用する洗浄水は、洗浄タンク3内に洗剤を投入することにより、その洗剤が洗浄タンク3内に供給された水道水と混ぜ合わされて生成される。
【0027】
洗浄タンク3内に溜められた洗浄水(または水道水)の水位は、洗浄タンク3の後方下部に配置された水位センサ16(圧力センサ)によって検知される。貯水部15にはエアトラップ17が連通していて、このエアトラップ17と水位センサ16とがエアホース18で接続されている。このような構成によれば、洗浄タンク3内の水位の変化に応じてエアトラップ17内の空気の圧力が変化するので、このエアトラップ17内の空気の圧力の変化を水位センサ16で検知することにより、洗浄タンク3内に溜められた洗浄水の水位を検知することができる。
【0028】
下扉6の内面(閉じた状態で洗浄タンク3側となる面)には、そのほぼ中央部に専用洗剤(通常は粉末)を収容するための凹部(専用洗剤収容部19A)が形成されていて、この専用洗剤収容部19Aの左側に台所洗剤(通常は液体)を収容するための凹部(台所洗剤収容部19B)が形成されている(図4参照)。この食器洗い機1では、専用洗剤収容部19Aに専用洗剤を収容し、その専用洗剤を洗浄タンク3内に供給された水道水と混ぜ合わせて食器の洗浄を行うコース(専用洗剤コース)や、台所洗剤収容部19Bに台所洗剤を収容し、その台所洗剤を洗浄タンク3内に供給された水道水と混ぜ合わせて食器の洗浄を行うコース(台所洗剤コース)などの各種運転コースを実行可能である。
【0029】
専用洗剤収容部19Aおよび台所洗剤収容部19Bは、それぞれ異なる形状で形成されている。すなわち、専用洗剤収容部19Aは平面視で略長方形に形成されている一方、台所洗剤収容部19Bは平面視で略円形に形成されている。下扉6を開いた状態では、専用洗剤収容部19Aおよび台所洗剤収容部19Bの開口がそれぞれ上を向いた状態となり、専用洗剤および台所洗剤を収容することが可能になる。専用洗剤収容部19Aに専用洗剤を収容した後、または台所洗剤収容部19Bに台所洗剤を収容した後、下扉6を閉じると、専用洗剤収容部19Aに収容されている専用洗剤または台所洗剤収容部19Bに収容されている台所洗剤が洗浄タンク3内に落下し、洗浄タンク3内に供給される水道水と混ぜ合わせられる。
【0030】
台所洗剤コースで食器の洗浄を行う場合、使用する台所洗剤の量は、5ml程度が好ましい。台所洗剤には、中性、弱アルカリ性および弱酸性のものがあるが、洗剤量を5ml程度にすれば、いずれの種類の台所洗剤を使用した場合でも、食器を十分に洗浄することができる。
洗浄タンク3の下方(貯水部15の後方)には、食器の洗浄時に洗浄タンク3内の洗浄水を循環させたり、洗浄タンク3内の洗浄水を排水したりするための洗浄兼排水ポンプ20が配置されている。図2においては図示しないが、洗浄兼排水ポンプ20は、その内部が洗浄ポンプ室と排水ポンプ室とに区画されていて、洗浄ポンプ室および排水ポンプ室には、それぞれポンプモータ83(図6参照)によって回転駆動可能な洗浄用インペラおよび排水用インペラが備えられている。
【0031】
洗浄ポンプ室の吸入口21は、貯水部15の後壁に形成された循環口22に接続されていて、洗浄ポンプ室の吐出口23は、洗浄タンク3の下方に左右方向に沿って延設された通水路24に接続されている。この通水路24は、後述する回転ノズルアームおよび固定ノズルアームに接続されている。ポンプモータ83が正転されると、洗浄ポンプ室内の洗浄用インペラの回転によって、貯水部15から循環口22を介して洗浄ポンプ室内に洗浄水が吸い込まれ、その洗浄水が吐出口23から通水路24に送り出される。通水路24を介して圧送された洗浄水は、回転ノズルアームおよび固定ノズルアームから洗浄タンク3内の食器に向けて噴射される。回転ノズルアームおよび固定ノズルアームから噴射された洗浄水は、再び洗浄タンク3の底部に溜まり、貯水部15から循環口22を介して洗浄兼排水ポンプ20(洗浄ポンプ室)に吸い込まれる。このようにして、貯水部15に溜められた洗浄水は、食器洗い機1内で循環されて、食器の洗浄に使用されるようになっている。
