(第1実施形態)
以下本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。図1は本実施形態による車両用空調装置の室内空調ユニット部の吹出口配置状態を示す平面概要図、図2は室内空調ユニット部および電気制御ブロックを含む全体構成図である。
本実施形態は、車室内1の前後左右の計4つの空調ゾーン1a、1b、1c、1dをそれぞれ独立して空調制御する。図1、図2は右ハンドル車の場合を示しており、上記空調ゾーン1a〜1dをより具体的に説明すると、前席右側空調ゾーン1aは、前席空調ゾーンのうち右側、すなわち、運転席2側に位置する。前席左側空調ゾーン1bは、前席空調ゾーンのうち左側、すなわち、助手席3側に位置する。
そして、後席右側空調ゾーン1cは、後席空調ゾーンのうち右側、すなわち、後部右側座席4a側に位置し、後席左側空調ゾーン1dは、後席空調ゾーンのうち左側、すなわち、後部右側座席4b側に位置する。なお、図1中の前後左右の各矢印は、車両搭載時における前後左右の方向を示す。
車両用空調装置の室内空調ユニット部は前席用空調ユニット5と後席用空調ユニット6とから構成されている。前席用空調ユニット5は、前席左右の空調ゾーン1a、1bのそれぞれの空調状態を独立して調整するためのものであり、後席用空調ユニット6は、後席左右の空調ゾーン1c、1dのそれぞれの空調状態を独立して調整するためのものである。
前席用空調ユニット5は、車室内1の最前部の計器盤7の内側に配置されており、後席用空調ユニット6は、車室内1の最後方に配置されている。前席用空調ユニット5は、車室内1の前席側に空気を送風するためのダクト50を備えている。このダクト50の最上流部には、車室内1から内気を導入するための内気導入口50aおよび車室外から外気を導入するための外気導入口50bが設けられている。
さらに、ダクト50には、外気導入口50bおよび内気導入口50aを選択的に開閉する内外気切替ドア51が設けられており、この内外気切替ドア51には、駆動手段としてのアクチュエータ100aが連結されている。
また、ダクト50内のうち外気導入口50bおよび内気導入口50aの空気下流側には、空調ゾーン1a、1bに向けて吹き出される空気流を発生させる遠心式送風機52が設けられており、遠心式送風機52は、遠心式羽根車およびこの羽根車を回転させる前席側ブロワモータ52aにより構成されている。
さらに、ダクト50内にて遠心式送風機52の空気下流側には、空気を冷却する空気冷却手段としての蒸発器53が設けられており、さらに、この蒸発器53の空気下流側には、空気加熱手段としてのヒータコア54が設けられている。
そして、ダクト50内のうち蒸発器53の空気下流側には仕切り板57が設けられ、この仕切り板57によりダクト50内の空気通路を車両左右両側の2つの通路、すなわち、運転席側通路50cと助手席側通路50dとに仕切っている。
運転席側通路50cのうちヒータコア54の側方にはバイパス通路50eが形成され、助手席側通路50dのうちヒータコア54の側方にはバイパス通路50fが形成されている。これらのバイパス通路50e、50fは、それぞれ蒸発器53により冷却された冷風をヒータコア54に対してバイパスさせる。
運転席側通路50cおよび助手席側通路50dにおいてヒータコア54の空気上流側にそれぞれ、エアミックスドア55a、55bが独立に操作可能に設けられている。運転席側エアミックスドア55aは、その開度により、運転席側通路50cを流通する冷風のうちヒータコア54を通る量(温風量)とバイパス通路50eを通る量(冷風量)との比を調整して、前席運転席側への吹出空気温度を調整する。
また、助手席側エアミックスドア55bは、その開度により、助手席側通路50dを流通する冷風のうちヒータコア54を通る量(温風量)とバイパス通路50fを通る量(冷風量)との比を調整して、前席助手席側への吹出空気温度を調整する。
なお、左右のエアミックスドア55a、55bには、駆動手段としてのアクチュエータ100b、100cがそれぞれ連結されており、エアミックスドア55a、55bの開度は、アクチュエータ100b、100cによってそれぞれ独立に調整される。
蒸発器53は、図示しない圧縮機、凝縮器、受液器、減圧器とともに、周知の冷凍サイクルを構成している低圧側の冷却用熱交換器である。この蒸発器53は、ダクト50内を流れる空気から低圧側冷媒が蒸発潜熱を吸熱して蒸発することにより、ダクト50内の空気を冷却する。なお、冷凍サイクルの圧縮機は、車両エンジンに電磁クラッチ(図示しない)を介して連結され、電磁クラッチを断続制御することによって駆動停止制御される。
ヒータコア54は、車両エンジンからの温水(エンジン冷却水)を熱源とする加熱用熱交換器であり、このヒータコア54は蒸発器53通過後の空気を加熱する。
また、運転席側通路50cおよび助手席側通路50dのうちヒータコア54の空気下流側(最下流部)には、運転席側フェイス吹出口561aおよび助手席側フェイス吹出口561bが設けられている。
運転席側フェイス吹出口561aは、運転席側通路50cから運転席2に着座する運転者の上半身に向けて空気を吹き出す。また、助手席側フェイス吹出口561bは、助手席側通路50dから助手席3に着座する助手席乗員の上半身に向けて空気を吹き出す。
さらに、運転席側通路50cおよび助手席側通路50dのうち運転席側フェイス吹出口561aおよび助手席側フェイス吹出口561bの各空気上流部には、それぞれ、運転席側フェイス吹出口561aを開閉する吹出口切替ドア561cおよび助手席側フェイス吹出口561bを開閉する吹出口切替ドア561dが設けられている。これら吹出口切替ドア561cおよび561dは、それぞれ駆動手段としての運転席側のアクチュエータ100d、および助手席側のアクチュエータ100eによって、開閉駆動される。
