JP4171340B2 - シート荷重計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車等の車両のシートをガイドするシートレールの下部に取り付けられて、車両のシートに加えられる荷重を計測するためのシート荷重計測装置の技術分野に属し、特に、シートレールをシート荷重計測装置のベースに連結するための連結ブラケットを備えているシート荷重計測装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のシート荷重計測装置においては、図14(A)ないし(C)に示すように、人101が着座する車両のシート102をガイドするシートレール103の下面に取り付けられた、車両のシート102に加えられる荷重を計測するためのシート荷重計測装置104が提案されている。このシート荷重計測装置104は、断面上向きコ字状のベース105の下面がその前後端部に取り付けられたシートブラケット106を介して車体のシート取付部107に固定され、また、シートレール103とベース105とが連結ブラケットである断面下向き略コ字状のピンブラケット(以下、レールブラケットともいう)108により互いに連結されている。その場合、このピンブラケット108の平らな上面にシートレール103が強固に連結されるとともに、ピンブラケット108の左右側板に開けられたピン孔108a,108bとベース105の左右側板に開けられたピン孔105a,105bとにブラケットピン(以下、ストッパボルトともいう)109を貫通させることで、シートレール103をベース105に連結している(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】
特開2000−258234号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば車両衝突時等に大荷重がシートレール103とシート荷重計測装置104のベース105とを連結するピンブラケット108に加えられた場合、この大荷重を支持するためにはピンブラケット108の強度を十分に確保する必要がある。
【0004】
しかしながら、前述の特許文献1に開示されているシートレール103とシート荷重計測装置104のベース105との連結構造では、断面上向きコ字状のベース105の左右側板に単に開けられたピン孔105a,105bと断面下向きコ字状のピンブラケット108の左右側板に単に開けられたピン孔108a,108bとにブラケットピン109を貫通させているだけであるので、ピンブラケット108の強度を十分に確保することには限度がある。つまり、ピンブラケット108のピン孔108a,108b形成部位108c,108dの寸法(例えば、厚み、ピン孔108a,108bからピンブラケット108外周縁までの寸法等)大きくすることで、ピンブラケット108の強度をある程度確保することは可能であるが、このように、ピンブラケット108のピン孔108a,108b形成部位の寸法を単に大きくしたのでは、レイアウト上の制限が大きくなり、設置自由度が低くなる。
【0005】
もちろん、前述の公開公報に開示されているピンブラケット108による連結構造でも、車両衝突時等の大荷重を支持することは可能であるが、このような大荷重を、レイアウト上の制限を大きくすることなく、より一層十分に支持することができるようにすることが望ましい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、レイアウト上の制限を大きくすることなく設置自由度を高くしつつ、車両衝突時等の大荷重をより一層十分に支持することができるシート荷重計測装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明のシート荷重計測装置は、シートブラケットに固定されて車両用シートにかかる荷重を支持する上方に開口したベースと、このベースに支持されて車両用シートにかかる荷重を受けるアームと、このアームに支持されて車両用シートにかかる荷重を検出する荷重センサーと、車両用シートを車両前後方向に移動可能にガイドするシートレールを支持するレールブラケット手段とを備え、該荷重センサーで車両用シートの荷重を計測するシート荷重計測装置において、前記ベースが前記シートレールの下に前記レールブラケット手段を介して連結されており、前記レールブラケット手段が、前記シートレールと前記ベースとを連結するレールブラケットと、前記シートレールに所定以上の大荷重が加えられたときにこの大荷重を支持する荷重支持部材とを有し、前記アームと前記レールブラケットとがストッパピンで連結されており、前記荷重支持部材が帯状の板から円弧部を有するU字状に形成されており、前記シートレールに所定以上の大荷重が加えられたときに、前記荷重支持部材の円弧部が前記ストッパピンに当接することでこの大荷重を支持することを特徴としている。
