JP4166227B2 - 外装材用保持部材、及び横葺き外装構造 - Google Patents
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尤も日本国はそもそも毎年のように台風が上陸するため、建築物の屋根構造においては強風による負圧作用を想定した各種の対策が採られている。
また、外装材(建築用板A)の水上側成形部(下馳部3)は段状に成形され、このような構造は、特許文献1に限らず一般に外装材同士の接続部の雨仕舞を向上させる目的で多く採用され、面板部上を雨水等が吹き上げ風力により重力に逆らって水下側から水上側へ吹き上げられる際などに浸入防止効果を発揮する。
このような構造では、水上側成形部(下馳部3)と下地(下地部C)との間に隙間が形成され、外装材(建築用板A)の水上側成形部(下馳部3)は下地(下地部C)と折り曲げ部のみで接触する構造となっていた。
より詳しくは、前述のように水上側成形部(下馳部3)と下地(下地部C)との間に隙間が形成されてしまうため、この隙間の存在が水上側成形部(下馳部3)の回動を可能とし、その結果、水上側成形部(下馳部3)が保持部材(吊子B)から外れ、外装材(建築用板A)が飛散する恐れがあった。
また、上部保持部は、前述のように従来の保持部材の保持部に相当するものであって、外装材の水上側成形部の上端を上方から覆うように保持するものであれば、具体的に特にその形状を限定するものではない。この上部保持部は、より望ましくは、敷設状態において、下方へ向かって弾性(弾性回復力)が作用するように作製され、外装材の水上側成形部の上端を弾性的に保持することが望ましい。
さらに、固定部は、上記の下部保持部及び上部保持部の水上側に位置して下地に固定されるものであればよく、その固定手段も例えばボルトやビス等に限らず、どのように固定されてもよい。
しかも上部保持部は外装材の水上側成形部の上端を保持し、下部保持部は水上側成形部の裏面を保持するので、上下の保持部にて水上側成形部をくわえ込むように保持する状態となり、強固に且つ安定に外装材を保持することができる。
尚、図面では、各態様の保持部材を1A〜1C、各態様の外装材を2A〜2Bと表したが、総括的な説明に際しては保持部材1、外装材2と示す。
図示実施例の上部保持部12は、具体的には前記固定部11の水下側を略垂直状に立ち上げると共に水下側上方へ傾斜させ、その上端を水下側下方へ折り返した形状である。
図示実施例の下部保持部13は、具体的には前記固定部11の水下側を略水平状に延在させる(第2支持片133)と共にやや下方へ傾斜させ(第1支持片132)、さらにその軒端を略垂下状に折り下げ(縦片)ると共にその下端を軒側へ折曲(底片)して段差部131とした形状である。尚、この下部保持部13は、図1(a)では成形時の状態を実線で示し、敷設時の配設状態を点線で示し、図1(c)では敷設時の配設状態を実線で示し、成形時の状態を点線で示している。
水上側成形部23は、面板部21の水上側の端縁を表面側に段差状(段部231)に折曲すると共に、水上側へ延在(延在片232)させ、その先端(被係合部234)を上方へ屈曲(上向き折曲片235)させ、さらにその上端を水下側に屈曲状に折り返した被保持部236を設け、さらにその下端を水上側上方へ跳ね上げ状に屈曲(案内片237)させた形状である。尚、延在片232の途中には、下り段差状の被支持部233を設けた。
水下側成形部22は、面板部21の水下側の端縁を裏面側に折曲(下向き折曲片221)し、その下端を水上側に延出(延出片222)させ、その先端(係合部224)を下方へ屈曲させた屈曲片225を有する構成である。尚、延出片222の途中には、段状部分223を設けた。
そして、水下側成形部22及び水上側成形部23が敷設状態においてハッチングで示した4箇所にて弾性的に当接するようにした。
(1)図面上、上部のハッチング部では、水上側成形部23の案内片237と、水下側成形部22の段状部分223とが、敷設状態において弾性的に当接している。
尚、この案内片237と段状部分223との弾性的当接は、それぞれが相手側に弾性的に付勢するように調整しても良いし、何れか一方のみを調整するようにしてもよく、弾性的に付勢させるための構成についても、外装材2の各部位の折曲又は屈曲部分の角度調整やその組み合わせによってどのように弾性的に付勢させて当接させるようにしてもよい。
尚、この屈曲片225と延在片232との弾性的当接は、屈曲片225の拡開角度が敷設状態における屈曲片225の拡開角度よりも大きく成形され、水上側成形部23の被係合部234を水下側成形部22の係合部224に係合させて位置を規制することにより、位置規制された屈曲片225の当接箇所に弾性反発力が常時作用する。
また、延在片232には被支持部233が設けられているが、この被支持部233の表面側に屈曲片225の先端が当接するため、水下側成形部22の水下側への滑りを防止して安定に保持させることができる。