なお、運転席側フェイス吹出口560aと助手席側フェイス吹出口560bは、具体的には図1に示すようにそれぞれ、計器盤7の左右方向の中央部寄り部位に位置するセンターフェイス吹出口と計器盤7の左右方向の両端部付近に位置するサイドフェイス吹出口とに分けて配置される。
また、運転席側通路50cの最下流部には、上記運転席側フェイス吹出口561aの他に、運転席側フット吹出口562aおよび運転席側デフロスタ吹出口563aが設けられている。運転席側フット吹出口562aは運転席側通路50cから運転者の下半身に空気を吹き出す。運転席側デフロスタ吹出口563aは運転席側通路50cからフロントガラスの内表面のうち運転席側領域に空気を吹き出す。
助手席側通路50dの最下流部には、上記助手席側フェイス吹出口561bの他に、助手席側フット吹出口562bおよび助手席側デフロスタ吹出口563bが設けられている。助手席側フット吹出口562bは助手席側通路50cから助手席乗員の下半身に空気を吹き出す。助手席側デフロスタ吹出口563bは助手席側通路50dからフロントガラスの内表面のうち助手席側領域に空気を吹き出す。
そして、運転席側通路50cにおいて運転席側フット吹出口562aおよび運転席側デフロスタ吹出口563aの空気上流部には、それぞれの吹出口を開閉する吹出口切替ドア562c、563cが設けられている。そして、これら運転席側の各吹出口切替ドア562c、563cは、上述した運転席側のアクチュエータ100dにより連動して開閉駆動される。
また、助手席側通路50dにおいて助手席側フット吹出口562bおよび助手席側デフロスタ吹出口563bの空気上流部には、それぞれの吹出口を開閉する吹出口切替ドア562d、563dが設けられている。そして、これら助手席側の各吹出口切替ドア562d、563dは、上述した助手席側のアクチュエータ100eにより連動して開閉駆動される。
後席用空調ユニット6は、車室内1の後席側に空気を送風するためのダクト60を備えている。このダクト60内の最上流部には、車室内1から内気導入口60aを通して内気のみが導入される内気導入ダクト60bが接続される。
内気導入ダクト60bの空気下流側には、車室内1の空調ゾーン1c、1dに向けて吹き出される空気流を発生させる遠心式送風機62が設けられている。遠心式送風機62は、遠心式羽根車およびこの羽根車を回転させるブロワモータ62aにより構成されている。なお、図2では図示の簡略化のために、前席側の遠心式送風機52および後席側の遠心式送風機62の遠心式羽根車として軸流式羽根車を図示しているが、実際は、両送風機52、62の羽根車として遠心式羽根車が使用されることはもちろんである。
さらに、ダクト60内において遠心式送風機62の空気下流側には、空気を冷却する空気冷却手段としての蒸発器63が設けられている。この蒸発器63の空気下流側には、空気を加熱する空気加熱手段としてのヒータコア64が設けられている。
そして、ダクト60内のうち蒸発器63の下流部分には仕切り板67が設けられ、この仕切り板67によりダクト60内の空気通路を車両左右両側の2つの通路、すなわち、後席右側通路(後席運転席側通路)60cと後席左側通路(後席助手席側通路)60dとに仕切っている。
後席右側通路60cのうちヒータコア64の側方にはバイパス通路60eが形成され、後席左側通路60dのうちヒータコア64の側方にはバイパス通路60fが形成されている。これらのバイパス通路60e、60fは、それぞれ蒸発器63により冷却された冷風をヒータコア64に対してバイパスさせる。
後席右側通路60cおよび後席左側通路60dにおいてヒータコア64の空気上流側には、それぞれエアミックスドア65a、65bが独立に操作可能に設けられている。後席右側のエアミックスドア65aは、その開度により、後席右側通路60cを流通する冷風のうちヒータコア64を通る量(温風量)とバイパス通路60eとを通る量(冷風量)との比を調整して、後席右側への吹出空気温度を調整する。
また、後席左側のエアミックスドア65bは、その開度により、後席左側通路60dを通過する冷風のうちヒータコア64を通る量(温風量)と、バイパス通路60fを通る量(冷風量)との比を調整して、後席左側への吹出空気温度を調整する。
そして、後席左右のエアミックスドア65a、65bには、駆動手段としてのアクチュエータ100h、100iがそれぞれ連結されており、後席左右のエアミックスドア65a、65bの開度は、アクチュエータ100h、100iによって、それぞれ独立に調整される。
蒸発器63は、上述した周知の冷凍サイクルにおいて前席側の蒸発器53に対して並列的に配管結合される冷却用熱交換器である。
また、ヒータコア64は、車両エンジンからの温水(エンジン冷却水)を熱源とする加熱用熱交換器であり、ヒータコア64は、温水回路において前席側のヒータコア54に対し並列的に接続され、蒸発器63通過後の空気を加熱する。
ダクト60内の後席右側通路60cのうちヒータコア64の空気下流側(最下流部)には後席右側フェイス吹出口660aが設けられている。後席右側フェイス吹出口660aは、後席右側通路60cから後席の右側(すなわち、後席運転席側領域)に着座する乗員(以下、後席右側乗員という)の上半身に向けて空気を吹き出す。
また、ダクト60内の後席左側通路60dのうちヒータコア64の空気下流側最下流部には、後席左側フェイス吹出口660bが設けられている。後席左側フェイス吹出口660bは、後席左側通路60dから後席の左側(すなわち、後席助手席側領域)に着座する乗員(以下、後席左側乗員という)の上半身に向けて空気を吹き出す。
ここで、後席左右の両フェイス吹出口660a、660bの空気上流部には、それぞれフェイスドア660c、660dが設けられ、後席左右の両フェイス吹出口660a、660bを開閉するようになっている。この後席左右のフェイスドア660c、660dは、駆動手段としてのアクチュエータ100f、100gによって開閉駆動される。
