JP2005001748A - 自立袋 - Google Patents

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Shinichi Inaba
真一 稲葉
Yoshinori Inagawa
義則 稲川
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Abstract

【課題】金型成形され、かつ折りたたみ可能にされた自立袋において、注ぎ口の開封操作性を向上すること。
【解決手段】合成樹脂製の袋本体11を金型成形してなり、袋本体11への内容剤の充填前段階で袋本体11を折りたたみ可能にした自立袋10であって、袋本体11の注ぎ口形成部24において、注ぎ口24Aを開封するための切除部26につまみ片27を設けたもの。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自立袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
自立袋として、表裏の合成樹脂製胴部シートと、合成樹脂製底部シートを貼合せて可撓袋本体を形成し、更に、この袋本体内に補強用の筒状弾性体を配設し、袋本体の剛性を高め、袋本体のしわの発生を抑えるものがある(特許文献1)。
【0003】
他方、特許文献2の目薬用容器や特許文献3のチューブ容器では、容器の注ぎ口形成部に設けた脆弱なねじり切り部を手指でねじり切り、注ぎ口を形成可能としている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−244793([0009]、図1)
【0005】
【特許文献2】
特開平11−130112([0007]、[0009]図1)
【0006】
【特許文献3】
特開平9−39991([0018]、[0030]図3)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の自立袋には以下の問題点がある。
(1)袋本体は複数枚のシート(胴部シート、底部シート)を用意してこれを貼合わせることにて製造するものであり、製造工程が複雑である。
【0008】
(2)胴部シートと底部シートは、貼合わせを可能にするための接着性内側フィルムと、胴部シートの外縁に接する貼合わせ用のヒートシールバーの加熱によっても溶けて汚損しない非接着性外側フィルムとを中間接着層の介在により積層した積層フィルムを用いる。このため、内容剤に界面活性剤や溶剤を含む場合、界面活性剤や溶剤が内側フィルムから中間接着層に浸透して内側フィルムと外側フィルムの剥離を生ずる等、袋品質の安定を損なうおそれがある。
【0009】
(3)胴部シートと底部シートの貼合わせ交点部が落下の衝撃に対して弱く、割れ易い。
【0010】
(4)注ぎ口が表裏の胴部シートの平面的な貼合わせ部分に設けられるから、閉塞し易い。閉塞を防ぐためには、表裏の胴部シートの間にストロー等を挟み込む必要がある。
【0011】
そこで、本出願人は、特願2002−310260により、自立袋において、製造工程を簡易にすること、袋品質の安定を図ること、落下強度を向上すること、注ぎ口を安定確保することを目的とし、合成樹脂製の袋本体を金型成形してなり、袋本体への内容剤の充填前段階で袋本体を折りたたみ可能にした自立袋を提案している。
【0012】
しかしながら、金型成形され、かつ折りたたみ可能にされた自立袋では、注ぎ口を形成するため、袋本体の注ぎ口形成部に特許文献2、3のねじり切り部を単に転用しようとする場合には、自立袋の落下強度が小さく割れ易くなる。これは、袋本体が折りたたみ容易化のために薄肉可撓状にされており、この薄肉の袋本体に更に脆弱なねじり切り部を備えることに起因する。また、ねじり切り部のねじり切りにより形成される注ぎ口の口径は小さい。
【0013】
このため、金型成形され、かつ折りたたみ可能にされた自立袋は、袋本体の注ぎ口形成部の先端の切除部をハサミ等で切断し、大きな口径の注ぎ口を開封することとしている。ところが、切除部はハサミ等で切断した途端に周辺に飛び落ちるし、切除部は小寸法であるがために手指で保持し難い。
【0014】
