JP4168678B2 - 半導体受光素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体受光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信において、光ファイバを伝搬してきた光信号を受けるために半導体受光素子を用いる。この半導体受光素子は、InP基板と、このInP基板上に設けられたInPバッファ層と、このInPバッファ層上に設けられた光吸収層と、光吸収層上に設けられたInP層とを備える。この半導体受光素子は、1.3マイクロメートル帯、1.55マイクロメートル帯といった波長帯の信号光を受けるために、信号光の波長よりも長い波長に対応するバンドギャップを有する光吸収層を備える。この光吸収層のための半導体材料は、InP半導体に格子整合するInGaAs半導体である。この格子整合しているので、半導体層の結晶性は良い。半導体受光素子は、高い製造歩留まりと低い暗電流を示す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
発明者は、光通信システムのための半導体受光素子の開発に携わっている。光通信においては、信号光を受ける半導体受光素子に加えて、監視光を受ける半導体受光素子も求められている。本出願時点においては、監視光には信号光の波長と異なる波長を用い、監視光の波長は1.6マイクロメートル以上1.7マイクロメートル以下の波長帯域内にある。この監視光の波長帯域に受光感度を示す半導体受光素子を得るために、光吸収層の組成を変更することが必要である。発明者の見積もりによれば、監視光のための半導体受光素子は、InGaAs光吸収層の格子定数をInP半導体の格子定数より+0.2パーセント程度大きくすることにより得られる。
【0004】
本発明の目的は、半導体光吸収層の格子定数が半導体基板の格子定数と異なる半導体受光素子を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の一側面によれば、半導体受光素子は、InP基板と、InGaAs半導体、InGaAsP半導体、及びAlGaInAs半導体の少なくともいずれかを含み、前記InP基板上に設けられたIII−V族化合物半導体光吸収層と、前記InP基板と前記III−V族化合物半導体光吸収層との間に設けられたInGaAsP半導体層と、InGaAsP半導体からなる別の III − V 族化合物半導体層とを備える。前記InP基板は、第1の熱膨張係数を有しており、前記III−V族化合物半導体光吸収層は、第2の熱膨張係数を有しており、前記InGaAsP半導体層は、第3の熱膨張係数を有しており、前記第3の熱膨張係数の値は、前記第1の熱膨張係数の値と前記第2の熱膨張係数の値との間であり、前記InGaAsP半導体層の格子定数は、前記InP基板の格子定数より大きく、前記InGaAsP半導体層の格子定数は、前記III−V族化合物半導体光吸収層の格子定数より小さく、前記InGaAsP半導体層は、同一組成の単一膜であり、前記 III − V 族化合物半導体光吸収層は、前記別の III − V 族化合物半導体層と前記InGaAsP半導体層との間に設けられており、前記別の III − V 族化合物半導体層は同一組成の単一膜の窓層であり、室温において、前記III−V族化合物半導体光吸収層と前記InP基板との格子不整度△a/aが+0.1パーセント以上であり、該格子不整度△a/aが+0.4パーセント以下であり、ここで、△a/a=(a光吸収層−aInP)/aInPを示し、シンボルaInPはInPの格子定数を示しており、シンボルa光吸収層は光吸収層の格子定数を示し、前記InP基板と前記InGaAsP半導体層との間の接合には格子不整があり、前記InGaAsP半導体層と前記III−V族化合物半導体光吸収層との間の接合には格子不整があり、当該半導体受光素子は上面入射型または裏面入射型のいずれかである。
本発明に係る半導体受光素子では、前記別のIII−V族化合物半導体層の格子定数は、前記InP基板の格子定数と異なると共に、前記III−V族化合物半導体光吸収層の格子定数と異なっている。
【0006】
半導体受光素子は、半導体基板と、 III − V 族化合物半導体光吸収層と、 III − V 族化合物半導体層とを備える。 III − V 族化合物半導体光吸収層は、半導体基板の格子定数と異なる格子定数を有しており、半導体基板上に設けられている。 III − V 族化合物半導体層の格子定数は、半導体基板の格子定数と異なると共に半導体光吸収層の格子定数と異なっている。 III − V 族化合物半導体層は、半導体基板と III − V 族化合物半導体光吸収層との間に設けられている。
III−V族化合物半導体層は、半導体基板とIII−V族化合物半導体光吸収層との間に配置されることにより、III−V族化合物半導体層と、III−V族化合物半導体層に隣接する半導体層との間の格子定数差を小さくするために役立つ。
【0007】
この半導体受光素子において、半導体基板は第1の熱膨張係数を有しており、III−V族化合物半導体光吸収層は第2の熱膨張係数を有しており、III−V族化合物半導体層は第3の熱膨張係数を有している。第3の熱膨張係数の値は第1の熱膨張係数の値と第2の熱膨張係数の値との間にある。この半導体素子では、III−V族化合物半導体層の格子定数、半導体基板の格子定数、及び半導体光吸収層の格子定数の大きさの順を動作温度及び成膜温度において調整できる。
