JP4160774B2 - プロトン伝導性膜、その製造方法及びそれを用いた燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロトン(水素イオン)伝導性膜、その製造方法及びそれを用いた燃料電池に関し、さらに詳しくは、耐熱性、耐久性、寸法安定性、燃料バリア性などに優れ、しかも高温でも優れたプロトン伝導性を示すプロトン伝導性膜、その製造方法及びそれを用いてなる燃料電池に関し、同時に、直接メタノール、メタンなどの燃料を供給する直接燃料型燃料電池に供されるプロトン伝導性膜、その製造方法及びそれを用いてなる燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃料電池は、発電効率が高くかつ環境特性に優れているため、社会的に大きな課題となっている環境問題やエネルギー問題の解決に貢献できる次世代の発電装置として注目されている。
燃料電池は、一般に電解質の種類によりいくつかのタイプに分類されるが、この中でも固体高分子型燃料電池(以下、PEFCと略称する場合がある)は、他のいずれのタイプに比べても小型かつ高出力であり、小規模オンサイト型、移動体(たとえば、車輌のパワーソース)用、携帯用等の電源として次世代の主力とされている。
【0003】
このように、PEFCは、原理的に優れた長所を有しており、実用化に向けた開発が盛んに行われている。このPEFCでは、燃料として通常、水素を用いる。水素は、PEFCのアノード側に設置された触媒によりプロトン(水素イオン)と電子に分解される。このうち、電子は、外部に供給され、電気として使用され、PEFCのカソード側へと循環される。一方、プロトンはプロトン伝導性膜(電解質膜)に供給され、プロトン伝導性膜を通じてカソード側へと移動する。カソード側では、プロトン、循環されてきた電子、および外部から導入される酸素が触媒により結合され、水が生じる。すなわち、PEFC単体で見れば、PEFCは、水素と酸素から水を作る際に電気を取り出す非常にクリーンなエネルギー源である。
【0004】
燃料電池に供給される水素は、何らかの方法(たとえばメタノール改質による水素抽出)で得た水素を使うのが通常であるが、直接、メタノールなどを燃料電池に導入し、触媒によりメタノール(通常水を併用する)からプロトンと電子を取り出す、直接燃料型燃料電池も盛んに検討されつつある。
【0005】
ここで、プロトン伝導性膜は、アノードで生じたプロトンをカソード側に伝える役目を持つ。上記の通り、このプロトンの移動は、電子の流れと協奏的に起こるものである。すなわち、PEFCにおいて、高い出力(すなわち高い電流密度)を得るためには、プロトン伝導を十分な量、高速に行う必要がある。従って、プロトン伝導性膜の性能がPEFCの性能を決めてしまうキーマテリアルといっても過言ではない。また、プロトン伝導性膜は、プロトンを伝導するだけではなく、アノードとカソードの電気絶縁をする絶縁膜としての役割と、アノード側に供給される燃料がカソード側に漏れないようにする燃料バリア膜としての役割も併せ持つ。
【0006】
現在、PEFCにおいて使用されている主なプロトン伝導性膜は、パーフルオロアルキレンを主骨格とし、一部にパーフルオロビニルエーテル側鎖の末端にスルホン酸基を有するフッ素樹脂系膜である。このようなスルホン化フッ素樹脂系膜としては、例えば、Nafion(登録商標)膜(Du Pont社、米国特許第4,330,654号)、Dow膜(Dow Chemical社、特開平4−366137号公報)、Aciplex(登録商標)膜(旭化成工業(株)社、特開平6−342665号公報)、Flemion(登録商標)膜(旭硝子(株)社)等が知られている。
【0007】
これらフッ素樹脂系膜は、燃料電池が使用される湿潤状態下において、130℃近辺にガラス転移温度(Tg)を有しているといわれ、この温度近辺より、いわゆるクリープ現象が起こり、その結果、膜中のプロトン伝導構造が変化し、安定的なプロトン伝導性能が発揮できず、さらには膜が膨潤形態に変成し、ゼリー状となって非常に破損しやすくなり、燃料電池の故障につながる。
以上のような理由により、現在使用されている安定的に長期使用可能な最高温度は通常80℃とされている。
【0008】
燃料電池は、その原理において化学反応を用いているため、高温で作動させる方が、エネルギー効率が高くなる。すなわち、同じ出力を考えれば、高温で作動可能な装置の方が、より小型で軽量にすることができる。また、高温で作動させると、その排熱をも利用することができるため、いわゆるコジェネレーション(熱電併給)が可能となり、トータルエネルギー効率は飛躍的に向上する。従って、燃料電池の作動温度は、ある程度高い方がよいとされ、通常、100℃以上、特に120℃以上が好ましいとされている。
【0009】
また、供給される水素が十分に精製されていない場合、アノード側に使用されている触媒が、燃料の不純物(たとえば一酸化炭素)により活性を失う場合があり(いわゆる触媒被毒)、PEFCの寿命を左右する大きな課題となっている。この触媒被毒に関しても、高温で燃料電池を作動させることができれば回避できることが知られており、この点からも燃料電池は、より高温で作動させることが好ましいといえる。さらに、より高温での作動が可能となると、触媒自体も従来使用されている白金などの貴金属の純品を使用する必要がなく、種々金属の合金を使用することが可能となり、コストの面、あるいは資源の面からも非常に有利である。
【0010】
また、直接燃料型燃料電池では、現在、燃料から直接、効率よくプロトンと電子を抽出する種々の検討が行われているが、十分な出力を得るためには、低温では困難であり、高温(たとえば150℃以上)では可能性があるとされている。このように、PEFCは、種々の面からより高温で作動させることが好ましいとされているにもかかわらず、プロトン伝導性膜の耐熱性が前述の通り80℃までであるため、作動温度も80℃までに規制されているのが現状である。
【0011】
また、燃料電池作動中に起こる反応は、発熱反応であり、作動させると、PEFC内の温度は自発的に上昇する。しかしながら、プロトン伝導性膜は、80℃程度までの耐熱性しか有しないため、80℃以上にならないようにPEFCを冷却する必要がある。冷却は、通常水冷方式がとられ、PEFCのセパレータ部分にこのような冷却の工夫が入れられる。このような冷却手段をとると、PEFCが装置全体として大きく、重くなり、PEFCの本来の特徴である小型、軽量という特徴を十分に生かすことができない。特に、作動限界温度が80℃とすると、冷却手段として最も簡易な水冷方式では、効果的な冷却が困難である。もし、100℃以上の作動が可能であると、水の蒸発熱として効果的に冷却することができ、更に水を還流させることにより、冷却時に用いる水の量を劇的に低減できるため、装置の小型化、軽量化が達成できる。特に、車輌のエネルギー源として用いる場合には、80℃で温度制御する場合と、100℃以上で温度制御する場合とを比較すれば、ラジエータ、冷却水の容量が大きく低減できることから、100℃以上で作動可能なPEFC、すなわち100℃以上の耐熱性があるプロトン伝導性膜が強く望まれている。