本発明の課題は、金型成形され、かつ折りたたみ可能にされた自立袋において、注ぎ口の開封操作性を向上することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、合成樹脂製の袋本体を金型成形してなり、袋本体への内容剤の充填前段階で袋本体を折りたたみ可能にした自立袋であって、袋本体の注ぎ口形成部において、注ぎ口を開封するための切除部につまみ片を設けたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)(図1、図2)
自立袋10は、図1に示す如く、胴部20と底部30からなる合成樹脂製の袋本体11を3次元状(立体状)にブロー成形し、袋本体11への内容剤の充填前段階で袋本体11を折りたたみ可能にしたものである。
【0017】
袋本体11は、胴部20と底部30からなる内容剤の収容部21と、胴部20の上縁部の全巾又は全巾近くに渡る広巾の開口を形成し、内容剤のための充填口22Aを形成するための充填口形成部22とを有し、収容部21と充填口形成部22とを肩部23により滑らかにつなぐように、収容部21、充填口形成部22及び肩部23の全体をブロー成形する。肩部23は、自立袋10の側面視(充填口形成部22の後述するシール部22Bの長手方向に沿って見る方向)で、収容部21の側から充填口形成部22の側に向けて逆V字状をなす如くに狭巾化される。
【0018】
自立袋10は、充填口22Aから内容剤を充填した後、充填口形成部22の正面部20Aと背面部20Bをシールバーにより挟圧し、正面部20Aと背面部20Bをヒートシール又は超音波シール等により融着して封止する。これにより、充填口形成部22はシール部22Bになる。
【0019】
自立袋10は、図1に示す如く、袋本体11のブロー成形時に、胴部20の上縁側の一部に注ぎ口24Aを形成するための注ぎ口形成部24を成形できる。注ぎ口形成部24の外周に沿って凹設した切断線Lに沿う切断により注ぎ口24Aを開封する。
【0020】
自立袋10は、図2(図2(C)は(A)のC−C線に沿う断面図)に示す如く、袋本体11に形成した注ぎ口24Aからの内容剤の注ぎ出し時に、袋本体11の内部へ外気を侵入させるための空気流通路形成部25を、袋本体11のブロー成形時に成形して備える。本実施形態の空気流通路形成部25は、注ぎ口形成部24に並置する仕切壁状をなす。注ぎ口形成部24と空気流通路形成部25は、切断線Lに沿って一度に切断され、注ぎ口24Aと空気流通路25Aを袋外に対し並んで開封する。
【0021】
自立袋10は、袋本体11の注ぎ口形成部24と空気流通路形成部25の切断線Lより先端側を、注ぎ口24Aと空気流通路25Aを袋外に対し一度に開封するための切除部26としている。袋本体11の切除部26をハサミ等により切断線Lに沿って切断することにより、注ぎ口24Aと空気流通路25Aを同時に開封する。
【0022】
自立袋10は、切除部26に平板状のつまみ片27を一体に設けた。つまみ片27は、切除部26における反注ぎ出し方向側(充填口形成部22寄り)の側縁を充填口形成部22側に張り出し状に広げられ、ハサミ等による切除部26の切断時に手指にてつまみ保持可能にされる。
【0023】
つまみ片27は、袋本体11のブロー成形時に、注ぎ口形成部24、空気流通路形成部25の切除部26と一体に成形され、例えば一対の金型により挟圧されて成形されるバリ状の平板状体にて構成される。このとき、つまみ片27は、手指によるつまみ保持の確実を図るため、凹凸面を備えるものとすることができる。
【0024】
尚、本実施形態において、切除部26はその切除前には空気流通路形成部25の空気流通路25Aの一端を閉塞するものとした。但し、切除部26はその切除前から空気流通路形成部25の空気流通路25Aの一端を袋内に開口し、空気流通路25Aを両端開放しても良い。
【0025】
また、自立袋10は、胴部20における注ぎ口24Aの近傍で、注ぎ出し方向側の側縁に、引っかかり凹部28を備える。この引っかかり凹部28を相手容器の縁等に引っかけることにより、袋本体11を相手容器に対し安定的に位置付けて注ぎ口24Aから注ぎ出しできる(図2(B))。
【0026】
自立袋10は、ダイレクトブロー成形により製造できる。
ダイレクトブロー成形は、パリソンを押出し、パリソンの内部への空気の吹き込みにより円周方向の延伸を行なって袋本体11を形成する。ダイレクトブロー成形は単層又は積層した樹脂層からなる袋本体11を形成する。ダイレクトブロー成形による袋本体11の構成樹脂材料としては、単層のときにはLDPE(低密度ポリエチレン)、L−LDPE(直鎖低密度ポリエチレン)又は、HDPE(高密度ポリエチレン)を採用でき、積層のときには外側層をHDPE(高密度ポリエチレン)、内側層をLDPE又はL−LDPEとするものを採用できる。
