JPH10233523A - 光検出器 - Google Patents
光検出器Info
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- JPH10233523A JPH10233523A JP9033924A JP3392497A JPH10233523A JP H10233523 A JPH10233523 A JP H10233523A JP 9033924 A JP9033924 A JP 9033924A JP 3392497 A JP3392497 A JP 3392497A JP H10233523 A JPH10233523 A JP H10233523A
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- inas
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 製造が容易で、中赤外領域において感度の高
い光検出器を提供する。 【解決手段】 n型InAs基板上に、LPEを用いて
メルト3.2g中にGdを0.5〜1.0mg添加して
エピタキシャル成長させたInAs光吸収層2と、光吸
収層2よりエネルギーバンドギャップが大きく、これと
格子整合するp+型InAsxP1-x-ySbyをエピタキ
シャル成長させたウィンドウ層3と、SiNの反射防止
膜4が積層されており、基板1裏面にn電極5、入射面
にp電極6が設けられており、入射面の前面には、サフ
ァイア窓7が配置されている。入射した赤外線は、ウィ
ンドウ層3を透過して、光吸収層2で効率的に光電変換
される。また、光吸収層2は、i領域となるため、PI
N接合と同様に高感度となる。
い光検出器を提供する。 【解決手段】 n型InAs基板上に、LPEを用いて
メルト3.2g中にGdを0.5〜1.0mg添加して
エピタキシャル成長させたInAs光吸収層2と、光吸
収層2よりエネルギーバンドギャップが大きく、これと
格子整合するp+型InAsxP1-x-ySbyをエピタキ
シャル成長させたウィンドウ層3と、SiNの反射防止
膜4が積層されており、基板1裏面にn電極5、入射面
にp電極6が設けられており、入射面の前面には、サフ
ァイア窓7が配置されている。入射した赤外線は、ウィ
ンドウ層3を透過して、光吸収層2で効率的に光電変換
される。また、光吸収層2は、i領域となるため、PI
N接合と同様に高感度となる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体による光検
出器であって、中赤外領域の光を検出する光検出器に関
する。
出器であって、中赤外領域の光を検出する光検出器に関
する。
【0002】
【従来の技術】2〜4μmの中赤外領域の光を検出する
半導体検出器としては、InAs光起電力型検出器が知
られている。これは、n型層の内部に導電性のp型不純
物を熱拡散することにより、pn接合を形成するもので
ある。光が入射されると、このpn接合部で光励起によ
り起電力が発生する。この起電力は入射光の光強度に対
応している。従来は、このpn接合を生成するためにバ
ルク結晶やエピタキシャル結晶を用いていた。しかし、
バルク結晶では純度の高い結晶が得られず、また、ホモ
構造しか得られないという欠点があった。一方、エピタ
キシャル結晶の場合は拡散長の制御、再現が難しいとい
う欠点があった。
半導体検出器としては、InAs光起電力型検出器が知
られている。これは、n型層の内部に導電性のp型不純
物を熱拡散することにより、pn接合を形成するもので
ある。光が入射されると、このpn接合部で光励起によ
り起電力が発生する。この起電力は入射光の光強度に対
応している。従来は、このpn接合を生成するためにバ
ルク結晶やエピタキシャル結晶を用いていた。しかし、
バルク結晶では純度の高い結晶が得られず、また、ホモ
構造しか得られないという欠点があった。一方、エピタ
キシャル結晶の場合は拡散長の制御、再現が難しいとい
う欠点があった。
【0003】これらの欠点を解決した装置として、特開
昭57−197878号公報の技術(以下、従来例と呼
ぶ)がある。これは、InAs等からなる光吸収層上に
AlAsSb等の混晶系からなるウィンドウ層をエピタ
キシャル成長させたものである。この従来例の構造断面
図を図8に示す。n型InAs基板1上に、n型InA
