JP4168360B2 - メス付きミシン - Google Patents

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    • D05SEWING; EMBROIDERING; TUFTING
    • D05BSEWING
    • D05B37/00Devices incorporated in sewing machines for slitting, grooving, or cutting
    • D05B37/04Cutting devices
    • D05B37/06Cutting devices with oscillating tools
    • D05B37/063Cutting devices with oscillating tools in synchronism with the movement of the needle bar or the work-feeding means

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Sewing Machines And Sewing (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉤形に湾曲した先端を備える可動メスを針板上に出没させ、当該位置に配した固定メスに摺接せしめて、その端縁を所定幅に亘って裏面側に折り返した状態で針落ち位置に送り込まれる生地の前記端縁を切断する構成としたメス付きミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、スウェットパンツ、幼児用のズボン等の縫製において、胴回りにゴム通しのための筒状部を設ける場合、対象となる生地を、その端縁を所定幅に亘って裏面側に折り返した状態で針落ち位置に送り込み、前記端縁を表面側の生地に縫い付けるヘム縫いが行われる。
【0003】
このヘム縫いを高能率にて実施するため、鉤形に湾曲した先端を備える可動メスを針板前部の一側に配し、ミシン主軸からの伝動により針板上に出没するように上下動させて、該当位置に配した固定メスに摺接せしめ、針落ち位置に送り込まれる縫製生地の端縁を前記可動メスの先端に捉えて引下げ、前記固定メスとの間にて所定の折り返し幅を余して切断して針落ち位置に送り込む構成としたメス付きミシンが用いられている。
【0004】
ところがこの種のメス付きミシンにおいては、前記ヘム縫い以外の通常縫いに用いようとした場合、針板の前位置での前記可動メスの出没が、縫製生地の送り込みを逆に阻害するという不具合があり、この不具合の解消のため従来から、特開平10-287号公報等に開示されているように、ミシン主軸から可動メスへの伝動系の中途にこの伝動を係断する手段を備え、通常縫いを行う場合、前記可動メスへの伝動を遮断して上下動を停止させるようにしたメス付きミシンが提案されている。
【0005】
前記可動メスへの伝動系は、ミシンベッドの内部に架設されたメス軸に可動メスの基端部を嵌着し、該メス軸の軸回りの揺動によりその先端部を上下動させるべく取付ける一方、前記メス軸を、リンク部材及び伝動レバーを介してこれと平行をなす揺動軸に連結し、この揺動軸を公知のエキセン機構を介してミシン主軸に連結して、ミシン主軸の回転に応じた前記揺動軸の揺動を、リンク部材及び伝動レバーを介してメス軸に伝え、該メス軸を揺動せしめる構成となっている。
【0006】
前記特開平10-287号公報に開示された係脱手段は、前記メス軸と前記揺動軸とを連結する伝動レバーを長手方向に分割し、これらを、エアシリンダの出力端に取付けた連結ピンの抜き差しにより係脱して、該連結ピンの差し込み時に、一体化された伝動レバーからの伝動により可動メスが上下動し、前記連結ピンの引き抜き時に、伝動レバーの分割により可動メスの上下動が停止せしめられる構成としてある。
【0007】