尚、この延出片222と段部231との弾性的当接は、それぞれが相手側に弾性的に付勢するように調整しても良いし、何れか一方のみを調整するようにしてもよく、弾性的に付勢させるための構成についても、外装材2Aの各部位の折曲又は屈曲部分の角度調整やその組み合わせによってどのように弾性的に付勢させて当接させるようにしてもよい。
この係合部224の外幅は、敷設状態における被係合部234の内幅よりも大きく成形され、敷設状態では被係合部234との弾性的な当接により、押し狭められるように敷設されているので、当接箇所に弾性反発力が常時作用する。
特にこのように複数箇所でそれぞれが弾性的に当接するようにすることで、前記水上側成形部23が外れない効果、負圧荷重に対する耐久性がより一層高くなり、施工性にも優れるものとなる。
図3(a)は、負圧がかからない状態を示す。
図3(b)は、負圧(図中、矢印で示す)がかかった状態を示すものであって、面板部21が持ち上げられる力が作用すると共に水上側成形部23を水下側へ引っ張る力が作用する。しかし、本発明の横葺き外装構造では、保持部材1Aの下部保持部13に、外装材2Aの水上側成形部23(延在片232及び被支持部233)の裏面が当接又は近接し、水上側成形部23の裏面に隙間が形成されないため、水上側成形部23が回動できない。そのため、台風等の強風による吹き上げ等の負圧荷重が作用しても、水上側成形部23が保持部材3Aから外れることがない。
また、図示実施例の水上側成形部23は、下部保持部13と上部保持部12によってくわえ込むように保持されているので、この状態は負圧作用時にも当然のことながら維持され、水上側成形部23の取付安定性がより高いものとなり、負圧荷重に対する耐久性もより一層高いものとなる。
さらに、図示実施例の水上側成形部23には、下部保持部13に弾性的に当接する被支持部233が設けられているので、この被支持部233がくわえ込むように保持される部分の下顎部分になり、しかもそれが弾性により広がろうとするため、前述のくわえ込むような保持効果がより安定に作用されるものとなる。しかも、この被支持部233の下部保持部13への当接圧力は、図示するようにむしろ負圧がかかった状態の方が負圧がかからない状態に比べて強く(高く)なるため、水上側成形部23の取付安定性がより高いものとなる。
この保持部材1Bも、前記保持部材1Aと同様に、一枚のピース状の金属矩形片に、部分的な切込加工や屈曲加工を施して形成したものであるが、前記保持部材1Aとは異なり、略水平状の水上側部分14の水下側が上り傾斜状に屈曲され、この傾斜状部分が水下端からの切り込みにより三片に分割され、中央片が上部保持部12となり、両側片が下部保持部13,13となる構成である。
図示実施例の下部保持部13は、具体的には前記傾斜状部分を延在させる(第2支持片133)と共にその水下端を略水平状に屈曲させ(第1支持片132)、さらにその軒端を略垂下状に折り下げ(縦片)ると共にその下端を軒側へ折曲(底片)して段差部131とした形状である。
外装材2Bは、図4(b)に用いた外装材2Aでは垂直だった水下側成形部22の下向き折曲片221が傾斜状であり、段部231が相対的に軒側であり、延在片232が相対的に長い。
上述の効果以外にも、上下の保持部12,13にて水上側成形部23をくわえ込むように保持する状態となり、強固に且つ安定に外装材2Aを保持するという効果も、下部保持部13に弾性的に当接する被支持部233が、くわえ込むように保持される部分の下顎部分になり、前述のくわえ込むような保持効果がより安定に作用されるという効果も同様である。
尚、図中、符号15は補強凸部である。
11 固定部
12 上部保持部
13 下部保持部
2,2A,2B (横葺き)外装材
22 水下側成形部
23 水上側成形部
3 下地
Claims (4)
- 横葺き外装材の水上側成形部の上端を保持する上部保持部と、水上側成形部の裏面に当接又は近接する下部保持部と、それらの水上側に位置して下地に固定される固定部とを備え、前記上部保持部は、敷設状態において、下方へ向かって弾性が作用して外装材の水上側成形部の上端を弾性的に保持することを特徴とする外装材用保持部材。
- 下部保持部は、敷設状態において、下地に弾性的に当接していることを特徴とする請求項1に記載の外装材用保持部材。
- 面板部の水下・水上側に相互に係合可能な水下側成形部、水上側成形部を有する横葺き外装材を請求項1又は2に記載の外装材用保持部材を用いて敷設する横葺き外装構造において、
外装材用保持部材は、上部保持部が横葺き外装材の水上側成形部の上端を保持し、下部保持部が水上側成形部の裏面に当接又は近接するよう下地に固定したことを特徴とする横葺き外装構造。 - 水上側成形部に、敷設状態において、外装材用保持部材の下部保持部に弾性的に当接する被支持部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の横葺き外装構造。
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