JP4169574B2 - 自立袋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は可撓自立袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
自立袋として、表裏の合成樹脂製胴部シートと、合成樹脂製底部シートを貼合せて可撓袋本体を形成したものがある。このような自立袋では、硬質ボトルに比し、袋本体の使用樹脂量が少なく、袋本体への内容剤の充填前段階では袋本体を折りたたんで保管できる(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特許3077751号公報(3頁、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の自立袋には以下の問題点がある。
▲1▼袋本体1の内容剤充填口が表裏の胴部シート2A、2Bの上縁部の間に広く開放形成され(図4(A))、袋本体1への内容剤充填後にそれら胴部シート2A、2Bの上縁部をシールバー3、3で挟んで融着して封止する(図4(B))。充填口を広く開放した充填段階に対し、充填口の融着段階における胴部シート2A、2Bの上縁部の引き寄せ量は大きく、これが胴部シート2A、2Bの中間部側にまで及び、融着段階での内容剤の液面レベルLを顕著に上昇させ、結果として胴部シート2A、2Bの融着部に内容剤の液かみを生じさせ融着不良を招く虞がある。液かみを防ぐため、袋本体1への内容剤の充填量を少なくし、液面レベルLを下げざるを得ないから、自立袋の充填率が低くなる。
【0005】
▲2▼胴部シート2A、2Bの融着後の袋本体1の静置時に、胴部シート2A、2Bのもともと平面状シートであった部分が内容剤により立体状に膨らみ、結果として胴部シート2A、2Bの特に内容剤の液面レベルLより上部にしわや凹み等の顕著な変形を生じ(図4(C))、袋本体1の美的外観性を損なう。
【0006】
また、従来の自立袋には以下の問題点もある。
(1)袋本体は複数枚のシート(胴部シート、底部シート)を用意してこれを貼合わせることにて製造するものであり、製造工程が複雑である。
【0007】
(2)胴部シートと底部シートは、貼合わせを可能にするための接着性内側フィルムと、胴部シートの外縁に接する貼合わせ用のヒートシールバーの加熱によっても溶けて汚損しない非接着性外側フィルムとを中間接着層の介在により積層した積層フィルムを用いる。このため、内容剤に界面活性剤や溶剤を含む場合、界面活性剤や溶剤が内側フィルムから中間接着層に浸透して内側フィルムと外側フィルムの剥離を生ずる等、袋品質の安定を損なう虞がある。
【0008】
(3)胴部シートと底部シートの貼合わせ交点部が落下の衝撃に対して弱く、割れ易い。
【0009】
(4)注ぎ口が表裏の胴部シートの平面的な貼合わせ部分に設けられるから、閉塞し易い。閉塞を防ぐためには、表裏の胴部シートの間にストロー等を挟み込む必要がある。
【0010】
本発明の課題は、袋本体への内容剤の充填前段階で袋本体を折りたたみ可能にした自立袋において、袋本体の充填口融着部への内容剤の液かみを防止し、内容剤の充填による袋本体の変形も防止することにある。同時に、製造工程の簡易、袋品質の安定、落下強度の向上、注ぎ口の安定確保も図る。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、胴部と底部からなる合成樹脂製の薄肉袋本体を金型成形してなり、袋本体への内容剤の充填前段階で袋本体を折りたたみ可能にした自立袋であって、袋本体における内容剤の収容部、充填口形成部、及び注ぎ口形成部も上記金型成形により立体状に形成し、前記充填口形成部を内容剤の充填後に融着して封止可能とし、前記収容部と充填口形成部とを肩部により滑らかにつなぎ、該充填口形成部の正面部と背面部を融着可能にし、該肩部は側面視で該収容部の側から該充填口形成部の側に向けて狭巾化にしてなり、前記充填口形成部は、胴部の上縁部に、胴部の全巾近くに渡る広巾の開口により形成され、前記注ぎ口形成部は、胴部の上縁側の一部に、前記充填口形成部とは別に成形されているようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
自立袋10は、図1、図2に示す如く、胴部20と底部30からなる合成樹脂製の袋本体11を3次元状(立体状)にブロー成形し、袋本体11への内容剤の充填前段階で袋本体11を折りたたみ可能にしたものである。