【0008】
この半導体受光素子は、別のIII−V族化合物半導体層を更に備えることができる。別のIII−V族化合物半導体層の格子定数は、半導体基板の格子定数と異なると共に、III−V族化合物半導体光吸収層の格子定数と異なっている。III−V族化合物半導体光吸収層は、III−V族化合物半導体層と別のIII−V族化合物半導体層との間に設けられている。この構成により、III−V族化合物半導体光吸収層と別のIII−V族化合物半導体層との間における格子定数差を小さくできる。
【0009】
この半導体受光素子において、別のIII−V族化合物半導体層は、第4の熱膨張係数を有している。第4の熱膨張係数の値は、第1の熱膨張係数の値と第2の熱膨張係数の値との間である。この半導体素子では、別のIII−V族化合物半導体層の格子定数、半導体基板の格子定数、及び半導体光吸収層の格子定数の大きさの順序を動作温度及び成膜温度において調整できる。
【0010】
この半導体受光素子においては、III−V族化合物半導体光吸収層の格子定数の値は、半導体基板の格子定数の値より大きい。発明者の知見によれば、光吸収層の格子定数が半導体基板の格子定数より大きい半導体受光素子は、光吸収層の格子定数が半導体基板の格子定数より小さい半導体受光素子に比べてミスフィット転位が入りやすいけれども、このIII−V族化合物半導体層は、ミスフィット転位の発生を低減するために役立つ。
【0011】
本発明の別の側面によれば、半導体受光素子は、InP基板と、III−V族化合物半導体光吸収層と、InGaAsP半導体層とを備える。III−V族化合物半導体光吸収層の格子定数の値は、InP基板の格子定数の値と異なる。III−V族化合物半導体光吸収層はInP基板上に設けられている。InGaAsP半導体層は、InP基板とIII−V族化合物半導体光吸収層との間に設けられている。
【0012】
InGaAsP半導体層は、InGaAsP半導体層とInP基板との間の格子定数差及びInGaAsP半導体層とIII−V族化合物半導体光吸収層との間の格子定数差を、InP基板とIII−V族化合物半導体光吸収層との間の格子定数差より小さくするために役立つ。また、四元半導体材料であるInGaAsP半導体を採用すれば、半導体のバンドギャップ及び格子定数を別個に変更できる。
【0013】
半導体受光素子においては、InGaAsP半導体層の格子定数はInP基板の格子定数より大きく、また、InGaAsP半導体層の格子定数はIII−V族化合物半導体光吸収層の格子定数より小さい。
【0014】
この半導体受光素子において、III−V族化合物半導体光吸収層は、InGaAs半導体、InGaAsP半導体、及びAlGaInAs半導体の少なくともいずれかを含むことができる。
【0015】
この半導体受光素子においては、室温において、III−V族化合物半導体光吸収層とInP基板との格子不整度△a/aが+0.1パーセント以上であることができる。ここで、△a/a=(a光吸収層−aInP)/aInP、aInPはInPの格子定数を示しており、シンボルa光吸収層は光吸収層の格子定数を示している。
【0016】
発明者の知見によれば、光吸収層と半導体基板との格子不整度を示す0.1パーセントを超えると転位が発生しやすい。
【0017】
この半導体受光素子において、III−V族化合物半導体光吸収層の厚さは、2マイクロメートル以上であることができる。この厚さは、十分な感度を有する半導体受光素子を得るためには好適である。しかしながら、半導体受光素子にIII−V族化合物半導体層或いはInGaAsP半導体層を用いない場合、この厚さの光吸収層を有する半導体受光素子を得ることは容易ではない。
【0018】
半導体受光素子は、III−V族化合物半導体光吸収層上に設けられた別のInGaAsP半導体層を備えることができる。
【0019】
本発明の更なる別の側面は、半導体受光素子に係わる。半導体受光素子は、半導体基板と、III−V族化合物半導体光吸収層と、III−V族化合物半導体層とを備える。半導体基板は、第1の熱膨張係数を有する。III−V族化合物半導体光吸収層は、第2の熱膨張係数を有しており、半導体基板上に設けられている。III−V族化合物半導体層は、第3の熱膨張係数を有しており、半導体基板とIII−V族化合物半導体光吸収層との間に設けられている。第3の熱膨張係数の値は、第1の熱膨張係数の値と第2の熱膨張係数の値との間である。
【0020】
半導体受光素子はいくつかの半導体層を備えており、これらの半導体層は、半導体受光素子が動作する動作温度と異なる成膜温度において形成される。III−V族化合物半導体光吸収層の格子定数と半導体基板の格子定数との間の格子定数差は動作温度と成膜温度とにおいて異なる。III−V族化合物半導体層は、半導体基板とIII−V族化合物半導体光吸収層との間に配置されることにより、動作温度及び成膜温度における隣接半導体層間の格子定数差を調整できる。
【0021】
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明の半導体受光素子に係わる実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係わる半導体受光素子の斜視図である。半導体受光素子1aは、pin型受光素子であって、上面入射型のプレーナー構造を備える。半導体受光素子1aは、光電変換部2と、基板4と、絶縁膜8と、アノード電極10と、カソード電極12とを備える。光電変換部2および基板4は、所定の軸方向に沿って順に配置されている。基板4は、高濃度に不純物が添加されたInP半導体基板といった半導体基板であることができる。基板4は、一対の面4aおよび4bを備えており、これらの面4aおよび4bは、互いに対向している。基板4の一方の面4a上には、光電変換部2が配置されている。基板4の一方の面4b上には、その全面に金属膜12が設けられている。
【0024】
光電変換部2は、基板4の一方の面4a上に配置されている。光電変換部2は、第1から第3のIII−V族化合物半導体層16、18、20を含む。第1から第3のIII−V族化合物半導体層16、18、20は、基板4の一方の面4a上に所定の軸方向に沿って順に配置されている。第2のIII−V族化合物半導体層18のバンドギャップは第1から第3のIII−V族化合物半導体層16及び20のバンドギャップより小さい。第2のIII−V族化合物半導体層18は、光吸収層として機能するように構成されている。この光吸収層により吸収される光は、第2のIII−V族化合物半導体層18のバンドギャップエネルギに対応する波長より短い波長を有する。
【0025】
光電変換部2は、その内に、アノード拡散領域といったp型半導体領域22を更に備える。p型半導体領域22は、一方の面2aから光吸収層18に到達するように設けられている。p型半導体領域22は、p型ドーパントして亜鉛(Zn)を含むが、これに限定されるものではない。半導体受光素子1aは、p型半導体領域22の周囲を囲むようにp型半導体領域を備えるようにしてもよい。
【0026】
第1のIII−V族化合物半導体層16は、半導体基板2と光吸収層18との間に設けられている。本実施の形態では、第1のIII−V族化合物半導体層16は、半導体基板4の一方の面4a上に直接に設けられている。光吸収層18は、第1のIII−V族化合物半導体層16上に直接に設けられている。半導体受光素子1aは、第1のIII−V族化合物半導体層16と半導体基板4との間に格子不整を有する界面を備えており、第1のIII−V族化合物半導体層16と光吸収層との間に格子不整を有する界面を備えている。
【0027】
受光素子1aにおいて、光吸収層18は、半導体基板4上に設けられており、半導体基板4の格子定数と異なる格子定数を有している。第1のIII−V族化合物半導体層16の格子定数は、動作温度TOPEにおいて、半導体基板4の格子定数と光吸収層18の格子定数との間の値を有している。III−V族化合物半導体層16は、半導体基板4と光吸収層18との間に位置しており、これにより、光吸収層18と半導体基板4との間の格子定数差及び光吸収層18と第2のIII−V族化合物半導体層18との間の格子定数差をそれぞれ小さくするために役立つ。さらに、半導体基板4と第2のIII−V族化合物半導体層18との間の格子定数差を、2つの界面、つまり、第1のIII−V族化合物半導体層16と半導体基板4との界面及び第1のIII−V族化合物半導体層16と第2のIII−V族化合物半導体層18との界面に配分できる。
【0028】
また、受光素子1aにおいて、半導体基板4、第1のIII−V族化合物半導体層16、及び第2のIII−V族化合物半導体層18の熱膨張係数は、それぞれ、第1、第3及び第2の熱膨張係数を有している。第3の熱膨張係数の値は、第1の熱膨張係数の値と第2の熱膨張係数の値との間である。半導体受光素子1aにおいて、半導体層16、18は、半導体受光素子1aが動作する動作温度TOPEと異なる成膜温度TDEPにおいて基板4上に形成される。光吸収層18の格子定数と半導体基板4の格子定数との間の動作温度TOPEにおける格子定数差は、光吸収層18の格子定数と半導体基板4の格子定数との間の成膜温度TDEPにおける格子定数差は異なっている。しかしながら、半導体素子1aでは、III−V族化合物半導体層の格子定数、半導体基板の格子定数、及び半導体光吸収層の格子定数の動作温度における大きさの順序は、成膜温度における順序と変わらない。
【0029】
第3の熱膨張係数の値は第1の熱膨張係数の値と第2の熱膨張係数の値との間であり、加えて、光吸収層18は半導体基板4の格子定数と異なる格子定数を有している。III−V族化合物半導体層16の格子定数が、半導体基板4の格子定数と半導体光吸収層18の格子定数との間にある。III−V族化合物半導体層16は、成膜温度TDEPにおいて、半導体基板4と第2のIII−V族化合物半導体層18との間における格子定数差よりも、第1のIII−V族化合物半導体層16と半導体基板4との間の格子定数差及び第1のIII−V族化合物半導体層16と第2のIII−V族化合物半導体層18との間の格子定数差をより小さくするために役立つ。III−V族化合物半導体層16は、動作温度TOPEにおいて、半導体基板4と第2のIII−V族化合物半導体層18との間における格子定数差より、第1のIII−V族化合物半導体層16と半導体基板4との間の格子定数差及び第1のIII−V族化合物半導体層16と第2のIII−V族化合物半導体層18との間の格子定数差をそれぞれ小さくするために役立つ。また、上記の熱膨張係数及び格子定数の関係により、動作温度TOPEにおける第1のIII−V族化合物半導体層16と半導体基板4との間の格子定数差と、動作温度TOPEにおける第1のIII−V族化合物半導体層16と第2のIII−V族化合物半導体層18との間の格子定数差との比が、成膜温度T DEP における第1のIII−V族化合物半導体層16と半導体基板4との間の格子定数差と、成膜温度T DEP における第1のIII−V族化合物半導体層16と第2のIII−V族化合物半導体層18との間の格子定数差との比から大きく変化することを防止できる。