sの光吸収層2と、n型AlAs0.16Pb0.84のウィン
ドウ層3をエピタキシャル成長させて、ウィンドウ層3
の一部にZn等の不純物を拡散させてp型ドープ層8を
形成している。さらに、基板1とp型ドープ層8にn電
極5とp電極6が形成されている。この技術の場合は、
ウィンドウ層3の結晶の形成を制御することが容易であ
り、さらに、ウィンドウ層3に形成されたpn接合によ
り検出器性能も向上する。
昭57−197878号公報の技術(以下、従来例と呼
ぶ)がある。これは、InAs等からなる光吸収層上に
AlAsSb等の混晶系からなるウィンドウ層をエピタ
キシャル成長させたものである。この従来例の構造断面
図を図8に示す。n型InAs基板1上に、n型InA
sの光吸収層2と、n型AlAs0.16Pb0.84のウィン
ドウ層3をエピタキシャル成長させて、ウィンドウ層3
の一部にZn等の不純物を拡散させてp型ドープ層8を
形成している。さらに、基板1とp型ドープ層8にn電
極5とp電極6が形成されている。この技術の場合は、
ウィンドウ層3の結晶の形成を制御することが容易であ
り、さらに、ウィンドウ層3に形成されたpn接合によ
り検出器性能も向上する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来例で開示
されているAlAsSb等の混晶系は、以下に挙げるよ
うな問題点があった。これらの混晶系は、非混晶(ミッ
シビリティギャップ)領域が広いため、混晶が不均一な
組成比で形成される組成分離が起こりやすく、また、混
晶を形成する材料の熱膨張係数の違いによる熱歪みが生
じやすかった。このため、結晶の成長温度を高くする必
要があり、不純物の不要な拡散が起こりやすかった。ま
た、混晶系にAlを含んでいるために、ウィンドウ層表
面に自然酸化膜が形成され、表面準位、表面欠陥が発生
しやすい。この結果、ウィンドウ層上において表面再結
合が発生して光吸収層の量子効率が低下し、感度低下が
起こりやすいという欠点があった。
されているAlAsSb等の混晶系は、以下に挙げるよ
うな問題点があった。これらの混晶系は、非混晶(ミッ
シビリティギャップ)領域が広いため、混晶が不均一な
組成比で形成される組成分離が起こりやすく、また、混
晶を形成する材料の熱膨張係数の違いによる熱歪みが生
じやすかった。このため、結晶の成長温度を高くする必
要があり、不純物の不要な拡散が起こりやすかった。ま
た、混晶系にAlを含んでいるために、ウィンドウ層表
面に自然酸化膜が形成され、表面準位、表面欠陥が発生
しやすい。この結果、ウィンドウ層上において表面再結
合が発生して光吸収層の量子効率が低下し、感度低下が
起こりやすいという欠点があった。
【0005】本発明は、製造が容易で、中赤外領域にお
いて感度の高い光検出器を提供することを課題とする。
いて感度の高い光検出器を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の光検出器は、少
なくとも表面がn型InAsからなる基板と、この基板
上にエピタキシャル成長させた低濃度n型ドープのIn
Asからなる光吸収層と、この光吸収層上にエピタキシ
ャル成長させたp型ドープのInAsxP1-x-ySb
y(0.42≦x≦0.84、0.90<x+3.22
y<1.10)からなるウィンドウ層と、を備えること
を特徴とする。
なくとも表面がn型InAsからなる基板と、この基板
上にエピタキシャル成長させた低濃度n型ドープのIn
Asからなる光吸収層と、この光吸収層上にエピタキシ
ャル成長させたp型ドープのInAsxP1-x-ySb
y(0.42≦x≦0.84、0.90<x+3.22
y<1.10)からなるウィンドウ層と、を備えること
を特徴とする。
【0007】これにより、InAs光吸収層と光吸収層
よりワイドギャップのInAsxP1 -x-ySbyウィンド
ウ層が格子整合し、両層の間にヘテロpn接合が形成さ
れる。そして、ウィンドウ層、光吸収層、基板がそれぞ
れp、i、n領域として機能するため、高感度のpin
型フォトダイオードに類似した構成になる。
よりワイドギャップのInAsxP1 -x-ySbyウィンド
ウ層が格子整合し、両層の間にヘテロpn接合が形成さ
れる。そして、ウィンドウ層、光吸収層、基板がそれぞ
れp、i、n領域として機能するため、高感度のpin
型フォトダイオードに類似した構成になる。
【0008】さらに、光吸収層は、成長メルト材料3.