また前記係脱手段においては、前記伝動レバーの分割を、前記可動メスの上動方向の揺動により屈曲する連結部を有して実現し、前記連結ピンの引き抜き時における伝動の遮断が、前記屈曲方向と逆向きの伝動レバーの揺動後、即ち、前記可動メスが針板下に待避した下動位置に移動した後に生じるように構成し、可動メスの存在が針落ち位置への縫製生地の送り込みを阻害することのないようにしてある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特開平10-287号公報に開示された係脱手段においては、その中途部にて屈曲可能とした特殊な伝動レバーが用いられており、この伝動レバーが構成が複雑であり、また高強度に構成することが難しく、縫製速度の高速化に対応し難いという問題があった。更には、連結ピンの係脱のためのエアシリンダを、針板下における前記伝動系の本来の配設スペースの近傍に組み込むことが難しいという問題があった。
【0009】
また、実公61-24226号公報等には、可動メスの上下動ストロークを、零ストロークを含めて調節可能としたストローク調節機構を備えたメス付きミシンが開示されている。このメス付きミシンによれば、ヘム縫い以外の縫製作業を行う場合、前記上下動ストロークを零に調節することにより可動メスの出没をなくし、縫製生地の送り込みを阻害しないようにすることが可能である。
【0010】
しかしながら、この種のストローク調節機構は、複数のリンクの組み合わせにより構成された大嵩の機構であり、多くの構成部品を必要とするという問題があった。
【0011】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、縫製生地の折り返し端縁を切断すべく針落ち位置前に生じる可動メスの出没動作を簡素な構成により係断することができ、伝動機構の配設スペースの近傍に容易に組み込むことが可能なメス付きミシンを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1発明に係るメス付きミシンは、ミシンベッドの内部に取付けたメス台に架設してあり、その一端部に可動メスが取付けられたメス軸と、該メス軸の中途部に一端部を遊嵌され、他端部を、ミシン主軸からの伝動により軸回りに揺動する揺動軸にリンク部材を介して連結された伝動レバーと、前記メス軸に軸長方向への移動可能に嵌合され、適宜の移動位置にて固定される伝動環と、該伝動環と前記伝動レバーとの対向部に構成されており、前記伝動環の接離に応じて係脱し、係合時に前記メス軸を揺動させるクラッチ手段と、前記メス軸の揺動により上下動する前記可動メスの一側に摺接し、前記ミシンベッド上に送り込まれる生地の端縁を切断する固定メスと、前記伝動環と前記メス台との間に介装されており、前記伝動環を周方向に付勢して、前記クラッチ手段の非係合時に前記可動メスを、前記伝動環及びメス軸を介して下動位置に拘束する付勢手段とを具備することを特徴とする。
【0013】
本発明においては、可動メスが取付けられたメス軸に軸長方向への移動可能に嵌合された伝動環と、前記メス軸に一端を遊嵌された伝動レバーとの対向部にクラッチ手段が設けてあり、更にメス軸を支持するメス台と前記伝動環との間に付勢手段が介装してある。従って、伝動環を伝動レバーに接近させ、前記クラッチ手段を係合状態とした場合、ミシン主軸から揺動軸及びリンク部材を介して伝動レバーに伝えられる揺動が、クラッチ手段及び伝動環を介してメス軸に伝えられ、該メス軸に取付けた可動メスが上下動する。逆に、伝動環を伝動レバーから離反させ、前記クラッチ手段を非係合状態とした場合、ミシン主軸から揺動軸及びリンク部材を介して伝動レバーに伝えられる揺動は、該伝動レバーが遊嵌されたメス軸には伝わらず、可動メスは上下動しなくなる。このとき前記付勢手段が伝動環を周方向に付勢し、メス軸に取付けられた可動メスを下動位置に下ろし、伝動レバーの遊嵌部における摩擦力、縫製動作中の振動等の外力の作用により可動メスが上動し、針板上に突出しないように拘束する。この付勢手段は、例えば、メス軸に嵌合保持せしめたつる巻きばねの両端を、前記伝動環及びメス台に係合させて実現することができる。
【0014】
また第2発明に係るメス付きミシンは、前記クラッチ手段が、前記伝動環及び伝動レバーの一方に形成された凹部と、他方に形成された凸部との嵌合により係合状態を得る構成とした爪クラッチであることを特徴とする。
【0015】
この発明においては、伝動環と伝動レバーとの対向部に構成するクラッチ手段を、一方に形成された凹部と他方に形成された凸部とを備え、両者の嵌合により係合状態が得られるようにした爪クラッチにより簡素に構成する。