【0012】
以上のように、発電効率、コジェネレーション効率、コスト・資源の面、冷却効率など、種々の面でPEFCの高温作動、すなわちプロトン伝導性膜の高温耐熱性が望まれているにもかかわらず、十分なプロトン伝導性と耐熱性を併せ持つプロトン伝導性膜は存在していない。
【0013】
このような背景のもと、PEFCの運転温度を上昇させるために、これまで、種々の耐熱性のあるプロトン伝導性材料が検討され、提案されている。
代表的なものとしては、従来のフッ素系膜の代わりとなる耐熱性の芳香族系高分子材料があり、例えば、ポリベンズイミダゾール(特開平9−110982号公報)、ポリエーテルスルホン(特開平10−21943号、特開平10−45913号公報)、ポリエーテルエーテルケトン(特開平9−87510号公報)等が挙げられる。
これらの芳香族系高分子材料は、高温時における構造変化が少ないという利点があるが、一方、芳香族に直接スルホン酸基、カルボン酸基などを導入したものが多く、この場合には、高温において顕著な脱スルホン、脱炭酸が起こる可能性が高く、高温作動膜としては好ましくない。
【0014】
また、これらの芳香族系高分子材料は、フッ素樹脂系膜のように、イオンチャネル構造などをとらない場合が多く、その結果、十分なプロトン伝導性を得るためには酸基を数多く導入する必要があり、膜の安定性の低下や熱水に対する安定性が低下し、場合によっては熱水にて溶解してしまうという問題がある。さらに、膜中の酸基が多いことから、水が存在すると膜全体がフッ素樹脂系膜よりもさらに強く膨潤する傾向があり、この乾燥状態と湿潤状態での膜サイズの変化のため、膜−電極接合体の接合部に応力がかかり、膜と電極の接合部がはがれたり、膜が破れたりする可能性が高く、更に、膨潤による膜の強度低下で膜破損が起こる可能性があるという問題がある。さらに、芳香族系高分子材料は、乾燥状態ではいずれも極めて剛直な高分子化合物であるため、膜−電極接合体形成の際、破損等の可能性が高いという問題がある。
【0015】
一方、プロトン伝導性材料としては、次のような無機材料も提案されている。例えば、南らは、加水分解性シリル化合物中に種々の酸を添加することにより、プロトン伝導性の無機材料を得ている(Solid State Ionics74(1994)、第105頁)。しかしながら、これらの無機材料は、高温でも安定的にプロトン伝導性を示すが、薄膜とした場合には、割れやすく、取扱いや膜−電極接合体作製が困難であるという問題がある。
【0016】
そして、こうした問題を克服するために、例えばプロトン伝導性の無機材料を粉砕してエラストマーと混合する方法(特開平8−249923号公報)、スルホン酸基含有高分子と混合する方法(特開平10−69817号公報)等が試みられているが、これらの方法は、いずれもバインダーの高分子物質が無機架橋体とが混合されただけであるため、基本的な熱物性は高分子物質単独と大きな差がなく、高温領域では高分子物質の構造変化が起こり、安定的なプロトン伝導性を示さず、しかも多くの場合、プロトン伝導性も高くない。
【0017】
以上のように、従来の固体高分子型燃料電池における問題点を改善するために、種々の電解質膜材料についての研究開発が行われてきたにもかかわらず、これまでのところ、高温(例えば100℃以上)で充分な耐久性を有し、機械的性能等の諸物性を満足したプロトン伝導性膜は、未だ存在しないのが現状であった。
【0018】
他方、水素に代えてメタノールを燃料として用いる直接メタノール型燃料電池(以下、DMCFと略称する場合がある)では、メタノールが直接膜に接することになる。現在用いられているNafion(登録商標)などのスルホン化フッ素樹脂系膜では、膜とメタノールの親和性が高く、膜がメタノールを吸収することにより極度に膨潤、場合によっては溶解し、燃料電池の故障の原因となる。また、メタノールは酸素極側に漏れ出し、燃料電池の出力が大きく低下する。これは芳香環含有の電解質膜でも共通した課題である。このように、DMFCにおいても、効率的かつ耐久性を有した膜が現在のところ存在していない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の固体高分子型燃料電池における問題点を解決するために、耐熱性、耐久性、寸法安定性、燃料バリア性などに優れ、しかも高温でも優れたプロトン伝導性を示すプロトン伝導性膜、その製造方法及びそれを用いた燃料電池を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、種々の電解質膜材料について検討したところ、特定の架橋構造を膜中に導入することにより、従来に例を見ない耐熱性、耐久性、寸法安定性、燃料バリア性などに優れ、しかも高温でも優れたプロトン伝導性を示す画期的なプロトン伝導性膜が得られることを見出し、さらに、簡便かつ低コストで同プロトン伝導性膜を製造する方法をも見いだした。そして、本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0023】
また、本発明の第1の発明によれば、架橋構造体が、スルフィド結合、スルホキシド結合、又はスルホン結合から選ばれる1種以上の結合で架橋されているプロトン伝導性膜の製造方法の発明において、複数のメルカプト基を有する化合物と複数の不飽和結合を有する化合物とを混合する工程、得られた混合物を製膜する工程、及び得られた膜中に存在する不飽和結合とメルカプト基とを付加反応させて架橋する工程を含むことを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法が提供される。
【0024】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、さらに、未反応のメルカプト基を酸化剤により酸化させてスルホン酸基を形成する工程を含むことを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法が提供される。
【0025】
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、メルカプト基と不飽和結合とのモル比が1:1〜10:1の範囲内であることを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法が提供される。
【0026】