【0027】
自立袋10は、袋本体11の折りたたみ形態を、胴部20に底部30を下記(a)又は(b)の如くに重ね合わせたものとすることができる。
(a)胴部20を平らにし、平板状の底部30を胴部20の下部に対し折り曲げた形態。
【0028】
(b)底部30をドーム状に膨らまし成形し、底部30の中央部をブロー成形金型のパーティングラインに沿って胴部20の内側へ折り込み、胴部20を平らにした形態。
【0029】
自立袋10は、界面活性剤0.1%〜50%又は溶剤0.1%〜50%の少なくとも1種以上を成分とする内容剤を入れて製品とした自立袋に用いて好適である。
【0030】
自立袋10によれば以下の作用効果を奏する。
▲1▼自立袋10において、袋本体11の注ぎ口形成部24の切除部26につまみ片27を設けたから、手指でつまみ片27を保持した状態下で、切除部26をハサミ等で切断し、注ぎ口24Aを開封する。つまみ片27は手指で保持し易いし、切除部26はつまみ片27に一体になっていて飛び落ちることがない。仮に、つまみ片27が手指から離れても、つまみ片27が空気抵抗を受け、切除部26が遠くに飛び落ちることを防止する。
【0031】
▲2▼袋本体11に注ぎ口形成部24と空気流通路形成部25を並置し、両形成部24、25の切除部26につまみ片27を設けたから、つまみ片27を手指で保持した状態下で、切除部26をハサミ等で切断することにより、注ぎ口24Aと空気流通路25Aを同時に形成しながら、切除部26の飛び落ちを回避できる。
【0032】
▲3▼つまみ片27が平板状をなすことにより、つまみ片27を手指で保持し易くなる。
【0033】
また、自立袋10は以下の作用効果もある。
(1)合成樹脂製の可撓袋本体11を3次元状(立体状)にブロー成形し、袋本体11への内容剤の充填前段階では袋本体11を折りたたんで平積み保管でき、内容剤の充填時には袋本体11を3次元状に膨らませて自立可能にする。袋本体11は、ブロー成形によって薄肉可撓状にされ、従来のフィルムを貼り合わせた袋に比して使用樹脂量は少なく、平積み保管によって保管効率も良い。
【0034】
(2)袋本体11への内容剤の充填口形成部22は、袋本体11の胴部20の上縁の全幅又は全幅近くに渡って設けることができ、内容剤の充填性は良い。
【0035】
(3)袋本体11からの内容剤の注ぎ口形成部24は、袋本体11のブロー成形時に、胴部20の一部として成形し、又はブロー成形された胴部20の上縁の開口部をシールして形成することができる。また、注ぎ口形成部24は、袋本体11のブロー成形時に3次元状に成形されるから、閉塞しにくい。
【0036】
(4)袋本体11の折りたたみ形態は、胴部20と底部30を重ね合わせたほぼ平面状にすることができる。
【0037】
(5)袋本体11をブロー成形するものであるから、従来の自立袋で必要なフィルムの裁断やフィルムのシールが大幅に省略可能となるため、製造工程は簡易である。
【0038】
(6)袋本体11は胴部20と底部30を3次元状に成形したものであり、内容剤の充填による胴部20の膨らみ時に、胴部20にしわが入ることがなく、袋本体11の美的外観を向上できる。
【0039】
(7)袋本体11をシートの貼合わせによって構成するものでないから、接着層を介在させた積層フィルムにより袋本体11を構成することを必ずしも必要としない。従って、袋本体11を単層フィルムにより構成することができ、界面活性剤や溶剤を含む内容剤が積層フィルムの接着層に浸透して該積層フィルムの剥離を生ずる等がなく、袋品質の安定を図ることができる。
【0040】
(8)袋本体11の胴部20と底部30が一体成形され、落下の衝撃に対して強く、割れにくい。
【0041】
(9)袋本体11に形成した注ぎ口形成部24を、袋本体11の底部30に平行をなす水平方向に対し0度〜90度、好適には30度〜60度の範囲内、最適には45度で傾けることにより、注ぎ出し易くできる。
【0042】
(10)袋本体11に形成した注ぎ口形成部24を、袋本体11の外方に突出状にすることを金型設計できることから、その突出形状を自由に構成でき、注ぎ口の突出長を長くしたり、注ぎ口の口幅を広くする等、注ぎ出し易い袋を簡易に製造できる。
【0043】
(第2実施形態)(図3)
