JP4166868B2 - 農薬粒剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微粉発生率が低く作業性に優れ、且つ薬害が極めて少ない農薬粒剤、特に、農薬活性成分として殺虫性グアニジン誘導体を含有した農薬粒剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
害虫防除能力を有する農業用殺虫剤としてグアニジン誘導体が合成され、優れた薬効を示すものが製造されている。例えば、特開平3-157308号公報に示された化合物は、低薬量で優れた害虫防除能力を有する農業用殺虫剤である。
害虫防除を目的として、粒剤を植物に直接施用する場合、粒剤の硬度が不十分であると散布作業時に微粉が多く発生し、作業者の健康を害する恐れがある。
また、粒剤としての成形性を高めるために、通常、少量の界面活性剤を配合しているが、植物によってはこの界面活性剤が原因となってしばしば薬害を引き起こす場合がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
粒剤の硬度を高めるためには、結合剤含量を増加させることが有効な手段であるが、水中での崩壊性が悪化するために期待される薬効が発現しない可能性がある。また、結合剤は製剤原料の中では比較的高価格であるため不経済でもある。
界面活性剤については、従来から頻用されてきたアルキルフェノール類は、環境ホルモンとして位置づけられており、現在では使用を自粛する傾向にある。更に、界面活性剤に対する環境ホルモンの指定は今後も拡大する傾向にあることから、粒剤の成形性に優れ、且つ薬害が小さい界面活性剤を見出すことは年々困難なものとなってきている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述した課題を解決するべく鋭意研究検討した結果、農薬活性成分(特に上記のグアニジン誘導体)を含有する農薬粒剤を製造するに際して、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合物を含有せしめることにより、微粉発生率が低く作業性に優れ、且つ薬害が極めて少ない製剤が得られることを見出した。
【0005】
すなわち、本発明は、
〔1〕(1)一般式
【化3】
〔式中、R1は置換されていてもよい同素または複素環基を、nは0または1を、R2は水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、R3は第一、第二または第三アミノ基を、Xは電子吸引基を示す〕で表わされるグアニジン誘導体(I)またはその塩および(2)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合物を含有してなる農薬粒剤(但し、有機燐系農薬活性成分は有しない。)、
〔2〕グアニジン誘導体(I)が式
【化4】
で表わされる化合物である上記〔1〕項記載の農薬粒剤、
〔3〕製剤全体に対して、グアニジン誘導体(I)を0.1〜90重量%、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合物を0.1〜10重量%含有する上記〔1〕項記載の農薬粒剤、
〔4〕さらに水溶性結合剤を含有する上記〔1〕項記載の農薬粒剤、および
〔5〕さらに、ネライストキシン誘導体を含有する上記〔1〕項記載の農薬粒剤に関する。
【0006】
本発明の農薬製剤に用いられるグアニジン誘導体(I)は、Xの配置に関してシス体〔Z体(zusammen)〕とトランス体〔E体(entgegen)〕の立体異性体を生じ、またR2が水素原子である場合およびR3が第一または第二アミノ基である場合は、理論的に互変異性体を生じるが、これらいずれの異性体も本発明のグアニジン誘導体(I)またはその塩に含まれる。
【0007】
R1で示される同素または複素環基は、同一原子のみを含有する環状基または異なる2種以上の原子を含有する環状基であって、環状炭化水素基または複素環基を意味する。
R1で示される環状炭化水素基としては、例えば、炭素数3ないし14の環状炭化水素基などが用いられ、具体的には、C3-8シクロアルキル基(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、C3-8シクロアルケニル基(例、シクロプロペニル、1−シクロペンテニル、1−シクロヘキセニル、2−シクロヘキセニル、1,4−シクロヘキサジエニル等)などの非芳香族環状炭化水素基、C6-14アリール基(例、フェニル,1−または2−ナフチルなどのナフチル,1−,2−または9−アントリルなどのアントリル,1−,2−,3−,4−または9−フェナントリルなどのフェナントリル,1−,2−,4−,5−または6−アズレニルなどのアズレニル等)などの芳香族環状炭化水素基などが用いられる。これら環状炭化水素基のなかでも、芳香族のものが好ましく、例えば、フェニルなどのC6-14アリール基などが好適である。
【0008】