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、複数のメルカプト基を有する化合物が下記の化学式(1)で示されるシロキサン化合物であることを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法が提供される。
【0027】
【化4】
(式中、nは1〜6の整数であり、XはCH3、C2H5、C3H7、C6H5、OCH3、OC2H5、OC3H7、又はOC6H5から選択されたいずれかの基を表す。)
【0028】
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、化学式(1)におけるnが3であることを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法が提供される。
【0029】
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、複数のメルカプト基を有する化合物が、下記の化学式(2)で示されることを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法が提供される。
HS−(CH2)n−SH (2)
(nは1〜20の整数を表す。)
【0030】
また、本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、複数の不飽和結合を有する化合物が次の式(3)で示される構造を分子内に有するシロキサン化合物であることを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法が提供される。
【0031】
【化5】
(式中、nは0〜20の整数であり、XはCH3、C2H5、C3H7、C6H5、OCH3、OC2H5、OC3H7、又はOC6H5から選択されたいずれかの基を表す。)
【0032】
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、化学式(3)におけるnが0であることを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法が提供される。
【0033】
また、本発明の第9の発明によれば、第1の発明において、複数の不飽和結合を有する化合物が下記の化学式(4)で示されることを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法が提供される。
【0034】
【化6】
(式中、nは0〜20の整数であり、mは0〜100の整数であり、X、YはCH3、C2H5、C3H7、C6H5、CH=CH2、OCH3、OC2H5、OC3H7、又はOC6H5から選択されたいずれかの基を表し、XとYは同一であっても異なっていても良い。)
【0035】
また、本発明の第10の発明によれば、第9の発明において、化学式(4)におけるnが0であることを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法が提供される。
【0036】
また、本発明の第11の発明によれば、第1の発明において、複数の不飽和結合を有する化合物が下記の化学式(5)で示されることを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法が提供される。
CH2=CH−(CH2)n−CH=CH2 (5)
(式中、nは0〜20の整数を表す。)
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプロトン(水素イオン)伝導性膜、その製造方法及びそれを用いた燃料電池について、各項目毎に詳細に説明する。
【0039】
1.スルフィド結合、スルホキシド結合、又はスルホン結合を含む架橋構造
本発明のプロトン伝導性膜は、スルフィド結合、スルホキシド結合、又はスルホン結合から選ばれる1種以上の結合で架橋された架橋構造を有する。従来のフッ素樹脂系膜や、芳香族分子構造を主鎖に有する高分子材料からなるプロトン伝導性膜は、いずれも架橋構造を有していない。このため、高温ではクリープ現象などにより、膜の構造が大きく変化し、その結果、高温を経験した膜を用いた場合、燃料電池の動作が不安定となる。
【0040】
例えば、フッ素樹脂系膜の代表例であるNafion(登録商標)膜(DuPont社製)は、乾燥時には強く柔軟な膜であるが、湿潤時には大きく膨潤し、強度の弱い膜となる。このように、乾燥時と湿潤時の膜の寸法が大きく異なることは、膜−電極接合体(以下、MEAと略称する場合がある)の製造が困難であるばかりではなく、燃料電池作動時にも作動状態変化による燃料電池内部の温湿度変化に応じて常に膜が伸び縮みするため、膜の破断やMEAの破壊が生じる可能性がある。さらに、膨潤時には膜が弱くなるため、前述の寸法変化だけではなく、燃料電池内で差圧が発生した場合などにも膜の破れなどが生じる危険性がある。
【0041】
この湿潤状態で、例えば150℃程度の高温を長時間与え続けると、ゼリー状になって極端に弱くなり、膜自体が崩壊するため燃料電池膜として用いることはできなくなる。また、120℃程度の温度であっても、クリープ現象により膨潤状態へと変成し、弱い膜となる。一旦変成すると、燃料電池の作動条件変化により膜が乾燥した場合、硬く脆い膜となり、膜の破断や割れ、さらには膜−電極接合体の破壊が起こる可能性がある。これは芳香族分子構造を主鎖に有する膜においても同様に起こる。
【0042】
しかしながら、架橋構造を導入することにより、これらの課題は解決することができる。
即ち、架橋構造を十分な架橋密度で導入すると、湿潤状態であっても、乾焼状態であっても、大きな寸法変化が見られなくなり、それに応じて強度変化も生じなくなる。このような架橋構造を形成するためには、例えばエポキシ樹脂、架橋性アクリル樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを用いることもできるが、燃料電池膜の様に強い酸性(プロトン存在)条件下で、高温高湿にさらされる場合には長時間の安定性を得ることができない。
【0043】
これに対し、一般にスルフィド結合、スルホキシド結合、又はスルホン結合などの結合は、酸や熱に対して安定である。
なお、スルフィド結合、スルホキシド結合、又はスルホン結合とは、それぞれ−R1−S−R2−、−R3−SO−R4−、−R5−SO2−R6−で表される結合基である。ただし、R1、R2、R3、R4、R5、又はR6は、アルキレン基、アリーレン基、又はアラルキレン基等から選択されたいずれかの基であり、同一であっても異なっていてもよい。