そして、後席右側通路60cの最下流部には、後席右側フェイス吹出口66aの他に後席右側フット吹出口661aが設けられている。この後席右側フット吹出口661aは、後席右側通路60cから空気を後席右側乗員の下半身に向けて吹き出す。
同様に、後席左側通路60dの最下流部には、後席左側フェイス吹出口66bの他に後席左側フット吹出口661bが設けられている。この後席左側フット吹出口661bは、後席左側通路60dから空気を後席左側乗員の下半身に向けて吹き出す。
この後席左右の両フット吹出口661a、661bの空気上流部には、それぞれフットドア661c、661dが設けられており、この後席左右の両フットドア661c、661dは、上記アクチュエータ100g、100fによって開閉駆動される。
電子制御装置をなすエアコンECU400の入力側には、内気温度センサ84a、84b、85a、85b、外気温度センサ81、車両エンジンの冷却水温度センサ82、日射センサ83a、83b、および前席側および後席側の蒸発器温度センサ86、87、排気ガスセンサ90等が接続されている。
外気温度センサ81は、車室外の外気温度を検出し、その検出温度に応じた外気温度信号TamをエアコンECU400に出力する。冷却水温度センサ82は、車両エンジンの冷却水(すなわち温水)の温度を検出し、その検出温度に応じた冷却水温度信号TwをエアコンECU400に出力する。
日射センサ83a、83bは、図1に図示するように、計器盤7の上面部(車両フロントウインドウの内側部)において、車両左右方向の略中央部分に配置されている。そして、日射センサ83aは、車両右方向に向けて傾斜配置されて、運転席側領域に入射される日射量を検出し、その検出した日射量に応じた日射量信号TsDrをエアコンECU400に出力する。一方、日射センサ83bは、車両左方向に向けて傾斜配置されて、助手席側領域に入射される日射量を検出して、その検出した日射量に応じた日射量信号TsPaをエアコンECU400に出力する。
前席右側内気温度センサ84aは、車室内の空調ゾーン1aの空気温度を検出しその検出温度に応じた内気温度信号TrFrDrをエアコンECU400に出力する。前席左側内気温度センサ84bは、車室内の空調ゾーン1bの空気温度を検出しその検出温度に応じた内気温度信号TrFrPaをエアコンECU400に出力する。
後席右側内気温度センサ85aは、車室内の空調ゾーン1cの空気温度を検出しその検出温度に応じた内気温度信号TrRrDrをエアコンECU400に出力する。後席右側内気温度センサ85bは、車室内の空調ゾーン1dの空気温度を検出しその検出温度に応じた内気温度信号TrRrPaをエアコンECU400に出力する。
前席側蒸発器温度センサ86は、前席側蒸発器53の吹出空気温度を検出し、その検出温度に応じた蒸発器吹出温度信号TeFrをエアコンECU400に出力するもので、後席側蒸発器温度センサ87は、後席側蒸発器63の吹出空気温度を検出し、その検出温度に応じた蒸発器吹出温度信号TeRrをエアコンECU400に出力する。排気ガスセンサ90は、外気中に含められる車両の排気ガス成分(例えば、CO、CO、NOx)を検出してその検出濃度に応じた排気ガス信号GasをエアコンECU400に出力する。
また、エアコンECU400の入力側には乗員により操作可能な4個の温度設定スイッチ9、10、11、12が接続されている。この4個の温度設定スイッチ9〜12から車室内の4つの空調ゾーン1a、1b、1c、1dのそれぞれに対応して乗員により設定された設定温度信号TsetFrDr、TsetFrPa、TsetRrDr、TsetRrPaがエアコンECU400に出力される。なお、各温度設定スイッチ9〜12のそれぞれ近傍には、設定温度等の設定内容を表示する設定温度表示手段としてのディスプレイ9a、10a、11a、12aが備えられている。
ここで、エアコンECU400は、通信回路440、定電圧回路430、マイクロコンピュータ(マイコン)410等を有して構成される周知のものであり、各センサ81、82、83、84a、84b、85a、85b、86、87、90および温度設定スイッチ9、10、11、12からそれぞれ出力される出力信号は、アナログ/デジタル変換器(図示しない)によってアナログ/デジタル変換されてマイクロコンピュータ410にそれぞれ入力されるように構成されている。
マイクロコンピュータ410は、図3に示すように、CPU(中央算出装置)等から構成される周知のもので、イグニッションスイッチがオンされたときに、図示しないバッテリから電力供給される。通信回路440は、アクチュエータ100a〜100iの制御回路200a〜200iとの間で時分割で通信するものである。
ここで、制御回路200a〜200iは、アクチュエータ100a〜100iのそれぞれのコネクタ210内に内蔵されており、制御回路200a〜200iは、アクチュエータ毎に後述するその直流モータ110を制御する。なお、電子制御装置400とアクチュエータ100a〜100iとの間では、通信ラインR1、電源ラインR2、グランドラインR3によって繋がっている。
また、メモリ420は、ROM、および、マイクロコンピュータ410の処理に伴うデータなどを記憶するRAMなどから構成されている。定電圧回路430は、バッテリBから出力される電圧を一定電圧に変換してマイクロコンピュータ410などに出力する。
次に、アクチュエータ100a〜100iについて説明する。
先ず、アクチュエータ100aは、内外気ドア51を駆動するものであり、アクチュエータ100bは、エアミックスドア55aを駆動するものであり、アクチュエータ100cは、エアミックスドア55bを駆動するものである。アクチュエータ100dは、吹出口切替ドア561c、561c、563cを駆動するものであり、アクチュエータ100eは、吹出口切替ドア561d、561d、563dを駆動するものである。
アクチュエータ100fは、吹出口切替ドア660c、661cを駆動するものであり、アクチュエータ100gは、吹出口切替ドア660d、661dを駆動するものである。アクチュエータ100hは、エアミックスドア65aを駆動するものであり、アクチュエータ100iは、エアミックスドア65bを駆動するものである。
ここで、アクチュエータ100a〜100iは、その駆動対象となるドアやそのドアの可動範囲が個々に異なるだけで、個々に実質的構成が同様であるため、アクチュエータ100a〜100iの一例としてアクチュエータ100aの構成について図4〜図10を用いて説明する。
図4はアクチュエータ100aの外観図であり、図4はアクチュエータ100aの構成図である。そして、図4中、直流モータ110は、バッテリBからの電力が供給されて、出力軸111を回転させるものであり、減速機構120は直流モータ110から入力された回転力を減速して内外気切換ドア51に向けて出力する変速機構である。なお、以下、直流モータ110及び減速機構120等の回転駆動する機構部を駆動部130と呼ぶ。
ここで、減速機構120は、直流モータ110の出力軸111に圧入されたウォーム121、このウォーム121と噛み合うウォームホィール122、及び複数枚の平歯車123、124、125からなる歯車列であり、出力側に位置する最終段歯車(出力側歯車)126には、出力軸127が設けられている。
なお、ケーシング140は駆動部130を収納するととともに、後述するブラシ(電気接点)155〜157が固定されたケーシングである。
また、減速機構120のうち、直流モータ110により直接駆動される入力歯車(ウォーム121)より出力側(出力軸127)には、図5〜8(特に、図8参照)に示すように、パルスパターンプレート(以下、パターンプレートと呼ぶ。)153が設けられており、このパターンプレート153は、円周方向に交互に並んだ導電部151a、152a及び非導電部1511b、152bからなる第1、2パルスパターン151、152が設けられたもので、出力軸127と一体的に回転する。
このとき、導電部151a、152aの円周角α1、α2及び非導電部151b、152bの円周角β1、β2を互いに等しくするとともに、第1パルスパターン151の位相を第2パルスパターン152の位相に対して円周角α1、α2(=円周角β1、β2)の略1/2ずらしている。
なお、第1、2パルスパターン151、152は電気的に繋がっており、第1、2パルスパターン151、152は、両パルスパターン151、152より内周側に設けられたコモンパターン(共通導電部パターン)154と電気的に繋がって、後述するブラシ157を介してバッテリ(図示せず。)の負極側に電気的に繋がっている。
一方、ケーシング140側には、バッテリの正極側に接続された銅系導電材料製の第1〜3ブラシ(電気接点)155〜157が樹脂一体成形により固定されており、第1ブラシ155は第1パルスパターン151に接触し、第2ブラシ156は第2パルスパターン152に接触し、第3ブラシ157はコモンパターン154に接触するように構成されている。
なお、本実施形態では、第1〜3ブラシ155〜157とパターンプレート153との接点を2点以上(本実施形態では、4点)とすることにより、第1〜3ブラシ155〜157と導電部151a、152a(コモンパターン154を含む。)との電気接続を確実なものとしている。
また、出力軸127には、図4に示すように、リンクレバー160が圧入固定されており、リンクレバー160は、出力軸127の回転に伴って、ストッパ35a、35b間を回転する。このリンクレバー160はその回転を内外気切換用リンク機構に出力するものである。また、ストッパ35a、35bは、リンクレバー160を衝突させてリンクレバー160の可動範囲を設定するものであって、空調ケース11からそれぞれ突起するように設けられている。
次に、アクチュエータ100aの概略作動について、図9、図10を用いて説明する。図9は、アクチュエータ100aの制御回路200aを示す模式図である。
先ず、制御回路200aは、直流モータ110を駆動するモータ駆動回路210、パターンプレート153で発生するパルス信号を検出する回転角度検出回路220、各種制御情報を記憶するフラッシュメモリ等の入力された情報を電力の供給を受けることなく保持することができる記憶回路230、および、電子制御回路400との間で通信ラインR2を通して通信したり、モータ駆動回路210を通電制御したりするCPU220などを有して構成されている。
ここで、CPU220が、モータ駆動回路210に通電を開始させて直流モータ110が回転すると、出力軸127(パターンプレート153)が回転して、第1、2ブラシ155、156と導電部151a、152aとが接触する通電(ON)状態、及び第1、2ブラシ155、156と非導電部1511b、152bとが接触する非通電(OFF)状態が相互に周期的に発生することになる。
したがって、第1、2ブラシ155、156には、直流モータ110が所定角度回転する毎にパルス信号が発生する。
このことにより、上述の説明から明らかなように、本実施形態では、第1、2ブラシ155、156とパターンプレート153とにより出力軸127が所定角度回転する毎にパルス信号を発するパルス発生器(パルス発生手段)158(図9参照)が構成されることになる。
また、第1パルスパターン151の位相と第2パルスパターン152の位相とがずれているため、パルス発生器158では、第1パルスパターン151と第1ブラシ155とにより発生するパルス信号(以下、このパルス信号をA相パルスと呼ぶ。)と、第2パルスパターン152と第2ブラシ156とにより発生するA相パルス対して位相のずれたパルス信号(以下、このパルス信号をB相パルスと呼ぶ。)が発生する。