【0032】
また、排水ポンプ室の吸込口は貯水部15の左側壁に形成された排水口25に接続されていて、排水ポンプ室の吐出口は機外に連通する排水路(図示せず)に接続されている。ポンプモータ83が反転されると、排水ポンプ室内の排水用インペラの回転によって、貯水部15から排水口25を介して排水ポンプ室内に洗浄水が吸い込まれ、その洗浄水が排水路を介して機外に排出される。
洗浄タンク3の底部には、下かご9Bの下方から上方に向かって洗浄水を噴射するための2つの回転ノズルアーム26が、左右に並べて配置されている。これら2つの回転ノズルアーム26は、それぞれ略楕円状の長尺形状を有していて、共通のノズルベース27により、それぞれの長手方向中央部を中心にして、水平面内で回転可能に保持されている。ノズルベース27は、通水路24に連通している。
【0033】
各回転ノズルアーム26の上面には、複数(たとえば、6個)のノズル28が形成されている。洗浄兼排水ポンプ20から通水路24およびノズルベース27を介して各回転ノズルアーム26に送られてきた洗浄水は、各回転ノズルアーム26のノズル28から上方に向かって噴射される。各回転ノズルアーム26のノズル28から洗浄水が噴射される際、各回転ノズルアーム26に対して反力が生じ、その反力によって、各回転ノズルアーム26はノズル28から洗浄水を噴射しつつ回転することとなる。これにより、各回転ノズルアーム26の上方に位置する食器に満遍なく洗浄水を噴射して、良好に洗浄を行うことができる。
【0034】
洗浄タンク3の後面3C(内面)には、上かご9Aと下かご9Bとの間から洗浄水を噴射するための固定ノズルアーム29が配置されている。固定ノズルアーム29は、その下端から上方に延びた後、途中から第1アーム30と第2アーム31とに分岐した形状となっている。固定ノズルアーム29は、その下端が通水路24に連通している。
第1アーム30は、上かご9Aのコップ収容部13よりもやや低い位置で左方に分岐して、後面3Cの左端近傍まで略水平に延びている。第1アーム30には、コップ収容部13の最後列(3列目)に収容されたコップに向けて上方に洗浄水を噴射するためのノズル32が、コップ収容部13の最後列に収容可能なコップの数と同じ数(4個)だけ備えられている。各ノズル32は、コップ収容部13の最後列に収容される4つのコップに対応付けられていて、対応するコップ内に洗浄水を噴射することができるようになっている。
【0035】
第2アーム31は、第1アーム30の分岐位置よりもさらに上方まで延びた後、小鉢収容部12よりもやや低い位置で右方に屈曲し、後面3Cの右端近傍まで略水平に延びている。第2アーム31には、小鉢収容部12に収容された小鉢に向けて上方に洗浄水を噴射するための複数(たとえば、3つ)のノズル33が備えられている。また、第2アーム31には、大皿収容部10に収容された大皿に向けて下方に洗浄水を噴射するためのインペラ型のノズル34が複数(たとえば、2つ)備えられている。このインペラ型のノズル34では、洗浄水の噴射に伴ってインペラが回転し、広範囲に洗浄水を撒き散らすことができる。このインペラ型のノズル34により、右側の回転ノズルアーム26からの洗浄水が届きにくい大皿の上部分に洗浄水を噴射することができる。
【0036】
洗浄タンク3の天面3D(内面)には、コップ収容部13の中央部のほぼ真上の位置に、下方に向けて洗浄水を噴射するための天面ノズル35が配置されている。この天面ノズル35は、送水管36を介して洗浄兼排水ポンプ20の洗浄ポンプ室に接続されている。したがって、ポンプモータ83が正転して洗浄ポンプ室内の洗浄用インペラが回転すると、貯水部15から循環口22を介して洗浄ポンプ室に吸い込まれた洗浄水が、送水管36を介して天面ノズル35に送られ、天面ノズル35から下方に噴射される。天面ノズル35からの洗浄水は、左右方向に拡散されて、当該天面ノズル35の真下に近い位置と、天面ノズル35よりも後方側の位置とに噴射される。これにより、コップ収容部13の2列目および3列目に収容されたコップの外面を良好に洗浄することができる(図2参照)。