【0030】
さらに、受光素子1aにおいて、光吸収層18の格子定数は半導体基板4の格子定数よりも大きい。発明者の知見によれば、光吸収層18の格子定数が半導体基板4の格子定数より大きい半導体受光素子では、光吸収層18の格子定数が半導体基板4の格子定数より小さい半導体受光素子に比べてミスフィット転位が入りやすい。光吸収層18の格子定数が半導体基板4の格子定数より大きいときでも、III−V族化合物半導体層によれば、ミスフィット転位の発生を低減することが可能になる。
【0031】
図1を参照すると、受光素子1aは、窓層として働くことができる第3のIII−V族化合物半導体層を更に備えることができる。受光素子1aにおいて、第3のIII−V族化合物半導体層20は、半導体基板4及び光吸収層18の格子定数と異なる格子定数を有しており、光吸収層18上に設けられている。つまり、光吸収層18と第3のIII−V族化合物半導体層20との格子定数差が大きくなると、光吸収層18と第3のIII−V族化合物半導体層20との界面に転位が発生する可能性が高くなる。窓層と光吸収層との間の格子不整の許容値は、−0.2パーセント以上であり+0.2パーセント以下であることが好ましい。バンドギャップに関する制約を満たすと共にこの格子不整に関する制約を満たすように、窓層の半導体の構成元素の組成を決定できる。
【0032】
第3のIII−V族化合物半導体層20は、光吸収層18上に位置している。III−V族化合物半導体層20の格子定数が、半導体基板4の格子定数と半導体光吸収層18の格子定数との間にある。III−V族化合物半導体層20は、成膜温度TDEPにおいて、半導体基板4と第2のIII−V族化合物半導体層18との間の格子定数差よりも、第3のIII−V族化合物半導体層20と第2のIII−V族化合物半導体層18との間の格子定数差をより小さくするために役立つ。また、第3のIII−V族化合物半導体層20の熱膨張係数は、第4の熱膨張係数を有している。第4の熱膨張係数の値は、第1の熱膨張係数の値と第3の熱膨張係数の値との間であることができる。第3のIII−V族化合物半導体層20の格子定数は、第2のIII−V族化合物半導体層18の格子定数より小さい。半導体層20は、半導体受光素子1aが動作する動作温度TOPEと異なる成膜温度TDEPにおいて光吸収層18上に形成される。しかしながら、半導体素子1aでは、III−V族化合物半導体層20の格子定数、半導体基板4の格子定数、及び半導体光吸収層18の格子定数の動作温度における大きさの順序は、成膜温度における順序と変わらない。
【0033】
半導体受光素子1aの構造を例示的に示すと以下の構造である。
p型半導体領域22:Zn添加半導体領域。
シンボルλgはバンドギャップに対応する波長を示す。
【0034】
これらの半導体層18、20のキャリア濃度は、1×1015cm-3程度ある。しかしながら、これらの半導体層18、20のキャリア濃度は、5×1015cm-3以下であってもよい。半導体領域22のキャリア濃度は、4×1018cm-3程度ある。好適な実施の形態では、半導体層20は、窓層として機能する。光吸収層として機能する半導体層18は、III−V族半導体層20を透過してきた光を吸収して光電流を生成する。
【0035】
III−V族化合物半導体層16及び20の半導体材料としてGaInAsP半導体を用いている。故に、GaInAsP半導体の構成元素の組成を変化させることにより、GaInAsP半導体の格子定数及びバンドギャップをそれぞれ変更できる。例えば、裏面入射型受光素子においては、III−V族化合物半導体層16のバンドギャップは、入射光がIII−V族化合物半導体層16を透過できるように決定される。また、上面入射型受光素子においては、窓層として働くIII−V族半導体層20のバンドギャップは、入射光がIII−V族化合物半導体層20を透過できるように決定される。
【0036】
光電変換部2の一方の面2a上には、シリコン・ナイトライド膜といった絶縁膜6が設けられている。また、一方の面2a上には、シリコン・オキシナイトライド膜といった反射防止膜8が設けられている。絶縁膜6は、p型半導体領域22の位置に開口部6bを有している。この開口部6bは、光入射領域26を含むように設けられている。また、反射防止膜8は、p型半導体領域22上に位置する開口部8bを有する。開口部8bは開口部6bの周縁に沿って位置しており、開口部6bは開口部8bと部分的に重なっている。開口部8bにはアノード電極10が設けられている。つまり、アノード電極10は、p型半導体領域22の周縁部上に位置しており、光入射領域26を規定するように閉じた形状で設けられている。アノード電極10に囲まれた領域には、反射防止膜8が位置しているけれども、絶縁膜6は除かれている。故に、この領域は光入射面として機能する。反射防止膜8の厚さ及び屈折率は、検出する光の波長に関連して決定される。カソード12は、半導体基板4の裏面4bの全面に設けられている。