第2実施形態の自立袋10が第1実施形態の自立袋10と異なる点は、図3に示す如く、平板状つまみ片27を切除部26の全体に渡って設けたことにある。袋本体11のブロー成形時に、切除部26の全体を一対の金型により挟圧して成形されるバリ状の平板状体としこの切除部26の全体をつまみ片27とすることができる。
【0044】
つまみ片27が切除部26の全体に渡って設けられることにより、つまみ片27を大寸法化し、手指で保持し易くなる。
【0045】
(第3実施形態)(図4)
第3実施形態の自立袋10が第2実施形態の自立袋10と異なる点は、図4に示す如く、平板状つまみ片27の反注ぎ出し方向側の側縁を充填口形成部22の側により大きく張り出し状に広げ、その張り出し部に孔状(フック状でも可)吊下げ部29を設けたことにある。
【0046】
つまみ片27が吊下げ部29を備えることにより、自立袋10の店頭での陳列性を向上できる。
【0047】
(第4実施形態)(図5)
第4実施形態の自立袋10が第1実施形態の自立袋10と異なる点は、袋本体11の注ぎ口形成部24において、注ぎ口24Aと空気流通路25Aを袋外に対し一度に開封するための切除部26を、その切除後にも袋本体11に連結する連結部41を設けたことにある。連結部41はひも状をなすようにした。
【0048】
連結部41が、充填口形成部22及び注ぎ口形成部24の外縁との間に区画する空洞部は、自立袋10の陳列用吊下げ部42として利用できる。
【0049】
袋本体11の切除部26をハサミ等により切断線Lに沿って切断し、注ぎ口24Aと空気流通路25Aを同時に開封したとき、切除部26は連結部41により袋本体11から切離されない。袋本体11の注ぎ口24Aからの注ぎ出し時に、袋本体11を傾けると(図5(B))、切除部26は重力により注ぎ口24Aから離隔し、注ぎ口24Aからの注ぎ出しを妨げない。袋本体11のブロー成形時に、切除部26の全体を一対の金型により挟圧して成形されるバリ状の平板状体とし、その板厚を大きくして大重量化することにより、重力による注ぎ口24Aからの離隔効果を確実ならしめることができる。
【0050】
自立袋10において、袋本体11の注ぎ口形成部24の切除部26をその切除後にも袋本体11に連結する連結部41を設けたから、切除部26をハサミ等で切断し、注ぎ口24Aを形成したとき、切除部26は連結部41を介して袋本体11につながっていて飛び落ちることがない。
【0051】
尚、本発明の自立袋は、金型成形によるものであれば、ブロー成形によるものに限らず、インジェクション成形によるもの等であっても良い。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、金型成形され、かつ折りたたみ可能にされた自立袋において、注ぎ口の開封操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第1実施形態の自立袋を示す斜視図である。
【図2】図2は図1の要部を示す断面図である。
【図3】図3は第2実施形態の自立袋の要部を示す断面図である。
【図4】図4は第3実施形態の自立袋の要部を示す断面図である。
【図5】図5は第4実施形態の自立袋の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
10 自立袋
11 袋本体
24 注ぎ口形成部
24A 注ぎ口
25 空気流通路形成部
25A 空気流通路
26 切除部
27 つまみ片
29 吊下げ部
41 連結部

Claims (6)

  1. 合成樹脂製の袋本体を金型成形してなり、袋本体への内容剤の充填前段階で袋本体を折りたたみ可能にした自立袋であって、
    袋本体の注ぎ口形成部において、注ぎ口を開封するための切除部につまみ片を設けた自立袋。
  2. 前記袋本体に注ぎ口形成部と空気流通路形成部を並置し、注ぎ口と空気流通路を一度に開封するための切除部につまみ片を設けた請求項1に記載の自立袋。
  3. 前記つまみ片が切除部の全体に渡って設けられた請求項1又は2に記載の自立袋。
  4. 前記つまみ片が平板状をなす請求項1〜3のいずれかに記載の自立袋。
  5. 前記つまみ片が吊下げ部を備える請求項1〜4のいずれかに記載の自立袋。
  6. 合成樹脂製の袋本体を金型成形してなり、袋本体への内容剤の充填前段階で袋本体を折りたたみ可能にした自立袋であって、
    袋本体の注ぎ口形成部において、注ぎ口を開封するための切除部をその切除後にも袋本体に連結する連結部を設けた自立袋。
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