【0008】
また、請求項2の発明は、前記シートブラケットが車体に固定されていることを特徴としている。
【0009】
【作用】
このように構成された請求項1および2の各発明にかかるシート荷重計測装置においては、荷重センサーがアームを介して上方に開口するベースに支持され、この荷重センサーにより、アームにかかる車両用シートにかかる荷重が検出される。
そして、通常時は、シートレールに荷重が加えられた場合、その荷重は比較的小さいので、レールブラケットにより支持される。一方、車両衝突時等において比較的大きな荷重がシートレールに加えられると、荷重支持部材がこの大きな荷重を支持するようになる。
【0010】
このようにして、荷重支持部材により車両衝突時等に発生する大きな荷重が支持されるので、レールブラケット手段はこのような大荷重に対抗できる強度を十分に有するようになる。これにより、レールブラケットの強度を大きくする必要がなく、その結果、レールブラケットの寸法を大きくしなくても済むようになる。
したがって、レールブラケットがコンパクトに形成可能となり、レイアウト上の制限が低減され、設置自由度が高くなる。
【0011】
また、大きな荷重がシートレールに加えられた場合、帯状の板からなる荷重支持部材の円弧部がストッパピンに当接することでこの大荷重が支持されるので、簡単な構成で大荷重が確実に支持されるようになる。
特に、請求項2の発明においては、シートブラケットが車体に固定されることで、車両用シートが安定して車体に支持されるようになり、荷重センサーによる車両用シートの荷重がより正確に検出されるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明にかかるシート荷重計測装置の実施の形態の一例が適用されている車両用シートを示す側面図、図2は、本発明にかかるシート荷重計測装置の実施の形態の一例を示す分解斜視図、図3はこの例のシート荷重計測装置を組立状態で示し、(A)は平面図、(B)は(A)におけるIIIB−IIIB線に沿う断面図、図4はこの例のシート荷重計測装置におけるセンサー部を示す分解斜視図、図5はこの例のシート荷重計測装置におけるセンサー部まわりを拡大して示す部分拡大図である。なお、本発明の説明の全般において、前、後、左、右、上、下は、それぞれ車両の前、後、左、右、上、下である。
【0013】
図1に示すように、車両用シート1の乗員が着座するシートクッション1aの下面に、鋼板製のシートパン2がこの下面全体を覆うようにして設けられている。このシートパン2の下面には、一対のサイドフレーム3(図1には一方のサイドフレームのみ図示)が車両左右方向に所定の間隔を置いて垂下して設けられており、これらのサイドフレーム3は、ともに車両前後方向に延設されている。
各サイドフレーム3の下端には、それぞれシートレール8(図1には一方のシートレールのみ図示)が設けられている。各シートレール8は、それぞれサイドフレーム3の下端に固定されたアッパーレール11と、このアッパーレール11に車両前後方向に相対的に摺動可能に設けられたロアレール15とからなっており、車両用シート1を車両前後方向に移動可能にガイドするものである。
【0014】
各ロアレール15の下面には、それぞれシート荷重計測装置10(図1には一方のシート荷重計測装置のみ図示)が車両左右方向に延びる一対の前後レールブラケット45,35を介して設けられており、これらのシート荷重計測装置10は、それぞれ車体フロア7に車両左右方向に所定の間隔を置いて固設された一対のシートブラケット9(図1には一方のシートブラケット9のみ図示)に固定されている。このように、シートブラケット9が車体に固定されることで、車両用シート1が安定して車体に支持されるようになり、荷重センサー51による車両用シート1の荷重がより正確に検出されるようになる。
【0015】
図2および図3に示すように、シート荷重計測装置10は車両前後方向に延びるベースフレーム(本発明のベースに相当)21を備えており、このベースフレーム21はベース底部22と左右ベース側壁部23L,23Rとから上向きの(上方に開口する)横断面コ字状に形成されている。また、ベースフレーム21には、その前後端部に車体あるいはシートレールへの取付部40,30がそれぞれ設けられているとともに、その中央部にセンサー部50が設けられている。
【0016】