2g中に0.5〜1.0mgのGdを添加して液相成長
法により形成されていてもよい。これにより、光吸収層
の成長時にGdが不純物を吸着するゲッター元素として
作用する。
2g中に0.5〜1.0mgのGdを添加して液相成長
法により形成されていてもよい。これにより、光吸収層
の成長時にGdが不純物を吸着するゲッター元素として
作用する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の一
実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態の断
面構成図である。
実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態の断
面構成図である。
【0010】まず、本実施形態の構成を説明する。n型
のInAs基板1の(100)面上に厚さ約10μmの
低濃度ドープのn型InAsの光吸収層が形成されてい
る。その上に厚さ約1μmのp型InAs0.42P0.4S
b0.18ウィンドウ層3が積層されている。ウィンドウ層
3の表面には、さらに、屈折率1.8、厚さ110nm
のSiNからなる反射防止膜4が設けられており、これ
が入射面となる。基板1の入射面と反対の面には、Au
Ge/Au合金からなるn電極5が設けられ、入射面に
は、反射防止膜4の一部を除去してCr/Au合金から
なるp電極6が設けられている。本実施形態では、光吸
収層2の一部から反射防止膜4までの部分の周辺部分が
除去されたいわゆる「メサ型」の構造になっている。入
射面の前面には、入射する赤外光を透過するサファイア
窓7が設置されている。
のInAs基板1の(100)面上に厚さ約10μmの
低濃度ドープのn型InAsの光吸収層が形成されてい
る。その上に厚さ約1μmのp型InAs0.42P0.4S
b0.18ウィンドウ層3が積層されている。ウィンドウ層
3の表面には、さらに、屈折率1.8、厚さ110nm
のSiNからなる反射防止膜4が設けられており、これ
が入射面となる。基板1の入射面と反対の面には、Au
Ge/Au合金からなるn電極5が設けられ、入射面に
は、反射防止膜4の一部を除去してCr/Au合金から
なるp電極6が設けられている。本実施形態では、光吸
収層2の一部から反射防止膜4までの部分の周辺部分が
除去されたいわゆる「メサ型」の構造になっている。入
射面の前面には、入射する赤外光を透過するサファイア
窓7が設置されている。
【0011】ここで、本実施形態の光検出器の製作工程
について説明する。9×11mmの基板1上に、まずLP
E(液相成長法)により光吸収層2をエピタキシャル成
長させる。この際に、成長メルト3.2g中に希土類で
あるGdを0.5〜1.0mg添加したうえで初期温度
600℃でエピタキシャル層を成長させる。このGdは
残留不純物となるSやCを吸着するゲッター元素として
作用し、結晶の純度を向上させる。その結果、基板1の
n型電子濃度が3×1016cm-3程度あるのに対し、光
吸収層2のn型電子濃度は1015cm-3オーダー以下に
まで低下し、低濃度n型ドープ層となる。したがって、
光吸収層2は、n領域というよりもむしろi領域として
機能し、光検出器は、高感度のpin型フォトダイオー
ドに近い構成になっている。
について説明する。9×11mmの基板1上に、まずLP
E(液相成長法)により光吸収層2をエピタキシャル成
長させる。この際に、成長メルト3.2g中に希土類で
あるGdを0.5〜1.0mg添加したうえで初期温度
600℃でエピタキシャル層を成長させる。このGdは
残留不純物となるSやCを吸着するゲッター元素として
作用し、結晶の純度を向上させる。その結果、基板1の
n型電子濃度が3×1016cm-3程度あるのに対し、光
吸収層2のn型電子濃度は1015cm-3オーダー以下に
まで低下し、低濃度n型ドープ層となる。したがって、
光吸収層2は、n領域というよりもむしろi領域として
機能し、光検出器は、高感度のpin型フォトダイオー
ドに近い構成になっている。
【0012】光吸収層2の形成後、In(7N)、In
As、Sb(7N)、InPを原材料としてウィンドウ
層3を初期温度600℃から590℃へ冷却しながらエ
ピタキシャル成長させる。この時にp型不純物としてZ
nが添加されている。InAs0.42P0.4Sb0.18とI