【0016】
また第3発明に係るメス付きミシンは、前記伝動環と前記伝動レバーとの間に介装され、両者を離反する方向に付勢する第2の付勢手段を備えることを特徴とする。
【0017】
この発明においては、伝動環と伝動レバーとの間に、これらを離反する方向に付勢する第2の付勢手段を介装し、伝動環の固定を解除したとき、前記第2の付勢手段の付勢により伝動環を離反させ、クラッチ手段の非係合状態を確実に実現する。第2の付勢手段は、例えば、メス軸に遊嵌保持させたコイルばねを、伝動環と伝動レバーとの間に縮短状態にて介在させて実現することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係るメス付きミシンの全体構成を示す斜視図である。
【0021】
図示のミシンは、ミシンベッドB上に立設された脚部Cによりその基端を支持されたミシンアームAの先端部に垂下された針棒の下端に複数本の針1,1…を取り付け、同じく押え棒の下端に押え金2を取付けると共に、針1,1…の下方に対向するミシンベッドBの先端部に架設された針板3(図2参照)の下部に、図示しないルーパ及び送り機構を備える偏平縫いミシンとして構成されている。
【0022】
前記針1,1…は、ミシンアームAに内蔵された図示しない上軸からの伝動により、前記針棒と共に、前記針板3の上下を含む所定のストロークにて上下動するようになしてある。また押え金2は、所定の操作により針板3上に降下せしめられ、ミシンベッドB上にその前方から送り込まれる生地W(図4参照)を、前記針板3との間に挾持するようになしてあり、このように挾持された生地Wは、前記針1,1…の上下動と、この上下動に同期して前記針板3の下部にて生じる前記ルーパ及び送り機構の動作とにより、送りを加えつつ縫製される構成となっている。
【0023】
以上の如く構成された偏平縫いミシンは、図1中に示す如く、ミシンベッドBの先端部前側にメス機構4を備えている。図2は、メス機構4の構成を針板と共に示す斜視図である。図3は、メス機構4の分解斜視図である。
【0024】
図中3は、前述の如くミシンベッドBの先端部上面に架設された針板であり、該針板3には、その略中央部に、前述の如く上下動する複数本の針1,1…を降下時に挿通させるための複数(図においては3つ)の針落ち孔30,30…が、幅方向に並べて形成され、またこれらの針落ち孔30,30…の前後及び両側には、図示しない送り歯を突出させるための矩形の送り孔31,31…が形成されている。
【0025】
針板3上には、長手方向の一側(図2における右側)から他側(図2における左側)に向けて生地W(図4参照)が送り込まれるようになしてあり、この生地Wは、前記針板3と、これの上部に降下せしめた押え金2(図1参照)との間に挾持され、送り孔31,31…を経て突出する図示しない送り歯の動作により所定のストロークでの間欠的な送りを加えられ、前記針落ち孔30,30…に降下する針1,1…と、針板3下の該当位置に配された図示しないルーパの動作とにより縫製される。
【0026】
メス機構4は、ミシンベッドBの先端部内側に、前記針板3の前位置に固設されたメス台40と、該メス台40に架設されたメス軸41と、該メス軸41の一端部にその基端を嵌着してなる可動メス42と、該可動メス42にその一側(図の右側)から摺接する固定メス43とを備え、前記可動メス42をミシン主軸(図示せず)からの伝動により動作させ、固定メス43に摺接させて針板3上に送り込まれる生地Wの端縁を切断する構成としてある。
【0027】
前記メス台40は、複数本の止ねじによりミシンベッドBの先端部前側の適宜位置に締め付け固定されている。前記メス軸41は、メス台40に設けられた一対の支持ブラケット 40a,40aにより、軸長方向に離隔した位置を軸回りでの回動自在に支持され、針板3の前位置を、該針板3の長手方向、即ち、生地Wの送り方向と略直交する方向に横切るように架設されている。
【0028】