ベースフレーム21の後端側の取付部30は、ベース底部22の所定位置に穿設された孔22A(図2に図示)を備えているとともに、左右ベース側壁部23L,23Rの後端部にそれぞれ左右ベース側壁部23L,23Rに関して対向するようにして穿設された長孔32、ピボット孔33および小孔31を備えている。孔22Aは、後述する図13(A)に示すシートブラケット9への固定用リベットを挿通するための孔である。また、長孔32は上下に延びており、図2、図3(A),(B)および図7(A)に示すように、この長孔32内にはストッパボルト(本発明のストッパピンに相当)24が挿通されている。ストッパボルト24は、後レールブラケット手段80とZアーム61Rrとを軸支して連結する回動支持ピンであり、図3(B)に示すようにシート荷重をZアーム61Rrに伝えるものである。ストッパボルト24は、一端に六角頭部24Hが形成されているとともに、他端にねじ部24Sが形成され、更に中央部が滑らかな外周面の円柱とされている。このストッパボルト24は長孔32に挿通した後、ストッパワッシャ24Wを介してストッパナット24Nで固定されている。
【0017】
図7(A)に示すように、組立状態においてストッパボルト24と長孔32との間には隙間が設けられており、通常はストッパボルト24が長孔32の内周縁に触れることはないが、車両用シート1に過大な荷重がかかって、後レールブラケット35が上方に持ち上げられたときは、ストッパボルト24が上昇して長孔32の上縁に当たり、この過大荷重は後述する後レールブラケット手段80の後レールブラケット35からベースフレーム21のベース側壁部23L,23Rに直接伝わり、荷重センサー(センサー板52等;詳細は後述)51には作用しない。また、シートベルトにかかる力の関係で後レールブラケット35が下方に押し下げられたときは、ストッパボルト24が下がって長孔32の下縁に当たり、前述と同様の作用が行われる。
【0018】
図2に示すように、ピボット孔33は長孔32の中央寄りの隣りに穿設されている。このピボット孔33は、ベース側壁部23L,23Rの外面側に環状の座ぐり部33aが形成されているとともに、ベース側壁部23L,23Rの内面側に環状の凸部33bが形成されている。このピボット孔33内には、図2、図3(A),(B)および図7(B)に示すようにピボットボルト(回動支持ピン)25が挿通されている。ピボットボルト25はZアーム61Rrをベースフレーム21に対して回動可能に軸支する回動支持ピンであり、図3(B)に示すようにZアーム61Rrにシート荷重がかかると、Zアーム61Rrはピボットボルト25まわりに回動するようになっている。ピボットボルト25は、一端に六角頭部25Hが形成されているとともに、他端にねじ部25Sが形成され、更に中央部が滑らかな外周面の円柱とされている。このピボットボルト25はピボット孔33に挿通した後、ピボットナット25Nで固定されている。
【0019】
これらのストッパボルト24およびピボットボルト25は、それぞれストッパナット24Nおよびピボットナット25Nで締結する方式であるため、それらの取付を簡単にかつ確実に行うことができる。
小孔31はピボット孔33に隣接して穿設され、組み付け状況を確認するためのサービス孔である。
【0020】
図2および図3(A),(B)に示すように、後端側の取付部30において、ベースフレーム21の内側には、Zアーム61Rrが配置されている。このZアーム61Rrの平面形状は、中央部より前端部が左右二股に分かれた平板状の二股部66に形成されているとともに、後端部が左右両側で上方に立設されたアーム側板部67L,67Rとされている。図3(A),(B)および図7(A),(B)に示すように、このZアーム61Rrは両ベース側壁部23L,23Rの内側に沿って組み付けられている。アーム側板部67Lとベース側壁部23Lとの間およびアーム側板部67Rとベース側壁部23Rとの間には隙間が設けられており、これらの隙間には、後述するスリーブ70(71,72),75のフランジ部が介在するようになっている。
【0021】
図2に示すように、Zアーム61Rrの左右側板部67L,67Rにも、それぞれベース側壁部23L,23Rの長孔32、ピボット孔33に対応した位置に、孔62,63がそれぞれ穿設されている。図2、図3(A),(B)および図7(A),(B)に示すように、Zアーム61Rrの後端寄りの孔62(ベースフレーム21の長孔32に対応した孔)には、ストッパボルト24が貫通し、また、Zアーム61Rrの中央寄りの孔63(ベースフレーム21のピボット孔33に対応した孔)には、ピボットボルト25が貫通している。
【0022】
