JP4168390B2 - 複層ガラスの共鳴用部材保持構造及び保持部材並びに該保持部材を用いた複層ガラスの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物、車両、船舶及び航空機等に用いる、共鳴用部材を備えた複層ガラスの共鳴用部材保持構造及び保持部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
室内外の遮音性能を高めるために2枚のガラス板(壁体)間にヘルムホルツ共鳴器を備えた遮音構造が開示されている(例えば特許文献1)。この遮音構造は、ガラス板の周縁部に所定間隔で貫通した小孔を有する棒状の共鳴用部材を配し、その外側に空気層部を有する吸音部を配してヘルムホルツ共鳴器を形成するものである。このとき、所望の共鳴周波数が得られるように共鳴用部材の位置や小孔の間隔及び長さ等が設定される。
【0003】
しかし、特許文献1に記載の遮音構造では、共鳴用部材が熱伸縮した場合、共鳴用部材が湾曲する等して変形あるいは損傷する。また、共鳴用部材がガラス板に接着されていても熱収縮により接着剤が剥離して共鳴用部材が変形あるいは損傷し、共鳴用部材の位置がずれたり変形したりするので、共鳴のためのパラメータが変化してしまい、ヘルムホルツの共鳴作用が十分に得られなくなり共鳴器による遮音効果が滅殺され、さらに共鳴用部材の変形、接着剤の剥離による見栄えの悪化が生じていた。特に、その透視性を考慮して共鳴用部材に一般的に用いられるアクリル樹脂は温度変化に弱く、連続使用される実使用時の温度である−20〜80℃においては、この現象が顕著である。また、接着剤の化学成分による複層ガラス耐久性機能の低下が生じる。
【0004】
また、遮音性能を高めるために共鳴作用を利用した複層ガラスが提案されている(例えば特許文献2)。この複層ガラスは、中空層内部で起こる定在波という音波モードの共鳴振動数における遮音性能の低下を抑制するために複層ガラスの中空層周辺部に筒型形材からなる導波管(共鳴用部材)を配置し、その隅部に孔を開口させたものである。しかし、特許文献2に記載の複層ガラスでは、環状の直角接続部材の翼部を筒型形材の端部に嵌入して連続的なフレームの形態に組み立てるものであり、筒形形材の熱伸縮は考慮されていない。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−356934号公報
【特許文献2】
特表2003−501572号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであり、ガラス板間に取付けた共鳴用部材の熱伸縮による変形が生じても共鳴用部材自体やガラス板その他の部品を損傷させることなく共鳴作用を支障なく得ることのできる複層ガラスの共鳴用部材保持構造及び保持部材並びに製造方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明では、複層ガラスを構成する複数枚のガラス板のうち任意の隣り合うガラス板間に共鳴用部材を配置し、前記共鳴用部材端部の長手方向の微小変形を弾性的に吸収し得る弾性保持部で該共鳴用部材端部を保持することを特徴とする複層ガラスの共鳴用部材保持構造を提供する。
【0008】
この構成によれば、複層ガラス使用時に共鳴用部材が熱により長手方向に伸長しても、その微小変形を弾性保持部が弾性的に受止め変形に追従するため、共鳴用部材の熱膨張による熱応力を逃がすことができるので、共鳴用部材が湾曲する等の変形あるいは損傷する等の弊害を防止できる。したがって、複層ガラス本来の遮音性能や外観の低下を防止できる。
【0009】
好ましい構成例においては、前記弾性保持部は略U字形状部を有することを特徴としている。
【0010】
この構成によれば、弾性保持部のU字形状部の各辺が弾性を有するためこれらの各辺に共鳴用部材端部を取り付けることにより、隣り合う2本の共鳴用部材の熱膨張による伸長を同時に吸収できる。
【0011】
