JP4165864B2 - キーシートおよびその樹脂キートップとキーパッドの分離方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話、携帯情報端末、各種家電製品用リモコン、カードリモコンおよび各種キーボードなどの電気機器に備えるキーシート(キートップ付きキーパッド)に関し、特にキーシートを構成する樹脂キートップとキーパッドとを分離する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ここ数年、携帯電話等の端末の需要は急激に拡大し、それとともに押釦スイッチのデザインバリエーションが多くなってきたが、特許第2627692号公報(特許文献1)に記載されているように、樹脂キートップとキーパッドとが別体に成形され、これらを接着剤で貼り合わせた押釦スイッチ用のキーシートが、機能的にもデザイン的にも優れることから携帯電話だけでなく様々な電気機器におけるその入力操作部材として多用されている。そして、このキーシートを構成するキーパッドには、耐寒性、耐熱性、耐候性、精密成形性、電気絶縁性などのメリットが豊富なシリコーンゴムが主に用いられている。
【0003】
【特許文献1】
特許第2627692号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シリコーンゴムは架橋された高分子であり容易にリサイクルができないため、近年、地球環境がますます重要視される時代にあって、リサイクルし難いという点は大きな問題点となりつつある。
【0005】
一方、シリコーンゴムの代わりに熱可塑性エラストマーをキーパッド用材料として用いれば、リサイクルの点においては極めて有効である。しかし熱可塑性エラストマーからなるキーパッドも別体に成形された樹脂キートップと結合したままリサイクルしたのではリサイクル製品の品質低下を起こすため、これらを分離分別する必要がある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、リサイクルのために樹脂キートップとキーパッドを容易に分離分別することができる分離方法を提供することを目的としている。
【0007】
また、本発明は、容易にリサイクルでき、リサイクル製品用の高品質の材料となるキーシートを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成すべく本発明は、キーシートに、そのキーパッドに対する膨潤特異性をもつ有機溶剤を含浸させ、キーパッドを膨潤させることを技術的思想の主旨としている。このキーパッドの「膨潤」によってキーパッドの体積が増大し、樹脂キートップとの固着界面に多大な剥離応力が作用することで樹脂キートップとキーパッドを分離させることができるようになり、それぞれ不純物の少ない高品質のリサイクル資源としての利用が可能となるのである。
【0009】
即ち、本発明は、樹脂キートップをゴム状弾性体でなるキーパッドに固着したキーシートに、該キーパッドに対する膨潤特異性をもつ有機溶剤を含浸して該キーパッドを膨潤させて樹脂キートップとキーパッドを分離する方法を提供するものである。
【0010】
また本発明は、樹脂キートップをゴム状弾性体でなるキーパッドに固着したキーシートにおいて、キーパッドが該キーパッドに対する膨潤特異性をもつ有機溶剤の含浸により膨潤し樹脂キートップと分離する熱可塑性エラストマーでなることを特徴とするキーシートを提供するものである。
【0011】
キーパッドの「膨潤」による分離は、「キーパッドに対する膨潤特異性をもつ有機溶剤」によりなされるものであり、この知見は本発明者が繰り返し行った実験を通じて経験的に得られたものである。そして、この結果得た本発明の分離方法とキーシートのより具体的な構成は、第1に、キーパッドをなす熱可塑性エラストマーをスチレン系熱可塑性エラストマーとし、このキーパッドに膨潤特異性を示す有機溶剤を炭素数が6以上15以下の炭化水素系有機溶剤としたことである。そして、第2に、キーパッドをなす熱可塑性エラストマーをエステル系熱可塑性エラストマー又はウレタン系熱可塑性エラストマーより選択される少なくとも一種の熱可塑性エラストマーとし、このキーパッドに膨潤特異性を示す有機溶剤をアルコール系又は炭素数が6以上15以下の炭化水素系有機溶剤より選択される少なくとも一種の有機溶剤としたことである。
【0012】
このキーパッドを構成する熱可塑性エラストマーと有機溶剤との組合せによれば、該熱可塑性エラストマーを溶解させることなく膨潤させ樹脂キートップと分離させることができる。そして該熱可塑性エラストマーをリサイクルすることができ、リサイクル製品用の原料として再利用することができる。
【0013】
加えて、上記のようなキーパッドの膨潤による分離は、2wt%以上の重量増加をキーパッドにもたらす膨潤特異性を持つ有機溶剤を用いて行うことが好ましい。キーパッドが2wt%以上の重量増加を起こせば、キーパッドが固着している面に多大な剥離応力が作用するため樹脂キートップと容易に分離することができる。
【0014】
また本発明は、樹脂キートップが、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂である樹脂キートップとキーパッドを分離する方法、およびそのキーシートを提供するものである。
【0015】
樹脂キートップが、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂であるため、樹脂キートップとキーパッドを分離すれば樹脂キートップもリサイクルされてリサイクル製品用原料とすることができる。
【0016】
さらに本発明は、樹脂キートップとキーパッドを反応硬化性樹脂でなる接着剤で固着してあるキーシートから樹脂キートップとキーパッドを分離する方法、およびそのキーシートを提供するものである。
【0017】
この分離方法およびそのキーシートによれば、接着剤が有機溶剤に溶解しないため、有機溶剤を何度も繰り返し使用でき、有機溶剤の処理も含めたリサイクル処理が簡単で低コストで行うことができる。また、接着剤も樹脂キートップとキーパッドから分離することができ、不純物の混入が少ないリサイクル用原料となる。