ストッパボルト24の主な役割は、図3(B)に示すように後レールブラケット35とZアーム61Rrとを回動可能に連結するとともに、シート荷重をZアーム61Rrに伝えることである。その場合、前述のようにストッパボルト24とベースフレーム21との間には長孔32の隙間があるので、通常時はストッパボルト24とベースフレーム21とは干渉しないようになっている。また、ピボットボルト25の主な役割はZアーム61Rrをベースフレーム21に対して回動可能に軸支することであり、したがってZアーム61Rrはピボットボルト25まわりに回動するようになっている。
【0023】
Zアーム61Rrの二股部66は中央寄りではその間隔が狭くされている。図2および図3(A),(B)に示すように、Zアーム61Rrの中央部には隆起部61aが形成されており、この隆起部61aによりZアーム61Rrの強度が高められている。二股部66の両先端(後端)作用部には、それぞれ樹脂製のアームキャップ66Aが嵌められており、これらのアームキャップ66Aは、荷重センサー51の上下のハーフアーム53,55{図5(B)に図示}の羽根部53a,55aの間に挟まれている(詳細は後述)。これらのアームキャップ66Aによって、Zアーム61Rrの先端作用部がハームアーム53,55の羽根部53a,55aと当たって生じる音がほとんど生じなくなり、車両用シート1に着座している乗員の違和感をなくすことができるようになる。
後レールブラケット35に荷重がかかると、Zアーム61Rrはわずかに回動して、先端作用部がハーフアーム53,55を介してセンサー板52に荷重を伝える。
【0024】
後端側の取付部30において、Zアーム61Rrの内側には、後レールブラケット手段80が組み付けられている。図8に示すように、この後レールブラケット手段80は、後レールブラケット35と荷重支持部材81とから構成されている。
【0025】
図9(A)ないし(C)に詳細に示すように、後レールブラケット35は、上側の平らな上底部36とこの上底部36の左右両端からそれぞれ垂下された側壁部37L,37Rとから横断面下向きコ字状に形成されている。上底部36には2つの孔36aがそれぞれ形成されているとともに、後述するように上底部36の上面にシートレール8のロアレール15が取り付けられるようになっている。図9(A)から明らかなように、後レールブラケット35の左右の側壁部37L,37Rはほぼ台形状に形成されており、これらの側壁部37L,37Rには、それぞれ孔38が互いに対向するように整列されて穿設されている。各孔38は、ベース側壁部23L,23Rの長孔32およびZアーム61Rrの孔62に対応した位置に形成されている。
【0026】
また、図10(A)ないし(C)に示すように、荷重支持部材81は帯状の平板から形成され、その中央部81aが半円弧部81a1を有するU字状に形成されているとともに、このU字状の中央部81aの両端にフランジ部81b,81cがそれぞれ形成されている。各フランジ部81b,81cには、それぞれ、孔36aと同じ大きさの孔81d,81eがそれぞれ穿設されているとともに、筒状のボス81f,81gがそれぞれ各フランジ部81b,81cにそれらの孔81d,81eと同心に、例えば溶接等により固定されている。
【0027】
図8(A)ないし(C)に示すように、荷重支持部材81の中央部81aの半円弧部81a1が後レールブラケット35の側壁部37L,37Rの孔38と同心となるように、かつ、2つの孔36a,36aと2つの孔81d,81eとがそれぞれ同心となるようにして、荷重支持部材81のフランジ部81b,81cの上面が後レールブラケット35の上底部36の下面に当接され、この状態でプロジェクション溶接等により後レールブラケット35と荷重支持部材81とが一体に結合される。
【0028】
図7(A)および図11(A),(B)に示すように、後レールブラケット手段80の組立時には、ストッパボルト24が各孔38および荷重支持部材81の中央部81aの半円弧部81a1内に挿通される。その場合、ストッパボルト24との外周面と各孔38の内周面および荷重支持部材81の半円弧部81a1の内周面との間には、2重スリーブ70が介在するようになっている{なお、図11(A),(B)には、2重スリーブ70は省略されている}。ストッパボルト24が挿通された状態では、ストッパボルト24の外周面と半円弧部81a1内周面との間に、若干の所定の間隙が形成されるようになっている。
また、各孔36a、各孔81d,81e、および各ボス81f,81gの内孔には、図11(A)および(B)に示すように上底部36とシートレール8を締結するリベット82,83がそれぞれ挿通されるようになっている。
【0029】
そして、通常時は、シートレール8に上向きの荷重が加えられた場合、その荷重は比較的小さいので、後レールブラケット35により十分に支持され、荷重支持部材81では支持されない。一方、車両衝突時等において比較的大きな荷重がシートレール8に上向きに加えられると、荷重支持部材81の半円弧部81a1がストッパボルト24に直接または後述する2重スリーブ70を介して当接し、この大きな荷重は荷重支持部材81で十分に支持されるようになる。