【0037】
貯水部15の上縁部には、メッシュ状の残菜フィルタ37が着脱可能に配置されていて、洗浄時に食器から分離した残菜は、この残菜フィルタ37により捕獲され、貯水部15への流入が阻止されるようになっている。残菜フィルタ37の前端中央部には、上方に延びる把持部38が形成されており、ユーザは、この把持部38を掴んで残菜フィルタ37の着脱を容易に行うことができるようになっている。
【0038】
この食器洗い機1は、洗浄後の食器を乾燥させる機能を有している。洗浄タンク3の底面3Bの前側中央部から右端にかけての部分(貯水部15の右側)には、洗浄時に洗浄タンク3内に溜められた洗浄水を温めたり、乾燥時に洗浄タンク3内の空気を温めたりするためのループ状のヒータ39が配置されている。ヒータ39の上方には、複数の貫通孔(図示せず)が形成された金属製のヒータカバー40が配置されている。
【0039】
筐体2の前面の左右両端縁部(洗浄タンク3よりも外側)には、上下方向に延びる防音用シール41が取り付けられている(図3参照)。また、筐体2の前面の左右両端部(洗浄タンク3の左右内側面3A寄りの位置)には、防音用シール41に対して一定の間隔を空けて、上下方向に延びる水封用パッキン87が取付けられている。水封用パッキン87は、洗浄タンク3内の洗浄水が機外に漏れるのを防止するためのものである。上扉5および下扉6を閉じた状態では、上扉5および下扉6の裏面の左右両端部が、水封用パッキン87および防音用シール41に密着するようになっている。
【0040】
筐体2の前面の左右両端部には、防音用シール41と水封用パッキン87との間に、アーム用開口88Aおよび爪用開口88Bが形成されている。アーム用開口88Aは、上扉5と下扉6とを連動させるために上扉5に連結されるアーム(図示せず)を通す開口であって、筐体2の前面の上端から下方に向かって、開口4の上下方向中央部近傍まで(上扉5を閉じた状態で上扉5の左右両端部の後側となる位置)延びている。爪用開口88Bは、下扉6を筐体2に係合させて閉状態に保持するために下扉6の左右両端部の上端部に配置された爪(図示せず)を通す開口であって、筐体2の前面における開口4の上下方向中央部よりもやや下方(下扉6を閉じた状態で下扉6の上端部の後側となる位置)に配置されている。
【0041】
この構成によれば、洗浄タンク3内から水封用パッキン87を通って漏れてきた音を遮断することができるとともに、アーム用開口88Aおよび爪用開口88Bから漏れてくる音(洗浄水が洗浄タンク3の内面にぶつかるときに生じる音など)を遮断することができる。したがって、当該食器洗い機1の運転時(特に洗浄時)に機内から外部に漏れる音を低減することができる。
図5は、洗浄タンク3を右側から見た側面図であって、風路部材69の内部が見えるように概略的に示している。
【0042】
図5を参照して、洗浄タンク3の右側壁には、送風装置(図示せず)から洗浄タンク3内に機外の空気を送り込む際の風路を構成する風路部材69が外側から取り付けられている。風路部材69は、中空状の部材であって、洗浄タンク3の右側方の中央下部から上方に向かって延びる根元部70と、根元部70の上端から後側斜め上方に延びる第1傾斜部71と、第1傾斜部71の上端から上方に延びた後、略U字状に湾曲して下方に向かう湾曲部72と、湾曲部72の下端から手前側斜め下方に延びる第2傾斜部73と、第2傾斜部73の下端から下方に延び、洗浄タンク3の右側壁の前方下部に形成された送風口75に接続された終端部74とを備えている。
【0043】
風路部材69の根元部70の下端は送風装置に接続されていて、送風装置に備えられたブロワモータ85(図6参照)が駆動することにより、機外の空気が風路部材69内へと吸い込まれるようになっている。送風装置によって機内に吸い込まれた機外の空気は、風路部材69を通って送風口75から洗浄タンク3内に送り込まれる。送風口75はヒータ39のやや上方に位置しており、送風口75から洗浄タンク3内の底部に送り込まれた空気は、ヒータ39によって温められる。