このため、本実施形態では、CPU220は、A相パルス及びB相パルスのうちいずれの信号が先に回転角度検出回路220に入力されるかを判定して、その判定結果によって、直流モータ110(出力軸127)の回転方向を検出している。
また、図10に示すように、直流モータ110がプラスカウント方向に回転すると、A相パルスおよびB相パルスの状態が「0、0」、「0、1」→「1、1」→「1、0」→「0、0」→「0、1」→…の順に周期的に切り替わる一方、直流モータ110がマイナスカウント方向に回転すると、A相パルスおよびB相パルスの状態が「1、0」→「1、1」→「0、1」→「0、0」→「1、0」→「1、1」→…の順に周期的に切り替わる。
そこで、CPU220は、A相、B相パルスの状態の切り替わりに基づき、出力軸127の現在位置を更新する。このことにより、A相、B相パルスに基づいて、現在位置を検出する摺動接点方式の位置検出装置が構成されることになる。
具体的には、現在位置及び目標位置は、二進数で示されるデータであり、A相パルスおよびB相パルスの状態が「0、1」→「1、1」→「1、0」→「0、0」→「0、1」→…の順に、切り替わる毎に現在位置を1つずつ増加させる一方、A相パルスおよびB相パルスの状態が「1、1」→「0、1」→「0、0」→「1、0」→「1、1」→…の順に切り替わる毎に、現在位置を1つずつ減少させる。そして、CPU220は、現在位置と目標位置とが一致したとき、モータ駆動回路210への通電を停止させて直流モータ110を停止させる。
これに伴い、アクチュエータ100aの出力軸127は、目標位置で停止して、内外気切換ドア51が第1、第2切換位置のうち該当する一方の位置で停止することになる。
次に、上記構成において本第1実施形態の作動を図11〜図18に基づいて説明する。
エアコンECU400は、車両イグニッションスイッチが投入され電源が供給されると、メモリ420に記憶された制御プログラム(コンピュータプログラム)がスタートして、図11に示すフローチャートにしたがって空調制御処理を実行する。
図11は、空調制御処理を示すフローチャートであり、図12は、図11中のステップ150の処理の詳細を示すフローチャートである。
まず、ステップS100において初期化処理を図り、ステップS110にて前席左右及び後席左右の温度設定スイッチ9、10、11、12から設定温度信号TsetFrDr、TsetFrPa、TsetRrDr、TsetRrPaを読み込む。
次に、ステップS120において各種センサ検出信号を読み込む。すなわち、外気温センサ81、右側日射センサ83a、左側日射センサ83bおよび前席左右及び後席左右の内気温度センサ84a、84b、85a、85bからそれぞれ外気温度信号Tam、日射量信号TsDr、TsPa、前席左右及び後席左右の内気温度信号TrFrDr、TrFrPa、TrRrDr、TrRrPaを読み込む。
次に、ステップS130にて、前席運転席側空調ゾーン1aの目標吹出温度TAOFrDrおよび前席助手席側空調ゾーン1bの目標吹出温度TAOFrPaを算出する。ここで、各目標吹出温度TAOFrDr、TAOFrPaは、それぞれ車両環境条件(空調熱負荷条件)の変動にかかわらず、各空調ゾーン1a、1bの温度を各設定温度TsetFrDr、TAOFrPaに維持するために必要な目標温度である。
先ず、前席運転席側目標吹出温度TAOFrDrをメモリに予め記憶されている下記の数式(1)に基づいて算出する。
TAOFrDr=KsetFrDr×TsetFrDr
−KrFr×TrFrDr−KsFr×TsDr−Kam×Tam
+CFrDr…(数式1)
この数式1において、TsetFrDrは運転席側温度設定スイッチ10により設定された運転席側設定温度である。TrFrDrは、前席右側内気温度センサ84aにより検出される前席右側内気温度である。また、TsDrは前席運転席側領域への日射量である。Tamは外気温度センサ81により検出される外気温度である。
なお、数式1中のKsetFrDr、KrFr、KsFr、Kamは、制御ゲイン(係数)であり、CFrDrは定数である。
また、前席助手席側目標吹出温度TAOFrPaを下記の数式(2)に基づいて算出する。
TAOFrPa=KsetFrPa×TsetFrPa
−KrFr×TrFrPa−KsFr×TsPa−Kam×Tam
+CFrPa…(数式2)
この数式2において、TsetFrPaは助手席側温度設定スイッチ9により設定された助手席側設定温度である。TrFrPaは、前席左側内気温度センサ84bにより検出される前席左側内気温度である。また、TsPaは前席助手席側領域への日射量である。そして、Tamは数式1と同じ外気温度である。
なお、数式2中のKsetFrPa、KrFr、KsFr、Kamは、制御ゲイン(係数)であり、CFrPaは定数である。
次に、後席運転席側目標吹出温度TAORrDrをメモリに予め記憶されている下記の数式(3)に基づいて算出する。
TAORrDr=KsetRrDr×TsetRrDr
−KrRr×TrRrDr−KsRr×TsDr−Kam×Tam
+CRrDr…(数式3)
この数式3において、TsetRrDrは後席運転席側温度設定スイッチ11により設定された後席運転席側設定温度である。TrRrDrは、後席右側内気温度センサ85aにより検出される後席右側内気温度である。また、TsDrは数式1と同じ運転席側領域への日射量である。Tamは数式1と同じ外気温度である。
なお、数式3中のKsetRrDr、KrRr、KsRr、Kamは、制御ゲイン(係数)であり、CRrDrは定数である。
また、後席助手席側目標吹出温度TAORrPaを下記の数式(4)に基づいて算出する。
TAORrPa=KsetRrPa×TsetRrPa