R1で示される複素環基としては、例えば、酸素原子,硫黄原子,窒素原子などのヘテロ原子を1〜5個含む5〜8員環、またはその5ないし8員の炭素環もしくは5ないし8員の複素環との縮合環などが用いられる。
その具体例としては、例えば、チエニル(例、2−または3−チエニル),フリル(例、2−または3−フリル),ピロリル(例、2−または3−ピロリル),ピリジル(例、2−,3−または4−ピリジル),オキサゾリル(例、2−,4−または5−オキサゾリル),チアゾリル(例、2−,4−または5−チアゾリル),ピラゾリル(例、3−,4−または5−ピラゾリル),イミダゾリル(例、2−,4−または5−イミダゾリル),イソオキサゾリル(例、3−,4−または5−イソオキサゾリル),イソチアゾリル(例、3−,4−または5−イソチアゾリル),オキサジアゾリル〔例、3−または5−(1,2,4−オキサジアゾリル),1,3,4−オキサジアゾリル〕,チアジアゾリル〔例、3−または5−(1,2,4−チアジアゾリル),1,3,4−チアジアゾリル,4−または5−(1,2,3−チアジアゾリル),1,2,5−チアジアゾリル〕,トリアゾリル(例、1,2,3−トリアゾリル,1,2,4−トリアゾリル),テトラゾリル(例、1H−または2H−テトラゾリル),窒素原子が酸化されたピリジル(例、N−オキシド−2−,3−または4−ピリジル),ピリミジニル(例、2−,4−または5−ピリミジニル),1個または両方の窒素原子が酸化されたピリミジニル(例、N−オキシド−2−,4−または5−ピリミジニル),ピリダジニル(例、3−または4−ピリダジニル),ピラジニル,1個または両方の窒素原子が酸化されたピリダジニル(例、N−オキシド−3−または4−ピリダジニル),ベンゾフリル,ベンゾチアゾリル,ベンゾオキサゾリル,トリアジニル,オキソトリアジニル,テトラゾロ〔1,5−b〕ピリダジニル,トリアゾロ〔4,5−b〕ピリダジニル,オキソイミダジニル,ジオキソトリアジニル,ピロリジニル,ピペリジニル,ピラニル,チオピラニル,オキサジニル(例、1,4−オキサジニル),モルホリニル,チアジニル(例、1,4−チアジニル,1,3−チアジニル),ピペラジニル,ベンゾイミダゾリル,キノリル,イソキノリル,シンノリニル,フタラジニル,キナゾリニル,キノキサリニル,インドリジニル,キノリジニル,ナフチリジニル(例、1,8−ナフチリジニル),プリニル,プテリジニル,ジベンゾフラニル,カルバゾリル,アクリジニル,フェナントリジニル,フェナジニル,フェノチアジニル,フェノキサジニルなどが用いられる。
これら複素環基のなかでも、例えば、ピリジル(例、2−,3−または4−ピリジル),チアゾリル(例、2−,4−または5−チアゾリル)などの5または6員の含窒素複素環基などが好ましい。
【0009】
これらR1で示される同素または複素環基は、同一又は相異なる置換基を1〜5個(好ましくは1個)有していてもよく、この様な置換基としては、例えば、C1-15アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル等)、C3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、C2-10アルケニル基(例、ビニル、アリル、2−メチルアリル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−オクテニル等)、C2-10アルキニル基(例、エチニル、2−プロピニル、3−ヘキシニル等)、C3-10シクロアルケニル基(例、シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等)、C6-14アリール基(例、フェニル、ナフチル等)、C7-19アラルキル基(例、ベンジル、フェニルエチルなどのフェニル−C1-4アルキル等)、ニトロ基、水酸基、メルカプト基、オキソ基、チオキソ基、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、C1-4アルコキシ−カルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、スルホ基、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、C1-4アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ等)、C6-14アリールオキシ基(例、フェノキシ等)、C1-4アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、t−ブチルチオ等)、C6-14アリールチオ基(例、フェニルチオ等)、C1-4アルキルスルフィニル基(例、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル等)、C6-14アリールスルフィニル基(例、フェニルスルフィニル等)、C1-4アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル等)、C6-14アリールスルホニル基(例、フェニルスルホニル等)、アミノ基、C2-6アシルアミノ基(例、アセチルアミノ、プロピオニルアミノなどのC2-6アルカノイルアミノ基等)、モノ−又はジ−C1-4アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等)、C3-6シクロアルキルアミノ基(例、シクロヘキシルアミノ等)、C6-14アリールアミノ基(例、アニリノ等)、C2-4アシル基(例、アセチルなどのC2-4アルカノイル基等)、C6-14アリール−カルボニル(例、ベンゾイル等)、酸素、硫黄、窒素から選ばれるヘテロ原子を1〜4個含む5もしくは6員の複素環基またはそのベンゼン環との縮合環基などの複素環基〔例、チエニル(例、2−または3−チエニル)、フリル(例、2−または3−フリル)、ピラゾリル(例、3−、4−または5−ピラゾリル)、チアゾリル(例、2−、4−または5−チアゾリル)、イソチアゾリル(例、3−、4−または5−イソチアゾリル)、オキサゾリル(例、2−、4−または5−オキサゾリル)、イソオキサゾリル(例、3−、4−または5−イソオキサゾリル)、イミダゾリル(例、2−、4−または5−イミダゾリル)、トリアゾリル(例、1,2,3−または1,2,4−トリアゾリル)、テトラゾリル(例、1Hまたは2H−テトラゾリル)、ピリジル(例、2−、3−または4−ピリジル)、ピリミジニル(例、2−、4−または5−ピリミジニル)、ピリダジニル(例、3−または4−ピリダニジル)、キノリル、イソキノリル、インドリル等〕などが用いられる。
【0010】
これらの置換基が、例えば、C6-14アリール基、C7-19アラルキル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルケニル基、C6-14アリールオキシ基、C6-14アリールチオ基、C6-14アリールスルフィニル基、C6-14アリールスルホニル基、C6-14アリールアミノ基、複素環基などである場合には、さらにハロゲン原子、水酸基、C1-4アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル等)、C2-4アルケニル基(例、ビニル、アリル、2−メチルアリル等)、C2-4アルキニル基(例、エチニル、2−プロピニル等)、C6-14アリール基(例、フェニル、ナフチル等)、C1-4アルコキシ基、フェノキシ基、C1-4アルキルチオ基、フェニルチオ基などで1〜5個置換されていてもよい。また、置換基が、C1-15アルキル基、C2-10アルケニル基、C2-10アルキニル基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルキルチオ基、C1-4アルキルスルフィニル基、C1-4アルキルスルホニル基、アミノ基、モノ−又はジ−C1-4アルキルアミノ基、C3-6シクロアルキルアミノ基などである場合には、さらにハロゲン原子、水酸基、C1-4アルコキシ基、C1-4アルキルチオ基などで1〜5個置換されていてもよい。
R1の好ましい例としては、例えば、ハロゲン原子などで1ないし2個置換されていてもよいピリジル、チアゾリルなどの5または6員の含窒素複素環であり、特に、塩素原子で置換されたチアゾリル(特に、2−クロロ−5−チアゾリル等)などが好適である。
nは0または1を示すが、1の場合が好ましい。
【0011】
R2で示される「置換されていてもよい炭化水素基」の炭化水素基としては、炭素数1ないし19の炭化水素基などが用いられ、例えば、R1で前述したC1-15アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C2-10アルケニル基、C2-10アルキニル基、C3-10シクロアルケニル基、C6-14アリール基、C7-19アラルキル基などが用いられる。また、「置換されていてもよい炭化水素基」の置換基としては、R1で示される同素または複素環基の置換基として前述したものと同様のもの等が用いられる。
R2の好ましい例としては、例えば、水素原子、C1-4アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル等)などが挙げられ、特に、水素原子が好適である。
【0012】
R3は第一、第二または第三アミノ基を示し、例えば、式
【化5】
〔式中、R4およびR5は、同一または相異なり、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、あるいはR4およびR5は一緒になって隣接する窒素と共に環状アミノ基を示す。〕で表わされる基などが用いられる。
【0013】
ここにおいて、第一アミノ基とは、例えば、上記式で言えばR4およびR5が水素原子である無置換アミノ基を、第二アミノ基とはR4かR5のいずれか一方が水素原子であるモノ置換アミノ基を、第三アミノ基とはR4とR5のどちらも水素原子でないジ置換アミノ基を意味する。
R4およびR5で示される「置換されていてもよい炭化水素基」としては、例えば、上記R2で述べた基と同一のもの等が用いられ、なかでもC1-15アルキル基、特に、C1-6アルキル基などが好適である。