nAsの格子不整合は0.01%以下と極めて小さいの
で、良質の結晶を形成することができる。光吸収層2及
びウィンドウ層形成時の成長温度は、鏡面を得るために
正確に制御する必要がある。
As、Sb(7N)、InPを原材料としてウィンドウ
層3を初期温度600℃から590℃へ冷却しながらエ
ピタキシャル成長させる。この時にp型不純物としてZ
nが添加されている。InAs0.42P0.4Sb0.18とI
nAsの格子不整合は0.01%以下と極めて小さいの
で、良質の結晶を形成することができる。光吸収層2及
びウィンドウ層形成時の成長温度は、鏡面を得るために
正確に制御する必要がある。
【0013】こうして形成した光吸収層2とウィンドウ
層3からなるPN接合部をエッチング等により受光部直
径が1mmのメサ型デバイスに加工した上で、反射防止膜
4をプラズマCVD法によりコーティングする。その
後、裏面と入射面にn電極5、p電極6をそれぞれ形成
する。
層3からなるPN接合部をエッチング等により受光部直
径が1mmのメサ型デバイスに加工した上で、反射防止膜
4をプラズマCVD法によりコーティングする。その
後、裏面と入射面にn電極5、p電極6をそれぞれ形成
する。
【0014】続いて、本実施形態の動作について説明す
る。赤外光は、サファイア窓7と反射防止膜4を透過し
て、ウィンドウ層3に入射する。反射防止膜4は、膜厚
を調整することにより、所定の光波長の表面での反射を
防止することができる。波長2.5〜3μmの赤外領域
の光に対して無反射とするためには、膜厚を110〜4
00nmとすることが好ましい。ウィンドウ層3はエネ
ルギーギャップが0.64eVと大きいため、光子エネ
ルギーがこの値を下回る波長1.9μm以上の光の吸収
は起こらず、波長がこれより長い中赤外線はこのウィン
ドウ層3を透過して、ウィンドウ層3と活性層2の境界
付近に達する。
る。赤外光は、サファイア窓7と反射防止膜4を透過し
て、ウィンドウ層3に入射する。反射防止膜4は、膜厚
を調整することにより、所定の光波長の表面での反射を
防止することができる。波長2.5〜3μmの赤外領域
の光に対して無反射とするためには、膜厚を110〜4
00nmとすることが好ましい。ウィンドウ層3はエネ
ルギーギャップが0.64eVと大きいため、光子エネ
ルギーがこの値を下回る波長1.9μm以上の光の吸収
は起こらず、波長がこれより長い中赤外線はこのウィン
ドウ層3を透過して、ウィンドウ層3と活性層2の境界
付近に達する。
【0015】光吸収層2のバンドギャップは0.35e
Vであり、光子エネルギーがこのバンドギャップより大
きくなる波長約3.5μm以下の光が吸収される。ここ
で、前述したように、光吸収層2は、不純物濃度が低
く、空乏層を含むi領域として機能する。この光吸収層
2では、光吸収により電子−ホール対が発生し、電子は
n型領域に、ホールはp型領域にそれぞれ向かう。従っ
て、n電極4からp電極6に向かって入射光量に比例し
た電流が流れる。これを外部に取り出すことにより入射
光量に応じた電気信号が得られる。光吸収層2内で発生
した電子は、光吸収層2とウィンドウ層3の界面のヘテ
ロ障壁を乗り越えることができないため、この界面での
電子とホールの再結合が減少して、感度低下を防ぐこと
ができる。さらに、ヘテロ界面は、前述したように格子
不整合がほとんどなく、結晶的に極めて良好であるた
め、界面準位の発生が抑えられて、これも感度低下を防
ぐことができる。
Vであり、光子エネルギーがこのバンドギャップより大
きくなる波長約3.5μm以下の光が吸収される。ここ
で、前述したように、光吸収層2は、不純物濃度が低
く、空乏層を含むi領域として機能する。この光吸収層
2では、光吸収により電子−ホール対が発生し、電子は
n型領域に、ホールはp型領域にそれぞれ向かう。従っ
て、n電極4からp電極6に向かって入射光量に比例し
た電流が流れる。これを外部に取り出すことにより入射
光量に応じた電気信号が得られる。光吸収層2内で発生
した電子は、光吸収層2とウィンドウ層3の界面のヘテ
ロ障壁を乗り越えることができないため、この界面での
電子とホールの再結合が減少して、感度低下を防ぐこと
ができる。さらに、ヘテロ界面は、前述したように格子
不整合がほとんどなく、結晶的に極めて良好であるた
め、界面準位の発生が抑えられて、これも感度低下を防
ぐことができる。