−KrRr×TrRrPa−KsRr×TsPa−Kam×Tam
+CRrPa…(数式4)
この数式4において、TsetRrPaは後席助手席側温度設定スイッチ12により設定された後席助手席側設定温度である。TrRrPaは、後席左側内気温度センサ85bにより検出される後席左側内気温度である。また、TsPaは数式2と同じ助手席側領域への日射量である。そして、Tamは数式1と同じ外気温度である。
なお、数式4中のKsetRrPa、KrRr、KsRr、Kamは、制御ゲイン(係数)であり、CRrPaは定数である。
次に、ステップS140において、TAOFrPa、TAOFrDrの平均値(以下、前席用目標吹出温度平均値TAOfravという)に基づいて、前席側ブロアモータ52aに印加するブロワ電圧を決定する。このブロワ電圧により前席側ブロアモータ52aの回転数を変化させて、それにより、前席側送風機52の風量を制御することができる。
すなわち、図13に示す如く、前席用目標吹出温度平均値TAOfravが所定の低温側領域および高温側領域にあるときはブロワ電圧を高くして風量を大きくし、そして、前席用目標吹出温度平均値TAOfravがこの低温側領域と高温側領域との間の中間温度領域にあるときはブロワ電圧を低くするようにブロワ電圧を決定する。
後席側の目標吹出温度TAORrPa、TAORrDrの平均値(以下、後席用目標吹出温度平均値TAOrravという)に基づいて、後席側ブロアモータ62aに印加するブロワ電圧を決定する。この後席側ブロワ電圧の決定は前席側のブロワ電圧の決定と同様に行う。
次に、図11のステップS150にて内外気モードを、上述の前席用目標吹出温度平均値TAOfrav及び気ガスセンサ90からの排気ガス信号Gasに基づいて決定する。具体的には、図12に示すステップS151において、排気ガス信号Gasに基づいて、外気中に含まれる排気ガス成分(例えば、CO)の濃度が一定レベル以上であるか否かを判定する。
ここで、外気中に含まれる排気ガス成分の濃度が一定レベル未満であるとき、外気の汚れが一定レベル未満であるとして、NOと判定する。ここで、図14に示す如く、前席用目標吹出温度平均値TAOfravが所定の低温側領域にあるときは内外気モードを内気100%の内気循環モードとし、前席用目標吹出温度平均値TAOfravが所定の高温側領域にあるときは内外気モードを外気100%の外気導入モードとする。
一方、外気中に含まれる排気ガス成分の濃度が一定レベル以上であるとき、外気の汚れが一定レベル以上であるとして、YESと判定する。この場合、前席用目標吹出温度平均値TAOfravに関わりなく、内外気モードを内気100%の内気循環モードとする。すなわち、内外気モードとして外気導入モードを決定することを禁止する。
次に、図11中のステップS160にて、前席運転席側の吹出モードをTAOFrDrに基づいて決定し、前席助手席側の吹出モードをTAOFrPaに基づいて決定する。
具体的には、図15に示す如く、TAOFrDrが低温側から上昇するにつれて、前席運転席側の空調ゾーン1aの吹出モードをフェイス(FACE)モード→バイレベル(B/L)モード→フット(FOOT)モードと順次自動的に切り替える。
同様に、TAOFrPaが低温側から上昇するにつれて、前席助手席側の空調ゾーン1bの吹出モードをフェイス(FACE)モード→バイレベル(B/L)モード→フット(FOOT)モードと順次自動的に切り替える。
さらに、後席運転席側の吹出モードをTAORrDrに基づいて決定し、後席助手席側の吹出モードをTAORrPaに基づいて決定する。後席運転席側の吹出モード、及び後席助手席側の吹出モードは、空調ゾーン1aの吹出モードとそれぞれ同様に決定する。
なお、フェイスモードは、フェイス吹出口から乗員上半身に空調風を吹き出すモードであり、フットモードは、フット吹出口から乗員下半身に空調風を吹き出すモードである。バイレベルモードは、フェイス吹出口及びフット吹出口からそれぞれ乗員上半身及び乗員下半身に空調風を吹き出すモードである。
次に、ステップS170において前席運転席側のエアミックスドア55aの目標開度SWFrDrを次の数式5により算出し、また、前席助手席側のエアミックスドア55bの目標開度SWFrPaを次の数式6により算出する。
SWFrDr={(TAOFrDr−TeFr)/(Tw−TeFr)}×100(%)…(数式5)
SWFrPa={(TAOFrPa−TeFr)/(Tw−TeFr)}×100(%)…(数式6)
なお、数式5、6において、TeFrは前席側蒸発器温度センサ86により検出される前席側蒸発器吹出温度、Twは冷却水温度センサ82により検出される冷却水(温水)温度である。SWFrDrおよびSWFrPa=0%は最大冷房位置であり、運転席側通路50cおよび助手席側通路50dにおいて蒸発器53通過後の空気(冷風)の全量がバイパス通路50e、50fを流れる。また、SWFrDrおよびSWFrPa=100%は最大暖房位置であり、運転席側通路50cおよび助手席側通路50dにおいて蒸発器53通過後の空気(冷風)の全量がヒータコア54に流入して加熱される。
更に、後席右側のエアミックスドア65aの目標開度SWRrDrを次の数式7により算出し、また、後席左側のエアミックスドア65bの目標開度SWRrPaを次の数式8により算出する。
SWRrDr={(TAORrDr−TeRr)/(Tw−TeRr)}×100(%)…(数式7)
SWRrPa={(TAORrPa−TeRr)/(Tw−TeRr)}×100(%)…(数式8)
なお、数式7、8において、TeRrは後席側蒸発器温度センサ87により検出される後席側蒸発器吹出温度、Twは冷却水温度センサ82により検出される冷却水(温水)温度である。