また、R4およびR5が一緒になって隣接窒素と共に示す環状アミノ基としては、例えば、アジリジノ,アゼチジノ,ピロリジノ,ピペリジノ,モルホリノ,チオモルホリノ基などの3ないし8員の環状アミノ基などが用いられる。
R3としては、例えば、無置換アミノ基、モノ−C1-4アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ等)、ジ−C1-4アルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ等)、C1-4アシルアミノ基(例、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミドなどのC1-4アルカノイルアミノ基等)などが挙げられ、なかでも、メチルアミノなどのモノ−C1-4アルキルアミノ基が好適である。
【0014】
Xで示される電子吸引基としては、例えば、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等のC1-4アルコキシ−カルボニル等)、ヒドロキシカルボニル基(カルボキシル基)、C6-10アリール−オキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル等)、複素環オキシカルボニル基(複素環基としては、上記R1における複素環基と同様のもの等が用いられ、例えば、ピリジルオキシカルボニル、チエニルオキシカルボニル等)、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)などで1〜3個置換されていてもよいC1-4アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、トリフルオロメチルスルホニル、エチルスルホニル等)、スルファモイル基、ジ−C1-4アルコキシホスホリル基(例、ジエトキシホスホリル等)、ハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)などで1〜3個置換されていてもよいC1-4アルカノイル基などのC1-4アシル基(例、アセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル等)、C6-10アリール−カルボニル基(例、ベンゾイル等)、カルバモイル基、C1-4アルキルスルホニルチオカルバモイル基(例、メチルスルホニルチオカルバモイル等)などが用いられる。
該電子吸引基としては、例えば、ニトロ基、トリフルオロアセチル基、シアノ基などが好ましく、特に、ニトロ基が好適である。
【0015】
グアニジン誘導体(I)またはその塩の好ましい例としては、例えば、式
【化6】
〔式中、R1bはピリジル基、ハロゲノピリジル基またはハロゲノチアゾリル基を、R2c,R4a,R5aは同一または相異なり、水素原子、メチル基、エチル基、 ホルミル基またはアセチル基を示す〕で表わされる化合物(Ib)またはその塩などが挙げられる。
【0016】
R1bで示されるピリジル基としては、例えば、3−ピリジル基などが用いられる。ハロゲノピリジル基としては、例えば、6−クロロ−3−ピリジル、6−ブロモ−3−ピリジル、5−ブロモ−3−ピリジルなどが用いられる。ハロゲノチアゾリル基としては、例えば、2−クロロ−5−チアゾリル、2−ブロモ−5−チアゾリルなどが用いられる。なかでも、R1bとしては、2−クロロ−5−チアゾリルが好適である。
【0017】
グアニジン誘導体(I)としては、特に、式
【化7】
で示される化合物が好ましく、なかでもE体である(E)-1-(2-クロロチアゾール-5-イルメチル)-3-メチル-2-ニトログアニジン(以下、化合物(II)と略記する)が好適である。
【0018】
上記グアニジン誘導体(I)の塩としては、例えば、塩酸,臭化水素酸,ヨウ化水素酸,リン酸,硫酸,過塩素酸などの無機酸、例えば、ギ酸,酢酸,酒石酸,リンゴ酸,クエン酸,シュウ酸,コハク酸,安息香酸,ピクリン酸,p−トルエンスルホン酸などの有機酸との農薬化学的に許容され得る塩などが用いられる。上記グアニジン誘導体(I)またはその塩は、自体公知あるいはそれに準じる方法、例えば、特開平2−28860号公報、特開平3−157308号公報などに記載の方法に従って製造することができる。特に、化合物(II)は、特開平3−157308号公報に記載の化合物No.19であり、特開平3−157308号公報の実施例3に準じて製造することができる。
【0019】
本発明の農薬粒剤に用いられるポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合物としては分子量500〜10000(好ましくは1000〜7000)のブロック共重合物(例、ニューポールPE−64(三洋化成(株)製)等)が好ましい。
ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンの重合比は1:15〜13:1(好ましくは1:9〜8:2)が好ましい。
【0020】