【0016】本願発明者は、本実施形態の光検出器の検
出特性を従来品と比較して測定した。比較のため使用し
た従来品の光検出器は、米国EG&G:JUDSON社
製の検出器であり、本実施形態の光検出器としては、光
吸収層形成時にGdを添加したタイプ(以下、応用例1
と呼ぶ)とGd未添加のタイプ(以下、応用例2と呼
ぶ)の2種類を比較した。いずれも受光面積、測定波長
領域は一致している。
出特性を従来品と比較して測定した。比較のため使用し
た従来品の光検出器は、米国EG&G:JUDSON社
製の検出器であり、本実施形態の光検出器としては、光
吸収層形成時にGdを添加したタイプ(以下、応用例1
と呼ぶ)とGd未添加のタイプ(以下、応用例2と呼
ぶ)の2種類を比較した。いずれも受光面積、測定波長
領域は一致している。
【0017】図2は、従来品と応用例1、2の3つの光
検出器について、室温(296K)における受光部の単
位面積及び単位周波数帯域幅あたりの信号出力比である
比検出能力D*を比較したグラフである。ここで、従来
品については、カタログ記載値であり、応用例1、2は
ともに測定値である。応用例1、2とも約2〜3.5μ
mの広い波長領域で波長による比検出能力の変化が少な
く、しかもこの領域全体でいずれの場合も従来品より比
検出能力が4〜5倍高くなっている。さらに、応用例1
は、応用例2よりも1.5倍程度比検出能力が高くなっ
ている。これにより、本発明の光検出器の中赤外線領域
における感度向上効果が確認された。
検出器について、室温(296K)における受光部の単
位面積及び単位周波数帯域幅あたりの信号出力比である
比検出能力D*を比較したグラフである。ここで、従来
品については、カタログ記載値であり、応用例1、2は
ともに測定値である。応用例1、2とも約2〜3.5μ
mの広い波長領域で波長による比検出能力の変化が少な
く、しかもこの領域全体でいずれの場合も従来品より比
検出能力が4〜5倍高くなっている。さらに、応用例1
は、応用例2よりも1.5倍程度比検出能力が高くなっ
ている。これにより、本発明の光検出器の中赤外線領域
における感度向上効果が確認された。
【0018】続いて、光吸収層形成時にGdを添加した
効果について検討した結果を図3〜図5を参照して説明
する。図3は、応用例1、2について、室温中で単位光
量の特定波長の入射光に対して発生する光電流である受
光感度を比較したグラフである。図より、Gdを添加し
て光吸収層を成長させたタイプでは、Gd未添加のケー
スに比べて、受光感度は全領域で1.5倍に拡大されて
いる。Gd添加によってPIN接合を形成したことによ
る感度向上の効果が確認された。
効果について検討した結果を図3〜図5を参照して説明
する。図3は、応用例1、2について、室温中で単位光
量の特定波長の入射光に対して発生する光電流である受
光感度を比較したグラフである。図より、Gdを添加し
て光吸収層を成長させたタイプでは、Gd未添加のケー
スに比べて、受光感度は全領域で1.5倍に拡大されて
いる。Gd添加によってPIN接合を形成したことによ
る感度向上の効果が確認された。
【0019】図4は、応用例1、2の室温における量子
効率(入射光の光子数に対する出力電子の電子数の割
合)を比較したグラフである。2〜3.5μmの波長領
域で、Gd未添加の応用例2では、量子効率は0.4〜
0.5にとどまっているが、Gdを添加することによ
り、量子効率は0.7〜0.8に向上している。図5
は、検出素子の内部量子効率が100%の場合に、サフ
ァイア窓や反射防止膜を併用することによる外部量子効
率の変化を示したグラフである。図5より、サファイア
窓と反射防止膜により、外部量子効率は0.6〜0.8
程度に減少することを示している。図4と図5から応用
例1の検出素子本体の内部量子効率は、100%に近い
ことがわかる。
効率(入射光の光子数に対する出力電子の電子数の割
合)を比較したグラフである。2〜3.5μmの波長領
域で、Gd未添加の応用例2では、量子効率は0.4〜
0.5にとどまっているが、Gdを添加することによ
り、量子効率は0.7〜0.8に向上している。図5
は、検出素子の内部量子効率が100%の場合に、サフ
ァイア窓や反射防止膜を併用することによる外部量子効
率の変化を示したグラフである。図5より、サファイア
窓と反射防止膜により、外部量子効率は0.6〜0.8