【0044】
風路部材69の終端部74内には、洗浄タンク3内に生じた泡を検知するための泡検知センサ76が配置されている。この泡検知センサ76は、たとえば光センサであって、終端部74の後面に取り付けられ、前方(若干前下がり方向)に向かって光を照射するための発光部76Aと、この発光部76Aに対向するように終端部74の前面に取り付けられ、発光部76Aから照射された光を受光するための受光部76Bとを備えている。洗浄タンク3内で泡が大量に生じた場合、その泡が送風口75を介して風路部材69内(終端部74内)に入り込む。そして、風路部材69内に入り込んだ泡が、発光部76Aから照射される光の光軸まで到達した場合には、受光部76Bで受光される光量が減少することとなる。このように、受光部76Bで検知する光量の変化に基づいて、洗浄タンク3内における泡の発生状態を検知することができる。
【0045】
風路部材69の湾曲部72の第2傾斜部73側の端部には、排水路から分岐した分岐ホース77の先端部が接続されている。排水時には、洗浄兼排水ポンプ20の排水ポンプ室から排出される洗浄水の一部が、分岐ホース77を通って風路部材69内に導かれ、湾曲部72から第2傾斜部73に向かって落下する。風路部材69の第2傾斜部73内には、この第2傾斜部73が延びる方向と同じ方向に延びる第1リブ78が形成されている。この第1リブ78は、第2傾斜部73の上端部から下端部まで延びていて、分岐ホース77から第2傾斜部73内に落下した洗浄水は、第1リブ78に沿って下方に導かれる。
【0046】
第2傾斜部73の下端部には、略逆V字状の第2リブ79が、第1リブ78の下端に対して一定の間隔を空けて配置されている。第1リブ78に沿って下方に導かれた洗浄水は、第2リブ79の頂上部に落下するようになっていて、これにより、第2リブ79上に落下した洗浄水は、前方および後方に分散されるようになっている。第2リブ79の後端および前端は、それぞれ泡検知センサ76の発光部76Aおよび受光部76Bの近傍に位置しており、第2リブ79上を流れる洗浄水は、発光部76Aおよび受光部76Bにかかるようになっている。この構成によれば、排水時に、風路部材69内に供給された洗浄水によって、発光部76Aおよび受光部76Bに付着した泡などの汚れを洗い流すことができる。
【0047】
図6は、この食器洗い機1の電気的構成を示すブロック図である。
図6を参照して、この食器洗い機1の動作は、たとえばマイクロコンピュータを含む制御部81によって制御される。制御部81には、操作表示パネル8が入出力可能に接続されている他、水位センサ16および泡検知センサ76からの信号が入力されるようになっている。
この実施形態では、洗浄タンク3の底部(たとえば、ヒータ39の下方)に、洗浄タンク3内に溜められた洗浄水(または水道水)の温度を検知するための温度センサ82が配置されている。この温度センサ82はサーミスタを含む構成であって、制御部81には、温度センサ82からの信号も入力されるようになっている。
【0048】
また、制御部81には、ポンプモータ83、給水バルブ84、ヒータ39およびブロワモータ85が、負荷駆動部86を介して接続されている。温度センサ82からの信号に基づいてヒータ39の駆動を制御することにより、洗浄タンク3内に溜められた洗浄水(または水道水)の温度を調整することができる。
図7は、専用洗剤コースにおける制御部81による制御の流れを示すフローチャートであって、給湯設備から洗浄タンク3内に湯を供給するよう設定されている場合を示している。
【0049】
図7を参照して、専用洗剤コースでは、制御部81は、まず、給水バルブ84を一定時間だけ開いて洗浄タンク3内に水道水(湯)を供給しつつ、ポンプモータ83を反転させて洗浄タンク3内(貯水部15内)の水道水を機外に排出させる準備行程を行う(ステップS1)。