【0018】
この反応硬化性樹脂でなる接着剤の具体的な構成は、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノ系樹脂、アクリル系樹脂、又は架橋性シアノアクリレート系樹脂より選択される少なくとも一種の反応硬化性樹脂からなる接着剤である。これらの接着剤を用いれば、樹脂キートップとキーパッドの接着力が強く、また簡単に硬化させることができる。そして、接着剤が反応硬化性樹脂からなるため、有機溶剤に膨潤することはあっても溶解せず、接着剤を容易に分離し、有機溶剤から接着剤を取り除くことが可能である。そして不純物としての接着剤を含まない高品質のリサイクル製品用原料を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を実施形態に即して詳細に説明する。
【0020】
1.キーシートの構成: まず、本発明に用いることのできるキーシートの例についてその部分拡大断面を図1〜図4に示す。図1に示したキーシート1は、熱可塑性樹脂を成形して得た樹脂キートップ2と、所定の有機溶剤にて膨潤する熱可塑性エラストマーからなる可撓性のキーパッド3を有し、樹脂キートップ2とキーパッド3は、反応硬化性樹脂製の接着剤4からなる接着層を介して固着されている。樹脂キートップ2の表面には、キーシート1のデザイン性を高めるためクロムめっき層5が形成されている。
【0021】
図2に示したキーシート6は、キーパッド3のキートップ接着部3aが接着剤を介さずに樹脂キートップ2に直接固着されている。
【0022】
図3に示したキーシート7は、キーパッド2の裏面に文字や記号、模様等を印刷した図柄表示層8が形成されており、接着剤4を介して樹脂キートップ2とキーパッド3のキートップ接着部3aが固着されている。
【0023】
図4に示したキーシート10は、表面に文字印刷層11とオーバーコート層となる紫外線硬化性樹脂層12が形成された樹脂キートップ2が、キーパッド3のキートップ接着部3aと接着剤4を介して固着されている。
【0024】
なお、これらのキーシート1,6,7,10の構成は例示であり、所定の樹脂キートップと所定のキーパッドとを固着してなるキーシートを用いることができる。また、図3に示したキーシート7は、図柄表示層8が熱可塑性樹脂を主成分として形成され、樹脂キートップ2とキーパッド3の界面に熱可塑性樹脂層を有することになる。また、図1のキーシート1や図4のキーシート10は、樹脂キートップ2とキーパッド3の間に接着剤4からなる接着層を有している。しかしこれらの何れの場合でも樹脂キートップ2とキーパッド3が固着されているという概念に含めるものとする。
【0025】
2.キーシートを形成する各部の説明: 次に、本発明に用いることのできるキーシート1,6,7,10を形成する各部について説明する。
【0026】
キーパッド: キーパッド3は、有機溶剤に膨潤する熱可塑性エラストマーからなるものである。そしてこの熱可塑性エラストマーからなるキーパッド3は有機溶剤に膨潤することが必要であるが、重量増加率で2wt%以上の膨潤を起こすことが好ましいと考えられる。膨潤による2wt%以上という重量増加は、後述する本発明の実施例を通じて経験的に得られた分離可能な“膨潤”の程度を示す一つの目安であるが、樹脂キートップ2とキーパッド3さらに接着剤4は、それぞれ種々な材料を選択的に利用することができるため、組み合わせによっては、重量増加が2wt%未満であっても分離可能な“膨潤”を示す熱可塑性エラストマーもあり得る。つまり、本発明でいう“膨潤”は、熱可塑性エラストマーからなるキーパッド3が有機溶剤を含んで体積が増大し、固着界面に応力が加わることで、人手、機械的な手段、あるいは放置の少なくともいずれかによって、樹脂キートップ2とキーパッド3を容易に分離分別できるような状態を意味するものである。
【0027】
熱可塑性エラストマーとしては、ゴム状弾性を有するものであり、例えば、スチレン系、エステル系、ウレタン系、オレフィン系、アミド系、ブタジエン系、エチレン−酢酸ビニル系、塩化ビニル系、フッ素ゴム系、イソプレン系、塩素化ポリエチレン系等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。この中でも特に、SBS、SISもしくは水素添加されてなるSEBS等の構造を有するスチレン系、多価長鎖アルキルアルコールやカルボン酸によって構成されているエステル系やウレタン系の熱可塑性エラストマーが、特定の有機溶剤に対して膨潤しやすい性質を有するため好ましい。なお、本発明においてキーパッド3に用いられる熱可塑性エラストマーには、熱可塑性エラストマーの製造段階で含まれる添加剤等の他、キーパッド3に加工する工程によって含まれる種々の添加剤等が含有されていてもよいものとする。
【0028】
熱可塑性エラストマーに透光性のものを用いれば、キーシート1,6,7,10の裏面側(キーパッド3側)より光を当てて、樹脂キートップ2に形成された図柄を照光させることができるし、接着剤4に光硬化性樹脂を用いていれば簡単に硬化接着できるから生産性を上げる点でも好ましい。光硬化性樹脂からなる接着剤4を硬化させる場合は、キーパッド3の少なくとも光反応硬化性樹脂が塗布されている部位が、光反応硬化性樹脂が硬化する200nm〜780nmの範囲の波長の光を透過する程度の透光性を有する必要がある。透光性の熱可塑性エラストマーとしては、紫外光から可視光の領域の光を透過すればよく、例えば、スチレン系、エステル系、ウレタン系等の熱可塑性エラストマーが挙げられるが、透明性を有し低硬度であることや有機溶剤にて膨潤し、樹脂キートップ2と分離し易いことからスチレン系の熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0029】
キーパッド3には種々の装飾を施すことができる。例えば着色したり、文字・数字・記号・絵柄等を形成した図柄を施すことができる。また、透光性の材料からなるキーパッド3に遮光部を設けて文字・数字・記号・絵柄等をくり抜いた図柄などを形成することができる。