程度に減少することを示している。図4と図5から応用
例1の検出素子本体の内部量子効率は、100%に近い
ことがわかる。
【0020】ここで、InAsPSb系の組成比は、I
nAs0.42P0.4Sb0.18に限られるものではない。図
6は、InAsxP1-x-ySbyの組成比と、バンドギャ
ップの関係を示した図である。InAsPSb系では、
他の混晶系に比べてミッシビリティギャップ領域が狭い
ため、組成分離が起こりにくい。一方、x<0.42の
領域では、結晶の成長が困難なため、xは0.42以上
とする事が好ましい。この範囲では、ミッシビリティギ
ャップ領域から離れているため、安定した結晶が生成で
きる。また、光吸収層となるInAsとの格子不整合は
できるだけ小さいことが好ましく、具体的には0.3%
以内であることが好ましい。この範囲は、図6中の破線
で挟まれた領域であり、この領域中の組成を有する場合
は、良質なウィンドウ層を形成することができる。この
条件を式で表すと、 0.997aInAs≦xaInAs+yaInSb+(1−x−
y)aInP xaInAs+yaInSb+(1−x−y)aInP≦1.00
3aInAs となる。ここで、aInAs、aInSb、aInPはそれぞれI
nAs、InSb、InPの格子定数であり、それぞれ
6.0584、6.47934、5.86875オング
ストロームである。これらの式を整理すると、0.90
<x+3.22y<1.10となる(端数処理のために
不等号の種類を変更している)。このうち、x>0.8
4の領域では、エネルギーギャップが小さくなって、光
子エネルギーの小さい長波長側へ吸収帯が広がって、中
赤外領域の光の吸収が起こるため、好ましくない。した
がって、xは0.84以下とすることが好ましい。した
がって、最も好ましい組成比の範囲は、図6の破線で挟
まれた領域のうちの網掛けされた領域である。
nAs0.42P0.4Sb0.18に限られるものではない。図
6は、InAsxP1-x-ySbyの組成比と、バンドギャ
ップの関係を示した図である。InAsPSb系では、
他の混晶系に比べてミッシビリティギャップ領域が狭い
ため、組成分離が起こりにくい。一方、x<0.42の
領域では、結晶の成長が困難なため、xは0.42以上
とする事が好ましい。この範囲では、ミッシビリティギ
ャップ領域から離れているため、安定した結晶が生成で
きる。また、光吸収層となるInAsとの格子不整合は
できるだけ小さいことが好ましく、具体的には0.3%
以内であることが好ましい。この範囲は、図6中の破線
で挟まれた領域であり、この領域中の組成を有する場合
は、良質なウィンドウ層を形成することができる。この
条件を式で表すと、 0.997aInAs≦xaInAs+yaInSb+(1−x−
y)aInP xaInAs+yaInSb+(1−x−y)aInP≦1.00
3aInAs となる。ここで、aInAs、aInSb、aInPはそれぞれI
nAs、InSb、InPの格子定数であり、それぞれ
6.0584、6.47934、5.86875オング
ストロームである。これらの式を整理すると、0.90
<x+3.22y<1.10となる(端数処理のために
不等号の種類を変更している)。このうち、x>0.8
4の領域では、エネルギーギャップが小さくなって、光
子エネルギーの小さい長波長側へ吸収帯が広がって、中
赤外領域の光の吸収が起こるため、好ましくない。した
がって、xは0.84以下とすることが好ましい。した
がって、最も好ましい組成比の範囲は、図6の破線で挟
まれた領域のうちの網掛けされた領域である。
【0021】また、Gdの添加量を増やしすぎると、G
d自体が光吸収層中の不純物として機能するため、好ま
しくない。本願発明者は、添加するGdの適正な量を把
握するため、InAs/InAsホモ構造において異な
るGd添加量で光吸収層を形成させた2種類の光検出器
について感度特性を比較した。その比較結果を図7に示
す。成長メルト材料3.2gに対するGd添加量を0.
7mgから1.4mgに増やすと、感度は20%ほど低
下している。したがって、Gdの添加量としては、大き
な感度低下の起こらない1mg以下が好ましい。一方、
結晶成長時にGdを確実にゲッタ元素として機能させる
ためには、添加量は0.5mg以上であることが好まし
い。
d自体が光吸収層中の不純物として機能するため、好ま