本発明の農薬粒剤において、組成物の適応範囲を広げるために更に1種または2種以上(好ましくは1種以上、3種以下)の他の農薬活性成分を含有することができる。他の農薬活性成分としては、常温で固体、液体を問わず、殺虫剤、殺菌剤などいずれの農薬活性成分であっても良い。これに該当する農薬活性成分の例を挙げると次の通りであるが、これらに限定されるものではない。
〔殺虫剤〕
1)カーバメート系殺虫剤:NAC、MTMC、MIPC、PHC、MPMC、XMC、ベンダイオカルブ、ピリミカルブ、メソミル、オキサミル、チオジカルブ等
2)ピレスロイド系殺虫剤:レスメトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、シフルトリン、フェンプロパトリン、シクロプロトリン、フルバリネート、フルシトリネート、シハロトリン、フェンバレレート、エトフェンプロックス等
3)ネライストキシン系殺虫剤:カルタップ塩酸塩、チオシクラム、ベンスルタップなどのネライストキシン誘導体等
4)昆虫成長制御剤:ジフルベンズロン、テフルベンズロン、クロルフルアズロン、ブプロフェジン等
5)殺ダニ剤:ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ピリダベン、クロフェンテジン等
6)その他:ニテンピラム、アクリナトリン、シラフルオフェン等
【0021】
〔殺菌剤〕ジラム、チウラム、キャプタン、TPN、フサライド、トルクロホスメチル、ホセチル、チオファネートメチル、ベノミル、カルベンダゾール、チアベンダゾール、ジエトフェンカルブ、イプロジオン、ビンクロゾリン、プロシミドン、フルオルイミド、オキシカルボキシン、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン、メタラキシル、オキサジキシル、トリアジメホン、ヘキサコナゾール、トリホリン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシンA、ミルディオマイシン、PCNB、ヒドロキシイソキサゾール、ダゾメット、ジメチリモール、ジクロメジン、トリアジン、フェリムゾン、プロベナゾール、イソプロチオラン、トリシクラゾール、ピロキロン、オキソリニック酸、イプロベンホス(IBP)、エジフェンホス(EDDP)、トルクロホスメチル、ピラゾホス、ホセチル等
上記した農薬活性成分の中でもネライストキシン誘導体が好ましく用いられる。
【0022】
本発明の粒剤には、さらに殺線虫剤、除草剤、植物ホルモン剤、植物発育調節剤、共力剤、誘引剤、忌避剤、色素、肥料などを配合し、混合使用することもできる。
本発明の粒剤には、その他、通常の農薬粒剤に用いられる添加剤を用いることができる。例えば、界面活性剤、結合剤、安定化剤、増量剤、防腐剤を自由に使用することができ、これらは使用される農薬活性成分の種類に応じて選択すればよい。
【0023】
本発明に用いられる界面活性剤としては、通常の非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤などがあり、これらの1種または2種類以上(好ましくは1種以上、3種以下)を用いてもよい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、高級脂肪酸アルカノールアマイドなどが用いられる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩などが用いられる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸重縮合物金属塩、アルケニルスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸金属塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホネート硫酸塩などの高分子系化合物、ポリスチレンスルホン酸Na塩、ポリカルボン酸金属塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム、高級アルコールスルホン酸塩、高級アルコールエーテルスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート、高級脂肪酸アルカリ金属塩などが用いられる。
上記の中でも非イオン性界面活性剤や陰イオン性界面活性剤が好ましい。特に、非イオン性界面活性剤としては、HLB値が9〜12の範囲のものが、水に対する溶解度や湿潤作用の点からみて好ましい。また、陰イオン性界面活性剤としては、ジアルキルスルホサクシネート、アルケニルスルホン酸塩を主成分とする界面活性剤が好ましい。より具体的には、ジアルキルスルホサクシネートを主成分とするニューカルゲンEP−70G(竹本油脂(株)製)などが用いられる。
【0024】
結合剤としては、水溶性結合剤などが好ましく用いられる。そのような水溶性結合剤としては、例えば、デキストリン、ポリビニルアルコール、アルファ化澱粉、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、グルコース、ショ糖、マンニトール、ソルビトールなどが用いられ、特にデキストリン、アルファ化澱粉などが好ましい。これらの水溶性結合剤を含有させることによって、本発明の粒剤は顆粒強度を高めることができる。