SWRrDrおよびSWRrPa=0%は最大冷房位置であり、後席右側通路60cおよび後席左側通路60dにおいて後席側蒸発器63通過後の空気(冷風)の全量がバイパス通路60e、60fを流れる。また、SWRrDrおよびSWRrPa=100%は最大暖房位置であり、後席右側通路60cおよび後席左側通路60dにおいて後席側蒸発器53通過後の空気(冷風)の全量がヒータコア64に流入して加熱される。
以上のように、前席側ブロワ電圧、後席側ブロワ電圧、内外気切替モード、空調ゾーン毎の吹出モード、目標開度SWFrDr、SWFrPa、SWRrDrおよびSWRrPaを決定する。
ここで、上述のように決められた内外気切替モードと、アクチュエータ100aの目標位置(上述した二進数で示されるデータ)とは1対1で対応する対応関係にあり、この対応関係を示す対応表(図示せず)がメモリ420に予め記憶されている。そして、この対応表に基づき、アクチュエータ100aの目標位置を求める。
また、目標開度SWFrDr、SWFrPaと、アクチュエータ100b、100cの目標位置とはそれぞれ、1対1で対応する対応関係にあり、この対応関係を示す対応表(図示せず)がメモリ420に予め記憶されている。そして、この対応表に基づき、アクチュエータ100b、100cの目標位置をそれぞれ求める。
空調ゾーン1a、1b、1c、1dの吹出モードは、アクチュエータ100d、100e、100f、100gの目標位置にそれぞれ1対1で対応する対応関係にあり、この対応関係を示す対応表(図示せず)がメモリ420に予め記憶されている。そして、この対応表に基づき、アクチュエータ100d、100e、100f、100gの目標位置をそれぞれ求める。
目標開度SWRrDr、SWRrPaは、アクチュエータ100h、100iの目標位置にそれぞれ1対1で対応する対応関係にあり、この対応関係を示す対応表(図示せず)がメモリ420に予め記憶されている。そして、この対応表に基づき、アクチュエータ100h、100iの目標位置をそれぞれ求める。
以上により、アクチュエータ100a〜100iのそれぞれの目標位置が求められると、ステップS180において、それぞれの目標位置を通信回路440に出力するとともに、前席側ブロワ電圧及び後席側ブロワ電圧をブロアモータ52a、62aに出力する。
その後、ステップS110に戻り、その後、ステップS110〜ステップS180までの処理を周期的に行う。なお、前席側ブロワ電圧、後席側ブロワ電圧、及びアクチュエータ100a〜100iのそれぞれの目標位置を演算する周期を、以下、演算周期T2という。
一方、通信回路440は、1つの送信周期T1でアクチュエータ100a〜100iの全てに、目標位置を周期的に送信するのではなく、図16(b)に示すように、送信パターンAと送信パターンBとを交互に繰り返して、後述するように送信周期T1内で、6個のアクチュエータにだけそれぞれの目標位置を送信する。
ここで、通信回路440は、演算周期T2でアクチュエータ100a〜100iのそれぞれの各目標位置が演算された場合、通信回路440は、演算周期T2の終了時期Tsと同一時期に開始される直後の送信周期T1内にて、6個のアクチュエータに各目標位置をそれぞれ送信する。
すなわち、図16(a)中の符号Cで示す演算周期T2(すなわち、図中にて右側から1つ目の演算周期T2)で各目標位置が演算されると、これら目標位置は、図16(b)中の符号Dで示す送信周期T1(すなわち、図中にて右側から2つ目の送信周期T1)で、6個のアクチュエータに各目標位置をそれぞれ送信される。
但し、マイクロコンピュータ410及び通信回路440は、同一クロック信号を発振回路から受信して同期しているので、図16(a)、(b)に示すように、送信周期T2は、演算周期T1と一致して(T2=T1)、かつ、演算周期T1の終了時期と送信周期T2の終了時期が一致している。
そして、上述の送信パターンAにおいて、通信回路440は、送信周期T1内で、アクチュエータ100a、100d、100e、100f、100b、100hに対し、100a→100d→100e→100f→100b→100hの順でそれぞれの目標位置を送信してから待機状態になる。
一方、送信パターンBにおいては、通信回路440は、送信周期T1内で、アクチュエータ100a、100d、100e、100g、100c、100iに対し、100a→100d→100e→100g→100c→100iの順でそれぞれの目標位置を送信してから待機状態になる。
換言すれば、送信周期T1内にて通信回路440により目標位置が送信される6(=M)個のアクチュエータは、早い応答性が要求される3個(=S)の特定のアクチュエータ100a、100d、100eと、他の3個のアクチュエータとから構成される。
他の3個のアクチュエータは、9(=N)個の100a〜100iのうち特定の3個のアクチュエータ100a、100d、100e以外の6個のアクチュエータのうちの一部のアクチュエータであり、一部のアクチュエータは、アクチュエータ100f、100b、100h、100g、100c、100i相互間で入れ替わることになる。
なお、アクチュエータ100f、100b、100h、100g、100c、100iに目標位置が送信される送信周期は、送信周期T1の2倍(=T1×2)に一致する。
また、通信回路440は、アクチュエータ毎に目標位置を送信する度に、アクチュエータ毎の現在位置情報を当該アクチュエータから受信する。当該現在位置情報とは、現在位置以外に、A相、B相パルスの状態(「1」「0」)を含む情報であり、A相、B相パルスの状態は、アクチュエータ毎の異常の発生の判定などに用いられる。
以上のように、アクチュエータ100a〜100iにそれぞれ目標位置を送信し、かつ、前席側ブロアモータ52a、62aにそれぞれブロア電圧出力して、送風機52、内外気切替ドア51、吹出口切替ドア56c、56d、エアミックスドア55a、55b等の作動を制御する。このような算出、処理の繰り返しによって前席空調ゾーン1a、1bの空調が自動的に制御されることになる。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