しくない。本願発明者は、添加するGdの適正な量を把
握するため、InAs/InAsホモ構造において異な
るGd添加量で光吸収層を形成させた2種類の光検出器
について感度特性を比較した。その比較結果を図7に示
す。成長メルト材料3.2gに対するGd添加量を0.
7mgから1.4mgに増やすと、感度は20%ほど低
下している。したがって、Gdの添加量としては、大き
な感度低下の起こらない1mg以下が好ましい。一方、
結晶成長時にGdを確実にゲッタ元素として機能させる
ためには、添加量は0.5mg以上であることが好まし
い。
【0022】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
InAs光吸収層上にこの光吸収層よりもエネルギーギ
ャップの大きいInAsPSb系混晶層を格子整合させ
てウィンドウ層として形成しているので、中赤外線は、
ウィンドウ層を透過して、光吸収層で効率的に光電変換
され、室温でも高感度とすることができる。さらに、ヘ
テロ接合を有しているため、光吸収層で発生したキャリ
アがウィンドウ層に移動して再結合するのを防ぎ、感度
低下が起こりにくい。
InAs光吸収層上にこの光吸収層よりもエネルギーギ
ャップの大きいInAsPSb系混晶層を格子整合させ
てウィンドウ層として形成しているので、中赤外線は、
ウィンドウ層を透過して、光吸収層で効率的に光電変換
され、室温でも高感度とすることができる。さらに、ヘ
テロ接合を有しているため、光吸収層で発生したキャリ
アがウィンドウ層に移動して再結合するのを防ぎ、感度
低下が起こりにくい。
【0023】また、LPEによる光吸収層形成時に成長
メルトにGdを添加することにより、光吸収層内部の不
純物濃度が低下して、光吸収層をi領域とすることによ
り、PIN接合に類似した構造となり、入射光に対する
感度が向上する。
メルトにGdを添加することにより、光吸収層内部の不
純物濃度が低下して、光吸収層をi領域とすることによ
り、PIN接合に類似した構造となり、入射光に対する
感度が向上する。
【図1】本発明の一実施形態の断面構成図である。
【図2】本発明の実施形態と従来品の比検出能力を比較
したグラフである。
したグラフである。
【図3】本発明の実施形態においてGd添加の有無によ
る受光感度を比較したグラフである。
る受光感度を比較したグラフである。
【図4】本発明の実施形態においてGd添加の有無によ
る量子効率を比較したグラフである。
る量子効率を比較したグラフである。
【図5】本発明の実施形態においてサファイア窓等によ
る外部量子効率の変化を示したグラフである。
る外部量子効率の変化を示したグラフである。
【図6】InAsxP1-x-ySbyの組成比と、バンドギ
ャップの関係を示した図である。
ャップの関係を示した図である。
【図7】ホモ構造の検出器においてGd添加量の違いに
よる感度特性の変化を比較したグラフである。
よる感度特性の変化を比較したグラフである。
【図8】従来の中赤外領域光検出器の断面構成図であ
る。
る。
1…基板、2…光吸収層、3…ウィンドウ層、4…反射
防止膜、5…n電極、6…p電極、7…サファイア窓、
8…p型ドープ層。
防止膜、5…n電極、6…p電極、7…サファイア窓、
8…p型ドープ層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 十六夫 静岡県浜松市城北3丁目5番地の1 静岡 大学電子工学研究所内
Claims (2)
- 【請求項1】 少なくとも表面がn型InAsからなる
基板と、 前記基板上にエピタキシャル成長された低濃度n型ドー
プのInAsからなる光吸収層と、 前記光吸収層上にエピタキシャル成長させたp型ドープ
のInAsxP1-x-ySby(0.42≦x≦0.84、
0.90<x+3.22y<1.10)からなるウィン
ドウ層と、 を備える光検出器。 - 【請求項2】 前記光吸収層は、成長メルト材料3.2
g中に0.5〜1.0mgのGdを添加して液相成長法
により形成されていることを特徴とする請求項1記載の