【0030】
本発明で用いられるキーパッド3は、金型より成形して製造することができる。例えば、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形等によって加熱溶融させた熱可塑性エラストマーを、所望のキーパッド3の形状の金型に充填し固化させてキーパッド3を得ることができる。
【0031】
樹脂キートップ: 樹脂キートップ2は熱可塑性樹脂からなる。この熱可塑性樹脂には、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系共重合樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン系樹脂等の樹脂、又はスチレン系、エステル系、ウレタン系、オレフィン系、アミド系、ブタジエン系、エチレン−酢酸ビニル系、塩化ビニル系、フッ素ゴム系、イソプレン系、塩素化ポリエチレン系等の熱可塑性エラストマーを用いることができる。熱可塑性樹脂の有する色調、弾性率についても種々のものを用いることができる。これらの樹脂の中では、リサクル性が高くリサイクル製品用原料として有効に再利用できるものが好ましく、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂が好ましい熱可塑性樹脂として挙げられる。また、本発明において樹脂キートップ2に用いられる熱可塑性樹脂には、熱可塑性樹脂の製造段階で含まれる添加剤等の他、樹脂キートップ2に加工する工程によって含まれる種々の添加剤等が含有されていてもよいものとする。
【0032】
樹脂キートップ2は、各々のキーに関する情報を表示している部分であると共に、製品の表面に位置しデザイン的にも重要視される部分であるため、樹脂キートップ2の表面又は裏面に種々の装飾が施されていても良い。例えば、樹脂キートップ2の表面や裏面に着色したり、文字・数字・記号・絵柄等を形成した図柄を施すことができる。また、遮光部を設けて文字・数字・記号・絵柄等をくり抜いた図柄が形成されていても良い。さらに、樹脂キートップ2の表面や樹脂キートップ2表面に形成された文字等を保護するためのコーティング層(オーバーコート層)を設けてもよい。
【0033】
樹脂キートップ2の表面や樹脂キートップ2のキーパッド3との接着面の形状は平坦であるものが一般的ではあるが、被接着体との位置決め用の凹凸が成形されていても良いし、軽量化、あるいは成型性の向上のため樹脂キートップ2の内部が薄肉化、空洞化されていてもよく、樹脂キートップ2の表面やキーパッド3との接着面の形状は平坦でなくともよい。また、樹脂キートップ2の表面及び接着面がメッキ、蒸着、スパッタリング等によって加飾されていてもよい。このように、種々の機能、デザイン等を付加する点から、樹脂キートップ2は複数の部材で構成されていてもよいが、少なくとも基材部分が熱可塑性樹脂であることが必要である。
【0034】
樹脂キートップ2を照光させる場合や、樹脂キートップ2裏面に形成した図柄を樹脂キートップ2を通して視認できるような特徴を持たせる場合、さらにはその図柄を照光させる場合のような照光式とする場合には、樹脂キートップ2の材質は透光性とする必要がある。なお、透光性には、半透光性も含むものとする。ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系共重合樹脂、透光性のアクリロニトリルブタジエンスチレン等は透光性でありデザイン的に特に自由度が高い点で好ましい。接着剤4に光硬化性樹脂を用いる場合に、キーシート1,7,10の表側(樹脂キートップ2側)より光を照射してもよく、その場合は樹脂キートップ2の少なくとも光反応硬化性樹脂が塗布されている部位が、光反応硬化性樹脂が硬化する200nm〜780nmの範囲の波長の光を透過する程度の透光性である必要がある。
【0035】
樹脂キートップ2は、金型成形あるいは切削加工により成形し製造することができる。例えば、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形、回転成形などによって加熱溶融させた樹脂あるいは液状の未硬化樹脂を所望の樹脂キートップ2の形状の金型に充填し、固化させて製造することができる。切削加工の場合の切削方法も特に限定されるものではない。
【0036】
接着剤: 樹脂キートップ2とキーパッド3を固着する接着剤4を用いる場合には、反応硬化性樹脂が使用される。接着剤4に反応硬化性樹脂を用いる理由は、反応して三次元網目構造を形成する架橋性であることが必要だからである。熱可塑性樹脂は架橋が行なわれないため、三次元網目構造を形成せず、有機溶剤に溶解するおそれがあるため適当ではない。そして、有機溶剤に溶解してしまうと、有機溶剤中に溶解した樹脂を分離することが必要となり、有機溶剤の再利用が困難となり余分な処理が必要となる。一方、接着剤4が反応硬化性樹脂ならば架橋による三次元網目構造を有するため、有機溶剤に膨潤することはあっても溶解することはない。従って、有機溶剤から反応硬化性樹脂を簡単に取り除くことができる。
【0037】
本発明において接着剤4として用いられる反応硬化性樹脂における“反応”は、光反応であっても、熱反応であってもよく、例えば、ラジカル重合系反応、カチオン重合系反応、アニオン重合系反応、付加反応、縮合反応などが挙げられる。反応硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノ系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、若しくはエポキシアクリレート系等のアクリル系樹脂、又は架橋性シアノアクリレート系樹脂等が挙げられる。本発明に用いられる接着剤4となる反応硬化性樹脂には、反応硬化性樹脂の製造段階で含まれる添加剤等を含有していてもよいものとし、本発明で用いられる接着剤4には、反応性希釈剤が添加されていてもよく、充填剤、酸化劣化防止剤、消泡剤等が含まれていてもよい。
【0038】
これらの反応硬化性樹脂は、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、加圧加湿硬化型等の硬化形態で用いることができる。