すなわち、マイクロコンピュータ410が、図16中符号Cで示す演算周期T2で9個の目標位置を演算すると、通信回路440は、演算周期T2の終了時期Tsと同一時期に開始される図16中符号Dで示す送信周期T1内にて、6個の目標位置をそれぞれ送信する。
ここで、通信回路440は、送信パターンAと送信パターンBとを交互に繰り返して、6個のアクチュエータに目標位置を送信する。そして、この6個のアクチュエータは、早い応答性が要求される3個の特定のアクチュエータ100a、100d、100eを含んでいる。
したがって、9個のアクチュエータ100a…100iのうち、3個の特定のアクチュエータ100a、100d、100eには、目標位置がそれぞれ送信周期毎に毎回、送信されるので、3個の特定のアクチュエータ100a、100d、100eの遅延時間は、演算周期T2と同一になる。このため、エアコンECU400電子制御装置と9個のアクチュエータ100a…100iとの間の通信速度を高速化しなくても、3個の特定のアクチュエータ100a、100d、100eの応答遅れを抑えることができる。
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、演算周期T2内でアクチュエータ100a〜100iの全ての目標位置を演算する例について説明したが、これに代えて、図18に示すように、演算周期T2内でその直後の送信周期T1で送信される6個の目標位置だけを演算するようにしてもよい。
先ず、マイクロコンピュータ410は、演算パターンA、演算パターンBを交互に繰り返し、演算パターンBでは、演算周期T1内で、アクチュエータ100a、100d、100e、100g、100c、100iのそれぞれの目標位置を演算する。そして、演算パターンAでは、演算周期T1内で、アクチュエータ100a、100d、100e、100f、100b、100hのそれぞれの目標位置を演算する。
換言すれば、マイクロコンピュータ410で目標位置が演算される6個のアクチュエータは、早い応答性が要求される6未満の3個の特定のアクチュエータ100a、100d、100eと、9個のアクチュエータ100a…100iのうち3個の特定のアクチュエータ100a、100d、100e以外の残りの複数のアクチュエータ100f…の一部の3個のアクチュエータとから構成されることになる。
そして、この一部の3個のアクチュエータは、残りの6個のアクチュエータ相互間にて、前記演算周期毎に毎回、(100g、100c、100i)→(100f、100b、100h)→100g、100c、100i)→(100f、100b、100h)…の順に入れ替わることになる。
以上に説明したように本実施形態によれば、演算周期T1内で演算される目標位置の数が、上述の第1実施形態に比べて減らすことができるので、マイクロコンピュータ410の演算速度としては、上述の第1実施形態に比べて、遅いものを用いることができる。
(その他の実施形態)
上述の第1実施形態では、アクチュエータ100a〜100iとしては、それぞれに摺動接点方式の位置検出装置を有するものを用いた例について説明したが、これに限らず、アクチュエータ100a〜100iとしては、光学式のエンコーダ等のその他の位置検出装置を有するものを用いるようにしてもよい。
上述の第1実施形態では、アクチュエータ100a〜100iの駆動源として、直流モータ110を採用した例について説明したが、これに代えて、入力パルス信号に基づき一定角度毎に出力軸を回転駆動するステッピングモータを用いるようにしてもよい。
この場合、ステッピングモータの出力軸の位置としては、入力パルス信号の入力数に基づき検出することができるので、光学式の位置検出装置や摺動接点方式の位置検出装置を採用する必要がなくなる。
本発明の実施にあたり、ドア55a、55b等としては、板状ドアに限らず、フィルムドア、ロータリドア、スライドドアなどを用いるようにしてもよい。
上述の第1実施形態では、発振回路からのクロック信号をマイクロコンピュータ410及び通信回路440に出力して、マイクロコンピュータ410及び通信回路440を互いに同期させるようにした例について説明したが、これに代えて、マイクロコンピュータ410から通信回路440にクロック信号(同期信号)を出力して、マイクロコンピュータ410及び通信回路440を互いに同期させるようにしてもよい。
上述の第1実施形態では、アクチュエータの個数Nとして、「9」を用いる例について説明したが、これに代えて、「3」以上であるならば、「9」以外の個数を用いるようにしてもよい。
上述の第1実施形態では、アクチュエータの個数Mとして、「6」を用いる例について説明したが、これに代えて、「2」以上であるならば、「6」以外の個数を用いるようにしてもよい。
上述の第1実施形態では、アクチュエータの個数Sとして、「3」を用いる例について説明したが、これに代えて、「3」以外の個数を用いるようにしてもよい。
以下、上記実施形態と特許請求項の範囲の構成との対応関係について説明すると、ドア51、55a、55b、561c、562c、563c、561d、562d、563d、660c、661c、660d、661d、65a、65bが、複数N(≧3)個のドアに相当し、アクチュエータ100a、100d、100eがS個の特定のアクチュエータに相当し、アクチュエータ100f、100b、100h、100g、100c、100iが、N個のアクチュエータのうちS個の特定のアクチュエータ以外の残りの複数個のアクチュエータに相当し、
アクチュエータ100f、100b、100hとアクチュエータ100g、100c、100iとが残りの複数個のアクチュエータの一部のアクチュエータに相当する。