前記可動メス42は、その先端部に鉤形に湾曲する刃部 42aを備えており、メス台40の一方の支持ブラケット 40aの一側に突出する前記メス軸41の一端部(正面側からみて左端部)に、その基部を固定して取付けられており、後述の如く生じるメス軸41の揺動に応じて揺動し、前記刃部 42aを上下動せしめる構成としてある。針板3の前部には、針落ち孔30,30…よりも左側を適幅に切欠いて矩形の切欠き部32が形成されており、前述の如く上下動する可動メス42先端の刃部 42aは、その上動時に、図2に示す如く、前記切欠き部32を経て針板3上に突出するようになしてある。
【0029】
また前記固定メス43は、図3に示す如く、長手方向一側の端縁に刃部 43aを形成してなる板状の部材であり、可動メス42の取付け位置に隣接してメス台40に支持された固定台44に取付けられ、図2に示す如く、前記切欠き部32の縦縁に前記刃部 43aを沿わせて配してあり、該刃部 43aが、前述した如く上下動する可動メス42の刃部 42aに一側から摺接し、この摺接部にて切断作用を行なわせるように構成されている。
【0030】
図3に示す如く、固定メス43の固定台44は、その一側に突設された支持筒 44aを備え、該支持筒 44aを前記メス台40の同側の支持ブラケット 40aに回転不可に挿通支持させてあり、メス軸41は、前記支持筒 44aに回転自在に嵌合されている。
【0031】
図4は、可動メス42と固定メス43とによる生地の切断状態の説明図である。この切断は、図示の如く、その端縁Eを裏面側に折り返した状態で針落ち位置に送り込まれる生地Wを対象とし、この折り返し部を前記生地Wの表面側に縫い付けるヘム縫いの実施に際し、図中に一点鎖線により示す針落ち位置への到達前に、前記折り返し端縁Eを適正幅の折り返し部を余して切断すべく行なわれる。
【0032】
針板3の前位置において前述の如く上下動する可動メス42は、上動時に前記生地Wを裏面側から押し上げ、図示の如く、鉤形に湾曲する刃部 42aにより折り返し端縁Eを捉え、この状態で図中に矢符にて示す如く下動することとなり、このとき前記端縁Eは、可動メス42と共に引下げられ、該可動メス42刃部 42aと固定メス43の刃部 43aとの摺接部に導かれて切断される。可動メス42の上下動は、短周期にて間欠的に生じ、前記折り返し端縁Eは連続的に切断される。
【0033】
図2に示す如く、メス軸41の基端部には、ばね受け環45が同軸的に嵌着固定され、またこのばね受け環45と適長離隔して対向するようにストッパ環47が同軸的に嵌着固定され、これらの間にはコイルばね46が介装されており、前記メス軸41は、このコイルばね46のばね力により基端側に向けて、即ち、正面側から見て右向きに引っ張り付勢されている。これによりメス軸41の先端側に取付けられた可動メス42は、その刃部 42aを固定メス43の刃部 43aに右側から押し付けられた状態で上下動することとなり、前述した切断は良好に行なわれる。また前記ストッパ環47は、同側の支持ブラケット 40aの端面に当接し、例えば、可動メス42と固定メス43との間に厚手の生地Wが挾持されたとき、前記コイルばね46のばね力に抗して生じるメス軸41の左方向への移動を規制する作用をなす。なお、ばね受け環45及びストッパ環47の固定位置は、メス軸41の軸長方向に調節可能であり、この調節によりコイルばね46のばね力を加減することにより、前記刃部 42a,43aの押し付け力を適正に設定し得るようにしてある。
【0034】
以上の如く可動メス42を上下動させるためのメス軸41の揺動は、ミシンベッドB内に架設された図示しないミシン主軸からの伝動により行なわれる。メス軸41には、前記支持ブラケット 40a,40aによる支持部間に、伝動環5と伝動レバー6の基部とが、軸長方向に並べて同軸的に外嵌されている。
【0035】
伝動環5は、前記メス軸41に軸長方向への移動可能に外嵌されたリング状の部材であり、一対の止ねじ50,50の締め付けにより、適宜の移動位置にて固定し得るようになしてある。一方伝動レバー6の基部は、メス軸41に回転自在に遊嵌されており、その軸長方向位置は、同側の支持ブラケット 40aとの間に介装されたスペーサ環60により、該支持ブラケット 40aとの間に所定の離隔距離を保って拘束されるようになしてある。
【0036】