好ましい構成例においては、前記弾性保持部に嵌め込まれた前記共鳴用部材と前記ガラス板間に配置されるスペーサとで形成される空洞部に、前記共鳴用部材と前記スペーサとに当接する支持脚を備えることを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、共鳴用部材の中間部分を支持脚を介して剛性の高いスペーサで支えるため、共鳴用部材が自重たわみ及び窓開閉時の慣性力や衝撃力等により湾曲変形したり、脱落したりするのを防止できる。
【0013】
好ましい構成例においては、前記弾性保持部を複層ガラスの隅部に配置して、前記共鳴用部材端部を保持することを特徴としている。
【0014】
この構成によれば、複層ガラスの隅部に配置されるコーナーキー(スペーサ接合部材)と弾性保持部を一体的に構成でき、部品点数の削減と複層ガラスの組み立て簡略化が可能となる。
【0015】
さらに、本発明では、複層ガラスを構成する複数枚のガラス板のうち任意の隣り合うガラス板間に共鳴用部材とともに配置され、前記共鳴用部材端部を保持するとともに該共鳴用部材端部の長手方向の微小変形を弾性的に吸収し得る弾性保持部を有する複層ガラスの共鳴用部材保持部材を提供する。
【0016】
この構成によれば、複層ガラス使用時に共鳴用部材が熱により長手方向に伸長しても、その微小変形を弾性保持部が弾性的に受止め変形に追従するため、共鳴用部材の熱膨張による熱応力を逃がすことができるので、共鳴用部材が湾曲する等の変形あるいは損傷する等の弊害を防止できる。したがって、複層ガラス本来の遮音性能や外観の低下を防止できる。
【0017】
さらに、本発明では、4辺のスペーサを共鳴用保持部材と一体化されたコーナーキーを介して連結し、前記スペーサの一側面をガラス板に取り付けた後に前記共鳴用保持部材の溝に共鳴用部材を差込み、前記スペーサの反対側の一側面にガラス板を取り付け、前記2枚のガラス板とスペーサとで囲まれた中空層にガスを封入し、前記スペーサの外側に二次シールを配してシールすることを特徴とする複層ガラスの製造方法を提供する。
【0018】
この構成によれば、ガラス板の辺に沿って設けられる共鳴用部材の端部を保持する保持部材とスペーサ端部を封止するコーナーキーとを一体化し、このコーナーキーと一体化された共鳴用部材の保持部材を介して4辺のスペーサを連結して矩形枠体を形成し、このスペーサの枠体に1枚目のガラス板を接合し、その状態で共鳴用部材を装着し、その後2枚目のガラス板を接合し、その後コーナーキー及びこれと一体の保持部材の孔を通してガスを封入するため、ガラス板の接合や共鳴部材の装着及びガス封入作業が効率よく円滑に行われ、複層ガラス製造作業の作業性が向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1(A)は本発明に係る複層ガラスの共鳴用部材保持構造を用いた複層ガラスの正面図であり、(B)は(A)のA−A断面図である。
複層ガラス1には、所定間隔で貫通する複数の小孔10を有する棒状の共鳴用部材2と、アルミニウムの押出材からなるスペーサ3とが、2枚のガラス板9,9間に配置される。スペーサ3の両側面は一次シール12でガラス板9に接着され、複層ガラス1の周縁端部側は二次シール13でシールされる。
【0020】
ガラス板9としては、建築用に一般的に使用されるソーダライムシリカガラス(例えば、旭硝子社製、商品名:AS)が代表的であるが、これに限られずその他の組成のガラス板も使用できる。同様に、通常のソーダライムシリカガラス以外にも、強化ガラスや網入り板ガラス、合わせガラスも使用でき、片側のガラス板9を合わせガラスとし、他方を通常のソーダライムシリカガラスとする等種類や厚さの異なるガラス板を組合わせて使用することもできる。また、無機質のガラス板のみならず有機質の板状体、例えばポリカーボネート、アクリル樹脂等も使用できる。
【0021】