【0030】
このようにして、荷重支持部材81により車両衝突時等に発生する大きな荷重を支持することができるので、後レールブラケット手段80はこのような大荷重に対する強度を十分に確保することができるようになる。これにより、図10(A)に斜線で示す後レールブラケット35の孔38形成部位α(孔38の中心より下の部位の領域)の強度を大きくする必要がなく、その結果、この孔38形成部位αの(例えば、後レールブラケット35の側壁部37L,37Rの厚み、これらの側壁部37L,37Rにおける孔38から外周縁までの寸法等)を大きくしなくても済むようになる。
したがって、後レールブラケット35をコンパクトに形成できるので、レイアウト上の制限が低減でき、設置自由度を高くできる。
【0031】
しかも、帯状の板からなる荷重支持部材81の半円弧部81a1がストッパボルト24に当接することで前述の大荷重を支持できるので、簡単な構成でこの大荷重を確実に支持できるようになる。
なお、半円弧部81a1は必ずしも半円弧部である必要はなく、所定角の円弧部でもよい。
【0032】
図7(A)および図12に示すように、ストッパボルト24の円柱部外周には2重スリーブ70が外嵌されており、この2重スリーブ70は、比較的長いの内側スリーブ71と、この内側スリーブ71に外嵌した比較的短い外側スリーブ72とからなっている。各スリーブ71,72は、それぞれそれらの一端にフランジ部71a,72aが形成され、また他端には先絞り部71b,72b(図12に図示)が形成されている。各スリーブ71,72の内面およびフランジ部71a,72aの端面には、テフロン(登録商標)がコーティングされている。なお、図12には、先絞り部71b,72bの傾斜が誇張して示されている。
【0033】
2重スリーブ70の内側スリーブ71は、ストッパボルト24の軸部と、アーム側板部67L,67Rの孔62および後レールブラケット35の孔38との間に嵌め込まれている。外側スリーブ72は、内側スリーブ71の外周面と後レールブラケット35の孔38との間に圧入されている。外側スリーブ72のフランジ部72aは、アーム側板部67L,67Rと後レールブラケット35の側板部37L,37Rとの間に介在されている。内側スリーブ71のフランジ部71aは、アーム側板部67L,67Rの外側に沿って配置されている。
【0034】
次に、2重スリーブ70とその周辺の部材との関係および作用について、図12を用いて説明する。
まず、内側スリーブ71の外周は、アーム側板部67L,67Rの孔62に圧入されており、内側スリーブ71が孔62内でがたつくことはない。内側スリーブ71とその内孔に嵌合しているストッパボルト24との間は、このスリーブ71の先絞り部71bがストッパボルト24の外周面を弾力をもって当接保持しているので、先絞り部71b以外の部分では、内側スリーブ71とストッパボルト24との間に隙間があるにもかかわらず、内側スリーブ71の内孔内でストッパボルト24ががたつくようなことはない。
【0035】
次に、外側スリーブ72は、このスリーブ72とその内孔に嵌合している内側スリーブ71との間において、外側スリーブ72の先絞り部72bが内側スリーブ71の外周面を弾力をもって当接保持している。したがって、先絞り部72b以外の部分では、外側スリーブ72と内側スリーブ71との間に隙間があるにもかかわらず、外側スリーブ72の内孔内で内側スリーブ71ががたつくようなことはない。
【0036】
このようにして、後レールブラケット35の側板部37とストッパボルト24との間には各部材ががたつくような隙間がないので、車両用シートにかかる荷重が変化する際に、これらの部材ががたついて生じる音の発生を防止できる。なお、2重スリーブ70は必ずしも必要ではなく、がたつきがほとんど生じないような場合には省略することもできる。
【0037】
次に、Zアーム61Rrと後レールブラケット35の回動支点であるピボットボルト25のまわりの構成について説明する。
図7(B)に示すように、ピボットボルト25の円柱部外周にスリーブ75が外嵌されている。このスリーブ75は、その一端にフランジ部75aが形成され、他端に先絞り部75bが形成されている。スリーブ75の内面およびフランジ部75aの端面には、テフロン(登録商標)がコーティングされている。
【0038】