スルフィド結合、及びスルホキシド結合は条件により酸化などを受けスルホン結合となる場合があるが、一旦スルホン結合となるとそれ以上の酸化を受けず、熱、酸に対しても非常に安定となる。即ち、スルフィド結合、又はスルホキシド結合であっても、そのままで十分に安定であり、酸化等のストレスによっても切断されることなく安定なスルホン結合を形成する。結果としてこれらの結合は燃料電池動作時に受ける強酸条件、酸化条件、高温条件いずれに対しても極めて安定な結合といえる。
【0044】
このようなスルフィド結合、スルホキシド結合、又はスルホン結合などは、例えば炭素−炭素不飽和結合に対するメルカプト基の付加反応により容易に得ることが出来る。即ち、不飽和結合と、メルカプト基を有する材料を混合し、加熱するか、光などの活性光線を照射することにより容易に結合を形成することが出来る。この際、1分子中に複数の不飽和結合を有する化合物と、1分子中に複数のメルカプト基を有する化合物を混合すると、3次元架橋構造を形成することが出来る。このような架橋構造は極めて安定であり、燃料竜池用プロトン伝導性膜として使用しても長期にわたって架橋構造を維持し、高温における熱クリープ現象を防ぐことが出来、燃料電池の作動安定性を確保することが出来る。
【0045】
また、これらスルフィド結合、スルホキシド結合、又はスルホン結合などによる架橋結合に、同様に酸、熱、酸化に耐久性を有する金属−酸素結合、例えばケイ素−酸素結合、アルミニウム−酸素結合、チタン−酸素結合、ジルコニウム−酸素結合などを併用しても良く、膜の物性を損なわない程度にエポキシ基と他の反応基(水酸基、アミノ基など)による結合、又はアクリル酸系化合物のカルボキシル基と他の反応基(水酸基、アミノ基など)による結合等の比較的耐久性の低い架橋構造を併用しても良い。
【0046】
2.プロトン伝導性付与基
燃料電池で使用するプロトン伝導性膜は燃料極から酸素極にプロトンを伝導する役目を持つ。膜にプロトン伝導性を付与するためには、膜中に十分な量のプロトンを有し、かつ、そのプロトンが移動可能な構造(プロトン伝導性付与基)を有している必要がある。通常、プロトン伝導性付与基としてはプロトン酸基が用いられる。プロトン酸基を膜中に十分な量導入することにより膜中プロトン量は確保できる。プロトンがプロトン酸基に強く束縛されている、いわゆる弱酸の場合には、膜中にプロトンが存在してもプロトンは膜中に固定されていて十分な伝導性を発揮することが出来ない。従って、プロトン酸基としては強酸基が望ましい。ここで、強酸基としてはpKaが3以下のものを指し、例えば、硫酸基、リン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基等があげられる。このうち、スルホン酸基、ホスホン酸基は膜中分子に導入することが容易で、かつ酸、熱、酸化条件でも安定であるため、好ましく用いることが出来、さらにスルホン酸基はpKa値が極めて低くプロトン伝導性付与基として特に好ましく用いることが出来る。
【0047】
スルホン酸基は、あらかじめスルホン酸基を有する化合物を膜中に導入することも可能である。例えば、メルカプト基を有するメルカプトエタンスルホン酸等、不飽和結合を有するアリルスルホン酸等、ハロゲンを有する2−クロロエタンスルホン酸等、縮合性シリル基を有する3−トリヒドロキシシリルプロパンスルホン酸等、反応活性基を有するスルホン酸化合物は、それぞれの反応活性基と反応可能な部位を膜形成材料中に導入することにより、酸を膜中に導入することが可能である。
【0048】
また、スルホン酸基は、例えばメルカプト基や、ジスルフィド基、テトラスルフィド基などのポリスルフィド基、チオアセトキシ基などの酸化によっても得ることも出来るため、分子中にメルカプト基、ポリスルフィド基、チオアセトキシ基等のイオウ化合物を有する化合物を導入し、後に酸化することによっても形成することが出来る。
このように、スルホン酸基は導入も容易であり、かつ、高い酸性度、熱安定性、耐酸化性に優れ、プロトン伝導性膜のプロトン伝導性付与基として好ましく用いることが出来る。
【0049】
3.プロトン伝導性膜の製造方法
本発明のプロトン伝導性膜の製造方法は、特に限定されないが、例えば、次に述べる製造方法により作製することができる。即ち、メルカプト基を複数有する化合物と不飽和結合を複数有する化合物を混合する工程と、混合物を製膜する工程と、不飽和結合とメルカプト基の付加反応により架橋する工程と、未反応メルカプト基を酸化剤により酸化してスルホン酸基を形成する工程とを含む。
次に、本発明のプロトン伝導性膜の製造方法について、さらに詳記するため、各工程の順に沿って説明する。
【0050】
本発明のプロトン伝導性膜の製造方法においては、複数のメルカプト基を有する化合物と不飽和結合を複数有する化合物を混合する第一の工程を含む。
【0051】
3.1 複数のメルカプト基を有する化合物
ここで、複数のメルカプト基を有する化合物とは、複数のメルカプト基(−SH基)を有していれば特に制限はないが、プロトン伝導性膜として用いるため、耐酸化性、耐酸性、耐熱性に優れた構造を有している必要がある。メルカプト基自身は酸化によりスルホン酸基(−SO3H基)等に変換されるが、一旦スルホン酸基を形成すると耐酸化性、耐酸性、耐熱性には問題が無く、また、スルホン酸基を形成すること自体はプロトン伝導性向上に寄与する。ここで、耐酸化性、耐酸性、耐熱性に優れるとは、即ち、メルカプト基以外の部位で分解等が起こらないことを指す。
【0052】
このようにメルカプト基以外の部位で耐酸化性、耐酸性、耐熱性を示す材料であれば、特に限定されることなく本発明のプロトン伝導性膜の原料として用いることが出来るが、例えば耐酸化性、耐酸性、耐熱性を示す材料の例として、次の式(1)の構造を有する材料が好ましく用いることが出来る。
【0053】
【化7】
(式中、nは1〜6の整数であり、XはCH3、C2H5、C3H7、C6H5、OCH3、OC2H5、OC3H7、又はOC6H5から選択されたいずれかの基を表す。)
【0054】
シロキサン結合は、耐酸化性、耐酸性、耐熱性を有し、本発明のプロトン伝導性膜の構成材料として好ましく用いることが出来る。式(1)は、このシロキサン結合を主鎖として有し、メルカプト基を側鎖に有するシロキサン単量体構造を示し、この構造を有するシロキサン化合物が特に好ましく用いることが出来る。シロキサン化合物は、式(1)で示した単量体の単独重合物であってもよいし、ジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサンなど、他のシロキサン化合物単量体との共重合物であってもよい。共重合体である場合には、式(1)の構造が少なくともユニット数で1%以上あることが好ましい。これよりも少ないと、後で述べる架橋工程において架橋密度が低下したり、更に後で述べる酸化工程により生じるスルホン酸基量が少なくなったりする可能性がある。