光検出器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9033924A JPH10233523A (ja) | 1997-02-18 | 1997-02-18 | 光検出器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9033924A JPH10233523A (ja) | 1997-02-18 | 1997-02-18 | 光検出器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10233523A true JPH10233523A (ja) | 1998-09-02 |
Family
ID=12400077
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9033924A Pending JPH10233523A (ja) | 1997-02-18 | 1997-02-18 | 光検出器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10233523A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000019543A1 (fr) * | 1998-09-29 | 2000-04-06 | Seiko Epson Corporation | Photodiode et systeme de communication optique |
WO2008026536A1 (fr) | 2006-08-29 | 2008-03-06 | Hamamatsu Photonics K.K. | Photodétecteur et procédé de fabrication d'un photodétecteur |
US7768048B2 (en) | 2003-09-09 | 2010-08-03 | Asahi Kasei Emd Corporation | Infrared sensor IC, and infrared sensor and manufacturing method thereof |
-
1997
- 1997-02-18 JP JP9033924A patent/JPH10233523A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000019543A1 (fr) * | 1998-09-29 | 2000-04-06 | Seiko Epson Corporation | Photodiode et systeme de communication optique |
US7768048B2 (en) | 2003-09-09 | 2010-08-03 | Asahi Kasei Emd Corporation | Infrared sensor IC, and infrared sensor and manufacturing method thereof |
WO2008026536A1 (fr) | 2006-08-29 | 2008-03-06 | Hamamatsu Photonics K.K. | Photodétecteur et procédé de fabrication d'un photodétecteur |
JP2008060161A (ja) * | 2006-08-29 | 2008-03-13 | Hamamatsu Photonics Kk | 光検出器及び光検出器の製造方法 |
US8101940B2 (en) | 2006-08-29 | 2012-01-24 | Hamamatsu Photonics K.K. | Photodetector and method for manufacturing photodetector |
US8263966B2 (en) | 2006-08-29 | 2012-09-11 | Hamamatsu Photonics K.K. | Photodetector and method for manufacturing photodetector |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060912 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060926 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070220 |