図3に示す如く、伝動レバー6の基部の伝動環5との対向面には、矩形溝形をなす凹部61が、径方向に横切るように形成され、また伝動環5の伝動レバー6との対向面には、前記凹部61に対応する矩形の凸部51が、同様に径方向に横切るように突設されている。これらの凸部51及び凹部61は、伝動環5を伝動レバー6に接近せしめた位置に固定することにより、図2に示す如く相互に嵌合せしめられる一方、この嵌合は、伝動環5を伝動レバー6から離反させた位置に固定することにより解除されることとなり、伝動環5と伝動レバー6とを係脱する爪クラッチを構成している。図5は、凸部51と凹部61との嵌合が解除された状態を示す斜視図である。
【0037】
また図3に示す如く、伝動環5と伝動レバー6との間には、メス軸41の該当位置に嵌合保持されたコイルばね(第の付勢手段)7が介装されており、伝動環5と伝動レバー6とは、このコイルばね7のばね力により、相互に離反する向きに付勢されている。而して、前記止ねじ50,50を緩めて固定を解除された伝動環5は、前記コイルばね7のばね力により前記伝動レバー6から離反せしめられ、図5に示す係合解除状態が得られることとなり、前記可動メス42への後述する伝動の遮断を、容易に、しかも確実に実現することが可能となる。
【0038】
更に伝動環5と同側の支持ブラケット 40aとの間には、メス軸41の該当位置に嵌合保持されたつる巻きばね(付勢手段)8が介装されている。該つる巻きばね8は、メス軸41に嵌合する筒状部の両側に突設された両端部を、伝動環5の端面に形成された係合孔52と、前記支持ブラケット 40aの適宜位置とに夫々係合させて、前記伝動環5を周方向の一側に向けて付勢する作用をなすように介装されている。
【0039】
而して、伝動レバー6との係合を解除した伝動環5を、図5中に矢符により示す如く手前側に回し、つる巻きばね8を同側に変形させた状態で固定した場合、固定後のメス軸41は、前記つる巻きばね8のばね力により、逆向きに付勢されることとなり、該メス軸41の先端に取付けられた可動メス42は、図中に白抜矢符にて示す如く下動位置に移動し、該位置に拘束されることとなる。
【0040】
図3に示す如く、伝動レバー6の先端側には、その長手方向に延設された長孔62が形成されており、該伝動レバー6は、図2及び図5に示す如く、前記長孔62の中途部に固定ボルト90を介して連結されたリンク部材9により、図示しない揺動軸に連結されている。この揺動軸は、ミシンベッドB内に架設されたミシン主軸(図示せず)に公知のエキセン機構を介して連結され、ミシン主軸の回転に応じて軸回りに揺動する構成としてあり、この揺動は、前記リンク部材9を介して伝動レバー6に伝達され、該伝動レバー6は、その基部を支持するメス軸41の軸回りに揺動することとなる。なお、伝動レバー6の揺動量は、前記長孔62の長さ範囲内にて前記固定ボルト90の固定位置を変えることにより自在に調整することが可能である。
【0041】
伝動レバー6の基部は、前記メス軸41に遊嵌されていることから、以上の如く生じる伝動レバー6の揺動は、直接的にはメス軸41に伝達されないが、図2に示す如く、伝動環5を伝動レバー6に接近させて固定し、前者の凸部51と後者の凹部61とを嵌合せしめた場合、伝動レバー6の揺動が伝動環5を介してメス軸41に伝達され、該メス軸41の先端に取付けられた可動メス42が揺動せしめられ、該可動メス42先端の刃部 42aが上下動して針板3上に出没し、針板3上に送り込まれる生地Wの折り返し端縁Eが連続的に切断され、前述したヘム縫いを行なわせることができる。
【0042】
一方、図5に示す如く、伝動環5を伝動レバー6から離反させて固定し、前者の凸部51と後者の凹部61との嵌合を外した場合、伝動レバー6の揺動はメス軸41に伝わらず、該メス軸41の先端に取付けられた可動メス42は上下動を停止した状態となり、前記ヘム縫い以外の通常の縫製を行なわせることができる。
【0043】
伝動環5と伝動レバー6との間には、前記コイルばね7が介装されており、このコイルばね7ばね力により前記伝動環5は、前記止ねじ50,50を緩め、メス軸41への固定を解除する操作のみで伝動レバー6から離反するから、前記伝動の遮断は、容易に、しかも確実に実現される。
【0044】