この食器洗い機1は、機外の給湯設備から洗浄タンク3内に湯を供給して、その洗浄タンク3内に供給した湯と専用洗剤とを混ぜ合わせて洗浄水を生成し、その洗浄水を食器に噴射することにより殺菌洗浄を行うことができるようになっている(高温洗浄)。高温洗浄を行う場合、給湯設備から洗浄タンク3内に給湯を開始したときには常温の水道水が供給され、徐々に水道水の温度が上昇することとなる。したがって、準備行程を行うことにより、給湯開始時に洗浄タンク3内に供給される常温の水道水を排水することができるので、洗浄タンク3内に溜められる湯を十分に高温にすることができる。
【0050】
準備行程が終了すると、制御部81は、給水バルブ84を一定時間だけ開いて洗浄タンク3内に水道水を供給した後、洗浄兼排水ポンプ20を正転させることにより、洗浄タンク3内に溜められた洗浄水を食器に向けて噴射する洗い行程を実行し(ステップS2)、その後にすすぎ行程を実行する(ステップS3)。すすぎ行程では、洗浄兼排水ポンプ20を反転させて洗浄タンク3内の洗浄水(または水道水)を一旦排水した後、給水バルブ84を開いて洗浄タンク3内に水道水を供給し、洗浄兼排水ポンプ20を正転させて洗浄タンク3内に溜められた水道水を食器に向けて噴射する行程が3回(第1すすぎ、第2すすぎおよび第3すすぎ)繰り返された後、ヒータ39を駆動させて洗浄タンク3内に溜められた水道水を温めて、その温められた水道水を食器に向けて噴射する行程(加熱すすぎ)が行われる。
【0051】
すすぎ行程が終了すると、制御部81は、ブロワモータ85を駆動させて洗浄タンク3内に機外の空気を送り込みつつ、ヒータ39により洗浄タンク3内の空気を温めて食器を乾燥させる乾燥行程を実行する(ステップS4)。
図8は、準備行程中における給水バルブ84および洗浄兼排水ポンプ20の動作態様を示すタイムチャートである。
図8を参照して、準備行程では、まず、給水バルブ84が開かれて洗浄タンク3内への給水が開始される。このとき、高温洗浄を実行するよう設定されている場合には、給水バルブ84が開かれて、機外の給湯設備から洗浄タンク3内に湯が供給される。そして、準備行程開始から15秒が経過すると、洗浄兼排水ポンプ20が反転されて排水が開始される。
【0052】
その後、15秒(準備行程開始から30秒)が経過すると、洗浄兼排水ポンプ20の駆動が停止され、さらに15秒(準備行程開始から45秒)が経過した時点で給水バルブ84が閉じられるとともに、洗浄兼排水ポンプ20が再び反転される。そして、さらに15秒(準備行程開始から60秒)が経過すると、洗浄兼排水ポンプ20の駆動が停止されて準備行程が終了する。
上記のような態様で準備行程を行うことにより、洗浄タンク3の底面3Bに残った残菜を十分に洗い流すことができるとともに、高温洗浄を実行するよう設定されている場合には、洗浄タンク3内に溜められる湯を十分に高温にすることができる。
【0053】
図9は、台所洗剤コースにおける制御部81による制御の流れを示すフローチャートである。
図9を参照して、台所洗剤コースでは、制御部81は、まず、給水バルブ84を一定時間だけ開いて洗浄タンク3内に水道水を供給し、その供給された水道水と台所洗剤とを混ぜ合わせて洗浄水を生成した後、洗浄タンク3内に溜められた洗浄水を食器に向けて噴射して一定時間だけ放置する行程を複数回繰り返すつけ置き行程を実行する(ステップT1)。台所洗剤コースでは、洗い行程の前につけ置き行程を行うことにより、洗浄タンク3内に泡が大量に発生するのを防止することができる。
【0054】
台所洗剤コースでは、専用洗剤コースのように準備行程を行うことなく、つけ置き行程を開始するようになっている。一般的に、台所洗剤は、専用洗剤とは異なり、高温の水道水と混ぜ合わせられて洗浄水が生成された場合に洗浄性能が低下する。台所洗剤コースでは準備行程を行わない構成とすることにより、高温洗浄を実行するよう設定されている場合に洗浄タンク3内に溜められる湯の温度を比較的低くすることができるので、洗浄性能が低下するのを抑制できる。したがって、台所洗剤を用いて食器を洗浄する場合であっても、より良好に食器を洗浄することができる。