【0037】
光Aは光入射面の反射防止膜を透過して、それから光電変換部2に入射する。この光Aは、光吸収層18において多数の電子正孔対を生成する。生成された正孔Hは、p型半導体領域22に向けて移動する。生成された電子Eは、n型半導体基板4に向けて移動する。
【0038】
半導体受光素子1aは、プレーナ構造を採用すると共にn型半導体基板4を備えているので、n型電極を設けるために半導体メサを形成する必要がない。また、半導体受光素子1aは、カソード領域として働くn型半導体領域をp型半導体領域22の周囲に備えることができる。
【0039】
発明者は、図1に示された半導体受光素子における格子定数と温度との関係を調査した。発明者の調査によれば、InP半導体の格子定数は、0.58688ナノメートル(5.8688オングストローム)である。また、InP半導体の熱膨張係数は4.75×10-6K-1であり、InGaAs半導体の熱膨張係数は5.94×10-6K-1であり、InGaAsP半導体の熱膨張係数は5.30×10-6K-1である。
【0040】
図2(a)は、ある半導体受光素子について調査された格子定数と温度との関係を示す図面である。図2(a)を参照すると、この半導体受光素子は、室温TROOMにおいて、−0.2パーセント以上+0.2パーセント以下である格子不整度△a/aを有する。△a/aは(a光吸収層−aInP)/aInPにより規定され、シンボルaInPはInPの格子定数を示しており、シンボルa光吸収層は光吸収層の格子定数を示している。特性線CSは、基板の格子定数の温度依存性を示しており、特性線CAP+は、室温において+0.2パーセントの格子不整度を有する光吸収層の格子定数の上限界線の温度依存性を示しており、特性線CAP-は、室温において−0.2パーセントの格子不整度を有する光吸収層の格子定数の下限界線の温度依存性を示している。
【0041】
発明者は、下記の点に着目している。InP半導体の熱膨張係数は、InGaAs半導体の熱膨張係数より小さいので、成膜温度に近づくにつれて、特性線CS(InP基板の格子定数)が特性線CAP-に近づいていくと共に、特性線CAP+から離れていく。つまり、温度が上昇するにつれて、InPの格子定数線は、格子不整の上限線から離れてゆき、格子不整の下限線に近づいていく。摂氏600度といった成膜温度の領域では、InPの格子定数線は、格子不整の下限線と交差している。結果的に、温度が上昇するにつれて、格子不整度は、正の格子不整度を示す格子定数の半導体に対しては大きくなる。
【0042】
発明者は、図3に示される受光素子を用いて様々な実験を行っている。この実験用の受光素子100は、InP基板102、InPバッファ層104、光吸収層106、InP層108、アノード電極110、カソード電極112を有する。発明者の実験によれば、室温における格子不整度が+0.1パーセント越えると+0.2パーセント以下であっても、高い歩留まりは得られていない。しかし、図1に示される受光素子の構造を採用すれば、高い歩留まりが得られる。
【0043】
図2(b)は、本実施の形態に係わる半導体受光素子を構成する半導体層に関して格子定数と温度との関係を示す図面である。図2(b)を参照すると、特性線C1はInP基板の格子定数の温度依存性を示しており、特性線C 3はInGaAs光吸収層の格子定数の温度依存性を示しており、特性線C 2はGaInAsP半導体層の格子定数の温度依存性を示している。室温と成膜温度との間のいずれの温度においても、特性線C2と特性線C1との間隔及び特性線C2と特性線C3との間隔は、特性線C3と特性線C1との間隔より小さい。室温TROOMと成膜温度TDEPとの間のいずれの温度においても、InP基板、InGaAs光吸収層、及びGaInAsP半導体層の熱膨張係数及び格子定数の関係のおかげで、特性線C1〜C3の配列順序は同じである。
【0044】
図2(c)は、本実施の形態に係わる半導体受光素子の変形例を構成する半導体層に関して格子定数と温度との関係を示す図面である。図2(c)を参照すると、特性線C4はInP基板の格子定数の温度依存性を示しており、特性線C5はInGaAs光吸収層の格子定数の温度依存性を示しており、特性線C6はGaInAsP半導体層の格子定数の温度依存性を示している。室温から成膜温度へ温度が上昇するにつれて、特性線C5と特性線C4との間隔及び特性線C4と特性線C6との間隔は小さくなる。
【0045】
(第2の実施の形態)
図4(a)、図4(b)、図5(a)、図5(b)は、半導体受光素子を作製する製造工程を示す図面である。図4(a)に示されるように、硫黄(S)添加InP基板30を準備する。
【0046】
(成膜工程)