なお、複層ガラス1としては、2枚のガラス板9,9をその間に設けたスペーサ3で所定間隔を隔てて重ね合わせ、単一の中空層14を有する構成に限られるものではなく、3枚以上のガラス板9,9、・・・を隣り合うガラス板9,9間にスペーサ3を設けて所定間隔を隔てて重ね合わせ、複数の中空層14を有する構成であってもよい。
【0022】
スペーサ3は角筒型(または、各ガラス板9との接触面を両側に有する多角形その他の断面形状の筒型)であり、内部に乾燥剤11が充填される。この乾燥剤11により複層ガラス1内部の中空層14及び共鳴用部材2とスペーサ3との間の複層ガラス1周縁部側の空洞部15の除湿を図る。このため、スペーサ3の空洞部15側には孔20が所定間隔で複数個設けられる。複層ガラス1の4辺の周縁部に配設される共鳴用部材2及びスペーサ3はそれぞれ、前者は共鳴用部材保持部材4で、後者はコーナーキー6で保持され、複層ガラス1の隣り合う2辺に配設される共鳴用部材2及びスペーサ3とそれぞれ連結される。なお、共鳴用部材2は1辺のみ又は2辺あるいは3辺に設ける構成としてもよい(図では4辺)。なお、本例では、共鳴用部材保持部材4を複層ガラス1内部の隅部(コーナー部)に設置しているが、隅部以外の位置(例えば、複層ガラス1の各辺の長手中央部付近等)に設置してもよい。
【0023】
空洞部15には両端面が共鳴用部材2およびスペーサ3と当接する支持脚21が設けられる。これにより、共鳴用部材2が、この支持脚21を介して剛性の大きいスペーサ3で安定して支持されるため、複層ガラス1の例えば下辺側に取付ける共鳴用部材2が熱収縮して共鳴用部材保持部材4の保持手段(溝5(図2))から外れかけてもその自重により下側に湾曲変形したり、脱落することを防止できる。特にこの現象が顕著である大型の複層ガラスの場合に効果的である。支持脚21と共鳴用部材2及びスペーサ3の当接部分は接着等により固定してもよい。これにより複層ガラス1に内在する共鳴用部材2の自重たわみや窓開閉時の慣性力や衝撃力等による湾曲変形、脱落を防止することができる。
【0024】
なお、接着する場合、熱膨張差による支持脚21の剥離を防止するため、支持脚21を共鳴用部材2の長手方向中央部分に設ける場合又は共鳴用部材2とスペーサ3の熱膨張率が同じもしくは近い場合にのみ接着剤を用いることが好ましい。共鳴用部材2の長手方向中央部分は自重たわみや窓開閉時の慣性力や衝撃力及び熱等による湾曲変形量が大きく、長手方向への伸縮量は少ないため、共鳴用部材2の長手方向中央部分に支持脚21を固定するのが好ましい。なお、支持脚21の設置数、設置位置は適宜設定可能であり、その形状等も共鳴用部材2を支持する形状であれば自由に選択できる。
【0025】
共鳴用部材2の小孔10と、空洞部15とによりヘルムホルツ共鳴器が形成される。この場合、小孔10の直径や間隔、共鳴用部材2の厚さや空洞部15の幅や高さ(共鳴用部材2とスペーサ3の距離)等のパラメータを適宜選択して所望の共鳴周波数が得られるように設定し、複層ガラス1による防音・遮音を図る。
【0026】
図2は図1の複層ガラス内のコーナー部分の拡大断面図であり、図3は共鳴用部材保持部材の斜視図である。
共鳴用部材保持部材4は共鳴用部材2を保持する略U字形状の弾性保持部(略U字形状部)22と基台部23とで構成される。弾性保持部22の端部には共鳴用部材2を嵌め込み可能な2つの溝5,5を有している。これらの溝5,5はその嵌め込み方向が互いに直角をなしており、各溝5に共鳴用部材2端部が差込まれて保持される。この共鳴用部材保持部材4を複層ガラス1の隅部に配置することにより、共鳴用部材2が両端で共鳴用部材保持部材4に保持される。なお、本例では、共鳴用部材保持部材4は、連結部材7を介してコーナーキー(スペーサ接合部材)6と一体的に構成されている。
【0027】
弾性保持部22をU字形に形成することにより、U字の各片が、各々の溝部5に嵌め込まれる共鳴用部材2の長手方向にそれぞれ独立して弾性変形可能となる。したがって、共鳴用部材2の熱膨張に伴う熱応力を逃がし、共鳴用部材2を安定して保持できる。また、共鳴用部材保持部材4の厚さ(2枚のガラス板間の幅方向)を共鳴用部材2及びスペーサ3の厚さと整合させておくことにより、共鳴用部材2をガラス板9,9間に圧着してほぼ隙間なく取付けることができる。このため、共鳴用部材2をガラス板9に接着する等の作業が不要となり、作業性がよくなる。