このスリーブ75の外周は、アーム側板部67L,67Rの孔63に圧入されており、スリーブ75が孔63内でがたつくことはない。スリーブ75とその内孔に嵌合しているピボットボルト25との間は、スリーブ75の先絞り部75bがピボットボルト25の外周面を弾力をもって当接保持しているので、先絞り部75b以外の部分では、スリーブ75とピボットボルト25との間に隙間があるにもかかわらず、スリーブ75の内孔内でピボットボルト25ががたつくようなことはない。これにより、前述の2重スリーブ70と同様にして、車両用シート1にかかる荷重が変化する際に、ピボットボルト25やZアーム61Frががたついて生じる音の発生を防止できる。
【0039】
ベースフレーム21の前端部の内側に配置されるZアーム61Frは、前述のベースフレーム後端側のZアーム61Rrと同一構造であり、二股部66およびアーム側板部67L,67R、先端作用部のアームキャップ66Aを備えている。図2および図3(A),(B)に示すように、ベースフレーム後端側のZアーム61Frとベースフレーム前端側のZアーム61Rrとは、ベース中央部に関して対称的に配置されている。
【0040】
Zアーム61Frの内側には、前レールブラケット45が配置されている。図2および図6(A),(B)に示すように、前レールブラケット45は、上側の平らな上底部46とこの上底部46の左右両端からそれぞれ垂下された側壁部47L,47Rとから横断面コ字状に形成されている。上底部46の上面には、シートレール8のロアレール15が取り付けられる。その場合、上底部46には孔46aが形成されており、この孔46aには、上底部46とロアレール15を締結するリベット15R(図13に図示)が挿通されるようになっている。
【0041】
前レールブラケット45の左右の側壁部47L,47Rはほぼ台形状に形成されており、これらの側壁部47L,47Rには、ベース側壁部23L,23Rの長孔42に対応した位置に、それぞれ孔48が穿設されている。図2、図3(A),(B)および図7(A)に示すように、孔48(長孔42ならびにZアーム61Frの孔62に対応した孔)には、ストッパボルト26が貫通している。図7(A)および図12に示すように、このストッパボルト26と前レールブラケット45の孔48およびZアーム61Rrの孔62との間には、前述と同様に2重スリーブ70が嵌め込まれている。その場合、ストッパボルト26は、ベースフレーム21の長孔42に対して遊嵌されている。
【0042】
次に、ベースフレーム21のセンサー部50について説明する。
図2に示すように、ベースフレーム21の長手方向中央部において、左右のベース側壁部23L,23Rには、それぞれ切欠部23Xが形成されている。また、左側のベース側壁部23Lの外面には、左側方に張り出したプロテクター29が固定されている。ベースフレーム21の切欠部23Xおよびプロテクター2の内側には、荷重センサー51が配設されて、プロテクター29により荷重センサー51が保護されている。
【0043】
図5(B)に示すように、センサー板52、コネクターケース57aおよびプロテクター29がベースフレーム1に組み付けられた状態では、プロテクター29の上縁の高さ位置は、センサー板52の上面の高さ位置、コネクターケース57aの上面の高さ位置およびセンサー側コネクター57の上面の高さ位置のいずれよりも高い位置とされている。また、プロテクター29の下縁の高さ位置は、センサー板52の下面の高さ位置、コネクターケース57aの下面の高さ位置およびセンサー側コネクター57の下面の高さ位置のいずれよりも低い位置とされている。これにより、シート荷重計測装置10およびプロテクター29が組み付けられたベースフレーム21の車体取付時やベースフレーム21の輸送時に、万が一にこのベースフレーム21が落下しても、プロテクター29によりシート荷重計測装置10のセンサー板52、コネクター57等の精密部品が確実に保護できるようになる。
【0044】
なお、プロテクター29の上側は開放しているので、図示しないカバーでプロテクター29の上側を覆うことが精密部品を更に確実に保護するうえで好ましい。また、プロテクター29の下側も開放しているが、万が一異物がプロテクター29の内部に侵入しても、この異物はプロテクター29から排出されやすいので、プロテクター29の下側をカバーで塞ぐ必要はない。
【0045】
図4に示すように、この荷重センサー51の主要構成部材でありばね材からなるセンサー板52は、全体として二カ所のくびれ52cの入った長方形板として形成されている。このセンサー板52の中央左端部には、センサー側コネクター57がビス57a{図5(A)に図示}で固定されている。このセンサー側コネクター57には、図示しない電子制御装置(ECU)に繋がるケーブルの端部が接続されるようになっている。
【0046】