【0055】
また、台所洗剤は専用洗剤と異なり液体であるため、専用洗剤コースのように準備行程を行うと、洗浄タンク3内に供給された台所洗剤が準備行程中にすべて機外に排出されてしまうおそれがあるが、準備行程を行わない構成とすることにより、洗浄タンク3内に供給された台所洗剤がすべて機外に排出されてしまうのを防止できる。
つけ置き行程が終了すると、制御部81は、洗浄兼排水ポンプ20を正転させることにより、洗浄タンク3内に溜められた洗浄水を食器に向けて噴射した後、洗浄タンク3内の洗浄水を一旦排水する洗い行程を実行する(ステップT2)。この洗い行程は、専用洗剤コースにおける洗い行程(図7におけるステップS2)に相当する。洗い行程が終了すると、制御部81は、すすぎ行程を実行した後(ステップT3)、乾燥行程を実行する(ステップT4)。すすぎ行程および乾燥行程における制御部81の制御内容は、専用洗剤コースの場合と同様である。
【0056】
図10は、台所洗剤コースで高温洗浄を行う場合における洗浄タンク3内の洗浄水(または水道水)の温度変化の一例を示すタイムチャートである。
図10を参照して、台所洗剤コースで高温洗浄を行う場合、つけ置き行程では、洗浄タンク3内の洗浄水の温度が約30℃で維持された後(低温つけ置き)、洗浄タンク3内の洗浄水の温度が上昇されて、約50℃で維持されるようになっている(高温つけ置き)。
【0057】
つけ置き行程後に行われる洗い行程では、洗浄タンク3内の洗浄水の温度が約50℃で維持される。また、洗い行程後に行われるすすぎ行程では、第1〜第3すすぎにおいて洗浄タンク3内の洗浄水の温度が比較的低温(たとえば、40℃以下)となる一方、加熱すすぎにおいて洗浄タンク3内の洗浄水の温度が比較的高温(たとえば、約70℃)まで上昇する。
図11は、台所洗剤コースで高温洗浄を行う場合におけるつけ置き行程中のポンプモータ83の駆動態様を示すフローチャートである。図11(a)は、低温つけ置き中のポンプモータ83の駆動態様を示しており、図11(b)は、高温つけ置き中のポンプモータ83の駆動態様を示している。
【0058】
図11を参照して、この実施形態では、ポンプモータ83の駆動を、高速(たとえば、3000rpm)および低速(たとえば、2300rpm)の2段階に切り替えることができるようになっている。低温つけ置き中は、ポンプモータ83を0.2秒間だけ高速で正転させた後、1秒間停止させるといった動作が10回繰り返され、10回目の高速回転後に15秒間だけポンプモータ83が停止されて、食器に対する洗浄水のつけ置きが行われる。このような動作(1サイクル)が複数回繰り返されている間、泡検知センサ76からの検知信号に基づいて、洗浄タンク3内に所定量以上の泡が発生しているか否かが検知される。
【0059】
一般的に、食器に付着した汚れが多いほど洗浄タンク3内に生じる泡の量が少なく、食器に付着した汚れが少ないほど洗浄タンク3内に生じる泡の量が多い。したがって、泡検知センサ76が洗浄タンク3内に所定量以上の泡が発生していると検知するまでの時間に基づいて、食器の汚れ具合を検知することができる。そして、食器の汚れが多いほど、上記のようなポンプモータ83の駆動(1サイクル)の繰り返し回数を多くし、食器の汚れが少ないほど繰り返し回数を少なくすることにより、食器の汚れ具合に応じた時間だけ低温つけ置きを行うことができる。
【0060】
高温つけ置き中は、ポンプモータ83を0.2秒間だけ高速で正転させた後、1秒間停止させるといった動作が10回繰り返された後、ポンプモータ83が3.5秒間だけ低速で正転され、その後に15秒間だけポンプモータ83が停止されて、食器に対する洗浄水のつけ置きが行われる。このような動作(1サイクル)が複数回繰り返されている間、低温つけ置き時と同様に、泡検知センサ76からの検知信号に基づいて、洗浄タンク3内に所定量以上の泡が発生しているか否かが検知される。そして、食器の汚れが多いほど、上記のようなポンプモータ83の駆動(1サイクル)の繰り返し回数を多くし、食器の汚れが少ないほど繰り返し回数を少なくすることにより、食器の汚れ具合に応じた時間だけ高温つけ置きを行うことができる。