【0013】
袋本体11は、図2に示す如く、胴部20の上部を除く部分と底部30からなる内容剤の収容部21と、胴部20の上縁部の全巾又は全巾近くに渡る広巾の開口を形成し、内容剤のための充填口22Aを形成するための充填口形成部22とを有し、収容部21と充填口形成部22とを肩部23により滑らかにつなぐように、収容部21、充填口形成部22及び肩部23の全体をブロー成形する。肩部23は、自立袋10の側面視(図2、充填口形成部22の後述するシール部22Bの長手方向に沿って見る方向)で、収容部21の側から充填口形成部22の側に向けて逆V字状をなす如くに狭巾化される。
【0014】
自立袋10は、図2に示す如く、充填口22Aから内容剤を充填した後、充填口形成部22の正面部20Aと背面部20Bをシールバー40により挟圧し、正面部20Aと背面部20Bをヒートシール又は超音波シール等により融着して封止する。これにより、充填口形成部22はシール部22Bになる。
【0015】
自立袋10は、図1に示す如く、袋本体11のブロー成形時に、胴部20の上縁側の一部に注ぎ口24Aを形成するための注ぎ口形成部24を成形できる。注ぎ口形成部24の切断により注ぎ口24Aを形成する。
【0016】
自立袋10は、袋本体11の折りたたみ形態は、例えば底部30の中央部をブロー成形金型のパーティングラインに沿って胴部20の内側に向けて2つ折りし、この2つ折りした底部30を胴部20の下部の内側に折り込み、胴部20を平らにすることにより、底部30を胴部20に対し平行に折りたたむ如くとする(図3)。
【0017】
ここで、自立袋10は、ダイレクトブロー成形により製造できる。ダイレクトブロー成形は、パリソンを押出し、パリソンの内部への空気の吹き込みにより円周方向の延伸を行なって袋本体11を形成する。ダイレクトブロー成形は単層又は積層した樹脂層からなる袋本体11を形成する。ダイレクトブロー成形による袋本体11の構成樹脂材料としては、単層のときにはLDPE(低密度ポリエチレン)又はL−LDPE(直鎖低密度ポリエチレン)を採用でき、積層のときには外側層をHDPE(高密度ポリエチレン)、内側層をLDPE又はL−LDPEとするものを採用できる。
【0018】
自立袋10は、界面活性剤0.1%〜50%又は溶剤0.1%〜50%の少なくとも1種以上を成分とする内容剤を入れて製品とした自立袋に用いて好適である。
【0019】
自立袋10によれば以下の作用がある。
(a)自立袋10において、袋本体11における内容剤のための充填口形成部22を金型成形により形成したものであり、充填口形成部22の開放面積を必要最小限に規定できる。従って、充填段階に対し、充填口形成部22の融着段階における胴部20の上縁側で相対する正面部20Aと背面部20Bの引き寄せ量が小さくなり、内容剤の液面レベルLを顕著に上昇させることがなく、結果として充填口形成部22のシール部22Bに内容剤の液かみを生じさせず、融着不良を招くこともない。袋本体11への内容剤の充填量を従来より多くしても液かみを生じないから、自立袋10の充填率を高くできる。
【0020】
(b)袋本体11は胴部20と底部を3次元状に成形したものであり、充填口形成部22の融着後の袋本体11の静置時に、内容剤の充填による胴部20の多少の膨らみがあっても、胴部20にしわや凹み等の顕著な変形が入ることはなく、袋本体11の美的外観性を向上できる。
【0021】
(c)袋本体11が内容剤の収容部21と充填口形成部22をつなぐ肩部23を有し、肩部23を側面視で収容部21の側から充填口形成部22の側に向けて狭巾になるようにしたから、内容剤を収容部21に所望の3次元形状を確保しながら、融着段階における胴部20の相対する正面部20Aと背面部20Bの引き寄せ量が小さい充填口形成部22を形成できる。
【0022】
(d)自立袋10の内容剤が充填段階で泡立ち易い界面活性剤又は溶剤であるとき、充填に続く充填口形成部22の融着段階における液面レベルLの上昇が前述(a)の如くに抑制されるから、多少の泡立ちがある内容剤においてもその内容剤のシール部22Bへの液かみを回避できる。
【0023】
また、自立袋10は以下の作用もある。