【0055】
このようなシロキサンユニットを含んだ化合物としては、例えば、式(1)におけるXがメチル基であり、nが3である化合物の単独重合シロキサンがGelest社より市販されており、また、式(1)におけるXがメトキシ基、nが3である単独重合シロキサンが信越シリコーン社から市販されている。また、それぞれのジメチルシロキサンとの共重合体も市販されている。
これらの市販品位外にも、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルジエトキシメチルシランなどの市販原料から容易に単独重合体やその他のシリル化合物との共重合体を得ることが可能である。
【0056】
市販の重合体、重合体の前駆体であるアルコキシシラン化合物においては、式(1)のnが3のものが大量かつ安価に入手することが出来、このため、式(1)のnは3であるものが好ましく用いることが出来る。
【0057】
更に複数のメルカプト基を有する化合物として、次の式(2)で示される化合物も好適に用いることが出来る。
HS−(CH2)n−SH (2)
(式中、nは1〜20の整数を表す)
【0058】
ここで、式(2)において、2つのメルカプト基は分岐のないメチレン鎖であることが好ましい。分岐があると、燃料電池動作時の酸化条件下において、分岐部分がより酸化されやすくなり、好ましくない。また、芳香環や不飽和結合も分子鎖内に含まない方が安定性は高くなる。
式(1)、式(2)で示される複数のメルカプト基を有する化合物をそれぞれ単独で用いてもよいし、混合して用いてもよく、また、安定性を失わない範囲で他のメルカプト基含有化合物を用いてもよい。
【0059】
3.2 複数の不飽和結合を有する化合物
次に、複数の不飽和結合を有する化合物について詳述する。
ここで、複数の不飽和結合を有する化合物とは、複数の不飽和結合(例えば炭素−炭素2重結合)を有していれば特に制限はないが、プロトン伝導性膜として用いるため、耐酸化性、耐酸性、耐熱性に優れた構造を有している必要がある。不飽和結合自身は酸化によりエポキシ等に酸化されたり、分解されたりするが、不飽和結合は後に述べる架橋工程においてメルカプト基との付加架橋反応により消費され、安定性の高いスルホン等を含む架橋結合を形成する。従って、ここで、耐酸化性、耐酸性、耐熱性に優れるとは、即ち、不飽和結合以外の部位で酸化、分解等が起こらないことを指す。
【0060】
このように不飽和結合以外の部位で耐酸化性、耐酸性、耐熱性を示す材料であれば、特に限定されることなく本発明のプロトン伝導性膜の原料として用いることが出来るが、例えば耐酸化性、耐酸性、耐熱性を示す材料の例として、次の式(3)の構造を有する材料が好ましく用いることが出来る。
【0061】
【化8】
(式中、nは0〜20の整数であり、XはCH3、C2H5、C3H7、C6H5、OCH3、OC2H5、OC3H7、OC6H5のいずれかの基を表す)
【0062】
メルカプト基含有化合物で述べたように、シロキサン結合は、耐酸化性、耐酸性、耐熱性を有し、本発明のプロトン伝導性膜の構成材料として好ましく用いることが出来る。式(3)は、このシロキサン結合を主鎖として有し、炭素−炭素2重結合を側鎖に有するシロキサン単量体構造を示し、この構造を有するシロキサン化合物が特に好ましく用いることが出来る。シロキサン化合物は、式(3)で示した単量体の単独重合物であってもよいし、ジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサンなど、他のシロキサン化合物単量体との共重合物であってもよい。共重合体である場合には、式(3)の構造が少なくともユニット数で1%以上あることが好ましい。これよりも少ないと、後で述べる架橋工程において架橋密度が低下する可能性がある。
【0063】
このようなシロキサンユニットを含んだ化合物としては、例えば、式(3)におけるXがメチル基であり、nが0である化合物の単独重合シロキサン、また、Xがメトキシ基であり、nが0である化合物の単独重合シロキサンがGelest社より市販されている。また、式(3)におけるXがメチル基であり、nが0である化合物と、ジメチルシロキサンやその他アルキル基を側鎖に有するアルキルシロキサンとの共重合もGelest社や信越シリコーン社から市販されている。これらはビニル変性ジメチルシロキサンとして、安価かつ入手も容易である。
【0064】
また、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサンなどの環状シロキサンも用いることが出来る。
ここで、式(3)に相当する構造を形成する原料としては以下の化合物が挙げられる。
【0065】
ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルジフェニルクロロシラン、ビニルジフェニルエトキシシラン、ビニルエチルジクロロシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルオクチルジクロロシラン、ビニルフェニルジクロロシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルメチルフェニルクロロシラン、ビニルフェニルメチルメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ジエトキシジビニルシラン、ジビニルジクロロシラン、1,3−ジビニル−1,3−ジメチル−1,3−ジクロロジシロキサン、1,3−ジビニルテトラエトキシジシロキサン、メトキシジメチルビニルシラン、トリビニルクロロシラン、トリビニルエトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、などの加水分解性ビニルシラン類、
アリル(クロロプロピル)ジクロロシラン、アリルヘキシルジクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジアリルジクロロシラン、2−(クロロメチル)アリルトリクロロシラン、2−(クロロメチル)アリルトリメトキシシラン、などの加水分解性アリルシラン類、
ブテニルメチルジクロロシラン、ブテニルトリエトキシシラン、5−ヘキセニルジメチルクロロシラン、5−へキセニルトリクロロシラン、7−オクテニルジメチルクロロシラン、7−オクテニルトリクロロシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、ドコセニルトリエトキシシラン、10−ウンデセニルジメチルクロロシラン、1,1−ビス(トリクロロシリルメチル)エチレン、などの不飽和結合含有アルキル置換加水分解性シラン類。
【0066】