【0039】
熱硬化型の反応硬化性樹脂は、接着工程を短縮化できる観点から好ましい。熱硬化型の反応硬化性樹脂としては、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノ系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、若しくはエポキシアクリレート系等のアクリル系樹脂、又は架橋性シアノアクリレート系樹脂等が挙げられる。
【0040】
加圧加湿硬化型や光硬化型の反応硬化性樹脂ならば、低温速硬化が可能であり、接着が秒単位で行なえ、接着工程を短縮することができる点、そして、加熱の必要が無いため、アクリロニトリルブタジエンスチレンに代表されるような軟化点の低い樹脂を樹脂キートップ2として使用することが容易であるし、同様にスチレン系に代表されるような比較的耐熱性の低い熱可塑性エラストマーをキーパッド3として使用することができる点で好ましい。加圧加湿硬化型の反応硬化性樹脂としては、シアノアクリレート系樹脂、光硬化型の反応硬化性樹脂としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。
【0041】
樹脂キートップ2を照光式とする場合には、接着剤4には透光性の反応硬化性樹脂を採用する必要がある。透光性の反応硬化性樹脂としては、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノ系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、若しくはエポキシアクリレート系等のアクリル系樹脂、又は架橋性シアノアクリレート系樹脂等が挙げられる。
【0042】
以上、キーパッド3、樹脂キートップ2及び接着剤4について説明したが、特に、キーパッド3の材料として透光性のスチレン系、エステル系、又はウレタン系の熱可塑性エラストマーを用い、反応硬化性樹脂として光反応硬化性のウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノ系樹脂、アクリル系樹脂、又は架橋性シアノアクリレート系樹脂を用い、樹脂キートップ2の材料として、ポリカーボネート系、アクリル系、スチレン系、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン系の熱可塑性樹脂を用いた構成とすると、デザイン的にバリエーションが高く、照光式、非照光式を自由に選択でき、それでいて生産性、作業性が高く、また、キーパッド3と樹脂キートップ2とを容易に分離でき、しかも分離した部材のリサイクルが容易であり好ましい。
【0043】
3.キーシートの製造方法: 本発明で用いられるキーシート1,6,7,10は、それぞれ別体に形成された熱可塑性樹脂からなる樹脂キートップ2と、熱可塑性エラストマーからなるキーパッド3とを固着して製造する。
【0044】
樹脂キートップ2とキーパッド3を接着剤4により固着する場合は、キーパッド3と樹脂キートップ2の接合部分に接着剤4を塗布することにより行う。接着剤4の塗布は、スクリーン印刷方式、ディスペンサー方式、ポッティング方式、パッド印刷方式、スプレー方式、転写方式等の種々の方式を用いることができる。接着剤4を塗布した後、樹脂キートップ2とキーパッド3を所定の位置で結合する。
【0045】
樹脂キートップ2の接着の際の位置決めには、キーパッド3と樹脂キートップ2のどちらか、または両方に位置決めのための凹凸形状を設けても良いし、外部からキーパッド3と樹脂キートップ2とを抱えるような治具を用いても良い。
【0046】
樹脂キートップ2とキーパッド3を接着剤4を介さず直接固着する場合は、例えば、キーパッド3とは別体に成形した樹脂キートップ2をキーパッド3成形用金型にインサートし、キーパッド3の成形と同時に樹脂キートップ2とキーパッド3を固着して一体化する。これにはインサート成形、二色成形等を利用することができる。樹脂キートップ2とキーパッド3の固着性に乏しい場合は、種々の相溶化剤や改質剤などをキーパッド3の熱可塑性エラストマーに添加して固着力を高めることができる。
【0047】
また、接着剤4を用いる場合でも、用いない場合でも、キーパッド3が接着性に乏しい場合には、短波長紫外線の照射処理、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、あるいはプライマー処理の少なくとも一種の方法でキーパッド3表面を表面改質することで、接着力を高めることができる。この表面改質により、樹脂キートップ2をキーパッド3により強固に固着できる。
【0048】
ここで、短波長紫外線の照射処理とは、キーパッド3の表面に短波長紫外線を一定の照度で、一定の積算光量照射して表面改質するものである。一例として、水銀が10−1mmHg程度の圧力で封入された水銀灯より184.9nmと253.7nmの放射線を照射し酸素存在下でオゾンを生成させる。そのオゾンによって被処理体表面を酸化してカルボキシル基等の活性基を生成させることにより、印刷インキや塗料などの付着性、親和性を向上させることができる。コロナ放電処理とは、大気中で電極間に高電圧をかけて絶縁破壊を起こして放電させ、その間にキーパッド3の表面等の被処理体を通すことで、表層にあるポリマーを酸化させ表面に活性基を導入させるものである。火炎処理とは、強い酸化炎中にキーパッド3の表面等の被処理体を通して、コロナ処理と同様に、表層にあるポリマーを酸化させ表面に活性基を導入させる効果をもたらすものである。プラズマ処理とは、低圧の不活性ガスや酸素、ハロゲンガスなどの中でグロー放電を起こすことで、気体分子をイオン化しプラズマを発生させ、その化学活性を利用してキーパッド3の表面を活性化させるものである。
【0049】
より強固な接着力を得るためには、これらの表面改質の後にシラン系やチタン系、アルミニウム系の種々カップリング剤を用いてさらに表面処理しても良い。
【0050】