図4(b)に示されるように、InP基板30の主面30a上に、InGaAsP半導体層32、InGaAs半導体層34、およびInGaAsP半導体層36を順にエピタキシャル成長してエピタキシャル基板38を形成する。結晶成長は、クロライド気相成長(クロライドVPE)法を用いて行われるが、これに限定されるものではない。成長温度は摂氏650度であり、室温(摂氏25度)におけるInGaAs半導体とInP半導体との格子不整度は+0.25パーセントである。InP基板30とInGaAsP半導体層32との接合38a、InGaAsP半導体層32とInGaAs半導体層34との接合38b、及びInGaAs半導体層34とInGaAsP半導体層36との接合38cに、格子不整が存在する。半導体層32、36の存在のおかげでInGaAsP半導体とInP半導体との格子不整度は+0.12パーセントである。
【0047】
(p型拡散工程)
図5(a)に示されるように、InGaAsP半導体層36上に窒化シリコン層40を形成する。窒化シリコン層40は、p型ドーパントとして、例えば亜鉛(Zn)が拡散される領域を示す開口部40aを有する。窒化シリコン層40をマスクにして、p型ドーパントをエピタキシャル基板38に拡散させて、p型半導体領域42を形成する。例えば、開口部40aは円形状であり、その直径は200マイクロメートル程度である。p型半導体領域42はアノード拡散領域を規定している。
【0048】
(電極形成工程)
図5(b)に示されるように、次いで、アノード電極44及びカソード電極46を形成する。アノード電極44は、p型半導体領域42上に設けられ、AuZnAu金属層を含む。カソード電極46は、基板30の裏面30b上に設けられ、AuGeNi金属層を含む。
【0049】
これによって、半導体受光素子が完成する。この受光素子は、光吸収層によって規定される所望の波長帯域に感度を有している。発明者は、上記の製造工程により製造された半導体受光素子の電気的に特性を測定したが、半導体受光素子の電気的に特性は良好であった。X線トポグラフの測定は、結晶欠陥が無いことを示している。また、暗電流もウエハ全面にわたって十分に小さい値であった。
【0050】
発明者は、更なる実験を行っている。この実験では、発明者は、格子不整度+0.45パーセントを有する半導体受光素子を作製している。X線トポグラフの測定は、結晶欠陥が無いことを示している。
【0051】
例えば、監視光を受ける半導体受光素子では、1,63マイクロメートルにおける受光感度は、摂氏−40度において−0.3dB以上でることが好ましい。
【0052】
発明者は、実験において、図3に示される構造の半導体受光素子を作製している。受光素子の格子不整度は、△a/a=0パーセントである。図6は、この受光素子の感度特性を示す図面である。図6では、摂氏−40度の特性線T−40℃、摂氏0度の特性線T0℃、及び摂氏25度の特性線T25℃が示されている。図6を参照すると、特性線T−40℃において、波長1600ナノメートルを超える波長領域で、受光感度が急激に低下している。この構造の受光素子は、監視光を受光するための素子として好適ではない。しかしながら、ウエハのX線トポグラフの測定は、結晶欠陥が無いことを示している。
【0053】
次いで、発明者は、実験において、図3に示される構造の受光素子を作製している。受光素子の格子不整度は、△a/aは0.25パーセントである。図7は、この受光素子の感度特性を示す図面である。図7では、摂氏−40度の特性線T−40℃、及び摂氏25度の特性線T25℃が示されている。図7を参照すると、摂氏−40度においても所定の感度を有しており、波長1630ナノメートルを超える波長領域で、受光感度の低下が0.3dBである。この構造の受光素子は、監視光よりも短波長の光を受光するための素子として好適である。ウエハのX線トポグラフの測定は、結晶欠陥が存在することを示している。
【0054】
以上説明したことから理解されるように、光ファイバを用いる通信では、半導体受光素子が使用される。ある半導体受光素子は、InGaAs半導体を光吸収層として使用する。半導体受光素子を形成するためには、InP基板上に、InGaAs半導体層及びInP窓層を順次にエピタキシャル成長法により形成している。この構造の素子は、1.3マイクロメートル帯及び1.55マイクロメートル帯における光通信のために使用できる。光吸収層のバンドギャップに対応する波長は、受信光の波長よりも長くなければならない。InP半導体の格子定数に格子整合するバンドギャップをInGaAs半導体が有するとき、InGaAs半導体のバンドギャップに対応する波長は、約1.65マイクロメートルである。このInGaAs半導体は、1.3マイクロメートル帯及び1.55マイクロメートル帯における光に高い感度を示す。1.3マイクロメートル帯及び1.55マイクロメートル帯における光通信においては、InP半導体(基板)とInGaAs半導体(光吸収層)との格子不整度△a/aが、−0.2%以上+0.2%以下の範囲にある。この範囲の格子不整度では、InP半導体領域上にInGaAs半導体層を形成するときに結晶欠陥が実質的に無い。結果的に、半導体受光素子の暗電流は小さい。
【0055】
これに対して、WDM通信のための監視光の波長は、1.6マイクロメートルから1.7マイクロメートルの波長範囲にある。監視光を受ける半導体受光素子は、この波長範囲に高い感度を有することが求められる。監視光の波長に感度を有するInGaAs半導体を得るために、InGaAs半導体中におけるInAsの混晶比を高くすることが必要である。発明者の見積もりによれば、監視光用のInGaAs半導体の格子定数は、信号光用のInGaAs半導体の格子定数に比べて、室温において、+0.2%程度大きくしなければならない。