【0061】
台所洗剤(特に中性洗剤)を使用した場合、食器に付着した汚れのうちたんぱく質を成分に含む汚れは、約30℃の洗浄水で洗浄を行った場合に良好に除去することができる。この実施形態では、低温つけ置き時の洗浄タンク3内の洗浄水の温度が約30℃で維持されるので、台所洗剤で食器に付着したたんぱく質を成分に含む汚れを良好に除去することができる。したがって、台所洗剤を用いて食器を洗浄する場合であっても、より良好に食器を洗浄することができる。
【0062】
ただし、つけ置き行程時の洗浄タンク3内の洗浄水の温度は、台所洗剤(特に中性洗剤)でたんぱく質を成分に含む汚れを除去するのに適した温度(約30℃)に維持される構成に限らず、他の成分を含む汚れを除去するのに適した温度に維持されるような構成であってもよい。
つけ置き行程における食器に対する洗浄水のつけ置き時間は、上記のような一定時間に限らず、つけ置き時間の異なる複数のモードのうちいずれかのモードでつけ置き行程を実行できるような構成であってもよい。たとえば、高温つけ置き時のつけ置き時間(15秒)が25秒に延長されたモードを設けてもよい。この場合、より長いつけ置き時間(25秒)でつけ置きを行うので、台所洗剤の洗剤成分によって食器に付着した汚れを包み込んで、良好に除去することができる。また、洗浄すべき食器の量が少ない場合などには、より短いつけ置き時間でつけ置きを行うモードを選択すれば、より短い時間で食器に付着した汚れを十分に除去することができる。したがって、台所洗剤を用いて食器を洗浄する場合であっても、食器に付着した汚れの量に応じたつけ置き時間で、より良好に食器を洗浄することができる。上記モードの選択は、たとえば操作表示パネル8の操作によって行われるようになっていてもよい。
【0063】
ユーザによっては、台所洗剤を用いて食器を手洗いした後、すすぎと乾燥だけを食器洗い機で行いたい場合がある。そこで、この実施形態に係る食器洗い機1では、すすぎ行程と乾燥行程だけを行うコース(すすぎ乾燥コース)を実行できるようになっている。
図12は、すすぎ乾燥コースにおける制御部81による制御の流れを示すフローチャートである。
【0064】
図12を参照して、すすぎ乾燥コースでは、制御部81は、まず、給水バルブ84を一定時間だけ開いて洗浄タンク3内に水道水を供給し、その洗浄タンク3内に溜められた水道水を食器に向けて噴射して一定時間だけ放置する行程を複数回繰り返す掛け置き行程を実行する(ステップE1)。
掛け置き行程が終了すると、制御部81は、すすぎ行程を実行した後(ステップE2)、乾燥行程を実行する(ステップE3)。すすぎ行程および乾燥行程における制御部81の制御内容は、専用洗剤コースおよび台所洗剤コースの場合と同様である。
【0065】
図13は、すすぎ乾燥コース中における洗浄タンク3内の水道水の温度変化の一例を示すタイムチャートであって、給水バルブ84を開いて洗浄タンク3内に湯を供給した場合を示している。
図13を参照して、すすぎ乾燥コースでは、すすぎ行程の前に行われる掛け置き行程において、洗浄タンク3内の水道水の温度が約30℃で維持されるようになっている。
【0066】
掛け置き行程後に行われるすすぎ行程では、第1〜第3すすぎにおいて洗浄タンク3内の洗浄水の温度が比較的低温(たとえば、30℃以下)となる一方、加熱すすぎにおいて洗浄タンク3内の洗浄水の温度が比較的高温(たとえば、約70℃)まで上昇する。
図14は、すすぎ乾燥コースにおける掛け置き行程中のポンプモータ83の駆動態様を示すフローチャートである。
【0067】
図14を参照して、掛け置き行程中は、ポンプモータ83を0.2秒間だけ高速(たとえば、3000rpm)で正転させた後、1秒間停止させるといった動作が10回繰り返され、10回目の高速回転後に15秒間だけポンプモータ83が停止されて、食器に対する水道水の掛け置きが行われる。このような動作(1サイクル)が複数回繰り返されている間、泡検知センサ76からの検知信号に基づいて、洗浄タンク3内に所定量以上の泡が発生しているか否かが検知される。