センサー板52には、電気絶縁のための絶縁層、配線層および抵抗層が成膜されている。この成膜法により、センサー板52には、図4に示すように荷重センサー51を構成する4個の歪み抵抗84,85,86,87が歪みセンサーとして設けられている。これらの4つの歪み抵抗84,85,86,87は、図示しないが、それぞれ従来公知のブリッジ回路を形成するように接続されており、このブリッジ回路はコネクター57に接続されている。
【0047】
そして、シート荷重がセンサー板52にかかることによりセンサー板52に、シート荷重に対応した歪みが生じてこれらの4つの歪み抵抗84,85,86,87の抵抗値が変化するので、これらの歪み抵抗の変化が検出されてその検出信号がECUに伝送される。ECUは伝送される歪み抵抗からの検出信号により抵抗の変化をセンサー板52の歪み、つまりシート荷重を演算処理して得るようになっている。なお、歪み抵抗によるセンサー板52の歪みを検出する代わりに、例えば静電容量やホール素子等の他の検出素子でセンサー板52のたわみを検出することにより、シート荷重を得るようにすることもできる。
【0048】
次に、センサー板52のベース底部22への取付構造について説明する。
図5(B)に示すように、ベース底部22の長手方向中央部には、上下端部にそれぞれボルトB1,B2を有する円柱状のセンターポスト59が立ち上げて固定されている。このセンターポスト59の下側のボルトB2はベース底部22を貫通し、センターナット59Nに螺合している。センターポスト59の上側のボルトB1は、センターワッシャ59Wを介してセンサー板52の中央孔52e(図4に図示)を貫通し、更にワッシャ58Wを介してセンターナット58Nで固定されている。センサー板52の中央部は、センターポスト59を介して、ベースフレーム21のベース底部22に強固に固定されている。
【0049】
引き続き、荷重センサー51の構成について説明する。
センサー板52の前後両端部には、ハーフアーム53,55が組み付けられている。図4および図5(B)に示すように、これらのハーフアーム53,55は前後・上下4枚組の部品であって、センサー板52の前後両端部を上下から挟むように組み付けられている。各ハーフアーム53,55はともに同じ形状をしているので、下側に組み付けられるハーフアーム55について説明する。
【0050】
図4に示すように、ハーフアーム55は長方形の板状体で形成されており、その基部中央には取付孔55eが穿設されている。ハーフアーム55の中央寄りの縁部には、横方向両側に張り出した羽根部55aが形成されている。羽根部55aの裏面には、左右方向に延びる堤状の支点55bが形成されている。支点55bの先はやや尖った稜に形成されている。
【0051】
ここで、上下ハーフアーム53,55、センサー板52およびZアーム61の作用部(アームキャップ66A)の組立構造について説明する。
図5(B)に示すように、上ハーフアーム53と下ハーフアーム55の基部は、センサー板52の表面にぴったり合わせてボルト56B・ナット56Nで固定されている。上下のハーフアーム53,55の羽根部53a,55aは、支点53b,55bどうしが対向するようにして向かい合っている。両支点53b,55bの間には、Zアーム作用部のアームキャップ66Aが挟まれている。なお、支点53b,55bの位置は、センサー部52のくびれ52c部分に位置している。
【0052】
なお、シート荷重計測装置10に荷重がかかったときの、上下ハーフアーム53,55、センサー板52およびZアーム61の動作は、例えば特開2000−258223号公報に詳述されていて、この公開公報を参照すれば理解できるので、ここではその説明は省略する。また、前述のように、シート荷重計測装置10にかかる荷重は、計測したセンサー板52の歪みに基づいてECUで演算することで求められる。
【0053】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1および2の発明にかかるシート荷重計測装置によれば、車両衝突時等のような比較的大きな荷重がシートレールに加えられても、荷重支持部材によりこの大きな荷重を十分に支持することができる。
【0054】
このように荷重支持部材により大荷重を支持できるので、レールブラケット手段にこのような大荷重に対抗できる強度を十分に持たせることができる。これにより、レールブラケットの強度を大きくする必要がなく、その結果、レールブラケットの寸法を大きくしなくても済ませることができる。
したがって、レールブラケットをよりコンパクトに形成できるので、レイアウト上の制限を低減でき、設置自由度を高くできる。
【0055】
また、帯状の板からなる荷重支持部材の円弧部をストッパピンに当接させることで前述の大荷重を支持しているので、簡単な構成で大荷重を確実に支持できるようになる。