また伝動環5は、前記つる巻きばね8により周方向に付勢されており、前述の如く、伝動レバー6との嵌合を解除された伝動環5を手前側に回してメス軸41に固定することにより、前記可動メス42は、つる巻きばね8のばね力により下動位置に移動し、該位置に拘束される。これにより、通常縫製中にも揺動を継続する伝動レバー6の遊嵌部における摩擦力、縫製動作中の振動等の外力の作用によりメス軸41が揺動し、可動メス42の刃部 42aが針板3上に突出することがなく、針板3上への生地Wの送り込みが阻害される虞れがない。
【0045】
なお以上の実施の形態においては、偏平縫いミシンへの適用例について述べたが、本発明は、偏平縫いミシン以外のミシンの適用も可能であることは言うまでもない。また以上の実施の形態においては、伝動環5と伝動レバー6との対向面に、前記凸部51と凹部61とを備え、簡素な構成により確実な係合状態が得られる爪クラッチを構成してあるが、摩擦クラッチ等、他のクラッチ手段を構成してもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明の第1発明に係るメス付きミシンにおいては、可動メスが取付けられたメス軸に嵌合された伝動環と伝動レバーとの間にクラッチ手段を設けたから、簡素な構成により可動メスへの伝動を係断することができ、針板下の伝動機構の配設スペース内に容易に組み込むことが可能となる上、伝動環を周方向に付勢する付勢手段を備え、クラッチ手段の係合解除により非動作状態にある可動メスを下動位置に拘束するようにしたから、この状態で行なわれる通常の縫製中に可動メスが上動し、針板上に突出して、生地の送り込みを阻害する虞れを未然に回避することが可能となる。
【0047】
また第2発明に係るメス付きミシンにおいては、伝動環と伝動レバーとの間のクラッチ手段を爪クラッチにより構成したから、簡素な構成により確実な係断を行なわせることができる。
【0048】
また第3発明に係るメス付きミシンにおいては、伝動環と伝動レバーとを離反する方向に付勢する第2の付勢手段を備えたから、伝動環の固定を解除する簡単な操作によりクラッチ手段の係合解除を容易に実現することができる等、本発明は優れた効果を奏する
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るメス付きミシンの全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るメス付きミシンに備えられたメス機構の構成を針板と共に示す斜視図である。
【図3】本発明に係るメス付きミシンに備えられたメス機構の分解斜視図である。
【図4】可動メスと固定メスとによる生地の切断状態の説明図である。
【図5】本発明に係るメス付きミシンに備えられたメス機構の非動作状態を針板と共に示す斜視図である。
【符号の説明】
1 針
3 針板
4 メス機構
5 伝動環
6 伝動レバー
7 コイルばね
8 つる巻きばね
40 メス台
41 メス軸
42 可動メス
43 固定メス
A ミシンアーム
B ミシンベッド
W 生地

Claims (3)

  1. ミシンベッドの内部に取付けたメス台に架設してあり、その一端部に可動メスが取付けられたメス軸と、該メス軸の中途部に一端部を遊嵌され、他端部を、ミシン主軸からの伝動により軸回りに揺動する揺動軸にリンク部材を介して連結された伝動レバーと、前記メス軸に軸長方向への移動可能に嵌合され、適宜の移動位置にて固定される伝動環と、該伝動環と前記伝動レバーとの対向部に構成されており、前記伝動環の接離に応じて係脱し、係合時に前記メス軸を揺動させるクラッチ手段と、前記メス軸の揺動により上下動する前記可動メスの一側に摺接し、前記ミシンベッド上に送り込まれる生地の端縁を切断する固定メスと、前記伝動環と前記メス台との間に介装されており、前記伝動環を周方向に付勢して、前記クラッチ手段の非係合時に前記可動メスを、前記伝動環及びメス軸を介して下動位置に拘束する付勢手段とを具備することを特徴とするメス付きミシン。
  2. 前記クラッチ手段は、前記伝動環及び伝動レバーの一方に形成された凹部と、他方に形成された凸部との嵌合により係合状態を得る構成とした爪クラッチである請求項1記載のメス付きミシン。
  3. 前記伝動環と前記伝動レバーとの間に介装され、両者を離反する方向に付勢する第2の付勢手段を備える請求項1又は請求項2記載のメス付きミシン。
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