【0056】
しかしながら、発明者がこの半導体受光素子の特性を測定してみると、多くの半導体受光素子は良好な特性を示さず、暗電流の増加が観測された。発明者は、暗電流の増加がミスフィット転位に起因するものと推定している。発明者は、暗電流の増加の原因を明らかにするために検討を行っている。そして、発明者は、暗電流の増加が下記の事項に関連していると考えている。
(1)InP半導体の熱膨張係数はInGaAs半導体の熱膨張係数より小さい。(2)半導体受光素子のための半導体層を成膜する温度(摂氏600度程度)においては、InGaAs光吸収層の格子定数はInP半導体の格子定数より+0.3パーセント程度にまで大きくなっている。
(3)格子不整は、室温における格子不整度よりも成膜温度における格子不整度が、ミスフィットの発生に関連している。
【0057】
発明者は、これらの事項の組み合わせにより暗電流の増加が生じたと考えている。したがって、求められていることは、これらの要因の複合により生じる暗電流を低減することである。
【0058】
具体的な見積もりを行う。InGaAs半導体のエピタキシャル成長は、摂氏600度程度の温度において行われる。既に説明したように、InGaAs半導体及びInP半導体の熱膨張係数が異なる。信号光用受光素子の作製においては、成長温度においてInGaAs半導体の格子定数とInP半導体の格子定数との格子整合を得るためには、室温において格子不整度△a/a=−0.1%程度になる。しかしながら、監視光用受光素子の作製においては、InGaAs半導体の格子定数とInP半導体の格子定数との格子不整度を室温において+0.2%程度大きくすることが必要である。結果として、室温において格子不整度△a/a=+0.3%程度になる。格子不整度が大きくなると、InGaAs半導体とInP半導体との境界においてミスフィット転位といった格子欠陥が生じる可能性が高くなる。ミスフィット転位密度が多くなると、暗電流が増加する。ミスフィット転位の発生は、格子不整度だけでなく、InGaAs半導体の膜厚にも関連している。InGaAs半導体の膜厚が厚いときには、ミスフィット転位が生じやすくなる。
【0059】
一方、受光素子の受光感度は、光吸収層の厚さに関連している。より厚い光吸収層は、より高い感度を示す。発明者の知見によれば、光吸収層は、2マイクロメートル以上の厚さを有することが好適である。しかしながら、発明者の実験によれば、厚さ2マイクロメートル以上であり、且つ室温における格子不整度が+0.2パーセント以上であると、高い確率でミスフィット転位が発生する。
【0060】
本実施の形態に係わる半導体受光素子では、InGaAs半導体層とInP半導体領域との間に、InGaAsP半導体層を設けている。InGaAsP半導体の格子定数は、InP半導体の格子定数とInGaAs半導体の格子定数との間の値である。故に、InP半導体の格子定数とInGaAs半導体の格子定数との差は、InGaAsP半導体の格子定数とInP半導体の格子定数との差よりも小さく、且つInGaAsP半導体の格子定数とInGaAs半導体の格子定数との差よりも小さい。発明者の調査によれば、InP半導体の格子定数は、0.58688ナノメートル(5.8688オングストローム)である。InP半導体に格子整合するInGaAsの結晶組成は、In0.47Ga0.53Asである。故に、監視光の受光に使用するInGaAsのGa組成は、0.53よりも小さい。InP半導体に格子整合するInGaAsP(λ=1.25マイクロメートル)の組成は、In0.759Ga0.241As0.547P0.453である。故に、監視光の受光に使用するInGaAsPのGa組成は0.241よりも小さく、P組成は0.453よりも小さい。
【0061】
故に、InGaAsP半導体層を用いると、隣接する半導体領域間の格子不整度が小さくなる。この構造によれば、ミスフィット転位の発生を防止できる。InGaAsP半導体層を監視光が十分に透過できるように、InGaAsP半導体のバンドギャップに対応する波長は、1.4マイクロメートルより短くすることが好適である。また、1.6マイクロメートル以上1,7マイクロメートル以下の光を受ける受光素子では、隣接する半導体層間における格子不整度△a/aが0.1%以上であることが好ましい。さらに、WDM通信における監視光の波長帯域に受光感度を得るためには、格子不整度△a/aがせいぜい0.4%程度であることが好ましい。この半導体受光素子は、1.7マイクロメートルを越える波長領域においても感度を有すると共に、暗電流が小さい。したがって、高い製造歩留まりで光通信用半導体受光素子が得られる。
【0062】
以上説明したように、半導体受光素子は、InP基板と、光吸収層と、InGaAsP半導体層とを備える。半導体受光素子において、光吸収層は、InP基板の格子定数と異なる格子定数を有しており、InP基板上に設けられている。InGaAsP半導体層の格子定数は、InP基板の格子定数と異なると共に光吸収層の格子定数と異なっている。InGaAsP半導体層は、InP基板と光吸収層との間に設けられている。加えて、半導体受光素子において、InP基板は、第1の熱膨張係数を有する。光吸収層は、第2の熱膨張係数を有しており、InP基板上に設けられている。InGaAsP半導体層は、第3の熱膨張係数を有しており、InP基板と光吸収層との間に設けられている。第3の熱膨張係数の値は、第1の熱膨張係数の値と第2の熱膨張係数の値との間である。好適な実施例では、InGaAsP半導体層は単一層からなることが好ましい。InP半導体基板とInGaAsP半導体層とはヘテロ界面を形成する。光吸収層とInGaAsP半導体層とはヘテロ界面を形成する。ヘテロ界面では界面リーク電流が生じる可能性があるので、ヘテロ界面の数はより少ないことが好ましい。