【0028】
また、溝5は嵌め込み方向が互いに直角をなすようにそれぞれ開口して2ヵ所設けられるため、1つの共鳴用部材保持部材4で複層ガラス1の隣り合う2辺の周縁部付近に配設される2本の共鳴用部材2の端部を保持できる。なお、共鳴用部材保持部材4とコーナーキー6を別体として形成し、別々にガラス板9,9間に取付けてもよい。基台部23とスペーサ3の間には必要に応じて板材24が取付けられる。これにより、後述するように共鳴用部材保持部材4が弾性により変形しても安定して共鳴用部材保持部材4を固定できる。この場合、板材24はスペーサ3に接着される。なお、この板材24は予め共鳴用部材保持部材4と一体的に形成しておいて、ガラス板9,9間に取付けてもよい。
【0029】
共鳴用部材2端部を溝5に嵌め込んだ際、共鳴用部材2の長手方向の端面と溝5の底面とには所定間隔の隙間16が形成されるように溝5の嵌め込み方向の深さを設定してもよい。これにより、共鳴用部材2が熱により長さ方向に伸長しても、この隙間16にその伸長分を収めることができるので、熱膨張による熱応力を逃がすことができ、製造上の誤差により、共鳴用部材2の寸法が若干大きすぎても、その寸法誤差を吸収できる。これにより、本発明の略U字形状の弾性保持部22の弾性変形のみで共鳴用部材2の熱膨張を吸収する場合に比べ、隙間16の分だけ共鳴用部材2の熱膨張を吸収できるので弾性保持部22の撓みを小さくできる。
【0030】
このように共鳴用部材2の両端部を溝5により保持することにより、共鳴用部材2をガラス板9へ接着する必要がない。したがって共鳴用部材2の熱伸縮が生じて接着剤が剥離する問題がなくなり、さらに上述した支持脚21と組合わせて保持することにより、熱伸縮による共鳴用部材2の湾曲等の変形を確実に防止できる。また、共鳴用部材2が熱収縮してもその分を支えることができるように溝5の深さを予め設定しておけば、常に安定して確実に共鳴用部材2を保持できる。
【0031】
溝5に共鳴用部材2を嵌め込んだ状態のその嵌め込み長さ(共鳴用部材2端部の溝5への掛かり代)Dは、ガラス板9と共鳴用部材2との線熱膨張率の差を考慮して求められる。例えば長さ200cmの共鳴用部材2をアクリル樹脂材とした場合には、ガラス板9との線膨張率の差は90×10−6[K−1]程度となるため、20℃の気温環境下で製作した複層ガラス内に配設したアクリル樹脂材は−10℃の気温環境下では5.4mmつまり片側2.7mm縮み、+50℃の気温環境下では5.4mmつまり片側2.7mm伸びることが計算される。ここで、溝5に共鳴用部材2を嵌め込んだ状態での隙間16の長さ2mmとし、嵌め込み長さを3mmとすれば、2.7mmの伸び量を隙間16の長さと保持部22の弾性による変形追従機能で吸収し、2.7mmの縮み量を共鳴用部材2の溝5への嵌め込み深さ3mmでカバーできる。
【0032】
スペーサ3内に乾燥剤11を充填した後にスポンジ等の蓋部材17により蓋をし、さらに樹脂製のコーナーキー(スペーサ接合部材)6の端部をスペーサ3端部の中空孔に嵌入する。これにより、乾燥剤11がスペーサ3内に封止されるとともに、2本のスペーサ3の端部が連結されて保持される。このコーナーキー6を嵌入する際、コーナーキー6端部にひも状のブチルゴムあるいはブチルテープを螺旋状に巻く等して、コーナーキー6とスペーサ3との密着力を高めてもよい。コーナーキー6を嵌入した後に外側からブチルテープ等で嵌入部分を覆ってもよい。コーナーキー6は略L字形状であり、その両端をスペーサ3に嵌入できるので、1つのコーナーキー6で2本のスペーサ3を保持できる。
【0033】