接着剤4を用いた場合は、樹脂キートップ2とキーパッド3を貼り合わせた後、この接着剤4を硬化させる。接着剤4を硬化させる方法は、接着剤4に用いられる反応硬化性樹脂の種類に応じて選択された方法を用い、例えば、紫外線照射、加熱、加湿、加圧等を行う。一例として、反応硬化性樹脂に架橋性シアノアクリレート系樹脂を用いた場合は、加圧、加熱、加湿することで接着、硬化させることができる。
【0051】
4.キーシートの分離方法: 本発明で用いるキーシート1,6,7,10は、樹脂キートップ2が熱可塑性樹脂からなり、キーパッド3が熱可塑性エラストマーからなるため、キーシート1,6,7,10の大部分が熱可塑性の物質である。従って、少量の不純物が含まれていても許容されるような製品の材料として用いるならば、この熱可塑性の物質を溶解する有機溶剤を使用したり、キーシート1,6,7,10のまま熱溶融させたりして、そのままリサイクルすることが可能である。しかし、樹脂キートップ2とキーパッド3を一緒にリサイクルしては、樹脂キートップ2を構成する熱可塑性樹脂と、キーパッド3を構成する熱可塑性エラストマーが混合してしまうため、リサイクル製品の品質低下をもたらす。したがって、樹脂キートップ2とキーパッド3を分離して別個にリサイクルする必要がある。特に、近年需要が拡大している携帯電話や、各種家電用リモコンに採用される押釦用の樹脂キートップ2又はキーパッド3用の高品質の材料とするためには、原料中に少量の不純物が混入していても問題となるため、このような製品の材料として使うためには、少しでも不純物が少ない方が好ましい。従って、樹脂キートップ2とキーパッド3に加えてさらに接着剤4をも分離、分別してリサイクルすることが望まれる。
【0052】
キーシート1,6,7,10から樹脂キートップ2とキーパッド3を分離させるためには、熱可塑性エラストマーからなるキーパッド3を膨潤させる有機溶剤を使用する。例えば、キーシート1,6,7,10を所定の有機溶剤の入った容器に所定時間浸漬するとキーパッド3が膨潤し、この状態でキーシート1,6,7,10を浸漬している有機溶剤を攪拌する。すると、接着剤4を含む構成の場合は、キーパッド3と接着剤4の面もしくは樹脂キートップ2と接着剤4の面、又はその両方の面がはがれ、接着剤4を含まない構成の場合は、キーパッド3と樹脂キートップ2の面が剥がれる。いずれにしても、キーシート1,6,7,10から樹脂キートップ2とキーパッド3を分離することができる。
【0053】
熱可塑性エラストマーからなるキーパッド3が有機溶剤に膨潤することによって、樹脂キートップ2とキーパッド3が分離する機構は定かではないが、膨潤することによってキーパッド3の体積が膨張し、固着界面に応力がかかること、界面に有機溶剤が浸透していくことによって、固着力を構成する分子間力結合や水素結合などが崩れてしまうこと、などがその理由として考えられる。特にキーパッド3が重量増加を起こして、キーパッド3の被着体である接着剤4や樹脂キートップ2に対する相対的な体積増加が大であれば容易にキーパッド3の分離を起こすと考えられる。
【0054】
樹脂キートップ2とキーパッド3が分離したならば、これらを樹脂キートップ2は通過させるが、キーパッド3は通過させない程度の開口部を持つ網で濾過することで、樹脂キートップ2とキーパッド3を分別することができる。なお、接着剤4は、キーパッド3側に付着している場合、樹脂キートップ2側に付着している場合、樹脂キートップ2、キーパッド3の何れからも分離している場合があるが、接着剤4が樹脂キートップ2又はキーパッド3に付着している場合は、有機溶剤を変えるなどして付着している樹脂キートップ2又はキーパッド3から分離させることができる。その後、樹脂キートップ2、キーパッド3をそれぞれ有機溶剤から取り出す。接着剤4を有する場合は有機溶剤と一緒に接着剤も除去する。このようにして、樹脂キートップ2、キーパッド3、接着剤4をそれぞれ、分離、分別できる。その後、樹脂キートップ2とキーパッド3を乾燥させ、各々が溶解する有機溶剤に溶解させるか、加熱溶融することにより、それぞれの部材ごとにリサイクルすることができる。
【0055】
樹脂キートップ2とキーパッド3の分離は、有機溶剤中に浸漬し攪拌翼により攪拌する方法のほか、超音波振動、ジェット気泡水流を用いた方法を採ることにより行うこともできる。また、有機溶剤をキーシート1,6,7,10に噴霧したり、有機溶剤雰囲気中にキーシート1,6,7,10を置くことにより、熱可塑性エラストマーからなるキーパッド3を膨潤、分離させることも可能である。また、加熱、攪拌は効果的であるが、攪拌しなくても自然に樹脂キートップ2とキーパッド3を分離できる場合もある。
【0056】
熱可塑性エラストマーからなるキーパッド3を膨潤する有機溶剤としては、例えば、炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系、塩素系、アルコール系等の有機溶剤や、トリメチルシラノール等のシラン系化合物からなる有機溶剤が挙げられる。炭化水素系有機溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の有機溶剤が挙げられる。ケトン系有機溶剤としては、ジメチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の有機溶剤が挙げられる。エステル系有機溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等の有機溶剤が挙げられる。エーテル系有機溶剤としては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル等の有機溶剤が挙げられる。塩素系有機溶剤としては、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン等の有機溶剤が挙げられる。アルコール系有機溶剤としては、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等の有機溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤以外であっても、熱可塑性エラストマーを膨潤させる有機溶剤であればよい。また、有機溶剤は単独で、又は混合して用いることができる。さらに、実用的には種々の用途に応じた添加剤や不純物等が含まれた溶剤を用いることもできる。