また、複数の不飽和結合を有する化合物が次の式(4)で示される構造を有する材料も好ましく用いることが出来る。
【0067】
【化9】
(式中、nは0〜20の整数であり、mは0〜100の整数であり、X、YはCH3、C2H5、C3H7、C6H5、CH=CH2、OCH3、OC2H5、OC3H7、又はOC6H5のいずれかの基を表し、XとYは同一であっても異なっていても良い)
この化合物もシロキサン結合を有しており、耐酸化性、耐酸性、耐熱性が良好であり、本発明のプロトン伝導性膜の構成材料として好ましく用いることが出来る。
【0068】
式(4)で示される材料の例としては、例えばビニル末端ポリジメチルシロキサン、ビニル末端ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ポリフェニルメチルシロキサン、ビニル末端トリフルオロプロピルメチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ジエチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマーがGelest社より市販されており、種々の分子量のものが入手可能である。
これらの原料として、上記の式(3)の構造体を形成する原料と同じものを使用して、単独での縮合、あるいは他の加水分解性シリル化合物との縮合により合成することも容易である。
【0069】
さらに、式(4)の化合物としては次のような市販品を用いることが出来る。
ジアリルジメチルシラン、ジアリルジフェニルシラン、ジアリルメチルフェニルシラン、1,3−ジアリルテトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3−ジアリルテトラメチルジシロキサン等の、ジアリルシリル化合物、ジフェニルジビニルシラン、1,3−ジビニル−1,3−ジフェニル−1,3−ジメチルジシロキサン、1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン、1,5−ジビニルへキサメチルトリシロキサン、1,5−ジビニル−3−フェニルペンタメチルトリシロキサン、ジビニルテトラキス(トリメチルシロキシ)ジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、ジビニルテトラフェニルジシロキサン等の、ジビニルシリル化合物
トリス(ビニルジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ビニルジメチルシロキシ)フェニルシラン、トリビニルメチルシラン、1,3,5−トリビニル−1,1,3,5,5−ペンタメチルトリシロキサン等の、トリビニルシリル化合物、更に、ヘキサビニルジシロキサン、テトラキス(ビニルジメチルシロキシ)シラン、1,1,3,3−テトラビニルジメチルジシロキサンなどのへキサ、テトラビニルシリル化合物など。
【0070】
また、更に、複数の不飽和結合を有する化合物が次の式(5)で示させる構造を有する材料も好ましく用いることが出来る。
CH2=CH−(CH2)n−CH=CH2 (5)
(nは0〜20の整数を表す)
この化合物は直鎖メチレン鎖からなり、極性基や分岐構造を有していないため、耐酸化性、耐酸性、耐熱性が良好である。
【0071】
具体的な化合物としては、ブタジエン、1,5−へキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,13−テトラデカジエンなどが容易に入手可能であり、また、合計炭素数22までの化合物は使用することが出来る。これ以上の炭素数では入手が困難で、高価なものとなるため好ましくない。
本発明で用いることが出来る複数の不飽和結合を有する化合物は、上記式(3)、(4)、又は(5)で示した溝造を有する化合物が好ましいが、耐熱性、耐酸性、耐酸化性を有し、複数の不飽和結合を有しているものであれば、特にこの構造を有していなくてもよい。
例えば、1,4−ジビニルテトラメチルジシリルエタン、テトラアリルシラン、テトラビニルシラン、ジビニルベンジエンなどを使用しても十分な耐熱性が確保できる。
【0072】
3.3 複数のメルカプト基を有する化合物と複数の不飽和結合を有する化合物の混合工程
本発明のプロトン伝導性膜の製造方法は、複数のメルカプト基を有する化合物と複数の不飽和結合を有する化合物を混合する工程を含む。
混合には、撹拌、振動など公知の方法を用いて良く、十分な混合が可能であれば特に限定されない。また、必要に応じて加熱や加圧、脱泡、脱気等を行っても良い。
ここで、複数のメルカプト基を有する化合物と複数の不飽和結合を有する化合物の混合比率は、それぞれの分子構造に依存するため一概には言えないが、1:1〜10:1の範囲であることが好ましい。これは、後述する架橋工程を経て存在する余剰のメルカプト基を酸化工程でプロトン伝導性付与基のスルホン酸に変換する際に、十分なスルホン酸濃度を確保するためである。もし、メルカプト基が不飽和結合基よりも少なければ十分なスルホン酸量が確保できず、プロトン伝導性は低下する。一方、メルカプト基が多すぎると耐久性が低下し、長期にわたって安定的な伝導度を確保できない。
【0073】
また、化合物の混合工程では、適当な溶媒を用いてもよい。溶媒としては、メルカプト基を複数有する化合物と不鮭和結合を複数有する化合物の両者が溶解し、混合できれば特に限定されるものではなく、一般の溶媒を用いることが出来る。その際、溶媒の比率については、特に限定はないが、通常、固形分濃度が80〜5重量%程度の濃度が好ましく用いることができる。
なお、混合時においては、本発明の目的を損なわない範囲内で、補強剤、柔軟化剤、界面活性剤、分散剤、反応促進剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、無機又は有機充填剤などの他の任意成分を添加することができる。
添加物の具体例としては、
・膜に親水性を付与するための親水性高分子
・膜に保水性を付与するためのシリカ微粒子など金属酸化物微粒子
・膜の支持体として用いるフィブリル構造、繊維構造等を有するガラス等からなる補強材・伝導度を高めるための補助的な酸、あるいは塩、エステル、アミド構造体等が挙げられる。
これらの添加量は、膜としての性能を低下させない限り制限はなく、また、膜材料の構造によっても、性能を低下させない添加量は大きく異なるため一概にいえないが、膜全重量のうち、添加剤の重量合計が50重量%以下であることが好ましい。
【0074】
3.4 製膜工程
本発明のプロトン伝導性膜の製造方法は、前行程により得られた混合物をキャスト、コート等の公知の方法により膜状とする製膜工程を含む。