【0063】
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることができることは、当業者によって認識される。本実施の形態に示された受光素子は、上面入射型受光素子であるけれども、裏面入射型の受光素子であってもよい。また、本実施の形態に示された受光素子は、プレーナ型受光素子であるけれども、メサ型の受光素子であってもよい。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、半導体光吸収層の格子定数が半導体基板の格子定数と異なる半導体受光素子が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係わる半導体受光素子を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、図1に示された半導体受光素子における格子定数と温度との関係を示す図面である。図2(b)は、本実施の形態に係わる半導体受光素子を構成する半導体層に関して格子定数と温度との関係を示す図面である。図2(c)は、本実施の形態に係わる半導体受光素子の変形例を構成する半導体層に関して格子定数と温度との関係を示す図面である。
【図3】図3は、様々な実験を行うための受光素子を示す図面である。
【図4】図4(a)及び図4(b)は半導体受光素子のための製造工程を示す図面である。
【図5】図5(a)及び図5(b)は半導体受光素子のための製造工程を示す図面である。
【図6】図6は、この受光素子の感度特性を示す図面である。
【図7】図7は、この受光素子の感度特性を示す図面である。
【符号の説明】
1a…半導体受光素子、2…光電変換部、4…基板、8…絶縁膜、10…アノード電極、12…カソード電極、14…金属膜、16、18、20…III−V族化合物半導体層、22…p型半導体領域
Claims (5)
- 半導体受光素子であって、
InP基板と、
InGaAs半導体、InGaAsP半導体、及びAlGaInAs半導体の少なくともいずれかを含み、前記InP基板上に設けられたIII−V族化合物半導体光吸収層と、
前記InP基板と前記III−V族化合物半導体光吸収層との間に設けられたInGaAsP半導体層と、
InGaAsP半導体からなる別の III − V 族化合物半導体層と
を備え、
前記InP基板は、第1の熱膨張係数を有しており、
前記III−V族化合物半導体光吸収層は、第2の熱膨張係数を有しており、
前記InGaAsP半導体層は、第3の熱膨張係数を有しており、
前記第3の熱膨張係数の値は、前記第1の熱膨張係数の値と前記第2の熱膨張係数の値との間であり、
前記InGaAsP半導体層の格子定数は、前記InP基板の格子定数より大きく、
前記InGaAsP半導体層の格子定数は、前記III−V族化合物半導体光吸収層の格子定数より小さく、
前記InGaAsP半導体層は、同一組成の単一膜であり、
前記 III − V 族化合物半導体光吸収層は、前記別の III − V 族化合物半導体層と前記InGaAsP半導体層との間に設けられており、
前記別の III − V 族化合物半導体層は同一組成の単一膜の窓層であり、
室温において、前記III−V族化合物半導体光吸収層と前記InP基板との格子不整度△a/aが+0.1パーセント以上であり、該格子不整度△a/aが+0.4パーセント以下であり、ここで、△a/a=(a光吸収層−aInP)/aInPを示し、シンボルaInPはInPの格子定数を示しており、シンボルa光吸収層は光吸収層の格子定数を示し、
前記InP基板と前記InGaAsP半導体層との間の接合には格子不整があり、前記InGaAsP半導体層と前記III−V族化合物半導体光吸収層との間の接合には格子不整があり、
当該半導体受光素子は上面入射型または裏面入射型のいずれかである、半導体受光素子。 - アノードのためのp型半導体領域を更に備え、
前記p型半導体領域は、前記III−V族化合物半導体光吸収層に到達するように設けられている、請求項1に記載の半導体受光素子。 - 前記別のIII−V族化合物半導体層の格子定数は、前記InP基板の格子定数と異なると共に、前記III−V族化合物半導体光吸収層の格子定数と異なっている、請求項1または請求項2に記載の半導体受光素子。
- 前記別のIII−V族化合物半導体層は、第4の熱膨張係数を有しており、
前記第4の熱膨張係数の値は、前記第1の熱膨張係数の値と前記第2の熱膨張係数の値との間である、請求項3に記載の半導体受光素子。 - 前記III−V族化合物半導体光吸収層の厚さは、2マイクロメートル以上である、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の半導体受光素子。
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