【0057】
スチレン系熱可塑性エラストマーからなるキーパッド3に対しては、上記有機溶剤の中でも炭素数6以上15以下の炭化水素系有機溶剤がキーパッド3に対する膨潤特異性を示す有機溶剤であり好ましい。これらの炭化水素系有機溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカンなどが挙げられる。炭素数が6未満の炭化水素系有機溶剤は、接着剤4も膨潤し易くキーパッド3と接着剤4が分離し難くなり、炭素数が15を超える炭化水素は、スチレン系熱可塑性エラストマーからなるキーパッド3を膨潤させないか、膨潤させても程度が小さく好ましいのもではない。
【0058】
エステル系やウレタン系の熱可塑性エラストマーからなるキーパッド3に対しては、上述の炭素数6以上15以下の炭化水素系有機溶剤に加えて、アルコール系有機溶剤がキーパッド3に対する膨潤特異性を示す有機溶剤であり好ましい。このアルコール系有機溶剤としては、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
【0059】
有機溶剤としてアルコール系有機溶剤などの、キーパッド3や樹脂キートップ2を溶解させない有機溶剤を用いれば、処理後の有機溶剤から溶解分を除去する必要が無く、その有機溶剤の再利用が簡単であり、有機溶剤を含めた観点からのリサイクル性に優れている。さらに、樹脂キートップ2とキーパッド3の大部分を回収、再利用することができる点で好ましい。
【0060】
以下、実施例および比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0061】
【実施例1】
透光性スチレン系熱可塑性エラストマー(株式会社クラレプラスチック製セプトンCJ002)を使用して成形されたキーパッド(3)のキートップ接着部(3a)の上にシリコーン系反応硬化性樹脂(セメダイン株式会社製スーパーX)からなる接着剤(4)をディスペンサーにて塗布した。次に、表面にクロムメッキ層(5)を有し、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(三菱レイヨン株式会社製ダイヤペットABS3001M)で成形された樹脂キートップ(2)を、接着剤(4)が塗布されたキートップ接着部(3a)に貼り合わせ、接着剤(4)を硬化し、図1に示すようなキーシート(1)を得た。
【0062】
このキーシート(1)を、ヘキサンに24時間浸した後、攪拌翼のついた撹拌装置(図示せず)で攪拌したところ、キーパッド(3)と樹脂キートップ(2)とに容易に分離できた。そして、分離後のキーパッド(3)の重量を測定したところヘキサン浸漬前に比べて44wt%増加していた。また、分離後のキートップ(2)は膨潤していなかった。
【0063】
また、別途、上記キーシート(1)をヘキサンに1.5時間浸した後、攪拌翼のついた攪拌装置で攪拌したところ、キーパッド(3)と樹脂キートップ(2)とに分離できた。さらに、ヘキサンの代わりにトリデカンを用いた場合もヘキサンを用いた場合と同様の条件で、キーパッド(3)と樹脂キートップ(2)とに容易に分離できた。分離後のキーパッド(3)の重量を測定したところ、ヘキサンに1.5時間浸漬したものは浸漬前に比べて2wt%増加していた。また、トリデカンに24時間浸漬したものは浸漬前に比べて44wt%増加していた。キートップ(2)は、トリデカンに24時間浸漬しても膨潤していなかった。
【0064】
【実施例2】
エステル系熱可塑性エラストマー(三菱化学株式会社製プリマロイA1603)を使用して成形されたキーパッド(3)のキートップ接着部(3a)に、アクリル系光反応硬化性樹脂(株式会社スリーボンド製3033D)からなる接着剤(4)をディスペンサーにて塗布した。次に、表面に文字印刷層(11)を有し、さらに文字印刷層(11)を覆うように、透明な紫外線硬化性樹脂層(12)を設けた、透光性ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製パンライトL1225L)からなる樹脂キートップ(2)を、接着剤(4)の塗布されたキートップ接着部(3a)に貼り合わせ、図4に示すように、キーパッド(3)側から主波長365nmの紫外線を1000mW/cm2の強度で15秒間、光源(13)から照射し、接着剤(4)を硬化させて、キーシート(10)を得た。
【0065】
このキーシート(10)を、2−プロパノールに24時間浸した後、攪拌翼のついた攪拌装置(図示せず)で攪拌したところ、キーパッド(3)と樹脂キートップ(2)とに容易に分離できた。そして、分離後のキーパッド(3)の重量を測定したところ2−プロパノール浸漬前に比べて12wt%増加していた。また、分離後のキートップ(2)は膨潤していなかった。
【0066】
また、別途、上記キーシート(10)を2−プロパノールに4時間浸した後、攪拌翼のついた攪拌装置で攪拌したところ、キーパッド(3)と樹脂キートップ(2)とに分離できた。さらに、2−プロパノールの代わりにヘキサンを用いた場合、トリデカンを用いた場合も、2−プロパノールを用いた場合と同様の条件で、キーパッド(3)と樹脂キートップ(2)とに容易に分離できた。分離後のキーパッド(3)の重量を測定したところ、2−プロパノールに4時間浸漬したものは浸漬前に比べて2wt%増加していた。また、ヘキサンに24時間浸漬したものは浸漬前に比べて10wt%、トリデカンに24時間浸漬したものは浸漬前に比べて4wt%、それぞれ増加していた。キートップ(2)は、ヘキサンやトリデカンに24時間浸漬しても膨潤していなかった。
【0067】
【実施例3】