【0068】
そして、泡検知センサ76が洗浄タンク3内に所定量以上の泡が発生していると検知するまでの時間が短いほど(食器に残っている洗剤成分が多いほど)、上記のようなポンプモータ83の駆動(1サイクル)の繰り返し回数を多くし、泡検知センサ76が洗浄タンク3内に所定量以上の泡が発生していると検知するまでの時間が長いほど(食器に残っている洗剤成分が少ないほど)繰り返し回数を少なくすることにより、食器に残っている洗剤成分の量に応じた時間だけ掛け置き行程を行うことができる。これにより、泡の発生を抑制しながら食器に残っている洗剤成分を良好に除去することができるので、すすぎ行程中に洗浄タンク3内に泡が大量に発生するのを防止できる。
【0069】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施形態では、すすぎ乾燥コースにおいて掛け置き行程を実行する場合について説明したが、すすぎ行程のみを行うすすぎコースを設けて、このすすぎコースにおいてすすぎ行程の前に掛け置き行程を実行するような構成であってもよい。
【0070】
食器かご9に収容された食器に向けて洗浄水(または水道水)を噴射する手段は、回転ノズルアーム26、固定ノズルアーム29および天面ノズル35に限らず、たとえば、洗浄タンク3の左右側面に備えられたノズルなどを含む構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る食器洗い機を正面側から斜めに見た斜視図である。
【図2】食器洗い機を前後方向に沿った鉛直面で切断したときの断面を右側から見た断面図である。
【図3】上扉および下扉を取り外した状態で食器洗い機を前方から見た正面図である。
【図4】食器洗い機を前後方向に沿った水平面で切断したときの断面を上方から見た断面図である。
【図5】洗浄タンクを右側から見た側面図である。
【図6】この食器洗い機の電気的構成を示すブロック図である。
【図7】専用洗剤コースにおける制御部による制御の流れを示すフローチャートである。
【図8】準備行程中における給水バルブおよび洗浄兼排水ポンプの動作態様を示すタイムチャートである。
【図9】台所洗剤コースにおける制御部による制御の流れを示すフローチャートである。
【図10】台所洗剤コースで高温洗浄を行う場合における洗浄タンク内の洗浄水(または水道水)の温度変化の一例を示すタイムチャートである。
【図11】台所洗剤コースで高温洗浄を行う場合におけるつけ置き行程中のポンプモータの駆動態様を示すフローチャートである。
【図12】すすぎ乾燥コースにおける制御部による制御の流れを示すフローチャートである。
【図13】すすぎ乾燥コース中における洗浄タンク内の水道水の温度変化の一例を示すタイムチャートである。
【図14】すすぎ乾燥コースにおける掛け置き行程中のポンプモータの駆動態様を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 食器洗い機
3 洗浄タンク
20 洗浄兼排水ポンプ
26 回転ノズルアーム
29 固定ノズルアーム
35 天面ノズル
39 ヒータ
81 制御部
82 温度センサ
84 給水バルブ

Claims (1)

  1. 専用洗剤を用いて食器の洗浄を行う専用洗剤コースと、台所洗剤を用いて食器の洗浄を行う台所洗剤コースとを実行可能な食器洗い機であって、
    洗浄水が溜められる収容タンクと、
    洗浄のために上記収容タンク内に湯を供給する際、台所洗剤コースであるときには、上記収容タンク内に溜まっていく湯を排水しないが、専用洗剤コースであるときには、給湯開始から所定時間内は、上記収容タンク内に溜まっていく湯を排水する排水手段とを含むことを特徴とする食器洗い機。
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