上述したように、共鳴用部材保持部材4を連結部材7を介してコーナーキー6と一体化しておけば、コーナーキー6の端部をスペーサ3端部の中空孔に嵌入することにより共鳴用部材保持部材4の弾性保持部22の溝5の位置がスペーサ3に対して定まる。したがって、予めこの溝5とコーナーキー6との距離を設定して共鳴用部材保持部材4とコーナーキー6とを一体化することにより、共鳴用部材2の位置決め作業をすることなく共鳴用部材2をスペーサ3から所定距離に配置できる。これにより位置決め作業が簡略化し、効率よく組立作業を行うことができる。なお、共鳴用部材2、スペーサ3及び共鳴用部材保持部材4は複層ガラス1の外観向上のため、透明材料を用いて形成することが好ましい。
【0034】
コーナーキー6には、コーナーキー6の屈曲角部の外周面側から内部側に貫通するガス封入用の貫通孔28が設けられる。この貫通孔28は共鳴用部材保持部材4の貫通孔18と連通する。この共鳴用部材保持部材4の貫通孔18は、中空層14に臨んで開口する。この貫通孔18は、共鳴用部材保持部材4内で分岐し、共鳴用部材2とスペーサ3との間の空洞部15に通じる2方向の分岐孔19が備わる。これにより、例えば複層ガラス1の断熱効果を上げるために不活性ガス(例えばArガス)等を封入するときに、中空層14に効率よく短時間でガスを充填できる。さらに、ガスは分岐孔19から空洞部15にもガスが充填されるため、複層ガラス1内のガス濃度に偏りが出ることなく、均一にできる。なお、貫通孔18,28は実際には直線状に連通する1本の貫通孔として形成すればよい。
【0035】
また、分岐孔19を設けることに代えて、弾性保持部22のU字の各片の一部を中空層14の幅(厚さ)より幅狭としたり、U字の各片の一部に切り欠きを設けたりして、空洞部15へガスが効率よく充填されるようにしてもよい。
【0036】
本発明に係る複層ガラスの共鳴用部材保持部材4を用いて複層ガラス1を形成する際、まずスペーサ3端部の中空孔に共鳴用部材保持部材4と一体化したコーナーキー6端部を嵌入し、4辺のスペーサ3を連結する。これらのスペーサ3と一方のガラス板9とを一次シール12を介して取付ける。この際、樹脂製の共鳴用部材保持部材4は、ガラス板9に圧着するのみでもよい。この後、共鳴用部材保持部材4の弾性保持部22の各片の先端部の溝5に共鳴用部材2の両端部を差込む。次に先に取付けたガラス板9と反対側のガラス板9を取付ける。この際、スペーサ3の側面には一次シール12を施し、共鳴用部材保持部材4及び共鳴用部材2はガラス板9に圧着するのみでもよい。次に、複層ガラス1のコーナー部分(隅部)のコーナーキー6の貫通孔28から断熱効果あるいは遮音性能等を考慮したガスを封入する。複層ガラス1内にガスが充填された後、コーナーキー6の外側から貫通孔28に対してブチルを塗布したキャップ(不図示)で栓をしてガスを封止し、スペーサ3の外側の複層ガラス1の周縁部に2次シール13を配してシールする。
【0037】
なお、共鳴用部材保持部材4の弾性保持部22による共鳴用部材2の保持構造は、保持部22を略U字形状にして弾性を得る構造に限らず、例えば溝5の底面にバネを備えたり、各々別の板バネ等で各共鳴用部材2を支持する等、保持する共鳴用部材2の長手方向に弾性を有する構造であれば、どのような構造を採択してもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、複層ガラス使用時に共鳴用部材が熱により長さ方向に伸長しても、弾性保持部の弾性によりその微小変形を受止め変形に追従するため、共鳴用部材の熱膨張による熱応力を逃がすことができ、共鳴用部材が湾曲する等の変形あるいは損傷する等の弊害を防止できる。したがって、複層ガラス本来の遮音性能や外観の低下を防止できる。また、溝の深さ(共鳴用部材の溝への掛かり代)を共鳴用部材が熱収縮しても共鳴用部材端部を支えることができる程度の長さとすれば、共鳴用部材が溝から脱落するのを防止できる。
【0039】
また、弾性保持部を略U字形状にすることにより、弾性保持部のU字形状部の各片が弾性を有するためこれらの各片に共鳴用部材端部を取り付けることにより、隣り合う2本の共鳴用部材の熱膨張による伸長を同時に吸収できる。
【0040】