膜状にする方法としては、均一な膜を得ることができる方法で有れば、特に制限はない。膜の厚みは、10μmから1mmの間の任意の厚みをとることができるが、プロトン伝導性と燃料の透過性、膜の機械的強度から、適宜決定される。膜の厚みは、特に限定されないが、通常、乾燥厚みが30〜300μmのものが、好ましく用いることができる。また、製膜工程を行う際に、繊維、マット、フィブリルなどの支持体、補強材を添加しても良い。これら支持体、補強材の材質は、耐熱性と耐酸性を勘案してガラス材料、シリコーン樹脂材料、フッ素樹脂材料などが好ましく用いることができる。
【0075】
3.5 架橋構造を形成する工程
本発明のプロトン伝導性膜の製造方法は、全行程で得られた混合物中の不飽和結合とメルカプト基の付加反応により架橋構造を形成する工程を含む。ここで、メルカプト基は不飽和結合に付加し、スルフィド結合を形成する。それぞれ、単一分子中にメルカプト基、不飽和結合を有する化合物が反応することにより、スルフィド結合を架橋結合とする3次元架橋構造体が形成される。
【0076】
ここで、架橋反応は加熱、紫外線などの活性光線照射などの刺激により反応を開始する。加熱方法は特に限定されず、オーブンによる加熱、赤外線による加熱、マイクロ波による加熱、電磁誘導加熱などの公知の方法を用いることが出来る。反応温度は、用いる材料の構造、濃度等にもよるが、一般的には50〜200℃の範囲内で行うことが好ましい。
一方、活性光線照射も、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプなどの一般的な光済を用いることが出来、さらに、電子線や放射線を用いることも出来る。ごく一般的には、水銀ランプによる照射装置を用いることが簡便で好ましい。
加熱と活性光線照射を併用してもよい。また、得られた架橋物を、水、各種有機溶媒により洗冷し、未反応材料を取り除いてもよい。
本発明の架橋反応はラジカル反応過程を経るといわれており、そのまま活性光線照射や加熱によってもラジカル発生により架橋が起こる。さらに反応を確実にするために、ラジカル発生剤を併用しても良い。ここで、ラジカル発生剤は、活性光線、熱などの刺激によりラジカルを発生するものであれば特に限定はなく、公知のラジカル発生剤を用いることができる。ラジカル発生剤の添加量は通常、メルカプト基を有する化合物と不飽和結合基を有する化合物の合計重量の10wt%以下であり、好ましくは1wt%以下である。
【0077】
3.6 プロトン伝導性を付与する工程
本発明のプロトン伝導性膜の製造方法は、前工程の架橋後存在する余剰のメルカプト基を酸化剤により酸化してスルホン酸基を形成し、プロトン伝導性を付与する工程を含む。
ここで、メルカプト基を酸化する方法としては、一般的な酸化剤を用いることが出来る。
具体的には、硝酸、過酸化水素、酸素(空気酸化含む)、有機過酸(過カルボン酸)、臭素水、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、過マンガン酸カリウム、クロム酸などの酸化剤を用いることが出来る。
【0078】
これら酸化試薬によるメルカプト基等の酸化反応については、実験化学講座(丸善、第3版)1775頁およびその参考文献に挙げられている公知の方法である。
この中でも過酸化水素及び有機過酸(過酢酸、過安息香酸類)が比較的取扱いが容易で酸化収率も良好であることから好適に用いる事が出来る。
この反応を行うことにより、架橋結合中のスルフィド基は、スルホキシド、あるいはスルホンへと酸化される。スルホンまで酸化されるとそれ以上の酸化は受けず、耐熱性、耐酸性、耐酸化性を有する強い架橋結合を形成する。
【0079】
酸化により得られた膜中スルホン酸基のプロトン化のため、塩酸、硫酸等の強酸と接触させてもよい。この場合の酸濃度、浸せき時間、浸せき温度等のプロトン化条件は、膜中のスルホン酸基含有濃度、膜の多孔質度、酸との親和性などにより適宜決定される。代表例としては、1N硫酸中50℃1時間、膜を浸せきする方法などが挙げられる。
【0080】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明は、これにより何ら限定されるものではない。なお、実施例や比較例で使用する化合物、溶媒等は、全て市販品をそのまま用いた。また、作製されたプロトン伝導性膜の評価物性値は、それぞれ以下にまとめた評価法によるものである。
【0081】
[評価法]
(1)膜外観評価
プロトン伝導性膜の外観評価を実施した。評価基準は次のとおりである。
○ … 均一かつ取扱い可能な膜。
× … 不均一、あるいは膜にならない。
【0082】
(2)低温プロトン伝導性評価
本発明のプロトン伝導性膜の両面にカーボンペースト(ConductingGraphite Paint;LADO RESEARCH INDUSTRIES,INC)を塗り、白金板と密着させた。この白金板に、電気化学インピーダンス測定装置(ソラトロン社製、1260型)を用いて周波数0.1Hz〜100kHzの領域でインピーダンス測定し、プロトン伝導性膜のプロトン伝導性を評価した。
なお、上記測定では、サンプルは、電気的に絶縁された密閉容器中に支持され、水蒸気雰囲気(95〜100%RH)で、温度コントローラーによりセル温度を室温から160℃まで変化させ、それぞれの温度でプロトン伝導度の測定を行った。代表値として、60℃の測定値を示した。また、代表的な実施例については、140℃のみ、あるいは60℃評価結果を示した。100℃上の測定においては、測定槽内を加圧して測定を行った。
【0083】
(3)耐熱性評価
プロトン伝導性膜を、飽和水蒸気下、140℃のオートクレープ中にて5時間加熱した。
加熱後の評価は、目視評価を実施し、評価基準は次のとおりである。
○ … 実施前と変わらない
× … 膜の脆化・分解・変色・変形が起こる。
【0084】
[実施例1]
(メルカプトプロピル)メチルシロキサン(分子量4,000−7,000、Gelest社SMS−992)1g、オクタジエン(関東化学)0.2g(官能基モル比約2:1)を2−ブタノン3mlを溶媒として混合した。得られた液体をPETフィルム上にアプリケーターを用いて200μの厚みにキャストし、メタルハライドランプ(アイグラフィクス社製)を用い、2,000mJ/cm2の照射を行った。
【0085】
得られたゴム状の膜をPETフィルムから剥がし、100℃オーブンにて1時間乾操した。乾燥後の膜を、ラマンスペクトル(Nicolet社製)、赤外吸収スペクトル(Bio−rad社製)、及びXPS(Kratos社製AXIS−165)を用い分析したところ、不飽和結合がほぼ完全に消失し、メルカプト基の一部がスルフィドとなっていることを確認した。即ち、スルフィドを架橋結合に有し、メルカプト基を有する架橋膜であることを確認した。
【0086】