【0025】
安定化剤としては、例えば、エポキシ基を有する化合物または抗酸化剤、リン酸、PAP(イソプロピルアシッドフォスフェート)助剤等が挙げられる。
エポキシ基を有する化合物としては、エポキシ化植物油として、エポキシ化アマニ油、エポキシ化キリ油、エポキシ化エノ油等のエポキシ化乾性油、エポキシ化大豆油、エポキシ化綿実油、エポキシ化ゴマ油、エポキシ化ナタネ油等のエポキシ化半乾性油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化オリーブ油、エポキシ化ツバキ油、エポキシ化ラッカセイ油、エポキシ化ヤシ油等のエポキシ化不乾性油等が挙げられる。
抗酸化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル〕メタン(Irganox 1010)、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン(Ionox 330)、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、クエン酸イソプロピル等が挙げられる。
【0026】
増量剤としては、例えば、クレー類(例、微粉末クレー等)、タルク類(例、滑石粉、ロウ石粉等)、シリカ類(例、珪藻土粉、雲母粉等)などの鉱物性粉末、または炭酸カルシウム、硫黄粉末、尿素粉末などを1種または2種以上(好ましくは1種以上、3種以下)混合して用いることができる。また、これらに限定されるわけではなく、農薬製剤に使用される通常の増量剤は全て使用できる。
【0027】
防腐剤としては、例えば、ブチルパラベン、ソルビン酸カリなどが用いられる。
【0028】
本発明の農薬粒剤における農薬活性成分の含有量は、製剤全体に対して、通常約0.1〜90重量%、好ましくは約0.3〜50重量%、より好ましくは約0.3〜20重量%である。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合物は製剤全体に対して、通常約0.1〜10重量%、好ましくは約0.1〜5重量%、より好ましくは約0.1〜3重量%である。
界面活性剤は、製剤全体に対して、通常0.1〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%の範囲で用いられる。
結合剤は、製剤全体に対して、通常0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲で用いられる。
安定化剤は、製剤全体に対して、通常0.01〜50重量%、好ましくは0.05〜20重量%の範囲で用いられる。
増量剤は、製剤全体に対して、通常0.1〜99.9重量%、好ましくは0.1〜99重量%の範囲で用いられる。
防腐剤は、製剤全体に対して、通常0〜5重量%、好ましくは0〜3重量%の範囲で用いられる。
本発明の農薬粒剤がグアニジン誘導体(I)またはその塩の他に別の農薬活性成分(例、ネライストキシン誘導体)を含有する場合、該別の農薬活性成分は製剤全体に対して0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%の範囲で用いられる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の農薬粒剤は、通常の農薬粒剤の製造に用いられる湿式押出造粒法により製造することができる。湿式造粒法では、通常、100重量部の製剤固形分に対して通常約1〜30重量部の水を用いて押出造粒することにより製造する。より具体的には、農薬活性成分、界面活性剤、増量剤、結合剤等を混練機等によって均一に混合する。次いで、この混合物に適量の水を加え、さらに混練機で練る。この練合は、練合物が滑らかな粘りを生じ、後工程の押出造粒に適した程度まで行なう。そして、この練合物を通常の湿式押出造粒機で顆粒化後、乾燥、篩過して顆粒剤とする。
このようにして得られる本発明の農薬粒剤の嵩密度としては、通常約0.1〜1.5g/mlの範囲であるのが好ましく、特に約0.8〜1.2g/mlの範囲が好ましい。また、本発明の農薬粒剤の平均粒子径は0.5〜20mm、好ましくは0.8〜10mmである。
【0030】
本発明の農薬粒剤は、直接茎葉に散布する方法、植物の根元に処理する方法及び箱処理する方法など自体公知の方法によって、水田、畑地、芝地、果樹園あるいは非農耕地に散布される。
本発明の農薬粒剤の使用量は、含まれる農薬活性成分の種類、含量などによって異なるが、通常、10アールあたり約100〜5000g、好ましくは約200〜4000gである。
【0031】
以下、実施例、参考例及び試験例をあげて本発明を更に説明する。尚、ここにおいて用いられている部は、特に断りがない限り重量部を示す。
また、以下で用いた化合物(II):(E)−1−(2−クロロチアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジンは、特開平3-157308号公報の実施例に記載の方法(表4、化合物No.19)に従って製造されたものを用いた。