また、共鳴用部材とスペーサとに当接する支持脚を備えることにより、共鳴用部材の中間部分を支持脚を介して剛性の高いスペーサで支えるため、共鳴用部材が自重たわみ及び窓開閉時の慣性力や衝撃力等により湾曲変形したり、脱落したりするのを防止できる。
【0041】
また、弾性保持部を複層ガラスの隅部に配置することにより、複層ガラスの隅部に配置されるコーナーキー(スペーサ接合部材)と弾性保持部を一体的に構成でき、部品点数の削減と複層ガラスの組立の簡略化が可能となる。
【0042】
また、ガラス板の辺に沿って設けられる共鳴用部材の端部を保持する保持部材とスペーサ端部を封止するコーナーキーとを一体化し、このコーナーキーと一体化された共鳴用部材の保持部材を介して4辺のスペーサを連結して矩形枠体を形成し、このスペーサの枠体に1枚目のガラス板を接合し、その状態で共鳴用部材を装着し、その後2枚目のガラス板を接合し、その後コーナーキー及びこれと一体の保持部材の孔を通してガスを封入することにより、ガラス板の接合や共鳴部材の装着及びガス封入作業が効率よく円滑に行われ、複層ガラス製造作業の作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は本発明に係る複層ガラスの共鳴用部材保持構造を用いた複層ガラスの正面図であり、(B)は(A)のA−A断面図。
【図2】 図1の複層ガラス内のコーナー部分の拡大断面図。
【図3】 共鳴用部材保持部材の斜視図。
【符号の説明】
1:複層ガラス、2:共鳴用部材、3:スペーサ、4:共鳴用部材保持部材、
5:溝、6:コーナーキー(スペーサ接合部材)、7:連結部材、
9:ガラス板、10:小孔、11:乾燥剤、12:一次シール、
13:二次シール、14:中空層、15:空洞部、16:隙間、17:蓋部材、
18:貫通孔、19:分岐孔、20:孔、21:支持脚、22:弾性保持部、
23:基台部、24:板材、28:貫通孔。
Claims (6)
- 複層ガラスを構成する複数枚のガラス板のうち任意の隣り合うガラス板間に共鳴用部材を配置し、
前記共鳴用部材端部の長手方向の微小変形を弾性的に吸収し得る弾性保持部で該共鳴用部材端部を保持することを特徴とする複層ガラスの共鳴用部材保持構造。 - 前記弾性保持部は略U字形状部を有することを特徴とする請求項1に記載の複層ガラスの共鳴用部材保持構造。
- 前記弾性保持部に嵌め込まれた前記共鳴用部材と前記ガラス板間に配置されるスペーサとで形成される空洞部に、前記共鳴用部材と前記スペーサとに当接する支持脚を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の複層ガラスの共鳴用部材保持構造。
- 前記弾性保持部を複層ガラスの隅部に配置して、前記共鳴用部材端部を保持することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複層ガラスの共鳴用部材保持構造。
- 複層ガラスを構成する複数枚のガラス板のうち任意の隣り合うガラス板間に共鳴用部材とともに配置され、
前記共鳴用部材端部を保持するとともに該共鳴用部材端部の長手方向の微小変形を弾性的に吸収し得る弾性保持部を有する複層ガラスの共鳴用部材の保持部材。 - 矩形ガラス板の4辺にスペーサを介して2枚のガラス板を接合し、
4辺のスペーサの端部同士をコーナーキーで連結し、
4辺のうち少なくとも1辺に共鳴用部材を設け、
該共鳴用部材の保持部材は前記コーナーキーと一体化された部材である複層ガラスの製造方法であって、
4辺のスペーサを前記共鳴用部材保持部材を介して連結し、
前記連結した矩形状のスペーサの一側面を1枚目のガラス板に取り付けた後に前記保持部材に共鳴用部材を取付け、
前記スペーサの反対側の側面に2枚目のガラス板を取り付け、
前記2枚のガラス板とスペーサとで囲まれた中空層に前記保持部材に形成した孔を通してガスを封入し、
前記スペーサの外側に二次シールを配してシールすることを特徴とする複層ガラスの製造方法。
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