この膜を、酢酸7.0mlに浸せきし、30%過酸化水素水5.6mlを徐々に添加し、その後70℃まで加熱し、20分間70℃で維持した。約95μの若干白濁した可撓性のある膜を得た。
評価、測定前に、60℃流水にて2時間洗浄した。膜の評価結果等を表1に示す。
洗浄後の膜を、ラマンスペクトル、赤外吸収スペクトル、及びXPSを用いて分析したところ、微量のスルフィド、スルホキシドの存在と、多量のスルホン、及びスルホン酸の存在を確認した。即ち、架橋結合はほぼスルホンまで酸化され、残留メルカプト基はスルホン酸まで酸化されたことが明らかとなった。本実施例のプロトン伝導性膜は、スルホンを架橋結合内に有した架橋膜であって、スルホン酸を有することを確認した。
【0087】
【表1】
【0088】
[実施例2]
オクタジエンのかわりに、ビニルメチルシロキサンホモポリマー(Gelest社製、VMS−T11)0.3gを用いた(官能基モル比約2:1)こと以外は、実施例1と同様にして膜を得た。
膜の評価結果等を表1に示す。
【0089】
[実施例3]
オクタジエンのかわりに、ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest社製DMS−V00.2gを用いた(官能基モル比約3.5:1)こと以外は、実施例1と同様にして膜を得た。
膜の評価結果等を表1に示す。
【0090】
[実施例4]
(メルカプトプロピル)メチルシロキサンのかわりにオクタンジチオール(Ardrich社製)1.0g、オクタジエンのかわりにビニルメチルシロキサンホモポリマー(Gelest社製、VMS−T11)0.5gを用いた(官能基モル比約2:1)こと以外は、実施例1と同様にして膜を得た。
膜の評価結果等を表1に示す。
【0091】
[比較例1]
市販のPEFC用電解質膜であるNafion117膜をそのまま使用した。
膜の評価結果等を表1に示す。
表1に示した結果より明らかなように、架橋結合にスルフィド結合、スルホキシド結合、又はスルホン結合のいずれかを含む結合を有し、スルホン酸を伝導性付与基として有する架橋製プロトン伝導性膜(実施例1〜4)においては、高いプロトン伝導性と耐熱性を両立することができる。特に、140℃の耐熱性評価においては、極めて良好である。
このような性能は、膜中に特定の構造を有する架橋構造を形成することにより、初めて可能なものであって、比較例には示していないが、架橋基に本発明で挙げたスルフィド、スルホキシド、スルホン以外のへテロ原子、極性基、分岐等を有する場合には耐熱性が低下してしまう。
【0092】
また、本発明の製造方法によれば、柔軟かつ耐熱性を有し、高プロトン伝導を示す膜を容易かつ安価に製造できた。
また、従来の代表的な電解質膜として用いられているフッ素系膜(比較例4)では、初期伝導度は高く、高温耐久後の伝導度も比較的良好ではあるが、膜は大きく非可逆的な変形が生じ、変形した膜を乾燥すると、硬い脆い膜となってしまった。このことから、従来の膜そのままでは、高温作動可能なPEFCには使用できないことが明らかである。
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、スルフィド結合、スルホキシド結合、又はスルホン結合を含む架橋構造を有し、プロトン伝導性付与剤としてスルホン酸基を有する架橋性プロトン伝導膜を作製することにより、高温においても良好に使用可能なプロトン伝導性膜を得ることができた。
また、本発明の膜を製造も容易かつ安価に行うことが出来る。
これにより、近年注目を集めている高分子固体電解質型燃料電池の動作温度を100℃以上に上げることができ、この結果、発電効率の向上、触媒のCO非毒の低減を達成することができる。また、動作温度の向上は、熱利用によるコジェネシステムへの展開も考えられ、劇的なエネルギー効率の向上へとつながる。
Claims (11)
- プロトン伝導性付与基を有する架橋構造体からなるプロトン伝導性膜であって、該架橋構造体は、スルフィド結合、スルホキシド結合、又はスルホン結合から選ばれる1種以上の結合で架橋されているプロトン伝導性膜の製造方法であって、
複数のメルカプト基を有する化合物と複数の不飽和結合を有する化合物とを混合する工程、得られた混合物を製膜する工程、及び得られた膜中に存在する不飽和結合とメルカプト基とを付加反応させて架橋する工程を含むことを特徴とするプロトン伝導性膜の製造方法。 - さらに、未反応のメルカプト基を酸化剤により酸化させてスルホン酸基を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
- メルカプト基と不飽和結合とのモル比が1:1〜10:1の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
- 複数のメルカプト基を有する化合物が、下記の化学式(1)で示されるシロキサン化合物であることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
- 化学式(1)におけるnが3であることを特徴とする請求項4に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
- 複数のメルカプト基を有する化合物が、下記の化学式(2)で示されることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
HS−(CH 2 ) n −SH (2)
(式中、nは1〜20の整数を表す。) - 複数の不飽和結合を有する化合物が、次の式(3)で示される構造を分子内に有するシロキサン化合物であることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
- 化学式(3)におけるnが0であることを特徴とする請求項7に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
- 複数の不飽和結合を有する化合物が、下記の化学式(4)で示されることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
- 化学式(4)におけるnが0であることを特徴とする請求項9に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
- 複数の不飽和結合を有する化合物が、下記の化学式(5)で示されることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導性膜の製造方法。
CH 2 =CH−(CH 2 ) n −CH=CH 2 (5)
(式中、nは0〜20の整数を表す。)
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