(1)合成樹脂製の可撓袋本体11を3次元状(立体状)にブロー成形し、袋本体11への内容剤の充填前段階では袋本体11を折りたたんで平積み保管でき、内容剤の充填時には袋本体11を3次元状に膨らませて自立可能にする。袋本体11は、ブロー成形によって薄肉可撓状にされ、従来のフィルムを貼り合わせた袋に比して使用樹脂量は少なく、平積み保管によって保管効率も良い。
【0024】
(2)袋本体11への内容剤の充填口形成部22は、袋本体11の胴部20の上縁の全幅又は全幅近くに渡って設けることができ、内容剤の充填性は良い。
【0025】
(3)袋本体11からの内容剤の注ぎ口形成部24は、袋本体11のブロー成形時に、胴部20の一部として成形し、又はブロー成形された胴部20の上縁の開口部をシールして形成することができる。また、注ぎ口形成部24は、袋本体11のブロー成形時に3次元状に成形されるから、閉塞しにくい。
【0026】
(4)袋本体11の折りたたみ形態は、胴部20と底部30を重ね合わせたほぼ平面状にすることができる。
【0027】
(5)袋本体11をブロー成形するものであるから、従来の自立袋で必要なフィルムの裁断やフィルムのシールが大幅に省略可能となるため、製造工程は簡易である。
【0028】
(6)袋本体11をシートの貼合わせによって構成するものでないから、接着層を介在させた積層フィルムにより袋本体11を構成することを必ずしも必要としない。従って、袋本体11を単層フィルムにより構成することができ、界面活性剤や溶剤を含む内容剤が積層フィルムの接着層に浸透して該積層フィルムの剥離を生ずる等がなく、袋品質の安定を図ることができる。
【0029】
(7)袋本体11の胴部20と底部30が一体成形され、落下の衝撃に対して強く、割れにくい。
【0030】
(8)袋本体11に形成した注ぎ口形成部24を、袋本体11の底部30に平行をなす水平方向に対し0度〜90度、好適には30度〜60度の範囲内、最適には45度で傾けることにより、注ぎ出し易くできる。
【0031】
(9)袋本体11に形成した注ぎ口形成部24を、袋本体11の外方に突出状にすることを金型設計できることから、その突出形状を自由に構成でき、注ぎ口の突出長を長くしたり、注ぎ口の口幅を広くする等、注ぎ出し易い袋を簡易に製造できる。
【0032】
尚、本発明の自立袋は、金型成形によるものであれば、ブロー成形によるものに限らず、インジェクション成形によるもの等であっても良い。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、自立袋において、袋本体の充填口融着部への内容剤の液かみを防止し、内容剤の充填による袋本体の変形も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は自立袋を示す斜視図である。
【図2】 図2は自立袋の充填口形成部を融着する状態を示す側面図である。
【図3】 図3は自立袋の折りたたみ状態を示す斜視図である。
【図4】 図4は従来の自立袋を示す側面図である。
【符号の説明】
10 自立袋
11 袋本体
20 胴部
20A 正面部
20B 背面部
21 収容部
22 充填口形成部
22A 充填口
22B シール部
23 肩部
24 注ぎ口形成部
24A 注ぎ口
30 底部
Claims (4)
- 胴部と底部からなる合成樹脂製の薄肉袋本体を金型成形してなり、袋本体への内容剤の充填前段階で袋本体を折りたたみ可能にした自立袋であって、
袋本体における内容剤の収容部、充填口形成部、及び注ぎ口形成部も上記金型成形により立体状に形成し、前記充填口形成部を内容剤の充填後に融着して封止可能とし、
前記収容部と充填口形成部とを肩部により滑らかにつなぎ、該充填口形成部の正面部と背面部を融着可能にし、該肩部は側面視で該収容部の側から該充填口形成部の側に向けて狭巾化にしてなり、
前記充填口形成部は、胴部の上縁部に、胴部の全巾近くに渡る広巾の開口により形成され、
前記注ぎ口形成部は、胴部の上縁側の一部に、前記充填口形成部とは別に成形されている自立袋。 - 前記注ぎ口形成部を、袋本体の底部に平行をなす水平方向に対して傾けて成形した請求項1に記載の自立袋。
- 前記注ぎ口形成部を、袋本体の外方に突出状に成形された請求項1又は2に記載の自立袋。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の自立袋の袋本体に界面活性剤又は溶剤の少なくとも1種以上を成分とした内容剤を入れた自立袋製品。
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