特に、請求項2の発明によれば、シートブラケットを車体に固定することで、車両用シートを安定して車体に支持できるため、荷重センサーによる車両用シートの荷重をより正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるシート荷重計測装置の実施の形態の一例が適用されている車両用シートを示す側面図である。
【図2】 本発明にかかるシート荷重計測装置の実施の形態の一例を示す分解斜視図である。
【図3】 この例のシート荷重計測装置を組立状態で示し、(A)は平面図、(B)は(A)におけるIIIB−IIIB線に沿う断面図である。
【図4】 この例のシート荷重計測装置におけるセンサー部を示す分解斜視図である。
【図5】 この例のシート荷重計測装置におけるセンサー部まわりを示し、(A)は平面図、(B)は(A)におけるVB−VB線に沿う断面図である。
【図6】 この例のシート荷重計測装置の後端部を示し、(A)は分解図、(B)は組立図である。
【図7】 この例のシート荷重計測装置のボルト取付部を示し、(A)は前ストッパボルトの軸心に沿う拡大断面図、(B)はピボットボルトの軸心に沿う拡大断面図である。
【図8】 この例の後レールブラケット手段を示し、(A)は正面図、(B)は下面図、(C)は右側面図である。
【図9】 この例の後レールブラケット手段の後レールブラケットを示し、(A)は正面図、(B)は下面図、(C)は右側面図である。
【図10】この例の後レールブラケット手段の荷重支持部材を示し、(A)は正面図、(B)は下面図、(C)は右側面図である。
【図11】この例の後レールブラケット手段を介したシートレールとベースとの連結構造を示し、(A)は荷重が通常状態を示す図、(B)はシートレールに大荷重が加えられたときの状態を示す図である。
【図12】 この例のシート荷重計測装置の2重スリーブ近傍を示す拡大断面図である。
【図13】 図2に示す例のシート荷重計測装置のベースフレーム後端部の一例を示し、(A)は平常状態を示す側面断面図、(B)はシートが浮き上がる方向に力が作用した後の状態を示す側面断面図である。
【図14】従来の特開2000−258234号公報に開示されているシート荷重計測装置を示し、(A)は人が車両シートに着座した状態を示す図、(B)はシート荷重計測装置の取付状態を示す断面図、(C)はシート荷重計測装置の取付の詳細を示す断面図である。
【符号の説明】
1…車両用シート、7…車体フロア、8…シートレール、9…シートブラケット、10…シート荷重計測装置、21…ベースフレーム、22…ベース底部。23L…左ベース側壁部、23R…右ベース側壁部、24…ストッパボルト、25…ピボットボルト、26…ストッパボルト、29…プロテクター、29a…保護部、29b,29c…取付フランジ部、30…ベースフレーム21の前端側の取付部、35…後レールブラケット、40…ベースフレーム21の後端側の取付部、45…前レールブラケット、50…センサー部、51…荷重センサー、52…センサー板、53,55…ハーフアーム、57…コネクター(センサー側コネクター)、57a…コネクターケース、57b,57c…端子、57d,57e…端子57b,57cの部分、61…アーム、61Fr,61Rr…Zアーム、70…2重スリーブ、80…後レールブラケット手段、81…荷重支持部材、84,85,86,87…歪み抵抗(歪センサー)
Claims (2)
- シートブラケットに固定されて車両用シートにかかる荷重を支持する上方に開口したベースと、このベースに支持されて車両用シートにかかる荷重を受けるアームと、このアームに支持されて車両用シートにかかる荷重を検出する荷重センサーと、車両用シートを車両前後方向に移動可能にガイドするシートレールを支持するレールブラケット手段とを備え、該荷重センサーで車両用シートの荷重を計測するシート荷重計測装置において、
前記ベースが前記シートレールの下に前記レールブラケット手段を介して連結されており、
前記レールブラケット手段は、前記シートレールと前記ベースとを連結するレールブラケットと、前記シートレールに所定以上の大荷重が加えられたときにこの大荷重を支持する荷重支持部材とを有し、
前記アームと前記レールブラケットとがストッパピンで連結されており、
前記荷重支持部材は帯状の板から円弧部を有するU字状に形成されており、前記シートレールに所定以上の大荷重が加えられたときに、前記荷重支持部材の円弧部が前記ストッパピンに当接することでこの大荷重を支持することを特徴とするシート荷重計測装置。 - 前記シートブラケットは車体に固定されていることを特徴とする請求項1記載のシート荷重計測装置。
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