透光性ウレタン系熱可塑性エラストマー(ダウ・ケミカル株式会社製ペレセン2103−70A)を使用して成形されたキーパッド(3)のキートップ接着部(3a)に、エポキシ系光反応硬化性樹脂(エポキシテクノロジー社製EVO−114)からなる接着剤(4)をディスペンサーにて塗布した。次に、裏面に印刷インキ(プロル社製ノリファン)で図柄表示層(8)を形成しており、透光性ポリスチレン樹脂(電気化学工業株式会社製デンカスチロールGP−1)で成形された樹脂キートップ(2)を、接着剤(4)の塗布されたキートップ接着部(3a)に貼り合わせ、図3に示すように、キーパッド(3)側から主波長365nmの紫外線を1000mW/cm2の強度で15秒間、光源(13)から照射し、接着剤(4)を硬化させて、キーシート(7)を得た。
【0068】
このキーシート(7)を、2−プロパノールに24時間浸した後、攪拌翼のついた攪拌装置(図示せず)で攪拌したところ、キーパッド(3)と樹脂キートップ(2)とに容易に分離できた。そして、分離後のキーパッド(3)の重量を測定したところ2−プロパノール浸漬前に比べて43wt%増加していた。
【0069】
また、2−プロパノールの代わりにヘキサンを用いた場合、トリデカンを用いた場合も、2−プロパノールを用いた場合と同様の条件で、キーパッド(3)と樹脂キートップ(2)とに容易に分離できた。そして、分離後のキーパッド(3)の重量を測定したところ、ヘキサン浸漬前に比べて29wt%、トリデカン浸漬前に比べて5wt%それぞれ増加していた。
【0070】
【実施例4】
透光性ポリプロピレン樹脂(日本ポリケム株式会社製ノバティック)で成形された樹脂キートップ(2)を金型(図示せず)にインサートし、透光性スチレン系熱可塑性エラストマー(株式会社三菱化学製ラバロン)のキーパッド(3)の成形と同時に一体化し、図2に示すようなキーシート(6)を得た。
【0071】
このキーシート(6)を、ヘキサンに24時間浸した後、攪拌翼のついた撹拌装置(図示せず)で攪拌したところ、キーパッド(3)と樹脂キートップ(2)とに容易に分離できた。そして、分離後のキーパッド(3)の重量を測定したところヘキサン浸漬前に比べて44wt%増加していた。
【0072】
また、ヘキサンの代わりにトリデカンを用いた場合も、ヘキサンを用いた場合と同様の条件で、キーパッド(3)と樹脂キートップ(2)とに容易に分離できた。そして、分離後のキーパッド(3)の重量を測定したところヘキサン浸漬前に比べて44wt%増加していた。
【0073】
【実施例5】
二色成形によって、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(三菱レイヨン株式会社製ダイヤペットABS3001M)からなる樹脂キートップ(2)と、エステル系熱可塑性エラストマー(株式会社三菱化学製プリマロイA1500)からなるキーパッド(3)を一体成形し、図2に示すようなキーシート(6)を得た。
【0074】
このキーシート(6)を、ヘキサンに24時間浸した後、攪拌翼のついた撹拌装置(図示せず)で攪拌したところ、キーパッド(3)と樹脂キートップ(2)とに容易に分離できた。そして、分離後のキーパッド(3)の重量を測定したところヘキサン浸漬前に比べて10wt%増加していた。また、分離後のキートップ(2)は膨潤していなかった。
【0075】
また、ヘキサンの代わりに2−プロパノールを用いた場合、トリデカンを用いた場合も、ヘキサンを用いた場合と同様の条件で、キーパッド(3)と樹脂キートップ(2)とに容易に分離できた。そして、分離後のキーパッド(3)の重量を測定したところ、2−プロパノール浸漬前に比べて12wt%、トリデカン浸漬前に比べて4wt%それぞれ増加していた。キートップ(2)は、2−プロパノールやトリデカンに24時間浸漬しても膨潤していなかった。
【0076】
【実施例6】
ポリカーボネート樹脂(帝人化成株式会社製パンライト)で成形された樹脂キートップ(2)を金型(図示せず)にインサートし、ウレタン系熱可塑性エラストマー(株式会社クラレ製クラミロンU8165)のキーパッド(3)の成形と同時に一体化し、図2に示すようなキーシート(6)を得た。
【0077】
このキーシート(6)を、ヘキサンに24時間浸した後、攪拌翼のついた撹拌装置(図示せず)で攪拌したところ、キーパッド(3)と樹脂キートップ(2)とに容易に分離できた。そして、分離後のキーパッド(3)の重量を測定したところヘキサン浸漬前に比べて29wt%増加していた。また、分離後のキートップ(2)は膨潤していなかった。
【0078】
また、ヘキサンの代わりに2−プロパノールを用いた場合、トリデカンを用いた場合も、ヘキサンを用いた場合と同様の条件で、キーパッド(3)と樹脂キートップ(2)とに容易に分離できた。そして、分離後のキーパッド(3)の重量を測定したところ、2−プロパノール浸漬前に比べて43wt%、トリデカン浸漬前に比べて5wt%それぞれ増加していた。キートップ(2)は、2−プロパノールやトリデカンに24時間浸漬しても膨潤していなかった。
【0079】
【比較例1】
実施例1、2,4,5の各実施例において、これらの各実施例で用いた有機溶剤に代えて、液状フェノールを用いた以外はこれらの各実施例と同様の条件で実験を行ったところ、キーパッド3を形成する各熱可塑性エラストマーが膨潤せず表面が溶解してしまったため、リサイクル効率が悪くなってしまった。
【0080】
【比較例2】
実施例1において、ヘキサンに代えて2−プロパノールを用いた以外は実施例1と同様の条件で実験を行った。その結果、2−プルパノールに24時間浸漬してもキーパッド(3)は膨潤せず、樹脂キートップ(2)とキーパッド(3)は分離しなかった。
【0081】
【発明の効果】
本発明のキーシートは、リサイクル可能な熱可塑性エラストマーをキーパッドに、リサイクル可能な熱可塑性樹脂を樹脂キートップに各々用いており、有機溶剤に浸すことで樹脂キートップとキーパッドを簡単に分離でき、樹脂キートップとキーパッドを別々にリサイクルできるため、高品質のリサイクル製品用原料とすることができるリサイクル性に優れたものである。
【0082】
また、本発明のキーシートの分離方法によれば、キーシートを有機溶剤に作用させるだけで、簡単に樹脂キートップとキーパッドを分離することができ、接着剤を取り除くことが可能であるため、不純物の混入が少なく質的に優れたリサイクルを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるキーシートの部分断面図である。