【0032】
〔実施例〕
(実施例1)
化合物(II) 0.5部
ニューポールPE−64 0.5
デキストリン 4.0
炭酸カルシウムを加えて100部とした。
上記の原料を乳鉢で十分混合した後、水道水5部を添加して練合した。その練合物を0.8mm径のスクリーンを用い、押出造粒機(菊水製作所,RG−5M)にて円柱状の顆粒に造粒した。得られた顆粒を60℃で1時間乾燥して化合物(II)0.5%を含む粒剤を得た。
【0033】
(実施例2)
化合物(II) 2.5部
ニューポールPE−64 0.5
アルファ化澱粉 3.0
炭酸カルシウムを加えて100部とした。
上記の原料を乳鉢で十分混合した後、実施例1と同様に操作して化合物(II)2.5%を含む粒剤を得た。
【0034】
(実施例3)
化合物(II) 2.5部
カルタップ塩酸塩 6.5
85%リン酸 2.0
ニューポールPE−64 0.5
アルファ化澱粉 3.5
微粉末クレーを加えて100部とした。
上記の原料を乳鉢で十分混合した後、実施例1と同様に操作して化合物(II)・カルタップ混合粒剤を得た。
【0035】
(実施例4)
化合物(II) 2.5部
ベンスルタップ 6.5
ニューポールPE−64 0.5
アルファ化澱粉 3.5
炭酸カルシウムを加えて100部とした。
上記の原料を乳鉢で十分混合した後、実施例1と同様に操作して化合物(II)・ベンスルタップ混合粒剤を得た。
【0036】
(実施例5)
化合物(II) 1.0部
ニューポールPE−64 0.5
デキストリン 4.0
炭酸カルシウムを加えて100部とした。
上記の原料を乳鉢で十分混合した後、水道水5部を添加して練合した。その練合物を1.2mm径のスクリーンを用い、押出造粒機(菊水製作所,RG−5M)にて円柱状の顆粒に造粒した。得られた顆粒を60℃で1時間乾燥して化合物(II)1.0%を含む粒剤を得た。
【0037】
(実施例6)
化合物(II) 1.0部
カルタップ塩酸塩 14.0
85%リン酸 2.0
ニューポールPE−64 0.5
アルファ化澱粉 3.5
微粉末クレーを加えて100部とした。
上記の原料を乳鉢で十分混合した後、実施例5と同様に操作して化合物(II)・カルタップ混合粒剤を得た。
【0038】
(実施例7)
化合物(II) 1.0部
ベンスルタップ 14.0
ニューポールPE−64 0.5
アルファ化澱粉 3.5
炭酸カルシウムを加えて100部とした。
上記の原料を乳鉢で十分混合した後、実施例5と同様に操作して化合物(II)・ベンスルタップ混合粒剤を得た。
【0039】
(実施例8)
化合物(II) 0.5部
アセフェート 5.0
ニューポールPE−64 1.0
エポキシ化大豆油 2.0
ポリビニルアルコール 2.0
炭酸カルシウムを加えて100部とした。
上記の原料を乳鉢で十分混合した後、実施例1と同様に操作して化合物(II)・アセフェート混合粒剤を得た。
【0040】
〔参考例〕
(参考例1)
実施例1のニューポールPE−64をジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.5部に変更し、実施例1と同様に操作して化合物(II)を0.5%含む粒剤を得た。
【0041】
(参考例2)
実施例2のニューポールPE−64をジオクチルスルホコハク酸ナトリウム0.5部に変更し、実施例1と同様に操作して化合物(II)を2.5%含む粒剤を得た。
【0042】
〔試験例〕
(試験例1)粉砕試験
磁製ボールミル(内径10cm、内深10cm)に500μmで篩った粒剤100gを入れ、次いで直径3cmの磁製玉3個を入れた。75rpmで15分間回転させた後、内容物を取り出し、再度500μmで篩った。篩を通過した微粉重量を測定し、微粉発生率を算出した。結果を表1に示す。
【0043】
(試験例2)薬害試験
育苗箱で栽培した稚苗に粒剤200mgを散布した後、水道水をじょうろを用いて適当量散布した。処理約3時間後に5〜6本になるように苗をかき取り、プラスチック製ポットに移植し、約30分後に水深が1cm程度となるように注水した。移植1、3及び7日後に下記の判定基準により分類評価した。それぞれの判定は、括弧内の数値を割り当てることで数値化した。結果を表2に示す。
− (0) 葉身に異常なし。
± (2) 葉先巻きが僅かにある。
+ (4) 葉先巻きが多く認められる。
++ (8) 葉先巻きが全体の1/2以上認められる。
+++ (12)針状に壊死した葉身が多く認められる。
数値は、イネ6株あたりの平均値を示す。
表1および表2から明らかなように、本発明の農薬粒剤は微粉発生率が低く、かつ薬害が小さいため、農薬製剤として有利に使用できる。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、微粉発生率が低く作業性に優れ、薬害が極めて小さい殺虫剤を提供する。
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