【図2】本発明の別の実施形態であるキーシートの部分断面図である。
【図3】光源から照光されている状態を示す本発明のさらに別の実施形態であるキーシートの部分断面図である。
【図4】光源から照光されている状態を示す本発明の変形実施形態であるキーシートの部分断面図である。
【符号の説明】
1,6,7,10 キーシート
2 樹脂キートップ
3 キーパッド
3a キートップ接着部
4 接着剤(接着層)
5 クロムめっき層
8 図柄表示層
11 文字印刷層
12 紫外線硬化性樹脂層
13 光源
Claims (10)
- ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる樹脂キートップをスチレン系熱可塑性エラストマーでなるキーパッドに固着したキーシートに、該キーパッドに対する膨潤特異性をもつ炭素数が6以上15以下の炭化水素系有機溶剤を含浸し、該キーパッドを溶解させずに膨潤させ2wt%以上の重量増加をもたらして、樹脂キートップとキーパッドを分離する方法。
- ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる樹脂キートップをエステル系熱可塑性エラストマー又はウレタン系熱可塑性エラストマーでなるキーパッドに固着したキーシートに、該キーパッドに対する膨潤特異性をもつアルコール系又は炭素数が6以上15以下の炭化水素系有機溶剤を含浸し、該キーパッドを溶解させずに膨潤させ2wt%以上の重量増加をもたらして、樹脂キートップとキーパッドを分離する方法。
- ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる樹脂キートップを反応硬化性樹脂でなる接着剤でスチレン系熱可塑性エラストマーでなるキーパッドに固着したキーシートに、該キーパッドに対する膨潤特異性をもつ炭素数が6以上15以下の炭化水素系有機溶剤を含浸し、該キーパッドを溶解させずに膨潤させ2wt%以上の重量増加をもたらして、樹脂キートップとキーパッドを分離する方法。
- ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる樹脂キートップを反応硬化性樹脂でなる接着剤でエステル系熱可塑性エラストマー又はウレタン系熱可塑性エラストマーでなるキーパッドに固着したキーシートに、該キーパッドに対する膨潤特異性をもつアルコール系又は炭素数が6以上15以下の炭化水素系有機溶剤を含浸し、該キーパッドを溶解させずに膨潤させ2wt%以上の重量増加をもたらして、樹脂キートップとキーパッドを分離する方法。
- 反応硬化性樹脂でなる接着剤が、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノ系樹脂、アクリル系樹脂、又は架橋性シアノアクリレート系樹脂より選択される少なくとも一種の反応硬化性樹脂からなる接着剤である請求項3または請求項4記載の樹脂キートップとキーパッドを分離する方法。
- ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる樹脂キートップをスチレン系熱可塑性エラストマーでなるキーパッドに固着したキーシートに、該キーパッドに対する膨潤特異性をもつ炭素数が6以上15以下の炭化水素系有機溶剤を含浸し、該キーパッドを溶解させずに膨潤させ2wt%以上の重量増加をもたらして、樹脂キートップとキーパッドを分離し、
リサイクル用原料の熱可塑性樹脂とスチレン系熱可塑性エラストマーを得るリサイクル用原料の獲得方法。 - ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる樹脂キートップをエステル系熱可塑性エラストマー又はウレタン系熱可塑性エラストマーでなるキーパッドに固着したキーシートに、該キーパッドに対する膨潤特異性をもつアルコール系又は炭素数が6以上15以下の炭化水素系有機溶剤を含浸し、該キーパッドを溶解させずに膨潤させ2wt%以上の重量増加をもたらして、樹脂キートップとキーパッドを分離し、
リサイクル用原料の熱可塑性樹脂とエステル系熱可塑性エラストマー又はウレタン系熱可塑性エラストマーを得るリサイクル用原料の獲得方法。 - ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、又はア クリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる樹脂キートップを反応硬化性樹脂でなる接着剤でスチレン系熱可塑性エラストマーでなるキーパッドに固着したキーシートに、該キーパッドに対する膨潤特異性をもつ炭素数が6以上15以下の炭化水素系有機溶剤を含浸し、該キーパッドを溶解させずに膨潤させ2wt%以上の重量増加をもたらして、樹脂キートップとキーパッドを分離し、
リサイクル用原料の熱可塑性樹脂とスチレン系熱可塑性エラストマーを得るリサイクル用原料の獲得方法。 - ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂からなる樹脂キートップを反応硬化性樹脂でなる接着剤でエステル系熱可塑性エラストマー又はウレタン系熱可塑性エラストマーでなるキーパッドに固着したキーシートに、該キーパッドに対する膨潤特異性をもつアルコール系又は炭素数が6以上15以下の炭化水素系有機溶剤を含浸し、該キーパッドを溶解させずに膨潤させ2wt%以上の重量増加をもたらして、樹脂キートップとキーパッドを分離し、
リサイクル用原料の熱可塑性樹脂とエステル系熱可塑性エラストマー又はウレタン系熱可塑性エラストマーを得るリサイクル用原料の獲得方法。 - 反応硬化性樹脂でなる接着剤が、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノ系樹脂、アクリル系樹脂、又は架橋性シアノアクリレート系樹脂より選択される少なくとも一種の反応硬化性樹脂からなる接着剤である請求項8または請求項9記載のリサイクル用原料の獲得方法。
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